JP2020188684A - 塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤、塩味を増強する方法 - Google Patents

塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤、塩味を増強する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020188684A
JP2020188684A JP2019094094A JP2019094094A JP2020188684A JP 2020188684 A JP2020188684 A JP 2020188684A JP 2019094094 A JP2019094094 A JP 2019094094A JP 2019094094 A JP2019094094 A JP 2019094094A JP 2020188684 A JP2020188684 A JP 2020188684A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
salty
component
carboxylic acid
taste
drink composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019094094A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7350513B2 (ja
Inventor
佳奈子 林
Kanako Hayashi
佳奈子 林
健 深見
Takeshi Fukami
健 深見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
San Ei Sucrochemical Co Ltd
Original Assignee
San Ei Sucrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by San Ei Sucrochemical Co Ltd filed Critical San Ei Sucrochemical Co Ltd
Priority to JP2019094094A priority Critical patent/JP7350513B2/ja
Publication of JP2020188684A publication Critical patent/JP2020188684A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7350513B2 publication Critical patent/JP7350513B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】塩味が増強された塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤及び塩味を増強する方法を提供する。【解決手段】食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種からなる塩味成分を含む、塩味成分含有飲食組成物であって、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を含む、塩味成分含有飲食組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤、塩味を増強する方法に関する。
塩味は食品の嗜好性を向上させる上で欠かせない呈味の一つであるが、食塩の主成分である塩化ナトリウムの過剰摂取は、高血圧等の生活習慣病につながるとされ、また、近年の健康志向からその摂取量を控えたいという需要が高まっている。しかし、単に食塩の使用量を削減した場合には、美味しさが損なわれ食品としての価値が低下してしまう。減塩と美味しさの両立は食品業界における課題の一つであり、課題解決のため、種々検討がなされてきた。例えば、塩味を増強させることにより、減塩と美味しさを両立することができる。
飲食組成物の塩味を増強させ呈味を改善する方法としては、例えば、塩化カリウム及び魚介類エキス等の蛋白加水分解物を用いる技術(特許文献1)、塩化カリウム、食酢及び柑橘果汁を用いる技術(特許文献2)、塩化カリウム及びイソロイシン、メチオニン等のアミノ酸を用いる技術や(特許文献3)、塩化カリウム、フィチン酸、アルギニン及びカルボン酸等を用いる技術(特許文献4)が開示されている。なお、塩化カリウムは、塩味を有する食塩代替素材である。
特許5628502号公報 特許5761868号公報 特許5236598号公報 特開2017−158543号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、天然物を原料とするため力価のバラつきが考えられ、また原料由来の独特な風味により食品の味を損なう恐れがある。また、特許文献2で用いられる食酢は、塩味を増強するものの刺激臭を有するため、用途が限られる。さらに、特許文献3や4で用いられる、イソロイシンやアルギニンなどのアミノ酸は苦味を有するため、添加量によっては嗜好性が低下する恐れがある。また特許文献4で用いられるクエン酸、乳酸等のカルボン酸は塩味を強く感じさせる効果はあるものの、刺激のある味質のため飲食物の呈味を損ねる恐れがある。また、特許文献1〜4の技術では、塩化カリウムに由来するエグ味や苦み等の不快味により呈味が損なわれる。
したがって、塩味を増強することができるその他の技術が望まれる。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、塩味が増強された塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤及び塩味を増強する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種からなる塩味成分を含む塩味成分含有飲食組成物に対し、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類やそのラクトンを添加することで、塩味を強く感じさせることができることを見出し、本発明に至った。本発明は、より具体的には、以下のようなものを提供する。
(1) 食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種からなる塩味成分を含む、塩味成分含有飲食組成物であって、
重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を含む、塩味成分含有飲食組成物。
(2) 組成物100g中の食塩相当量(B)に対する、組成物100g中の前記糖カルボン酸成分の量(A)の比(A/B)が、質量基準で、0.005〜30である、上記(1)に記載の塩味成分含有飲食組成物。
(3) 組成物100g中の塩化カリウム相当量(C)に対する、組成物100g中の前記糖カルボン酸成分の量(A)の比(A/C)が、質量基準で、0.01〜100である、上記(1)又は(2)に記載の塩味成分含有飲食組成物。
(4) 前記糖カルボン酸が、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、及びセロビオン酸からなる群から選択される少なくとも一種である、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の塩味成分含有飲食組成物。
(5) 前記糖カルボン酸が、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物又はデキストリン酸化物の形態である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の塩味成分含有飲食組成物。
(6) 飲食組成物に含まれる食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種からなる塩味成分の塩味を増強する、塩味増強剤であって、
重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分からなる、塩味増強剤。
(7) 食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種からなる塩味成分を含む塩味成分含有飲食組成物の、塩味を増強する方法であって、
重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を塩味成分含有飲食組成物に配合する工程を有する、方法。
本発明によれば、塩味が増強された塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤及び塩味を増強する方法を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
<塩味成分含有飲食組成物>
本発明の塩味成分含有飲食組成物は、食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種を含む。そして、本発明の塩味成分含有飲食組成物は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を含む。なお、本明細書において、「wt(%)」は、全体に対する対象成分の含有量(質量)の百分率を意味する。
本発明の塩味成分含有飲食組成物は、塩味成分を含む飲食用の組成物であり、その形状は特に限定されず、例えば、固体状(ゼリー等の半固体状態の物も含む)、ペースト状、液状のいずれでもよい。
塩味成分含有飲食組成物としては、醤油、ソース、ドレッシング、味噌、マヨネーズ、タルタルソース、ケチャップ、デミグラスソース、パスタソース等の調味料類、中華スープ、コンソメスープ、スープカレー、味噌汁、コーンスープ、ポタージュ、ラーメンスープ、鍋スープ等のスープ類、ハンバーグ、ソーセージ、ハム等の畜肉加工品、チーズ、ホワイトソース等の乳加工食品、煮魚、塩辛、魚肉ソーセージ、かまぼこ、缶詰等の水産加工品、卵焼き、だし巻卵、煮卵、厚焼き玉子等、オムレツ、スクランブルエッグ等の卵加工品、漬物、キムチ、ピクルス等の漬物類、酢豚、タンドリーチキン、佃煮、肉じゃが、揚げ物等の惣菜類、アイス、ゼリー等の冷菓類、クッキー、スナック、キャンディー、キャラメル、グミ、ラムネ、焼き菓子、生菓子などの菓子類、清涼飲料、炭酸飲料、高甘味度甘味料入り乳飲料、混合飲料、アルコール飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、機能性飲料等の飲料類等が挙げられる。
本発明の塩味成分含有飲食組成物が含む塩味成分は、食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種である。食塩代替素材は、塩味を有する素材であり、例えば、塩化カリウム(KCl)や、酵母エキスが挙げられる。
飲食組成物は食塩を含むことにより美味しくなるが、食塩の過剰摂取により高血圧等の生活習慣病の問題が生じる。しかしながら、本発明においては、塩味成分の塩味が増強されるため、食塩の含有量を低減し、且つ、美味しい、すなわち呈味に優れた塩味成分含有飲食組成物となる。
また、塩化カリウム等の食塩代替素材を用いることにより食塩の含有量を低減することができるが、塩化カリウムはエグ味や金属味等の不快味を有するため呈味が損なわれる。しかしながら、本発明においては、塩化カリウムに由来するエグ味や苦み等の不快味を抑制することができるため、食塩の含有量を低減しつつ美味しく呈味に優れた塩味成分含有飲食組成物となる。
本発明の塩味成分含有飲食組成物が含む糖カルボン酸成分は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸(以下単に「糖カルボン酸」とも記載する)、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種である。
糖カルボン酸は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化されたものであれば、特に限定されない。澱粉分解物又は転移反応物の重合度は、例えば、2〜100等であってもよい。糖カルボン酸としては、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、セロビオン酸、パノース酸化物等が挙げられる。これらのうち、塩味を増強する効果や塩化カリウムに由来するエグ味や苦み等の不快味を抑制する効果が高い点で、マルトビオン酸、マルトトリオン酸が好ましく、マルトビオン酸がより好ましい。
また、糖カルボン酸成分は、上記糖カルボン酸(すなわち遊離の酸)であってもよいが、糖カルボン酸の塩類や、糖カルボン酸のラクトンであってもよい。
糖カルボン酸の塩類としては、上記糖カルボン酸の塩、具体的には、上記糖カルボン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩や、マグネシウム塩等が挙げられる。
糖カルボン酸のラクトンとしては、上記糖カルボン酸に脱水操作を施して得られるラクトンが挙げられる。
糖カルボン酸の塩類や、糖カルボン酸のラクトンは、水に溶かすと速やかにマルトビオン酸等の糖カルボン酸となる。
これら糖カルボン酸成分は、1種で使用してよく、2種以上を併用してもよい。
また、糖カルボン酸成分は、どのような形態で塩味成分含有飲食組成物に含まれてもよく、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物又はデキストリン酸化物の形態で塩味成分含有飲食組成物に含まれてもよい。また、液体(シロップ等)であっても粉末であってもよい。
本発明の塩味成分含有飲食組成物は、このような糖カルボン酸成分を含むことにより、食塩や食塩代替素材の塩味を増強することができる。なお、増強された塩味は持続する。
したがって、塩味成分の含有量が低減され、且つ、呈味に優れた塩味成分含有飲食組成物とすることができる。
糖カルボン酸成分は、まろやかな酸味を呈する糖質素材であるが、飲食直後に酸味が発現するクエン酸や酢酸等の有機酸と異なり、酸味が、飲食直後ではなく途中から発現し後味にピークを迎え持続する特徴がある。この味質の違いにより、クエン酸や酢酸等の有機酸とは異なり、糖カルボン酸成分は後味の塩味も引き立たせ、全体的な塩味を強く感じさせることができる。
また糖カルボン酸成分の持続する味質は、塩化カリウムに由来するエグ味や苦み等の不快味をマスキングすることもできる。そして、塩化カリウムの不快味がマスキングされることにより、塩味をより感じやすくなる、すなわち、より塩味が増強される。したがって、塩化カリウムを含むことにより、食塩をより低減しつつ塩味により美味しく、且つ、塩化カリウムの不快味が低減された塩味成分含有飲食組成物とすることができる。
また、糖カルボン酸成分は、味噌を含む塩味成分含有飲食組成物の味噌のコクを引き立たせることもできる。
また、糖カルボン酸成分は、食塩や食塩代替素材に由来する不快味以外の味に悪影響を与え難い。したがって、本発明においては、糖カルボン酸成分を含まない従来の塩味成分含有飲食組成物の味の良さを維持しつつ、塩味の増強や、塩化カリウムに由来する不快味の抑制等をすることができる。
本発明の塩味成分含有飲食組成物における塩味成分の含有量は特に限定されない。例えば、塩味成分含有飲食組成物における塩化ナトリウムの濃度は、0.01〜20wt(%)であり、好ましくは0.1〜10wt%である。また、例えば、塩味成分含有飲食組成物における塩化カリウムの濃度は、0.1〜5wt(%)である。
また、本発明の塩味成分含有飲食組成物における糖カルボン酸成分の濃度も特に限定されないが、例えば0.05〜90wt(%)である。糖カルボン酸成分は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンの合計である。
塩味成分含有飲食組成物が食塩を含む場合、塩味成分含有飲食組成物100g中の食塩相当量(B)に対する、塩味成分含有飲食組成物100g中の糖カルボン酸成分の量(A)の比(A/B)は、質量基準で、0.005〜30であることが好ましく、0.005〜10であることがより好ましく、0.05〜5であることが更により好ましい。上記比(A/B)は、0超0.005未満の場合、塩味増強効果を感じにくい場合があり、個人差が生じやすい。また、上記比(A/B)が30超の場合、糖カルボン酸成分自体の風味が強くなる。
また、塩味成分含有飲食組成物が塩化カリウムを含む場合、塩味成分含有飲食組成物100g中の塩化カリウム相当量(C)に対する、塩味成分含有飲食組成物100g中の糖カルボン酸成分の量(A)の比(A/C)は、質量基準で、0.01〜100であることが好ましく、0.02〜35であることがより好ましく、0.05〜5であることが更により好ましい。上記比(A/C)は、0超0.01未満の場合、塩化カリウムのエグ味や金属味に対するマスキング効果が弱いため、塩味増強効果を感じにくい場合があり、個人差が生じやすい。また、上記比(A/C)が100超の場合、糖カルボン酸成分自体の風味が強くなる。
上記各成分の含有量は、塩味増強の目的や、用途に応じて適宜設定してもよい。例えば塩味成分含有飲食組成物がドレッシング、めんつゆ等の調味料類である場合はA/Bが0.005〜20(典型的には、下限は0.01又は0.05であり、上限は10又は5であってよい)、また、A/Cが0.01〜50(典型的には、下限は0.01又は0.05であり、上限は10又は1であってよい)であることが好ましく、スープである場合はA/Bが0.005〜10(典型的には、下限は0.01又は0.05であり、上限は5または1であってよい)、また、A/Cが0.01〜50(典型的には、下限は0.01又は0.05であり、上限は10又は1であってよい)であることが好ましく、惣菜である場合はA/Bが0.01〜10(典型的には、下限は0.01又は0.05であり、上限は10又は1であってよい)、また、A/Cが0.01〜50(典型的には、下限は0.01又は0.05であり、上限は10又は1であってよい)であることが好ましい。
なお、塩味成分含有飲食組成物100g中の食塩相当量(B)は、ICP発光分光分析装置により塩味成分含有飲食組成物100g中のナトリウム含量(g)を求めた後、換算係数2.54を乗じることで算出することができる。
塩味成分含有飲食組成物100g中の塩化カリウム相当量(C)は、ICP発光分光分析装置により塩味成分含有飲食組成物100g中のカリウム含量(g)を求めた後、換算係数1.91を乗じることで算出することができる。
塩味成分含有飲食組成物100g中の糖カルボン酸成分(A)の量は、HPAED−PAD法(パルスドアンペロメトリー検出器、CarboPac PA1カラム)により測定することができる。測定は、溶出:35℃、1.0ml/min、水酸化ナトリウム濃度:100mM、酢酸ナトリウム濃度:0分〜5分までは0mM、5分〜55分までは0mMから40mMまでグラジエント、の条件で行う。
本発明の塩味成分含有飲食組成物は、糖カルボン酸成分の以外の、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、バリン等のアミノ酸や酢酸、クエン酸等の有機酸など、塩味増強効果等があるとされている素材を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。これらの素材を含むことにより、さらなる塩味増強や、不快味のマスキング効果等を奏することができ、より呈味に優れた塩味成分含有飲食組成物とすることができる。なお、アミノ酸は苦みやエグ味等の不快味を有するが、糖カルボン酸成分により、これらアミノ酸に由来する不快味をマスキングすることもできる。
また、本発明の塩味成分含有飲食組成物は、上記以外の従来公知のいずれの成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。このような成分としては、例えば、水、香料、増粘剤、甘味料(砂糖、異性化糖、ぶどう糖、果糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、はちみつ、水飴、粉飴、マルトデキストリン、ソルビトール、マルチトール、還元水飴、マルトース、トレハロース、黒糖等)、食物繊維、たんぱく質(乳、豆、ビーフエキス、チキンエキス、ポークエキス、魚肉エキス、ゼラチン等)、酸味料(クエン酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸)、ミネラル類(カルシウム、マグネシウム、鉄、カリウム、亜鉛、銅等)、アミノ酸類(アルギニン、バリン、ロイシン、イソロイシン等)、香辛料(ニンニク、ショウガ、ごま、唐辛子、わさび、山椒、ミョウガなど)、乳化剤、酵素、機能性成分、保存料、安定剤、酸化防止剤、ビタミン類等が挙げられる。これらの成分の添加量は、得ようとする効果に応じて適宜調整できる。
また、塩味成分含有飲食組成物は、果実、野菜、種子等、従来公知の固形物やその粉砕物(粉末を含む)を含んでいてもよい。
本発明の塩味成分含有飲食組成物を製造する方法は特に限定されず、例えば、塩味成分及び糖カルボン酸成分、必要に応じて含有させるその他の成分、固形物、粉砕物等を混合して製造することができる。
なお、糖カルボン酸成分の製造方法は、特に限定されず、常法に従って製造することができる。市販されている糖カルボン酸成分を用いてもよい。
例えば、糖カルボン酸は、澱粉分解物又は転移反応物を化学的な酸化反応により酸化する方法や、澱粉分解物又は転移反応物にオリゴ糖酸化能を有する微生物、又は酸化酵素を作用させる反応により製造することができる。酵素反応による製造方法としては、例えば、Acremonium chrysogenum等の、オリゴ糖酸化能を有する微生物から酸化酵素を抽出し作用させる方法が挙げられる。
また、糖カルボン酸の塩類の製造方法も、特に限定されず、常法に従って製造することができる。例えば、マルトビオン酸に塩類を添加することで、マルトビオン酸塩を調製可能である。例えば、マルトビオン酸カルシウムを製造するには、マルトビオン酸溶液に炭酸カルシウム等のカルシウム源を2:1のモル比となるように添加し、溶解させることで、マルトビオン酸カルシウムを調製することができる。この際に使用されるカルシウム源は、可食性のカルシウムであれば特に限定されず、例えば、卵殻粉末、サンゴ粉末、骨粉末、貝殻粉末等の天然素材、或いは、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等の化学合成品等が挙げられる。なお、塩類は、食品組成物中で許容される限り特に限定されないが、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
糖カルボン酸のラクトンの製造方法も、特に限定されず、常法に従って製造することができる。公知の脱水操作により調製することができ、例えばマルトビオン酸を脱水操作することで、マルトビオノラクトンを調製することができる。
各塩味成分含有飲食組成物の製造工程の実情に適した製造方法を採用することができ、例えば、糖カルボン酸成分を、糖カルボン酸成分以外の塩味成分含有飲食組成物の成分の原料に対して初めから混合してもよく、塩味成分含有飲食組成物の製造工程中に添加してもよく、市販の塩味成分含有飲食組成物に糖カルボン酸成分を添加することで製造してもよい。
また、塩味成分含有飲食組成物の製造において、殺菌等するために加熱する場合は、糖カルボン酸成分の混合は、加熱の前でも後でもよい。
本発明の塩味成分含有飲食組成物は、容器詰めの塩味成分含有飲食組成物でもよい。塩味成分含有飲食組成物を充填する容器としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のレトルトパウチ容器、プラスチックボトル、スチールやアルミ等の金属缶、紙パック等が挙げられる。塩味成分含有飲食組成物を容器詰めした後に、加熱殺菌し、常温で長期保存可能なようにしてもよい。
<塩味増強剤>
本発明の塩味増強剤は、飲食組成物に含まれる食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種からなる塩味成分の塩味を増強するものである。そして、本発明の塩味増強剤は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を含む。
このように本発明の塩味増強剤は、糖カルボン酸成分を含むため、塩味を増強することができる。また、本発明の塩味増強剤は、塩化カリウムに由来する不快味をマスキングして抑制することもできる。
本発明の塩味増強剤における塩味成分、糖カルボン酸成分や、塩味成分含有飲食組成物100g中の食塩相当量(B)、塩味成分含有飲食組成物100g中の塩化カリウム相当量(C)及び塩味成分含有飲食組成物100g中の糖カルボン酸成分の量(A)の求め方等は、上記<塩味成分含有飲食組成物>と同じであるため、その説明は省略する。
塩味増強対象の塩味成分含有飲食組成物が食塩を含有する場合は、塩味増強剤は、塩味成分含有飲食組成物100g中の食塩相当量(B)に対する、塩味成分含有飲食組成物100g中の糖カルボン酸成分の量(A)の比(A/B)が、質量基準で、好ましくは0.005〜30、より好ましくは0.005〜10、さらに好ましくは0.05〜5となる量で、塩味成分含有飲食組成物に添加する。
また、塩味増強対象の塩味成分含有飲食組成物が塩化カリウムを含有する場合は、塩味増強剤は、塩味成分含有飲食組成物100g中の塩化カリウム相当量(C)に対する、塩味成分含有飲食組成物100g中の糖カルボン酸成分の量(A)の比(A/C)が、質量基準で、好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.02〜35、さらに好ましくは0.05〜5となる量で、塩味成分含有飲食組成物に添加する。
<塩味を増強する方法>
本発明の塩味を増強する方法は、食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種からなる塩味成分を含む塩味成分含有飲食組成物の、塩味を増強する方法である。そして、本発明の塩味を増強する方法は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を塩味成分含有飲食組成物に配合する工程を有する。
このように、本発明の塩味を増強する方法は、糖カルボン酸成分を塩味成分含有飲食組成物に配合する工程を有するため、塩味を増強することができる。また、本発明の塩味を増強する方法は、塩化カリウムに由来する不快味をマスキングして抑制することもでき、味噌のコクを引き立たせることもできる。
本発明の塩味を増強する方法における、塩味成分、糖カルボン酸成分や、塩味成分含有飲食組成物100g中の食塩相当量(B)、塩味成分含有飲食組成物100g中の塩化カリウム相当量(C)及び塩味成分含有飲食組成物100g中の糖カルボン酸成分の量(A)の求め方等は、上記<塩味成分含有飲食組成物>と同じであるため、その説明は省略する。
塩味増強対象の塩味成分含有飲食組成物が塩化ナトリウムを含有する場合は、糖カルボン酸成分を、塩味成分含有飲食組成物100g中の食塩相当量(B)に対する、塩味成分含有飲食組成物100g中の糖カルボン酸成分の量(A)の比(A/B)が、質量基準で、好ましくは0.005〜30、より好ましくは0.005〜10、さらに好ましくは0.05〜5となる量で、塩味成分含有飲食組成物に添加することが好ましい。
また、塩味増強対象の塩味成分含有飲食組成物が塩化カリウムを含有する場合は、糖カルボン酸成分を、塩味成分含有飲食組成物100g中の塩化カリウム相当量(C)に対する、塩味成分含有飲食組成物100g中の糖カルボン酸成分の含有量(A)の比(A/C)が、質量基準で、好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.02〜35、さらに好ましくは0.05〜5となる量で、塩味成分含有飲食組成物に添加する。
以下、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(糖カルボン酸試験物質)
以下の評価試験では、マルトビオン酸水溶液(70wt%)、マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製、商品名サワーオリゴ)、マルトオリゴ糖酸化カルシウム(粉末)(サンエイ糖化株式会社製、商品名サワーオリゴC)、DE19のデキストリン(サンエイ糖化株式会社製、商品名NSD700)酸化物(粉末)を用いた。なお、マルトオリゴ糖酸化物シロップ中のHPLC法で測定される固形分中には、マルトビオン酸70wt%に加えて、グルコン酸1wt%、マルトトリオン酸15wt%及びマルトテトラオン酸(重合度4)以上のマルトオリゴ糖酸14wt%を含む。マルトオリゴ糖酸化カルシウムは、前述のマルトオリゴ糖酸化物と同組成の糖質成分と、カルシウム4.1wt%を含む粉末である。
従って、これら糖カルボン酸試験物質中の糖カルボン酸成分の含有量(g)を求めると、例えばマルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)が100gの場合は、糖質成分(固形分)が70gと算出され、糖カルボン酸成分の含有量(g)は、糖質成分から単糖であるグルコン酸を除いた、二糖類以上の糖カルボン酸の合計量(g)であるため、69gと算出される。
また、マルトオリゴ糖酸化カルシウムが100gの場合は、糖カルボン酸成分の含有量(g)は、糖質成分から単糖であるグルコン酸を除いた、二糖類以上の糖カルボン酸の合計量(g)であるため、99gと算出される。
また、組成物100g中の食塩相当量Bは、ICP発光分光分析装置により組成物100g中のナトリウム含量(g)を求めた後、換算係数2.54を乗じることで算出した。
組成物100g中の塩化カリウム相当量Cは、ICP発光分光分析装置により組成物100g中のカリウム含量(g)を求めた後、換算係数1.91を乗じることで算出した。
また、組成物の評価では、味覚について熟練した8人の官能評価パネラによって評価し、共通する味覚評価を採用した。
<食塩に対する塩味増強効果>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)を用い、下記の表1および2に示す処方(配合)にて試験液(比較例1および実施例1〜13)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、実施例1〜7については比較例1と比べ、実施例8〜13については比較例2と比べ、塩味増強効果が高いものを◎、塩味増強効果が感じられるものを○、塩味が弱いものを×とした。なお、実施例1〜13においては、塩味増強効果が持続していた。表1および2には、評価結果に加え、組成物(試験液)100g中の糖カルボン酸成分の量A(g)を「糖カルボン酸成分 A(g)」欄に記載し、組成物100g中の食塩相当量B(g)を「食塩相当量 B(g)」欄に記載し、質量比(A/B)を併せて記載している。なお、表2以降も同様である。
Figure 2020188684
Figure 2020188684
糖カルボン酸成分を添加することで食塩の塩味を強く感じさせることが確認された。また、糖カルボン酸成分による塩味増強効果は、食塩濃度によらず発揮されることが示された。
<糖カルボン酸成分の種類の違い>
マルトビオン酸水溶液(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、デキストリン酸化物(粉末)(サンエイ糖化株式会社製)、マルトオリゴ糖酸化カルシウム(粉末)(サンエイ糖化株式会社製、商品名サワーオリゴC)を用い、下記の表3に示す処方にて試験液(比較例2および実施例14〜16)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、比較例2と比べ塩味増強効果が高いものを◎、塩味増強効果が感じられるものを○、塩味が弱いものを×とした。なお、実施例14〜16においては、塩味増強効果が持続していた。
Figure 2020188684
分子量の異なる糖カルボン酸および、糖カルボン酸の塩類を用いた場合にも、食塩の塩味を強く感じさせることを確認した。
<有機酸との比較>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、食酢(株式会社ミツカン製)、クエン酸(扶桑化学工業株式会社製)を用い、下記の表4に示す処方にて試験液(比較例2〜4および実施例17)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、比較例2と比べ塩味増強効果が高く異味も抑えられているものを◎、塩味増強効果が感じられるものを○、塩味の増強は感じられるが塩味が持続しないものを△、塩味が弱いものを×とした。なお、実施例17においては、塩味増強効果が持続していた。
Figure 2020188684
酢酸、クエン酸を用いた場合(比較例3、4)にも塩味の増強効果は確認されたが、素材(酢酸、クエン酸)自体の臭いや刺激味があり、また、塩味の消失が早かった。対して糖カルボン酸成分を用いた場合(実施例17)には、素材(糖カルボン酸成分)自体の不快味が無く、塩味が持続されるため、総合的な塩味強度が高くなることが確認された。以上より、糖カルボン酸成分は有機酸と比較した場合にも塩味増強効果に優れていることが示された。
<塩化カリウムに対するマスキング効果>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、塩化カリウム(関東化学株式会社製)を用い、下記の表5に示す処方にて試験液(比較例5、6および実施例18〜23)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、比較例5と比べ塩味増強効果が高く不快味も抑えられているものを◎、塩味増強効果が感じられ塩化カリウム由来の不快味も抑えられているものを○、塩味が弱いまたは塩化カリウム由来の不快味が強いものを×とした。なお、実施例18〜23においては、塩味増強効果が持続していた。また、表5には、評価結果に加え、組成物100g中の塩化カリウム相当量C(g)を「塩化カリウム相当量 C(g)」欄に記載し、組成物100g中の糖カルボン酸成分の量AのCに対する質量比(A/C)も併せて示している。なお、表5以降も同様である。
Figure 2020188684
糖カルボン酸は、食塩代替素材として用いられる塩化カリウムの塩味を増強し、且つ塩化カリウムのエグ味、金属味に対しマスキング効果を発揮することが示された。
<塩化カリウム置換>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、塩化カリウム(関東化学株式会社製)、50wt%グルコン酸(扶桑化学工業)を用い、下記の表6〜8に示す処方にて試験飲料(比較例1、7〜10および実施例24〜35)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、実施例24〜27は比較例7と比べ、実施例28〜30は比較例8と比べ、実施例31〜35は比較例10と比べ、塩味増強効果が高く不快味も抑えられているものを◎、塩味増強効果が感じられ不快味も抑えられているものを○、塩味の増強は感じられるが不快味があるものを△、塩味が弱いまたは不快味が強いものを×とした。なお、実施例24〜35においては、塩味増強効果が持続していた。
Figure 2020188684
Figure 2020188684
Figure 2020188684
単糖であるグルコン酸は先味として塩味を強く感じさせるが塩味の持続が弱く、後味に塩化カリウムのエグ味が感じられたが、二糖以上の糖カルボン酸(糖カルボン酸成分)は、塩味を増強させ持続できるとともに、塩化カリウムのエグ味をマスキングできることが確認された。また、糖カルボン酸成分による塩味増強およびエグ味マスキング効果は、食塩や塩化カリウム濃度によらず発揮されることが示された。
<味噌ベーススープ>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、塩化カリウム(関東化学株式会社製)を用い、下記の表9に示す処方にて味噌ベーススープ(比較例11〜13および実施例36、37)を調製し、その味質を評価した。官能評価において比較例12と比べ、塩味増強効果が高いものを◎、塩味増強効果が感じられるものを○、塩味の増強は感じられるが持続しないものを△、塩味が弱いまたは不快味が強いものを×とした。なお、実施例36〜37においては、塩味増強効果が持続していた。また、表9に、比較例11を基準として算出した減塩率を記載した。
Figure 2020188684
糖カルボン成分酸を用いることで、塩味を強く感じさせるとともに、味噌のコクも引き立つことが確認され、28%以上の減塩が可能であった。一方、酢酸を用いた場合には、塩味を強くすることはできても味のバランスが悪くなる結果となった。以上より、糖カルボン酸成分はスープ等の食品に用いた場合にも塩味増強効果を発揮し、さらに、呈味性も向上させることが示された。
<めんつゆ>
塩化カリウム(関東化学製)を用い、下記の表10に示す処方にてめんつゆa〜g(比較例14〜20)を調製し、その味質を評価した。表10の括弧内にめんつゆ番号を記載する。また、表11に示す処方にて、めんつゆa(比較例14)を基準とし、めんつゆb〜g(比較例15〜20)にマルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)およびクエン酸(扶桑化学工業株式会社製)を添加しためんつゆ(比較例21および実施例38〜47)を調製し、味質評価を行った。官能評価において、比較例14〜20については比較例14と比べて、比較例21及び実施例36〜45については対応する比較例(すなわち、配合された各めんつゆのみの比較例14〜20)と比べて、塩味増強効果が高く異味も抑えられているものを◎、塩味増強効果が感じられ異味も抑えられているものを○、塩味の増強は感じられるが異味があるものを△、塩味が弱いまたは不快味が強いものを×とした。評価結果を表11に示す。なお、実施例38〜47においては、塩味増強効果が持続していた。また、表10及び11に、比較例14を基準として算出した減塩率を記載した。
Figure 2020188684
Figure 2020188684
糖カルボン酸成分を用いることで、70質量%以上減塩しても呈味性の良いめんつゆを調製することができることが示された。また、糖カルボン酸成分は塩味を強くするだけでなく、だしや醤油の風味を引き立ててコクを向上させることができことも示された。また、塩化カリウムを併用した場合には、塩化カリウムのエグ味をマスキングすることで呈味性を向上させることが示された。以上より、糖カルボン酸成分はめんつゆなどの調味料類に使用した場合にも塩味増強効果を発揮し、塩化カリウムとの併用も可能であることが示された。
<アミノ酸との併用効果>
マルトオリゴ糖酸化物シロップ(70wt%)(サンエイ糖化株式会社製)、マルトオリゴ糖酸化カルシウム(粉末)(サンエイ糖化株式会社製、商品名サワーオリゴC)L−アルギニン(関東化学株式会社製)、L−バリン(関東化学株式会社製)、L−イソロイシン(関東化学株式会社製)、L−リジン塩酸塩(富士フイルム和光純薬株式会社製)、塩化カリウム(関東化学株式会社製)、乳酸カルシウム(扶桑化学工業株式会社製)を用い、下記の表12、13に示す処方にて試験液(比較例23〜32および実施例48〜55)を調製し、その味質を評価した。官能評価において、比較例24よりも塩味増強効果が高くアミノ酸由来の不快味が極めて抑えられているものを◎、比較例24よりも塩味増強効果が感じられアミノ酸由来の不快味が抑えられているものを〇、比較例24と同等またはより不快味が強い場合を×とした。なお、実施例48〜55においては、塩味増強効果が持続していた。
Figure 2020188684
Figure 2020188684
糖カルボン酸成分は、塩味を強くするだけでなくアミノ酸に由来する不快味をマスキングすることができることが示された。

Claims (7)

  1. 食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種からなる塩味成分を含む、塩味成分含有飲食組成物であって、
    重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を含む、塩味成分含有飲食組成物。
  2. 組成物100g中の食塩相当量(B)に対する、組成物100g中の前記糖カルボン酸成分の量(A)の比(A/B)が、質量基準で、0.005〜30である、請求項1に記載の塩味成分含有飲食組成物。
  3. 組成物100g中の塩化カリウム相当量(C)に対する、組成物100g中の前記糖カルボン酸成分の量(A)の比(A/C)が、質量基準で、0.01〜100である、請求項1又は2に記載の塩味成分含有飲食組成物。
  4. 前記糖カルボン酸が、マルトビオン酸、イソマルトビオン酸、マルトトリオン酸、イソマルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトヘキサオン酸、及びセロビオン酸からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩味成分含有飲食組成物。
  5. 前記糖カルボン酸が、マルトオリゴ糖酸化物、分岐オリゴ糖酸化物、水飴酸化物、粉飴酸化物又はデキストリン酸化物の形態である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塩味成分含有飲食組成物。
  6. 飲食組成物に含まれる食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種からなる塩味成分の塩味を増強する、塩味増強剤であって、
    重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分からなる、塩味増強剤。
  7. 食塩及び食塩代替素材からなる群から選択される少なくとも一種からなる塩味成分を含む塩味成分含有飲食組成物の、塩味を増強する方法であって、
    重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸、その塩類及びそのラクトンからなる群から選択される少なくとも一種の糖カルボン酸成分を塩味成分含有飲食組成物に配合する工程を有する、方法。
JP2019094094A 2019-05-17 2019-05-17 塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤、塩味を増強する方法 Active JP7350513B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019094094A JP7350513B2 (ja) 2019-05-17 2019-05-17 塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤、塩味を増強する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019094094A JP7350513B2 (ja) 2019-05-17 2019-05-17 塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤、塩味を増強する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020188684A true JP2020188684A (ja) 2020-11-26
JP7350513B2 JP7350513B2 (ja) 2023-09-26

Family

ID=73452962

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019094094A Active JP7350513B2 (ja) 2019-05-17 2019-05-17 塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤、塩味を増強する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7350513B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010035513A (ja) * 2008-08-07 2010-02-18 San-Ei Sucrochemical Co Ltd べーカリー製品用品質改良剤
JP2012512631A (ja) * 2008-12-19 2012-06-07 ズートツッカー アクチェンゲゼルシャフト マンハイム/オクセンフルト フレーバー強化剤
JP2017158500A (ja) * 2016-03-10 2017-09-14 サンエイ糖化株式会社 果汁又は野菜汁含有飲食品組成物、果汁又は野菜汁含有食品組成物の呈味改善剤、果汁又は野菜汁含有飲食品組成物の呈味改善方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010035513A (ja) * 2008-08-07 2010-02-18 San-Ei Sucrochemical Co Ltd べーカリー製品用品質改良剤
JP2012512631A (ja) * 2008-12-19 2012-06-07 ズートツッカー アクチェンゲゼルシャフト マンハイム/オクセンフルト フレーバー強化剤
JP2017158500A (ja) * 2016-03-10 2017-09-14 サンエイ糖化株式会社 果汁又は野菜汁含有飲食品組成物、果汁又は野菜汁含有食品組成物の呈味改善剤、果汁又は野菜汁含有飲食品組成物の呈味改善方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7350513B2 (ja) 2023-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3549366B2 (ja) 飲食物の塩から味及び/又は旨味増強方法
CN104244734B (zh) 作为食品加香化合物的n‑酰化1‑氨基环烷基羧酸
US20120201945A1 (en) Food composition with reinforced or enhanced salty taste and composition containing potassium chloride with suppressed offensive taste
JP4847829B2 (ja) 酢かど抑制方法
EP2138053B1 (en) Method for enhancing salty taste-like taste of food and drink
JP2019062778A (ja) 塩味増強剤及びこれを利用した塩味増強方法
KR20130094816A (ko) 음식물의 염미 개선 방법 및 염미 개선제
CN111867396B (zh) 咸味和/或辛香感增强剂
JP2022082686A (ja) 味質向上剤
US20020081364A1 (en) Balsamic sauce for alimentary use, with a basis of balsamic vinegar of modena
EP2030512A1 (en) Flavor improving agent
JP5066742B2 (ja) 飲食物の塩から味及び/又は旨味増強方法
JP2017046597A (ja) 容器詰液状飲食品及びその製造方法並びに容器詰液状飲食品の呈味劣化抑制方法
JPH11169131A (ja) 食品の塩から味、酸味、香りをマスキングする方法
JP2019187326A (ja) 有機酸含有食品組成物
JP7350513B2 (ja) 塩味成分含有飲食組成物、塩味増強剤、塩味を増強する方法
JP2019000008A (ja) 酸味マスキング剤および酸味マスキング方法
JP2017158543A (ja) 塩味増強組成物
JP7410654B2 (ja) アミノ酸成分含有飲食組成物、アミノ酸成分の不快味マスキング剤及びアミノ酸成分に由来する不快味を改善する方法
JP4997365B1 (ja) 塩味増強剤による塩味増強法及び食塩含有飲食品の減塩方法
JP2002315552A (ja) 食品の変質防止マグネシウム強化剤及び食品の変質防止マグネシウム強化法
JP6553408B2 (ja) 風味改善剤
JP6553409B2 (ja) 風味改善剤
JP2020043784A (ja) 酸味マスキング剤および酸味マスキング方法
JP7031120B2 (ja) コク味を付与するための組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220310

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230307

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230501

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230815

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230913

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7350513

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150