JP2020192822A - 輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法 - Google Patents

輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020192822A
JP2020192822A JP2019097579A JP2019097579A JP2020192822A JP 2020192822 A JP2020192822 A JP 2020192822A JP 2019097579 A JP2019097579 A JP 2019097579A JP 2019097579 A JP2019097579 A JP 2019097579A JP 2020192822 A JP2020192822 A JP 2020192822A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air spring
air
spring
vehicle body
wheel load
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019097579A
Other languages
English (en)
Inventor
貴敏 本堂
Takatoshi Hondo
貴敏 本堂
鈴木 貢
Mitsugi Suzuki
鈴木  貢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Railway Technical Research Institute
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Railway Technical Research Institute filed Critical Railway Technical Research Institute
Priority to JP2019097579A priority Critical patent/JP2020192822A/ja
Publication of JP2020192822A publication Critical patent/JP2020192822A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

【課題】車上で取得可能な情報を用いて軌道平面性変位に起因する輪重変動を抑制した輪重変動抑制装置等を提供する。【解決手段】車体10の下部に設けられた1位、2位台車100F,100Rと、1位台車と車体との間に配置された第1、第2の空気ばね170FL,170FRと、2位台車と車体との間に配置された第3、第4の空気ばね170RL,170RRと、空気ばねに給排気を行う給排気装置200とを備える鉄道車両の輪重変動抑制装置を、第1乃至第4の空気ばねの下部に対する上部高さをそれぞれ検出し、第1、第4の空気ばねの上部高さと、第2、第3の空気ばねの上部高さとの対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出する軌道平面性変位検出部を有し、軌道平面性変位が検出された際に、長さが相対的に伸長した側の対の空気ばねに給気を行う構成とする。【選択図】図12

Description

本発明は、鉄道車両の車輪とレールとの間に作用する輪重の変動を抑制する輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法に関する。
一般的なボギー台車を有する鉄道車両においては、左右の車輪を車軸で連結した輪軸の両端部を支持する軸箱を、軸箱支持装置を介して台車枠に取り付けるとともに、台車枠の上部に車体を載置して構成されている。
軸箱と台車枠との間には、軸ばね、軸ダンパ等を有する1次サスペンション系が設けられ、台車枠と車体との間には、空気ばね(まくらばね)等を有する2次サスペンション系が設けられる。
2次サスペンション系は、その特性により車両性能が大きく変化する重要な要素である。
近年の旅客車両に広く用いられている空気ばねを用いた2次サスペンション系においては、乗客の多寡により、車体重量が変化した場合においても、車体高さの大幅な変化を抑えるため、自動高さ調整装置が設けられる。
自動高さ調整装置は、車体と台車枠との相対高さ変化を、高さ調整棒、高さ調整てこなどのリンク機構により高さ調整弁(レベリングバルブ・LV)に伝達し、台車枠に対して車体が上昇した場合には空気ばねから排気して空気ばね高さを減少させ、下降した場合には給気して空気ばね高さを増加するよう構成したものである。
このような自動高さ調整装置は、空気ばね高さ変化の検知結果に基づいて給排気を行うという一種のフィードバック制御を純機械的に行うものであり、信頼性が高い。
一方、このような自動高さ調整装置は、曲線通過等によって空気ばね高さが変化するなど、本来想定される状況以外においても動作することがある。
例えば、曲線には、内軌側に対して外軌側のレールが高い位置に配置されるカント(高低差)が設けられる。
また、円曲線と直線との境界部には、鉄道車両の走行を円滑にするための特殊な線形である緩和曲線が設けられる。この緩和曲線中では、曲率とカントが連続的に変化する。
円曲線の出口(直線との境界部)に設けられる出口緩和曲線においては、この平面性変位によって、車両前方外軌側の空気ばね高さが増加するため、一般的な高さ調整装置においては、この部位の空気ばねから空気が排気される。
このような高さ調整装置の動作により、場合によっては、輪重変動が助長されて輪重アンバランスが増大するなど、走行安全上好ましくない事象が生じることがある。
特に、鉄道車両が曲線を通過する際の重力と遠心力との合力の作用方向が、軌道面と垂直となる均衡速度よりも低速で走行するカント超過状態においては、曲線外軌側の空気ばね高さが大きくなるため、外軌側の空気ばねからは空気が排気されやすい状態となっており、この状態で出口緩和曲線に進入すると、既に通常走行時よりも排気されている空気ばねからさらに排気が行われて輪重減少が助長されることが懸念される。
これに対し、自動高さ調整装置の高さ調整弁に、空気ばねの高さ変化を伝達するリンク機構を構成する高さ調整棒(LV棒)にアクチュエータを設けて、鉄道車両の走行状況や線形等に応じて強制的に給気、排気等を行うことが提案されている。
例えば、特許文献1には、車体に対する台車の高さに応じて空気ばねの高さを調整する高さ調整弁と、車体又は台車とを連結して高さ変化を伝達する高さ調整棒に長さ伸縮装置を設け、出口緩和曲線において車両前後の台車の内軌側、及び外軌側における高さ調整弁の高さ調整棒の長さを所定のタイミング差を持って連続的に変更し、外軌側の空気ばねに給気を行い、内軌側の空気ばねから排気を行うことによって輪重減少を抑制することが記載されている。この技術においては、各部位の高さ調整弁の高さ調整棒に対して、伸長と収縮の両方が可能で、かつ連続的に長さを調整可能なことが要求される。
特許第4348410号
出口緩和曲線において、カントが減少する際に、前方側かつ外軌側の車輪の輪重が減少すると、鉄道車両の走行安定性に悪影響が生じる場合があり、最悪の場合にはフランジがレールに乗り上げて脱線に至る乗り上がり脱線の発生が懸念される。
上述した従来技術のように、自動高さ調整装置の高さ調整棒を伸長し、内外軌側の空気ばねに給気及び排気を行えば、出口緩和曲線における輪重変動にある程度の効果を得ることは可能である。
ここで、出口緩和曲線の検知方法として、例えば車両が走行する線区の線形をデータベース化するとともに、地上子などから得られる自車位置情報と照合することも考えられるが、この場合、線形データベースを蓄積した記憶手段と自車位置情報取得手段を車両に搭載することが必要となり、装置の構成が複雑化してしまう。
また、車両を新たな線区に導入する際に、都度線形データベースを構築することが必要となる。
これに対し、例えば車体のヨーレートと走行速度を検出し、ヨーレートを走行速度で除することにより線路の曲率を演算することも提案されている。
しかし、上述した乗り上がり脱線が問題となるのは通常車両の低速走行時であることから、演算における分母が小さくなってS/Nが劣化し、演算精度が確保できないことが懸念される。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、車上で取得可能な情報を用いて軌道平面性変位に起因する輪重変動を抑制した輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法を提供することである。
上述した課題を解決するため、本発明の輪重変動抑制装置は、車体と、前記車体の下部に車両の進行方向前方側から順次設けられた1位台車及び2位台車と、前記1位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第1の空気ばね及び第2の空気ばねと、前記2位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第3の空気ばね及び第4の空気ばねと、前記第1乃至第4の空気ばねに給気及び排気を行う給排気装置とを備える鉄道車両の輪重変動抑制装置であって、前記第1の空気ばね乃至第4の空気ばねの下部に対する上部高さをそれぞれ検出し、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねの前記上部高さと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねの前記上部高さとの対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出する軌道平面性変位検出部と、前記軌道平面性変位が検出された際に、前記給排気装置により、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねとのうち長さが相対的に伸長した側の対の前記空気ばねに給気を行わせる制御部とを有することを特徴とする。
これによれば、前後左右に配置された空気ばねの下部に対する上部高さの対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出することにより、車上で取得可能な情報のみを用いて軌道平面性変位を感度よく検出し、検出された軌道平面性変位に応じて対角に配置され相対的に伸長した一対の空気ばねに給気を行うことにより、適切かつ効果的に輪重変動を抑制して鉄道車両の走行安定性を向上することができる。
このため、軌道線形データベースの保守、更新が不要となり、新規路線への導入も容易であり、さらに自車位置の検知を必要としないため、装置の構成を簡素化することができる。
また、車両の走行速度を演算に用いないことから、低速走行時においても検出精度が悪化することを防止できる。
さらに、走行中の車両の運動状態に基づいて軌道平面性変位を検出するため、例えば緩和曲線などの構造的に平面性変位が付与されている箇所以外の地点で、いわゆる軌道狂いとして平面性変位が進展している箇所を検出して輪重変動を抑制することができる。
本発明において、前記給排気装置は、前記車体に設けられ給気状態と排気状態とを切換可能な弁体を有する高さ調整弁と、前記弁体と連動するレバー部と、上端部が前記レバー部に連結され下端部が前記台車の台車枠に連結された連結部とを備え、前記連結部は、前記上端部と前記下端部との距離を変化させる可変長機構を備え、前記制御部は、前記可変長機構を通常の状態よりも伸長させることにより前記空気ばねへの給気を行う構成とすることができる。
これによれば、高さ調整弁を有する一般的な構成の鉄道車両において、連結部を構成する部材を、可変長機構を有するものに交換し、高さ調整弁をアクティブに制御することにより、既存の車両に最小限の変更により本発明を適用することが可能となる。
また、本発明の他の輪重変動抑制装置は、車体と、前記車体の下部に車両の進行方向前方側から順次設けられた1位台車及び2位台車と、前記1位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第1の空気ばね及び第2の空気ばねと、前記2位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第3の空気ばね及び第4の空気ばねと、前記第1乃至第4の空気ばねに給気及び排気を行う給排気装置とを備える鉄道車両の輪重変動抑制装置であって、前記第1の空気ばね乃至第4の空気ばねの下部に対する上部高さをそれぞれ検出し、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねの前記上部高さと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねの前記上部高さとの対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出する軌道平面性変位検出部と、前記軌道平面性変位が検出された際に、前記給排気装置により、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねとのうち長さが相対的に短縮した側の対の前記空気ばねから排気を行わせる制御部とを有することを特徴とする。
これによれば、検出された軌道平面性変位に応じて対角に配置され相対的に短縮した一対の空気ばねから排気を行うことにより、上述した発明の効果と同様の効果を得ることができる。
本発明において、前記給排気装置は、前記車体に設けられ給気状態と排気状態とを切換可能な弁体を有する高さ調整弁と、前記弁体と連動するレバー部と、上端部が前記レバー部に連結され下端部が前記台車の台車枠に連結された連結部とを備え、前記連結部は、前記上端部と前記下端部との距離を変化させる可変長機構を備え、前記制御部は、前記可変長機構を通常の状態よりも短縮させることにより前記空気ばねへの給気を行う構成とすることができる。
本発明において、前記可変長機構は、空気圧アクチュエータと、前記空気圧アクチュエータに空気を供給する制御弁とを有する構成とすることができる。
これによれば、鉄道車両において通常設けられるコンプレッサ、空気溜めなどの圧縮空気供給手段を用いる簡素な構成により可変長機構を駆動することができる。
本発明において、前記制御部は、前記軌道平面性変位検出部が検出する前記軌道平面性変位に基づいて、前記可変長機構の長さ指令値をステップ状に変化させる指令値生成部を有する構成とすることができる。
これによれば、機構上可変長機構の長さを連続的に変化させることができない場合であっても、適切な輪重変動抑制制御を行うことができる。
本発明において、前記軌道平面性変位検出部は、前記車体の上下変位をz、ロール角をΦ、ピッチ角をθとし、前後の空気ばね間隔の半分をdとし、左右の空気ばね間隔の半分をbとし、前記第1の空気ばね乃至前記第4の空気ばねの前記上部高さをz乃至zとしたときに、行列Jを次式のように定義し、

前記第1の空気ばね乃至前記第4の空気ばねのばね定数をk乃至kとしたときに、各ばね定数を対角成分にもつ対角行列K=diag{k、k、k、k}とし、行列A=JKと定義したときに、零空間への写像であるI−AAを用いて前記対角差成分を抽出する構成とすることができる。
これによれば、重力、遠心力のような対角差以外の成分をゼロとし、対角差成分のみを抽出することができる。
また、本発明の輪重変動抑制方法は、車体と、前記車体の下部に車両の進行方向前方側から順次設けられた1位台車及び2位台車と、前記1位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第1の空気ばね及び第2の空気ばねと、前記2位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第3の空気ばね及び第4の空気ばねと、前記第1乃至第4の空気ばねに給気及び排気を行う給排気装置とを備える鉄道車両の輪重変動抑制方法であって、前記第1の空気ばね乃至第4の空気ばねの下部に対する上部高さをそれぞれ検出し、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねの前記上部高さと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねの前記上部高さとの対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出し、前記軌道平面性変位が検出された際に、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねとのうち長さが相対的に伸長した側の対の前記空気ばねに前記給排気装置を用いて給気を行うことを特徴とする。
本発明において、前記給排気装置は、前記車体に設けられ給気状態と排気状態とを切換可能な弁体を有する高さ調整弁と、前記弁体と連動するレバー部と、上端部が前記レバー部に連結され下端部が前記台車の台車枠に連結された連結部とを備え、前記連結部は、前記上端部と前記下端部との距離を変化させる可変長機構を備え、前記可変長機構を通常の状態よりも伸長させることにより前記空気ばねへの給気を行う構成とすることができる。
本発明の他の輪重変動抑制方法は、車体と、前記車体の下部に車両の進行方向前方側から順次設けられた1位台車及び2位台車と、前記1位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第1の空気ばね及び第2の空気ばねと、前記2位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第3の空気ばね及び第4の空気ばねと、前記第1乃至第4の空気ばねに給気及び排気を行う給排気装置とを備える鉄道車両の輪重変動抑制方法であって、前記第1の空気ばね乃至第4の空気ばねの下部に対する上部高さをそれぞれ検出し、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねの前記上部高さと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねの前記上部高さとの対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出し、前記軌道平面性変位が検出された際に、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねとのうち長さが相対的に短縮した側の対の前記空気ばねに前記給排気装置を用いて給気を行うことを特徴とする。
本発明において、前記給排気装置は、前記車体に設けられ給気状態と排気状態とを切換可能な弁体を有する高さ調整弁と、前記弁体と連動するレバー部と、上端部が前記レバー部に連結され下端部が前記台車の台車枠に連結された連結部とを備え、前記連結部は、前記上端部と前記下端部との距離を変化させる可変長機構を備え、前記可変長機構を通常の状態よりも短縮させることにより前記空気ばねへの給気を行う構成とすることができる。
本発明において、前記可変長機構は、空気圧アクチュエータと、前記空気圧アクチュエータに空気を供給する制御弁とを有する構成とすることができる。
本発明において、前記軌道平面性変位検出部が検出する前記軌道平面性変位に基づいて、前記可変長機構の長さ指令値をステップ状に変化させる構成とすることができる。
本発明において、前記車体の上下変位をz、ロール角をΦ、ピッチ角をθとし、前後の空気ばね間隔の半分をdとし、左右の空気ばね間隔の半分をbとし、前記第1の空気ばね乃至前記第4の空気ばねの前記上部高さをz乃至zとしたときに、行列Jを次式のように定義し、

前記第1の空気ばね乃至前記第4の空気ばねのばね定数をk乃至kとしたときに、各ばね定数を対角成分にもつ対角行列K=diag{k、k、k、k}とし、行列A=JKと定義したときに、零空間への写像であるI−AAを用いて前記対角差成分を抽出する構成とすることができる。
以上説明した輪重変動抑制方法に係る発明においても、上述した輪重変動抑制装置に係る発明の効果と同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明によれば、車上で取得可能な情報を用いて軌道平面性変位に起因する輪重変動を抑制した輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法を提供することができる。
本発明を適用した輪重変動抑制装置の第1実施形態が設けられる鉄道車両の台車周辺を側面から見た状態を模式的に示す図である。 第1実施形態の車両における自動高さ調整装置の動作を示す模式図である。 第1実施形態の車両における空気圧アクチュエータ及び制御弁の構造及び動作を示す模式的断面図であって、高さ調整棒短縮時(通常走行時)の状態を示す図である。 第1実施形態の車両における空気圧アクチュエータ及び制御弁の構造及び動作を示す模式的断面図であって、高さ調整棒伸長時(強制給気時)の状態を示す図である。 第1実施形態の車両における高さ調整棒伸縮時の自動高さ調整装置の動作を示す模式図である。 第1実施形態の車両における台車枠及び空気ばねの配置を示す模式図である。 第1実施形態の車両における自動高さ調整装置の装置構成を模式的に示す図である。 第1実施形態の車両の自動高さ調整装置における空気圧アクチュエータ制御用の空気回路図である。 鉄道の軌道における出口緩和曲線の配置の一例を示す模式図である。 第1実施形態の輪重変動抑制装置で用いる線形ばね4点支持された車体モデルを示す図である。 第1実施形態におけるソフトウェアシュミットトリガによる二値化制御則を示す図である。 第1実施形態における制御系のブロック線図である。 第1実施形態の車両における高さ調整てこ先端変位と輪重アンバランスの測定結果の一例を示すグラフである。 本発明を適用した輪重変動抑制装置の第2実施形態の装置構成を模式的に示す図である。
<第1実施形態>
以下、本発明を適用した輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法の第1実施形態について説明する。
第1実施形態の輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法は、例えば、2軸のボギー台車を車体前後に有する電車等の旅客車両において用いられるものである。
図1は、第1実施形態の輪重変動抑制装置が設けられる鉄道車両の台車周辺を側面から見た状態を模式的に示す図である。
図1に示すように、鉄道車両(以下単に「車両」と称する。)1は、車体10の前後に、一対の台車100を有する例えば旅客用電車等のボギー車である。
車体10は、乗客等が収容される車室部分を有するものであり、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム系合金等の金属材料により、屋根構、側構、妻構、台枠等を有する六面体状に形成されている。
台車100は、例えば、2軸のボギー台車であって、台車枠110、輪軸120、軸箱130、軸箱支持装置140、軸ばね150、軸ダンパ160、空気ばね170等を有する。
台車枠110は、台車100の本体部を構成する構造部材である。
台車枠110は、上方から見た平面形が矩形の枠状に形成されている。
台車枠110は、前後方向に延在し、かつ、まくらぎ方向に離間して配置された左右一対の側梁を、まくらぎ方向に沿って延びた横梁及び端梁により連結して構成されている。
台車枠110の左右側面部には、後述する自動高さ調整装置200の高さ調整棒230の下端部が取り付けられるブラケット111がそれぞれ設けられている。
輪軸120は、左右一対の車輪121を、車軸122の両端部に圧入し固定して構成されている。
車輪121は、レールRの頭頂部と当接する踏面の内軌側から外径側に張り出したフランジを有するフランジ付き車輪である。
軸箱130は、輪軸120の車軸122の両端部に形成されたジャーナル部を回転可能に支持するものである。
軸箱130は、ジャーナル部を支持する軸受及びその潤滑装置や、走行速度に応じた出力を発生する速度発電機などの補機類を有する。
軸箱支持装置140は、軸箱130を台車枠110に対して上下方向に相対変位可能に支持するものである。
軸箱支持装置140は、例えば、台車枠110に設けられた軸周りに回動するスイングアーム状の軸梁を有する軸梁式の構成とすることができる。
軸梁の台車枠110との連結部には、例えばゴム等の弾性を有する材料からなるブッシュが設けられる。
軸箱支持装置140は、曲線通過を円滑とするため、ブッシュの弾性変形等を利用して、左右の軸箱130を前後方向に相対変位させて車軸120を操舵可能とする機能を有する。
軸ばね150は、軸箱130の上部とその上方の台車枠110との間にわたして設けられたばね要素である。
軸ばね150は、軸箱支持装置140の動作による軸箱130と台車枠110との上下方向相対変位に応じた反力を発生する。
軸ばね150は、例えば、圧縮コイルばねなどのばね要素を有する。
軸ダンパ160は、軸ばね150と並列に軸箱130と台車枠110との間に設けられた油圧緩衝器である。
軸ダンパ160は、台車枠110に対する軸箱130の上下方向相対速度に応じた減衰力を発生する。
軸ばね150、軸ダンパ160は、協働して車両1の1次サスペンション系を構成する。
空気ばね170は、車体10の下部と台車枠110の上部との間に設けられている。
空気ばね170は、車体10の重量を支えるとともに、車体10と台車枠110との相対高さ変位に応じた反力を発生するばね要素(まくらばね)である。
空気ばね170は、例えばゴム等の可撓性、弾性を有する材料からなるダイアフラムの内部に、圧縮空気を導入して構成されている。
空気ばね170の内部には、空気ばね170の伸縮時における内部の空気流を利用して減衰力を発生させる絞り等の減衰要素が設けられる。
車両1には、例えば乗客の多寡や、車室内の乗客の分布などに起因する空気ばね170の高さ(台車枠110に対する車体10の相対高さ)の変化を抑制するため、以下説明する自動高さ調整装置200を備えている。
自動高さ調整装置200は、高さ調整弁210、高さ調整てこ220、高さ調整棒230等を備えて構成されている。
高さ調整弁(LV)210は、台車枠110に対する車体10の相対高さ(空気ばね170の高さ)に応じて、空気ばね170に空気を供給する給気状態、空気ばね170内の空気を排出する排気状態、及び、給気、排気ともに行わない中立状態を切り換えるものである。
高さ調整弁210の動作については、後に詳しく説明する。
高さ調整てこ(LVてこ)220は、高さ調整弁210から突出して設けられたレバー状の部材である。
高さ調整てこ220は、高さ調整弁210の内部で弁体と連動するとともに、突端部側が高さ調整棒230の上端部に連結されている。
高さ調整てこ220は、高さ調整弁210側に設けられた軸回りに、突端部が上下方向に回動(揺動)することにより、高さ調整弁210の状態を切り換えるよう構成されている。
高さ調整てこ220の先端変位は、図示しないレーザ変位計などのセンサにより検出され、後述する制御装置300に伝達される。
高さ調整てこ220は、高さ調整棒230と協働して、台車枠110に対する車体10の高さ変化を高さ調整弁210に伝達する連動機構を構成する。
高さ調整棒(LV棒)230は、長手方向を上下方向にほぼ沿わせて配置され、台車枠110に対する車体10の相対高さの変化を、高さ調整てこ220に伝達する部材(連結部)である。
高さ調整棒230の上端部は、高さ調整てこ220の突端部に、回動可能に連結されている。
高さ調整棒230の下端部は、台車枠110のブラケット111に、回動可能に連結されている。
高さ調整棒230は、例えばねじ式の図示しない手動式の長さ調整機構(ターンバックル)を備え、後述する空気圧アクチュエータ240を用いずに、手動で長さを調整することが可能となっている。
このような手動による高さ調整棒230の長さ調整は、車両1の通常走行時における車高調整や、輪重バランス取りなどのために行われる。
図2は、第1実施形態の車両における自動高さ調整装置の動作を示す模式図である。
図2(a)に示すように、台車枠110に対する車体10の相対高さが、所定の中間領域にある場合には、高さ調整弁210は、空気ばね170の給気、排気をともに行わない中立状態(高さ調整弁210の不感帯)となっている。
図2(b)に示すように、台車枠110に対する車体10の相対高さが、中間領域の上限よりも高い場合(空気ばね170が伸長した状態)には、高さ調整棒230が高さ調整弁210に対して上昇し、高さ調整弁210は、空気ばね170の内部の空気の一部を大気に開放することにより排気し、空気ばね170を収縮させて車体10を台車枠110に対して降下させる排気状態となっている。
図2(c)に示すように、台車枠110に対する車体10の相対高さが、中間領域の下限よりも低い場合(空気ばね170が圧縮された状態)には、高さ調整棒230が高さ調整弁210に対して下降し、高さ調整弁210は、空気溜めTに貯留された圧縮空気を、空気ばね170に供給し、空気ばね170を膨張させて車体10を台車枠110に対して上昇させる給気状態となっている。
自動高さ調整装置200は、このような動作により、車両1の車体10の高さを、乗客の多寡等に関わらず中間領域に維持する機能を有する。例えば、駅で停車している際に、旅客の乗降があったとしても車体10をほぼ一定の高さに保つことができる。
自動高さ調整装置200は、以下説明する構成により、車両1の出口緩和曲線通過時に、輪重変動を抑制する機能を有する。
高さ調整棒230は、以下説明する空気圧アクチュエータ240(図2では図示を省略)を備え、空気圧アクチュエータ240には、制御弁250が設けられている。
図3、図4は、第1実施形態の輪重変動抑制装置における空気圧アクチュエータ及び制御弁の構造及び動作を示す模式的断面図であって、高さ調整棒短縮時(通常走行時)、高さ調整棒伸長時(強制給気時・対角アンバランス補償時)の状態をそれぞれ示す図である。
図1に示すように、空気圧アクチュエータ240は、高さ調整棒230の中間部(上端部と下端部との間)に設けられている。
空気圧アクチュエータ240は、空気圧により高さ調整棒230の長さ(上端部と下端部との距離)を変化させる機能を有する複動型のエアシリンダとして構成されている。
空気圧アクチュエータ240は、シリンダ241、ピストン242、ピストンロッド243、ストッパ244等を有して構成されている。
シリンダ241は、両端部が閉塞された円筒状に形成されている。
シリンダ241の中心軸は、高さ調整棒230の長手方向(上端部と下端部とを結んだ直線の方向)と同心に配置されている。
シリンダ241の下端部は、高さ調整棒230の下端部に取り付けられている。
ピストン242は、シリンダ241の内径側に、シリンダ241に対して軸方向に相対変位可能に挿入された部材である。
ピストン242の外周面部は、シリンダ241の内周面と摺動可能なシール手段を介して当接している。
ピストンロッド243は、ピストン242の中心部から上下方向に突出した軸状の部材である。
ピストンロッド243の上部は、シリンダ241の上部端面に設けられた開口を介してシリンダ241の上方に突出している。
ピストンロッド243の上端部は、高さ調整棒230の上端部に取り付けられている。
ストッパ244は、ピストンロッド243のシリンダ241に対する伸び側のストロークを規制するものである。
ストッパ244は、シリンダ241の内径側において、ピストン242よりも上方のピストンロッド243の外周面から、外径側につば状に張り出して形成されている。
シリンダ241は、ポート245,246を有する。
ポート245は、シリンダ241内におけるピストン242よりも上方側の領域と連通している。
ポート246は、シリンダ241内におけるピストン242よりも下方側の領域と連通している。
制御弁250は、空気溜めTに貯留された圧縮空気を、空気圧アクチュエータ240のポート245又はポート246に選択的に供給し、空気圧アクチュエータ240を伸縮させるものである。
制御弁250は、一例として、ダブルソレノイドの2位置5ポートソレノイドバルブである。
制御弁250は、ボディ251、ポートP252、ポートA253、ポートB254、ポートR255、ポートR256、スプール弁257、ピストン258、ピストン259等を有する。
ボディ251は、制御弁250の本体部であって、内部に円筒状の空間部であるシリンダ部が設けられている。
ポートP252は、空気溜めTから供給される圧縮空気を、シリンダ部内に導入するポートである。
ポートA253は、ボディ251の内部と連通するとともに、空気圧アクチュエータ240のポート245と接続されている。
ポートB254は、ボディ251の内部と連通するとともに、空気圧アクチュエータ240のポート246と接続されている。
ポートR255は、ポートB254から空気圧アクチュエータ240のポート246に空気が供給される際に、ポート245と連通して大気開放させるポートである。
ポートR256は、ポートA253から空気圧アクチュエータ240のポート245に空気が供給される際に、ポート246と連通して大気開放させるポートである。
スプール弁257は、ボディ251のシリンダ部内に挿入され、軸方向に移動することによって、図3に示すようにポートP252とポートA253とが連通し、かつポートB254とポート256とが連通する状態と、図4に示すようにポートP252とポートB254とが連通し、かつポートA253とポート255とが連通する状態とを切り換えるものである。
スプール弁257は、ボディ251の端部に設けられたソレノイドの通電状態を変化させることにより、図3に示す位置と図4に示す位置との間で移動する。
ソレノイドの通電状態は、後述する制御装置300により制御される。
制御弁250は、例えば、ソレノイドへの通電をオフした状態では図3に示す状態となり、ソレノイドへの通電をオンした状態では図4に示す状態となるよう構成されている。
スプール弁257の両端部には、ピストン258,259がそれぞれ設けられている。
ピストン258は、図3に示す状態ではポート255を閉塞し、図4に示す状態ではポート255を開放する。
ピストン259は、図3に示す状態ではポート256を開放し、図4に示す状態ではポート256を閉塞する。
図3に示す状態においては、空気溜めTからの圧縮空気は、空気圧アクチュエータ240のシリンダ241内におけるピストン242よりも上方の領域に導入される。
一方、シリンダ241内におけるピストン242よりも下方の領域は、大気開放された状態となる。
その結果、ピストン242は、上面部と下面部とが受ける圧力の差により、下方に押圧される。
これにより、ピストンロッド243はシリンダ241内に下向きに引き込まれた状態となり、空気圧アクチュエータ240は短縮された状態となる。
図4に示す状態においては、空気溜めTからの圧縮空気は、空気圧アクチュエータ240のシリンダ241内におけるピストン242よりも下方の領域に導入される。
一方、シリンダ241内におけるピストン242よりも上方の領域は、大気開放された状態となる。
その結果、ピストン242は、上面部と下面部とが受ける圧力の差により、上方に押圧される。
これにより、ピストンロッド243は、シリンダ241から上方に繰り出された状態となり、空気圧アクチュエータ240は伸長された状態となる。
上述した構成により、空気圧アクチュエータ240を伸縮させ、高さ調整棒230の全長を変化させることにより、台車枠110に対する車体10の高さに関わらず、高さ調整弁210を用いて、空気ばね170に強制的に給気を行うことが可能である。
図5は、第1実施形態の車両における高さ調整棒伸縮時の自動高さ調整装置の動作を示す模式図である。
図5(a)は、空気圧アクチュエータ240を短縮した状態を示しており、図5(b)は、空気圧アクチュエータ250を伸長した状態を示している。
車両1の通常走行時においては、空気圧アクチュエータ240は、図5(a)に示すように、短縮された状態となっている。
この状態において、図2に示すように、台車枠110に対して車体10が中立範囲上限よりも上昇した場合には排気を行い、車体10が中立範囲下限よりも下降した場合には給気を行う。
これにより、台車枠110に対する車体10の高さは、図2(a)に示す中間領域に維持される。
この状態において、空気圧アクチュエータ240を伸長させ、高さ調整棒230の全長を長くすることにより、高さ調整てこ220を、実際の車体10の高さに関わらず、高さ調整弁210を給気状態へ切り換えるよう揺動させることが可能である。
この場合、高さ調整弁210は、空気ばね170が伸長し、高さ調整てこ220の角度が通常時の中立位置相当となるまで、空気ばね170に強制的に給気を行うことになる。
図6は、第1実施形態の車両における台車枠及び空気ばねの配置を示す模式図である。
図6(a)は、車両1を左側方から見た状態を示し、図6(b)は、上方から見た状態を示している。
図6においては、左側が進行方向前方側とする。
台車100は、進行方向に沿って一対設けられている。
以下、前方側、後方側の台車枠110に、それぞれ添字F,Rを付して説明する。
各台車100には、それぞれ2軸の輪軸120が設けられている。
台車枠110F,110Rには、それぞれ左右一対の空気ばね170が設けられている。
以下、台車枠110Fの左右の空気ばね170に、それぞれ添字FL,FRを付して説明する。
また、台車枠110Rの左右の空気ばね170に、それぞれ添字RL,RRを付して説明する。
上述した自動高さ調整装置200は、空気ばね170FR,170FL,170RR,170RLにそれぞれ一機ずつ設けられる。
以下、これらの自動高さ調整装置200、及び、その構成要素(空気圧アクチュエータ240、制御弁250等)にも、対応する空気ばね170と同じ添字(FL,FR,RL,RR)を付して説明する。
図7は、第1実施形態の車両における自動高さ調整装置の装置構成を模式的に示す図である。
図8は、第1実施形態の車両の自動高さ調整装置における空気圧アクチュエータ制御用の空気回路図である。
輪重変動抑制装置は、制御装置300、レギュレータ310、圧力計320、元供給切換弁330等を有する。
制御装置300は、車両1の走行状態を検出し、検出された走行状態に応じて、制御弁250FR,250FL,250RR,250RLのソレノイドに駆動電力を供給又は遮断し、空気圧アクチュエータ240FR,240FL,240RR,240RLの短縮又は伸長をそれぞれ切り換えるものである。
レギュレータ310は、空気溜めTの内部に貯留された圧縮空気を、所定の設定圧力(例えば、0.7MPa)まで減圧してから吐出する減圧弁である。
圧力計320は、レギュレータ310から供給される減圧済みの圧縮空気の圧力を計測するものである。
元供給切換弁330は、各制御弁250FR,250FL,250RR,250RLのポートP252に圧縮空気が供給された状態と、圧縮空気が遮断され各制御弁のポートP252が大気開放された状態とを切り換えるものである。
元供給切換弁330を通過した圧縮空気は、分岐した配管を介して、制御弁250FR,250FL,250RR,250RLのポートP252にそれぞれ供給される。
鉄道の路線において、円曲線路においては、内軌側に対して外軌側のレールが高い位置に配置されるカント(高低差)が設けられる。
カントは、曲線通過時の重力と遠心力との合力の作用方向を、軌道面に対して垂直に近づけ、走行安定性や快適性を確保するために必須なものである。
図9は、鉄道の軌道における出口緩和曲線の配置の一例を示す模式図である。
図9に示すように、円曲線Cから直線Sに移行する境界箇所には、車両1の進行に応じて曲率半径が徐々に大きくなるとともに、カントが徐々に低減される出口緩和曲線TCが設けられる。
制御装置300は、以下説明する零空間レギュレータを用いて、出口緩和曲線TC特有の軌道平面性変位を検出する機能を備えている。
制御装置300は、第1実施形態の輪重変動抑制装置における軌道平面性変位検出部として機能する。
以下、制御装置300における軌道平面性変位(出口緩和曲線)の検出方法について説明する。
図10は、線形ばね4点支持された車体モデルを示す図である。
モデル化にあたり、以下の前提条件を置く。
・車体の運動自由度は、空気ばねの上下変位に影響を与える車体上下変位z、ロール角Φ、ピッチ角θの3自由度のみを考える。
・車体の姿勢変化の幾何学的非線形性は考慮しない。すなわち、ロール角Φ、ピッチ角θは十分微小であると仮定する。
・本モデルでは、車体の慣性力の効果を扱わず、準静的つり合い状態について考える。
運動の自由度が3であるのに対して、支持するばねの数は4であるため、冗長自由度を1つ持つ支持系である。
すなわち、車体の位置、姿勢変化に寄与する3つの自由度とは別に、位置、姿勢変化には寄与しないが、内力の変化をもたらす、零空間自由度を1つ持つ系である。
すなわち、車体の位置、姿勢変化に寄与する3つの自由度とは別に、位置、姿勢変化には寄与しないが、内力の変化をもたらす零空間自由度を1つ持つ系である。
図10における主要な記号の意味は、以下の通りである。

乃至k:ばね定数
d:前後台車中心間距離の半分
b:左右の空気ばね間隔の半分
:空気ばね上面高さ(iは1乃至4)
0i:空気ばねの無負荷長さ(iは1乃至4)
bi:空気ばね下面高さ(iは1乃至4)
また、以降の式展開において、z、z、zbiを4変数並べたベクトルを表す。
上述した前提条件の下では、空気ばねの上面高さと車体の位置、姿勢との間には、式1乃至4の関係が成立する。

=Z−bΦ―dθ (1)
=Z+bΦ―dθ (2)
=Z−bΦ+dθ (3)
=Z+bΦ+dθ (4)
これは、行列ベクトル形式で、式5のように表される。

一方、仮想仕事の原理より、ばね力ベクトル


と、車体位置、姿勢に共役な一般化ベクトル


との間には、式6が成立する。

Q=JF (6)

一方、ばね力ベクトルは、各ばね定数を対角成分に持つ対角行列K=diag{k、k、k、k}と、ばねの変位量を用いて、式7のように表される。

F=−K{z−(z+z)}=−K{J−(z+z)} (7)
車体に正味作用するばね力Qは、式7を式6に代入することで、式8のように表される。

Q=−JK{J−(z+z)} (8)
一方、車体に作用する外力Fextの影響は、車体重心に作用する重力と超過遠心力のみを考慮し、式9、10のように表す。

ただし、F,Fは、それぞれ車体に作用する左右、上下方向の力であり、Hは車体下面から外力作用点までの高さである。
以上より、車体に関する静的つり合い条件は、式11のように表される。

−JK={J−(z+z)}+RF=0 (11)

行列Jは列フルランクであり、行列Kは非零な対角行列であることを考慮すると、行列JKJはフルランクな正方行列である。
したがって、式11は車体の位置、姿勢xについて解くことが可能であり、式12のように表される。

x=(JKJ)−1{JK(z+z)+RF} (12)
次に、高さ調整弁のモデルについて考える。
高さ調整棒230の長さを表す4次元ベクトルをzrodとする。
本明細書では、各部位の空気ばね170の変位量と、高さ調整棒230の長さに応じて、各部位の空気ばね170の無負荷長zの変化速度が決定されるモデルを考える。

ただし、関数s(q)は、高さ調整棒230と空気ばね170の間の相対変位量qに対する高さ調整弁210の流量特性を決定づける関数である。
本モデルでは、高さ調整弁210の応答の時間遅れは考えない。
式13のうち、zrodは基本的に固定値であり、z及びFは、想定する軌道線形等に応じて事前に決定しておくことができる。
したがって、式13は、ばねの無負荷長zを状態変数とする1階の微分方程式である。
関数s(q)の形としては、例えば不感帯の外側では自然長変化速度が一定となるような以下の関数などが考えられる。

s(q)=[s(q) s(q) s(q) s(q)] (14)


ただし、Δは、高さ調整弁210の不感帯幅の半分である。
次に、制御則の設計に先立ち、導出した低次元準静的モデルの代表的な構造について考察する。
先ず、式13のうち、流量特性関数の引数


の構造について考察する。
この式を整理すると、式17を得る。


一方、行列Aを、A=JKと定義する。
Aが行フルランクであることに注意すると、行列Aの疑似逆行列Aは、

=A(AA)−1=KJ(JKKJ)−1 (18)

と表せる。
式17内の係数行列の一部であるJ(JKJ)−1は、Aと非常に近い構造をしており、実際各部位のばね定数kからkが等しいという条件下では、

=J(JKJ)−1 (19)

が成立する。
すなわち、各部位の空気ばね170の剛性のばらつきが顕著でない範囲では、以下の近似が成立する。

ただし、Iは4次の単位行列である。
式20について、各項ごとに代表的性質をまとめると以下のようになる。

・高さ調整棒230の長さzrodは、直接的に高さ調整てこ220の先端変位に反映される。
・外力Fは、変換行列Rを介して、空気ばね170の変位に換算した場合に、ノルム最小解を与えるように高さ調整てこ220の先端変位に反映される。
・空気ばね170の下面変位zは、写像Aの零空間にマップされる成分のみが、高さ調整てこ220の先端変位に反映される。
・空気ばね170の無負荷長zは、写像Aの零空間の直交補空間にマップされる成分のみが、高さ調整てこ220の先端変位に反映される。
これらの代表的性質が持つ意味についてより具体的に考察するために、各部位の剛性が等しいという条件下で行列Aの疑似逆行列を求めると、式21となる。

また、定義より、式22が得られる。

したがって、零空間の直交捕空間への写像AAは、式23となる。

また、零空間への写像I−AAは、式24となる。

明らかに、行列I−AAのランクは1であり、また各行ベクトルは、対角差を抽出する構成となっている。
すなわち、行列I−AAは、ベクトルzのうち、対角差として効く成分のみを抽出する写像であり、例えば一様な変位や、左右、前後対象となるような変位についてはゼロにマップする。
したがって、空気ばね170の下面変位は、対角差成分のみが高さ調整てこ220の動きに関与することがわかる。
これは、例えばレール面が全ての車輪に関して準静的に一様に上下しただけでは高さ調整弁210が動作しないことからも理解できる。
一方、行列AAは、零空間の直交捕空間への写像なので、対角差以外の成分(一様変位、左右差、前後差)を抽出し、対角差成分をゼロとする写像である。
すなわち、空気ばね170の無負荷高さは、対角差以外の成分のみが高さ調整弁210の動作に関与することを意味する。
対角差以外の成分とは、言い換えれば車体10の運動に寄与する成分であり、空気ばね170の無負荷長が変化したことで車体10が運動した成分のみが、高さ調整てこ220の先端変位に影響を及ぼすことを表している。
重力、遠心力項については、ベクトルRFを書き下すと式25を得る。

RF=[−hF 0 F (25)

式25の左から行列Aを掛けると、式26を得る。


重力、遠心力の影響は、前後対象な、左右誤差がゼロでないような空間に現れ、零空間写像を掛けるとゼロとなる。
次に、高さ調整弁が動作したことによるばね力変化について考える。
式7に式12を代入すると、式27を得る。


ここで、


を考慮すると、式28のように表せる。

F=KAA(z+z)+KARF−K(z+z
=−K(I−AA)(z+z)+KARF (28)

すなわち、空気ばね170の空気ばね力は、外力に起因して変化する項と、空気ばね170の無負荷高さ及び下面高さに起因して変化する項から構成されることがわかる。
このうち、空気ばね170の無負荷高さ及び下面高さに起因して変化する項は、線形写像K(I−AA)によって空気ばね力にマップされる。
上述した通り、I−AAは、対角差を抽出する写像であり、これは空気ばね170の無負荷高さ、及び、下面高さの影響については、その対角差成分のみが空気ばね力に反映されることを表している。
一方、空気ばね170の無負荷高さは、式13を時間積分した結果であり、式29のように表される。


ただし、Cは積分定数である。
関数sは、高さ調整弁210の給排気流量を決定する関数であるから、zは給排気流量の時間積分値、すなわち空気量で決まる。
式29を式28に代入すると、式30を得る。


高さ調整弁210の流量関数sの積分項が現れるが、この項は、不感帯を有する高さ調整弁210を搭載した車両1においては、いわゆる内圧履歴や輪重履歴として現れるものと考えられる。
積分した結果がゼロでない場合には、初期状態とは異なるばね力が発生している。
仮に積分がゼロでなくても、積分項は零空間写像I−AAを介してばね力に反映されるため、対角差成分の積分値のみが力として効いてくる。
次に、低次元準静的モデルを用いた制御則設計に関して説明する。
高さ調整てこ220の先端変位相当の変数qの近似式を、式31として再掲する。


式31のうち、軌道の平面性変位に起因した高さ調整てこ220の先端変位の変化項は、右辺の第2項である。
この部分を、可変長の高さ調整棒230によってキャンセルすることを考える。
すなわち、式32が成立するように、高さ調整棒230の長さを、式33のように操作する。

ただし、式33の左辺は、可変長の高さ調整棒230の長さ指令値である。
一方、zは、ある基準座標系からみた空気ばね170下面の高さである。
この基準座標系を車体にとったとき、高さ調整てこ220の先端の変位量をδLV、高さ調整棒230の現在の長さをzrodとすると、式34のように表される。

=δLV−zrod (34)

したがって、高さ調整棒230の長さ指令値は、式35により表せる。


これは、走行中の空気ばね170の高さに応じて、高さ調整棒230の長さを決定することに相当する。なお、式35の右辺に、制御ゲインに相当する適当な定数を乗じてもよい。
高さ調整棒230の現在の長さは、高さ調整棒230の現在の長さ指令値で代用できるため、高さ調整てこ220の先端の変位(台車枠110に対する車体10の上下方向相対変位、及び、空気ばね170の上部と下部との上下方向相対変位を表す)を把握できれば、車上で得られる情報のみで対角アンバランス補償制御を構成することができる。
この制御方式は、車体支持に関する零空間変数をゼロとすることを目標とした制御であるため、本明細書、特許請求の範囲においては、これを「零空間レギュレータ」と称する。
重力などの外力の影響は、零空間には表されないことは既に述べた。
すなわち、零空間レギュレータは、外力によって車体10が運動した際の高さ調整弁210の動作には影響を及ぼさない。
したがって、零空間レギュレータを適用したとしても、通常の自動高さ調整装置200の機能を損なうことはない。
実施形態の空気圧式可変長の高さ調整棒230のように、長さを二値のみで制御可能な場合、空気ばね170の高さに閾値を設けて、高さ調整棒230の伸縮を決定する方法などが考えられる。
以上説明した零空間レギュレータが理想的に作用した場合、高さ調整てこ220の先端変位の近似式は、式36のように表せる。


一方、空気ばねの内圧履歴問題について考える。
空気ばね内圧履歴問題は、式30の時間積分項に現れるが、この式からも明らかな通り、積分項の零空間写像のみが、内圧履歴として現れる。
したがって、被積分関数の零空間写像を小さく抑えることは、内圧履歴を生じにくくさせるうえで重要であると考えられる。
ここで、零空間レギュレータが理想的に作用した場合の高さ調整てこ220の先端変位(式36)は、式37により零空間には写像されないことに着目する。


つまり、上述した零空間レギュレータによって、高さ調整てこ220の先端変位の対角差が抑制される。
これにより、各部位の高さ調整弁210に個体差がなければ、高さ調整弁210の流量の対角差が抑えられる。
すると、上述した積分項の零空間写像が小さくなり、結果として内圧履歴を抑制する効果も期待される。
以上説明した制御則を、高さ調整棒230の長さを伸縮2段階に変更する実施形態の車両にそのまま適用することはできず、既に述べた通り制御則を二値化する必要がある。
以下、二値化の方法について述べる。
ここで、h=δLV−zrod(h={h})とおく。
各部位の長さ指令値について書き下すと、式38乃至41を得る。

u=−(h+h)/4+(h+h)/4と置けば、より簡素に、



と表せる。
ここで、高さ調整棒230の長さが所定値で、かつ、高さ調整てこ220の先端変位量が0(てこの角度が0)である場合を、h=0とする。
空気圧により可変長である高さ調整棒230の場合、長さ指令値は負値をとることができないため、例えば変数uが負値となる場合には、



を0とする必要があることに注意する。
ここでは、単位ステップ関数step(x)を用いて、式46乃至49のように、制御則を二値化することを検討する。


ただし、uthは、LV棒に伸長指令を与える閾値であり、srodは、シリンダ241のストロークである。
第1実施形態における制御則では、空気ばね170の高さをフィードバックする代わりに、高さ調整てこ220の先端の変位と、高さ調整棒230の長さ指令値の和を加算したものをフィードバックする。
このとき、実際には高さ調整棒230を駆動する電磁弁に指令電圧を印加してから、高さ調整棒230が最大長に伸び切るまでには無駄時間が存在するため、高さ調整てこ220の先端の変位と高さ調整棒230の長さ指令値の和で計算した空気ばね170の高さは、インパルス状に変化することになる。
これが制御系を不安定化させることを防ぐため、フィードバック値として参照する高さ調整棒230の指令値を、無駄時間相当分(例えば96msec)遅延させている。
また、上述した単位ステップ関数をそのまま適用すると、フィードバック関数が閾値uth付近で変動した場合にチャタリングが発生する可能性がある。
これを防ぐため、本実施形態ではシュミットトリガと同等のヒステリシスループをソフトウェア的に実装した二値化制御を適用する。
図11は、ソフトウェアシュミットトリガによる二値化制御則を示す図である。
図11に示すように、オフからオンとなる閾値uth1と、オンからオフとなる閾値uth2とは異なっている。
また、図12は、第1実施形態における制御系のブロック線図である。
以下、零空間レギュレータを用いた本実施形態の制御システムにおける走行試験の結果について説明する。
走行試験は、公益財団法人鉄道総合技術研究所の所内にある試験線において実施した。
走行速度は10km/hとし、国立方からシステム方への曲線路を走行させている。
空気圧アクチュエータ240のストロークは、30mmに設定した。
閾値uth1、閾値uth2は、例えばそれぞれ12mm、2mmとした。
図13は、第1実施形態の車両における高さ調整てこの先端変位と輪重アンバランスの測定結果の一例を示すグラフである。
図13において、上段縦軸は高さ調整てこの先端変位を示し、下段縦軸は輪重アンバランスを示している。
また、図13の上下段とも、横軸は時間を示している。
図13において、第1実施形態の零空間レギュレータを用いた軌道平面性変位検出を行い、検出結果に応じて対角アンバランス補償制御を行った場合のデータを灰色で示し、このような制御を行っていない場合のデータを黒で示している。
上記制御を行った場合、70秒から120秒までの範囲で、高さ調整てこ220の先端の対角変位がステップ状に変化している。
この領域では、軌道平面性変位検出部が曲線路の入り口緩和曲線を検知し、これに応じて高さ調整棒230の長さ指示値が切り替わっていることがわかる。
また、370秒から410秒までの範囲でも、高さ調整てこ220の先端の対角変位がステップ状に変化している。
この領域では、軌道平面性変位検出部が曲線路の出口緩和曲線を検知し、これに応じて高さ調整棒230の長さ指示値が切り替わっていることがわかる。
第1実施形態においては、出口緩和曲線への進入時に、高さ調整てこ220の先端位置の対角変位が閾値uthを超過した場合に、高さ調整棒230の長さ指示値を変化させ、前方旋回外軌側、及び、後方旋回内軌側の空気ばね170に給気を行い、その後出口緩和曲線の終了時にこれらの空気ばね170から排気を行う輪重アンバランス補償を行うことにより、例えば410秒付近の領域では、輪重アンバランスを最大約30%低減させて車両の乗り上がり脱線に対する安全マージンを顕著に改善し、鉄道車両の安全性を向上することができる。
以上説明した第1実施形態の輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)前後左右に配置された空気ばね170の下部に対する上部高さを示す高さ調整てこ220の先端変位の対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出することにより、車上で取得可能な情報のみを用いて軌道平面性変位を感度よく検出し、検出された軌道平面性変位に応じて対角に配置され相対的に伸長した一対の空気ばね170に給気を行うことにより、適切かつ効果的に輪重変動を抑制して鉄道車両の走行安定性を向上することができる。
このため、軌道線形データベースの保守、更新が不要となり、新規路線への導入も容易であり、さらに自車位置の検知を必要としないため、装置の構成を簡素化することができる。
また、車両の走行速度を演算に用いないことから、低速走行時においても検出精度が悪化することを防止できる。
さらに、走行中の車両の運動状態に基づいて軌道平面性変位を検出するため、例えば緩和曲線などの構造的に平面性変位が付与されている箇所以外の地点で、いわゆる軌道狂いとして平面性変位が進展している箇所を検出して輪重変動を抑制することができる。
(2)可変長機構を空気圧アクチュエータ240及び制御弁250により構成したことにより、鉄道車両において通常設けられるコンプレッサ、空気溜めなどの圧縮空気供給手段を用いる簡素な構成により可変長機構を駆動することができる。
(3)高さ調整棒230の長さ指示値を二値化してステップ状に設定することにより、機構上可変長機構の長さを連続的に変化させることができない場合であっても、適切な輪重変動抑制制御を行うことができる。
(4)軌道平面性変位の検出及び高さ調整棒230の長さ指示値の算出を、零空間レギュレータを用いて行うことにより、各部位の空気ばね170の上部高さから重力、遠心力のような対角差以外の成分をゼロとし、対角差成分のみを抽出することができる
<第2実施形態>
次に、本発明を適用した輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法の第2実施形態について説明する。
図14は、第2実施形態の輪重変動抑制装置の装置構成を模式的に示す図である。
第2実施形態の輪重変動抑制装置においては、車両平面視において対角上に配置された一対の空気圧アクチュエータ240に空気を供給する配管を相互に連通させ、共通の制御弁250により制御することを特徴とする。
車両前方右側の空気圧アクチュエータ240FRと、車両後方左側の空気圧アクチュエータ240RLは、共通の制御弁250Aにより空気を供給される。
車両前方左側の空気圧アクチュエータ240FLと、車両後方右側の空気圧アクチュエータ240RRは、共通の制御弁250Bにより空気を供給される。
制御弁250AのポートA253は、分岐管を介して、空気圧アクチュエータ240FR,250RLのポート245とそれぞれ接続されている。(ポート245,246は図15では図示を省略する。図3,4を参照)
制御弁250AのポートB254は、分岐管を介して、空気圧アクチュエータ240FR,250RLのポート246とそれぞれ接続されている。
制御弁250BのポートA253は、分岐管を介して、空気圧アクチュエータ240FL,250RRのポート245とそれぞれ接続されている。
制御弁250BのポートB254は、分岐管を介して、空気圧アクチュエータ240FL,250RRのポート246とそれぞれ接続されている。
以上説明した第2実施形態によれば、車両平面視における対角上に配置された一対の空気圧アクチュエータ240に空気を供給する配管を相互に連通させ、共通の制御弁250A,250Bによって制御することにより、装置構成を簡素化し、コストを低下させるとともに、既存の車両にもより容易に適用することが可能となる。
<第3実施形態>
次に、本発明を適用した輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法の第3実施形態について説明する。
第3実施形態においては、出口緩和曲線を走行する際に、前方側の台車100Fの旋回内軌側、及び、後方側の台車100Rの旋回外軌側のまくらばね170から排気(抜気)を行うことを特徴とする。
第1、第2実施形態では、鉄道車両の通常走行時には、空気圧アクチュエータ240は短縮された状態となっていたが、第3実施形態においては、空気圧アクチュエータ240は伸長された状態となっている。
第3実施形態においては、制御弁250は、ソレノイドへの通電をオフとした際に空気圧アクチュエータ240が伸長し、ソレノイドへの通電をオンとした際に空気圧アクチュエータ240が短縮されるよう構成されている。
このような構成は、例えば、制御弁250のポートA253と空気圧アクチュエータ240のポート246とを連通させ、制御弁250のポートB254と空気圧アクチュエータ240のポート245とを連通させることにより実現することができる。
以上説明した第3実施形態によれば、前方側の台車100Fの旋回内軌側のまくらばね170FR、及び、後方側の台車100Rの旋回外軌側のまくらばね170RLから排気を行うことにより、一方の対角に配置されたまくらばね170FR,170RLと、他方の対角に配置されたまくらばね170FL,170RRとの相対的な高さの関係を、前方側の台車100Fの旋回外軌側のまくらばね170FL、及び、後方側の台車100Rの旋回内軌側のまくらばね170RRに給気を行った場合と同様とすることができる。
これにより、上述した第1実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明を適用した輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法の第4実施形態について説明する。
第4実施形態においては、可変長機構として第1実施形態の空気圧アクチュエータ240に代えて、例えば電動モータ、減速ギア列、ボールねじ機構などを有する電動式アクチュエータを用いる。
このような電動アクチュエータは、所定のイニシャル位置を基準として、高さ調整棒230が伸縮する方向にそれぞれ伸縮可能となっている。
第1実施形態においては、空気圧アクチュエータ240が伸縮2段階の切換のみ可能であったことから、高さ調整棒230の長さ指示値を二値化しているが、第4実施形態においては、上述した式33によって表される高さ調整棒230の長さ指示値をそのまま用いて、あるいは、この長さ指示値に所定の係数(ゲイン)を乗じた値を長さ指示値として、電動式アクチュエータの伸縮制御を行う。
以上説明した第4実施形態によれば、可変長機構として基準位置からの伸縮が可能であり、長さを連続的、無段階に変化させることが可能な電動式アクチュエータを用いることにより、輪重アンバランス補償制御の精度を向上させることができる。
(他の実施形態)
なお、本発明は上述した各実施形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。
(1)鉄道車両、輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法の構成は、上述した各実施形態に限らず適宜変更することができる。
(2)各実施形態の軌道平面性変位検出部においては、高さ調整てこの先端変位、及び、高さ調整棒の長さ指令値に基づいて空気ばねの下部に対する上部高さを検出しているが、本発明はこれに限らず、他の手法によって空気ばねの下部に対する上部高さを検出してもよい。
(3)各実施形態では、高さ調整棒の伸縮を空気圧アクチュエータ、電動式アクチュエータにより行っているが、これに限らず、他種のアクチュエータを用いてもよい。
例えば、油圧アクチュエータ等を用いることができる。
(4)出口緩和曲線を走行する際に、第1、第2実施形態では、前方側の台車の旋回外軌側及び後方側の台車の旋回内軌側のまくらばねに給気し、第3実施形態では、前方側の台車の旋回内軌側及び後方側の台車の旋回外軌側のまくらばねから排気しているが、このような給気及び排気を同時に行ってもよい。
1 鉄道車両 10 車体
100 台車 110 台車枠
111 ブラケット 120 輪軸
121 車輪 122 車軸
130 軸箱 140 軸箱支持装置
150 軸ばね 160 軸ダンパ
170 空気ばね
200 自動高さ調整装置 210 高さ調整弁
220 高さ調整てこ 230 高さ調整棒
240 空気圧アクチュエータ 241 シリンダ
242 ピストン 243 ピストンロッド
244 ストッパ 245 ポート
246 ポート 250 制御弁
251 ボディ 252 ポートP
253 ポートA 254 ポートB
255 ポートR 256 ポートR
257 スプール弁 258 ピストン
259 ピストン
300 制御装置 310 レギュレータ
320 圧力計 330 元供給切換弁
R レール C 円曲線
S 直線 TC 出口緩和曲線
T 空気溜め

Claims (14)

  1. 車体と、
    前記車体の下部に車両の進行方向前方側から順次設けられた1位台車及び2位台車と、
    前記1位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第1の空気ばね及び第2の空気ばねと、
    前記2位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第3の空気ばね及び第4の空気ばねと、
    前記第1乃至第4の空気ばねに給気及び排気を行う給排気装置と
    を備える鉄道車両の輪重変動抑制装置であって、
    前記第1の空気ばね乃至第4の空気ばねの下部に対する上部高さをそれぞれ検出し、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねの前記上部高さと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねの前記上部高さとの対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出する軌道平面性変位検出部と、
    前記軌道平面性変位が検出された際に、前記給排気装置により、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねとのうち長さが相対的に伸長した側の対の前記空気ばねに給気を行わせる制御部とを有すること
    を特徴とする輪重変動抑制装置。
  2. 前記給排気装置は、
    前記車体に設けられ給気状態と排気状態とを切換可能な弁体を有する高さ調整弁と、
    前記弁体と連動するレバー部と、
    上端部が前記レバー部に連結され下端部が前記台車の台車枠に連結された連結部と
    を備え、
    前記連結部は、前記上端部と前記下端部との距離を変化させる可変長機構を備え、
    前記制御部は、前記可変長機構を通常の状態よりも伸長させることにより前記空気ばねへの給気を行うこと
    を特徴とする請求項1に記載の輪重変動抑制装置。
  3. 車体と、
    前記車体の下部に車両の進行方向前方側から順次設けられた1位台車及び2位台車と、
    前記1位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第1の空気ばね及び第2の空気ばねと、
    前記2位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第3の空気ばね及び第4の空気ばねと、
    前記第1乃至第4の空気ばねに給気及び排気を行う給排気装置と
    を備える鉄道車両の輪重変動抑制装置であって、
    前記第1の空気ばね乃至第4の空気ばねの下部に対する上部高さをそれぞれ検出し、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねの前記上部高さと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねの前記上部高さとの対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出する軌道平面性変位検出部と、
    前記軌道平面性変位が検出された際に、前記給排気装置により、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねとのうち長さが相対的に短縮した側の対の前記空気ばねから排気を行わせる制御部とを有すること
    を特徴とする輪重変動抑制装置。
  4. 前記給排気装置は、
    前記車体に設けられ給気状態と排気状態とを切換可能な弁体を有する高さ調整弁と、
    前記弁体と連動するレバー部と、
    上端部が前記レバー部に連結され下端部が前記台車の台車枠に連結された連結部と
    を備え、
    前記連結部は、前記上端部と前記下端部との距離を変化させる可変長機構を備え、
    前記制御部は、前記可変長機構を通常の状態よりも短縮させることにより前記空気ばねへの給気を行うこと
    を特徴とする請求項3に記載の輪重変動抑制装置。
  5. 前記可変長機構は、
    空気圧アクチュエータと、
    前記空気圧アクチュエータに空気を供給する制御弁とを有すること
    を特徴とする請求項2又は請求項4に記載の輪重変動抑制装置。
  6. 前記制御部は、前記軌道平面性変位検出部が検出する前記軌道平面性変位に基づいて、前記可変長機構の長さ指令値をステップ状に変化させる指令値生成部を有すること
    を特徴とする請求項5に記載の輪重変動抑制装置。
  7. 前記軌道平面性変位検出部は、
    前記車体の上下変位をz、ロール角をΦ、ピッチ角をθとし、
    前後の空気ばね間隔の半分をdとし、
    左右の空気ばね間隔の半分をbとし、
    前記第1の空気ばね乃至前記第4の空気ばねの前記上部高さをz乃至zとしたときに、行列Jを次式のように定義し、

    前記第1の空気ばね乃至前記第4の空気ばねのばね定数をk乃至kとしたときに、各ばね定数を対角成分にもつ対角行列K=diag{k、k、k、k}とし、
    行列A=JKと定義したときに、
    零空間への写像であるI−AAを用いて前記対角差成分を抽出すること
    を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の輪重変動抑制装置。
  8. 車体と、
    前記車体の下部に車両の進行方向前方側から順次設けられた1位台車及び2位台車と、
    前記1位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第1の空気ばね及び第2の空気ばねと、
    前記2位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第3の空気ばね及び第4の空気ばねと、
    前記第1乃至第4の空気ばねに給気及び排気を行う給排気装置と
    を備える鉄道車両の輪重変動抑制方法であって、
    前記第1の空気ばね乃至第4の空気ばねの下部に対する上部高さをそれぞれ検出し、
    前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねの前記上部高さと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねの前記上部高さとの対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出し、
    前記軌道平面性変位が検出された際に、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねとのうち長さが相対的に伸長した側の対の前記空気ばねに前記給排気装置を用いて給気を行うこと
    を特徴とする輪重変動抑制方法。
  9. 前記給排気装置は、
    前記車体に設けられ給気状態と排気状態とを切換可能な弁体を有する高さ調整弁と、
    前記弁体と連動するレバー部と、
    上端部が前記レバー部に連結され下端部が前記台車の台車枠に連結された連結部と
    を備え、
    前記連結部は、前記上端部と前記下端部との距離を変化させる可変長機構を備え、
    前記可変長機構を通常の状態よりも伸長させることにより前記空気ばねへの給気を行うこと
    を特徴とする請求項8に記載の輪重変動抑制方法。
  10. 車体と、
    前記車体の下部に車両の進行方向前方側から順次設けられた1位台車及び2位台車と、
    前記1位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第1の空気ばね及び第2の空気ばねと、
    前記2位台車と前記車体との間に進行方向に向かって左右に離間して配置された第3の空気ばね及び第4の空気ばねと、
    前記第1乃至第4の空気ばねに給気及び排気を行う給排気装置と
    を備える鉄道車両の輪重変動抑制方法であって、
    前記第1の空気ばね乃至第4の空気ばねの下部に対する上部高さをそれぞれ検出し、
    前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねの前記上部高さと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねの前記上部高さとの対角差成分に基づいて軌道平面性変位を検出し、
    前記軌道平面性変位が検出された際に、前記第1の空気ばね及び前記第4の空気ばねと、前記第2の空気ばね及び前記第3の空気ばねとのうち長さが相対的に短縮した側の対の前記空気ばねに前記給排気装置を用いて給気を行うこと
    を特徴とする輪重変動抑制方法。
  11. 前記給排気装置は、
    前記車体に設けられ給気状態と排気状態とを切換可能な弁体を有する高さ調整弁と、
    前記弁体と連動するレバー部と、
    上端部が前記レバー部に連結され下端部が前記台車の台車枠に連結された連結部と
    を備え、
    前記連結部は、前記上端部と前記下端部との距離を変化させる可変長機構を備え、
    前記可変長機構を通常の状態よりも短縮させることにより前記空気ばねへの給気を行うこと
    を特徴とする請求項10に記載の輪重変動抑制方法。
  12. 前記可変長機構は、
    空気圧アクチュエータと、
    前記空気圧アクチュエータに空気を供給する制御弁とを有すること
    を特徴とする請求項9又は請求項11に記載の輪重変動抑制方法。
  13. 前記軌道平面性変位検出部が検出する前記軌道平面性変位に基づいて、前記可変長機構の長さ指令値をステップ状に変化させること
    を特徴とする請求項12に記載の輪重変動抑制方法。
  14. 前記車体の上下変位をz、ロール角をΦ、ピッチ角をθとし、
    前後の空気ばね間隔の半分をdとし、
    左右の空気ばね間隔の半分をbとし、
    前記第1の空気ばね乃至前記第4の空気ばねの前記上部高さをz乃至zとしたときに、行列Jを次式のように定義し、

    前記第1の空気ばね乃至前記第4の空気ばねのばね定数をk乃至kとしたときに、各ばね定数を対角成分にもつ対角行列K=diag{k、k、k、k}とし、
    行列A=JKと定義したときに、
    零空間への写像であるI−AAを用いて前記対角差成分を抽出すること
    を特徴とする請求項8から請求項13のいずれか1項に記載の輪重変動抑制方法。
JP2019097579A 2019-05-24 2019-05-24 輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法 Pending JP2020192822A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019097579A JP2020192822A (ja) 2019-05-24 2019-05-24 輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019097579A JP2020192822A (ja) 2019-05-24 2019-05-24 輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020192822A true JP2020192822A (ja) 2020-12-03

Family

ID=73547859

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019097579A Pending JP2020192822A (ja) 2019-05-24 2019-05-24 輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020192822A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114750799A (zh) * 2022-05-20 2022-07-15 中车制动系统有限公司 轨道车辆高度调整机构

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114750799A (zh) * 2022-05-20 2022-07-15 中车制动系统有限公司 轨道车辆高度调整机构
CN114750799B (zh) * 2022-05-20 2023-09-15 中车制动系统有限公司 轨道车辆高度调整机构

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9643622B2 (en) Track-guided vehicle, and car body tilt control method therefor
Alfi et al. Active control of airspring secondary suspension to improve ride quality and safety against crosswinds
US11541913B2 (en) Vehicle height control method and associated vehicle
US10787185B2 (en) Method for controlling the height of a transport vehicle and related transport vehicle
US11364939B2 (en) Pneumatic suspension for railway vehicle
US3911830A (en) Pneumatic roll stabilizing suspension system
JP2020192822A (ja) 輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法
KAMOSHITA et al. Total performance evaluation of the assist steering system for bolsterless bogie
JP5819100B2 (ja) 走行車両
CN112498389B (zh) 轨道交通车辆及其控制方法、系统
US5564342A (en) Railway vehicle with variable trim body
JP2018083556A (ja) 鉄道車両の高さ調整装置
GB2530677A (en) Railroad vehicle capable of reducing lateral force and lateral force reduction method
US3757702A (en) Railway car roll controlled by fluid spring controller assembly
JP4261898B2 (ja) 鉄道車両
Cheli et al. Numerical model of a tilting body railway vehicle compared with rig and on track tests
EP2483124B1 (en) Method of controlling a pneumatic suspension of a bogie of a rail vehicle, and bogie provided with a pneumatic suspension
JP2020075622A (ja) 輪重変動抑制装置及び輪重変動抑制方法
EP0736437A2 (en) A body roll control system for a railway vehicle with variable trim body
JP4771727B2 (ja) 輪重変動抑制装置
JP2020192821A (ja) 軌道平面性変位検出方法及び軌道平面性変位検出装置
CN105683023B (zh) 车体倾斜控制装置的异常检测方法
US1002822A (en) Pneumatic cushioning device.
JP2006298128A (ja) 鉄道車両の車体傾斜装置
JP6492362B2 (ja) 車体傾斜制御装置