JP2020197463A - 位置検出システム - Google Patents

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Abstract

【課題】入力周波数の影響を受けることなく、圧電センサに対する加圧点の位置を精度よく検出することができる位置検出システムを提供する。【解決手段】圧電センサ1と加圧位置検出装置2とを備える。加圧位置検出装置2は、圧電センサ1から出力された第1波形と第2波形との時間軸を反転させて第1反転波形及び第2反転波形を生成する反転波形生成部10と、位置情報と第1逆伝達関数と第2逆伝達関数とで構成される位置情報組を複数組格納した逆伝達関数格納部11と、第1逆伝達関数を用いて第1反転波形から第1推定波形を生成し、第2逆伝達関数を用いて第2反転波形から第2推定波形を生成する推定波形生成部12と、第1推定波形と第2推定波形との誤差が最も小さい位置情報組の位置情報に基づいて加圧点の位置を特定する位置特定部13とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電センサにおける加圧点の位置を検出する位置検出システムに関する。
従来、物体等との接触を感知するためのセンサとして圧電センサを用い、圧電センサの加圧点での電圧変化が所定の位置に到達するまでの遅延時間に基づいて加圧点の位置を検出する位置検出システムが知られている(下記特許文献1参照)。
特許文献1に記載されている圧電センサは、導電体に塗布された圧電膜を備え、更に、圧電膜に抵抗体を重合することによって形成されている。圧電膜は、例えば、ロボットハンド等の比較的複雑な形状の外表面に容易に塗布して設けることができる。
上記圧電センサは、加圧によって圧電膜から電圧変化が発生すると、このときの電圧変化は、抵抗体の所定位置に設けられた出力端子から出力される。圧電体の加圧点での電圧変化は、加圧点の位置からの距離が大きいほど伝達時間の遅延が生じる。
特許文献1に記載されている位置検出システムにおいては、この遅延時間に基づいて圧電センサにおける加圧点の位置を検出する。即ち、計測した遅延時間を、予め記憶されている遅延時間と加圧点の位置との関係を示すデータと照合することによって、加圧点の位置を検出する。
これによれば、構造簡単とし、圧電センサにおける加圧点の位置を容易に検出することができる。
特開2016−109652号公報
ところで、圧電センサの加圧点には、加圧の強さと速度に応じた加圧力が付与される。そして、圧電センサの加圧点で生じる電圧波形のうち、振幅は加圧の強さを反映するものとなり、周波数は加圧の速度を反映するものとなっている。
ここで、本発明者は、圧電センサに対する加圧の強さ(以下、入力振幅という)と前記遅延時間との関係、及び、圧電センサに対する加圧速度(以下、入力周波数という)と前記遅延時間との関係を確認する試験を行った。その結果、入力振幅は前記遅延時間に殆ど影響しないのに対し、入力周波数は前記遅延時間に影響する可能性があることが明らかとなった。これによれば、従来の位置検出システムでは、遅延時間が入力周波数の影響を受けている場合は、圧電センサに対する加圧点の位置の検出制度が低下するおそれがある。
上記の点に鑑み、本発明は、入力周波数の影響を受けることなく、圧電センサに対する加圧点の位置を精度よく検出することができる位置検出システムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、加圧点で発生した電圧変化を出力する圧電センサと、前記圧電センサにおける加圧点の位置を検出する加圧位置検出装置とを備える位置検出システムにおいて、前記圧電センサは、加圧点で電圧変化が生じる圧電体と、該圧電体の一側面に重合された導電体と、前記圧電体の他側面に重合された電気的抵抗を有する抵抗体と、該抵抗体に設けられて加圧点の電圧変化に基づく第1波形を出力する第1出力端子と、該第1出力端子と異なる位置の前記抵抗体に設けられて加圧点の電圧変化に基づく第2波形を出力する第2出力端子とを備え、前記加圧位置検出装置は、前記第1波形及び前記第2波形に対して夫々の時間軸のみを反転させることにより第1反転波形及び第2反転波形を生成する反転波形生成部と、一組が位置情報と第1逆伝達関数と第2逆伝達関数とで構成される位置情報組が、異なる複数の位置に対応して複数組格納されている逆伝達関数格納部と、前記第1逆伝達関数を用いて前記第1反転波形から第1推定波形を生成し、前記第2逆伝達関数を用いて前記第2反転波形から第2推定波形を生成する推定波形生成部と、前記第1推定波形と前記第2推定波形との誤差が最も小さい前記位置情報組の位置情報に基づいて加圧点の位置を特定する位置特定部とを備えることを特徴とする。
圧電センサは、外部から圧力を受けると、その加圧点に電圧変化が生じる。このときの電圧変化は、抵抗体を介して伝達され、抵抗体の抵抗値に応じて変化した波形となって第1出力端子と第2出力端子とから夫々出力される。即ち、第1出力端子からは加圧点からの距離に応じた第1波形が出力され、第2出力端子からは加圧点からの距離に応じた第2波形が出力される。
加圧位置検出装置は、第1波形と第2波形とを用いて圧電センサにおける加圧点の位置を検出する。加圧位置検出装置は、圧電センサにおける加圧点の位置を検出するために、反転波形生成部と、逆伝達関数格納部と、推定波形生成部と、位置特定部とを備えている。
反転波形生成部は、第1波形の時間軸を反転させた第1反転波形と、第2波形の時間軸を反転させた第2反転波形とを生成する。これにより、加圧時の電圧変化と、その後に現れた第1波形及び第2波形との時間的関係が逆転し、第1反転波形及び第2反転波形に基づいて加圧時の電圧変化が算出可能となる。
推定波形生成部は、第1反転波形と第1逆伝達関数とを用いて第1推定波形を生成し、第2反転波形と第2逆伝達関数とを用いて第2推定波形生成する。推定波形生成部によって生成された第1推定波形と第2推定波形とは、夫々が、圧電センサの加圧点の位置で発生した電圧変化の波形を予測したものとなる。
第1推定波形と第2推定波形とを生成した際に用いた第1逆伝達関数と第2逆伝達関数とは、一つの位置情報組を構成しているものであるから、一つの位置情報に紐づけられている。
位置特定部は、位置情報組毎に生成された第1推定波形と第2推定波形とのなかから、第1推定波形と第2推定波形との誤差が最も小さい(第1推定波形と第2推定波形とが最も近似又は一致する)第1逆伝達関数と第2逆伝達関数とを有する位置情報組を選び出す。そして、位置特定部は、選び出した位置情報組が有する位置情報により加圧点の位置を特定する。
以上のように、本発明の位置検出システムは、各出力端子から出力された電圧波形と逆伝達関数とによって再構成された推定電圧波形を用いて加圧点の位置を検出する。従って、圧電センサにおける加圧点での入力周波数が異なっても、位置特定部において算出される誤差(両出力端子の出力波形による両推定電圧波形の一致度)は入力周波数の違いに影響されることなく同じとなり、圧電センサに対する加圧点の位置を精度よく検出することができる。第1推定波形と第2推定波形との誤差を算出する手法として、例えば、第1推定波形と第2推定波形との二乗和誤差、絶対誤差を算出することが挙げられる。また、誤差の算出に際して、例えば、波形のピーク部分に重みをつけて誤差を算出することも挙げられる。
なお、逆伝達関数格納部に格納された位置情報組を構成する位置情報、第1逆伝達関数、及び、第2逆伝達関数は、予め圧電センサの複数位置を個別に加圧した際の夫々の入出力関係で導出できる。また、事前準備の省力化等のため、圧電センサの一部の位置のみ個別に加圧してその入出力関係を導出し、その入出力関係をベースとして圧電センサの別の位置の入出力関係を推定し、それを位置情報組として用いることもできる。加圧点の位置検出精度を高くする観点から、逆伝達関数格納部には、実際に圧電センサを加圧することによって採取した情報に基づく位置情報組を格納することが好ましい。
なお、本発明における前記圧電センサの圧電体は、加圧点で電圧変化を発生させるものであれば特に限定されず、混合物を用いてもよく、積層構造体を用いてもよい。
汎用性の観点から、前記圧電センサの圧電体は、前記導電体の表面への塗布により膜状に形成してもよい。これによれば、比較的複雑な曲面を有する位置であっても前記圧電センサを設けることができるので、汎用性が高いものとなって有利である。
本発明の実施形態の位置検出システムを模式的に示すブロック図。 圧電センサの構成を示す斜視図。 反転波形生成部の作動を説明するためのグラフ。 加圧位置検出装置の一部の作動を示す説明図。 周波数依存性の検証試験結果を示すグラフ。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の位置検出システムは、図1に示すように、圧電センサ1と加圧位置検出装置2とを備えている。
圧電センサ1は、図2に示すように、基材3と、導電体4と、圧電体5と、抵抗体6と、第1出力端子7と、第2出力端子8と、接地用端子9とを備えている。
基材3は、例えば、図2に示すような板状の部材や、ロボットハンド等の一部である。導電体4は、導電性を有する材料により膜状に形成されており、例えばスプレー等により基材3の表面に塗布することによって設けられる。圧電体5は、外部から圧力が加わると当該加圧点で電圧変化が発生するものであり、導電体4の表面に塗布することによって膜状に形成されている。抵抗体6は、導電体4よりも抵抗値が大きくなるように構成されており、圧電体5に、例えば、塗布して設けられる。
このように、導電体4と、圧電体5と、抵抗体6とは、互いに密着重合して三層に積層された状態に形成されている。そして、導電体4と、圧電体5と、抵抗体6とは、何れもスプレー等により塗布して設けられるので、比較的複雑な曲面を有する位置であっても容易に圧電センサ1を形成して設けることができる。なお、基材3が金属等の導電性を有する材料で形成されている場合には、導電体4を省略し、基材3の表面に圧電体5を設けることができるし、基材3が抵抗体6を兼ねる構成とすることもできる。
第1出力端子7は、抵抗体6の一端部に設けられている。第2出力端子8は、抵抗体6の他端部に設けられている。
加圧位置検出装置2は記憶装置を備える演算装置であり、図1に模式的に示すように、反転波形生成部10と、逆伝達関数格納部11と、推定波形生成部12と、位置特定部13とを機能として備えている。
反転波形生成部10は、第1出力端子7から出力された波形(第1波形)の時間軸のみを反転させた反転波形(第1反転波形)を生成すると共に、第2出力端子8から出力された波形(第2波形)の時間軸のみを反転させた反転波形(第2反転波形)を生成する。
圧電体5の加圧点で発生した電圧変化の波形は、第1出力端子7及び第2出力端子8に到達するまで間に、抵抗体6の電気的抵抗により加圧点からの距離に応じて形成されたものである。即ち、圧電体5が加圧を受けた結果が、第1波形として第1出力端子7から採取され、第2波形として第2出力端子8から採取される。この時採取される第1波形と第2波形とは、同一の加圧点で発生した電圧変化に起因するが、第1波形と第2波形との発生時から遡って加圧点での電圧変化を再現することは困難である。
そこで、反転波形生成部10は、図3に示すように、第1波形w1と第2波形w2との時間軸を反転させた第1反転波形rw1と第2反転波形rw2とを生成する。これによれば、圧電体5の加圧点での電圧変化は、第1波形と第2波形との両方に起因する一つの波形と看做して、後述するように、圧電体5の加圧点での電圧変化の波形swを再構成することが可能となる。
そして、図1に示す推定波形生成部12は、圧電体5の加圧点での電圧変化の波形を再構成するために、図4に示すように、第1反転波形から第1推定波形を生成し、第2反転波形から第2推定波形を生成する。推定波形生成部12は、逆伝達関数格納部11に格納(記憶)されている第1逆伝達関数と第2逆伝達関数とを用いて第1推定波形と第2推定波形とを生成する。
逆伝達関数格納部11には、一組が位置情報と第1逆伝達関数と第2逆伝達関数とからなる位置情報組が複数格納されている。各位置情報組の第1逆伝達関数と第2逆伝達関数とは、圧電体5の所定間隔を存した複数個所を個別に加圧して電圧変化を発生させたときの、各加圧点と両出力端子7,8との入出力関係から導出されたものである。即ち、当該圧電センサ1に対して実際に加圧することにより得られた第1逆伝達関数と第2逆伝達関数とが、逆伝達関数格納部11に格納されている。
位置情報は、圧電体5を加圧した際の加圧点の位置である。位置情報として、本実施形態においては、第1出力端子7から加圧点の位置に相当する位置までの距離が用いられている。第1逆伝達関数は第1反転波形に適用して第1推定波形を形成するために用意されたものであり、第2逆伝達関数は第2反転波形に適用して第2推定波形を形成するために用意されたものである。
そして、推定波形生成部12は、全ての位置情報組を用いて、一組が第1推定波形と第2推定波形とで構成された複数の推定波形組を生成する。各推定波形組を構成する第1推定波形と第2推定波形とは、第1波形と第2波形とが形成されたときの電圧変化を示すものである。よって、実際は第1推定波形と第2推定波形とは、実際には一致している(同じ)ものである。
そこで、図1に示す位置特定部13は、第1推定波形と第2推定波形との誤差が最も小さい(波形が近似又は一致している)組み合わせを選出する。
そして、位置特定部13は、逆伝達関数格納部11の位置情報組を参照し、誤差が最も小さい推定波形組に適用した第1逆伝達関数と第2逆伝達関数とに紐づけされた位置情報を加圧点の位置とする。
以上のように、本実施形態の位置検出システムは、第1波形と第2波形との時間軸を反転させ、逆伝達関数を用いて加圧点の電圧変化の波形を推定することにより、加圧点の位置を検出するから、加圧時の加圧速度に伴う電圧変化の周波数の影響を殆ど受けない。
本発明者は、本実施形態の位置検出システムを用いた場合の周波数の影響の有無を検証するために、圧電センサ1の所定位置を加圧点として周波数の異なる加圧力を付与して、位置検出システムによる検出を行った。その結果の一つを示すと、第1出力端子7から6mmの距離を存した位置(加圧点)を加圧したとき、図5に示すように、1.0kHz、2.0kHz、2.5kHz、及び、5.0kHzの何れの周波数を有する電圧変化であっても、6mmの加圧点において第1推定波形と第2推定波形との誤差(二乗和誤差)が最も小さくなった。よって、本発明の位置検出システムを用いることにより、加圧点の位置の検出の際に周波数の影響を受けることがなく、高精度な位置検出を行うことができる。
なお、本実施形態においては、第1出力端子7と第2出力端子8との2つの端子間の加圧点の位置が容易に検出できることを示した。このことから、本発明は、加圧点の位置を検出するために最小単位として2つの出力端子を備えるが、更に、出力端子を増設して3つ以上の出力端子を用いても、同様に位置検出を行うことができる。例えば、異なる位置にある3つ以上の出力端子を用いれば、面状の複数位置(座標)と逆伝達関数(例えば、出力端子を3つ用いる場合は、3つの逆伝達関数)との組を予め用意しておき、圧電センサにおける面領域のいずれかの座標に存在する加圧点の位置を検出することが可能となる。
また、本実施形態においては、加圧点が1点である場合の位置検出について示したが、加圧点が複数である場合にも同様に位置検出を行うことができる。
圧電体5を2カ所(第1の加圧点、第2の加圧点)で加圧した場合、第1出力端子7から出力された波形(第1波形)は、第1の加圧点からの電圧変化の波形と、第2の加圧点からの電圧変化の波形の和となる。同様に、第2出力端子8から出力された波形(第2波形)も、第1の加圧点からの電圧変化の波形と、第2の加圧点からの電圧変化の波形の和となる。
例えば、この2つの波形からなる第1波形と第2波形をピーク等を指標にそれぞれ第1の加圧点、第2の加圧点からの波形に分解し、その後、本実施形態と同様に、それぞれ反転波形の生成、推定波形の生成、位置特定をすることで、第1の加圧点、第2の加圧点の位置を検出することができる。
また、予め第1の加圧点、第2の加圧点の波形に分解することなく、そのままの波形を用いることもできる。加圧点が3以上の場合も、同様に、それぞれの加圧点の位置を検出することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
1…圧電センサ、2…加圧位置検出装置、5…圧電体、4…導電体、6…抵抗体、7…第1出力端子、8…第2出力端子、10…反転波形生成部、11…逆伝達関数格納部、12…推定波形生成部、13…位置特定部。

Claims (2)

  1. 加圧点で発生した電圧変化を出力する圧電センサと、前記圧電センサにおける加圧点の位置を検出する加圧位置検出装置とを備える位置検出システムにおいて、
    前記圧電センサは、
    加圧点で電圧変化が生じる圧電体と、
    該圧電体の一側面に重合された導電体と、
    該導電体よりも抵抗値が大きく、前記圧電体の他側面に重合された抵抗体と、
    該抵抗体に設けられて加圧点の電圧変化に基づく第1波形を出力する第1出力端子と、
    該第1出力端子と異なる位置の前記抵抗体に設けられて加圧点の電圧変化に基づく第2波形を出力する第2出力端子とを備え、
    前記加圧位置検出装置は、
    前記第1波形及び前記第2波形に対して夫々の時間軸のみを反転させることにより第1反転波形及び第2反転波形を生成する反転波形生成部と、
    一組が位置情報と第1逆伝達関数と第2逆伝達関数とで構成される位置情報組が、異なる複数の位置に対応して複数組格納されている逆伝達関数格納部と、
    前記第1逆伝達関数を用いて前記第1反転波形から第1推定波形を生成し、前記第2逆伝達関数を用いて前記第2反転波形から第2推定波形を生成する推定波形生成部と、
    前記第1推定波形と前記第2推定波形との誤差が最も小さい前記位置情報組の位置情報に基づいて加圧点の位置を特定する位置特定部とを備えることを特徴とする位置検出システム。
  2. 前記圧電センサの圧電体は、前記導電体の表面への塗布により膜状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の位置検出システム。
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