JP2020193904A - 目標信号分離装置、パッシブレーダー装置および目標信号分離方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、上述した低い周波数の電波は、パルス波を用いた高出力レーダーへの使用が許可されていないため、パルス波ではなく連続波として用いる必要がある。非特許文献1は、FM放送波を用いたパッシブレーダーで目標を探知する方法を開示している。
パッシブレーダーの受信信号は微弱であるため、クラッタを除去して目標信号を分離することが重要である。
また、特許文献1は、補助アンテナの利得を調整し、主アンテナの受信信号からグランドクラッタを除去する技術を開示している。
また、特許文献1に記載された方法で除去することができるのはグランドクラッタのみであり、天候により変動するウェザークラッタやシークラッタを除去することはできない。
図1を用いて、本発明の実施の形態にかかる目標信号分離装置の構成について説明する。この目標信号分離装置10は、図1に示されるように、取得部11、解析部12、出力部13を備えている。
また、取得部11は、現在の観測パラメータを取得する。観測パラメータは、観測条件に関するパラメータである。
教師データとして用いられる目標が存在しない時点で取得されたデータとしては、出力部13において目標が存在しないと判断されたデータを用いてもよい。
解析部12は予測した雑音信号を出力部13に出力する。
閾値を超えなかった場合の受信信号及び観測パラメータを、解析部12で使用する予測式の機械学習に使用してもよい。
図2を用いて、本発明の実施の形態にかかる目標信号分離装置10の概要について説明する。目標信号分離装置10は、パッシブレーダー23が受信した信号から目標信号の分離を行う。目標信号とは、送信局21が送信した連続波が、移動目標22によって反射された信号である。送信局21が送信する電波は、例えば、FM放送波、テレビ放送波、又は携帯電話で使用されている電波であるが、他のVHF/UHF帯の電波であってもよい。移動目標22は、例えば、飛行機、船舶、自動車であり、低RCS目標であっても良い。
受信信号は、移動目標22により反射された電波である目標信号およびクラッタにより反射された電波である雑音信号を含んでいる。
測定パラメータは、測定を行った時間および位置に関するパラメータである。測定パラメータは、例えば、測定日時又は測定場所(緯度、経度、標高)である。
天候パラメータは、天候に関するパラメータである。天候パラメータは、例えば、天候(晴れ、曇り、雨、雪、霧)、雨量/降雨量、雲量、気圧、風速・風向、気温、湿度である。
受信パラメータは、受信条件に関するパラメータである。受信パラメータは、例えば、受信時間、受信周波数、受信方向(仰角方向θ、水平方向φ)、受信分解能である。
気温、風速等の気象データは、気象機材、又はインターネットから取得する。
この際、受信方向(仰角方向θ、水平方向φ)を固定パラメータとし、受信方向以外の天候・受信パラメータについては、別テーブルとして最適な表形式で保存しても良い。受信方向(仰角方向θ、水平方向φ)ごとに予測式を求める際、他の受信方向における教師データは用いずに、当該受信方向における教師データを用いて機械学習を行うことができる。かかる場合、機械学習に用いる教師データの量を少なくすることができて、学習を高速で行うことが可能となるため、学習回数が多い場合に利点がある。
取得部11は、現在の受信信号を出力部13に出力する。また、取得部11は現在の天候パラメータ及び現在の受信パラメータを解析部12に出力する。
教師あり学習に用いられる目標が存在しない時点で取得されたデータとして、出力部13において目標が存在しないと判断されたデータを用いることができる。
予測式は、後述するように、基本的に、周波数、受信方向(仰角方向θi、水平方向φj)に対応する配列D(i,j)を変数として、重み付け係数である回帰係数と組み合わせて構成する。
予測式はクラッタの受信強度を表す関数である。まず、様々な気象条件下において観測された過去の観測日時における受信信号の部分和で予測式を表すことを考えると、予測式F(ω)は式(1)の様に表現される。
D(i,j)は受信方向(仰角方向θi、水平方向φj)に対応する配列である。D(i,j)は、仰角方向θを1〜Iに分割し、水平方向φを1〜Jに分割することにより、受信方向をI×Jの要素に分割した配列である。D(i,j)と受信方向(仰角方向θi、水平方向φj)の関係を図4に示す。図4において、Dijは、仰角方向がθiで水平方向がφjである受信方向を表している。
式(3)を用いることで、後述する決定木が受信方向ごとに作成されることになる。
クラッタは、受信方向並びに、気温、湿度、風向などの観測データを与えれば再現できるため、式(3)を予測式として用いた機械学習によりクラッタの受信強度を計算することができる。
図5の決定木に対応する天候パラメータの例を図6に示す。図6は図2に示す移動目標22が存在しない状態のデータであり、各項目の数値条件(以上又は未満)が決定木の分岐点に対応する。ここで、移動目標22が存在しない状態とは、過去に差分をとる処理を行った際に移動目標22からの信号が分離できなかった状態である。
図5の決定木に示す分析例の場合、受信アンテナがある角度を指向したとき、気温パラメータが26℃では「風速」に分岐する。次に、風速が8[m/s]以上と8[m/s]未満で分類される。
例えば、風が強い時、波が高いことになるので、波が立ち、シークラッタによる反射波の受信強度が増大することになる。これは、他のクラッタでも同様な特性であり、クラッタの受信強度は、受信方向(θ、φ)に依存することになる。
機械学習の結果、「風速」以降も分岐点に与えられるパラメータの数値条件により分類され、予測式が得られる。
図5に示す決定木は、機械学習を用いて、各分岐点における分岐の有無及び分岐の基準となる判断値を求めることにより作成される。分岐の有無については、例えば、気温が5℃未満の場合にこれ以上の分岐はないことが学習されている。このときの予測式は、F1である。予測式Fpの回帰係数ak|pは、機械学習によって求められる。
また、分岐の基準となる判断値については、機械学習の結果、同じ天候パラメータであっても、分岐点によって異なる値となる場合がある。例えば、予測式がF2となる場合は、湿度が80%以上であるため判断値は80であるのに対し、予測式がF3となる場合は、湿度が70%未満であるため湿度の判断値は70である。
したがって、決定木の各分岐点における分岐の有無、分岐の基準となる判断値及び回帰係数ak|pが、機械学習の結果得られることとなる。
本発明はパルス波ではなく連続波を用いるため、差分をとる処理がし易い。理由は以下の通りである。パルス波の方式では時間軸上で断続的に電波が照射されるため、パルス繰り返し周期からパルス幅を引いた時間では無変調となる。一方で、連続波の方式では時間軸上で常時、連続して電波が照射されるため、目標及びクラッタからの反射波の受信強度は連続的に得られることになるからである。
送信信号は専用のアンテナで受信しても良く、光ファイバー等を用いて受信しても良い。
閾値を超えなかった場合の受信信号及びパラメータを、解析部12で使用する予測式の作成に使用することができる。
出力部13は、判定結果を取得部11に送信する。取得部11に保存された受信信号を、移動目標22の有無により分類するためである。
そして、解析部12は、現在の測定・天候・受信パラメータに対応する予測式から、クラッタ信号の受信強度の予測値計算を行う(S103)。
また、本実施の形態にかかる目標信号分離装置は、連続波の受信信号から目標信号を分離することができる。連続波を用いた場合には、フーリエ変換の結果が安定した波形となり、差分をとる処理がしやすいからである。
また、無人機や将来の空飛ぶ自動車などをパッシブレーダーで探知する場合、FM放送波の他、テレビの放送波や携帯電話で使用する電波も利用可能である。
受信信号と観測パラメータとを取得する取得手段と、
目標不在時における過去の受信信号と過去の観測パラメータとを教師データとする機械学習によって得られた予測式を用いて、前記取得手段が取得した現在の観測パラメータに対応する雑音信号を予測する解析手段と、
前記取得手段が取得した現在の受信信号と、前記解析手段により予測された前記雑音信号との差分をとる処理を行い、前記差分が所定の閾値を超えた場合に受信信号から目標信号を分離する出力手段と、
を備えた、目標信号分離装置。
前記観測パラメータは天候パラメータを含む、付記1に記載の目標信号分離装置。
前記観測パラメータは受信方向を含む、付記1又は2のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
前記解析手段は、過去の受信信号と過去の観測パラメータとを教師データとする機械学習を行って、前記取得手段が取得した現在の観測パラメータに対応する雑音信号を予測する、付記1から3のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
前記解析手段は、過去の受信信号の線形和を予測式とし、機械学習により決定木を作成することにより得られた予測式を用いて雑音信号を予測する、付記1から4のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
前記取得手段は、受信信号と観測パラメータとを関連付けてデータベースに保存する、付記1から5のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
前記取得手段は、受信方向以外の観測パラメータの一部を、受信方向とは別のテーブルで管理する、付記6に記載の目標信号分離装置。
前記受信信号はVHF/UHF帯の電波である、付記1から7のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
前記受信信号は、FM放送波、テレビ放送波、又は携帯電話で使用されている電波である付記1から8のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
パッシブレーダーと、付記1から9のいずれか1項に記載の目標信号分離装置と、を備えるパッシブレーダー装置。
現在の受信信号と、現在の観測パラメータを取得し、
目標不在時における過去の受信信号、過去の観測パラメータを教師データとする機械学習によって得られた予測式を用いて、前記現在の観測パラメータに対する雑音信号を予測し、
前記現在の受信信号と前記雑音信号との差分をとる処理を行い、前記差分が所定の閾値を超えた場合に受信信号から目標信号を分離する、
目標信号分離方法。
11 取得部
12 解析部
13 出力部
21 送信局
22 移動目標
23 パッシブレーダー
Claims (10)
- 受信信号と観測パラメータとを取得する取得手段と、
目標不在時における過去の受信信号と過去の観測パラメータとを教師データとする機械学習によって得られた予測式を用いて、前記取得手段が取得した現在の観測パラメータに対応する雑音信号を予測する解析手段と、
前記取得手段が取得した現在の受信信号と、前記解析手段により予測された前記雑音信号との差分をとる処理を行い、前記差分が所定の閾値を超えた場合に受信信号から目標信号を分離する出力手段と、
を備えた、目標信号分離装置。 - 前記観測パラメータは天候パラメータを含む、請求項1に記載の目標信号分離装置。
- 前記観測パラメータは受信方向を含む、請求項1又は2のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
- 前記解析手段は、過去の受信信号と過去の観測パラメータとを教師データとする機械学習を行って、前記取得手段が取得した現在の観測パラメータに対応する雑音信号を予測する、請求項1から3のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
- 前記解析手段は、過去の受信信号の線形和を予測式とし、機械学習により決定木を作成することにより得られた予測式を用いて雑音信号を予測する、請求項1から4のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
- 前記取得手段は、受信信号と観測パラメータとを関連付けてデータベースに保存する、請求項1から5のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
- 前記受信信号はVHF/UHF帯の電波である、請求項1から6のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
- 前記受信信号は、FM放送波、テレビ放送波、又は携帯電話で使用されている電波である請求項1から7のいずれか1項に記載の目標信号分離装置。
- パッシブレーダーと、請求項1から8のいずれか1項に記載の目標信号分離装置と、を備えるパッシブレーダー装置。
- 現在の受信信号と、現在の観測パラメータを取得し、
目標不在時における過去の受信信号、過去の観測パラメータを教師データとする機械学習によって得られた予測式を用いて、前記現在の観測パラメータに対する雑音信号を予測し、
前記現在の受信信号と前記雑音信号との差分をとる処理を行い、前記差分が所定の閾値を超えた場合に受信信号から目標信号を分離する、
目標信号分離方法。
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