JP2020195194A - 電力変換装置および電力変換装置のデバイス状態監視方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インバータの全デバイスについて同時にサンプルしたオン電圧およびオン電流の組の時系列データを蓄積して、温度推定や劣化診断に有用とする。【解決手段】三相のインバータの各デバイス10U〜10Zの電圧を検出した電圧検出データおよび交流各相の電流を検出した電流検出データをA/D変換部34に取り込み、キャリア信号の上頂点および下頂点に同期して各相毎の電圧検出データおよび電流検出データを同時にサンプリングし、前記サンプリングされた電圧検出データおよび電流検出データが、前記インバータのいずれのデバイスのデータであるのか、およびIGBT(11U〜11Z)のデータであるのか又は還流ダイオード(12U〜12Z)のデータであるのかを判定し、インバータの全デバイスの、オン電圧とオン電流の組からなる時系列データを出力し、それら時系列データをデータ蓄積部に蓄積して、デバイスの劣化診断、温度推定を行う。【選択図】 図1
Description
本発明は、インバータなどの電力変換装置に関し、例えば電力変換装置を構成する半導体電力素子の温度推定や劣化診断を行うためのデバイス状態監視方法に関する。
従来、電力変換装置の半導体電力素子の故障を検出する装置は、例えば特許文献1に記載のものが提案されていた。特許文献1の、例えば実施の形態4(段落「0097」〜「0120」)には、大きさが予め決められた基準電流に一致したタイミングで、半導体電力素子のオン電圧をサンプリングし、そのサンプリング電圧と基準電圧とを比較することで故障を検出する装置が記載されている。
特許文献1の故障検出装置では、特定の素子のオン電圧が限界値を超えた瞬間の故障を検出するのみであり、劣化の傾向はつかめない。また、素子オン電圧が、温度に依存しない基準電流だけでサンプルするので、サンプルしたデータを故障検出だけにしか用いることができない。
またPWM(Pulse Width Modulation)制御されるインバータにおいては、スイッチングしたタイミングで電流が基準電流に一致すると、検出された電圧は大きなスイッチングノイズを含んでしまったり、完全に立ち上がって飽和していなかったりする。
また、基準電流を診断対象の素子について求めて装置に設定する、キャリブレーションの作業が必要になる。
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、電力変換装置のデバイスの温度推定や劣化診断に有用である、全デバイスについて同時にサンプルしたオン電圧、オン電流の組からなる時系列データを蓄積することができる電力変換装置および電力変換装置のデバイス状態監視方法を提供することにある。
上記課題を解決するための請求項1に記載の電力変換装置は、
電圧指令信号およびキャリア信号に基づいて生成されたゲート指令信号によって制御される半導体電力素子と還流ダイオードを逆並列接続したデバイスを、直流電圧源の正、負極端間にブリッジ接続して構成された電力変換装置において、
前記各デバイスの電圧を検出する電圧検出部と、
前記電力変換装置の交流各相の電流を検出する電流検出部と、
前記電圧検出部および電流検出部の各電圧検出データおよび電流検出データを入力とし、前記キャリア信号の上頂点および下頂点に同期して各相毎の電圧検出データおよび電流検出データを同時にサンプリングするデータサンプリング部と、
前記キャリア信号の上頂点、下頂点および前記電流検出データの極性から、前記サンプリングされた電圧検出データおよび電流検出データが、前記電力変換装置のいずれのデバイスのデータであるのか、および半導体電力素子のデータであるのか又は還流ダイオードのデータであるのかを判定し、電力変換装置の全デバイスの、オン電圧およびオン電流の組からなる時系列データを出力する判定部と、
前記判定部から出力される時系列データを蓄積するデータ蓄積部と、を備えたことを特徴とする。
電圧指令信号およびキャリア信号に基づいて生成されたゲート指令信号によって制御される半導体電力素子と還流ダイオードを逆並列接続したデバイスを、直流電圧源の正、負極端間にブリッジ接続して構成された電力変換装置において、
前記各デバイスの電圧を検出する電圧検出部と、
前記電力変換装置の交流各相の電流を検出する電流検出部と、
前記電圧検出部および電流検出部の各電圧検出データおよび電流検出データを入力とし、前記キャリア信号の上頂点および下頂点に同期して各相毎の電圧検出データおよび電流検出データを同時にサンプリングするデータサンプリング部と、
前記キャリア信号の上頂点、下頂点および前記電流検出データの極性から、前記サンプリングされた電圧検出データおよび電流検出データが、前記電力変換装置のいずれのデバイスのデータであるのか、および半導体電力素子のデータであるのか又は還流ダイオードのデータであるのかを判定し、電力変換装置の全デバイスの、オン電圧およびオン電流の組からなる時系列データを出力する判定部と、
前記判定部から出力される時系列データを蓄積するデータ蓄積部と、を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の電力変換装置は、請求項1において、
前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の低い領域のデータの分布状態から、前記各デバイスの劣化状況を監視するデバイス状態監視部を備えたことを特徴とする。
前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の低い領域のデータの分布状態から、前記各デバイスの劣化状況を監視するデバイス状態監視部を備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の電力変換装置は、請求項2において、
前記デバイス状態監視部は、前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の高い領域のデータの分布状態から、前記各半導体電力素子の温度を監視することを特徴とする。
前記デバイス状態監視部は、前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の高い領域のデータの分布状態から、前記各半導体電力素子の温度を監視することを特徴とする。
請求項4に記載の電力変換装置は、請求項3において、
前記デバイス状態監視部は、予め、温度毎の前記半導体電力素子のコレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧を計測して作成した、温度対コレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧のルックアップテーブルを参照して、各半導体電力素子の温度を求めることを特徴とする。
前記デバイス状態監視部は、予め、温度毎の前記半導体電力素子のコレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧を計測して作成した、温度対コレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧のルックアップテーブルを参照して、各半導体電力素子の温度を求めることを特徴とする。
請求項5に記載の電力変換装置のデバイス状態監視方法は、
電圧指令信号およびキャリア信号に基づいて生成されたゲート指令信号によって制御される半導体電力素子と還流ダイオードを逆並列接続したデバイスを、直流電圧源の正、負極端間にブリッジ接続して構成された電力変換装置のデバイス状態監視方法であって、
前記各デバイスの電圧を検出した電圧検出データおよび電力変換装置の交流各相の電流を検出した電流検出データを取り込み、前記キャリア信号の上頂点および下頂点に同期して各相毎の電圧検出データおよび電流検出データを同時にサンプリングするデータサンプリングステップと、
前記キャリア信号の上頂点、下頂点および前記電流検出データの極性から、前記サンプリングされた電圧検出データおよび電流検出データが、前記電力変換装置のいずれのデバイスのデータであるのか、および半導体電力素子のデータであるのか又は還流ダイオードのデータであるのかを判定し、電力変換装置の全デバイスの、オン電圧およびオン電流の組からなる時系列データを出力する判定ステップと、
前記判定ステップにより出力された時系列データをデータ蓄積部に蓄積するステップと、
前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の低い領域のデータの分布状態から、前記各デバイスの劣化状況を監視するデバイス状態監視ステップと、を備えたことを特徴とする。
電圧指令信号およびキャリア信号に基づいて生成されたゲート指令信号によって制御される半導体電力素子と還流ダイオードを逆並列接続したデバイスを、直流電圧源の正、負極端間にブリッジ接続して構成された電力変換装置のデバイス状態監視方法であって、
前記各デバイスの電圧を検出した電圧検出データおよび電力変換装置の交流各相の電流を検出した電流検出データを取り込み、前記キャリア信号の上頂点および下頂点に同期して各相毎の電圧検出データおよび電流検出データを同時にサンプリングするデータサンプリングステップと、
前記キャリア信号の上頂点、下頂点および前記電流検出データの極性から、前記サンプリングされた電圧検出データおよび電流検出データが、前記電力変換装置のいずれのデバイスのデータであるのか、および半導体電力素子のデータであるのか又は還流ダイオードのデータであるのかを判定し、電力変換装置の全デバイスの、オン電圧およびオン電流の組からなる時系列データを出力する判定ステップと、
前記判定ステップにより出力された時系列データをデータ蓄積部に蓄積するステップと、
前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の低い領域のデータの分布状態から、前記各デバイスの劣化状況を監視するデバイス状態監視ステップと、を備えたことを特徴とする。
請求項6に記載の電力変換装置のデバイス状態監視方法は、請求項5において、
前記デバイス状態監視ステップは、前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の高い領域のデータの分布状態から、前記各半導体電力素子の温度を監視するステップを有していることを特徴とする。
前記デバイス状態監視ステップは、前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の高い領域のデータの分布状態から、前記各半導体電力素子の温度を監視するステップを有していることを特徴とする。
請求項7に記載の電力変換装置のデバイス状態監視方法は、請求項6において、
前記デバイス状態監視ステップは、予め、温度毎の前記半導体電力素子のコレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧を計測して作成した、温度対コレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧のルックアップテーブルを参照して、各半導体電力素子の温度を求めることを特徴とする。
前記デバイス状態監視ステップは、予め、温度毎の前記半導体電力素子のコレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧を計測して作成した、温度対コレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧のルックアップテーブルを参照して、各半導体電力素子の温度を求めることを特徴とする。
(1)請求項1〜7に記載の発明によれば、電力変換装置のデバイスの温度推定や劣化診断に有用である、全デバイスについて同時にサンプリングしたオン電圧およびオン電流を組とした時系列データを蓄積することができる。
また、キャリア信号の上頂点(山)、下頂点(谷)に同期してサンプリングしているので、サンプル点は必ず電圧パルスの中央となり、これによって従来技術のように、スイッチングタイミングと検出タイミングがぶつかってスイッチングノイズの影響を受けたり、電圧が完全に飽和する前のデータを検出してしまう事態には陥らない。
(2)請求項2、5に記載の発明によれば、電力変換装置の各デバイスの劣化状況を監視することができる。また、長期間サンプルし、蓄積したデータの分布変化に基いてデバイスの劣化を診断することができ、従来技術のように、故障の瞬間を検出するだけでなく、徐々に劣化していく傾向を見ることができる。また、長期間サンプルしたデータの分布変化を見ることによって、瞬間のノイズに影響されることがない。
(2)請求項2、5に記載の発明によれば、電力変換装置の各デバイスの劣化状況を監視することができる。また、長期間サンプルし、蓄積したデータの分布変化に基いてデバイスの劣化を診断することができ、従来技術のように、故障の瞬間を検出するだけでなく、徐々に劣化していく傾向を見ることができる。また、長期間サンプルしたデータの分布変化を見ることによって、瞬間のノイズに影響されることがない。
また、従来技術のように、予め素子毎に、オン電圧が温度変化しない基準電流を求めるキャリブレーション作業が不要である。
(3)請求項3、4、6、7に記載の発明によれば、半導体電力素子のオン電圧が温度依存する領域のデータもサンプリングしているので、素子の温度変化もモニタリングすることができる。
(3)請求項3、4、6、7に記載の発明によれば、半導体電力素子のオン電圧が温度依存する領域のデータもサンプリングしているので、素子の温度変化もモニタリングすることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
図1に、本実施形態例における三相電力変換装置の全体構成を示す。図1において、10U〜10Zは、図示省略の直流電圧源(50)の正、負極端間に三相ブリッジ接続されて、インバータの主回路を構成するU,V,W相のデバイスである。10U,10V,10WはU,V,W相の上アームのデバイスを構成し、10X,10Y,10ZはU,V,W相の下アームのデバイスを構成している。
各デバイス10U〜10Zは、半導体電力素子、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)11U〜11Zと還流ダイオード(Free Wheel Diode;FWD)12U〜12Zを各々逆並列接続して構成されている。
21U〜21Zは、デバイス10U〜10Zの各両端電圧を検出するデバイス電圧検出回路である。尚、デバイス電圧検出回路21U〜21Zは、後述する図4の電圧波形のように、最大値を制限した電圧を出力する機能を有している。
22U〜22Wは、インバータの三相交流出力電流を検出する電流センサである。
前記IGBT11U〜11Zは、インバータ制御器30のゲート指令部33から出力されるU,V,W相の各ゲート指令信号(PWM制御によるゲート信号)によってON,OFFが制御される。
デバイス電圧検出回路21U〜21Zにより各々検出された検出電圧(電圧検出データ)および電流センサ22U〜22Wにより各々検出された検出電流(電流検出データ)は、インバータ制御器30のA/D変換部34に入力される。
図2は、図1のU相の構成を取り出し、各部の電圧、電流を図示したものである。図2において、50は、U相の上アームのデバイス10Uおよび下アームのデバイス10Xの直列体の両端間に接続された、例えばコンデンサからなる直流電圧源であり、その電圧をVdcとする。
デバイス10Uの電圧Vu,デバイス10Xの電圧Vx、U相の電流Iuは、デバイスU電圧検出回路21U、デバイスX電圧検出回路21X、U相電流センサ22Uによって、Vudet,Vxdet,Iudetに各々変換されてインバータ制御器30のA/D変換部34に入力される。図1のV相、W相についても図2と同様に構成されている。
インバータ制御器30は、本発明のデータサンプリング部、判定部、データ蓄積部、デバイス状態監視部の各機能を有しており、図3のように構成されている。
図3は、インバータ制御器のU相部分を示しているが、V相、W相についても同様に構成されている。図3において、ゲート指令部33は、電圧指令生成部31で生成された電圧指令とキャリア生成部32で生成されたキャリア信号を比較してゲート指令信号を生成する。
キャリア生成部32のキャリア信号はA/D変換部34にも入力され、A/D変換部34は、キャリア信号の上頂点(キャリアの山)および下頂点(キャリアの谷)に同期して、入力された電圧検出データ(デバイス10Uの電圧データVu、デバイス10Xの電圧データVx)および電流検出データ(U相の電流データIu)を同時にサンプリングし、出力する。
35は、キャリア生成部32で生成されたキャリア信号とA/D変換部34から出力されるVu,Vx,Iuのデータが入力され、以下の判定を行う判定部である。
すなわち、キャリア信号の上頂点、下頂点と電流検出データ(Iu)の極性から、サンプリングされた電圧、電流の検出データ(Vu,Vx,Iu)が、図1のインバータのブリッジ接続の上アーム側デバイス(10U)、又は下アーム側デバイス(10X)のデータであるか、およびIGBT11側のデータであるか又は還流ダイオード12側のデータであるかを判定し、全デバイスの、オン電圧およびオン電流の組からなる時系列データを出力する。
36は、判定部35から出力されるオン電圧およびオン電流の組からなる時系列データを蓄積するデータ蓄積部である。
より具体的には、前記判定部35は、A/D変換部34から入力されたVu,Vx,Iuのデータが、IGBTのオン電圧Vce(コレクタ−エミッタ間電圧)とオン電流Ic(コレクタ電流)なのか、還流ダイオード(FWD)のオン電圧Vfとオン電流Ifなのかを判定し、デバイス10UのIGBT11Uのオン電圧Vce_uおよびオン電流Ic_uの組のデータと、デバイス10Uの還流ダイオード12Uのオン電圧Vf_uおよびオン電流If_uの組のデータと、デバイス10XのIGBT11Xのオン電圧Vce_xおよびオン電流Ic_xの組のデータと、デバイス10Xの還流ダイオード12Xのオン電圧Vf_xおよびオン電流If_xの組のデータと、を出力する。
そしてデータ蓄積部36には、IGBT11U(IGBTU)のオン電圧およびオン電流の組のデータVce_u1,Ic_u1…Vce_uN,Ic_uNが時系列順に蓄積され、還流ダイオード12U(FWDU)のオン電圧およびオン電流の組のデータVf_u1,If_u1…Vf_uN,If_uNが時系列順に蓄積され、IGBT11X(IGBTX)のオン電圧およびオン電流の組のデータVce_x1,Ic_x1…Vce_xN,Ic_xNが時系列順に蓄積され、還流ダイオード12X(FWDX)のオン電圧およびオン電流の組のデータVf_x1,If_x1…Vf_xN,If_xNが時系列順に蓄積される。
37は、データ蓄積部36のデータに基づいて前記各デバイスの温度推定や劣化診断を行うデバイス状態監視部である。尚このデバイス状態監視部37は、インバータ制御器30の外部に設けられてもよい。
図4に、上記電力変換装置の動作時の、U相のA/D変換のタイミングと各部の信号の例を示す。
インバータ制御器30は、電圧指令生成部31のU相電圧指令とキャリア生成部32で生成された三角波のキャリアとを比較してU相ゲート指令(IGBT11Uのゲート指令)、X相ゲート指令(IGBT11Xのゲート指令)を生成し、IGBTのON,OFF状態を決めている。
デバイスU電圧(デバイス10Uの電圧)Vuと、デバイスU電圧検出回路(21U)の出力電圧Vudetは、デバイス10UがONの間は同じ値になる。
デバイス10UがOFFの間、デバイスU電圧Vuは直流電圧源50の電圧Vdcに近い電圧となるが、検出電圧Vudetは適当な値Vudetmaxに制限される。これらはU相の下アームのデバイス10Xについても同様である。
前記検出電圧Vudet,Vxdetおよび検出電流Iudetは、キャリア信号の上頂点、下頂点、つまりpwm同期信号(キャリア山)とpwm同期信号(キャリア谷)のタイミングで同時にサンプルされる。このサンプルタイミングは図中の「×印」で示している。
このように、A/D変換部34におけるキャリア信号によるサンプリング段階では、ゲート指令のONとOFF両方のデータがサンプルされている。
次に、判定部35の動作を、判定基準を示す図5とともに説明する。判定は、U相の電流データIuの極性(Iu>0かIu<0)とサンプルされたタイミングがキャリア信号の上頂点(キャリア山)かキャリア信号の下頂点(キャリア谷)かの2つの基準で判定される。
デバイス(10U)検出判定は次のように行う。まず、キャリア山ではU側は導通しておらず、オン電圧、オン電流の情報は無いので捨てる。
キャリア谷且つIu>0の条件ではIGBT(11U)が導通しているので、サンプルされた[Vu,Iu]は[Vce_u,Ic_u]と判定される。
キャリア谷且つIu<0の条件では還流ダイオード12Uが導通しているので、サンプルされた[Vu,Iu]は[Vf_u,If_u]と判定される。
図5の表右側のデバイスX(10X)検出判定も同様に行われる。また、V相のデバイス10V,10YおよびW相のデバイス10W,10Zの検出判定も図5と同様に行われる。
次に、デバイス状態監視部37の動作を説明する。図6は、データ蓄積部36に蓄積されたIGBTオン電圧と電流のデータ[Vce,Ic]の例を示している。データシートから得られる素子ジャンクション温度Tj=25℃のときのVce−Ic曲線とTj=150℃のときのVce−Ic曲線も図示してある。
インバータを素子温度25℃〜150℃の範囲で交流で動作させるとサンプル点のようなデータが得られる。25℃と150℃のVce−Ic曲線が近くなる領域はVceの温度依存性が低いため素子劣化モニタリング領域となるので、この領域にて素子劣化状況を監視する。逆に25℃と150℃のVce−Ic曲線が遠くなる領域はVceの温度依存性が高いため素子温度モニタリング領域となるので、この領域にて素子温度を監視する。
図7はサンプルを二次元の度数分布で表したものである。交流で動作させると温度依存性の低い点は温度にかかわらず通るので度数が高くなる。素子の磨耗劣化に従って全ての温度に関してVceが移動するので、長期的に分布の変化を見ることで素子の磨耗劣化傾向を可視化できる。還流ダイオード(12U〜12Z)についても同様である。
図8にIGBTの温度モニタリングの方法を示す。ある電流Icでのオン電圧Vceは素子の温度Tjに依存する。したがって[Vce,Ic]のデータから予め求めた、例えば図8に示す二次元ルックアップテーブルTj=tbl(Vce,Ic)を使って素子の温度を求めることができる。図8の[Tj,Vce,Ic]ルックアップテーブルは例えば恒温槽で温度を制御しながらVce,Icを計測することで作成できる。
したがってデバイス状態監視部37は、予め、温度毎のIGBTのコレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧を計測して作成した、温度対コレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧のルックアップテーブル(例えば図8)を参照して、各IGBTの温度を求めるものである。
以上のように本実施形態例によれば、次のような効果が得られる。
(1)素子の電圧をキャリア信号に同期して電流と同時にサンプルすることで、キャリア山谷と電流極性からサンプルされたデータがその相の上アーム側素子なのか下アーム側素子なのか、IGBTの[Vce,Ic]なのか還流ダイオードの[Vf,If]なのかを判別することができるため、インバータの全素子について同時にサンプルされた[オン電圧、オン電流]の組からなる時系列のデータセットを蓄積することができる。
(2)キャリア山谷のタイミングでオン電圧をサンプルしているので、サンプル点は必ずパルスの中央となるので、電流をトリガとしてオン電圧をサンプルする従来技術のように、スイッチングタイミングと検出タイミングがぶつかってスイッチングノイズの影響を受けたり、電圧が完全に飽和する前のデータを検出したりするということがない。
(3)素子劣化診断については、長期間サンプルされた[オン電圧、オン電流]データの分布の変化から診断することができるため、従来技術のように故障の瞬間を検出するだけでなく、徐々に劣化していく傾向を見ることができる。また、従来技術のように、予め素子毎にオン電圧が温度変化しない基準電流を求めるキャリブレーション作業が不要である。また、長期間の分布変化を見るので、瞬間のノイズには影響されない。
(4)オン電圧が温度依存する領域のデータもサンプルするので、素子の温度変化もモニタリングすることができる。
10U〜10Z…デバイス
11U〜11Z…IGBT
12U〜12Z…還流ダイオード
21U〜21Z…デバイス電圧検出回路
22U,22V,22W…電流センサ
30…インバータ制御器
31…電圧指令生成部
32…キャリア生成部
33…ゲート指令部
34…A/D変換部
35…判定部
36…データ蓄積部
37…デバイス状態監視部
50…直流電圧源
11U〜11Z…IGBT
12U〜12Z…還流ダイオード
21U〜21Z…デバイス電圧検出回路
22U,22V,22W…電流センサ
30…インバータ制御器
31…電圧指令生成部
32…キャリア生成部
33…ゲート指令部
34…A/D変換部
35…判定部
36…データ蓄積部
37…デバイス状態監視部
50…直流電圧源
Claims (7)
- 電圧指令信号およびキャリア信号に基づいて生成されたゲート指令信号によって制御される半導体電力素子と還流ダイオードを逆並列接続したデバイスを、直流電圧源の正、負極端間にブリッジ接続して構成された電力変換装置において、
前記各デバイスの電圧を検出する電圧検出部と、
前記電力変換装置の交流各相の電流を検出する電流検出部と、
前記電圧検出部および電流検出部の各電圧検出データおよび電流検出データを入力とし、前記キャリア信号の上頂点および下頂点に同期して各相毎の電圧検出データおよび電流検出データを同時にサンプリングするデータサンプリング部と、
前記キャリア信号の上頂点、下頂点および前記電流検出データの極性から、前記サンプリングされた電圧検出データおよび電流検出データが、前記電力変換装置のいずれのデバイスのデータであるのか、および半導体電力素子のデータであるのか又は還流ダイオードのデータであるのかを判定し、電力変換装置の全デバイスの、オン電圧およびオン電流の組からなる時系列データを出力する判定部と、
前記判定部から出力される時系列データを蓄積するデータ蓄積部と、を備えたことを特徴とする電力変換装置。 - 前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の低い領域のデータの分布状態から、前記各デバイスの劣化状況を監視するデバイス状態監視部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記デバイス状態監視部は、前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の高い領域のデータの分布状態から、前記各半導体電力素子の温度を監視することを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
- 前記デバイス状態監視部は、予め、温度毎の前記半導体電力素子のコレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧を計測して作成した、温度対コレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧のルックアップテーブルを参照して、各半導体電力素子の温度を求めることを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
- 電圧指令信号およびキャリア信号に基づいて生成されたゲート指令信号によって制御される半導体電力素子と還流ダイオードを逆並列接続したデバイスを、直流電圧源の正、負極端間にブリッジ接続して構成された電力変換装置のデバイス状態監視方法であって、
前記各デバイスの電圧を検出した電圧検出データおよび電力変換装置の交流各相の電流を検出した電流検出データを取り込み、前記キャリア信号の上頂点および下頂点に同期して各相毎の電圧検出データおよび電流検出データを同時にサンプリングするデータサンプリングステップと、
前記キャリア信号の上頂点、下頂点および前記電流検出データの極性から、前記サンプリングされた電圧検出データおよび電流検出データが、前記電力変換装置のいずれのデバイスのデータであるのか、および半導体電力素子のデータであるのか又は還流ダイオードのデータであるのかを判定し、電力変換装置の全デバイスの、オン電圧およびオン電流の組からなる時系列データを出力する判定ステップと、
前記判定ステップにより出力された時系列データをデータ蓄積部に蓄積するステップと、
前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の低い領域のデータの分布状態から、前記各デバイスの劣化状況を監視するデバイス状態監視ステップと、を備えたことを特徴とする電力変換装置のデバイス状態監視方法。 - 前記デバイス状態監視ステップは、前記データ蓄積部の蓄積データのうち、温度依存性の高い領域のデータの分布状態から、前記各半導体電力素子の温度を監視するステップを有していることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置のデバイス状態監視方法。
- 前記デバイス状態監視ステップは、予め、温度毎の前記半導体電力素子のコレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧を計測して作成した、温度対コレクタ電流およびコレクタ−エミッタ間電圧のルックアップテーブルを参照して、各半導体電力素子の温度を求めることを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置のデバイス状態監視方法。
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JP2019099010A JP2020195194A (ja) | 2019-05-28 | 2019-05-28 | 電力変換装置および電力変換装置のデバイス状態監視方法 |
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2019
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