JP2020196316A - 電動三輪車 - Google Patents

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雅男 平松
貴允 水野
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貴允 水野
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Abstract

【課題】乗員の感覚に頼らずにできるだけ安定した制動を実現することができる電動三輪車を提供する。【解決手段】電動三輪車11は、電力の供給に応じて第1軸線Xff回りに左輪12aに駆動力を付与し、発電時に左輪12aに制動力を付与する第1電動機52と、電力の供給に応じて第2軸線Xfs回りに右輪12bに駆動力を付与し、発電時に右輪12bに制動力を付与する第2電動機54と、ブレーキレバー28の操作が検出された際に、左輪12aおよび右輪12bの回転速度差が予め決められた値を超えていると、第1電動機52および第2電動機54から左輪12aおよび右輪12bに対して断続的に制動力を作用する制御信号を生成するコントローラー57とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、第1軸線回りに回転自在にフレームに支持される左輪と、左輪に並んで第2軸線回りに回転自在にフレームに支持される右輪とを備える電動三輪車に関する。
特許文献1は、第1軸線回りに回転自在にフレームに支持される左前輪と、左前輪に並んで第2軸線回りに回転自在にフレームに支持される右前輪とを備える電動アシスト付き三輪自転車を開示する。電動アシスト付き三輪自転車では、前輪と後輪とに走行速度や路面状況といった条件に応じて最適に制動力が付与されると、安定した制動は実現されることができる。制動距離は短縮される。
特開2010−184508号公報
ところで、一般に三輪自転車では、前輪のブレーキに連結される前輪ブレーキレバーがハンドルバーの右グリップに並列に設置され、後輪のブレーキに連結される後輪ブレーキレバーがハンドルバーの左グリップに並列に設置される。前輪ブレーキレバーの操作量に応じて前輪の制動力は調整され、後輪ブレーキレバーの操作量に応じて後輪の制動力は調整される。したがって、安定した制動の実現にあたって前輪ブレーキレバーおよび後輪ブレーキレバーに加えられる握る力が調整される。乗員は感覚的に握る力を調整していた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、乗員の感覚に頼らずにできるだけ安定した制動を実現することができる電動三輪車を提供することを目的とする。
本発明の第1側面によれば、第1軸線回りに回転自在にフレームに支持される左輪と、前記左輪に並んで第2軸線回りに回転自在に前記フレームに支持される右輪と、電力の供給に応じて前記第1軸線回りに前記左輪に駆動力を付与し、発電時に前記左輪に制動力を付与する第1電動機と、電力の供給に応じて前記第2軸線回りに前記右輪に駆動力を付与し、発電時に前記右輪に制動力を付与する第2電動機と、ブレーキレバーの操作が検出された際に、前記左輪および前記右輪の回転速度差が予め決められた値を超えていると、前記第1電動機および前記第2電動機から前記左輪および前記右輪に対して断続的に制動力を作用する制御信号を生成するコントローラーとを備える電動三輪車が提供される。
第2側面によれば、第1側面の構成に加えて、前記コントローラーは、断続的に制動力を作用する制御信号を生成した後に、前記回転速度差が予め決められた値以下になると、前記第1電動機および前記第2電動機で前記左輪および前記右輪に対し継続的に制動力を作用する制御信号を生成する。
第3側面によれば、第1または第2側面の構成に加えて、電動三輪車は、前記フレームに回転自在に支持されて、乗員に操作されて、前記左輪および前記右輪を含む車輪のいずれか1以上の向きを変えるハンドルと、前記ハンドルの操舵角を検出する操舵センサーと、重力の向きに対して車体の左右方向に前記フレームの傾斜を検出する傾斜センサーとを備え、前記コントローラーは、前記傾斜が予め決められた値を超えるとき、前記ハンドルの操舵角に応じ内輪の駆動力に比べて大きな駆動力を外輪に付与する制御信号を生成する。
第4側面によれば、第3側面の構成に加えて、前記コントローラーは、前記傾斜が予め決められた値以下のとき、前記ハンドルの操舵角に応じ外輪の駆動力に比べて大きな駆動力を内輪に付与する制御信号を生成することを特徴とする電動三輪車。
第5側面によれば、第1〜第4側面のいずれか1の構成に加えて、前記フレームは、上下方向に個別に変位自在に前記左輪および前記右輪を支持する。
第6側面によれば、第1〜第5側面のいずれか1の構成に加えて、前記フレームは、平地での直進時に前記軸線に直交し前記左輪と地面との接地点を通る第1仮想鉛直面と、平地での直進時に前記軸線に直交し前記右輪と前記地面との接地点を通る第2仮想鉛直面とで挟まれる空間から外側に乗員の重心の移動を許容する構造を有する。
第1側面によれば、左輪および右輪の一方がスリップすると、左輪および右輪の回転速度差は増大する。このとき、ブレーキレバーの操作に応じて左輪および右輪に断続的に制動が作用する。断続的な制動では継続的な制動に比べて左輪および右輪の制動は弱められることから、左輪および右輪のロックは防止されることができる。左輪および右輪では路面に対して良好なグリップ力は確保されることができる。こうして乗員の感覚に頼らずにできるだけ安定した制動は実現されることができる。電動三輪車の挙動は安定化する。制動時に左輪および右輪の片輪だけにグリップ力が確保されると、挙動の不安定化を招きやすい。
第2側面によれば、左輪および右輪の回転速度差が予め決められた値以下になると、断続的な制動は継続的な制動に切り替えられる。回転速度差は予め決められた値以下なので、左輪および右輪で制動が強められても左輪および右輪で良好なグリップ力は確保されることができる。断続的な制動が継続する場合に比べて制動距離は短縮されることができる。こうして乗員の感覚に頼らずにさらに安定した制動は実現されることができる。
第3側面によれば、車体の傾斜が予め決められた値を超えると、乗員は旋回を意図すると推定される。一般に、乗員は旋回方向に身体を傾け重心を移動させる。このとき、ハンドルの操舵角が検出されると、内輪に比べて外輪に大きな駆動力が付与されることで、旋回時に内輪および外輪に意図的に回転数の差が生成されることができる。車両はスムースに旋回することができる。旋回時に挙動の安定性は高められることができる。良好な操舵性は実現されることができる。
第4側面によれば、車体の傾斜が予め決められた値以下のとき、乗員は直進走行を意図すると推定される。このとき、ハンドルの操舵が検出されると、外輪に比べて内輪に大きな駆動力が付与されることでハンドルは直進方向に戻されることができる。こうして直進安定性は高められる。一般に、直進走行時には、二輪車の乗員は左右方向の重心のずれをハンドルの操舵で補う。こうしたハンドルの操舵が第1電動機および第2電動機の働きで支援されることで直進安定性は高められることができる。走行時の挙動の安定性は高められることができる。直進走行時と旋回時とで内輪および外輪の間で駆動力の大小関係が切り替わることで、走行時の挙動の安定性は良好に高められることができる。
第5側面によれば、地面からの反力に応じて左輪および右輪は個別に車体上下方向に変位することができる。左輪および右輪の駆動力が相違することで左輪または右輪の変位は引き起こされることができる。こうして車体の姿勢はさらに安定化することができる。
第6側面によれば、乗員の重心の移動範囲に対して左輪および右輪の間隔が狭まることから、電動三輪車は一般の二輪自転車に近い意匠を確保することができる。こうして電動三輪車の意匠性は高められることができる。
本発明の一実施形態に係る電動三輪車すなわち電動アシスト三輪自転車の全体構成を概略的に示す側面図である。 三輪自転車の正面図である。 第1実施形態に係る電動駆動系の構成を概略的に示すブロック図である。 コントローラーの処理動作を概略的に示すフローチャートである。 直進制御の処理動作を概略的に示すフローチャートである。 旋回制御の処理動作を概略的に示すフローチャートである。 こぎ出し制御の処理動作を概略的に示すフローチャートである。 制動制御の処理動作を概略的に示すフローチャートである。 第2実施形態に係る電動駆動系の構成を概略的に示すブロック図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下の説明では、前後、上下および左右の各方向は三輪自転車に搭乗した乗員から見た方向をいう。
図1は本発明の一実施形態に係る電動アシスト三輪自転車11の全体構成を概略的に示す。三輪自転車11は、左右に並んで配置される左前輪12aおよび右前輪12bを支持する操舵系13と、前端で操舵系13に連結され、前端から後方に離れた位置で回転自在に単一の後輪14を支持するフレーム15とを備える。フレーム15は、左前輪12aおよび右前輪12bの上方に配置されるヘッドパイプ15aと、ヘッドパイプ15aから後方に延びるダウンチューブ15bと、ヘッドパイプ15aの後方でダウンチューブ15bから上向きに延びるシートチューブ15cと、ダウンチューブ15cからさらに後方に延びて軸線Xr回りで回転自在に後輪14を支持するチェーンステー15dとを有する。後輪14の軸線Xrが水平方向に位置すると、フレーム15の自立姿勢は確保される。このとき、フレーム15の左右中心面は鉛直面に一致する。
シートチューブ15cの上端にはサドル16が支持される。サドル16は、シートチューブ15cに差し込まれるシートピラー17に固定される。サドル16は乗員の臀部を受ける。
フレーム15には、乗員の人力で軸線Xr回りに後輪14を駆動する人力駆動系18が結合される。人力駆動系18は、ヘッドパイプ15aとシートチューブ15cとの間でダウンチューブ15bに回転自在に支持されるクランク19と、クランク19の回転軸線Xkに同軸にクランク19に固定される駆動スプロケット21と、後輪14の軸線Xrに同軸に後輪14に固定される従動スプロケット22と、駆動スプロケット21および従動スプロケット22に巻き掛けられるチェーン23とを備える。クランク19は、後輪14の軸線Xrに平行な軸心を有し、ダウンチューブ15bの軸受に回転自在に支持される駆動軸19aと、ダウンチューブ15bよりも左側に突出する駆動軸19aの一端に結合されて、駆動軸19aから遠心方向に延びる左アーム19bと、ダウンチューブ15bよりも右側に突出する駆動軸19aの他端に結合されて、駆動軸19aから遠心方向に延びる右アーム19cとを有する。左アーム19bおよび右アーム19cは駆動軸19aの軸心回りで180度の間隔で配置される。左アーム19bおよび右アーム19bの先端にはそれぞれペダル24が連結される。ペダル24は、駆動軸19aの軸心に平行な回転軸線回りで回転自在に左アーム19bおよび右アーム19cに支持される。乗員は、サドル16に座りながら、左右のペダル24に左右の足を載せることができる。
操舵系13は、上方にいくにつれて後方に変位する操舵軸線Sx回りで回転自在にヘッドパイプ15aに連結されるフロントフォーク25と、図2に示されるように、ヘッドパイプ15aよりも上方でフロントフォーク25に結合されて、左右方向に延びるハンドルバー26と、ハンドルバー26の左端に揺動自在に取り付けられて、後輪14のブレーキに連結される後輪ブレーキレバー27と、ハンドルバー26の右端に揺動自在に取り付けられて、前輪12a、12bのブレーキに連結される前輪ブレーキレバー28と、フロントフォーク25に対して姿勢変化自在にフロントフォーク25に連結され、左前輪12aおよび右前輪12bを支持するリンク機構29とを備える。ハンドルバー26の左右端にはそれぞれグリップ31が固定される。左側のグリップ31に後輪ブレーキレバー27は並列に延びる。乗員の左手はグリップ31を握りながら後輪ブレーキレバー27を操作することができる。右側のグリップ31に前輪ブレーキレバー28は並列に延びる。乗員の右手はグリップ31を握りながら前輪ブレーキレバー28を操作することができる。
リンク機構29は、前後方向に延びる水平軸線Hx回りでロール方向に回転自在にフロントフォーク25に連結され、水平軸線Hxから左右方向に延びる支持部材32と、水平軸線Hxに平行な連結軸線Xp回りで回転自在に、水平軸線Hxよりも左側で支持部材32に支持される左ナックル33と、水平軸線Hxに平行な連結軸線Xq回りで回転自在に、水平軸線Hxよりも右側で支持部材32に支持される右ナックル34と、左ナックル33および右ナックル34を相互に連結するリンクアーム35とを有する。リンクアーム35は連結軸線Xp、Xqに平行な揺動軸線回りで揺動自在に左ナックル33および右ナックル34にそれぞれ結合される。こうして4つの関節を有する四辺形のリンク機構29は確立される。リンクアーム35の働きで連結軸線Xp、Xq回りで左ナックル33および右ナックル34の動きは連動する。しかも、リンク機構29は水平軸線Hx回りで回転するので、左前輪12aおよび右前輪12bはフロントフォーク25に対して相対的に上下方向に変位する。
左ナックル33には、軸線Xff回りで回転自在に左前輪12aのハブ36が連結される。右ナックル34には、軸線Xfs回りで回転自在に右前輪12bのハブ36が連結される。フレーム15は、平地での直進時に軸線Xffに直交し左前輪12aと地面との接地点を通る第1仮想鉛直面Vfと、平地での直進時に軸線Xfsに直交し右前輪12bと地面との接地点を通る第2仮想鉛直面Vsとで挟まれる空間から外側に乗員の重心の移動を許容する構造を有する。図1に示されるように、左前輪12a、右前輪12bおよび後輪14は、それぞれ、ハブ36と、ハブ36に同軸であってスポーク37でハブ36に連結されるリム38と、リム38に装着されるゴムタイヤ39とで形成される。
左前輪12a、右前輪12bおよび後輪14にはディスクブレーキ41が組み込まれる。ディスクブレーキ41は、軸線Xff、Xfs、Xrに同軸にハブ36に結合されるブレーキディスク42と、フレーム15(左ナックル33、右ナックル45およびチェーンステー15d)に個別に固定されて、対応するブレーキディスク42に摩擦パッドを押し当てるブレーキキャリパー43とを備える。
左前輪12aおよび右前輪12bのブレーキキャリパー43には前輪ブレーキレバー28から延びるケーブル44が連結される。前輪ブレーキレバー28が操作されると、ケーブル44が引っ張られ、ブレーキキャリパー43内でブレーキディスク42に摩擦パッドは押し当てられる。摩擦パッドはブレーキディスク42との摩擦力に応じて制動力を発揮する。ブレーキディスク42に対して摩擦パッドの摩擦力は前輪ブレーキレバー28の操作量に応じて増大する。左前輪12aおよび右前輪12bでは前輪ブレーキレバー28の操作に共通に等しい制動力が生成される。
後輪14のブレーキキャリパー43には後輪ブレーキレバー27から延びるケーブル45が連結される。後輪ブレーキレバー27が操作されると、ケーブル45が引っ張られ、ブレーキキャリパー43内でブレーキディスク42に摩擦パッドは押し当てられる。摩擦パッドはブレーキディスク42との摩擦力に応じて制動力を発揮する。ブレーキディスク42に対して摩擦パッドの摩擦力は後輪ブレーキレバー27の操作量に応じて増大する。ここでは、左前輪12a、右前輪12bおよび後輪14にはディスクブレーキ41に変えてキャリパーブレーキが組み込まれてもよい。
図3に示されるように、三輪自転車11には、電力で生じる駆動力で軸線Xff、Xfs回りに左前輪12aおよび右前輪12bを駆動する電動駆動系51が結合される。第1実施形態に係る電動駆動系51は、左前輪12aに接続されて、電力の供給に応じて左前輪12aに駆動力を付与する第1電動機52と、第1電動機52に接続されて、第1電動機52に供給される電力を制御する第1ドライバー回路53と、右前輪12aに接続されて、電力の供給に応じて右前輪12aに駆動力を付与する第2電動機54と、第2電動機54に接続されて、第2電動機54に供給される電力を制御する第2ドライバー回路55と、第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に接続されて、第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される電力を貯蔵するバッテリー56とを備える。第1電動機52および第2電動機54には例えば直流(DC)ブラシレスモーターが用いられることができる。第1電動機52および第2電動機54は左前輪12aおよび右前輪12bの車軸に直接に連結されてもよくギア機構を介して間接に連結されてもよい。第1電動機52および第2電動機54にはバッテリー56から個別に電力が供給される。したがって、左前輪12aおよび右前輪12bの駆動力は個別に設定される。
第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55は、発電機として第1電動機52および第2電動機54を機能させる回生回路に切り替わることができる。第1電動機52および第2電動機54ではローターの回転に応じてステーターのコイルで電流が生成される。
第1電動機52では左前輪12aの回転に応じてローターは回転する。ステーターで生成された電流はバッテリー56に供給されバッテリー56に蓄電される。回生回路は起電力の大きさに応じて左前輪12aに作用する負荷(制動力)を増大させる。
第2電動機54では右前輪12bの回転に応じてローターは回転する。ステーターで生成された電流はバッテリー56に供給されバッテリー56に蓄電される。回生回路は起電力の大きさに応じて右前輪12bに作用する負荷(制動力)を増大させる。
電動駆動系51は、さらに、第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に接続されて、第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55の動作を制御するコントローラー57と、左前輪12aの回転速度を検出し、検出した左前輪速をコントローラー57に供給する左前輪速センサー58と、右前輪12bの回転速度を検出し、検出した右前輪速をコントローラー57に供給する右前輪速センサー59と、後輪14の回転速度に基づき車速を検出し、検出した車速をコントローラー57に供給する後輪速センサー61と、クランク19に作用する踏力を検出し、検出した踏力の大きさをコントローラー57に供給する踏力センサー62と、ヘッドパイプ15aに対するハンドルバー26の操舵角を検出し、検出した操舵角をコントローラー57に供給する操舵センサー63と、鉛直方向(重力方向)に対してシートチューブ15cの傾斜角を検出し、検出した傾斜角をコントローラー57に供給する傾斜センサー64と、前輪ブレーキレバー28が操作されるとコントローラー57に検出信号を供給するリミットスイッチ65と、リミットスイッチのオンに応じて経過時間を計時するタイマー66とを備える。
左前輪速センサー58は、例えば、左前輪12aの軸受に取り付けられて、左前輪12aの回転速度を特定する電気信号を出力する。右前輪速センサー59は、例えば、右前輪12bの軸受に取り付けられて、右前輪12bの回転速度を特定する電気信号を出力する。後輪速センサー61は、例えば、後輪14の軸受に取り付けられて、後輪14の回転速度に基づき車速を特定する電気信号を出力する。踏力センサー62は、例えばペダル24に組み込まれてペダル24に作用する踏力(荷重)を特定する電気信号を出力する。操舵センサー63は、例えば、ヘッドパイプ15aに取り付けられて、操舵軸線Sx回りでフロントフォーク25の回転角を特定する電気信号を出力する。傾斜センサー64は、例えば、シートチューブ15cに取り付けられて、平地での直進時に後輪14の軸線Xrに直交する鉛直面に対して左右方向および前後方向に傾斜角を特定する電気信号を出力する。傾斜センサー64には例えばジャイロセンサーが用いられることができる。リミットスイッチ65は、例えばハンドルバー26に取り付けられて、前輪ブレーキレバー28の解放位置からの揺動に応じて閉じて電気信号を出力する。コントローラー57、左前輪速センサー58、右前輪速センサー59、後輪速センサー61、踏力センサー62、操舵センサー63、傾斜センサー64、リミットスイッチ65およびタイマー66にはバッテリー56から動作電力が供給される。
コントローラー57は記憶デバイス57aを含む。記憶デバイス57aには、例えば、踏力に対して電動機の回転数(1分あたり)を割り当てるルックアップテーブルが格納される。ルックアップテーブルには、踏力の大きさごとに、割り当てられた回転数(1分あたり)を実現する電流値が規定される。
走行にあたって乗員は自立する三輪自転車11のサドル16を跨ぐ。乗員は左手で左のグリップ31を握り右手で右のグリップ31を握る。乗員は左右のペダル24にそれぞれ左足および右足を載せる。乗員がペダル24を踏むと、クランク19に乗員の踏力が作用する。回転軸線Xk回りでクランク19は回転する。クランク19の回転は、駆動スプロケット21、チェーン23および従動スプロケット22の働きで後輪14に伝達される。こうして人力の駆動力は後輪14の回転を引き起こす。三輪自転車11は前進する。
コントローラー57のスイッチがオンされると、コントローラー57は記憶デバイス57aに保持されるソフトウェアプログラムに基づき電動アシストの制御を実行する。図4に示されるように、ステップS1でコントローラー57は制動操作の有無を検出する。検出にあたってコントローラー57にはリミットスイッチ65から信号が供給される。前輪ブレーキレバー28の操作が検出されなければ、ステップS2でコントローラー57は走行速度を検出する。検出にあたってコントローラー57には後輪速センサー61から信号が供給される。車両の走行速度が予め決められた速度を超えたか否かが判定される。車両の走行速度が閾値(例えば時速5km)を超えたと判断されると、コントローラー57はステップS3で平地での直進時に後輪14の軸線Xrに直交する鉛直面に対して左右方向にシートチューブ15cの傾斜角を検出する。検出にあたってコントローラー57には傾斜センサー64から信号が供給される。シートチューブ15cの傾斜が予め決められた傾斜角以下であれば、コントローラー57はステップS4で直進制御を実施する。シートチューブ15cの傾斜が予め決められた傾斜角以下のとき、乗員は直進走行を意図すると推定される。コントローラー57は左前輪12aおよび右前輪12bの駆動を制御し三輪自転車11の直進安定性を高める。直進制御の詳細は後述される。
ステップS3で、シートチューブ15cの傾斜 が予め決められた傾斜角を超えたと判断されると、コントローラー57はステップS5で旋回制御を実施する。シートチューブ15cの傾斜が予め決められた傾斜角を超えると、乗員は旋回を意図すると推定される。一般に、乗員は旋回方向に身体を傾け重心を移動させる。したがって、コントローラー57は、左前輪12aおよび右前輪12bの間で旋回時に生じる回転数の差に基づき左前輪12aおよび右前輪12bの駆動を制御する。こうして旋回時に挙動の安定性は高められる。旋回制御の詳細は後述される。
ステップS2で、走行速度が予め決められた速度以下であれば、コントローラー57はステップS6でこぎ出し制御を実施する。こぎ出し時には三輪自転車11の姿勢や挙動が安定しないことから、姿勢や挙動の不安定さに基づき左前輪12aおよび右前輪12bの駆動は制御される。こぎ出し制御の詳細は後述される。
ステップS1で前輪ブレーキレバー28の操作が検出されると、ステップS7でコントローラー57は制動制御を実施する。制動制御では、前輪ブレーキレバー28の操作量に依存せずに左前輪12aおよび右前輪12bに走行速度や路面状況といった条件に応じて制動力が付与される。制動力は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55の働きで発電機として機能する第1電動機52および第2電動機54で生成される。すなわち、第1電動機52および第2電動機54で回生制動が実現される。回生制動の実現にあたってコントローラー57は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55を回生回路に切り替える。制動制御の詳細は後述される。
図5に示されるように、直進制御の実施にあたってコントローラー57はステップV1でハンドルバー26の操舵角を検出する。検出にあたってコントローラー57には操舵センサー63から信号が供給される。操舵角に基づき左前輪12aが内輪であると判断されると、ステップV2でコントローラー57は右前輪12bの駆動力に比べて大きな駆動力を左前輪12aに付与する制御信号を生成する。制御信号の生成にあたってルックアップテーブルから踏力の大きさに応じて第1電動機52に供給される電流値は取得される。取得された電流値に係数(<1)が掛け合わせられることで、第2電動機54に供給される電流値は特定される。傾斜角(または操舵角)が大きいほど、係数は小さい値であればよい。
続くステップV3で制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。第1ドライバー回路53は制御信号に基づき指定される電流値で第1電動機52に電流を供給する。第1電動機52は左前輪12aを駆動する。第2ドライバー回路55は制御信号に基づき指定される電流値で第2電動機54に電流を供給する。第2電動機54は左前輪12bを駆動する。ハンドルバー26が微小角度で左に切られていても、右前輪12b(外輪)に比べて左前輪12a(内輪)に大きな駆動力が付与されることでハンドルバー26は直進方向に戻される。
ステップV1で、操舵角に基づき右前輪12bが内輪であると判断されると、ステップV4でコントローラー57は左前輪12aの駆動力に比べて大きな駆動力を右前輪12bに付与する制御信号を生成する。制御信号の生成にあたってルックアップテーブルから踏力の大きさに応じて第2電動機54に供給される電流値は取得される。取得された電流値に係数(<1)が掛け合わせられることで、第1電動機52に供給される電流値は特定される。
続くステップV3で制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。第1ドライバー回路53は制御信号に基づき指定される電流値で第1電動機52に電流を供給する。第1電動機52は左前輪12aを駆動する。第2ドライバー回路55は制御信号に基づき指定される電流値で第2電動機54に電流を供給する。第2電動機54は左前輪12bを駆動する。ハンドルバー26が微小角度で右に切られていても、左前輪12a(外輪)に比べて右前輪12b(内輪)に大きな駆動力が付与されることでハンドルバー26は直進方向に戻される。
前述のように、シートチューブ15cの傾斜が予め決められた値以下のとき、乗員は直進走行を意図すると推定される。このとき、ハンドルバー26の操舵が検出されると、外輪に比べて内輪に大きな駆動力が付与されることでハンドルバー26は直進方向に戻される。こうして直進安定性は高められる。一般に、直進走行時には、二輪車の乗員は左右方向の重心のずれをハンドルの操舵で補う。こうしたハンドルバー26の操舵が第1電動機52および第2電動機54の働きで支援されることで直進安定性は高められる。走行時の挙動の安定性は高められる。
図6に示されるように、旋回制御が実行されると、コントローラー57はステップW1でハンドルバー26の操舵角を検出する。検出にあたってコントローラー57には操舵センサー63から信号が供給される。操舵角に基づき左前輪12aが内輪であると判断されると、ステップW2でコントローラー57は左前輪12aの駆動力に比べて大きな駆動力を右前輪12bに付与する制御信号を生成する。制御信号の生成にあたってルックアップテーブルから踏力の大きさに応じて第2電動機54に供給される電流値は取得される。取得された電流値に係数(<1)が掛け合わせられることで、第1電動機52に供給される電流値は特定される。傾斜角(または操舵角)が大きいほど、係数は小さい値であればよい。
続くステップW3で制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。第1ドライバー回路53は制御信号に基づき指定される電流値で第1電動機52に電流を供給する。第1電動機52は左前輪12aを駆動する。第2ドライバー回路55は制御信号に基づき指定される電流値で第2電動機54に電流を供給する。第2電動機54は左前輪12bを駆動する。左前輪12a(内輪)に比べて右前輪12b(外輪)に大きな駆動力が付与されることで、旋回時に内輪および外輪に意図的に回転数の差が生成される。
ステップW1で、操舵角に基づき左前輪12aが外輪であると判断されると、ステップW4でコントローラー57は右前輪12bの駆動力に比べて大きな駆動力を左前輪12aに付与する制御信号を生成する。制御信号の生成にあたってルックアップテーブルから踏力の大きさに応じて第1電動機52に供給される電流値は取得される。取得された電流値に係数(<1)が掛け合わせられることで、第2電動機54に供給される電流値は特定される。
続くステップW3で制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。第1ドライバー回路53は制御信号に基づき指定される電流値で第1電動機52に電流を供給する。第1電動機52は左前輪12aを駆動する。第2ドライバー回路55は制御信号に基づき指定される電流値で第2電動機54に電流を供給する。第2電動機54は左前輪12bを駆動する。右前輪12b(内輪)に比べて左前輪12a(外輪)に大きな駆動力が付与されることで、旋回時に内輪および外輪に意図的に回転数の差が生成される。
前述のように、シートチューブ15cの傾斜が予め決められた値を超えると、乗員は旋回を意図すると推定される。一般に、乗員は旋回方向に身体を傾け重心を移動させる。このとき、ハンドルバー26の操舵角が検出されると、内輪に比べて外輪に大きな駆動力が付与されることで、旋回時に内輪および外輪に意図的に回転数の差が生成されることができる。車両はスムースに旋回することができる。旋回時に挙動の安定性は高められることができる。良好な操舵性は実現されることができる。直進走行時と旋回時とで内輪および外輪の間で駆動力の大小関係が切り替わることで、走行時の挙動の安定性は良好に高められることができる。
ここで、一般に、乗員は旋回方向に身体を傾け重心を移動させる。旋回の曲率が大きいほど、重心の移動距離は大きくなる。重心の移動距離が大きくなれば、シートチューブ15cの傾斜は大きくなる。したがって、シートチューブ15cの傾斜に合わせて内輪と外輪との間で駆動力差が大きくなれば、車両は旋回の曲率に合わせてスムースに旋回することができる。旋回時に挙動の安定性は高められることができる。走行時の挙動の安定性は高められることができる。
図7に示されるように、こぎ出し制御が実行されると、ステップR1でコントローラー57は左前輪12aの回転速度および右前輪12bの回転速度を検出する。検出にあたってコントローラー57には左前輪速センサー58および右前輪速センサー59から信号が供給される。左前輪12aの回転速度が右前輪12bの回転速度よりも小さければ、ステップR2でコントローラー57は左前輪12aの回転速度に基づき制御信号を生成する。制御信号では踏力(人力)の大きさに応じて第1電動機52および第2電動機54に共通に供給される電流値が特定される。
続くステップR3で制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。第1ドライバー回路53は制御信号に基づき指定される電流値で第1電動機52に電流を供給する。第1電動機52は左前輪12aを駆動する。第2ドライバー回路55は制御信号に基づき指定される電流値で第2電動機54に電流を供給する。第2電動機54は左前輪12bを駆動する。
左前輪12aの回転速度が右前輪12bの回転速度以上であれば、ステップR4でコントローラー57は右前輪12bの回転速度に基づき制御信号を生成する。制御信号では踏力(人力)の大きさに応じて第1電動機52および第2電動機54に共通に供給される電流値が特定される。
続くステップR3で制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。第1ドライバー回路53は制御信号に基づき指定される電流値で第1電動機52に電流を供給する。第1電動機52は左前輪12aを駆動する。第2ドライバー回路55は制御信号に基づき指定される電流値で第2電動機54に電流を供給する。第2電動機54は左前輪12bを駆動する。
静止状態からこぎ出し始めたとき、前進方向に慣性力が十分に高まっていないことから、左右方向に重心がずれることで三輪自転車11には左右方向にふらつく力が作用する。このとき、シートチューブ15cの傾斜に合わせて第1電動機52および第2電動機54が個別に制御されても、そうした制御は姿勢の安定化に寄与しない。無駄に電力が消費されてしまう。左前輪12aおよび右前輪12bで共通に1回転速度が設定されると、制御の無駄は省かれ、消費電力は節制されることができる。
図8に示されるように、制動制御の実行にあたってコントローラー57はステップQ1で左前輪12aおよび右前輪12bの回転速度差を検出する。検出にあたってコントローラー57には左前輪速センサー58および右前輪速センサー59から信号が供給される。コントローラー57は2つの信号に基づき回転速度差を算出する。左前輪12aおよび右前輪12bの回転速度差が予め決められた値を超えると、コントローラー57は左前輪12aまたは右前輪12bの空転すなわちスリップ状態を判定する。大きい回転数(1分あたり)を有する車輪はスリップ状態にあると推定される。
左前輪12aおよび右前輪12bの回転速度差が予め決められた値以下であれば、ステップQ2でコントローラー57は下り坂か否かを判断する。判断にあたってコントローラー57には傾斜センサー64から信号が供給される。信号では車体の前後方向にシートチューブ15cのピッチ角が特定される。ピッチ角は後ろ回りに測定される。したがって、ピッチ角の数値は上り坂でプラス(+)値を示し下り坂でマイナス(−)値を示す。
ピッチ角がマイナス値でなければ、コントローラー57はステップQ3で第1電動機52および第2電動機54で左前輪12aおよび右前輪12bに対して第1制動力の初期制動を発揮させる制御信号を生成する。制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。コントローラー57は予め決められた時間にわたって初期制動を持続する。持続時間の計測にあたってタイマー66が用いられる。初期制動の持続時間は速度の大きさに応じて増大すればよい。
初期制動の持続時間が経過すると、ステップQ4でコントローラー57は第1電動機52および第2電動機54で第1制動力よりも小さい第2制動力の二次制動を発揮させる制御信号を生成する。制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。二次制動は前輪ブレーキレバー28の解放まで維持される。こうして、乗員が意識しなくても、前輪ブレーキレバー28の操作に応じて強い制動が左前輪12aおよび右前輪12bに作用し、続いて弱い制動が左前輪12aおよび右前輪12bに作用する。前輪ブレーキレバー28の操作量に依存せずに、第1電動機52および第2電動機54の回生制動は強い制動から弱い制動にシフトする。強い制動から弱い制動へのシフトに応じて制動時の衝撃は和らげられる。乗員の感覚に頼らずにできるだけ安定した制動は実現される。三輪自転車11の乗り心地は向上する。
ステップQ2で下り坂が検出されると、コントローラー57はステップQ5で前向き荷重の大きさを検出する。検出にあたってコントローラー57には傾斜センサー64から信号が供給される。信号では例えば重心の加速度が特定される。前向きの荷重が予め決められた値を超えると、ステップQ6でコントローラー57は第1電動機52および第2電動機54に断続的な制動を発揮させる制御信号を生成する。制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。左前輪12aおよび右前輪12bには間欠的に制動力が加えられる。断続的な制動では継続的な制動に比べて左前輪12aおよび右前輪12bの制動は弱められることから、前向きに大きな荷重が作用しても後輪14の浮き上がりは防止される。下り坂で後輪の浮き上がりは防止される。こうして乗員の感覚に頼らずにできるだけ安定した制動は実現されることができる。三輪自転車の乗り心地は向上する。
ステップQ5で、前向きの荷重が予め決められた値以下に収まると、ステップQ7でコントローラー57は第1電動機52および第2電動機54に継続的な制動を発揮させる制御信号を生成する。制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。左前輪12aおよび右前輪12bには持続的に制動力が加えられる。前向きの荷重が予め決められた値以下になると、第1電動機52および第2電動機54では断続的な制動は継続的な制動に切り替えられる。前向きの荷重は予め決められた荷重以下なので、左前輪12aおよび右前輪12bで制動が強められても後輪14の浮き上がりは防止されることができる。断続的な制動が継続する場合に比べて制動距離は短縮されることができる。こうして乗員の感覚に頼らずにさらに安定した制動は実現されることができる。
ステップQ1で左前輪12aおよび右前輪12bの回転速度差が予め決められた値を超えると、コントローラー57は一方の前輪の空転(スリップ状態)を認識する。このとき、コントローラー57はステップQ8で予め決められた回転差の最小値に回転速度差を照らし合わせる。回転速度差が予め決められた最小値よりも大きいと、コントローラー57はステップQ9で第1電動機52および第2電動機54で断続的な制動を発揮させる制御信号を生成する。制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。左前輪12aおよび右前輪12bには間欠的に制動力が加えられる。断続的な制動では継続的な制動に比べて左前輪12aおよび右前輪12bの制動は弱められることから、左前輪12aおよび右前輪12bのロックは防止されることができる。左前輪12aおよび右前輪12bでは路面に対して良好なグリップ力は確保されることができる。こうして乗員の感覚に頼らずにできるだけ安定した制動は実現されることができる。三輪自転車の挙動は安定化する。制動時に左前輪12aおよび右前輪12bの片輪だけにグリップ力が確保されると、挙動の不安定化を招きやすい。
左前輪12aおよび右前輪12bの回転速度差が予め決められた値以下に収まると、コントローラー57は空転(スリップ状態)の解消を認識する。ステップQ10でコントローラー57は第1電動機52および第2電動機54で継続的な制動を発揮させる制御信号を生成する。制御信号は第1ドライバー回路53および第2ドライバー回路55に供給される。左前輪12aおよび右前輪12bには持続的に制動力が加えられる。前向きの荷重が予め決められた値以下になると、第1電動機52および第2電動機54では断続的な制動は継続的な制動に切り替えられる。前向きの荷重は予め決められた荷重以下なので、左前輪12aおよび右前輪12bで制動が強められても左前輪12aおよび右前輪12bで良好なグリップは確保されることができる。断続的な制動が継続する場合に比べて制動距離は短縮されることができる。こうして乗員の感覚に頼らずにさらに安定した制動は実現されることができる。
本実施形態では、フレーム15は、上下方向に個別に変位自在に左前輪12aおよび右前輪12bを支持する。地面からの反力に応じて左前輪12aおよび右前輪12bは個別に車体上下方向に変位することができる。左前輪12aおよび右前輪12bの駆動力が相違することで左前輪12aまたは右前輪12bの変位は引き起こされることができる。こうして車体の姿勢はさらに安定化することができる。
本実施形態に係るフレーム15は、平地での直進時に軸線Xffに直交し左前輪12aと地面との接地点を通る第1仮想鉛直面Vfと、平地での直進時に軸線Xfsに直交し右前輪12bと地面との接地点を通る第2仮想鉛直面Vsとで挟まれる空間から外側に乗員の重心の移動を許容する構造を有する。乗員の重心の移動範囲に対して左前輪12aおよび右前輪12bの間隔が狭まることから、三輪自転車11は一般の二輪自転車に近い意匠を確保することができる。こうして三輪自転車11の意匠性は高められることができる。
以上の実施形態では、前述のリミットスイッチ65に加えて、後輪ブレーキレバー27が操作されるとコントローラー57に検出信号を供給するリミットスイッチが電動駆動系51に追加されてもよい。このとき、コントローラー57は、前輪ブレーキレバー28の操作に応じて制動制御を実施するだけでなく、後輪ブレーキレバー27の操作に応じて制動制御を実施してもよい。
図9は第2実施形態に係る電動駆動系71の構成を概略的に示す。この電動駆動系71は、前述の電動駆動系51の構成に加えて、後輪14に接続されて、後輪14から駆動力を受け取る発電電動機72と、発電電動機72に接続されて、発電機として発電電動機72を機能させる回生ブレーキ回路73とをさらに備える。ここでは、電動駆動系71に、後輪ブレーキレバー27が操作されるとコントローラー57に検出信号を供給するリミットスイッチ74が追加される。
発電電動機72は後輪14の制動を補助する。ただし、発電電動機72は後輪14に対して駆動力を付与しない。発電電動機72の制動力が作用することで、走行速度や路面状況に応じて、前後の制動力は最適な比率に調整されることができる。
11…電動三輪車(電動アシスト三輪自転車)、12a…左輪(左前輪)、12b…右輪(右前輪)、15…フレーム、26…ハンドル(ハンドルバー)、27…ブレーキレバー(後輪ブレーキレバー)、28…ブレーキレバー(前輪ブレーキレバー)、52…第1電動機、54…第2電動機、57…コントローラー、63…操舵センサー、64…傾斜センサー、Vf…第1仮想鉛直面、Vs…第2仮想鉛直面、Xff…第1軸線(左前輪の軸線)、Xfs…第2軸線(右前輪の軸線)。

Claims (6)

  1. 第1軸線回りに回転自在にフレームに支持される左輪と、
    前記左輪に並んで第2軸線回りに回転自在に前記フレームに支持される右輪と、
    電力の供給に応じて前記第1軸線回りに前記左輪に駆動力を付与し、発電時に前記左輪に制動力を付与する第1電動機と、
    電力の供給に応じて前記第2軸線回りに前記右輪に駆動力を付与し、発電時に前記右輪に制動力を付与する第2電動機と、
    ブレーキレバーの操作が検出された際に、前記左輪および前記右輪の回転速度差が予め決められた値を超えていると、前記第1電動機および前記第2電動機から前記左輪および前記右輪に対して断続的に制動力を作用する制御信号を生成するコントローラーと
    を備えることを特徴とする電動三輪車。
  2. 請求項1に記載の電動三輪車において、前記コントローラーは、断続的に制動力を作用する制御信号を生成した後に、前記回転速度差が予め決められた値以下になると、前記第1電動機および前記第2電動機で前記左輪および前記右輪に対し継続的に制動力を作用する制御信号を生成することを特徴とする電動三前輪車。
  3. 請求項1または2に記載の電動三輪車において、
    前記フレームに回転自在に支持されて、乗員に操作されて、前記左輪および前記右輪を含む車輪のいずれか1以上の向きを変えるハンドルと、
    前記ハンドルの操舵角を検出する操舵センサーと、
    重力の向きに対して車体の左右方向に前記フレームの傾斜を検出する傾斜センサーとを備え、
    前記コントローラーは、前記傾斜が予め決められた値を超えるとき、前記ハンドルの操舵角に応じ内輪の駆動力に比べて大きな駆動力を外輪に付与する制御信号を生成することを特徴とする電動三輪車。
  4. 請求項3に記載の電動三輪車において、前記コントローラーは、前記傾斜が予め決められた値以下のとき、前記ハンドルの操舵角に応じ外輪の駆動力に比べて大きな駆動力を内輪に付与する制御信号を生成することを特徴とする電動三輪車。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動三輪車において、前記フレームは、上下方向に個別に変位自在に前記左輪および前記右輪を支持することを特徴とする電動三輪車。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動三輪車において、前記フレームは、平地での直進時に前記軸線に直交し前記左輪と地面との接地点を通る第1仮想鉛直面と、平地での直進時に前記軸線に直交し前記右輪と前記地面との接地点を通る第2仮想鉛直面とで挟まれる空間から外側に乗員の重心の移動を許容する構造を有することを特徴とする電動三輪車。
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