JP2020192960A - 車両システム - Google Patents

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Abstract

【課題】混合気の空燃比がリーン側に設定される圧縮着火燃焼の実行時において、燃焼安定性を確保しつつ車両姿勢制御を適切に実行する。【解決手段】車両システムであって、エンジン1、モータジェネレータ114及びコントローラ60を有し、エンジン1は、混合気の一部を火花点火により燃焼させた後に残りの混合気を自己着火により燃焼させる燃焼モードを有し、コントローラ60は、ステアリング105が切り込み操作されたときに操舵角に基づき付加加速度を設定し、エンジン1が上記燃焼モードを行うときに、エンジン1の運転状態に基づき、混合気の空燃比を第1空燃比とリーン側の第2空燃比とのいずれか一方に設定し、第1空燃比の設定時には、付加加速度を発生させるよう点火時期を制御する一方で、第2空燃比の設定時には、付加加速度を発生させるようモータジェネレータ114によるトルクアシストを制御する。【選択図】図5

Description

本発明は、操舵に応じて車両の姿勢を制御する車両システムに関する。
従来から、スリップ等により車両の挙動が不安定になった場合に安全方向に車両の挙動を制御するもの(横滑り防止装置等)が知られている。具体的には、車両のコーナリング時等に、車両にアンダーステアやオーバーステアの挙動が生じたことを検出し、それらを抑制するように車輪に適切な減速度を付与するようにした技術が知られている。また、このような車両の挙動が不安定になるような走行状態における安全性向上のための制御とは別に、ステアリングホイール(以下では単に「ステアリング」とも呼ぶ。)の操作時に、車両に付与するトルクを変化させることで、コーナリング時におけるドライバの操作が自然で安定したものとなるように車両姿勢を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特に、この特許文献1に記載の技術では、ステアリング操作に応じてトルクを変化させるようにエンジンの点火時期を制御することで、詳しくはトルクを低下させるように点火時期を遅角させることで、車両姿勢を制御している。なお、以下では、このようなステアリング操作に応じて車両の姿勢を制御することを「車両姿勢制御」と呼ぶことがある。
他方で、近年、空気とガソリン燃料との混合気を十分に圧縮された気筒内で自着火により燃焼させる予混合圧縮着火燃焼が開発されている。また、混合気の全てを自着火により燃焼させるのではなく、SI(Spark Ignition)燃焼とCI(Compression Ignition)燃焼とを組み合わせた部分圧縮着火燃焼も提案されている(例えば特許文献2参照)。この部分圧縮着火燃焼は、点火プラグによる火花点火をきっかけに混合気の一部を火炎伝播により強制的に燃焼(SI燃焼)させた後に、残りの未燃混合気を自着火により燃焼(CI燃焼)させるものである。以下では、このような部分圧縮着火燃焼のことを、「SPCCI(SPark Controlled Compression Ignition)燃焼」や「火花点火制御圧縮着火燃焼」と呼ぶことがある。
特開2017−96142号公報 WO2018/096744号公報
上記の特許文献2に記載されたようなSPCCI燃焼が可能なエンジンを有する車両において、車両姿勢制御を実行させる要請がある。しかしながら、SPCCI燃焼が行われている状態において、特許文献1に記載された技術のように車両姿勢制御のために点火時期を変化させると、SPCCI燃焼が不安定となり失火が発生する場合がある。特に、混合気の空燃比をリーン側に設定してSPCCI燃焼を実行する燃焼モードがあるが、そのような燃焼モードを行うときに車両姿勢制御のために点火時期を変化させると、混合気がリーンであることから自着火(燃焼)が不安定になりやすい。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、混合気の空燃比がリーン側に設定される圧縮着火燃焼の実行時において、燃焼安定性を確保しつつ車両姿勢制御を適切に実行することができる車両システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、後輪駆動式の車両システムであって、少なくとも点火プラグを有し、後輪に連絡されたエンジンと、後輪に連絡された回転電気機械と、エンジンの運転状態を検出する運転状態センサと、ドライバにより操作されるステアリングホイールと、ステアリングホイールの操作に対応する操舵角を検出する操舵角センサと、エンジン及び回転電気機械を制御する制御器と、を有し、エンジンは、当該エンジンの気筒内の混合気の一部を点火プラグによる火花点火により燃焼させた後に、気筒内の残りの混合気を自己着火により燃焼させる燃焼モードを有し、制御器は、ステアリングホイールが切り込み操作されたときに、操舵角センサにより検出された操舵角に基づき、車両に付加すべき付加加速度を設定し、エンジンが燃焼モードを行うときに、運転状態センサにより検出されたエンジンの運転状態に基づき、混合気の空燃比を第1空燃比と当該第1空燃比よりもリーン側の第2空燃比とのいずれか一方に設定し、第1空燃比が設定されているときには、付加加速度を車両に発生させるように点火プラグの点火時期を制御する一方で、第2空燃比が設定されているときには、付加加速度を車両に発生させるように、回転電気機械から後輪を駆動するためのトルクを発生させる制御を行う、ように構成されている、ことを特徴とする。
このように構成された本発明では、制御器は、車両姿勢制御を実現するに当たって、第1空燃比により圧縮着火燃焼(特にSPCCI燃焼)が行われるときには、付加加速度を車両に発生させるために点火プラグの点火時期を制御する一方で、第1空燃比よりもリーン側の第2空燃比により圧縮着火燃焼が行われるときには、付加加速度を車両に発生させるために、回転電気機械から後輪を駆動するためのトルク(駆動トルク)を発生させる制御を行う。つまり、制御器は、第2空燃比の設定時には、エンジンの点火時期を変化させずに、回転電気機械によるトルクアシストを行って、付加加速度を車両に発生させるようにする。これにより、混合気の空燃比がリーン側に設定される圧縮着火燃焼の実行時において、燃焼安定性を確保しつつ車両姿勢制御を適切に実行することができる。
本発明において、好ましくは、回転電気機械は、巻き掛け部材を介して後輪に連絡され、制御器は、第2空燃比が設定されているときには、回転電気機械の回生発電を抑制するように構成されている。
このように構成された本発明によれば、制御器は、第2空燃比の設定時には、回転電気機械による回生発電を禁止する。これにより、第2空燃比の設定中に車両姿勢制御が行われるときに、当該制御のための回転電気機械のトルクアシストが遅れることを抑制することができる。具体的には、回生発電を禁止することにより回転電気機械に連絡された巻き掛け部材をトルクアシスト側の方向に常に張っておくことで、第2空燃比の設定時に車両姿勢制御の要求があった場合に、回転電気機械を速やかにトルクアシストさせることができ、所望の車両姿勢制御を適切に実現することができる。
本発明において、好ましくは、巻き掛け部材はベルトである。
ベルトは比較的伸びやすい性質を有するので、ベルトが回生側の方向に張られた状態からこれと反対のトルクアシスト側の方向に張られるまでに時間がかかる。そのため、本発明では、ベルトにて構成された巻き掛け部材を適用する場合に、上述したように、第2空燃比の設定時に回転電気機械の回生発電を禁止することで、第2空燃比の設定時に車両姿勢制御が行われる場合に回転電気機械のトルクアシストが遅れることを効果的に抑制できるようになる。
本発明において、好ましくは、第1空燃比は、理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である。
このように構成された本発明によれば、適用する空燃比を理論空燃比付近に設定することで、エミッション性能を適切に確保することができる。
本発明において、好ましくは、第2空燃比は、理論空燃比よりもリーン側の空燃比である。
このように構成された本発明によれば、適用する空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定することで、エンジンの燃費性能及びエミッション性能を適切に確保することができる。
本発明において、好ましくは、第2空燃比は、混合気内における燃料量に対する空気量の割合により規定され、この割合が25〜30の範囲内に設定される。
このように構成された本発明によれば、エンジンの燃費性能及びエミッション性能を効果的に改善することができる。
本発明において、好ましくは、制御器は、操舵角センサにより検出された操舵角から操舵速度を求め、当該操舵速度に基づき付加加速度を設定するように構成されている。
このように構成された本発明によれば、車両姿勢制御を行うときに、ドライバのステアリング操作に応じた加速度を車両に適切に付加することができる。
本発明の車両システムによれば、混合気の空燃比がリーン側に設定される圧縮着火燃焼の実行時において、燃焼安定性を確保しつつ車両姿勢制御を適切に実行することができる。
本発明の実施形態による車両システムが適用された車両の全体構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるエンジンの概略構成図である。 本発明の実施形態による車両システムの制御構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態によるエンジンの運転領域についての説明図である。 本発明の実施形態による車両姿勢制御のメカニズムについての説明図である。 本発明の実施形態による全体制御を示すフローチャートである。 本発明の実施形態によるモータジェネレータ設定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による増加トルク設定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による付加加速度と操舵速度との関係を示すマップである。 本発明の実施形態による増加トルク適用処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による車両姿勢制御を実行した場合のタイムチャートの一例を示す。 本発明の実施形態による車両姿勢制御を実行した場合のタイムチャートの別の例を示す。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両システムについて説明する。
<車両の構成>
図1は、本発明の実施形態による車両システムが適用された車両の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る車両100は、FR駆動車であって、主たる駆動源としてエンジン1を備える。例えば、エンジン1は、図示しない4つの気筒を有し、SI燃焼及びSPCCI(部分圧縮着火燃焼/火花点火制御圧縮着火燃焼)が可能な直列4気筒ガソリンエンジンである。
車両100は、エンジン1などを搭載する車体101と、従動輪及び操舵輪としての前輪102と、駆動輪としての後輪103とを含む。前輪102及び後輪103は、車体101に対してサスペンション120により夫々支持されている。エンジン1で生成された駆動力は、トランスミッション110、プロペラシャフト116、及びリヤディファレンシャルギア118などを介して後輪103に伝達される。また、車両100には、前輪102を操舵するためのステアリングホイール(ステアリング)105及びステアリングシャフト106などを含む操舵装置104、及びドライバによって操作されるアクセルペダル107が備えられている。
また、車両100には、後輪103を駆動する機能(つまり電動機としての機能)と、後輪103により駆動されて回生発電を行う機能(つまり発電機としての機能)と、を有するモータジェネレータ114が搭載されている。具体的には、モータジェネレータ114は、巻き掛け部材としてのゴム製のベルト112、エンジン1及びトランスミッション110などを介して、後輪103との間で力が伝達される。モータジェネレータ114は、図示しないバッテリに接続されており、駆動トルクを発生するときにはバッテリから電力が供給され、発電(回生)したときにはバッテリに電力を供給してバッテリを充電する。
また、車両100には、コントローラ60(制御器)が搭載されている。コントローラ60は、車両100内の各種センサの信号が出力した検出信号に基づいて、エンジン1及びモータジェネレータ114などを制御する。厳密には、コントローラ60は、図示しないインバータを介してモータジェネレータ114を制御する。
<エンジンの構成>
図2は、本発明の実施形態によるエンジンの概略構成図である。エンジン1は、4サイクルのガソリン直噴エンジンからなるエンジン本体1aと、エンジン本体aに導入される吸気が流通する吸気通路30と、エンジン本体1aから排出される排気ガスが流通する排気通路40と、排気通路40を流通する排気ガスの一部を吸気通路30に還流させるEGR装置50とを備えている。
エンジン1は、車両100の駆動源として利用される。本実施形態では、エンジン1は、ガソリンを主成分とする燃料の供給を受けて駆動されるエンジンである。なお、燃料は、バイオエタノール等を含むガソリンであってもよい。エンジン本体1aは、シリンダブロック3、シリンダヘッド4及びピストン5を備える。シリンダブロック3は、上述の4つの気筒を形成するシリンダライナを有する。シリンダヘッド4は、シリンダブロック3の上面に取り付けられ、気筒2の上部開口を塞いでいる。ピストン5は、各気筒2に往復摺動可能に収容されており、コネクティングロッド8を介してクランク軸7と連結されている。ピストン5の往復運動に応じて、クランク軸7はその中心軸回りに回転する。
ピストン5の上方には燃焼室6が形成されている。燃焼室6には燃料が、後述するインジェクタ15からの噴射によって供給される。そして、供給された燃料と空気との混合気が燃焼室6で燃焼され、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。気筒2の幾何学的圧縮比、つまりピストン5が上死点にあるときの燃焼室6の容積とピストン5が下死点にあるときの燃焼室6の容積との比は、後述するSPCCI燃焼に好適となるように、13以上30以下(例えば20程度)の高圧縮比に設定されている。
シリンダブロック3には、クランク角センサSN1及び水温センサSN2が取り付けられている。クランク角センサSN1は、クランク軸7の回転角度(クランク角)及びクランク軸7の回転速度(エンジン回転速度)を検出する。水温センサSN2は、シリンダブロック3及びシリンダヘッド4の内部を流通する冷却水の温度(エンジン水温)を検出する。
シリンダヘッド4には、燃焼室6と連通する吸気ポート9及び排気ポート10が形成されている。シリンダヘッド4の底面は、燃焼室6の天井面となる。この燃焼室天井面には、吸気ポート9の下流端である吸気側開口と、排気ポート10の上流端である排気側開口とが形成されている。シリンダヘッド4には、吸気側開口を開閉する吸気弁11と、排気側開口を開閉する排気弁12とが組み付けられている。なお、図示は省いているが、エンジン本体1aのバルブ形式は、吸気2バルブ×排気2バルブの4バルブ形式であって、吸気ポート9及び排気ポート10は、各気筒2につき2つずつ設けられるとともに、吸気弁11及び排気弁12も2つずつ設けられている。
シリンダヘッド4には、カムシャフトを含む吸気側動弁機構13及び排気側動弁機構14が配設されている。吸気弁11及び排気弁12は、これら動弁機構13、14により、クランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。吸気側動弁機構13には、吸気弁11の少なくとも開時期を変更可能な吸気VVT13aが内蔵されている。同様に、排気側動弁機構14には、排気弁12の少なくとも閉時期を変更可能な排気VVT14aが内蔵されている。これら吸気VVT13a及び排気VVT14aの制御により、吸気弁11及び排気弁12の双方が排気上死点を跨いで開弁するバルブオーバーラップ期間を調整することが可能である。また、このバルブオーバーラップ期間の調整により、燃焼室6に残留する既燃ガス(内部EGRガス)の量を調整することが可能である。
シリンダヘッド4には、さらにインジェクタ15(燃料噴射弁)及び点火プラグ16が取り付けられている。インジェクタ15は、気筒2(燃焼室6)内に燃料を噴射する。インジェクタ15としては、その先端部に複数の噴孔を有し、これらの噴孔から放射状に燃料を噴射することが可能な多噴孔型のインジェクタを用いることができる。インジェクタ15は、その先端部が燃焼室6内に露出し、且つ、ピストン5の冠面の径方向中心部と対向するように配置されている。
点火プラグ16は、インジェクタ15に対し吸気側に幾分ずれた位置に配置され、その先端部(電極部)が気筒2内に臨む位置に配置されている。点火プラグ16は、気筒2(燃焼室6)内に形成される燃料と空気との混合気に点火する強制点火源である。
シリンダヘッド4には、センシング要素として、筒内圧センサSN3、吸気カム角センサSN12及び排気カム角センサSN13は配設されている。筒内圧センサSN3は、燃焼室6の圧力を検出する。吸気カム角センサSN12は、吸気側動弁機構13のカムシャフトの回転位置を、排気カム角センサSN13は、排気側動弁機構14のカムシャフトの回転位置を、各々検出する。
吸気通路30は、図2に示すように、吸気ポート9と連通するようにシリンダヘッド4の一側面に接続されている。吸気通路30の上流端から取り込まれた空気(新気)は、吸気通路30および吸気ポート9を通じて燃焼室6に導入される。吸気通路30には、その上流側から順に、エアクリーナ31、スロットル弁32、過給機33、電磁クラッチ34、インタークーラ35及びサージタンク36が配置されている。
エアクリーナ31は、吸気中の異物を除去して吸気を清浄化する。スロットル弁32は、アクセルペダル107の踏み込み動作と連動して吸気通路30を開閉し、吸気通路30における吸気の流量を調整する。過給機33は、吸気を圧縮しつつ吸気通路30の下流側へ当該吸気を送り出す。過給機33は、エンジン本体1aと機械的に連係されたスーパーチャージャであり、電磁クラッチ34によりエンジン本体1aとの締結及びその締結解除が切換られる。電磁クラッチ34が締結されると、エンジン本体1aから過給機33に駆動力が伝達されて、過給機33による過給が行われる。インタークーラ35は、過給機33により圧縮された吸気を冷却する。サージタンク36は、図略のインテークマニホールドの直上流に配置され、複数の気筒2に吸気を均等に配分するための空間を提供するタンクである。
吸気通路30の各部には、吸気の流量を検出するエアフローセンサSN4と、吸気の温度を検出する第1・第2吸気温センサSN5,SN7と、吸気の圧力を検出する第1・第2吸気圧センサSN6,SN8とが設けられている。エアフローセンサSN4及び第1吸気温センサSN5は、吸気通路30におけるエアクリーナ31とスロットル弁32との間の部分に配置され、当該部分を通過する吸気の流量、温度を各々検出する。第1吸気圧センサSN6は、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間(後述するEGR通路51の接続口よりも下流側)の部分に設けられ、当該部分を通過する吸気の圧力を検出する。第2吸気温センサSN7は、吸気通路30における過給機33とインタークーラ35との間の部分に設けられ、当該部分を通過する吸気の温度を検出する。第2吸気圧センサSN8は、サージタンク36に設けられ、当該サージタンク36内の吸気の圧力を検出する。
吸気通路30には、過給機33をバイパスして吸気を燃焼室6に送るためのバイパス通路38が設けられている。バイパス通路38は、サージタンク36と後述するEGR通路51の下流端付近とを互いに接続している。バイパス通路38には、当該バイパス通路38を開閉可能なバイパス弁39が設けられている。
排気通路40は、排気ポート10と連通するようにシリンダヘッド4の他側面に接続されている。燃焼室6で生成された既燃ガス(排気ガス)は、排気ポート10及び排気通路40を通して車両100の外部に排出される。排気通路40には触媒コンバータ41が設けられている。触媒コンバータ41には、排気通路40を流通する排気ガス中に含まれる有害成分(HC、CO、NOx)を浄化するための三元触媒41aと、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するためのGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルタ)41bとが内蔵されている。
EGR装置50は、排気通路40と吸気通路30とを接続するEGR通路51と、EGR通路51に設けられたEGRクーラ52およびEGR弁53とを備える。EGR通路51は、排気通路40における触媒コンバータ41よりも下流側の部分と、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間の部分とを互いに接続している。EGRクーラ52は、EGR通路51を通じて排気通路40から吸気通路30に還流される排気ガス(外部EGRガス)を熱交換により冷却する。EGR弁53は、EGRクーラ52よりも下流側のEGR通路51に開閉可能に設けられ、EGR通路51を流通する排気ガスの流量を調整する。なお、EGR通路51には、EGR弁53の上流側の圧力と下流側の圧力との差を検出するための差圧センサSN9が設けられている。
アクセルペダル107には、そのアクセル開度を検出するアクセル開度センサSN10が付設されている。アクセル開度センサSN10は、アクセルペダル107のペダル踏み込み具合を検出するセンサであり、ドライバの加減速を検出するセンサでもある。ステアリング105には、操舵角センサSN11が付設されている。操舵角センサSN11は、ステアリング105による前輪102の操舵角を検出する。なお、前輪102の操舵角を検出可能な他の操舵角センサ(例えば前輪102の転舵角(タイヤ角)を検出するセンサなど)を適用しても良い。
<制御構成>
図3は、本発明の実施形態による車両システムの制御構成を示すブロック図である。図3に示すように、コントローラ60は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)としてのマイクロプロセッサと、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)により構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力バス等を備えている。
コントローラ60には、車両100に搭載された各種センサからの検出信号が入力される。コントローラ60は、上述したクランク角センサSN1、水温センサSN2、筒内圧センサSN3、エアフローセンサSN4、第1・第2吸気温センサSN5,SN7、第1・第2吸気圧センサSN6,SN8、差圧センサSN9、アクセル開度センサSN10、操舵角センサSN11、吸気カム角センサSN12及び排気カム角センサSN13に加えて、車速センサSN14と電気的に接続されている。これらのセンサSN1〜SN14によって検出された情報、すなわち、クランク角、エンジン回転速度、エンジン水温、筒内圧力、吸気流量、吸気温、吸気圧、EGR弁53の前後差圧、アクセル開度、操舵角、吸気・排気カム角、車速等の情報がコントローラ60に逐次入力される。
コントローラ60は、上記各センサSN1〜SN14他からの入力信号に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。すなわち、コントローラ60は、吸気VVT13a、排気VVT14a、インジェクタ15、点火プラグ16、スロットル弁32、電磁クラッチ34、バイパス弁39、EGR弁53、及びモータジェネレータ114等と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいてこれらの機器にそれぞれ制御用の信号を出力する。
なお、上述した実施形態では、本発明における車両システムは、主に、エンジン1と、回転電気機械としてのモータジェネレータ114と、運転状態センサとしてのクランク角センサSN1及びアクセル開度センサSN10等と、ステアリングホイール105と、操舵角センサSN11と、制御器としてのコントローラ60と、により構成される。
<燃焼制御>
次に、本実施形態によるエンジン1の燃焼制御について詳述する。図4は、本発明の実施形態によるエンジン1の運転領域についての説明図である。具体的には、図4は、エンジンの回転数及び負荷に応じた燃焼制御の相違を説明するための簡易的な運転マップである。この運転マップには、4つの運転領域;第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3及び第4領域A4が示されている。第1領域A1は、エンジン回転数が低速・中速の領域におけるエンジン負荷が低い(無負荷を含む)低負荷の領域と、エンジン回転数が高速の領域における中負荷・高負荷の領域である。第2領域A2は、低速・中速の領域における、第1領域A1よりも負荷が高い領域(低速・中速/中負荷領域)である。第3領域A3は、低速・中速の領域における、第2領域A2よりも負荷が高い領域(低速・中速/高負荷領域)である。第4領域A4は、低速の領域における、全開ラインに近い領域である。
第1領域A1及び第4領域A4では、SI燃焼が実行される。SI燃焼は、点火プラグ16を用いた火花点火により燃焼室6内の混合気に点火し、その点火点から周囲へと燃焼領域を拡げていく火炎伝播により、混合気を強制的に燃焼させる燃焼形態である。つまり、SI燃焼は、気筒2内の混合気の全てが、点火プラグ16が生成した火炎の伝搬により燃焼する燃焼モードである。
第2領域A2及び第3領域A3では、SPCCI燃焼(部分圧縮着火燃焼/火花点火制御圧縮着火燃焼)が実行される。SPCCI燃焼は、上記のSI燃焼と、CI燃焼とをミックスした燃焼である。CI燃焼は、ピストン5の圧縮により高温・高圧化された環境下で混合気を自己着火により燃焼させる燃焼形態である。SPCCI燃焼は、混合気が自己着火する寸前の環境下で行われる火花点火により燃焼室6内の混合気の一部をSI燃焼させ、当該SI燃焼の後に(SI燃焼に伴うさらなる高温・高圧化により)燃焼室6内の残りの混合気を自己着火によりCI燃焼させる、という燃焼形態である。つまり、SPCCI燃焼は、気筒2内の混合気の少なくとも一部が、自己着火により燃焼する燃焼モードである。
本実施形態によるSPCCI燃焼は、燃焼室6に形成される混合気の空燃比を理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比(第1空燃比)に設定する燃焼モード(以下では「第1燃焼モード」と呼ぶ。)と、燃焼室6に形成される混合気の空燃比を理論空燃比よりもリーン側の空燃比(第2空燃比)に設定する燃焼モード(以下では「第2燃焼モード」と呼ぶ。)とを含む。詳しくは、第1燃焼モードは、燃焼室6内の空気(新気)と燃料との重量比である空燃比(A/F)を、理論空燃比(λ=1)若しくはその近傍(λ<1)に設定しつつSPCCI燃焼を行うモードである。第1燃焼モードの空燃比A/Fは、言うまでもなくλ=1の14.7/1である。一方、第2燃焼モードは、空燃比(A/F)を理論空燃比(14.7)よりも大きい値に設定しつつSPCCI燃焼を行うモードである。本実施形態では、第2燃焼モードにおいて形成される混合気の空燃比A/Fは、25〜30/1程度の範囲に設定される。SPCCI燃焼時において、上記の第2燃焼モード(λ>1)又は第1燃焼モード(λ≦1)のいずれかが、エンジン1の運転状態(基本的には回転数及びアクセル開度)に基づいて選択される。
まず、第2領域A2では、SPCCI燃焼のうち、第2燃焼モード(λ>1)での燃焼が実行される。この第2領域A2においてコントローラ60が実行する燃焼制御は以下の通りである。コントローラ60は、インジェクタ15には、圧縮行程の中期から後期にかけて、燃料噴射(1回目)及び燃料噴射(2回目)の2回に分けて燃料を噴射させる。また、コントローラ60は、点火プラグ16には、圧縮上死点の近傍であってやや進角側のタイミングで混合気に点火させる。この点火をきっかけにSPCCI燃焼が開始され、燃焼室6内の一部の混合気が火炎伝播により燃焼(SI燃焼)し、その後に残りの混合気が自着火により燃焼(CI燃焼)する。
ここで、SPCCI燃焼の利点について説明する。SPCCI燃焼では、SI燃焼が発現しているときよりもCI燃焼が発現しているときの方が、熱発生が急峻になるという性質がある。すなわち、SI燃焼に対応する燃焼初期の立ち上がりの傾きが、その後のCI燃焼に対応して生じる立ち上がりの傾きよりも小さくなる。SI燃焼によって、燃焼室6内の温度および圧力が高まると、これに伴い未燃混合気が自己着火し、CI燃焼が開始される。このCI燃焼が開始するタイミングで、熱発生率の波形の傾きが小から大へと変化する。また、このような熱発生率の傾向に対応して、SPCCI燃焼では、SI燃焼時に生じる燃焼室6内の圧力上昇率(dp/dθ)がCI燃焼時のそれよりも小さくなる。
CI燃焼の開始後は、SI燃焼とCI燃焼とが並行して行われる。CI燃焼は、SI燃焼よりも混合気の燃焼速度が速いため、熱発生率は相対的に大きくなる。ただし、CI燃焼は、圧縮上死点の後に発現するため、熱発生率の波形の傾きが過大になることはない。すなわち、圧縮上死点を過ぎるとピストン5の下降によりモータリング圧力が低下するので、このことが熱発生率の上昇を抑制する結果、CI燃焼時のdp/dθが過大になることが回避される。このように、SPCCI燃焼では、SI燃焼の後にCI燃焼が行われるという性質上、燃焼騒音の指標となるdp/dθが過大になり難く、単純なCI燃焼(全ての燃料をCI燃焼させた場合)に比べて燃焼騒音を抑制することができる。
CI燃焼の終了に伴いSPCCI燃焼も終了する。CI燃焼はSI燃焼に比べて燃焼速度が速いので、単純なSI燃焼(全ての燃料をSI燃焼させた場合)に比べて燃焼終了時期を早めることができる。言い換えると、SPCCI燃焼では、燃焼終了時期を膨張行程内において圧縮上死点に近づけることができる。これにより、SPCCI燃焼では、単純なSI燃焼に比べて燃費性能を向上させることができる。
次いで、第3領域A3内の低負荷領域では、SPCCI燃焼のうち、第1燃焼モード(λ≦1)の範疇であって、燃焼室6内の空燃比が理論空燃比(λ=1)に調製された混合気の燃焼が実行される。この場合、コントローラ60は、インジェクタ15には、比較的多量の燃料を噴射する1回目の燃料噴射を吸気行程中に実行させ、次いで当該1回目の燃料噴射よりも少量の燃料を噴射する2回目の燃料噴射を圧縮行程中に実行させる。また、コントローラ60は、点火プラグ16には、圧縮上死点よりもやや進角側のタイミングで混合気に点火させる。この点火をきっかけにSPCCI燃焼が開始される点は、上記の第2燃焼モードと同様である。
また、第3領域A3の高負荷領域では、SPCCI燃焼のうち、第1燃焼モードの範疇であって、燃焼室6内の空燃比が理論空燃比よりもややリッチ(λ≦1)とされた混合気の燃焼が実行される。この場合、コントローラ60は、インジェクタ15には、1サイクル中に噴射すべき燃料の全部または大半を吸気行程中に噴射させる。例えば、吸気行程の後半から圧縮行程の初期にかけた一連の期間にわたって燃料を噴射させる。また、コントローラ60は、点火プラグ16には、圧縮上死点の近傍であってやや遅角側のタイミングで混合気に点火させる。この点火をきっかけにSPCCI燃焼が開始される点は、上記の第2燃焼モード等と同様である。
なお、第3領域A3において、混合気を理論空燃比のλ=1で形成させる場合と、理論空燃比よりもややリッチなλ≦1で形成させる場合とを、負荷に応じて使い分ける例を示したが、これに代えて、第3領域A3の全域において、混合気を理論空燃比のλ=1で形成させるようにしても良い。
他方で、第4領域A4では、SPCCI燃焼ではなく、点火タイミングをリタードさせたSI燃焼が実行される。この場合、コントローラ60は、インジェクタ15には、比較的多量の燃料を噴射する1回目の燃料噴射を吸気行程中に実行させ、続いて当該1回目の燃料噴射よりも少量の燃料を噴射する2回目の燃料噴射を圧縮行程の後期(圧縮上死点の直前)に実行させる。また、コントローラ60は、点火プラグ16にはリタード点火を実行させる。混合気への点火タイミングは、例えば圧縮上死点から5〜20°CA程度経過した比較的遅めのタイミングとされる。この点火をきっかけにSI燃焼が開始され、燃焼室6内の混合気の全てが火炎伝播により燃焼する。なお、第4領域A4での点火時期が上記のように遅角されるのは、ノッキングやプリイグニッション等の異常燃焼を防止するためである。
また、第1領域A1でも、SPCCI燃焼ではなく、オーソドックスなSI燃焼が実行される。この場合、コントローラ60は、インジェクタ15には、吸気行程から圧縮行程にかけた一連の期間にわたって燃料を噴射させる。また、コントローラ60は、点火プラグ16には圧縮上死点よりもやや進角側のタイミングで混合気に点火させる。この点火をきっかけにSI燃焼が開始され、燃焼室6内の混合気の全てが火炎伝播により燃焼する。
<車両姿勢制御>
次に、本実施形態においてコントローラ60が実行する車両姿勢制御について説明する。
まず、本実施形態による車両姿勢制御の概要について説明する。本実施形態では、コントローラ60は、ステアリングホイール(ステアリング)105が切り込み操作されたときに、操舵角センサSN11により検出された操舵角に基づき(より具体的には当該操舵角から求まる操舵速度に基づき)、車両100に付加すべき付加加速度を設定し、この付加加速度を発生させるために、車両100に付与されるトルクを増加させるための増加トルクを設定する。このような増加トルクに応じて車両100に付与されるトルクを増加させることにより、車両100に加速度(付加加速)が発生することで、ステアリング105の切り込み操作に対する車両100の旋回応答性を向上させることができる。
ここで、図5を参照して、本発明の実施形態による車両姿勢制御のメカニズムについて説明する。図5に示すように、上述した増加トルクの付与に応じて後輪103のトルクが増加すると、後輪103を車両前方へ推進させる力F1が、後輪103からサスペンション120を介して車体101に伝達される。この場合、後輪103の中心軸103aから車体101の取付部120aに向かってサスペンション120が斜め上方に延びているので(なお、取付部120aは、サスペンション120の車体101への実際の取付部を意味するのではなく、後輪103からの力が車体101に作用する点、つまり仮想的な作用点を意味するものとする。また、ここで示すサスペンション120も、そのような取付部120aと後輪103の中心軸103aとを結んだ仮想的な線分を意味するものとする。)、後輪103を車両前方へ推進させる力F1における上方向の成分の力F11が車体101に生じる、つまり車体101の後部を上向きに持ち上げる力F11が瞬間的に車体101に作用する。その結果、図5に示すようなモーメントY1が生じて、前傾方向のピッチングが車体101に生成される。このような前傾方向のピッチングを生成する方向のモーメントY1により、車体101の前部を下向きに沈み込ませる力F12が車体101に作用し、車体101の前部が沈み込んで前輪荷重が増大する。これにより、ステアリング105の切り込み操作に対する車両100の旋回応答性を向上させることができる。
なお、上記のように後輪103のトルクを増加させると、車体101を前傾させる瞬間的な力の他に、車体101を後傾させる慣性力も発生することが考えられるが、ステアリング105の切り込み操作に対する車両応答性に対しては後輪103のトルク増加による瞬間的な車体101を前傾させる力が支配的に寄与する。
更に、本実施形態では、コントローラ60は、SPCCI燃焼の第1燃焼モードが行われるとき(つまり理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチ側の第1空燃比が設定されるSPCCI燃焼が行われるとき)と、SPCCI燃焼の第2燃焼モードが行われるとき(つまり理論空燃比よりもリーン側の第2空燃比が設定されるSPCCI燃焼が行われるとき)とで、付加加速度を車両100に発生させるための制御態様を変える。具体的には、コントローラ60は、第1燃焼モードでは、付加加速度を車両100に発生させるために点火プラグ16の点火時期を制御する一方で、第2燃焼モードでは、付加加速度を車両100に発生させるために、モータジェネレータ114から駆動トルク(後輪103を駆動するためのトルク)を発生させる制御を行う。つまり、コントローラ60は、第1燃焼モードでは、点火時期を進角させることにより(この場合、エンジン1のトルクが増加する)、車両100に付与されるトルクを増加させることで、付加加速度を実現するようにする一方で、第2燃焼モードでは、モータジェネレータ114から駆動トルクを発生させることにより(この場合、モータジェネレータ114によるエンジン1のトルクアシストが行われる)、車両100に付与されるトルクを増加させることで、付加加速度を実現するようにする。
空燃比がリーン側に設定される第2燃焼モードにおいて点火時期を進角させると、混合気がリーンであることから、SPCCI燃焼が不安定になりやすい。そのため、本実施形態では、コントローラ60は、第2燃焼モードでは、点火時期を進角させる代わりに、モータジェネレータ114から駆動トルクを発生させて、つまりモータジェネレータ114によるトルクアシストを行って、付加加速度を車両100に発生させる。こうすることで、空燃比がリーン側に設定されるSPCCI燃焼の燃焼安定性を確保しつつ、車両姿勢制御を適切に実行できるようになる。
なお、車両姿勢制御では、基本的には、付加加速度を車両100に発生させるようにエンジン1のトルクを増加させるべく、エンジン1に導入する吸気量を制御すること(スロットル弁32や吸気弁11の制御)が図られるが、この制御は比較的大きな遅れが伴うものなので、この遅れを補償するように点火時期が制御されるのである。つまり、結果的に、点火時期を進角させることにより、エンジン1のトルクを増加させることで、車両姿勢制御を実現している。一方で、SPCCI燃焼も、基本的には、空気量やEGR量や燃料噴射量や燃料噴射時期などを制御することで当該燃焼を実現するようにしているが、これらの制御も遅れが伴うものなので、この遅れを補償するように点火時期が結果的に制御される。したがって、SPCCI燃焼を行うときに車両姿勢制御のために点火時期を制御してしまうと、SPCCI燃焼のための点火時期の制御が行えなくなり、適切なSPCCI燃焼が実現できない場合がある。このような問題は、空燃比がリーン側に設定されるSPCCI燃焼(第2燃焼モード)において特に顕著となる。これは混合気がリーンであることから自着火(燃焼)が不安定になりやすいからである。したがって、本実施形態では、コントローラ60は、SPCCI燃焼の第2燃焼モードにおいて車両姿勢制御を行う場合には、上述したように、点火時期を進角させる代わりにモータジェネレータ114によるトルクアシストを行うことで、付加加速度を車両100に発生させている。
ただし、空燃比が理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチ側に設定されるSPCCI燃焼(第1燃焼モード)では、当該SPCCI燃焼時に車両姿勢制御のために点火時期を制御しても上述したような問題は生じない、つまりSPCCI燃焼の燃焼安定性が確保される。これは、混合気の空燃比がλ≦1であるため、自着火を生じさせやすいから、つまり燃焼が安定しやすいからである。また、SI燃焼についても、当該燃焼時に車両姿勢制御のために点火時期を制御しても上述したような問題は生じないことは言うまでもない。したがって、本実施形態では、コントローラ60は、SPCCI燃焼の第1燃焼モード及びSI燃焼中に車両姿勢制御を行う場合には、通常通り、点火時期を進角させることで付加加速度を車両100に発生させるようにする。
更に、本実施形態では、コントローラ60は、第2燃焼モードでは、モータジェネレータ114による回生発電を禁止する。こうする理由は以下の通りである。モータジェネレータ114が回生発電するときには、モータジェネレータ114に連結されたベルト112が一方向側(トルクアシスト側と反対の回生側)に張られることとなる、つまりベルト112が回生側に伸びることとなる。そのようなベルト112の状態において、第2燃焼モードでモータジェネレータ114のトルクアシストにより車両姿勢制御を行おうとすると、モータジェネレータ114によるトルクアシストが遅れる傾向にある。これは、ベルト112が回生側の方向に張られた状態からこの回生側と反対のトルクアシスト側の方向に張られるまでに時間がかかるからである。したがって、本実施形態においては、コントローラ60は、第2燃焼モードでは、車両姿勢制御のためのモータジェネレータ114のトルクアシストが遅れることを抑制すべく、モータジェネレータ114による回生発電を禁止する。すなわち、第2燃焼モードにおいては、当該燃焼モード中での適切な車両姿勢制御の実現を確保すべく、モータジェネレータ114による回生発電を禁止して、ベルト112をモータジェネレータ114のトルクアシスト側の方向に常に張っておくようにする(伸ばしておくようにする)。
次に、図6乃至図10を参照して、本実施形態による車両姿勢制御について具体的に説明する。図6は、本発明の実施形態による全体制御を示すフローチャートである。図7は、図6の全体制御において実行される、本発明の実施形態によるモータジェネレータ設定処理を示すフローチャートである。図8は、図6の全体制御において実行される、本発明の実施形態による増加トルク設定処理を示すフローチャートであり、図9は、図8の増加トルク設定処理で用いられる、本発明の実施形態による付加加速度と操舵速度との関係を示すマップである。図10は、図6の全体制御において実行される、本発明の実施形態による増加トルク適用処理を示すフローチャートである。
図6の制御処理は、車両100のイグニッションがオンにされ、コントローラ60に電源が投入された場合に起動され、所定周期(例えば50ms)で繰り返し実行される。この制御処理が開始されると、ステップS11において、コントローラ60は、各種センサ情報を取得する。具体的には、コントローラ60は、上述したセンサSN1〜SN14が出力した検出信号に対応するセンサ情報を取得する。特に、コントローラ60は、操舵角センサSN11が検出した操舵角、アクセル開度センサSN10が検出したアクセル開度、車速センサSN14が検出した車速、クランク角センサSN1が検出したエンジン回転数、及び、車両100のトランスミッション110に現在設定されているギヤ段を取得する。
次いで、ステップS12において、コントローラ60は、ステップS11で取得した各種センサ情報に基づき、エンジン1の制御指令値を設定する。まず、コントローラ60は、車速及びアクセル開度などに基づき目標加速度を設定する。1つの例では、コントローラ60は、種々の車速及び種々のギヤ段について規定された加速度特性マップ(予め作成されてメモリなどに記憶されている)の中から、現在の車速及びギヤ段に対応する加速度特性マップを選択し、選択した加速度特性マップを参照して現在のアクセル開度などに対応する目標加速度を設定する。そして、コントローラ60は、この目標加速度を実現するためにエンジン1が発生すべき目標トルクを決定する。この場合、コントローラ60は、現在の車速、ギヤ段、路面勾配、路面μなどに基づき、エンジン1が出力可能なトルクの範囲内で、目標トルクを決定する。更に、コントローラ60は、図4に示した運転マップを参照して、領域A1〜A4の中から現在のエンジン負荷及びエンジン回転数に対応する領域を選び、当該領域に応じて実行すべき燃焼制御(SI燃焼やSPCCI燃焼(第1及び第2燃焼モードを含む)のための制御)を決定する。そして、コントローラ60は、この燃焼制御と上述した目標トルクを実現するように、エンジン1の各構成部(吸気VVT13a、排気VVT14a、インジェクタ15、点火プラグ16、スロットル弁32、電磁クラッチ34、バイパス弁39、EGR弁53)の制御指令値を設定する。
次いで、ステップS13において、コントローラ60は、図7に示すモータジェネレータ設定処理を実行する。
図7に示すように、モータジェネレータ設定処理が開始されると、ステップS21において、コントローラ60は、モータジェネレータ114の制御指令値を設定する。具体的には、コントローラ60は、エンジン1の効率と、モータジェネレータ114の効率と、モータジェネレータ114との間で電力の授受を行うバッテリのSOC(State Of Charge)に基づき、上述した目標トルクを実現するためのモータジェネレータ114の制御指令値を設定する。この場合、コントローラ60は、例えば事前に定められたエンジン1の効率マップ及びモータジェネレータ114の効率マップ(駆動(力行)及び回生の両方の効率を含む)を参照する。コントローラ60は、バッテリのSOCに応じた入出力制限を遵守しつつ、エンジン1及びモータジェネレータ114の両方をできる限り効率良く動作させて目標トルクを車両100から発生させるように、モータジェネレータ114の制御指令値を設定する。コントローラ60は、こうして設定されたモータジェネレータ114の制御指令値に基づき、上記のステップS12で設定されたエンジン1の制御指令値を変更するのがよい。
次いで、ステップS22において、コントローラ60は、エンジン1の燃焼モードが第2燃焼モードに設定されているか否かを判定する。例えば、コントローラ60は、図4に示した運転マップ及び現在のエンジン1の運転状態(エンジン負荷及びエンジン回転数)に基づき、現在のエンジン1の燃焼モードを判定する。
ステップS22の結果、第2燃焼モードが設定されていると判定された場合(ステップS22:Yes)、コントローラ60は、ステップS23に進み、モータジェネレータ114のトルクアシストを許可し、回生発電を禁止する。コントローラ60は、この後に別の制御や処理からモータジェネレータ114の回生発電の要求があったとしても、当該回生発電の実行を禁止する。このように回生発電を禁止するのは、上述したように、第2燃焼モードにおいて車両姿勢制御が行われるときに、当該制御のためのモータジェネレータ114のトルクアシストが遅れることを抑制するためである。すなわち、回生発電を禁止することによりモータジェネレータ114に連結されたベルト112をトルクアシスト側の方向に常に張っておくようにすることで(伸ばしておくようにする)、第2燃焼モード中での適切な車両姿勢制御の実現を確保するためである。このようなステップS23の後、コントローラ60は、モータジェネレータ設定処理を終了し、図6のメインルーチンに戻る。
一方で、第2燃焼モードが設定されていないと判定された場合(ステップS22:No)、つまり第1燃焼モードが設定されている場合やSI燃焼が行われている場合には、コントローラ60は、ステップS24に進み、通常通り、モータジェネレータ114のトルクアシスト及び回生発電の両方を許可する。このステップS24の後、コントローラ60は、モータジェネレータ設定処理を終了し、図6のメインルーチンに戻る。
図6に戻ると、コントローラ60は、上記のモータジェネレータ設定処理(ステップS13)の後、ステップS14に進み、図8に示す増加トルク設定処理を実行する。
図8に示すように、増加トルク設定処理が開始されると、ステップS31において、コントローラ60は、操舵装置104の操舵角(絶対値)が増加しているか否か、つまりステアリング105が切り込み操作されているか否かを判定する。その結果、操舵角が増加していると判定された場合(ステップS31:Yes)、コントローラ60は、ステップS32に進み、操舵速度が所定の閾値S1以上であるか否かを判定する。この場合、コントローラ60は、図6のステップS11において操舵角センサSN11から取得した操舵角に基づき操舵速度を算出し、その値が閾値S1以上であるか否かを判定する。
ステップS32の結果、操舵速度が閾値S1以上であると判定された場合(ステップS32:Yes)、ステップS33に進み、コントローラ60は、操舵速度に基づき付加加速度を設定する。この付加加速度は、ドライバの意図に沿って車両姿勢を制御するために、ステアリング操作に応じて車両100に付加すべき加速度である。
具体的には、コントローラ60は、図9のマップに示す付加加速度と操舵速度との関係に基づき、ステップS32において算出した操舵速度に対応する付加加速度を設定する。図9における横軸は操舵速度を示し、縦軸は付加加速度を示す。図9に示すように、操舵速度が閾値S1以下である場合、対応する付加加速度は0である。即ち、操舵速度が閾値S1以下である場合、コントローラ60は、ステアリング操作に基づき車両100に加速度を付加するための制御を実行しない。
一方、操舵速度が閾値S1を超えている場合には、操舵速度が増大するに従って、この操舵速度に対応する付加加速度は、所定の上限値Amaxに漸近する。即ち、操舵速度が増大するほど付加加速度は増大し、且つ、その増大量の増加割合は小さくなる。この上限値Amaxは、ステアリング操作に応じて車両100に加速度を付加しても、制御介入があったとドライバが感じない程度の加速度に設定される(例えば0.5m/s2≒0.05G)。さらに、操舵速度が閾値S1よりも大きい閾値S2以上の場合には、付加加速度は上限値Amaxに維持される。
次いで、ステップS34において、コントローラ60は、ステップS33で設定した付加加速度に基づき、増加トルクを設定する。具体的には、コントローラ60は、付加加速度を実現するために車両100に付与すべき増加トルクを、図6のステップS11において取得された現在の車速、ギヤ段、路面勾配等に基づき決定する。ステップS34の後、コントローラ60は増加トルク設定処理を終了し、図6のメインルーチンに戻る。
他方で、ステップS31において操舵角が増加していないと判定された場合(ステップS31:No)、又は、ステップS32において操舵速度が閾値S1未満であると判定された場合(ステップS32:No)、コントローラ60は、増加トルクの設定を行うことなく増加トルク設定処理を終了し、図6のメインルーチンに戻る。この場合、増加トルクは0となる。
図6に戻ると、コントローラ60は、上記の増加トルク設定処理(ステップS14)の後、ステップS15に進み、図10に示す増加トルク適用処理を実行する。
図10に示すように、増加トルク適用処理が開始されると、ステップS41において、コントローラ60は、エンジン1の燃焼モードが第2燃焼モードに設定されているか否かを判定する。例えば、コントローラ60は、図4に示した運転マップ及び現在のエンジン1の運転状態(エンジン負荷及びエンジン回転数)に基づき、現在のエンジン1の燃焼モードを判定する。
ステップS41の結果、第2燃焼モードが設定されていると判定された場合(ステップS41:Yes)、コントローラ60は、ステップS42に進み、上記の増加トルク設定処理で設定された増加トルクをモータジェネレータ114のトルクアシストにより実現すべく、当該増加トルクに対応するモータジェネレータ114のアシスト量(つまり駆動トルク)を設定する。こうすることで、SPCCI燃焼の第2燃焼モードにおいて、車両100にモータジェネレータ114からの駆動トルクを付与することにより、車両100に付加加速度を発生させて車両姿勢を制御するようにする。ステップS42の後、コントローラ60は増加トルク適用処理を終了し、図6のメインルーチンに戻る。
一方で、第2燃焼モードが設定されていないと判定された場合(ステップS41:No)、つまり第1燃焼モードが設定されている場合やSI燃焼が行われている場合には、コントローラ60は、ステップS43に進み、上記の増加トルク設定処理で設定された増加トルクをエンジン1のトルクの増加により実現すべく、具体的には点火プラグ16の点火時期の進角により実現すべく、増加トルクに対応する点火時期進角量を設定する。こうすることで、SPCCI燃焼の第1燃焼モード及びSI燃焼において、車両100に付与されるエンジン1のトルクを増加させることにより、車両100に付加加速度を発生させて車両姿勢を制御するようにする。ステップS43の後、コントローラ60は増加トルク適用処理を終了し、図6のメインルーチンに戻る。
なお、増加トルク設定処理において増加トルクが設定されていない場合(つまり増加トルクが0である場合)には、上記のステップS42及びS43の処理は行われない。すなわち、モータジェネレータ114のアシスト量の設定及び点火時期進角量の設定は行われない。この場合には、車両姿勢制御は行われない。
図6に戻ると、コントローラ60は、上記の増加トルク適用処理(ステップS15)の後、ステップS16に進む。ステップS16において、コントローラ60は、上述した処理において設定されたエンジン1の制御指令値、モータジェネレータ114の制御指令値、モータジェネレータ114のアシスト量及び点火時期進角量、並びにモータジェネレータ設定処理による設定内容に基づき、エンジン1及びモータジェネレータ114の各構成要素を駆動する各アクチュエータの制御量を設定する。この場合、コントローラ60は、状態量に応じた制限値や制限範囲を設定し、状態値が制限値や制限範囲による制限を遵守するような各アクチュエータの制御量を設定する。次いで、コントローラ60は、ステップS17に進み、ステップS16において設定した制御量に基づき、エンジン1及びモータジェネレータ114の各アクチュエータへ制御指令を出力する。この後、コントローラ60は、図6に示す全体制御を終了する。
<作用及び効果>
次に、本発明の実施形態による車両システムによる作用及び効果について説明する。
図11は、本発明の実施形態による車両姿勢制御を実行した場合の各種パラメータの時間変化を示したタイムチャートの一例である。図11のタイムチャートは、上から順に、ステアリング105の操舵角、ステアリング105の操舵速度、図8の増加トルク設定処理(図8のステップS33)で設定された付加加速度、SPCCI燃焼の第2燃焼モードのオン/オフ、エンジン1の点火プラグ16の点火時期、モータジェネレータ114のトルク(駆動トルク又は回生トルク)、実ヨーレートを示している。
まず、ステアリング105の切り込み操作が行われたときに、つまり車両100のターンイン時に、操舵角及び操舵速度が増加する。その結果、時刻t11において、操舵速度が閾値S1以上となり(図8のステップS32:Yes)、操舵速度に応じた付加加速度が設定される(図8のステップS33)。また、この付加加速度に応じた増加トルクが設定される(図8のステップS34)。図11に示す例では、SPCCI燃焼の第2燃焼モードがオンであるので、モータジェネレータ114によるトルクアシストを実行させるべく、増加トルクに対応するモータジェネレータ114の駆動トルク(アシスト量)が設定されて(図10のステップS41:Yes→ステップS42)、車両姿勢制御が実行される。この場合、点火時期を進角させる制御は行われない、つまり点火時期が一定に維持される。このように設定された駆動トルク(正のトルク)を車両100に付与することにより、車両100に付加加速度が発生して、車体前部が沈み込んで前輪荷重が増大する(図5参照)。これにより、ステアリング105の切り込み操作時に所望の実ヨーレートが車両100に発生するので、ステアリング105の切り込み操作に対する車両100の応答性やリニア感を向上させることができる。この後、車両姿勢制御中において操舵速度が減少すると、時刻t12において、操舵速度が閾値S1未満となり(図8のステップS32:No)、車両姿勢制御が終了される。
図12は、本発明の実施形態による車両姿勢制御を実行した場合の各種パラメータの時間変化を示したタイムチャートの別の例である。図12のタイムチャートも、上から順に、操舵角、操舵速度、付加加速度、第2燃焼モードのオン/オフ、点火時期、モータジェネレータ114のトルク、実ヨーレートを示している。
まず、ステアリング105の切り込み操作が行われたときに、つまり車両100のターンイン時に、操舵角及び操舵速度が増加する。その結果、時刻t21において、操舵速度が閾値S1以上となり(図8のステップS32:Yes)、操舵速度に応じた付加加速度が設定される(図8のステップS33)。また、この付加加速度に応じた増加トルクが設定される(図8のステップS34)。図12に示す例では、SPCCI燃焼の第2燃焼モードがオフであるので、つまり第1燃焼モード又はSI燃焼が行われているので、エンジン1のトルクを増加させるべく、増加トルクに対応する点火時期進角量が設定されて(図10のステップS41:No→ステップS43)、車両姿勢制御が実行される。この場合、モータジェネレータ114のトルクアシストは行われない。なお、点火時期進角量の設定は、事前に規定された基準点火時期(通常時、つまり車両姿勢制御が行われないときに適用される点火時期)に基づき行われる。この基準点火時期には、典型的にはいわゆる最適点火時期(MBT:Minimum advance for the Best Torque)から遅角側に幾分ずれた点火時期が適用されており、こうすることで、点火時期を基準点火時期から進角させることによりエンジン1のトルクを適切に増加できるようになっている。
このように設定された点火時期進角量を適用して車両100に付与されるエンジン1のトルクを増加させることにより、車両100に付加加速度が発生して、車体前部が沈み込んで前輪荷重が増大する(図5参照)。これによっても、ステアリング105の切り込み操作時に所望の実ヨーレートが車両100に発生するので、ステアリング105の切り込み操作に対する車両100の応答性やリニア感を向上させることができる。この後、車両姿勢制御中において操舵速度が減少すると、時刻t22において、操舵速度が閾値S1未満となり(図8のステップS32:No)、車両姿勢制御が終了される。
以上説明したように、本実施形態によれば、コントローラ60は、空燃比が理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチ側に設定されるSPCCI燃焼(第1燃焼モード)が行われるときには、付加加速度を車両100に発生させるように点火プラグ16の点火時期を制御する一方で、空燃比が理論空燃比よりもリーン側に設定されるSPCCI燃焼(第2燃焼モード)が行われるときには、付加加速度を車両100に発生させるように、モータジェネレータ114から後輪103を駆動するためのトルクを発生させる制御を行う。つまり、コントローラ60は、第2燃焼モードでは、点火時期を進角させずに(点火時期を一定に維持する)、モータジェネレータ114によるトルクアシストを行って、付加加速度を車両100に発生させるようにする。これにより、混合気の空燃比がリーン側に設定されるSPCCI燃焼の実行時において、燃焼安定性を確保しつつ車両姿勢制御を適切に実行することができるようになる。
また、本実施形態によれば、コントローラ60は、第2燃焼モードでは、モータジェネレータ114による回生発電を禁止する。これにより、第2燃焼モード中に車両姿勢制御が行われるときに、当該制御のためのモータジェネレータ114のトルクアシストが遅れることを抑制することができる。具体的には、回生発電を禁止することによりモータジェネレータ114に連結されたベルト112をトルクアシスト側の方向に常に張っておく(伸ばしておく)ことで、第2燃焼モード中に車両姿勢制御の要求があったときに、モータジェネレータ114を速やかにトルクアシストさせることができ、所望の車両姿勢制御を適切に実現することができる。
<変形例>
上述した実施形態では、ゴム製のベルト112を本発明における「巻き掛け部材」の一例として示したが、他の例では、そのようなベルト112の代わりに、ゴム以外の材料で形成されたベルト又はベルトとは異なるチェーンを、巻き掛け部材として用いてもよい。
また、上述した実施形態では、付加加速度を車両100に発生させるために点火プラグ16の点火時期を制御していたが、この点火時期の制御の代わりに、若しくは点火時期の制御と共に、スロットル弁32の開度を制御してもよい。この場合、スロットル弁32を開き側に制御して、ポンピングロスを低下させることで、付加加速度を車両100に発生させるようにすればよい。
また、上述した実施形態では、第2燃焼モードにおいてモータジェネレータ114の回生発電を禁止していたが、他の例では、第2燃焼モードにおいてモータジェネレータ114の回生発電を完全に禁止せずに、回生発電を抑制することとしてもよい、つまり回生発電をある程度許容してもよい。例えば、モータジェネレータ114を回生発電させるべき特定の状況において、典型的には車両100が停止するための減速を行っている時において、第2燃焼モードであってもモータジェネレータ114を回生発電させてもよい。
また、上述した実施形態では、操舵角及び操舵速度に基づき車両姿勢制御を実行していたが、他の例では、操舵角及び操舵速度の代わりに、ヨーレートや横加速度やヨー加速度や横ジャークに基づき車両姿勢制御を実行してもよい。
1 エンジン
1a エンジン本体
15 インジェクタ
16 点火プラグ
32 スロットル弁
60 コントローラ
100 車両
101 車体
102 前輪
103 後輪
104 操舵装置
105 ステアリングホイール
112 ベルト
114 モータジェネレータ
SN1 クランク角センサ
SN10 アクセル開度センサ
SN11 操舵角センサ

Claims (7)

  1. 後輪駆動式の車両システムであって、
    少なくとも点火プラグを有し、後輪に連絡されたエンジンと、
    後輪に連絡された回転電気機械と、
    前記エンジンの運転状態を検出する運転状態センサと、
    ドライバにより操作されるステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールの操作に対応する操舵角を検出する操舵角センサと、
    前記エンジン及び前記回転電気機械を制御する制御器と、を有し、
    前記エンジンは、当該エンジンの気筒内の混合気の一部を前記点火プラグによる火花点火により燃焼させた後に、前記気筒内の残りの混合気を自己着火により燃焼させる燃焼モードを有し、
    前記制御器は、
    前記ステアリングホイールが切り込み操作されたときに、前記操舵角センサにより検出された前記操舵角に基づき、車両に付加すべき付加加速度を設定し、
    前記エンジンが前記燃焼モードを行うときに、前記運転状態センサにより検出された前記エンジンの運転状態に基づき、前記混合気の空燃比を第1空燃比と当該第1空燃比よりもリーン側の第2空燃比とのいずれか一方に設定し、
    前記第1空燃比が設定されているときには、前記付加加速度を前記車両に発生させるように前記点火プラグの点火時期を制御する一方で、前記第2空燃比が設定されているときには、前記付加加速度を前記車両に発生させるように、前記回転電気機械から前記後輪を駆動するためのトルクを発生させる制御を行う、
    ように構成されている、ことを特徴とする車両システム。
  2. 前記回転電気機械は、巻き掛け部材を介して前記後輪に連絡され、
    前記制御器は、前記第2空燃比が設定されているときには、前記回転電気機械の回生発電を抑制するように構成されている、
    請求項1に記載の車両システム。
  3. 前記巻き掛け部材はベルトである、請求項2に記載の車両システム。
  4. 前記第1空燃比は、理論空燃比又は理論空燃比よりもリッチ側の空燃比である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両システム。
  5. 前記第2空燃比は、理論空燃比よりもリーン側の空燃比である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両システム。
  6. 前記第2空燃比は、前記混合気内における燃料量に対する空気量の割合により規定され、この割合が25〜30の範囲内に設定される、請求項5に記載の車両システム。
  7. 前記制御器は、前記操舵角センサにより検出された前記操舵角から操舵速度を求め、当該操舵速度に基づき前記付加加速度を設定するように構成されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両システム。
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