JP2020197293A - 自動変速機及びその作動油流量制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】作動油の劣化度を正しく判断し、作動油の劣化度に応じてオイルポンプの吐出量を制御できるようにする。【解決手段】自動変速機1は、作動油の油温を検出する温度センサ7と、作動油の粘度を検出する粘度センサ8と、変速機コントローラ11とを備える。変速機コントローラ11は、検出された作動油の油温に基づき、作動油の油温上昇による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するようにオイルポンプ4、5から自動変速機1に供給される作動油の流量を増大補正し、作動油のエア含有率が低くなる特定の非走行状態で検出された作動油の粘度に基づき作動油の劣化度を算出し、作動油の劣化度に基づき、作動油の劣化による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するようにオイルポンプ4、5から自動変速機1に供給される作動油の流量を増大補正する。【選択図】図1
Description
本発明は、自動変速機、特に、その作動油流量の制御に関する。
有段自動変速機や無段変速機(以下、まとめて「自動変速機」と称する。)においては、オイルポンプをエンジン又は電動モータによって駆動することによって、自動変速機で必要とされる作動油の流量(以下、「必要流量」と称する。)を自動変速機に供給するようにしている。必要流量とは、自動変速機を構成するクラッチ、ピストン等のアクチュエータを作動させるために必要な流量に、自動変速機の各部位を潤滑及び冷却するために必要な流量及びシールや構成部品の隙間からの作動油のリーク量を加えた流量である。必要流量がオイルポンプから吐出されるようにオイルポンプの吐出量を制御することで、作動油の流量が不足することによる油圧の低下を防止し、自動変速機の動作不良を防止している。
特許文献1ではさらに、作動油の油温が高くなって作動油の粘度が低下すると作動油のリーク量が増えることに着目し、油温が高い時にエンジンのアイドリング回転速度を上昇させてオイルポンプの吐出量を増大補正することで、このような状況であっても作動油の流量が不足しないようにしている。
作動油の粘度低下は油温の上昇だけでなく、作動油の劣化によっても引き起こされる。しかしながら、走行距離や油温の変化履歴から作動油の劣化度を正しく判断することは容易でなく、作動油の劣化度を加味してオイルポンプの吐出量を制御することは難しかった。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、作動油の劣化度を正しく判断し、作動油の劣化度に応じてオイルポンプの吐出量を制御できるようにすることを目的とする。
本発明のある態様によれば、自動変速機であって、前記自動変速機に作動油を供給する作動油供給手段と、前記作動油の油温を検出する温度センサと、前記作動油の粘度を検出する粘度センサと、検出された前記作動油の油温に基づき、前記作動油の油温上昇による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するように前記作動油供給手段から前記自動変速機に供給される前記作動油の流量を増大補正する第1補正制御手段と、前記作動油のエア含有率が低くなる特定の非走行状態で検出された前記作動油の粘度に基づき前記作動油の劣化度を算出する劣化度算出手段と、前記作動油の劣化度に基づき、前記作動油の劣化による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するように前記作動油供給手段から前記自動変速機に供給される前記作動油の流量を増大補正する第2補正制御手段と、を備えた自動変速機が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、これに対応する自動変速機の作動油流量制御方法が提供される。
上記態様によれば、作動油の粘度を粘度センサを用いて検出し、作動油の劣化度を作動油のエア含有率が低くなる非走行状態で検出された作動油の粘度に基づき算出するようにしたことで、作動油の劣化度を正しく判断することができ、この結果、精度よく作動油の流量を増大補正することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の本実施形態に係る自動変速機1を備えた車両100の概略構成を示している。当該車両100は、動力源として内燃エンジン2を備え、エンジン2の出力回転を自動変速機1で変速して図示しない駆動輪に伝達する。エンジン2の回転速度及び出力トルクはエンジンコントローラ12によって制御される。
自動変速機1は、ベルト無段変速機、有段自動変速機等の自動変速機であり、油圧回路3から供給される油圧によって自動変速機1を構成するクラッチ、ピストン等のアクチュエータを作動させ、変速を実現する。
油圧回路3には作動油供給手段としてのメカオイルポンプ4及び電動オイルポンプ5が油路6を介して接続されている。また、油圧回路3には、作動油の温度を検出する温度センサ7、及び、作動油の粘度を検出する粘度センサ8が取り付けられている。温度センサ7は、抵抗値の変化に基づき温度変化を検出するセンサである。粘度センサ8としては、電動回転トルク式、振動式、ダイヤフラム式、超音波共振式等を用いることができる。
メカオイルポンプ4は、ベーンポンプであり、自動変速機1の入力軸にチェーン、ギヤ等を介して接続される。エンジン2の出力回転が自動変速機1の入力軸に入力されるとメカオイルポンプ4が駆動され、メカオイルポンプ4は油圧回路3に向けて作動油を吐出する。一方、電動オイルポンプ5は、ギヤポンプの回転軸に電動モータ5mを連結した構成である。図示しないバッテリから供給される電力によって電動モータ5mを作動させると、電動オイルポンプ5が駆動され、電動オイルポンプ5は油圧回路3に向けて作動油を吐出する。エンジン2が回転している間はメカオイルポンプ4から作動油が吐出されるので、電動オイルポンプ5は、主に、アイドルストップ中のようにエンジン2が停止してメカオイルポンプ4を駆動できない時、あるいは、変速時や高負荷時のように必要流量が増大する時に駆動される。
油圧回路3から自動変速機1の各部位に供給される作動油の油圧は、メカオイルポンプ4及び/又は電動オイルポンプ5から供給される作動油の油圧を元圧とし、油圧回路3に設けられたソレノイド弁を作動させることによって変速機コントローラ11からの指示圧に調整される。
変速機コントローラ11は、CPU、RAM/ROM、入出力インターフェースを含んで構成される。入出力インターフェースには、温度センサ7の検出信号、粘度センサ8の検出信号の他、自動変速機1の入力回転速度、出力回転速度、各部位の油圧、シフトレバー位置、アクセルペダル開度、ブレーキ操作等を検出する様々なセンサの検出信号が入力され、変速機コントローラ11は入力される検出信号に基づき車両の運転状態を判断し、自動変速機1の変速動作を制御する。
メカオイルポンプ4及び電動オイルポンプ5から吐出される作動油の合計流量は、自動変速機1で必要とされる流量(以下、必要流量)を下回らないよう制御される。
必要流量とは、自動変速機1を構成するクラッチ、ピストン等のアクチュエータを作動させるのに必要な流量に、自動変速機1の各部位を潤滑及び冷却するのに必要な流量及びシールや構成部品の隙間からの作動油のリーク量を加えた流量である。自動変速機1に供給される作動油の流量が必要流量よりも少なくなり、油量収支が悪化した状態となると、自動変速機1の各部位に供給される作動油の実際の油圧が指示圧まで上がらず、あるいは、指示圧まで上がるのに時間を要し、自動変速機1が伝達可能な最大トルクが低下したり、変速応答性が低下したりする可能性がある。
必要流量は、同じ運転条件(同じエンジン回転速度、車速、変速比)であっても、作動油の温度が高くなると作動油の粘度が低下して作動油のリーク量が増えるため、増加する。また、作動油が劣化しても同様に作動油の粘度が低下し、作動油のリーク量が増えるため、必要流量は増加する。さらに、作動油に含まれるエアの量が増えると、作動油の油圧を上げる際にエアの圧縮分の流量が余分に必要になるため、やはり必要流量が増加する。
このため、変速機コントローラ11は、以下に説明するように、作動油の油温、劣化度及びエア含有率に応じてメカオイルポンプ4及び電動オイルポンプ5の吐出量を増大補正し、作動油の油温、劣化度及びエア含有率に関わらず必要流量が確保されるようにする。
図2は、劣化度の算出及び近似曲線の生成・選択処理を示したフローチャートであり、変速機コントローラ11によって実行される。
これについて説明すると、ステップS1では、変速機コントローラ11は、温度センサ7及び粘度センサ8を用いて、エア含有率が少なくなる特定の非走行状態(例えば、車速がゼロ、かつ、エンジン2の始動後であって油圧回路3内に残留している初期エアをメカオイルポンプ4又は電動オイルポンプ5が吸い終わった状態、かつ、エンジン2が高回転を経験していない状態)で複数の油温における作動油の粘度を検出する。複数の油温としては、例えば、冷機時の油温(≒外気温)、暖機途中の油温(40℃〜60℃)、暖機状態での油温(80℃)が選択される。
そして、変速機コントローラ11は、油温及び粘度をパラメータとする二次元マップに検出結果をプロットし、複数のプロット点を用いて近似曲線を生成する。近似曲線は、例えば、3つのプロット点を用いて最小二乗法により生成する。
このとき、プロット点が過去に生成した近似曲線と大幅に乖離している場合は、温度センサ7又は粘度センサ8の検出値が異常値であるとして近似曲線の生成には用いないようにする。
具体的には、図3に示すように、変速機コントローラ11は、ある温度Txで検出された粘度μ1と、過去に生成した近似曲線を参照して得られる同じ温度Txにおける粘度μ2との差Δμ1を算出し、差Δμ1が所定の閾値よりも大きい場合は当該プロット点を近似曲線の生成に用いないようにする。
検出値は異常値となる原因としては、温度センサ7又は粘度センサ8の検出誤差又は誤作動が考えられる。
この例では、プロット点が過去に生成した3つの近似曲線L1〜L3から大幅に乖離しているかにつきそれぞれ判断し、いずれか一つの近似曲線からプロット点が大幅に乖離していても異常値と判断するようにすることで、異常値か否かの判断精度を高めている。
このようにして生成された近似曲線は、作動油が初期状態よりも劣化した状態での温度−粘度特性を示している。
ステップS2では、変速機コントローラ11は、ステップS1で生成された近似曲線を用いて作動油の劣化度を算出する。近似曲線はエア含有率が少なくなる特定の非走行状態で検出された作動油の粘度に基づき生成されるので、ステップS2の処理が、エア含有率が少なくなる特定の非走行状態で検出された作動油の粘度に基づき作動油の劣化度を算出する劣化度算出手段を構成する。
具体的には、図4に示すように、変速機コントローラ11は、ステップS1で生成された近似曲線と、作動油が劣化していない状態での温度−粘度特性(以下、「初期特性」という。)とに基づき、特定の油温Tsに対応する初期特性での粘度μ3及び近似曲線上の粘度μ4をそれぞれ求め、粘度μ4からの粘度μ3の低下代Δμ2を作動油の劣化度として算出する。特定の油温Tsは、自動変速機1の性能評価に適切とされる暖機後の温度、例えば、80℃とするのが好適である。
ステップS3では、変速機コントローラ11は、ステップS2で算出した劣化度Δμ2が許容劣化度Δμmax以下かを判断する。許容劣化度Δμmaxは、図4に示すように、自動変速機1の性能を保証する上で限度とされる劣化度(例えば、10万キロ走行時に想定される劣化度)まで作動油が劣化したときの作動油の温度−粘度特性を劣化限度時特性としたときに、劣化限度時特性を参照して求まる特定の油温Tsに対する粘度μ5と初期特性を参照して求まる同じ油温Tsに対する粘度μ3との差として算出される。
劣化度Δμ2が許容劣化度Δμmaxを超えている場合は、変速機コントローラ11は、処理をステップS5に進め、作動油の交換を促すNG警告を運転者に対して発する。NG警告は、警告灯を点灯させる、モニタに警告メッセージを表示させる、警告音を発する等様々な態様が可能である。また、作動油の劣化度が大きく、運転状態によっては作動油の流量が不足し、自動変速機1が動作不良を起こしたり自動変速機1の潤滑・冷却不良を起こしたりする可能性がある場合は、エンジン2の出力を制限する、変速比、変速速度等を制限する等のフェイルセーフ制御を行う。
劣化度Δμ2が許容劣化度Δμmax以下の場合は、変速機コントローラ11は処理をステップS4に進める。
ステップS4では、変速機コントローラ11は、ステップS1で生成した近似曲線をエア含有率判定用の近似曲線として選択する。エア含有率判定用の近似曲線は、作動油のエア含有率が低くなる非走行状態、かつ、作動油が初期状態から劣化した状態での油温−粘度特性である。
以上の処理により、作動油の劣化度Δμ2が算出される。また、エア含有率判定用の近似曲線が生成・選択される。
図5は、エア含有率を示す値を算出する処理を示したフローチャートであり、変速機コントローラ11によって実行される。
これについて説明すると、ステップS11では、変速機コントローラ11は、走行中に温度センサ7及び粘度センサ8を用いて作動油の油温Ta及び粘度μaを検出する。検出される作動油の油温Ta及び粘度μaは、その時点の実際の油温及び粘度である。
ステップS12では、変速機コントローラ11は、ステップS4で選択されたエア含有率判定用の近似曲線とステップS11で走行中に検出された動油の油温Ta及び粘度μaとを比較し、エア含有率を示す値を算出する。エア含有率判定用の近似曲線は、エア含有率が少なくなる特定の非走行状態で検出された作動油の粘度に基づき生成されるので、ステップS12の処理は、エア含有率が少なくなる特定の非走行状態で検出された作動油の粘度と走行中に検出された作動油の粘度とに基づき作動油のエア含有率を示す値を算出するエア含有率算出手段を構成する。
具体的には、変速機コントローラ11は、図6に示すように、ステップS4で選択されたエア含有率判定用の近似曲線を参照し、ステップS11で検出された油温Taに対応する粘度μ6を求め、これとステップS11で検出された粘度μaとの差Δμ3をエア含有率を示す値として算出する。エア含有率を示す値Δμ3は作動油に含まれるエアの量が多くなりエア含有率が高くなるほど大きくなる。
以上の処理により、エア含有率を示す値Δμ3が算出される。
図7は、メカオイルポンプ4及び電動オイルポンプ5の吐出量増大処理を示したフローチャートであり、変速機コントローラ11によって実行される。
これについて説明すると、ステップS21では、変速機コントローラ11は、温度センサ7を用いて検出された作動油の油温Taを読み込み、油温Taに基づき油温に基づいた補正量q1を算出する。具体的には、変速機コントローラ11は、図8に示すテーブルを参照し、油温Taに対応する補正量q1を算出する。補正量q1は特定の高油温Th(例えば、100℃)までは0であるが、特定の高油温Thを超えると油温Taが高くなるにつれて増大する傾向を有する。
ステップS22では、変速機コントローラ11は、ステップS2で算出された劣化度Δμ2に基づき劣化度に基づいた補正量q2を算出する。具体的には、変速機コントローラ11は、図9に示すテーブルを参照し、劣化度Δμ2に対応する補正量q2を算出する。補正量q2は油温Taが高くなるにつれて増大する傾向を有する。
なお、ここでは特定の油温Tsでの粘度の低下代Δμ2をそのまま劣化度として用いているが、粘度の低下代Δμ2を他の値、例えば、単位を持たない無名数や許容劣化度Δμmaxに対する比率等に換算してそれを劣化度として用いてもよい。
ステップS23では、変速機コントローラ11は、ステップS12で算出したエア含有率を示す値Δμ3に基づき、エア含有率に基づいた補正量q3を算出する。具体的には、変速機コントローラ11は、図10に示すテーブルを参照し、エア含有率を示す値Δμ3に対応する補正量q3を算出する。補正量q3は油温Taが高くなるにつれて増大する傾向を有する。
なお、ここではエア含有率を示す値Δμ3に基づき補正量q3を算出しているが、エア含有率を示す値Δμ3を、実験結果やシミュレーション結果に基づきエア含有率に換算し、エア含有率に基づき補正量q3を算出するようにしてもよい。
ステップS24では、変速機コントローラ11は、図11に示すように補正量q1〜q3を合算して総補正量Qを算出し、メカオイルポンプ4及び/又は電動オイルポンプ5から油圧回路3に供給される作動油の流量が総補正量Qだけ必要流量から増大するようにメカオイルポンプ4及び/又は電動オイルポンプ5の吐出量(単位時間あたりの吐出流量)を増大させる制御を行う。
具体的には、変速機コントローラ11がエンジンコントローラ12にエンジン2の回転速度増大を指令し、これを受けたエンジンコントローラ12がエンジン2の回転速度を増大させてメカオイルポンプ4の吐出量を増大させる。あるいは、変速機コントローラ11が電動オイルポンプ5の電動モータ5mに回転開始又は回転速度増大を指令し、これを受けた電動モータ5mが回転速度を増大させて電動オイルポンプ5の吐出量を増大させる。メカオイルポンプ4が同一回転速度であっても吐出量を変更できる可変容量型である場合は、変速機コントローラ11がメカオイルポンプ4に容量増大を指令し、これを受けたメカオイルポンプ4が容量を増大させてメカオイルポンプ4の吐出量を増大させるようにしてもよい。
したがって、ステップS21、S24の処理により、検出された作動油の油温に基づき、作動油の温度上昇による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するようにメカオイルポンプ4及び/又は電動オイルポンプ5から自動変速機1に供給される作動油の流量が増大補正される(第1補正制御手段)。
また、ステップS22、S24の処理により、作動油の劣化度に基づき、作動油の劣化による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するようにメカオイルポンプ4及び/又は電動オイルポンプ5から自動変速機1に供給される作動油の流量が増大補正される(第2補正制御手段)。
また、ステップS23、S24の処理により、作動油のエア含有率を示す値に基づき、作動油にエアが混入することによる粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するようにメカオイルポンプ4及び/又は電動オイルポンプ5から自動変速機1に供給される作動油の流量が増大補正される(第3補正制御手段)。
以上の処理により、メカオイルポンプ4及び/又は電動オイルポンプ5から油圧回路3に供給される作動油の流量が作動油の油温、劣化度及びエア含有率に応じて増大補正される。
続いて本実施形態の作用効果について説明する。
上記実施形態では、自動変速機1に、自動変速機1に作動油を供給する作動油供給手段としてのメカオイルポンプ4及び電動オイルポンプ5と、作動油の油温を検出する温度センサ7と、作動油の粘度を検出する粘度センサ8とを設け、変速機コントローラ11が、検出された作動油の油温に基づき、作動油の油温上昇による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するようにメカオイルポンプ4又は電動オイルポンプ5から自動変速機1に供給される作動油の流量を増大補正するようにした。
さらに、変速機コントローラ11が、作動油のエア含有率が低くなる特定の非走行状態で検出された作動油の粘度に基づき作動油の劣化度を算出し、作動油の劣化度に基づき、作動油の劣化による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するようにメカオイルポンプ4又は電動オイルポンプ5から自動変速機1に供給される作動油の流量を増大補正するようにした。
自動変速機1の必要流量は、同じ運転条件(同じエンジン回転速度、車速、変速比)であっても、作動油の温度が高くなれば作動油の粘度が低下し、作動油のリーク量が増えるため、増加する。また、作動油が劣化しても同様に作動油の粘度が低下し、作動油のリーク量が増えるため、必要流量は増加する。このため、自動変速機に供給される作動油の流量を作動油の温度及び作動油の劣化度に応じて増大補正する必要があるが、従来、劣化度を正しく判断することが難しかったため、劣化度に基づき精度よく作動油の流量を増大補正することは難しかった。
本実施形態では、作動油の粘度を粘度センサ8を用いて検出し、作動油の劣化度を作動油のエア含有率が低くなる非走行状態で検出された作動油の粘度に基づき算出するようにしたことにより(ステップS2)、劣化度を正しく判断することができ、精度よく作動油の流量を増大補正することができる(請求項1、5に対応する効果)。
作動油の劣化度は、具体的には、作動油のエア含有率が低くなる特定の非走行状態で検出された作動油の粘度から求まる劣化時の作動油の油温−粘度特性と、非劣化状態の作動油の油温−粘度特性とを比較することで算出するようにした(ステップS2)。この算出方法によれば、劣化度を容易にかつ正しく判断することが可能である(請求項2に対応する効果)。
さらに、作動油に含まれるエアの量が増えると、作動油の油圧を上げる際に油圧回路3内で圧縮されるエア分の流量が余分に必要になるため、やはり必要流量が増加する。このため、作動油のエア含有率に応じてもメカオイルポンプ4又は電動オイルポンプ5から自動変速機1に供給される作動油の流量を増大補正する必要があるが、従来、車両の運転状態から作動油のエア含有率を正しく判断することは難しかった。
本実施形態では、走行中に作動油の粘度を粘度センサ8によって検出し、作動油のエア含有率が低くなる非走行状態で検出された作動油の粘度と走行中に検出された作動油の粘度とに基づき作動油のエア含有率を示す値を算出するようにしたことで、エア含有率を正しく判断し、精度よく作動油の流量を増大補正することができる(請求項3に対応する効果)。
作動油のエア含有率を示す値は、具体的には、作動油のエア含有率が低くなる特定の非走行状態で検出された作動油の粘度から求まる劣化時の作動油の油温−粘度特性と走行中に検出された作動油の粘度とを比較することで算出するようにした(ステップS12)。この算出方法によれば、作動油のエア含有率を容易にかつ正しく判断することが可能である(請求項4に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、自動変速機1は、自動変速機1に作動油を供給する作動油供給手段として、メカオイルポンプ4及び電動オイルポンプ5を備えているが、何れか一方のみを備える構成であっても構わない。
1 :自動変速機
2 :エンジン
3 :油圧回路
4 :メカオイルポンプ(作動油供給手段)
5 :電動オイルポンプ(作動油供給手段)
5m :電動モータ
6 :油路
7 :温度センサ
8 :粘度センサ
11 :変速機コントローラ(第1〜第3補正制御手段、劣化度算出手段、エア含有率算出手段)
12 :エンジンコントローラ
100 :車両
2 :エンジン
3 :油圧回路
4 :メカオイルポンプ(作動油供給手段)
5 :電動オイルポンプ(作動油供給手段)
5m :電動モータ
6 :油路
7 :温度センサ
8 :粘度センサ
11 :変速機コントローラ(第1〜第3補正制御手段、劣化度算出手段、エア含有率算出手段)
12 :エンジンコントローラ
100 :車両
Claims (5)
- 自動変速機であって、
前記自動変速機に作動油を供給する作動油供給手段と、
前記作動油の油温を検出する温度センサと、
前記作動油の粘度を検出する粘度センサと、
検出された前記作動油の油温に基づき、前記作動油の油温上昇による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するように前記作動油供給手段から前記自動変速機に供給される前記作動油の流量を増大補正する第1補正制御手段と、
前記作動油のエア含有率が低くなる特定の非走行状態で検出された前記作動油の粘度に基づき前記作動油の劣化度を算出する劣化度算出手段と、
前記作動油の劣化度に基づき、前記作動油の劣化による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するように前記作動油供給手段から前記自動変速機に供給される前記作動油の流量を増大補正する第2補正制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動変速機。 - 請求項1に記載の自動変速機であって、
前記劣化度算出手段は、前記作動油のエア含有率が低くなる前記特定の非走行状態で検出された前記作動油の粘度から求まる前記作動油の油温−粘度特性と、非劣化状態の前記作動油の油温−粘度特性とを比較することで前記作動油の劣化度を算出する、
ことを特徴とする自動変速機。 - 請求項1又は2に記載の自動変速機であって、
走行中に前記作動油の粘度を前記粘度センサによって検出し、
前記作動油のエア含有率が低くなる前記特定の非走行状態で検出された前記作動油の粘度と走行中に検出された前記作動油の粘度とに基づき前記作動油のエア含有率を示す値を算出するエア含有率算出手段と、
前記作動油のエア含有率を示す値に基づき、前記作動油にエアが混入することによる前記作動油の粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するように前記作動油供給手段から前記自動変速機に供給される前記作動油の流量を増大補正する第3補正制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする自動変速機。 - 請求項3に記載の自動変速機であって、
前記エア含有率算出手段は、前記作動油のエア含有率が低くなる前記特定の非走行状態で検出された前記作動油の粘度から求まる劣化時の前記作動油の油温−粘度特性と走行中に検出された前記作動油の粘度とを比較することで前記作動油のエア含有率を示す値を算出する、
ことを特徴とする自動変速機。 - 自動変速機に作動油を供給する作動油供給手段と、前記作動油の油温を検出する温度センサと、前記作動油の粘度を検出する粘度センサと、を備えた前記自動変速機の作動油流量制御方法であって、
検出された前記作動油の油温に基づき、前記作動油の油温上昇による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するように前記作動油供給手段から前記自動変速機に供給される前記作動油の流量を増大補正し、
前記作動油のエア含有率が低くなる特定の非走行状態で検出された前記作動油の粘度に基づき前記作動油の劣化度を算出し、
前記作動油の劣化度に基づき、前記作動油の劣化による粘度低下に起因する油量収支の悪化を抑制するように前記作動油供給手段から前記自動変速機に供給される前記作動油の流量を増大補正する、
ことを特徴とする自動変速機の作動油流量制御方法。
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JP2019105474A JP2020197293A (ja) | 2019-06-05 | 2019-06-05 | 自動変速機及びその作動油流量制御方法 |
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JP2019105474A JP2020197293A (ja) | 2019-06-05 | 2019-06-05 | 自動変速機及びその作動油流量制御方法 |
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