JP2020193163A - 遺体の体液漏出防止方法 - Google Patents

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Risa Nishihara
梨沙 西原
克哉 山根
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Abstract

【課題】咽喉部用及び直腸用の遺体の処置装置に対して、それら両方の表面に必要十分な量の潤滑剤を塗布することができ、しかも、作業時において手や衣服等を汚すことなく、簡単に且つ清潔に塗布できるようにする。【解決手段】咽喉部用の処置装置1及び直腸用の処置装置50の両方に使用できる潤滑剤41を付着する器具として、潤滑剤41が密封された袋体40を使用し、袋体40の一部を破って開口部42を形成し、開口部42を介して袋体40の内部に管本体部21及び直腸用シリンジ52の先端部をそれぞれ差し込んで袋体40の内部の多くの潤滑剤41を管本体部21の外周面及び直腸用シリンジ52の外周面に付着させる。【選択図】図3

Description

本発明は、遺体から体液が漏出するのを防ぐための処置装置を用いた遺体の体液漏出防止方法、特に咽喉部及び直腸部に対して処置する処置装置を用いた遺体の体液漏出防止方法に関する。
一般に、ヒトや動物が死亡すると、体腔各部に対応する筋肉が弛緩するので、胃液、肺液、腹水、排泄物などの体液が体外に漏出する。これらの漏出物は、悪臭や病原菌による感染の原因になるので、例えば病院では、死亡を確認した後、遺体の口や鼻等の体腔や、或いは事故や手術後の遺体の開口部に多量のガーゼや脱脂綿等を装填することで体液の漏出を防止する場合がある。しかしながら、体腔等へのガーゼや脱脂綿等の装填作業は煩雑であり、作業に手落ちが発生して体腔等が塞ぎきれていなかったり、或いは、ガーゼや脱脂綿等は吸水能力が低いので、作業中又は作業後にしばしば体液が漏出してしまうという問題があった。したがって、作業中においては漏出した体液を起因とする病原体の感染のおそれがあり、その解決が強く求められていた。
このようなことから、例えば、特許文献1では、高吸水性樹脂粉末を含有するゼリー体からなる体液漏出防止剤をガーゼ等に代えて咽喉部に注入することにより遺体から体液が漏出するのを防止するようにしている。また、特許文献2では、鼻孔等に挿入可能な細棒状の挿入管と、ゼリー状の体液漏出防止剤を収容する注入器とをそれぞれ用意し、注入器の先端部を挿入管の基端部に接続するとともに、挿入管を鼻孔に挿入して当該挿入管の先端部を咽喉部に到達させた後、注入器を操作して挿入管を介して注入器に収容された体液漏出防止剤を咽喉部に注入するようにしている。さらに、特許文献3には、遺体の直腸から体液が漏出するのを防止する処置方法が開示されていて、内部に水分を吸収してゲル化するゲル化剤と膨張可能な膨張部材とが収容された筒状をなす直腸用注入器を用意し、当該直腸用注入器を肛門に挿入した後、注入器を操作してゲル化剤及び膨張部材を直腸に押し込んでゲル化剤を直腸の水分によりゲル化させるとともに膨張部材を膨張させて直腸を封止するようにしている。
ところで、特許文献2の如き処置を行う場合、遺体の体腔内への挿入管の挿入時において当該挿入管の先端部が体壁に引っ掛かるのを回避するために、挿入管における先端部外周面に潤滑剤を塗布することが一般的に行われる。また、特許文献3の如き処置を行う場合においても同様に、遺体の直腸への直腸用注入器の挿入時において当該直腸用注入器の先端部外周面に潤滑剤を塗布することが行われる。
しかし、上述の如き潤滑剤の塗布作業を手の指で潤滑剤を掬い取ることにより行ったり、或いは、脱脂綿や布等に潤滑剤を含ませることにより行うと、作業時に手や衣服等が汚れてしまうおそれがある。
これを回避するために、例えば、特許文献4には、上述の如き挿入管の先端部に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布具が開示されている。該潤滑剤塗布具は、上記挿入管を挿入可能な孔部が形成された筒状のケースを備え、該ケースの内部には、潤滑剤が含浸された液含浸部材が隙間無く収納されている。上記液含浸部材の上記孔部に対応する位置には、上記挿入管を挿通可能な切れ目又は/及び孔からなる挿通部が形成され、ケースの孔部を介して上記挿通部に挿入管の先端部を挿通させることにより、液含浸部材に含浸させた潤滑剤を挿入管の先端部に付着させるようにしている。
特開2002−275001号公報 国際公開第2008/126412号 特開2008−231118号公報 特開2010−1269号公報
しかし、特許文献4に示す潤滑剤塗布具では、潤滑剤を含浸させた液含浸部材の挿通部に挿入管を挿通させることにより挿入管の表面に潤滑剤を付着させるようになっていて、潤滑剤が液含浸部材を介して間接的に挿入管の表面に塗布される。したがって、潤滑剤が挿入管の表面に十分に塗布されないおそれがある。
また、咽喉部用挿入管における先端部の外径は6mm程度である一方、直腸用注入器の先端部の外径は18mm程度であって咽喉部用挿入管における先端部の外径に比べて約3倍であるので、特許文献4の如き塗布具の構造では、咽喉部用挿入管の表面と直腸用注入器の表面との両方共に偏り無く十分に塗布することができないという問題がある。
本発明の目的は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遺体の体液の漏出を防止する作業を行う際、鼻孔等に挿入する挿入管を用いる咽喉部用の処置装置に対してだけでなく直腸用注入器を用いる直腸用の処置装置に対しても使用することができるとともに、それら両方の表面に必要十分な量の潤滑剤を塗布することができ、しかも、作業時において手や衣服等を汚すことなく、簡単に且つ清潔に塗布できるようにすることにある。
そのために、本発明では、咽喉部用の処置装置及び直腸用の処置装置の両方に直接潤滑剤を付着させることができ、しかも、挿入管及び直腸用注入器の各表面に必要十分な潤滑剤が付着するように工夫を凝らした。
特に、第1の発明は、
先端部にキャップが被せられ、内部に高吸水性樹脂を含有する体液漏出防止剤が充填された咽喉部用注入器と、先端部に複数の注入孔が形成された可撓性を有する合成樹脂製の管本体部及び当該管本体部の後端部に一体に設けられ、上記咽喉部用注入器の先端部に接続可能な接続管部を有する棒状をなす挿入管と、先端部の外径が上記挿入管の先端部の外径より大きく形成され、内部に高吸水性樹脂粉末が充填された直腸用注入器と、潤滑剤が封入された薄いペーパー状をなす袋体とをそれぞれ用意し、
まず初めに、上記袋体の一部を破ることによって当該袋体の内部に連通可能で、且つ、上記直腸用注入器の先端部の外径よりも大きな開口部を形成し、
次いで、上記キャップを取り外した上記咽喉部用注入器の先端部を上記管本体部の接続管部に接続した後、作業者の一方の手で上記袋体を把持する一方、作業者の他方の手で上記挿入管を把持して上記開口部を介して上記管本体部の先端部を上記袋体の内部に差し込むことにより上記管本体部の先端部表面と上記注入孔とに上記潤滑剤を付着させ、
その後、上記管本体部をその先端側から遺体の鼻孔又は口腔に挿入して上記管本体部の先端部を咽喉部に到達させた後、上記注入孔を介して上記咽喉部用注入器内部の体液漏出防止剤を上記咽喉部に注入することにより体液が上記咽喉部から体外へ漏出するのを防止し、
しかる後、再び作業者の一方の手で上記袋体を把持する一方、作業者の他方の手で上記直腸用注入器を把持して上記開口部を介して上記直腸用注入器の先端部を上記袋体の内部に差し込むことにより上記直腸用注入器の先端部に上記潤滑剤を付着させ、
そして、上記直腸用注入器をその先端側から遺体の肛門に挿入して上記直腸用注入器の先端部を直腸に到達させた後、当該直腸用注入器内部の高吸水性樹脂粉末を上記直腸に注入することにより体液が上記直腸から体外へ漏出するのを防止することを特徴とする。
第1の発明によれば、咽喉部用の挿入管及び直腸用注入器の各先端部を直接的に潤滑剤に浸すことができるので、両方の先端部表面に必要十分な潤滑剤を確実に付着させることができる。また、袋体の一部を破るだけで咽喉部用の挿入管及び直腸用注入器の両方に対応可能な開口部を形成することができるとともに、当該開口部を介して咽喉部用の挿入管及び直腸用注入器の各先端部を袋体内部に差し込むだけで各先端部表面に潤滑剤が付着するので、熟練者でなくても操作を容易に行うことができ、しかも、手を汚すことなく作業することができる。
第2の発明は、第1の発明において、上記複数の注入孔のうちの1つは、上記管本体部先端の管軸上に形成された正面注入孔である一方、上記複数の注入孔の上記正面注入孔以外は、当該正面注入孔の周囲に形成された複数の側面注入孔であり、
上記管本体部の先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、上記管本体部の先端部を潤滑剤に浸して当該管本体部の先端部表面に上記潤滑剤を付着させる一方、上記正面注入孔及び上記各側面注入孔に上記潤滑剤を入り込ませることを特徴とする。
第2の発明によれば、挿入管の先端部を袋体内部に差し込んだ際において、潤滑剤が注入孔の内方にも入り込んだ状態になる。したがって、挿入管を体腔に挿入した際において注入孔の周縁部分が体腔の内壁に対して滑り易くなり、挿入管を体腔にさらに挿入し易くすることができる。
また、注入孔に潤滑剤が入り込んでいるので、体液漏出防止剤が注入孔周縁に対して滑り易くなり、挿入管の内部から咽喉部に向けて体液漏出防止剤をスムーズに吐出させることができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記袋体には、上記開口部を形成するための目印が設けられていることを特徴とする。
第3の発明によれば、該袋体の一部に、開口部を形成するための目印が設けられているので、繰り返し作業を行っても作業者は間違うことなく同じ位置で、且つ、同様の開口部となるように袋体を破くことができる。
第4の発明は、該3の発明において、上記目印は、上記袋体の外周縁部に形成された切れ目部であることを特徴とする。
第4の発明によれば、作業者が袋体に力を加える際に切れ目部に集中的に力が加わるようになるので、袋体を簡単に破くことができる。
第5の発明は、第1ないし第4の発明のいずれか1つにおいて、
上記直腸用注入器は、先端部に連通孔が形成され、上記高吸水性樹脂粉末が内部に充填された直腸用シリンジと、該直腸用シリンジの後端部から当該直腸用シリンジ内部にスライド可能に嵌挿され、上記直腸用シリンジ内部へとスライドさせることにより上記高吸水性樹脂粉末を上記連通孔から押し出すピストンとを備え、
上記直腸用シリンジの先端側内部には、上記連通孔を塞いで当該連通孔から上記高吸水性樹脂粉末が漏出するのを防止する漏出防止体が上記連通孔から露見するように配設され、
上記直腸用シリンジの先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、上記直腸用シリンジの先端部を潤滑剤に浸して当該直腸用シリンジの先端部表面に上記潤滑剤を付着させる一方、上記漏出防止体の上記連通孔から露見する部分に上記潤滑剤を付着させることを特徴とする。
第5の発明によれば、直腸用シリンジの先端部を袋体内部に差し込んだ際、潤滑剤が連通孔を介して漏出防止体に付着するようになり、直腸用注入器の先端部に多くの潤滑剤が付着するようになるので、直腸用注入器の先端部を肛門に挿入する際の作業がさらに簡単になる。
第6の発明は、第5の発明において、
上記漏出防止体は、吸水性繊維からなることを特徴とする。
第6の発明によれば、直腸用注入器の先端部を潤滑剤に浸した際、連通孔を介して多くの潤滑剤が漏出防止体に入り込むようになるので、直腸用注入器の先端部に多くの潤滑剤が付着することになり、直腸用注入器の先端部を直腸にさらに挿入し易くすることができる。
また、漏出防止体に多くの潤滑剤が入り込んでいるので、漏出防止体が連通孔周縁に対して滑り易くなり、注入管の内部から直腸に向けて漏出防止体をスムーズに押し出すことができる。
第7の発明は、第1ないし第6の発明のいずれか1つにおいて、
上記潤滑剤には、消臭剤、滅菌剤、芳香剤のうちの少なくとも1つが含まれていることを特徴とする。
第7の発明によれば、作業後において体腔の体壁等に付着する潤滑剤が異臭を吸収したり、或いは、作業中における作業者の病原菌への感染を防ぐことができるようになり、作業環境を高めることができる。
第8の発明は、第1ないし第7の発明のいずれか1つにおいて、
上記管本体部の先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、作業者は一方の手で上記袋体をその外側から上記管本体部の先端部を挟むように保持して上記袋体内部の上記潤滑剤を上記管本体部の各注入孔に押し付けることを特徴とする。
第8の発明によれば、挿入管の先端部表面に向かって潤滑剤が移動するようになるので、挿入管の先端部の注入孔に袋体内部の多くの潤滑剤を入り込ませることができる。
第9の発明は、第1ないし第8の発明のいずれか1つにおいて、
上記管本体部の先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、作業者は一方の手で上記袋体を保持する一方、他方の手で上記管本体部の先端部をその管軸周りに正逆回転させることを特徴とする。
第9の発明によれば、潤滑剤に対して挿入管の先端部表面が挿入方向だけでなく挿入管の周方向にも移動するようになるので、挿入管の先端部表面にさらに偏りなく潤滑剤を付着させることができる。
第10の発明は、第1ないし第9の発明のいずれか1つにおいて、
上記直腸用シリンジの先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、作業者は一方の手で上記袋体をその外側から上記直腸用シリンジの先端部を挟むように保持して上記袋体内部の上記潤滑剤を上記直腸用シリンジの連通孔に押し付けることを特徴とする。
第10の発明によれば、直腸用シリンジの先端部表面に向かって潤滑剤が移動するようになるので、直腸用シリンジの連通孔周縁に袋体内部の多くの潤滑剤を付着させることができる。
第11の発明は、第1ないし第10の発明のいずれか1つにおいて、
上記直腸用シリンジの先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、作業者は一方の手で上記袋体を保持する一方、他方の手で上記直腸用シリンジをその軸心周りに正逆回転させることを特徴とする。
第11の発明によれば、潤滑剤に対して直腸用シリンジの先端表面が挿入方向だけでなく直腸用シリンジの周方向にも移動するようになるので、直腸用シリンジの先端部表面にさらに偏りなく潤滑剤を付着させることができる。
本発明では、袋体の一部を破って形成した開口部から袋体の内部に管本体部の先端部または直腸用注入器の先端部を差し込むだけで、袋体の内部に封入した潤滑剤に管本体部の先端部または直腸用注入器の先端部を浸すことができるので、熟練者でなくても簡単な操作で、しかも手を汚すことなく潤滑剤を両方の先端部に付着させることができる。
その上、咽喉部用の処置装置及び直腸用の処置装置の両方を同じ作業時に使用することができ、一度の作業で遺体全体の体液の漏出を防止することができる。
尚、咽喉部とは、いわゆるのどと呼ばれている部分であり、咽頭及び喉頭と、それらの近傍部位とを含む部分である。
また、挿入管の管本体部における注入孔から体液漏出防止剤を咽喉部に注入する際、管本体部の先端部が咽喉部に達していてもよいし、咽喉部よりも奥に達していてもよい。管本体部の先端部が咽喉部の奥に達している場合には、注入孔を管本体部の先端部よりも後端寄りに開口させておき、この注入孔が咽喉部に位置するようにすればよい。
また、挿入管の管本体部を咽喉部の手前まで挿入し、注入孔から注入する体液漏出防止剤を咽喉部に流し込むようにしてもよい。
また、体液漏出防止剤としては、特開2002−275001号公報に開示されたようなもの、例えば、粘性を有する流体中に、体液を吸収する高吸収性ポリマー粉末を分散させた体液漏出防止剤を使用することができる。また、クリーム状のベース剤やムース状のベース剤に上記高吸収性ポリマー粉末を分散させた体液漏出防止剤を使用することもできる。
図1は、本発明の実施形態に係る咽喉部用の処置装置の概略断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る咽喉部用の処置装置の挿入管を袋体に差し込んだ状態を示す図である。 図2の部分拡大断面図である。 図1に示す咽喉部用の処置装置を鼻孔に挿入した状態を示す図である。 図5は、本発明の実施形態の直腸用の処置装置の一部断面を表示する側面図である。 図6は、図5の直腸用の処置装置を袋体に差し込んだ状態を示す図である。 図6の部分拡大断面図である。 図6に示す直腸用の処置装置を肛門に挿入した状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1及び図2に基づいて、本発明の実施形態に係る咽喉部用の処置装置1を説明する。咽喉部用の処置装置1は、遺体用の体液漏出防止剤2を収容する注入器10と、体液漏出防止剤2を遺体の咽喉部B(図4参照)に注入する棒状の挿入管20とを備えている。体液漏出防止剤2として、例えば、特開2002−275001号公報に開示されているゼリー体が使用可能である。注入器10は、咽喉部用シリンジ11及びピストン12で構成されている。咽喉部用シリンジ11は、内部に高吸水性樹脂を含有する体液漏出防止剤2が充填された筒状をなす収容部13と、該収容部13の先端から突出する筒状部14とを有している。筒状部14は、その先端に向かって次第に細くなるテーパー状をなしており、外周面に2つの突出部15が形成されている。
挿入管20は、例えば軟質塩化ビニール等の柔軟性及び可撓性を有する合成樹脂材からなり、鼻孔A(図4参照)から咽喉部Bへ向けて挿入される際に撓む管本体部21を備えている。管本体部21の後端側(図1における右側)には、注入器10の筒状部14に接続される接続管部31が一体に設けられている。
管本体部21は、中空管のように細長い円筒形状をなしている。この管本体部21は、鼻孔Aから咽喉部Bまで延びる遺体の内部形状に応じて変形可能な柔軟性と、鼻孔Aに挿入した際に管本体部21の内部通路Rが潰れないような固さとを兼ね備えている。
管本体部21の軸方向先端側(図1における左側)には、当該管本体部21の内部に連通する2つの前側注入孔23a、23b(側面注入孔)と、2つの後側注入孔23c、23d(側面注入孔)と、正面注入孔24とがそれぞれ形成され、各注入孔は、注入器10内から管本体部21の内部に充填された体液漏出防止剤2を遺体の体腔内に案内するようになっている。すなわち、管本体部21の先端部において形成されている複数の注入孔のうちの1つは、管本体部21先端の管軸上に形成された正面注入孔24である一方、複数の注入孔の正面注入孔24以外は、当該正面注入孔24の周囲に形成された複数の側面注入孔(前側注入孔23a、23b及び後側注入孔23c、23d)である。前側注入孔23a、23bの各々の開口位置は、管本体部21の周方向に180°ずれた位置となっている。また、後側注入孔23c、23dの各々の開口位置は、管本体部21の周方向に180°ずれた位置となっている。さらに、前側注入孔23a、23b及び後側注入孔23c、23dは、管本体部21の周方向に等間隔に形成されている。それに加えて、管本体部21の軸方向から見たときに、前側注入孔23a、23bと後側注入孔23c、23dとが重ならない位置となるように所定の間隔を開けて設けられている。
また、前側注入孔23a、23b及び後側注入孔23c、23dは、その各々の中心位置が管本体部21の軸方向にずれるように当該管本体部21の先端側から順に設けられている。前側注入孔23a、23bは、どちらも長円形状をなしており、長辺が周方向に対向して並行に設けられる一方、短辺が軸方向前後に対向して設けられ、これらの短辺が略円弧状になっている。後側注入孔23c、23dは、どちらも略正方形状になっており、2辺が周方向に対向して並行に設けられる一方、残りの2辺が軸方向前後に対向して設けられ、これらの2辺が略円弧状になっている。後側注入孔23c、23dは、互いに軸方向に少しずれた位置となっている。正面注入孔24は、断面略円形状をなしている。そして、後側注入孔23c、23dの開口面積は、前側注入孔23a、23bの開口面積に比べて小さくなるように設定されている。
接続管部31は、外径が後側になるにつれて徐々に拡がるテーパー壁部32を備え、該テーパー壁部32は、注入器10の筒状部14に外挿される第1壁部33と、管本体部21の後端と第1壁部33の先端とを一体に接続する第2壁部34とを有している。
第1壁部33の肉厚は、管本体部21の肉厚に比べて相対的に厚くなっており、第2壁部34の肉厚は、管本体部21から第1壁部33に向かうにつれて管本体部21の肉厚から第1壁部33の肉厚へとなるように徐々に厚くなっている。
第1壁部33の軸方向中間部には、周方向に延びる溝部36が設けられ、該溝部36は、周方向に所定の間隔をあけて2つ形成されている。
テーパー壁部32における第1壁部33の前側寄りの位置には、径方向外側に突出するとともに周方向に延びる略C字形状をなすストッパ35が一体に形成されている。該ストッパ35は、管本体部21の正面注入孔24等が咽喉部Bに達したときに鼻先A1に当接するような位置に設けられている。尚、ストッパ35は、管本体部21の先端部が咽喉部Bの近傍に位置したときに鼻先A1に当たるような位置に設定してもよい。また、ストッパ35は、上述した形状に限られるものではなく、管本体部21の周方向に連続するリング形状にしてもよく、また、管本体部21の側面の一部から外側方に突出する突起形状であってもよい。
また、ストッパ35の代わりに、管本体部21の咽喉部Bへの挿入量を知ることができるマーク(目印)を設けるようにしてもよい。このマークを設ける位置は、上記ストッパ35と同様に設定すればよい。上記ストッパ35をマークとして利用することも可能である。また、複数のマークを管本体部21の軸線方向に間隔をあけて設けてもよい。マークは、突起部や凹部等で構成してもよいし、文字やライン等で構成してもよい。
咽喉部用シリンジ11は、合成樹脂材の一体成形品である。図1に示すように、筒状部14は先端に向かってテーパー状に延びており、その軸線は、咽喉部用シリンジ11の軸線と一致している。また、筒状部14の先端には、体液漏出防止剤2が吐出される吐出部14aが形成されている。筒状部14の外周面は、先端側へ行くほど縮径するテーパー面で構成され、テーパー面の形状は、挿入管20の第1壁部33の内周面に対応する形状になっている。したがって、筒状部14を接続管部31の第1壁部33に挿入すると、第1壁部33の内周面と筒状部14のテーパー面とが全周に亘って密着した状態になり、これにより、筒状部14と接続管部31との間に十分な液密性が確保されるようになっている。
筒状部14の軸方向中間部の外周面には、2つの突出部15、15が周方向に離れて形成されている。図1に示すように、突出部15、15は、筒状部14を挿入管20に完全に挿入した状態で、溝部36内に位置するように設定されるとともに溝部36に嵌るようになっている。
なお、筒状部14における突出部15の数は、2つに限られるものではく、1つや、3つ以上であってもよい。また、突出部15を筒状部14の周方向に連続する環状に形成してもよい。
筒状部14には、当該筒状部14先端の吐出部14aを塞ぐことができるキャップ16が取外可能に被せられている。
次に、袋体40について、図2及び図3に基づいて説明する。該袋体40は、矩形状をなすとともに薄いペーパー状をなしており、挿入管20の先端部に付着させる潤滑剤41が密封されている。作業者は袋体40の外周縁部の所定の位置を起点に袋体40の一部を手で破いて袋体40の内部に連通する開口部42を形成することができるようになっている。潤滑剤41としては、界面活性剤、シリコンオイル、アルコール、クリーム、流動パラフィン、石鹸液、又は油、或いはこれらの混合体が用いられる。尚、潤滑剤には、消臭剤、滅菌剤、芳香剤のうちの少なくとも1つを含めてもよい。そうすると、体液漏出防止作業後において体腔の体壁等に付着する潤滑剤41が異臭を吸収したり、或いは、作業中における作業者の病原菌への感染を防ぐことができるようになり、作業環境を高めることができる。
袋体40の外周縁部の一部には、作業者が袋体40を破く位置の目安となる切れ目部43が設けられている。したがって、繰り返し作業を行っても作業者は間違うことなく同じ位置で、且つ、同様の開口部42となるように袋体40を破くことができる。また、作業者が袋体40に力を加える際に切れ目部43に集中的に力が加わるようになるので、袋体40を簡単に破くことができる。尚、本実施形態では、袋体40の外周縁部に破る位置の目安として切れ目部43を設けているが、切れ目部43を設けることは必須ではない。
次いで、直腸用の処置装置50について、図5に基づいて説明する。
直腸用の処置装置50は、直腸用注入器51を備える。直腸用注入器51は、遺体の肛門Hに挿入可能な円筒状をなすプラスチック製の直腸用シリンジ52と、該直腸用シリンジ52の後端部から当該直腸用シリンジ52の内部にスライド可能に嵌挿されたプラスチック製のピストン56とを備え、直腸用シリンジ52の内部には、漏出防止体55、吸収剤53及び封止部材54が先端側から順に設けられている。
直腸用シリンジ52の先端部の外径は、挿入管20の先端部の外径より大きく形成されていて、直腸用シリンジ52の先端部には、複数の可撓性を有する羽根部57が一体に設けられている。
各羽根部57は、円筒中心軸周りに等間隔に配置されるとともに、直腸用シリンジ52の先端に進むにつれて次第に円筒中心軸側に位置するような緩やかに湾曲する形状をなしていて、これにより、直腸用シリンジ52の先端部は、肛門Hに挿入し易いように先細形状になっている。この先細形状は略半球状であり、湾曲面で形成された挿入先端が肛門Hへの挿入を容易にしている。また、羽根部57の挿入先端、即ち、直腸用シリンジ52の最先端には、当該直腸用シリンジ52の内部に連通する連通孔58が形成されている。
直腸用シリンジ52の外周面中途部には、外側方に張り出す板状の鍔部59が設けられ、該鍔部59は、直腸用シリンジ52の先端部を肛門Hに挿入した際に肛門Hの周縁に当接して直腸用シリンジ52の挿入量を適切な長さ(数十mm)にするようになっていて、これにより、直腸用シリンジ52の先端部を直腸G内の所定位置に確実に配置できるようなっている。なお、鍔部59に替えてその位置に目盛りを付したり、或いは、その位置に直腸用シリンジ52を構成する樹脂材とは異なる色を塗布して目印にしても良い。また、直腸用シリンジ52の後端周縁には、外側方に張り出す板状のフランジ60が設けられている。該フランジ60は、図8に示すように、操作を行い易くするためのものであり、直腸用シリンジ52を遺体の肛門Hに挿入した後、ピストン56を先端側にスライドさせる際にフランジ60に指をかけて使用するようになっている。
漏出防止体55は、綿花などの吸収性繊維体からなり、連通孔58から露見するように配設され、直腸用注入器51を使用しない状態において、直腸用シリンジ52内に収納した吸収剤53が漏出することを防止するようになっている。また、漏出防止体55は、直腸用注入器51を使用する際、各羽根部57を外側方に押し広げながら連通孔58からスムーズに出るように変形可能になっていて、直腸内に入ると直腸内の水分を素早く吸収するようになっている。
吸収剤53は、直腸内に入り込んだ際において、直腸内の水分を素早く吸収して倍以上に膨張する高吸収性ポリマー粉末などの高吸水性樹脂粉末が使用され、水を吸収してゲル化し、ゲル化した後には水に溶けないアクリル酸系高分子架橋体を用いている。
封止部材54は、例えば、アクリル繊維で形成された芯となる内層と、この内層を囲撓するように配設された内層よりも高吸水性で吸水後膨潤するように加工処理された外層とを有する二重構造の水膨潤性繊維(繊維体)を束ねて円柱形状とした成形体が好適であって、高吸水性繊維が吸水して直径が膨張して直腸を封止するようなものが好適である。例えば、高吸水性繊維が吸水して直径が5倍以上に膨張するもの(商品名ランシールーF、東洋紡績製)などが使用できる。
ピストン56の先端には、プラスチック製の円板状押部材7が円筒部材3内を軸方向に摺動可能に配設されている。円板状押部材7は、膨張封止部材2に当接している円板部17と、円板部56aが直腸用シリンジ52内を軸方向に摺動可能に配設され、該円板部56aは、封止部材54に当接している。ピストン56の後端には、外測方に拡がるフランジ部56bが設けられている。該フランジ部56bは、吸収剤53を肛門Hに押し出す際に力を加える部分として機能するとともに、吸収剤53を押し出した後、肛門Hから直腸用シリンジ52とともにピストン56を引き抜く時に、作業者の手を引っ掛けるか、或いは作業者が持つ部分として機能する。このように、ピストン56は、直腸用シリンジ52の内部へとスライドさせることにより、円板部56aが封止部材54を押圧して吸収剤53を連通孔58から押し出すようになっている。
次に、上述のように構成された咽喉部用の処置装置1及び直腸用の処置装置50を使って遺体の体液が漏出するのを防止する処置方法について、以下に説明する。
まず初めに、作業者は、図3に示すように、切り目部43を起点にして袋体40を破り、袋体40の内部に連通可能で、且つ、直腸用シリンジ52の先端部の外径よりも大きな開口部42を形成する。
次いで、図1に示すように、注入器10における咽喉部用シリンジ11の筒状部14に被せられたキャップ16を外した後、筒状部14を挿入管20の接続管部31に挿入する。筒状部14を接続管部31に深く挿入していくと、筒状部14のテーパー面が接続管部31の内周面に押し付けられる。このとき、筒状部14及び接続管部31が合成樹脂材で形成されていて、各々が僅かに弾性変形するので、筒状部14のテーパー面と接続管部31の内周面とが密着した状態になる。筒状部14が接続管部31に完全に挿入される直前のタイミングにおいて筒状部14の突出部15が、接続管部31の溝部36に嵌り始める。そして、突出部15が溝部36に完全に嵌った状態、即ち、筒状部14が接続管部31に完全に挿入された状態で、突出部15が溝部36に係合して注入器10の先端部が接続管部31に接続された状態になる。これにより、筒状部14が接続管部31から不意に抜け出ることが防止され、筒状部14のテーパー面と接続管部31の内周面との密着状態が保たれて、高い液密性を確保することができる。
また、上述したように挿入管20の接続管部31の肉厚が、管本体部21の肉厚より厚いので、接続管部31の剛性が管本体部21に比べて高くなっている。したがって、接続管部31に不意に外力が作用しても、接続管部31と筒状部14との間の密着状態を維持することができる。
次に、図2及び図3に示すように、作業者の一方の手で袋体40を把持する一方、他方の手で挿入管20を把持し、開口部42を介して管本体部21の先端部を袋体40の内部に差し込む。すると、管本体部21の先端部が潤滑剤41に浸されて、管本体部21の先端部表面に潤滑剤41が付着するとともに、正面注入孔24、前側注入孔23a、23b及び後側注入孔23c、23dに潤滑剤41が入り込む。このとき、管本体部21の先端部表面に潤滑剤41を更に多く付着させたり、或いは、各注入孔23a〜23d、24に多くの潤滑剤41を入り込ませたい場合には、作業者が一方の手で袋体40をその外側から管本体部21の先端部を挟むように保持して袋体40内部の潤滑剤41を管本体部21の各注入孔23a〜23d、24に押し付けるようにすればよい。そうすると、管本体部21の表面に向かって潤滑剤41が移動するようになるので、管本体部21の各注入孔23a〜23d、24に袋体40内部の多くの潤滑剤を入り込ませることができる。また、作業者が一方の手で袋体40を保持する一方、他方の手で管本体部21の先端部をその管軸周りに正逆回転させるようにしてもよい。そうすると、潤滑剤41に対して管本体部21表面が挿入方向だけでなく管本体部21の周方向にも移動するようになるので、管本体部21の先端部表面にさらに偏りなく潤滑剤を付着させることができる。尚、この袋体40の内部に管本体部21を挿入した際に当該管本体部21を挟むように保持する方法と管本体部21を正逆回転させる方法とを一方だけ行っても良いし両方同時に行っても良い。
その後、潤滑剤41が付着した管本体部21をその先端側から遺体Sの鼻孔Aに挿入していく。このとき、管本体部21は接続管部31よりも薄肉で柔軟であるため、鼻孔Aの内壁に沿うように変形し易く、挿入力が小さくて済む。
管本体部21を鼻孔Aの奥深くへ挿入し、管本体部21の先端部における各注入孔23a〜23d、24が咽喉部Bに達すると、ストッパ35が鼻先A1に当たる。すなわち、ストッパ35は管本体部21の先端側が咽喉部Bに到達したことを示す目印として機能する。ストッパ35が鼻先A1に当たると、管本体部21を鼻孔Aにそれ以上挿入できなくなる。
管本体部21を鼻孔Aに挿入するときの挿入抵抗が大きいときには、一度管本体部21を鼻孔Aから引き抜く方向に動かしてから再度鼻孔Aに押し込む動作を行うか、或いは、挿入管20を他方の鼻孔Aに挿入する。このようにすることで、管本体部21を咽喉部Bに向けて挿入することができる。したがって、遺体処置の初心者であっても、管本体部21を咽喉部Bまで簡単に挿入することができる。
管本体部21の先端部が咽喉部Bに到達すると、ピストン12を咽喉部用シリンジ11に押し込む。すると、ピストン12が咽喉部用シリンジ11の内面に摺接しながら筒状部14側へ進み、シリンジ11内の体液漏出防止剤2が筒状部14を通って吐出部14aから挿入管20における管本体部21の内部通路Rに送り込まれる。管本体部21の内部通路Rに送り込まれた体液漏出防止剤2は、そのまま内部通路Rを通過して各注入孔23a〜23d、24から咽喉部Bに注入され、体液が咽喉部Bから体外へ漏出するのを防止する。
しかる後、再び作業者の一方の手で袋体40を把持する一方、作業者の他方の手で直腸用注入器51を把持して開口部42を介して直腸用注入器51の先端部を袋体40の内部に差し込む。すると、直腸用注入器51の先端部が潤滑剤41に浸されて、直腸用注入器51の先端部表面に潤滑剤41が付着するとともに、漏出防止体55の連通孔58から露見する部分に潤滑剤41が入り込む。このとき、直腸用注入器51の先端部表面に潤滑剤41を更に多く付着させたり、或いは、漏出防止体55に多くの潤滑剤41を付着させたい場合には、作業者が一方の手で袋体40をその外側から直腸用注入器51の先端部を挟むように保持して袋体40内部の潤滑剤41を直腸用シリンジ52の連通孔58に押し付けるようにすればよい。そうすると、直腸用シリンジ52の先端部表面に向かって潤滑剤41が移動するようになるので、直腸用シリンジ52の連通孔58周縁に袋体40内部の多くの潤滑剤41を付着させることができる。また、作業者が一方の手で袋体40を保持する一方、他方の手で直腸用シリンジ52をその軸心周りに正逆回転させるようにしてもよい。そうすると、潤滑剤41に対して直腸用シリンジ52の先端部表面が挿入方向だけでなく直腸用シリンジ52の周方向にも移動するようになるので、直腸用シリンジ52の先端部表面にさらに偏りなく潤滑剤41を付着させることができる。
その後、潤滑剤41が付着した直腸用シリンジ52を遺体Sの肛門Hに挿入し、鍔部59を肛門Hの周縁部分に当接させて直腸用シリンジ52の先端部を直腸Gに到達させる。このとき、直腸用シリンジ52の先端部表面に潤滑剤41が付着しているので、肛門Hに直腸用シリンジ52をスムーズに挿入することができる。
しかる後、フランジ60とピストン56の後端部に指をかけて、直腸用シリンジ52にピストン56を押し込む。ピストン56を押し込むことで、漏出防止体55、吸収剤53及び封止部材54が直腸用シリンジ52の先端側に押され、これにより、羽根部57が外側方に拡がるように撓んで、漏出防止体55、吸収剤53及び封止部材54が順に直腸Gへと注入される。そして、漏出防止体55、吸収剤53及び封止部材54が直腸G内の水分を吸収して膨張し、封止部材54が直腸Gを封止する。
以上より、本発明の実施形態によれば、咽喉部B用の挿入管20及び直腸用注入器51の各先端部を直接的に潤滑剤41に浸すことができるので、両方の先端部表面に必要十分な潤滑剤41を確実に付着させることができる。
また、袋体40の一部を破るだけで咽喉部B用の挿入管20及び直腸用注入器51の両方に対応可能な開口部42を形成することができるとともに、当該開口部42を介して咽喉部B用の挿入管20及び直腸用注入器51の各先端部を袋体40内部に差し込むだけで各先端部表面に潤滑剤41が付着するので、熟練者でなくても操作を容易に行うことができ、しかも、手を汚すことなく作業することができる。
また、挿入管20の先端部を袋体40内部に差し込んだ際において、潤滑剤41が各注入孔23a〜23d、24の内方にも入り込んだ状態になる。したがって、挿入管20を体腔に挿入した際において各注入孔23a〜23d、24の周縁部分が体腔の内壁に対して滑り易くなり、挿入管20を体腔にさらに挿入し易くすることができる。
また、各注入孔23a〜23d、24に潤滑剤41が入り込んでいるので、体液漏出防止剤2が各注入孔23a〜23d、24周縁に対して滑り易くなり、挿入管20の内部から咽喉部Bに向けて体液漏出防止剤2をスムーズに吐出させることができる。
また、直腸用シリンジ52の先端部を袋体40内部に差し込んだ際、潤滑剤41が連通孔58を介して漏出防止体55に付着するようになり、直腸用注入器51の先端部に多くの潤滑剤41が付着するようになるので、直腸用注入器51の先端部を肛門Hに挿入する際の作業がさらに簡単になる。
また、漏出防止体55に多くの潤滑剤41が入り込んでいるので、漏出防止体55が連通孔58周縁に対して滑り易くなり、注入管51の内部から直腸Gに向けて漏出防止体55をスムーズに押し出すことができる。
《その他の実施形態》
実施形態では、袋体40を破く際の目印として切れ目部43を設けたが、当該切れ目部43を設けずに袋体40における外周縁部のどの位置においても破れるような構造であってもよい。また、袋体40は薄くて柔軟性があり、内部に潤滑剤が密閉可能であるものであればよく、袋体40の形状は、矩形状に限られるものではなく、他の形状でも良い。
実施形態では、管本体部21及び直腸用シリンジ52の先端部を差し込む袋体40として共通の袋体40を使用したが、袋体40を2つ用意して、それぞれを専用で使うようにしても良い。
また、実施形態において、体液漏出防止剤2には、一般に使用されている防腐剤、腐食防止剤、殺菌剤、滅菌剤、芳香剤、消毒剤等を単独で、或いは混合して添加してもよい。また、体液漏出防止剤2には、例えば、安定化二酸化塩素、ホルマリン、アルコール類、フェノール類、樹木から採取した油等を添加しても良い。
また、実施形態の挿入管20は、口腔から咽喉部Bに向けて挿入することも可能である。
また、上記挿入管20を幼児に使用する場合には、挿入管20の先端から約5cm位の部位に目印またはストッパを設けるのが好ましい。さらに、児童用としては、管本体部21の先端から約8cm位の部位に目印またはストッパを設けるのが好ましい。また、挿入管20を、鼻孔Aから咽喉部Bへと挿入する場合と、口腔から咽喉部Bへと挿入する場合との両方に使用する場合には、上述したような目印やストッパを2箇所設けるようにしてもよい。
実施形態において、例えば、球状の綿材からなる耳栓及び鼻栓用の封止部材を遺体S用に設けても良い。口中用の矩形状の綿体を設けて、口腔内に詰めて頬っぺたが極端に窪むことを防止するようにしても良い。これらの綿材には、内部に高吸水性樹脂を含むゼリー体を含有しても良い。
本発明は、遺体から体液が漏出するのを防ぐための処置装置を用いた遺体の体液漏出防止方法、特に咽喉部及び直腸部に対して処置する処置装置を用いた遺体の体液漏出防止方法に適している。
1 咽喉部用の処置装置
2 体液漏出防止剤
10 注入器
11 シリンジ
12 ピストン
14 筒状部
15 突出部
20 挿入管
21 管本体部
23a、23b 前側注入孔
23c、23d 後側注入孔
24 正面注入孔
31 接続管部
40 袋体
41 潤滑剤
42 開口部
43 切れ目部(目印)
50 直腸用の処置装置
51 直腸用注入器
52 直腸用シリンジ
53 高吸水性樹脂粉末(吸収剤)
54 封止部材
55 漏出防止体

Claims (11)

  1. 先端部にキャップが被せられ、内部に高吸水性樹脂を含有する体液漏出防止剤が充填された咽喉部用注入器と、先端部に複数の注入孔が形成された可撓性を有する合成樹脂製の管本体部及び当該管本体部の後端部に一体に設けられ、上記咽喉部用注入器の先端部に接続可能な接続管部を有する棒状をなす挿入管と、先端部の外径が上記挿入管の先端部の外径より大きく形成され、内部に高吸水性樹脂粉末が充填された直腸用注入器と、潤滑剤が封入された薄いペーパー状をなす袋体とをそれぞれ用意し、
    まず初めに、上記袋体の一部を破ることによって当該袋体の内部に連通可能で、且つ、上記直腸用注入器の先端部の外径よりも大きな開口部を形成し、
    次いで、上記キャップを取り外した上記咽喉部用注入器の先端部を上記管本体部の接続管部に接続した後、作業者の一方の手で上記袋体を把持する一方、作業者の他方の手で上記挿入管を把持して上記開口部を介して上記管本体部の先端部を上記袋体の内部に差し込むことにより上記管本体部の先端部表面と上記注入孔とに上記潤滑剤を付着させ、
    その後、上記管本体部をその先端側から遺体の鼻孔又は口腔に挿入して上記管本体部の先端部を咽喉部に到達させた後、上記注入孔を介して上記咽喉部用注入器内部の体液漏出防止剤を上記咽喉部に注入することにより体液が上記咽喉部から体外へ漏出するのを防止し、
    しかる後、再び作業者の一方の手で上記袋体を把持する一方、作業者の他方の手で上記直腸用注入器を把持して上記開口部を介して上記直腸用注入器の先端部を上記袋体の内部に差し込むことにより上記直腸用注入器の先端部に上記潤滑剤を付着させ、
    そして、上記直腸用注入器をその先端側から遺体の肛門に挿入して上記直腸用注入器の先端部を直腸に到達させた後、当該直腸用注入器内部の高吸水性樹脂粉末を上記直腸に注入することにより体液が上記直腸から体外へ漏出するのを防止することを特徴とする遺体の体液漏出防止方法。
  2. 上記複数の注入孔のうちの1つは、上記管本体部先端の管軸上に形成された正面注入孔である一方、上記複数の注入孔の上記正面注入孔以外は、当該正面注入孔の周囲に形成された複数の側面注入孔であり、
    上記管本体部の先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、上記管本体部の先端部を潤滑剤に浸して当該管本体部の先端部表面に上記潤滑剤を付着させる一方、上記正面注入孔及び上記各側面注入孔に上記潤滑剤を入り込ませることを特徴とする請求項1に記載の遺体の体液漏出防止方法。
  3. 上記袋体には、上記開口部を形成するための目印が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の遺体の体液漏出防止方法。
  4. 上記目印は、上記袋体の外周縁部に形成された切れ目部であることを特徴とする請求項3に記載の遺体の体液漏出防止方法。
  5. 上記直腸用注入器は、先端部に連通孔が形成され、上記高吸水性樹脂粉末が内部に充填された直腸用シリンジと、該直腸用シリンジの後端部から当該直腸用シリンジ内部にスライド可能に嵌挿され、上記直腸用シリンジ内部へとスライドさせることにより上記高吸水性樹脂粉末を上記連通孔から押し出すピストンとを備え、
    上記直腸用シリンジの先端側内部には、上記連通孔を塞いで当該連通孔から上記高吸水性樹脂粉末が漏出するのを防止する漏出防止体が上記連通孔から露見するように配設され、
    上記直腸用シリンジの先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、上記直腸用シリンジの先端部を潤滑剤に浸して当該直腸用シリンジの先端部表面に上記潤滑剤を付着させる一方、上記漏出防止体の上記連通孔から露見する部分に上記潤滑剤を付着させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の遺体の体液漏出防止方法。
  6. 上記漏出防止体は、吸水性繊維からなることを特徴とする請求項5に記載の遺体の体液漏出防止方法。
  7. 上記潤滑剤には、消臭剤、滅菌剤、芳香剤のうちの少なくとも1つが含まれていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の遺体の体液漏出防止方法。
  8. 上記管本体部の先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、作業者は一方の手で上記袋体をその外側から上記管本体部の先端部を挟むように保持して上記袋体内部の上記潤滑剤を上記管本体部の各注入孔に押し付けることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の遺体の体液漏出防止方法。
  9. 上記管本体部の先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、作業者は一方の手で上記袋体を保持する一方、他方の手で上記管本体部の先端部をその管軸周りに正逆回転させることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の遺体の体液漏出防止方法。
  10. 上記直腸用シリンジの先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、作業者は一方の手で上記袋体をその外側から上記直腸用シリンジの先端部を挟むように保持して上記袋体内部の上記潤滑剤を上記直腸用シリンジの連通孔に押し付けることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の遺体の体液漏出防止方法。
  11. 上記直腸用シリンジの先端部を上記袋体の内部に差し込んだ際、作業者は一方の手で上記袋体を保持する一方、他方の手で上記直腸用シリンジをその軸心周りに正逆回転させることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の遺体の体液漏出防止方法。
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