JP2020193421A - パラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条、およびその製造方法 - Google Patents

パラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い強度と優れた黒色性を兼ね備えたパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を提供する。【解決手段】パラ型全芳香族ポリアミドに、黒色染顔料を5〜20重量%含有させた後、紡糸、延伸することにより、単繊維繊度が1.0dtex以下のパラ型全芳香族ポリアミド繊維とする。【選択図】なし

Description

本発明は、黒色染顔料を含有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条に関するものである。さらに詳しくは、高い強度を保ちつつ、深みのある黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条に関するものである。
パラ型全芳香族ポリアミド繊維を代表とする全芳香族ポリアミド繊維は、高強力、高モジュラス、高耐熱性等に優れた繊維である。このため、その機能性を活かして、産業用繊維として様々な分野で使用されている。
そのひとつとして、耐衝撃性などの向上を目的とした、パラ型全芳香族ポリアミド繊維を強化用繊維として用いた繊維強化プラスチックは従来から知られている。このような繊維強化プラスチックには意匠性の観点から、例えば、黒色のパラ型全芳香族ポリアミド繊維が要求されている。
一般的に、深みのある優れた黒色性を得るためには、黒色染顔料を大量に繊維に含有させることが考えられるが、含有された黒色染顔料自体が欠点となり、繊維の物性、特に引張強度が著しく低下するという問題があった。
例えば、非特許文献1では、繊維の濃色化技術について論じられている。その中で、表面反射光が小さくなる単繊維繊度の太い繊維が、濃色化に有利であることが報告されている。
また、特許文献1においては、無機顔料であるカーボンブラックを用いて、パラ型全芳香族ポリアミド繊維を黒色化しているが、この方法では分子鎖の高配向化により、黄色味を呈するため、特許文献1に記載された繊維では、満足する黒色性を得ることができないという問題があった。
さらに、特許文献2においては、窒化チタンを用いてパラ型全芳香族ポリアミド繊維を黒色化しているが、この方法によっても満足する黒色性を得るには至らず、さらに深みのある黒色を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維が求められていた。
特開平6−081211号公報 特開2012−67415号公報
繊維学会誌、繊維と工業 vol.44,No.7,P.265
本発明の目的は、かかる従来技術における問題点を解消し、高い強度と優れた黒色性を兼ね備えたパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、従来の繊維濃色化技術とは逆に、黒色染顔料を含むパラ型全芳香族ポリアミド繊維の単繊維繊度を小さくするとき、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、
1.単繊維繊度が1.0dtex以下であるパラ型全芳香族ポリアミド繊維から構成される繊維糸条であって、該繊維糸条の、Lab表色法におけるL値が21以下であり、且つ引張強度が20cN/dtex以上であることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条、及び、
2.パラ型全芳香族ポリアミドに、黒色染顔料を5〜20重量%含有させた後、紡糸、延伸することにより、単繊維繊度が1.0dtex以下のパラ型全芳香族ポリアミド繊維とすることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条の製造方法。
が提供される。
本発明によれば、高い強度と優れた黒色性を兼ね備えたパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条が提供されるので、該繊維糸条を補強繊維として用いた繊維強化プラスチックを、例えば携帯電話の筐体などに適用した場合、優れた耐衝撃性を有しながら、優れた意匠性も兼ね備えた製品が得られるので、非常に有益である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<パラ型全芳香族ポリアミド>
本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミドは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリマーである。また、芳香族基には、2個の芳香環が酸素、硫黄、または、アルキレン基を介して結合されたもの、あるいは、2個以上の芳香環が直接結合したものも含む。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。なお、2価の芳香族基を直接連結するアミド結合の位置は、パラ型である。
<パラ型全芳香族ポリアミドの製造方法>
本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸ジクロライド(以下「酸クロライド」ともいう)成分と芳香族ジアミン成分とを低温溶液重合、または界面重合などにより反応せしめることにより得ることができる。
[パラ型全芳香族ポリアミドの原料]
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
パラ型全芳香族ポリアミドの製造において使用される芳香族ジカルボン酸クロライド成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、テレフタル酸クロライド、2−クロルテレフタル酸クロライド、2,5−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドなどが挙げられる。
また、これらの芳香族ジカルボン酸ジクロライドは、1種類のみならず2種類以上を用いることができ、その組成比は特に限定されるものではない。これらのなかでは、汎用性や得られる繊維の機械的物性等の観点から、テレフタル酸ジクロライドが好ましい。なお、本発明においては、イソフタル酸クロライド等、パラ位以外の結合を形成する少量の成分を用いてもよい。
(芳香族ジアミン成分)
パラ型全芳香族ポリアミドの製造において使用される芳香族ジアミン成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、p−フェニレンジアミン、2−クロル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロル−p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォンなどを挙げることができる。
これらは、1種類のみならず2種類以上を用いることができ、その組成比は特に限定されるものではない。なお、本発明においては、m−フェニレンジアミン等、パラ位以外の結合を形成する少量の成分を用いてもよい。
これらのなかでは、高温熱延伸における安定性の観点から、p−フェニレンジアミンを単独で使用、あるいは併用することが好ましく、p−フェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの組み合わせが最も好ましい。パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いる場合には、その組成比は特に限定されるものではないが、全芳香族ジアミン量に対して、それぞれ30〜70モル%、70〜30モル%とすることが好ましく、さらに好ましくは、それぞれ40〜60モル%、60〜40モル%、最も好ましくは、それぞれ45〜55モル%、55〜45モル%である。
[原料組成比]
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との比は、芳香族ジアミン成分に対する芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比として、0.90〜1.10の範囲とすることが好ましく、0.95〜1.05の範囲とすることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比が0.90未満または1.10を超える場合には、芳香族ジアミン成分との反応が十分に進まず、高い重合度が得られないため好ましくない。
[反応条件]
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との反応条件は、特に限定されるものではない。酸クロライドとジアミンとの反応は一般に急速であり、反応温度としては、例えば、−25℃〜100℃の範囲とすることが好ましく、−10℃〜80℃の範囲とすることがさらに好ましい。
[重合溶媒]
パラ型全芳香族ポリアミドを重合する際の溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムなどの有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどの水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトンなどの水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの水溶性ニトリル化合物などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として使用することも可能である。なお、上用いられる溶媒は、脱水されていることが望ましい。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型全芳香族コポリアミドに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが最も好ましい。
[その他重合条件等]
生成するパラ型全芳香族ポリアミドの溶解性を上げるために、重合前、途中、終了時のいずれかに、一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
また、パラ型全芳香族ポリアミドの末端は、封止することもできる。末端封止剤を用いて末端を封止する場合には、例えば、フタル酸クロライドおよびその置換体、アニリンおよびその置換体等を末端封止剤として用いることができる。
また、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために、脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩等を併用することもできる。
反応の終了後は、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し、中和反応を実施してもよい。
[重合後処理]
上記のようにして得られるパラ型全芳香族ポリアミドは、アルコール、水等の非溶媒に投入して沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。取り出されたパラ型全芳香族ポリアミドを再度他の溶媒に溶解し、その後に繊維の成形に供することもできるが、重合反応によって得たポリマー溶液をそのまま紡糸用溶液(ドープ)に調整して用いることも可能である。
一度取り出してから再度溶解させる際に用いる溶媒としては、パラ型全芳香族ポリアミドを溶解するものであれば特に限定されるものではないが、上記パラ型全芳香族ポリアミドの重合に用いられる溶媒とすることが好ましい。
<パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法>
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造するにあたっては、湿式紡糸法または半乾半湿式紡糸法を採用し、先ず、パラ型全芳香族ポリアミド、黒色染顔料、および溶媒を含む均一な紡糸用溶液(ポリマードープ)を調整し、紡糸口金から吐出する。
[紡糸用溶液(ポリマードープ)の調整]
パラ型全芳香族コポリアミド、黒色染顔料、および溶媒を含む均一な紡糸用溶液(ポリマードープ)を調整する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、パラ型全芳香族ポリアミド溶液と、黒色染顔料分散液とを混合する方法が挙げられる。
ここで、パラ型全芳香族ポリアミド溶液と黒染顔料の分散液に用いられる溶媒としては、上記したパラ型全芳香族ポリアミドの重合に用いられる溶媒を使用することができる。また、用いられる溶媒は、1種単独であっても2種以上を併用してもよい。パラ型全芳香族ポリアミドの製造によって得られたポリマー溶液から当該ポリマーを単離することなく、そのまま用いることも可能である。なお、紡糸上、パラ型全芳香族ポリアミド溶液と黒色染顔料の分散に用いられる溶媒は、同一であることが好ましい。
(黒色染顔料)
本発明で使用する黒色染顔料は、特に限定されるものではなく、従来公知の染料や顔料の1種或いは複数種を任意に使用することができる。とりわけ、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの導電性のあるカーボンブラックは、電波障害を引き起こすため、導電性の小さいカーボンブラックが好ましい。特に、本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の体積固有抵抗値が、1010Ω・cmより大きいと電波障害を引き起こさないため好ましい。
本発明に用いられる黒色染顔料は、平均粒径が5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましく、1μm以下が最も好ましい。ここで、「平均粒径」とは、黒色染顔料が分散媒中に5重量%濃度で分散された状態で、レーザー解析法により測定した値である。
黒色染顔料を上記の平均粒径範囲にすると粒子自体が非常に細かいため、繊維中で粒子に起因する亀裂の発生を抑えることができる。その結果、引張強度を保持する事ができる。
なお、分散媒中における粒子は、必ずしも一次粒子の状態で分散されているとは限らず、凝集状態にあるものも存在する。凝集状態にある粒子の平均粒径は、凝集塊の大きさを当該粒子の粒径として求める。つまり、本発明において、「平均粒径」とは、分散媒中における粒子の一次粒子または凝集塊の大きさの平均値を意味するものとする。
本発明においては、上記黒色染顔料を、上記パラ型全芳香族ポリアミド全重量に対して5〜20重量%含有させることが必要であり、5〜15重量%が最も好ましい。該含有量が5重量%未満の場合は、得られる繊維の黒色濃度が乏しく、意匠性に劣るものとなる。一方、該含有量が20重量%を超える場合には、繊維の物性が低下し、期待される補強性能を満足しない。
[紡糸・凝固]
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条の製造においては、上述の如く調整された紡糸用溶液(ドープ)を用いて、湿式紡糸法またはエアギャップを設けた半乾半湿式紡糸法によって繊維を成形する。すなわち、先ず、上記で得られた紡糸用溶液(ドープ)をノズルから吐出し、続いて、凝固浴中の凝固液に接触させて凝固糸を形成する。
凝固浴としては、パラ型全芳香族ポリアミドの貧溶媒が用いられるが、紡糸用溶液(ポリマードープ)の溶媒が急速に抜け出して、得られる全芳香族ポリアミド凝固糸に欠陥ができないように、通常は良溶媒を添加して凝固速度を調節する。貧溶媒としては水、良溶媒としてはパラ型全芳香族ポリアミドドープ用の溶媒を用いることが好ましい。良溶媒/貧溶媒の質量比は、パラ型全芳香族ポリアミドの溶解性や凝固性にもよるが、15/85〜40/60の範囲とすることが好ましい。
[その他の工程]
凝固液から凝固糸条を引き上げた後は、公知の方法によって、最終的なパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得ることができる。例えば、水洗工程を実施して形成された未延伸糸から溶媒を除去し、必要に応じて延伸を実施し、乾燥工程等を経た後に必要に応じて延伸することにより配向させ、最終的な繊維糸条を得ることができる。
[延伸工程]
本発明の繊維糸条は、延伸配向されていることが好ましい。延伸の方法としては特に限定されるものではなく、凝固糸状態での水洗延伸、沸水延伸のみならず、乾燥糸状態での加熱延伸等、いずれでもよい。
また、延伸倍率については特に制限はないが、5倍以上であることが好ましく、8倍以上であることがさらに好ましい。延伸倍率を制御することにより、得られるパラ型全芳香族ポリアミド繊維の伸度および強度を制御することができる。
熱延伸を実施する場合には、その温度は、パラ型全芳香族ポリアミドのポリマー骨格にもよるが、好ましくは300〜600℃、さらに好ましくは350〜550℃とし、また、延伸倍率は好ましくは10倍以上、さらに好ましくは10〜15倍とする。
<芳香族ポリアミド繊維糸条の物性>
(引張強度)
上記方法により得られた本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条の引張強度は、高い程好ましいが、パラ型全芳香族ポリアミド繊維に対する黒色染顔料の濃度を上げるにつれて強度は低下する傾向にある。そして、パラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条の引張強度が20cN/dtex未満の場合は補強性能が不足するため、本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条の引張強度は、20cN/dtex以上であることが必要であり、21cN/dtex以上が好ましく、22cN/dtex以上が最も好ましい。
(L値(明度))
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条のL値(明度)は、意匠性の観点から小さい程好ましい。このため、本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維のL値(明度)は、21以下であることが必要であり、20以下がさらに好ましく、19以下が最も好ましい。
(単繊維繊度)
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を構成する繊維の単繊維繊度は、小さい程L値(明度)を低くできるため、1.0dtex以下であることが必要であり、0.9dtex以下がさらに好ましく、0.8dtex以下が最も好ましい。本発明においては単繊維繊度を1.0dtex以下とすることにより、優れた黒色性と高い強度を両立することができる。
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例及び比較例に制限されるものではない。
<測定・評価方法>
実施例および比較例においては、下記の項目について、下記の方法によって測定・評価を行った。
(1)繊維の単繊維繊度
得られた繊維糸条を、公知の検尺機を用いて100m巻き取り、その質量を測定した。得られた質量に100を乗じた値を10000mあたりの質量、即ち総繊度(dtex)として算出した。次いで、得られた繊維の総繊度を単糸の本数で除することで、単繊維繊度を算出した。
(2)繊維糸条の引張強度
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で繊維糸条の引張強力を測定した。次いで測定した繊維糸条の引張強力に対して繊維の総繊度で除して引張強度を算出した。
[測定条件]
温度 :室温
試験片長 :750mm
試験速度 :250mm/分
チャック間距離 :500mm
(3)明度(L値)
黒色の板を用いて、綾角が1〜3°となるように、下地が見えなくなるまで糸条を巻き付けた測定用サンプル板を、色彩色差計(MINOLTA社製、型式:CR−200)を用いて、明度の測定を実施した。
(4)黒色染顔料の平均粒径
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に、黒染顔料を5重量%分散させた状態で、NMP分散径として測定した。NMP分散径は、「マイクロトラックMT3300EX」(日機装(株)製)を用いて、レーザー回折法により求めた。
<実施例1>
黒色染顔料として、カーボンブラック(大日精化工業株式会社製、MPS−1100Black(T)を用い、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に濃度20重量%となるように、ビーズミル(淺田鉄工(株)製、Nano Grain Mill)を用いて分散させた。
この時、得られた分散液を、濃度6.0重量%のコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドのNMP溶液中に、カーボンブラックがポリマー対比5重量%となるように添加し、攪拌機(栗本鐵工所製、KRCニーダーS1)を用いて、60℃で2時間撹拌混合し、紡糸用溶液(ポリマードープ)を得た。
得られた紡糸用溶液(ポリマードープ)を、単糸繊度0.7dtexとなるように紡糸口金から吐出し、エアギャップを介してNMP濃度30重量%の水溶液中に紡出して凝固させた後(半乾半湿式紡糸法)、水洗、乾燥し、次いで、温度500℃下で10倍に延伸した後巻き取ることにより黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表1に示す。
<実施例2>
単繊維繊度を0.5dtexとした以外は、実施例1と同様の方法で実施し、黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表1に示す。
<実施例3>
単繊維繊度を1.0dtexとした以外は、実施例1と同様の方法で実施し、黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表1に示す。
<実施例4>
黒色染顔料(カーボンブラック)がポリマー対比10重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で実施し、黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表1に示す。
<実施例5>
単繊維繊度を1.0dtex、黒色染顔料(カーボンブラック)がポリマー対比10重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で実施し、黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表1に示す。
<実施例6>
黒色染顔料(カーボンブラック)がポリマー対比20重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で実施し、黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表1に示す。
<実施例7>
単繊維繊度を1.0dtex、黒色染顔料(カーボンブラック)がポリマー対比20重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で実施し、黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表1に示す。
Figure 2020193421
<比較例1>
黒色染顔料(カーボンブラック)がポリマー対比3重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で実施し、黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表2に示す。明度(L値)が高く、深みのある黒色を示さなかった。
<比較例2>
単繊維繊度を1.7dtexとした以外は、実施例1と同様の方法で実施し、黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表2に示す。明度(L値)が高く、深みのある黒色を示さなかった。
<比較例3>
単繊維繊度を1.7dtex、黒色染顔料(カーボンブラック)がポリマー対比22重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で実施し、黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表2に示す。大量の黒色染顔料を含有したため、繊維中に欠点が生じ、引張強度の乏しい結果となった。
<比較例4>
黒色染顔料(カーボンブラック)がポリマー対比25重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で実施し、黒色を呈するパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条を得た。得られた繊維糸条の各物性を表2に示す。大量の黒染顔料を含有したため、繊維中に欠点が生じ、引張強度の乏しい結果となった。
Figure 2020193421

Claims (4)

  1. 単繊維繊度が1.0dtex以下であるパラ型全芳香族ポリアミド繊維から構成される繊維糸条であって、該繊維糸条の、Lab表色法におけるL値が21以下であり、且つ引張強度が20cN/dtex以上であることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条。
  2. 黒色染顔料がカーボンブラックである請求項1に記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条。
  3. パラ型全芳香族ポリアミドが、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドである請求項1又は2に記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条。
  4. パラ型全芳香族ポリアミドに、黒色染顔料を5〜20重量%含有させた後、紡糸、延伸することにより、単繊維繊度が1.0dtex以下のパラ型全芳香族ポリアミド繊維とすることを特徴とするパラ型全芳香族ポリアミド繊維糸条の製造方法。
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