JP2020189172A - プラズマを用いた空気清浄装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】室内に浮遊する新型コロナウイルスや病原菌等をプラズマで殺菌あるいは不活化する空気清浄装置の実用化が期待されている。しかしながら、従来装置では、大容量の空間を対象に、効果的な殺菌効果を発揮し、安全に低コストで、確実に、迅速にプラズマ処理することが困難であるという課題がある。この課題を解消可能なプラズマを用いた空気清浄装置を提供すること。【解決手段】空気を吸入し、吹き出す筐体に、乱流発生手段と、誘電体膜で被覆された楕円形又は長円形の接地電極と、メッシュ状又は螺旋状の非接地電極を配置し、前記空気を乱流状態にしてプラズマ化することにより、プラズマと空気の撹拌混合を促進するとともに、前記プラズマで生成されるラジカル種を乱流拡散させることにより、プラズマによる殺菌、不活化が確実に、ムラなく、効果的に行われることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、大気圧プラズマを用いて病原菌、細菌、ウイルスあるいはカビ毒等を、殺菌あるいは滅菌あるいは不活化するプラズマを用いた空気清浄装置に関する。特に、新型コロナウイルス及び新型インフルエンザウイルスを対象にしたプラズマを用いた空気清浄装置に関する。
最近、新型コロナウイルスによる感染症の集団感染が世界規模で起こっており、大きな社会問題となっている。新型コロナウイルスの感染経路は、主として、飛沫感染及び接触感染と言われ、その予防対策として、マスク着用及び手洗いが効果的である、ということが知られている。また、感染予防の基本は3つの密を避けることである、と言われている。即ち、(い)換気の悪い密閉空間、(ろ)人が密集している所、(は)近距離での会話や発声が行われる所。この3密が重なると、感染リスクが最も高くなる、と言われている。
周知のとおり、新型コロナウイルスの飛沫感染は2m離れると感染しないとされている。2mの距離があれば、新型コロナウイルスは2mの距離を浮遊して間に起こる乾燥によって感染力を失う。しかしながら、湿気のある空間では、空中に浮遊する新型コロナウイルスは乾燥しにくいことから、数10分程度は、充分に、感染力を維持している。エアロゾルの状態で3時間以上生存しているという知見もある。即ち、一般家庭、オフイス、病院、レストラン、居酒屋等のように、区切られた空間では、感染力を持った新型コロナウイルスが、エアロゾルとして浮遊している可能性が高いので、感染するリスクは増大する。特に、エアコンが稼働中の密閉空間では、新型コロナウイルスが気流に乗って空間を漂流すので、感染するリスクは著しく増大する、ということが知られている。
空中に浮遊する新型コロナウイルスから身を守るには、区切られた空間に存在する空気をほぼ完全に、常時換気する必要がある。換気ができない場合は、室内の空気を浄化あるいは殺菌することが求められる。特に、病院や老人介護施設等では、殺菌機能を備えた空調設備が求められる。しかしながら、エアゾロル感染防止に役立つ空気清浄機は、まだ、市販されていない。
他方、例えば、非特許文献1〜3に記載されているように、大気圧プラズマを用いた農産物及び医療機器等の殺菌装置が注目されている。プラズマによる殺菌、滅菌は、プラズマの持つ、電気的、物理的及び化学的な作用を活用したもので、空気をプラズマ化することにより実現される。例えば、室内の空気中に浮遊する細菌やウイルスを殺菌する場合、その細菌やウイルスを含む空気をプラズマ化すれば良い。その場合、空気プラズマの中では、電界、プラスイオン、マイナスイオン、紫外線、活性酸素(Oラジカル、OHラジカル等)、活性窒素(Nラジカル、NOラジカル等)、オゾン等が発生するので、その中に存在する細菌やウイルスは、ほぼ確実に死滅、あるいは不活性化される。
なお、市販されているオゾナイザー応用の空気清浄機は、主としてオゾンの殺菌効果あるいは消臭効果を活用したものであり、新型コロナウイルスの殺菌に対しては全く役に立たない、ということが知られている。また、濃度6.0ppmのオゾンを新型コロナウイルスに約1時間暴露すると不活化できる、という研究成果が報道されているが、オゾンは人体に有害であることから、高濃度オゾンを散布する方法は使用できない(日本ではオゾン濃度の規制値は0.1ppm以下となっている)。
もしも、プラズマ殺菌効果を活用した空気清浄装置が実用化普及されれば、密閉空間でのエアゾロル感染防止が確実に実現可能となるので、安全、安心の生活を過ごすことが可能になる。
また、新型コロナウイルスが空気中に浮遊しているという環境において活発な経済活動を促進するという観点からも、プラズマ殺菌効果を活用した空気清浄装置の実用化普及が期待される。
プラズマを活用した空気清浄装置のアイデイアあるいは構想は、例えば、特許文献1ないし特許文献6に公開されている。
しかしながら、従来のプラズマを活用した空気清浄装置は、消費電力が大きい、あるいは、製造コストが高い、いう問題等を抱えている。即ち、いずれも、実用性の面に問題を抱えている。
したがって、上述の問題点を解消可能なアイデイアの創出が期待される。そして、上記新型コロナウイルスでの飛沫感染防止あるいはエアロゾル感染防止に役立つ空気清浄装置の出現が期待される。
特許文献1に次のことが記載されている。即ち、 誘導電極を耐酸化性、可撓性を有する金属線材から形成し、該誘導電極の周囲を耐酸化性の誘電体絶縁材により被覆し、該誘電体絶縁材の外周に、耐酸化性の細い金属線材を螺旋状に巻くことによって、放電電極を形成したオゾン発生用電極。
特許文献2には次のことが記載されている。即ち、 複数の貫通孔を有する金属基板2枚を、該貫通孔同士の位置が一致するように平行に配設し、該金属基板間に電圧を印加して放電を発生させるとともに、該貫通孔に流体を通過させて流体を浄化する方法であって、該金属基板の対向する少なくとも一方の表面には、溶射方法によるポーラスな誘電体膜が露出して形成されていることを特徴とするプラズマを用いた流体浄化方法。複数の貫通孔を有する金属基板2枚を、該貫通孔同士の位置が一致するように平行に配設し、該金属基板間に電圧を印加して放電を発生させるとともに、該貫通孔に流体を通過させて流体を浄化する装置であって、該金属基板の対向する少なくとも一方の表面には、溶射方法によるポーラスな誘電体膜が露出して形成されていることを特徴とするプラズマを用いた流体浄化装置。
特許文献3には次のことが記載されている。即ち、上部導体電極と下部導体電極と、前記上部導体電極と下部導体電極が対向する内側で前記上部導体電極と下部導体電極の中で少なくとも一つの一表面に形成された一つ以上の導体電極突出部と、前記上部導体電極と下部導体電極が対向する内側で前記上部導体電極と下部導体電極の中で少なくとも一つの一表面に実質的に均一な厚さに形成された誘電体層と、前記上部導体電極と下部導体電極を密着させる時、前記導体電極突出部の突出効果により上下部導体電極の中で一つと誘電体層の間または相互対向する誘電体層の間に形成される所定の間隔(d)と、前記導体電極突出部の上部に均一な厚さに誘電体が形成された誘電体層突出部と、を含み、
前記上部導体電極、前記下部導体電極及び前記誘電体層には、前記上部導体電極から前記下部導体電極を貫通する貫通孔が少なくとも一つ形成されており、前記上部導体電極と下部導体電極にパルスまたは交流の電源を印加してプラズマを発生させることを特徴とする誘電体障壁放電方式の電極構造体。
特許文献4には次のことが記載されている。即ち、 円筒状の絶縁体を挟んで対向する電極を設け、これらの電極間に交流電圧を印加することにより正イオンと負イオンを発生させるイオン発生装置において、前記正イオンとしてH(HO)と負イオンとしてO (HO)とを発生するイオン発生装置に実効値0.44〜2.0kVで、かつ、周波数を人間の可聴周波数帯域の範囲外とした交流電圧を印加したことを特徴とするイオン発生装置。プラズマ生成手段は、円筒状のガラス管の内側と外側に、それぞれに圧着あるいはスクリーン印刷等により形成されたSUS304製メッシュ型接地電極及び非接地電極を配置した構造を有する。
特許文献5には次のことが記載されている。即ち、空気中に浮遊しているウイルスを捕捉することなく不活化する装置であって、 空気と共に浮遊ウイルスを風路に取り込む送風機と、浮遊ウイルスが通過する風路に配置され、 浮遊ウイルスを加熱処理する加熱装置と、浮遊ウイルスをプラズマ処理する高圧電極、およびこの高圧電極に対向して設置された接地電極と、正極と負極とで構成された第2電極と、前記高圧電極に高電圧を印加するために接続された高圧電源と、を備え、前記加熱装置による空気加熱温度を30℃以上とするとともに、前記風路の風上側から順に、前記加熱装置と、前記高圧電極と、前記接地電極と、前記第2電極と、を配置したことを特徴とするウイルス不活化装置。
特許文献6には次のことが記載されている。即ち、放電電極の少なくとも一部が誘電体で覆われた電極パネルを積層した構造を有し、隣接する前記電極パネル間の隙間に気体を流して電圧を印加することによりプラズマを発生させるプラズマパネル積層体を備えるプラズマ発生器と、 前記プラズマ発生器の下流側に配設され、オゾンを分解する触媒を触媒担体に担持させてなるオゾンフィルタとを備えたことを特徴とする空気清浄器。
特開平09−059004 特許4947807 特許6315482 特許3680120 特許5683247 特開2018−110648
永津雅章、プラズマ滅菌、J.Plasma Fusion Res.Vol.83、No.7(2007)、601−606 清水一男、室内環境保全のための大気圧マイクロプラズマ技術、J.Plasma Fusion Res.Vol.89、No.3(2013)、158−163 板良敷朝将、大城盛作、作道章一、林信哉、プラズマを用いた医療用滅菌器開発の現状、J.Plasma Fusion Res.Vol.83、No.91(2015)、505−513 八田吉典、気体放電(近代科学社)、159頁
しかしながら、従来のプラズマを用いた空気清浄装置においては、殺菌対象あるいは処理対象が大量の空気の場合、確実に、漏れ無く、ムラなく殺菌することが困難という問題があった。更に、消費電力が大きいことに加えて、製造コストが高いという問題を抱えていた。
即ち、特許文献1に記載のオゾン発生用電極は、オゾンを高率よく生成可能であるが、オゾンによる新型コロナウイルス殺菌効果が緩やかであること及び生活空間でのオゾン濃度規制値が0.1ppm以下であることにより、新型コロナウイルスの殺菌への応用は困難である。また、消費電力大きいという問題を抱えている。
特許文献2に掲載のプラズマを用いた流体浄化装置は、大量の空気を対象にした応用では、前記貫通孔による圧損が大きくなり、大容量化への対応は困難であること、及び電極構造が複雑であり製造コストが高いという問題を抱えている。なお、前記貫通孔の直径を増大し圧損を少なくすると、処理対象の空気がプラズマ発生電界領域の外側を通過するので、プラズマ処理されない空気が素通りするという問題を抱えている。
特許文献3に記載の誘電体障壁放電方式の電極構造体は、特許文献2に掲載の装置と同様に、大量の空気を対象にした応用では、前記貫通孔による圧損が大きくなり大容量化への対応は困難であること、及び電極構造が複雑であり製造コストが高い、という問題を抱えている。なお、前記貫通孔の直径を増大すると、特許文献2に掲載の装置と同様に、処理対象の空気がプラズマ発生の電界領域の外側を通過するので、プラズマ処理されない空気が素通りするという問題を抱えている。
特許文献4に記載のイオン発生装置は、オゾン生成に適した構造、即ち、円筒状の絶縁体を挟んで対向する一対のメッシュ電極を設けるという構造を有することから、誘電体の薄膜化が非常に困難であり、消費電力が大きくなるという問題を抱えている。また、特許文献4に記載のイオン発生装置は、該装置で生成した正イオンと負イオンを対象空間に放出するだけなので、大容積の空間を対象にした応用では、新型コロナウイルスや細菌類、カビ毒等を殺菌あるいは不活化させることができない、という問題を抱えている。
特許文献5に記載のウイルス不活化装置は、温度30℃以上の空気加熱と大気圧プラズマ発生電極を用いてウイルスを不活化する方式であり、空気加熱の消費電力が大きいこと及び該電極構造が通常の大気圧放電電極であるので、プラズマの特性がアーク放電的になりオゾン発生量が増大する。更に、消費電力が著しく大きい、という問題を抱えている。
特許文献6に記載の空気清浄器は、放電電極の少なくとも一部が誘電体で覆われた電極パネルを積層した平行平板電極を採用している。平行平板電極の間隔を狭くすると、プラズマ生成が容易であるが、空気の流路の圧損が著しく増大する。該間隔を広くとると、空気流れの圧損は小さくなるが、プラズマ生成が困難になる。その結果、消費電力が増大し、かつ、プラズマの特性がアーク放電になり、殺菌への応用が困難になる、という問題がある。
上記のような問題を鑑みて、本発明は、プラズマの殺菌あるいは空気清浄化への応用に際し、処理対象の空気を大量処理できること、プラズマ殺菌あるいはプラズマ清浄化処理が漏れなく、ムラなく確実に可能であること、かつ、消費電力が少なく、製造コストが安いことを実現することを課題とし、それを解決可能な装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、殺菌処理あるいは清浄処理の対象である対象空間の空気を吸入する吸入口と前記対象空間に対して空気を吹き出す吹き出し口とを結ぶ空気流路を形成する筐体と、前記空気の流れを発生する送風機と、前記空気をプラズマ化してプラズマ処理するプラズマ発生手段と、を備えたプラズマを用いた空気清浄装置であって、前記プラズマ発生手段は、電気的に接地された接地電極と、前記接地電極の表面に形成された誘電体膜と、前記接地電極に前記誘電体膜を介して密接して配置された電気的に非接地の非接地電極と、前記非接地電極と前記接地電極の間に電圧を印加する交流電源を備え、前記接地電極は周面が角の無い面で形成された柱状体で成り、前記非接地電極は螺旋状又はメッシュ状の形を有し、かつ、前記吸入口の近傍に前記空気の流れにカルマン渦又は乱れを発生させる乱流発生手段が配置されることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記乱流発生手段は角棒又は丸棒で組まれた格子型であることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明あるいは第2の発明において、前記接地電極の断面形状は、楕円形、長円形あるいは円形であることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれか一つの発明において、前記プラズマ発生手段は、前記接地電極と、前記誘電体膜と、前記非接地電極と、を一対とする複数対の電極を空間的に離間して備えることを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明のいずれか一つの発明において、前記接地電極と前記非接地電極の間隔は、パッシェンの法則での圧力pと電極間隔dとの積が0.2〜10mmHg・cm、即ち、p{mmHg}d{cm}=0.2〜10mmHg・cm、を満たす条件に略等しい値である3μmないし130μmの範囲にあることを特徴とする。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明のいずれか一つの発明において、前記筐体は前記乱流発生手段と前記送風機と前記プラズマ発生手段とオゾン分解触媒とを備え、前記乱流発生手段、前記プラズマ発生手段、前記オゾン分解触媒及び前記送風機は、前記空気の流れの上流側から、この順に配置されることを特徴とする。
本発明の装置では、従来の装置が抱える課題、即ち、プラズマによる空気中に浮遊する新型コロナウイルス等の殺菌あるいは空気清浄化への応用に際し、処理対象の空気を大量処理できること、プラズマ殺菌あるいは清浄化処理が漏れなく、ムラなく確実に可能であること、かつ、消費電力が少なく、製造コストが安いこと、という課題を解決可能という効果を奏する。
即ち、本発明の装置では、筐体の中に乱流発生手段を配置し、空気の流れにカルマン渦を発生させる、あるいは該空気の流れを乱流にさせることにより、非接地電極の近傍に発生するプラズマと前記乱流として動く処理対象の空気が効果的に撹拌され、混合される。前記プラズマで生成されるラジカル種の拡散は乱流拡散となり、効率よく、効果的に前記筐体内部に拡散する。その結果、該処理対象の空気に含まれる新型コロナウイルス及び細菌等が確実に、効果的に、ムラ無くプラズマ処理される。また、プラズマ発生手段の形状が楕円形又は長円形であることにより、前記処理対象の空気の流れの圧損が少なく、大量処理が可能である。また、前記プラズマ発生手段は誘電体膜を用いたナローギャップ放電プラズマ発生方式が採用されていることより、消費電力が少ないとう特徴を有する。また、前記プラズマ発生手段の構造がシンプルであることから製造コストが安いという特徴を有する。
本発明によるプラズマを用いた空気清浄装置は、一般家庭、オフイス、病院、老人介護施設、レストラン等のように、区切られた空間(密閉空間)の空気を殺菌清浄化するプラズマを用いた空気清浄装置として実用に供することが可能である。その社会的貢献及び産業上の価値は著しく大きい。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的斜視図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材であるプラズマ発生手段の構成を示す模式的斜視図である。 図3は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的断面図である。 図4は、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的断面図である。 図5は、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的斜視図である。 図6は、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材であるプラズマ発生手段を示す模式的斜視図である。 図7は、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材である非接地電極の一部分を示す模式的外観図である。 図8は、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的断面図である。 図9は、本発明の第4の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模擬的斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同様の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。また、以下に示す図面は、説明の便宜上、各部材の縮尺が、実際と異なる場合がある。また、各図面間においても、縮尺が、実際と異なる場合がある。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材であるプラズマ発生手段の構成を示す模式的斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的断面図である。
符号1は筐体である。筐体1は、後述の吸入口2aと後述の吹き出し口2bを結び、空気流路を形成する。筐体1の内部には、後述の角棒格子型乱流発生手段3a、第1のプラズマ発生手段20、オゾン分解触媒17及び送風機4が設置される。筐体1は、殺菌処理あるいは清浄処理の対象である対象空間の中の任意の場所あるいは該対象空間に隣接した場所に設置される。
符号2aは吸入口である。吸入口2aは筐体1に設けられ、殺菌処理あるいは清浄処理の対象である対象空間の空気2dを後述の送風機4の吸引力により筐体1の内部へ吸入する。
符号2bは吹き出し口である。吹き出し口2bは筐体1に設けられ、後述の送風機4から送風される空気2dを筐体1の外部へ吹き出す。
符号2dは空気である。空気2dは吸入口2aから筐体1に吸入され、後述の角棒格子型乱流発生手段3aにより流れの形態がカルマン渦を含む流れ、あるいは、乱流となり、後述の誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aと効果的に接触、混合しながら、かつ撹拌されながら通過し、吹き出し口2bから吹き出される。
符号4は送風機である。送風機4は空気2dの流れを発生する。送風機4は、殺菌処理あるいは清浄処理の対象である対象空間の空気を、吸入口2aから筐体1の内部を通過させて、吹き出し口2bから吹き出す働きをする。なお、ここでの送風機とは、殺菌処理あるいは清浄処理の対象である対象空間の空気を吸入口2aから筐体1に送り込み、該空気を後述の誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aでプラズマ処理し、その後、前記対象空間へ吹き出すに際し、空気2dに運動エネルギーを与えて気流を発生するものである。ここでは、モーターと羽根車を組み合わせた送風機を用いるが、これに限定されるものでない。送風機4は、筐体1の内部の任意の場所に設置して良い。ここでは、例えば、図3に示すように、第1のプラズマ発生手段20と吹き出し口2bの間に設置される。
符号3aは角棒格子型乱流発生手段である。角棒格子型乱流発生手段3aは角棒を格子型に組んだものである。ここでは、例えば、辺の長さDaの正方形の角棒格子型乱流発生手段を選ぶ。なお、乱流発生手段には、一般に、角棒を格子型に組んだもの及び丸棒を格子型に組んだものがある。
角棒格子型乱流発生手段3aの辺の長さDaは、該角棒格子型乱流発生手段3aが吸入口2aから流入する空気にカルマン渦あるいは乱流を起こす大きさを選ぶ。一様な流れに置かれた柱状物体がカルマン渦を発生する条件は、流体力学が教えるところによれば、レイノルズ数Reが略40〜略300である。そして、レイノルズ数Reが略300以上であれば、乱流が発生する。例えば、筐体1の内部の空気流れの平均流速が0.5m/秒、角棒格子型乱流発生手段3aの辺の長さDaが3cmの場合、レイノルズ数Reは、次に示す値になる。なお、1Pa=1kg/m・sである。
レイノルズ数Re=(空気の密度)x(物体の代表的大きさ)x(流速)/(粘性係数)=(1.206kg/m)x(0.03m)x(0.5m/s)/(1.83x10−5Pa・s)=990
ここでは、角棒格子型乱流発生手段3aの辺の長さDaを、例えば、3cmとする。角棒格子型乱流発生手段3aの長さを、例えば、30cmとする。
角棒格子型乱流発生手段3aにより、空気2dの流れにカルマン渦が発生した場合、あるいは、乱流になった場合、前記角棒格子型乱流発生手段3aの後流側の流れは、流れの方向及び速さが時間的、空間的に変動し、空気2dが撹拌される。空気2dが撹拌されながら後述の第1のプラズマ発生手段20によりプラズマ化される場合、例えば、図2に示される誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aが生成された場合、該プラズマ5aで生成されるラジカル種と空気との接触混合が促進されることから、プラズマ殺菌効果が高まるという作用が生じる。また、空気2dの流れの形態がカルマン渦を含む流れ、あるいは、乱流であることにより、前記空気2dは該プラズマ5aと効果的に接触、混合しながら、かつ撹拌されながら通過し、吹き出し口2bから吹き出されるので、前記空気2dに含まれる新型コロナウイルス等は該プラズマ5aにより、確実に、ムラなく、殺菌あるいは不活性化される。また、図2に示される誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aで生成されるラジカル種の拡散が乱流拡散となり、該プラズマ5a生成領域外での殺菌効果が高くなる。
ここで、角棒格子型乱流発生手段3aによって発生するカルマン渦を伴う流れ及び乱流となった流れを、図3に、Ran1で示す。乱流Ran1は、角棒格子型乱流発生手段3aにより発生したカルマン渦を伴う流れあるいは乱流であり、時間的、空間的にランダムに変動する。即ち、角棒格子型乱流発生手段3aの周りを通過した空気2dは、流れの方向及び速さが時間的、空間的に変動し、筐体1内部の全領域へ流れるという性質を持つ流れRan1になる。乱流になった空気2dは、流れ方向が四方八方に向きながら流れるので、第1のプラズマ発生手段20で生成される誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aの領域内に効率よく侵入し、プラズマと接触、混合しながら、移動する。また、前記プラズマ5aで発生するラジカル種の拡散が乱流拡散となり、プラズマ殺菌効果が高まるという作用が生じる。
即ち、乱流Ran1は、前記プラズマ5aと空気2dを効率よく、効果的に接触、混合させ、かつ、該プラズマ5aで発生するラジカル種の拡散が乱流拡散となるので、該空気2dに含まれる殺菌対象は効率よく、効果的に、確実にプラズマ処理される。
符号6aは接地電極である。接地電極6aは電気的に接地される。接地電極6aの断面形状は、楕円形、長円形、あるいは円形のように角がない、曲面を有する形状から選ばれる。即ち、前記接地電極は周面が角の無い面で形成される柱状体である。ここでは、例えば、楕円形とする。接地電極6aには、後述の線状の非接地電極7aが後述の誘電体膜8aを介して隙間がないような状態で巻かれるので、その際に、隙間なく巻きやすいように、角がない、丸みのある形状が選ばれる。
接地電極6aの形状が楕円形の場合、該接地電極6aと後述の誘電体膜8aと非接地電極7aとにより生成されるプラズマの領域の広さの調整が容易に可能であるという作用がある。即ち、プラズマ処理対象の空気をプラズマに暴露する時間の長短調整に関係があるプラズマ領域の広さは、接地電極6aの長径の増減により、容易に調整が可能である。
接地電極6aの表面に、後述の誘電体膜8aが均一に被覆される。なお、後述するように、誘電体膜8aの上に、後述の非接地電極7aが密着して、螺旋状に巻かれる。
符号7aは非接地電極である。非接地電極7aは電気的に非接地である。非接地電極7aは、線状あるいはメッシュ状の形を有し、接地電極6aに誘電体膜8aを介して密接して巻かれる。ここでは、例えば、直径が小さい電線を用いる。
非接地電極7aは、図2に示されるように、接地電極6aに巻き付くように、誘電体膜8aを介して、密着して、螺旋状に巻かれる。非接地電極7aを、誘電体膜8aを介して、密着して螺旋状に巻くに際し、該非接地電極7aに張力を掛けながら、該誘電体膜8aと該非接地電極7aを密着させるので、前記接地電極6aの形状は角がない、丸みのある形が良い。即ち、前記接地電極6aの断面形状は角がない、曲面を有する形状が良い。
非接地電極7aとして、ここでは、直径の小さい被覆電線、例えば、略50μm〜500μm程度のエナメル線、ホルマル線、あるいはポリウレタン線、あるいはポリエステル線を使う。非接地電極7aはプラズマに曝されるので、可撓性及び耐酸性に優れた誘電体膜で被覆されるのが良い。また、可撓性及び耐酸性に優れた金属であれば、裸線を使っても良い。例えば、SUS304の線材を使ってよい。
なお、非接地電極7aがメッシュ状あるいは螺旋状の形状を有する場合、接地電極6aと後述の誘電体膜8aと非接地電極7aとを用いた誘電体バリア放電ナローギャッププラズマを容易に生成可能となる。
非接地電極7aと接地電極6aの間の距離は短いのが良い。即ち、両電極6a、7aの間の距離(ギャップ)は可能な限り、狭いのが良い。
非接地電極7aと接地電極6aを用いた誘電体バリア放電プラズマを低電圧で発生させるには、例えば、非特許文献4によれば、パッシェンの法則での圧力pと電極間隔dとの積が0.2〜10mmHg・cmの条件を選ぶのが良い。プラズマを低電圧で発生するための条件は、例えば、非特許文献4によれば、次の通りである。前記電極6a、7aの間の距離(ギャップ)dを、
d{cm}=0.2〜10mmHg・cm/p{mmHg}
=0.2〜10mmHg・cm/760{mmHg}
を満たす条件に略等しい値である3μmないし130μmから選ぶのが良い。
符号8aは誘電体膜である。誘電体膜8aは接地電極6aの表面に密着して均一に形成される。誘電体膜8aの材料は誘電体が用いられる。誘電体膜8aの厚みは、上述の前記電極6a、7aの間の距離(ギャップ)dと略等しい値を選ぶ。ここでは、例えば、80μmとする。
誘電体膜8aが接地電極6aの表面に被覆され、接地電極6aと非接地電極7aの間に交流電圧が印加されると、プラズマが発生する。これは、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマと呼ばれる放電現象であり、特別の特徴を有する。
接地電極6aの断面形状が楕円形であり、被接地電極7aが螺旋状に巻かれた細い電線の場合、図2に示されるように、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aが発生する。
誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5a発生の条件及びその特徴を以下に、列記する。
(a)非接地電極7aと接地電極6aの間隔は、パッシェンの法則により3μmないし130μmの範囲にあるのが良い。
(b)接地電極6aと非接地電極7aの一方あるいは両方の表面を誘電体膜で被覆すること。即ち、接地電極6aの上に誘電体膜を被覆する、あるいは、非接地電極7aの上に誘電体膜を被覆するだけでよい。また、接地電極6aと非接地電極7aの両者に誘電体膜を被覆しても良い。
(c)誘電体バリア放電プラズマの発生のための電圧、電力は、誘電体の厚み(電界方向の厚み)に強く依存する。一般に、膜厚みは薄い方が、誘電体バリア放電プラズマの発生のための電力消費が少ない。なお、電界強度E(V/cm)=印加電圧V(V)/電極間距離d(cm)、であるので、電極間距離dが短い場合、電界強度E(V/cm)が大きくなりプラズマは容易に発生する。
(d)誘電体膜8aの厚みは均一が良い。ただし、光学的に粗面と呼ばれる凹凸は電界の集中化に役に立つ。
(e)接地電極6aと非接地電極7aの間に印加する電圧は交流電圧であること。パルス電圧でもよい(パルス波形は、数多くの周波数の正弦波の合成波である)。誘電体バリア放電プラズマは両電極6a、7aの少なくとも一方に誘電体が介在した場合の放電現象であるが、誘電体固有の現象である分極が重要な役割を演じる。接地電極6aと非接地電極7aの間に交流電圧が印加されると、両電極6a、7aの間に電界(単位:V/cm)が発生し、該電界により誘電体膜8aに分極が発生する。物性物理学が教えるところによれば、分極には、電子分極、イオン分極、配向分極、界面分極の4つがあり、印加電圧の周波数に依存する。誘電体の表面及び内部には、分極現象により、電荷が蓄積される。そして、誘電体バリア放電の発生及び維持に必要な電流及び電圧の値は、蓄積された電荷に大きな影響を受ける。また、誘電体膜の非誘電率の値は誘電体バリア放電プラズマの発生、維持に影響する。界面分極は周波数が数kHz以下で発生するので、これを活用するには、可聴周波数が良い。
従来の平行平板電極を用いた大気圧誘電体バリア放電プラズマの応用では、電極間の距離を略1mm以上に設定するので、印加電圧が高くなり、熱発生を伴い、消費電力が大きくなる。
ここでは、上記(a)〜(e)を考慮して、誘電体膜8aとして、粒径が略10nmないし略65μmの範囲に入るマイカ(雲母)、フェライト、ネオジム、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化マンガン(MnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)及び酸化チタン(TiO)の誘電体の中から少なくとも2つ以上を選び、薄膜形成する。なお、前記誘電体膜8aの材料は、市販されている誘電体粉末から選ばれたもので、安価で、容易に入手可能である。また、2つ以上の誘電体粉末を用いれば、緻密な膜が形成できて、かつ、誘電率を高くとることができる。
誘電体膜8aは、例えば、ゾルゲル法で形成される。例えば、原料となる粒子状の誘電体を、可塑剤と溶剤と一緒に混合し、スラリー状にして、接地電極6aの上に膜状に塗布する。そして、乾燥し、焼成するという方法で行う。
なお、誘電体膜8aの製膜方法は、特に、限定されない。また、誘電体膜8aの中に気泡が形成されない製膜法が良い。
また、誘電体膜8aの原料となる粒子状の誘電体の粒径が略65μmより大きくなると、上記パッシェンの法則を考慮した電極間隔d=130μmの略1/2を超えるので、膜質の低下を招く恐れがある。また、粒径10nm以上の微粒子は、電子部品材料として市販されており、安価に、容易に入手可能である。また、誘電体の誘電率は、接地電極6aと非接地電極7aの間の蓄積電荷量が多くなることから、大きい方が良い。
符号9は交流電源である。交流電源9は周波数が可聴領域(略20kHz以下)で、例えば、10kHzの正弦波の電圧を発生し、接地電極6aと非接地電極7aの間に印加する。なお、交流電源9は、正弦波電圧ではなく、パルス状波形の電圧を出力しても良い。ここでは、交流電源9出力電圧は、振幅値で略10V〜5kV程度の範囲である。平均電流は電極の面積に依存するが、略5mA〜10A程度の範囲である。電源の周波数は可聴領域の範囲、商用周波数(50Hz或は60Hz)〜20kHzであれば良い。
略20kHz以下の周波数の場合、誘電体の4つの分極、即ち、電子分極、イオン分極、配向分極、界面分極の発生が容易なので、蓄積電荷の増大という観点から、好ましい。電圧の波高値は、概ね500V〜2kV程度の範囲である。平均電流は電極の面積に依存するが、概ね20mA〜10A程度の範囲である。また、電源の周波数は1kHz〜1000MHzといった低周波から超高周波に至る領域のいずれの帯域でもよいが、電極温度上昇などを考慮して10kHz〜100kHz程度の帯域の周波数が好ましい。電圧の波高値は、概ね500V〜2kV程度の範囲である。平均電流は電極の面積に依存するが、概ね20mA〜10A程度の範囲である。また、電源の周波数は1kHz〜1000MHzといった低周波から超高周波に至る領域のいずれの帯域でもよいが、電極温度上昇などを考慮して10kHz〜100kHz程度の帯域の周波数が好ましい。
符号10a、10bは第1及び第2の給電線である。第1及び第2の給電線10a、10bは、後述の第1及び第2の端子11a、11b及び後述の第1及び第2の導入線12a、12bと組み合わせて用いられ、交流電源9の出力電圧を接地電極6aと非接地電極7aの間に印加する。第1の給電線10aは交流電源9と第1の端子11aを接続する。第2の給電線10bは交流電源9と第2の端子11bを接続する。
符号11a、11bは第1及び第2の端子である。第1の端子11aは、第1の給電線10aと後述の第1の導入線12aを接続する。第2の端子11bは、第2の給電線10bと後述の第2の導入線12bを接続する。
符号12a、12bは第1及び第2の導入線である。第1の導入線12aは、非接地電極7aと第1の端子11aを接続する。第2の導入線12bは、接地電極6aと第2の端子11bを接続する。
ここで、接地電極6a、非接地電極7a、誘電体膜8a、交流電源9、第1及び第2の給電線10a、10b、第1及び第2の端子11a、11b、第1及び第2の導入線12a12bを備えた一式のプラズマ発生手段を、第1のプラズマ発生手段20と呼ぶ。
符号5aは誘電体バリア放電ナローギャッププラズマである。誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aは、図2に示されるように、誘電体膜8aで被覆された接地電極6aと非接地電極7aの間に交流電源9の高電圧が印加され、両電極6a、7aの間の電界が放電開始電圧に到達すると、発生する。
誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aが発生すると、プラスイオン、マイナスイオン、紫外線、活性酸素(Oラジカル、OHラジカル等)、活性窒素(Nラジカル、NOラジカル等)、オゾン等が発生し、プラズマ化学反応及びプラズマ物理反応を促進する。
誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aが発生すると、プラズマ化学反応効果及びプラズマ物理反応効果により、その中に存在する細菌やウイルスは、ほぼ確実に死滅、あるいは不活性化される。プラズマによる殺菌あるいは滅菌は、殺菌効果が強く、例えば、非特許文献1〜3に示されているように、数秒以内に、ほぼ100%を死滅あるいは滅菌することが可能である。
即ち、新型コロナウイルスが空気2dに混ざった状態で、吸入口2aから乱流Ran1に混ざって第1のプラズマ発生手段20の周辺に搬送されると、空気2dに混ざった状態でプラズマ化される。その結果、略数秒以内に、殺菌あるいは不活化される。新型コロナウイルスが略数秒以内に、殺菌あるいは不活性化されるということは、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aの室内空気清浄装置への応用に関し、大きなメリットの一つである。
空気清浄装置では、プラズマ方式以外に、いろいろな方式が提案され、実用化が試みられている。しかしながら、それらは殺菌に必要な時間(暴露時間)が著しく長い。これにより、短時間での殺菌応用に対しては不適である。
紫外光を用いる殺菌方法は眼に危険(白内障、翼状片等を誘発)であることに加えて、数10秒〜60秒以上の照射時間が必要である、ということが知られている。大量の空気を殺菌対象にする場合、暴露時間を長く取ることができないので、例えば、新型コロナウイルスの殺菌に応用する場合、確実に、ムラなく処理することが困難である。
光触媒法は、数10分以上の処理時間が掛かり、かつ、その殺菌効果は非常に緩やかである、ということが知られている。光触媒法を例えば、新型コロナウイルスの殺菌に応用する場合、迅速に、確実に、ムラなく処理することが困難である。
オゾンを用いる殺菌方法は、オゾンが人体に有害であるので、その殺菌効果が現れる高濃度での使用はなされない。オゾンで新型コロナウイルスを不活性化する場合、例えば、新型コロナウイルスに濃度6.0ppmのオゾンを約1時間、曝すことにより新型コロナウイルスを不活性化可能であるという知見がある。ただし、オゾンは人体に有害であるので、応用に際して、高濃度オゾンの室内への放出は危険である。
周知のとおり、オゾンは、非常に不安定で、強い酸化力を持ち反応性が高い物質であり、濃度が高い場合には強い毒性を示す。水分に吸収されにくいため、呼吸器系に取り込まれた場合には肺の深部にまで到達して、呼吸器障害(肺水腫等)を引き起こす。オゾン濃度0.01〜0.02ppmで臭気を感じる。オゾン濃度0.1ppmで強い臭気を感じ、鼻と喉に刺激を感じる。オゾン濃度0.2〜0.5ppm、3〜6時間で、視覚低下の症状がでる。オゾン濃度1〜2ppmでは、人は2時間で頭痛、胸部痛、上部気道の渇きと咳が起こる。オゾン濃度5〜10ppmで脈拍増加、肺気腫の症状が出る。オゾン濃度15〜20ppmで小動物は2時間以内に死亡する。日本では、産業衛生学会、中央労働災害防止協会が0.1ppmを労働環境における抑制濃度として規定している。
符号17はオゾン分解触媒である。オゾン分解触媒17は第1のプラズマ発生手段20と送風機4の間に配置され、オゾンを分解し、安全な酸素に変質させる。第1のプラズマ発生手段20で微量のオゾンが発生するので、該オゾンを分解して、酸素に変質させる。その結果、該オゾンは筐体1の外部へ漏れない。オゾン分解触媒17として、市販されている活性炭や二酸化マンガンや酸化ニッケル等の触媒を用いて良い。プラズマ支援の触媒でも良い。
次に、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置を用いて、空気中に浮遊する新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスを殺菌あるいは不活化する方法を説明する。ここでは、例えば、日本家屋の6畳間を対象空間とする。なお、6畳間の空間容積を、3.6mx2.7mx高さ2.4m=23.3mとする。
6畳間に含まれる空気の量を、例えば、20分間で殺菌処理できる風量で本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置に吸気し、そして、プラズマ処理した空気を吹き出しながら、該空気の中に含まれる新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスを殺菌あるいは不活性化する方法を、以下に説明する。
本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材である送風機4の送風能力を、例えば、1.165m/分とする。筐体1のサイズを、例えば、内寸法で、30cmx30cmx130cmとする。
吸入口2aの面積を、例えば、略0.09m(例えば、縦30cmx横30cmの開口)とし、角棒格子型乱流発生手段3aを、図1に示される格子型3aとし、例えば、辺3cmx長さ30cmの角棒を縦横それぞれ、2本で組み合わせたものとする。角棒格子型乱流発生手段3aは吸入口3aを塞ぐような形態で、設置される。なお、吸入口2aの開口面積は、角棒格子型乱流発生手段3aで占有されることから、0.0576mである。
接地電極6aのサイズを、例えば、長径1mx短径0.1mとする。前記接地電極6aは、図3に示される配置において、角棒格子型乱流発生手段3aから、例えば、略9cm離れた位置に設置される。
オゾン分解触媒17は、前記接地電極6aの後方に、例えば、3cm離れて設置される。送風機4は、前記オゾン分解触媒17と吹き出し口2bの間に設置される。
空気2dの吸入口2a周辺での平均流速は、略略33.7cm/秒である。なお、風量(Q:m/分)と、筐体1の断面積(S:m)と、平均流速(v:m/秒)の関係式、Q=S・vより計算した値である。ただし、断面積Sは24mx24cm=576cm、風量Qは、23.3m/20分とした。
この場合、レイノルズ数Re=(空気の密度)x(物体の代表的大きさ)x(流速)/(粘性係数)=(1.206kg/m)x(0.03m)x(0.337m/s)/(1.83x10−5Pa・s)=666、である。
新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスを含む空気2dは、筐体1内部を平均流速は略34cm/秒で搬送されるので、第1のプラズマ発生手段20の周辺領域を通過する時間は略3秒である。その間、新型コロナウイルス等を含む空気2dは乱流状態にあり、流れ方向が四方八方に向きながら流れるので、第1のプラズマ発生手段20で生成される誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aの発生領域の内部に効率よく侵入し、プラズマと接触、混合しながら、移動する。また、前記プラズマ5aで発生するラジカル種の拡散が乱流拡散となり、筐体1内部の全領域でプラズマ殺菌効果が高まるという作用が生じる。即ち、新型コロナウイルス等を含む空気2dは、図3に乱流Ran1で示されるように、前記プラズマ5aと効率よく、効果的に接触、混合されるので、該空気2dに含まれる殺菌対象は効率よく、効果的にプラズマ処理される。
先ず、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置を対象空間である6畳間の任意の場所に設置する。
次に、送風機4を稼働させ、該6畳間の空気を筐体1に吸入し、吹き出しする。そして、交流電源9の電圧を所定の値に設定し、稼働させる。なお、交流電源9の電圧及び電流等の操作条件は、第1のプラズマ発生手段20を筐体1に取り付けた際に、予め、該電圧、電流とオゾン発生量の関係をデータとして把握し、そのデータを評価、分析して最適条件を選定する。上記データの取得に際し、オゾン濃度の規制値0.01ppm以下での実験を行うのが望ましい。
交流電源9から第1及び第2の給電線10a、10b、第1及び第2の端子11a、11b及び第1及び第2の導入線12a、12bを介して、非接地電極7aと接地電極6aの間に電圧が印加されると、図2に示されるように、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aが生成される。
誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aが生成されると、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスは、上述のとおり、プラスイオン、マイナスイオン、紫外線、活性酸素(Oラジカル、OHラジカル等)、活性窒素(Nラジカル、NOラジカル等)、オゾン等のプラズマ化学反応及びプラズマ物理反応により、ほぼ確実に死滅、あるいは不活性化される。
本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置では、プラズマ処理対象の空気2dは、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aの領域に略3秒間曝されるので、充分にプラズマ殺菌あるいは不活性化される。また、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスを含む空気2dは、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aの領域で発生したラジカル種が乱流拡散現象により、該プラズマ5aの外部へ効率よく、効果的に拡散するので、筐体1内部の全領域でプラズマ殺菌効果が期待できる。
なお、ここでは、接地電極6aのサイズを、例えば、長径1mx短径0.1mとしたが、長径の値を調整することにより、殺菌対象のプラズマとの接触時間(暴露時間)を短く、あるいは長く設定することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の運用は、常時運転あるいは決められた時間帯に稼働させるなど、任意に可能である。
以上の説明で示したように、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置は、角棒格子型乱流発生手段3aによりカルマン渦を含む流れ、あるいは、乱流の状態とした空気2dを第1のプラズマ発生手段20によりプラズマ化しつつ、空気2dに含まれる例えば新型コロナウイルスを、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aと効率良く、効果的に接触、混合しながら、かつ撹拌しながら移動させる。また、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置では、前記プラズマ5aの領域で生成されたラジカル種が乱流拡散現象により、該プラズマ5aの外部へ効率よく、効果的に拡散され、該ラジカル種によるプラズマ殺菌あるいは不活性化が行われる。
これにより、空気に含まれる殺菌対象物あるいは浄化対象物、例えば、新型コロナウイルスを、確実に、漏れなく、ムラなくプラズマと接触混合し、効率良く、効果的にプラズマ殺菌あるいは不活性化することが可能である。
しかも、誘電体膜8aで被覆された接地電極6aが楕円形状で、非接地電極7aが前記接地電極6aに巻かれた螺旋状電線であるので、圧損が少なく、大量の空気を処理可能である。また、前記一対の電極6a、7aは前記誘電体膜8aを挟んだナローギャッププラズマ生成方式であるので、低い電圧で、低消費電力でプラズマを生成可能である。その結果、従来の課題を解消できるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置は、一般家庭、オフイス、病院、老人介護施設、レストラン等のように、区切られた空間(密閉空間)の空気を殺菌清浄化するプラズマを用いた空気清浄装置として実用に供することが可能である。その社会的貢献及び産業上の価値は著しく大きい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置について、図4を用いて説明する。図1ないし図3も参照する。
先ず、本発明の第2の実施形態に係わる大気圧プラズマ殺菌処理装置の構成について、説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的断面図である。
符号6bは接地電極である。接地電極6bは電気的に接地される。接地電極6bの断面形状は、長円形である。即ち、前記接地電極は断面形状が長円形の柱状体である。接地電極6bの断面形状が長円形であることから、後述の線状の非接地電極7bを螺旋状に巻き付けるに際し、張力を掛けつつ隙間なく巻きやすい、という作用がある。また、接地電極6bの形状が長円形の場合、該接地電極6bと後述の誘電体膜8aと非接地電極7aとにより生成されるプラズマの領域の広さの調整が容易に可能であるという作用がある。即ち、プラズマ処理対象の空気をプラズマに暴露する時間の長短調整に関係があるプラズマ領域の広さは、接地電極6bの長径の増減により、容易に調整が可能である。
符号7bは非接地電極である。非接地電極7bは電気的に非接地である。非接地電極7bは、細い電線を螺旋状に、接地電極6bに誘電体膜8bを介して密着して巻いたものである。
非接地電極7bには直径の小さい被覆電線、例えば、略50μm〜500μm程度のエナメル線、ホルマル線、あるいはポリウレタン線、あるいはポリエステル線を使う。非接地電極7bはプラズマに曝されるので、可撓性及び耐酸性に優れた誘電体膜で被覆されるのが良い。また、可撓性及び耐酸性に優れた金属であれば、裸線を使っても良い。例えば、SUS304の線材を使ってよい。
符号8bは誘電体膜である。誘電体膜8bは接地電極6bの表面に密着して均一に形成される。なお、接地電極6bの断面形状がフラットな面を持つ長円形であるので、誘電体膜8bを、例えば、ゾルゲル法で形成する場合、膜厚みを均一にすることが容易に可能である。
誘電体膜8bの材料は誘電体が用いられる。誘電体膜8bの厚みは、上述の前記電極6a、7aの間の距離(ギャップ)dと略等しい値を選ぶ。ここでは、例えば、80μmとする。
ここで、図4に示される接地電極6b、非接地電極7b、誘電体膜8b、交流電源9、第1及び第2の給電線10a、10b、第1及び第2の端子11a、11b、第1及び第2の導入線12a12bを備えた一式のプラズマ発生手段を、第2のプラズマ発生手段21と呼ぶ。
第2のプラズマ発生手段21において、非接地電極7aと接地電極6aの間に、交流電源9から第1及び第2の給電線10a、10b、第1及び第2の端子11a、11b及び第1及び第2の導入線12a、12bを介して電圧が印加されると、図4に示されるように、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aが生成される。
誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aが生成されると、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスは、上述のとおり、プラスイオン、マイナスイオン、紫外線、活性酸素(Oラジカル、OHラジカル等)、活性窒素(Nラジカル、NOラジカル等)、オゾン等のプラズマ化学反応及びプラズマ物理反応により、ほぼ確実に死滅、あるいは不活性化される。
次に、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置を用いて、空気中に浮遊する新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルス等を殺菌あるいは不活化する方法であるが、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の場合と同様である。
本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材である第1のプラズマ発生手段20と、本発明の第2の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材である第2のプラズマ発生手段21の相違点は、接地電極6a、6bの形状が違っていることである。接地電極6bは長円形であり、接地電極6aの楕円形の場合に比べて平坦部が広いことから、誘電体膜8bを形成する際に、膜厚みを均一にすることが容易である、という作用がある。その結果、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aがムラなく、生成される、という作用が生じる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置について、図5ないし図8を用いて説明する。図1ないし図4も参照する。
先ず、本発明の第3の実施形態に係わる大気圧プラズマ殺菌処理装置の構成について、説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的斜視図である。図6は、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材であるプラズマ発生手段を示す模式的斜視図である。図7は、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材である非接地電極の一部分を示す模式的外観図である。図8は、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的断面図である。
符号3bは丸棒格子型乱流発生手段である。丸棒格子型乱流発生手段3bは丸棒を格子型に組んだものである。ここでは、例えば、直径Dbの丸棒格子型乱流発生手段を選ぶ。なお、乱流発生手段には、一般に、角棒を格子型に組んだもの及び丸棒を格子型に組んだものがある。
丸棒格子型乱流発生手段3bの直径Dbは、該丸棒格子型乱流発生手段3bが吸入口2aから流入する空気2dにカルマン渦あるいは乱流を起こす大きさを選ぶ。一様な流れに置かれた柱状物体がカルマン渦を発生する条件は、流体力学が教えるところによれば、レイノルズ数Reが略40〜略300である。そして、レイノルズ数Reが略300以上であれば、乱流が発生する。例えば、筐体1の内部の空気流れの平均流速が0.5m/秒、丸棒格子型乱流発生手段3bの直径Dbが3cmの場合、レイノルズ数Reは、次に示す値になる。なお、1Pa=1kg/m・sである。
レイノルズ数Re=(空気の密度)x(物体の代表的大きさ)x(流速)/(粘性係数)=(1.206kg/m)x(0.03m)x(0.5m/s)/(1.83x10−5Pa・s)=990
ここでは、丸棒格子型乱流発生手段3bの直径Dbを、例えば、3cmとする。丸棒格子型乱流発生手段3bの長さを、例えば、30cmとする。
丸棒格子型乱流発生手段3bにより、空気2dの流れにカルマン渦が発生した場合、あるいは、乱流になった場合、前記丸棒格子型乱流発生手段3bの後流側の流れは、流れの方向及び速さが時間的、空間的に変動し、空気2dが撹拌される。空気2dが撹拌されながら後述の第3のプラズマ発生手段22によりプラズマ化される場合、該プラズマで生成されるラジカル種と空気2dとの接触混合が促進されることから、プラズマ殺菌効果が高まるという作用が生じる。また、空気2dの流れの形態がカルマン渦を含む流れ、あるいは、乱流であることにより、前記空気2dは該プラズマと効果的に接触、混合しながら、かつ撹拌されながら通過し、吹き出し口2bから吹き出されるので、前記空気2dに含まれる新型コロナウイルス等は該プラズマにより、確実に、ムラなく、殺菌あるいは不活性化される。
ここで、丸棒格子型乱流発生手段3bによって発生するカルマン渦を伴う流れ及び乱流となった流れを、図8に、Ran2で示す。乱流Ran2は、丸棒格子型乱流発生手段3bにより発生したカルマン渦を伴い流れあるいは乱流であり、時間的、空間的にランダムに変動する。即ち、丸棒格子型乱流発生手段3bの周りを通過した空気2dは、流れの方向及び速さが時間的、空間的に変動し、筐体1内部の全領域へ流れるという性質を持つ流れRan2になる。乱流になった空気2dは、流れ方向が四方八方に向きながら流れるので、第3のプラズマ発生手段22で生成される後述の誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bの領域内に効率よく侵入し、プラズマと接触、混合しながら、移動する。また、前記プラズマ5bで発生するラジカル種の拡散が乱流拡散となり、プラズマ殺菌効果が高まるという作用が生じる。
即ち、乱流Ran2は、前記プラズマ5bと空気2dを効率よく、効果的に接触、混合させるので、該空気2dに含まれる殺菌対象は効率よく、効果的にプラズマ処理される。
符号7cは非接地電極である。非接地電極7cは電気的に非接地である。非接地電極7cは、メッシュ状の形を有し、接地電極6aに誘電体膜8aを介して密接して巻かれる。ここでは、例えば、図6に示すように、非接地電極7cは、接地電極6aに巻き付くように、誘電体膜8aを介して密着して巻かれる。非接地電極7cを、誘電体膜8aを介して、密着し巻くに際し、該非接地電極7cに張力を掛けながら、該誘電体膜8aと該非接地電極7cを密着させるので、前記接地電極6aの形状は角がない、丸みのある曲面形が良い。
非接地電極7cには直径の小さいSUS線、例えば、直径略50μm〜500μmのSUS線を用いて編まれたメッシュを使う。メッシュの番手及び開口率は、それぞれ、略20〜70及び略30%〜70%が良い。なお、メッシュは密過ぎても、疎過ぎるても、プラズマ生成領域が狭くなる。非接地電極7cはプラズマに曝されるので、耐酸性に優れた誘電体膜で被覆されるのが良い。
非接地電極7cがメッシュ状の形態を有する場合、接地電極6aと誘電体膜8aと非接地電極7cとを用いた誘電体バリア放電ナローギャッププラズマの生成が容易に可能である、という作用が生じる。
非接地電極7cと接地電極6aの間の距離は短いのが良い。即ち、両電極6a、7cの間の距離(ギャップ)は可能な限り、狭いのが良い。
非接地電極7cと接地電極6aを用いた誘電体バリア放電プラズマを低電圧で発生させるには、例えば、非特許文献4によれば、パッシェンの法則での圧力pと電極間隔dとの積が0.2〜10mmHg・cmの条件を選ぶのが良い。プラズマを低電圧で発生するための条件は、例えば、非特許文献4によれば、次の通りである。前記電極6a、7cの間の距離(ギャップ)dを、
d{cm}=0.2〜10mmHg・cm/p{mmHg}
=0.2〜10mmHg・cm/760{mmHg}
を満たす条件に略等しい値である3μmないし130μmから選ぶのが良い。
ここで、接地電極6a、非接地電極7c、誘電体膜8a、交流電源9、第1及び第2の給電線10a、10b、第1及び第2の端子11a、11b、第1及び第2の導入線12a12bを備えた一式のプラズマ発生手段を、第3のプラズマ発生手段22と呼ぶ。
符号5bは誘電体バリア放電ナローギャッププラズマである。誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bは、図6に示される第3のプラズマ発生手段22において、誘電体膜8aで被覆された接地電極6aと非接地電極7cの間に交流電源9の高電圧が印加され、両電極6a、7cの間の電界が放電開始電圧に到達すると、発生する。誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bを模式的に、図7に示す。誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bは、図7に示されるように、メッシュ状の非接地電極7cの素線に沿った形態で生成される。
なお、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bは、本発明の第1及び第2の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置での誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aに比べて、プラズマ領域の容積が広い、という特徴がある。
誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bが発生すると、プラスイオン、マイナスイオン、紫外線、活性酸素(Oラジカル、OHラジカル等)、活性窒素(Nラジカル、NOラジカル等)、オゾン等が発生し、プラズマ化学反応及びプラズマ物理反応を促進する。
誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bが発生すると、プラズマ化学反応効果及びプラズマ物理反応効果により、その中に存在する細菌やウイルスは、ほぼ確実に死滅、あるいは不活性化される。プラズマによる殺菌あるいは滅菌は、殺菌効果が強く、例えば、非特許文献1〜3に示されているように、数秒以内に、ほぼ100%を死滅あるいは滅菌することが可能である。
即ち、新型コロナウイルスが空気2dに混ざった状態で、吸入口2aから乱流Ran2に混ざって第3のプラズマ発生手段22の周辺に搬送されると、空気2dに混ざった状態でプラズマ化される。その結果、略数秒以内に、殺菌あるいは不活化される。新型コロナウイルスが略数秒以内に、殺菌あるいは不活性化されるということは、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bの室内空気清浄装置への応用に関し、大きなメリットの一つである。
次に、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置を用いて、空気中に浮遊する新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスを殺菌あるいは不活化する方法を説明する。ここでは、例えば、日本家屋の6畳間を対象空間とする。なお、6畳間の空間容積を、3.6mx2.7mx高さ2.4m=23.3mとする。
6畳間に含まれる空気の量を、例えば、20分間で殺菌処理できる風量で本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置に吸気し、そして、プラズマ処理した空気を吹き出しながら、該空気の中に含まれる新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスを殺菌あるいは不活性化する方法を、以下に説明する。
本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材である送風機4の送風能力を、例えば、1.165m/分とする。筐体1のサイズを、例えば、内寸法で、30cmx30cmx130cmとする。
吸入口2aの面積を、例えば、略900cm(例えば、縦30cmx横30cmの開口)とし、丸棒格子型乱流発生手段3bを、図5に示される格子型とし、例えば、直径3cmx長さ30cmの丸棒を縦横それぞれ、2本で組み合わせたものとする。なお、吸入口2aの開口面積は、0.0576mである。丸棒格子型乱流発生手段3bは吸入口3aを塞ぐような形態で、設置される。
接地電極6aのサイズを、例えば、長径1mx短径0.1mとする。前記接地電極6aは、図8に示される配置において、吸入口2aから、例えば、略9cm離れた位置に設置される。
オゾン分解触媒17は、前記接地電極6aの後方に、例えば、3cm離れて設置される。送風機4は、前記オゾン分解触媒17と吹き出し口2bの間に設置される。
空気2dの吸入口2a周辺での平均流速は略略33.7cm/秒である。なお、風量(Q:m/分)と、筐体1の断面積(S:m)と、平均流速(v:m/秒)の関係式、Q=S・vより計算した値である。ただし、断面積Sは24mx24cm=576cm、風量Qは、23.3m/20分とした。
この場合、レイノルズ数Re=(空気の密度)x(物体の代表的大きさ)x(流速)/(粘性係数)=(1.206kg/m)x(0.03m)x(0.337m/s)/(1.83x10−5Pa・s)=666、である。
新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスを含む空気2dは、筐体1内部を平均流速は略34cm/秒で搬送されるので、第3のプラズマ発生手段22の周辺領域を通過する時間は略3秒である。その間、新型コロナウイルス等を含む空気2dは乱流状態にあり、流れ方向が四方八方に向きながら流れるので、第3のプラズマ発生手段22で生成される誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bの発生領域の内部に効率よく侵入し、プラズマと接触、混合しながら、移動する。また、前記プラズマ5bで発生するラジカル種の拡散が乱流拡散となり、プラズマ殺菌効果が高まるという作用が生じる。即ち、新型コロナウイルス等を含む空気2dは、図8に乱流Ran2で示されるように、前記プラズマ5bと効率よく、効果的に接触、混合されるので、該空気2dに含まれる殺菌対象は効率よく、効果的にプラズマ処理される。
先ず、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置を対象空間である6畳間の任意の場所に設置する。
次に、送風機4を稼働させ、該6畳間の空気を筐体1に吸入し、吹き出しする。そして、交流電源9の電圧を所定の値に設定し、稼働させる。なお、交流電源9の電圧及び電流等の操作条件は、第3のプラズマ発生手段22を筐体1に取り付けた際に、予め、該電圧、電流とオゾン発生量の関係をデータとして把握し、そのデータを評価、分析して最適条件を選定する。上記データの取得に際し、オゾン濃度の規制値0.01ppm以下での実験を行うのが望ましい。
交流電源9から第1及び第2の給電線10a、10b、第1及び第2の端子11a、11b及び第1及び第2の導入線12a、12bを介して、非接地電極7aと接地電極6aの間に電圧が印加されると、図7に示されるように、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bが生成される。
誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bが生成されると、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスは、上述のとおり、プラスイオン、マイナスイオン、紫外線、活性酸素(Oラジカル、OHラジカル等)、活性窒素(Nラジカル、NOラジカル等)、オゾン等のプラズマ化学反応及びプラズマ物理反応により、ほぼ確実に死滅、あるいは不活性化される。
本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置では、プラズマ処理対象の空気2dは、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bの領域に略3秒間曝されるので、充分にプラズマ殺菌あるいは不活性化される。また、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスを含む空気2dは、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bの領域で発生したラジカル種が乱流拡散現象により、該プラズマ5bの外部へ効率よく、効果的に拡散するので、筐体1内部の全領域でプラズマ殺菌効果が期待できる。
なお、ここでは、接地電極6aのサイズを、例えば、長径1mx短径0.1mとしたが、長径の値を調整することにより、殺菌対象のプラズマとの接触時間(暴露時間)を短く、あるいは長く設定することが可能である。
誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bが生成されると、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスは、上述のとおり、プラスイオン、マイナスイオン、紫外線、活性酸素(Oラジカル、OHラジカル等)、活性窒素(Nラジカル、NOラジカル等)、オゾン等のプラズマ化学反応及びプラズマ物理反応により、ほぼ確実に死滅、あるいは不活性化される。
以上の説明で示したように、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置は、丸棒格子型乱流発生手段3bによりカルマン渦を伴う流れ、あるいは、乱流の状態とした空気2dを第3のプラズマ発生手段22によりプラズマ化しつつ、空気2dに含まれる例えば新型コロナウイルスを、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5bと効果的に接触、混合しながら、かつ撹拌しながら移動させる。また、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置では、前記プラズマ5bの領域で生成されたラジカル種が乱流拡散現象により、該プラズマ5bの外部へ効率よく、効果的に拡散されるので、筐体1内部の全領域でプラズマ殺菌効果が期待できる。
これにより、空気に含まれる殺菌対象物あるいは浄化対象物、例えば、新型コロナウイルスを、確実に、漏れなく、ムラなくプラズマと接触混合し、効率良く、効果的にプラズマ殺菌あるいは不活性化することが可能である。
しかも、誘電体膜8aで被覆された接地電極6aが楕円形状で、非接地電極7cが前記接地電極6aに巻かれたメッシュ状電線であるので、圧損が少なく、大量の空気を処理可能である。また、前記一対の電極6a、7cは前記誘電体膜8aを挟んだナローギャッププラズマ生成方式であるので、低い電圧で、低消費電力でプラズマを生成可能である。その結果、従来の課題を解消できるという効果を奏する。
本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置は、一般家庭、オフイス、病院、老人介護施設、レストラン等のように、区切られた空間(密閉空間)の空気を殺菌清浄化するプラズマを用いた空気清浄装置として実用に供することが可能である。その社会的貢献及び産業上の価値は著しく大きい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置について、図9を用いて説明する。図1ないし図8も参照する。
図9は、本発明の第4の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成を示す模式的斜視図である。
本発明の第4の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置は、図9に示されるように、後述の複数丸棒組乱流発生手段3c、第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25、第1及び第2の棒型乱流発生手段3d、3e、第7、第8及び第9のプラズマ発生手段26、27、28、図示しないオゾン分解触媒17及び図示しない送風機4を備えている。第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25と、第7、第8及び第9のプラズマ発生手段26、27、28は、空気の流れ方向にタンデム型で配置される。
なお、本発明の第4の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材であるプラズマ発生手段は、接地電極6aと、誘電体膜8aと、非接地電極7aと、を一対とする複数対の電極を空間的に離間して備えることを特徴とする。
符号3cは複数丸棒組乱流発生手段である。複数丸棒組乱流発生手段3cは複数の、例えば、縦3本及び横2本を組み合わせた格子型である。複数丸棒組乱流発生手段3cは、吸入口2aの近傍に配置され、筐体1に流入する空気2dにカルマン渦あるいは乱流を起こす。なお、複数丸棒組乱流発生手段3cは、本発明の第3の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の構成部材である丸棒格子型乱流発生手段3bと同様な機能を有する。
符号23、24、25は第4、第5及び第6のプラズマ発生手段である。第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25は、第1のプラズマ発生手段20と同様に、それぞれ、接地電極6a、誘電体膜8a、非接地電極7a、交流電源9、第1及び第2の給電線10a、10b、第1及び第2の端子10a、10b、第1及び第2の導入線12a、12bを備えている。第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25の構成部材の接地電極6aは複数丸棒組乱流発生手段3cから一定の距離をおいて配置される。
符号3d、3eは第1及び第2の棒型乱流発生手段である。第1及び第2の棒型乱流発生手段は、筐体1の内部を流れる空気2dにカルマン渦あるいは乱流を起こす。第1及び第2の棒型乱流発生手段3d、3eは、第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25の構成部材の接地電極6aから一定距離を置いて配置される。
符号26、27、28は第7、第8及び第9のプラズマ発生手段である。第7、第8及び第9のプラズマ発生手段26、27、28は、第1のプラズマ発生手段20と同様に、それぞれ、接地電極6a、誘電体膜8a、非接地電極7a、交流電源9、第1及び第2の給電線10a、10b、第1及び第2の端子10a、10b、第1及び第2の導入線12a、12bを備えている。第7、第8及び第9のプラズマ発生手段26、27、28の構成部材の接地電極6aは第1及び第2の棒型乱流発生手段3d、3eから一定の距離をおいて配置される。
図9において、プラズマ殺菌あるいはプラズマ処理の対象である空気2dが吸入口2aから流入すると、該空気2dは複数丸棒組乱流発生手段3cによって、カルマン渦を伴う流れ、あるいは乱流の状態で、第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25の領域へ移動する。そして、第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25によって、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の場合と同様に、プラズマ化される。即ち、前記空気2dの流れの一部分はプラズマ化され、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aに変身する。誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aが生成されると、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスは、プラスイオン、マイナスイオン、紫外線、活性酸素(Oラジカル、OHラジカル等)、活性窒素(Nラジカル、NOラジカル等)、オゾン等のプラズマ化学反応及びプラズマ物理反応により、ほぼ確実に死滅、あるいは不活性化される。
第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25の領域を通過した前記空気2dは、第1及び第2の棒型乱流発生手段3d、3eが設置されている領域に移動する。そして、前記空気2dの一部分は、第1及び第2の棒型乱流発生手段3d、3eによって、カルマン渦を伴う流れ、あるいは乱流になる。
そして、前記空気2dの一部分は、カルマン渦を伴う流れ、あるいは乱流の状態で、第7、第8及び第9のプラズマ発生手段26、27、28の領域へ移動する。そして、第7、第8及び第9のプラズマ発生手段26、27、28によって、本発明の第1の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置の場合と同様に、プラズマ化される。即ち、前記空気2dの流れの一部分はプラズマ化され、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aに変身する。誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aが生成されると、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス等のエンベロープ型ウイルスは、プラスイオン、マイナスイオン、紫外線、活性酸素(Oラジカル、OHラジカル等)、活性窒素(Nラジカル、NOラジカル等)、オゾン等のプラズマ化学反応及びプラズマ物理反応により、ほぼ確実に死滅、あるいは不活性化される。
第7、第8及び第9のプラズマ発生手段26、27、28の領域を通過した前記空気2dは、オゾン分解触媒17及び送付機4を通過して、吹き出し口2bから筐体1の外部へ吹き出される。
前記第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25及び前記第7、第8及び第9のプラズマ発生手段26、27、28の領域で生成されたラジカル種は、乱流拡散現象により、筐体1内部の全領域に拡散する。その結果、筐体1内部の全領域でプラズマ殺菌効果が期待できる。
以上の説明で示したように、本発明の第4の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置は、複数丸棒組乱流発生手段3c、第1及び第2の棒型乱流発生手段3d、3eによりカルマン渦を伴う流れ、あるいは、乱流の状態とした空気2dを、第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25、第7、第8及び第9のプラズマ発生手段26、27、28によりプラズマ化しつつ、空気2dに含まれる例えば新型コロナウイルスを、誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ5aと効果的に接触、混合しながら、かつ撹拌しながら移動させる。また、本発明の第4の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置では、前記プラズマ5aの領域で生成されたラジカル種が乱流拡散現象により、該プラズマ5aの外部へ効率よく、効果的に拡散され、該ラジカル種によるプラズマ殺菌あるいは不活性化が効率よく、効果的に行われる。更に、第4、第5及び第6のプラズマ発生手段23、24、25、第7、第8及び第9のプラズマ発生手段26、27、28が空気の流れ方向にタンデム型で配置されているので、殺菌あるいはプラズマ処理のプラズマ暴露時間(滞留時間)が容易に長くすることが可能という特徴がある。
これにより、空気に含まれる殺菌対象物あるいは浄化対象物、例えば、新型コロナウイルスを、確実に、漏れなく、ムラなくプラズマと接触混合し、効率良く、効果的にプラズマ殺菌あるいは不活性化することが可能である。
しかも、誘電体膜8aで被覆された接地電極6aが楕円形状で、非接地電極7aが前記接地電極6aに螺旋状に巻かれた電線であるので、圧損が少なく、大量の空気を処理可能である。また、前記一対の電極6a、7aは前記誘電体膜8aを挟んだナローギャッププラズマ生成方式であるので、低い電圧で、低消費電力でプラズマを生成可能である。その結果、従来の課題を解消できるという効果を奏する。
本発明の第4の実施形態に係わるプラズマを用いた空気清浄装置は、一般家庭、オフイス、病院、老人介護施設、レストラン等のように、区切られた空間(密閉空間)の空気を殺菌清浄化するプラズマを用いた空気清浄装置として実用に供することが可能である。その社会的貢献及び産業上の価値は著しく大きい。
1・・・筐体、
2a・・・吸入口、
2b・・・吹き出し口、
2d・・・空気、
3a・・・角棒格子型乱流発生手段、
3b・・・丸棒格子型乱流発生手段、
3d、3e・・・第1及び第2の棒型乱流発生手段、
4・・・送風機、
Ran1、Ran2・・・乱流、
5a、5b・・・誘電体バリア放電ナローギャッププラズマ、
6a・・・接地電極、
7a、7b、7c・・・非接地電極、
8a、8b、8c・・・誘電体膜、
9・・・交流電源
17・・・オゾン分解触媒。

Claims (6)

  1. 殺菌処理あるいは清浄処理の対象である対象空間の空気を吸入する吸入口と前記対象空間に対して空気を吹き出す吹き出し口とを結ぶ空気流路を形成する筐体と、前記空気の流れを発生する送風機と、前記空気をプラズマ化してプラズマ処理するプラズマ発生手段と、を備えたプラズマを用いた空気清浄装置であって、前記プラズマ発生手段は、電気的に接地された接地電極と、前記接地電極の表面に形成された誘電体膜と、前記接地電極に前記誘電体膜を介して密接して配置された電気的に非接地の非接地電極と、前記非接地電極と前記接地電極の間に電圧を印加する交流電源を備え、前記接地電極は周面が角の無い面で形成された柱状体で成り、前記非接地電極は螺旋状又はメッシュ状の形を有し、かつ、前記吸入口の近傍に前記空気の流れにカルマン渦又は乱れを発生させる乱流発生手段が配置されることを特徴とするプラズマを用いた空気清浄装置。
  2. 前記乱流発生手段は角棒又は丸棒で組まれた格子型であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマを用いた空気清浄装置。
  3. 前記接地電極の断面形状は、楕円形、長円形あるいは円形であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のプラズマを用いた空気清浄装置。
  4. 前記プラズマ発生手段は、前記接地電極と、前記誘電体膜と、前記非接地電極と、を一対とする複数対の電極を空間的に離間して備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプラズマを用いた空気清浄装置。
  5. 前記接地電極と前記非接地電極の間隔は、パッシェンの法則での圧力pと電極間隔dとの積が0.2〜10mmHg・cm、即ち、p{mmHg}d{cm}=0.2〜10mmHg・cm、を満たす条件に略等しい値である3μmないし130μmの範囲にあることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプラズマを用いた空気清浄装置。
  6. 前記筐体は前記乱流発生手段と前記送風機と前記プラズマ発生手段とオゾン分解触媒とを備え、前記乱流発生手段、前記プラズマ発生手段、前記オゾン分解触媒及び前記送風機は、前記空気の流れの上流側から、この順に配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプラズマを用いた空気清浄装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022265007A1 (ja) * 2021-06-14 2022-12-22 日本未来科学研究所合同会社 プラズマ発生ユニット、プラズマ発生装置及び殺菌システム

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