JP2020185260A - 光照射システム、カテーテル、及び、光照射デバイス - Google Patents

光照射システム、カテーテル、及び、光照射デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】カテーテルと光照射デバイスとを個別に備える光照射システムにおいて、カテーテルの光透過部と、光照射デバイスの光照射部との周方向における位置合わせを可能とする。【解決手段】医療用の光照射システムは、長尺管形状のカテーテルと、カテーテルに挿入して使用される長尺状の光照射デバイスとを備える。カテーテルは、先端側の側面の少なくとも一部分に設けられ、管の内部の光を外部に透過させる光透過部と、カテーテルの内表面に設けられた第1係合部とを有する。光照射デバイスは、先端側の側面の少なくとも一部分に設けられ、外部へと光を照射する光照射部と、光照射デバイスの外表面に設けられた第2係合部であって、第1係合部と係合することで、光透過部と光照射部との周方向における位置を合わせた状態で、カテーテルに対する光照射デバイスの周方向の移動を規制する第2係合部とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、光照射システム、カテーテル、及び、光照射デバイスに関する。
がん治療においては、外科的、放射線的、薬物的(化学的)手法が単独で、あるいは併用されて用いられ、それぞれの技術が近年発展を遂げている。しかしながら、未だ満足のいく治療技術が見出されていないがんも多く存在し、さらなる治療技術の発展が期待されている。がん治療技術の1つとして、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的療法)と呼ばれる手法が知られている。PDTでは、光感受性物質を静脈投与後、光照射をすることで、がん細胞で活性酸素を発生させ、がん細胞を死滅させる(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、PDTは、光感受性物質のがん細胞への集積選択性が低く、正常細胞に取り込まれることによる副作用の大きさが課題となり、治療技術として広く普及していない。
そこで近年注目されている治療技術として、NIR−PIT(Near-infrared photoimmunotherapy:近赤外光線免疫療法)がある。NIR−PITでは、がん細胞の特異的な抗原に対する抗体と、光感受性物質(例えば、IRDye700DX)との2化合物を結合させた複合体を用いる。この複合体は、静脈投与されると、体内のがん細胞に選択的に集積する。その後、複合体中の光感受性物質の励起波長(例えば、690nm)の光を照射することで、複合体が活性化し、抗がん作用を示す(例えば、特許文献1参照)。NIR−PITでは、抗体によるがんへの集積選択性と、局部光照射によって、PDTと比較して副作用を減らすことができる。また、NIR−PITでは、例えば690nmという近赤外線領域での光照射(NIR照射)を行うため、NIR照射による免疫系への作用も期待できる(例えば、非特許文献2参照)。
上記において例示した690nmを含む所定の波長領域は、生体の分光学的窓とも呼ばれ、他の波長領域と比べて生体成分による光の吸収が少ない波長領域であるものの、体表からの光照射では光の浸透性が不足するため、体内深部のがんに適用できないという課題があった。そこで近年、体表からの光照射ではなく、よりがん細胞に近い位置で光照射を行うNIR−PITの研究がされている(例えば、非特許文献3参照)。例えば、特許文献2及び特許文献3には、このようなPDTやNIR−PITにおいて使用可能なデバイスが開示されている。特許文献2及び特許文献3に記載のデバイスは、共に、血管内に挿入して使用され、体内深部において光を照射することができる。一方、例えば、特許文献4には、膀胱内の尿を蓄尿容器へと導入するために用いられる尿道カテーテル用のスタイレット及び尿道カテーテルセットが開示されている。
特表2014−523907号公報 特開2018−867号公報 特表2007−528752号公報 特開2013−233362号公報
Makoto Mitsunaga, Mikako Ogawa, Nobuyuki Kosaka Lauren T. Rosenblum, Peter L. Choyke, and Hisataka Kobayashi、Cancer Cell-Selective In Vivo Near Infrared Photoimmunotherapy Targeting Specific Membrane Molecules、Nature Medicine 2012 17(12): 、p.1685-1691 Kazuhide Sato, Noriko Sato, Biying Xu, Yuko Nakamura, Tadanobu Nagaya, Peter L. Choyke, Yoshinori Hasegawa, and Hisataka Kobayashi、Spatially selective depletion of tumor-associated regulatory T cells with near-infrared photoimmunotherapy、Science Translational Medicine 2016 Vol.8 Issue352、ra110 Shuhei Okuyama, Tadanobu Nagaya, Kazuhide Sato, Fusa Ogata, Yasuhiro Maruoka, Peter L. Choyke, and Hisataka Kobayashi、Interstitial near-infrared photoimmunotherapy: effective treatment areas and light doses needed for use with fiber optic diffusers、Oncotarget 2018 Feb 16; 9(13): 、p.11159-11169
ここで、PDTやNIR−PITにおいては、上述の通り、複合体を集積させたがん細胞に対して、複合体中の光感受性物質の励起波長の光を照射させることで、がん細胞を死滅させる。一方で、がん細胞以外の正常な細胞に対しては、細胞損傷の虞を低減するために、光照射は避けることが好ましい。このため、PDTやNIR−PITにおいて使用されるデバイスでは、周方向の一部分に限って光を照射可能な構成が採用される場合がある。また、PDTやNIR−PITにおいて使用されるデバイスでは、使い勝手を向上させ、かつ、採用し得る手技の幅を広げるために、カテーテルと、光照射を行うデバイスとを個別に構成したいという要望がある。
この点、特許文献1〜3、及び非特許文献1〜3に記載の技術では、カテーテルと光照射デバイスとを個別に構成することについては何ら考慮されていないという課題があった。また、特許文献4に記載の技術では、生体管腔内において光を照射することについては何ら考慮されていないという課題があった。さらに、特許文献4に記載の技術では、スタイレットと尿道カテーテルとは、軸線方向(挿入方向)における相互の位置合わせができるに過ぎず、周方向における相互の位置合わせについては何ら考慮されていないという課題があった。なお、このような課題は、PDTやNIR−PITに限らず、体内において光を照射するプロセスを含む検査又は治療において使用されるデバイス全般に共通する。また、このような課題は、血管に挿入されるデバイスに限らず、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入されるデバイス全般に共通する。
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、カテーテルと光照射デバイスとを個別に備える光照射システムにおいて、カテーテルの光透過部と、光照射デバイスの光照射部との周方向における位置合わせを可能とすることを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、医療用の光照射システムが提供される。この光照射システムは、長尺管形状のカテーテルと、前記カテーテルに挿入して使用される長尺状の光照射デバイスと、を備え、前記カテーテルは、先端側の側面の少なくとも一部分に設けられ、管の内部の光を外部に透過させる光透過部と、前記カテーテルの内表面に設けられた第1係合部と、を有し、前記光照射デバイスは、先端側の側面の少なくとも一部分に設けられ、外部へと光を照射する光照射部と、前記光照射デバイスの外表面に設けられた第2係合部であって、前記第1係合部と係合することで、前記光透過部と前記光照射部との周方向における位置を合わせた状態で、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの周方向の移動を規制する第2係合部と、を有する。
この構成によれば、カテーテルは内表面に設けられた第1係合部を有し、光照射デバイスは、外表面に設けられた第2係合部であって、カテーテルの光透過部と光照射デバイスの光照射部との周方向における位置を合わせた状態で、カテーテルに対する光照射デバイスの周方向の移動を規制する第2係合部を備える。このため、術者は、カテーテルの第1係合部に対して光照射デバイスの第2係合部を係合させることで、簡単に、カテーテルの光透過部と、光照射デバイスの光照射部との周方向における位置を合わせ、かつ、カテーテルと光照射デバイスとを周方向において固定できる。この結果、本構成によれば、カテーテルと光照射デバイスとを個別に備える光照射システムにおいて、光透過部と光照射部との周方向におけるずれを抑制することができ、光照射の目的部位(例えば、NIR−PITの場合はがん細胞の付近)に対して、安定した光照射を行うことができる。
(2)上記形態の光照射システムにおいて、前記第1係合部と前記第2係合部とは、一方が凹部、他方が凸部での凹凸係合構造であってもよい。この構成によれば、第1係合部と第2係合部とは、一方が凹部、他方が凸部での凹凸係合構造であるため、第1係合部と第2係合部の位置関係及び機能を直感的に把握しやすくできる。また、第1係合部と第2係合部とを容易に形成できる。
(3)上記形態の光照射システムにおいて、前記凹部は、前記カテーテルまたは前記光照射デバイスの一方の先端側に形成され、前記凸部は、前記カテーテルまたは前記光照射デバイスの他方の先端側において、押圧により伸縮可能に形成され、伸張した前記凸部が前記凹部に係合することで、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの周方向の相対的な移動を規制すると共に、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの軸線方向の相対的な移動を規制してもよい。この構成によれば、カテーテルまたは光照射デバイスについて、一方の先端側に凹部が形成され、他方の先端側に凸部が形成されている。このため、凹部と凸部とが係合することにより、カテーテルに対する光照射デバイスの周方向の相対的な移動に加えてさらに、軸線方向の相対的な移動をも規制することができる。また、凸部は押圧により伸縮可能に形成されているため、凸部を収縮状態とすることにより、凹部が形成されている位置までスムーズにデリバリできる。
(4)上記形態の光照射システムにおいて、前記凹部は、軸線方向に延びた溝形状であり、前記凸部が前記凹部に係合することで、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの周方向の相対的な移動を規制しつつ、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの軸線方向の相対的な移動を許容してもよい。この構成によれば、カテーテルまたは光照射デバイスに形成される凹部は、軸線方向に延びた溝形状である。このため、溝形状の凹部と凸部とが係合することにより、カテーテルに対する光照射デバイスの周方向の相対的な移動を規制する一方で、軸線方向の相対的な移動は許容することができる。また、凹部は軸線方向に延びた溝形状であるため、凸部を伸縮可能な構成とする必要がなく、凸部を簡単に形成できる。
(5)上記形態の光照射システムにおいて、前記カテーテルまたは前記光照射デバイスの一方には、前記凹部が複数形成されていてもよい。この構成によれば、カテーテルまたは光照射デバイスには、複数の凹部が形成されている。このため、単一の凸部が形成されたカテーテルまたは光照射デバイスを組み合わせて用いれば、所望の位置の凹部に対して凸部を係合させることで、所望の位置でカテーテルと光照射デバイスとを固定できる。また、複数の凸部が形成されたカテーテルまたは光照射デバイスを組み合わせて用いれば、複数個所の凹凸係合構造によって、カテーテルと光照射デバイスとを強固に固定できる。
(6)上記形態の光照射システムにおいて、前記カテーテルまたは前記光照射デバイスの他方には、前記凸部が複数形成されていてもよい。この構成によれば、カテーテルまたは光照射デバイスには、複数の凸部が形成されている。このため、単一の凹部が形成されたカテーテルまたは光照射デバイスを組み合わせて用いれば、所望の位置の凸部に対して凹部を係合させることで、所望の位置でカテーテルと光照射デバイスとを固定できる。また、複数の凹部が形成されたカテーテルまたは光照射デバイスを組み合わせて用いれば、複数個所の凹凸係合構造によって、カテーテルと光照射デバイスとを強固に固定できる。
(7)上記形態の光照射システムにおいて、前記カテーテルは、さらに、少なくとも前記光透過部の近傍における温度を測定する温度センサを備えていてもよい。この構成によれば、少なくとも光透過部の近傍における温度を測定する温度センサを備えるため、光照射による生体組織の温度変化をリアルタイムに観測でき、光照射による血液の凝固や、生体組織損傷の抑制に寄与できる。
(8)本発明の一形態によれば、カテーテルが提供される。このカテーテルは、長尺管形状であって、先端側の側面の少なくとも一部分に設けられ、管の内部の光を外部に透過させる光透過部と、前記カテーテルの内表面に設けられた第1係合部と、を備える。この構成によれば、カテーテルは、内表面に第1係合部が設けられているため、第1係合部に光照射デバイスの第2係合部を係合させることで、カテーテルの光透過部と、光照射デバイスの光照射部との周方向における位置を合わせることができる。
(9)本発明の一形態によれば、光照射デバイスが提供される。この光照射デバイスは、長尺状であって、先端側の側面の少なくとも一部分に設けられ、外部へと光を照射する光照射部と、前記光照射デバイスの外表面に設けられ、前記カテーテルの内表面に係合することで、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの周方向の移動を規制する第2係合部と、を備える。この構成によれば、光照射デバイスは、外表面に第2係合部が設けられているため、第2係合部をカテーテルの第1係合部に係合させることで、カテーテルの光透過部と、光照射デバイスの光照射部との周方向における位置を合わせることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、カテーテル、光照射デバイス、これらが別体又は一体とされた光照射システム、カテーテル、光照射デバイス、及び光照射システムの製造方法などの形態で実現することができる。
第1実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。 図1のA−A線における断面構成を例示した説明図である。 図1のB−B線における断面構成を例示した説明図である。 図1のC−C線における断面構成を例示した説明図である。 図1のD−D線における断面構成を例示した説明図である。 図1のE−E線における断面構成を例示した説明図である。 光照射システムの使用状態を例示した説明図である。 第2実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。 図8のF−F線における断面構成を例示した説明図である。 第2実施形態の光照射システムの使用状態を例示した説明図である。 光透過部と光照射部との組み合わせを例示した説明図である。 第3実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。 第3実施形態の光照射システムの使用状態を例示した説明図である。 第4実施形態のカテーテル及び光照射デバイスの断面構成を例示した説明図である。 第5実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。 第6実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。 第7実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。 第8実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。 第9実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。 第10実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。 第11実施形態のカテーテルの構成を例示した説明図である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。光照射システムは、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入して使用され、生体管腔内から生体組織に向けて光を照射するシステムである。光照射システムは、例えば、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的療法)や、NIR−PIT(Near-infrared photoimmunotherapy:近赤外光線免疫療法)において使用可能である。以下の実施形態では、光の例としてレーザ光を例示するが、レーザ光に限らず、例えばLED光、白色光を用いて光照射システムを構成してもよい。光照射システムは、カテーテル1と、カテーテル1に挿入して使用される光照射デバイス2とを備えている。図1では、カテーテル1と、光照射デバイス2とを個別に図示している。
図1では、カテーテル1の中心を通る軸と、光照射デバイス2の中心を通る軸とを、それぞれ軸線O(一点鎖線)で表す。以降、光照射デバイス2をカテーテル1に挿入した状態において、互いの中心を通る軸は軸線Oに一致するものとして説明するが、挿入状態における両者の中心を通る軸は、それぞれ相違していてもよい。また、図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。X軸はカテーテル1及び光照射デバイス2の軸線方向に対応し、Y軸はカテーテル1及び光照射デバイス2の高さ方向に対応し、Z軸はカテーテル1及び光照射デバイス2の幅方向に対応する。図1の左側(−X軸方向)をカテーテル1、光照射デバイス2、及び各構成部材の「先端側」と呼び、図1の右側(+X軸方向)をカテーテル1、光照射デバイス2、及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。また、カテーテル1、光照射デバイス2、及び各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端」と呼び、先端及びその近傍を「先端部」と呼ぶ。また、基端側に位置する端部を「基端」と呼び、基端及びその近傍を「基端部」と呼ぶ。先端側は、生体内部へ挿入される「遠位側」に相当し、基端側は、医師等の術者により操作される「近位側」に相当する。これらの点は、図1以降の全体構成を示す図においても共通する。
カテーテル1は、長尺管形状であり、シャフト110と、先端チップ120と、コネクタ140とを備えている。シャフト110は、軸線Oに沿って延びる長尺状の部材である。シャフト110は、先端部110dと基端部110pとの両端部が開口した中空の略円筒形状である。シャフト110は、内部にルーメン110Lを有する。ルーメン110Lは、カテーテル1のデリバリ時には、カテーテル1に対してガイドワイヤを挿通させるためのガイドワイヤルーメンとして機能する。ルーメン110Lは、カテーテル1のデリバリ後においては、カテーテル1に対して光照射デバイス2を挿通させるためのデバイス用ルーメンとして機能する。このように、ガイドワイヤルーメンとデバイス用ルーメンとを単一のルーメンで兼用することにより、カテーテル1を細径化できる。シャフト110の外径、内径及び長さは任意に決定できる。
図2は、図1のA−A線における断面構成を例示した説明図である。先端チップ120は、シャフト110の先端部に接合されて、他の部材よりも先行して生体管腔内を進行する部材である。図1に示すように、先端チップ120は、カテーテル1の生体管腔内での進行をスムーズにするために、基端側から先端側にかけて縮径した外側形状を有している。また、図2に示すように、先端チップ120の略中央部分には、軸線O方向に先端チップ120を貫通する貫通孔120hが形成されている。ここで、貫通孔120hの径Φ1は、シャフト110のルーメン110Lの径Φ2よりも小さい。このため、図1に示すように、シャフト110と先端チップ120との境界では、先端チップ120の内表面120iが突出することによる段差が形成されている。先端チップ120の開口120oは、貫通孔120hに通じており、カテーテル1に対してガイドワイヤ(図示省略)を挿通する際に使用される。先端チップ120の外径及び長さは任意に決定できる。
コネクタ140は、カテーテル1の基端側に配置され、術者によって把持される部材である。コネクタ140は、略円筒形状の接続部141と、一対の羽根142とを備えている。接続部141の先端部には、シャフト110の基端部110pが接合され、基端部には、羽根142が接合されている。羽根142は、コネクタ140と一体的な構造であってもよい。コネクタ140の開口140oは、コネクタ140の内部を介してルーメン110Lに通じており、カテーテル1に対してガイドワイヤまたは光照射デバイス2を挿通する際に使用される。接続部141の外径、内径及び長さと、羽根142の形状とは、任意に決定できる。
図3は、図1のB−B線における断面構成を例示した説明図である。カテーテル1のシャフト110には、さらに、光透過部139と、第1マーカー部131,132が設けられている。光透過部139は、シャフト110の内部の光を、外部に透過させる。図1及び図3に示すように、光透過部139は、中空の略円筒形状の部材であり、シャフト110の外径と略同一の外径を有し、シャフト110のルーメン110Lの径Φ2と略同一の内径を有している。換言すれば、光透過部139は、周方向の全体に設けられ、周方向の全体においてシャフト110の内部の光を外部に透過させる。光透過部139は、基端側と先端側とにおいて、それぞれシャフト110に接合されている。光透過部139は、光透過性を有する透明な樹脂材料、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等により形成できる。
第1マーカー部131,132は、光透過部139の位置を表す目印として機能する。第1マーカー部131は、光透過部139の先端部に近接して設けられており、光透過部139の先端部の位置を表す目印として機能する。第1マーカー部132は、光透過部139の基端部に近接して設けられており、光透過部139の基端部の位置を表す目印として機能する。第1マーカー部131,132は、それぞれ、中空の略円筒形状の部材である。図1の例では、第1マーカー部131,132は、それぞれ、シャフト110の外表面に形成された凹部に配置され、シャフト110の外表面に接合されている。換言すれば、第1マーカー部131,132は、それぞれ、シャフト110の周方向を取り囲むようにして、シャフト110の外表面に埋設されている。なお、第1マーカー部131,132は、凹部のないシャフト110の外表面に接合されることにより、シャフト110の外表面から突出して設けられてもよい。第1マーカー部131,132の少なくとも一方は、省略されてもよい。
図4は、図1のC−C線における断面構成を例示した説明図である。カテーテル1のシャフト110の内表面には、さらに、第1係合部190が設けられている。本実施形態の第1係合部190は、シャフト110の内表面において、離間して設けられた4つの凹部191〜194である。図示の横断面における凹部191〜194は、それぞれ、シャフト110の内表面を略矩形形状に切り欠いた形状とされている。また、カテーテル1の上面視(図1の+Y軸方向からの視点)における凹部191の形状は、略矩形形状である。カテーテル1の側面視における凹部192,194の形状、及び、カテーテル1の下面視における凹部193の形状についても同様に、略矩形形状である。なお、凹部191〜194の大きさ、横断面形状、及び、上面/側面/下面の各視点における各形状は、略円形形状、略楕円形形状、略多角形形状等、任意に決定できる。凹部191と凹部193とは、垂直方向に対向する位置に配置されており、凹部192と凹部194とは、水平方向に対向する位置に配置されている。
図1に示すように、第1係合部190の凹部191〜194は、カテーテル1の先端側、かつ、光透過部139及び第1マーカー部132よりも基端側の位置に設けられている。凹部191〜194が設けられている軸線O方向(X軸方向)の位置は、略同一である。なお、凹部191〜194が設けられている軸線O方向の位置は、それぞれ相違していてもよい。
光照射デバイス2は、長尺状であり、シャフト210と、先端チップ220と、コネクタ240とを備えている。シャフト210は、軸線Oに沿って延びる長尺状の部材である。シャフト210は、先端部が閉塞し、基端部が開口した有底筒形状である。シャフト210は、内部にルーメン210Lを有する。ルーメン210Lには、光ファイバー250が挿入され、固定されている。光ファイバー250の基端部には、コネクタ(図示省略)を介して、任意の波長のレーザ光を発生するレーザ光発生装置3に、直接的に接続、あるいは他の光ファイバーを介して間接的に接続されている。光ファイバー250の先端部では、光ファイバーからクラッド及び被覆が除去されて、コアが露出した状態とされている。
先端チップ220は、シャフト210の先端部に接合されて、他の部材よりも先行してカテーテル1のルーメン110Lを進行する部材である。図1に示すように、先端チップ220は、略円柱形状であり、シャフト210の外径Φ3と略同一の径を有している。ここで、光照射デバイス2のうち、シャフト210と先端チップ220との外径Φ3は、シャフト110のルーメン110Lの径Φ2よりも小さく、先端チップ120の貫通孔120hの径Φ1よりも大きくされることが好ましい(Φ1<Φ3<Φ2)。コネクタ240は、光照射デバイス2の基端側に配置され、術者によって把持される部材である。コネクタ240は、略円筒形状の接続部241と、一対の羽根242とを備えている。接続部241の先端部には、シャフト210の基端部が接合され、基端部には、羽根242が接合されている。羽根242は、コネクタ240と一体的な構造であってもよい。
図5は、図1のD−D線における断面構成を例示した説明図である。光照射デバイス2のシャフト210には、さらに、光照射部239と、第2マーカー部231,232が設けられている。光照射部239は、光ファイバー250の先端部において露出したコアからの出射光LTを、光照射デバイス2の側面の一方向(図5:白抜き矢印)に、外部へと照射する。図5に示すように、光照射部239は、光ファイバー250のコアの先端を覆い、かつ、シャフト210の側面の一部分に露出して設けられた樹脂体である。光照射部239は、例えば、石英微粉末を分散させたアクリル系紫外線硬化樹脂に塗布し、紫外光で硬化させることにより形成できる。なお、光照射部239は、他の態様により実現されてもよく、例えば、樹脂体に代えて、光反射ミラーにより実現されてもよい。また、光ファイバー250の先端部において露出させたコアに対して、周知の加工(例えば、先端面を斜めにカットする加工、刻み目を形成する加工、サンドブラスト加工、化学的処理)を施すことによって、光ファイバー250の一部分に光照射部239が形成されてもよい。
レーザ光発生装置3によって発生されたレーザ光LTは、光ファイバーのコアを介して光ファイバー250の基端側から先端側へと伝達され、先端部において露出されたコアから、光照射部239を介して、光照射デバイス2の側面の一方向(図5:白抜き矢印)から外部へと照射される。
第2マーカー部231,232は、光照射部239の位置を表す目印として機能する。第2マーカー部231は、光照射部239の先端部に近接して設けられており、光照射部239の先端部の位置を表す目印として機能する。第2マーカー部232は、光照射部239の基端部に近接して設けられており、光照射部239の基端部の位置を表す目印として機能する。第2マーカー部231,232は、それぞれ、中空の略円筒形状の部材である。図1の例では、第2マーカー部231,232は、それぞれ、シャフト210の外表面に形成された凹部に配置され、シャフト210の外表面に接合されている。換言すれば、第2マーカー部231,232は、それぞれ、シャフト210の周方向を取り囲むようにして、シャフト210の外表面に埋設されている。なお、第2マーカー部231,232は、凹部のないシャフト210の外表面に接合されることにより、シャフト210の外表面から突出して設けられてもよい。第2マーカー部231,232の少なくとも一方は、省略されてもよい。
図6は、図1のE−E線における断面構成を例示した説明図である。図6の上段には、伸張状態の第2係合部290を図示し、図6の下段には、収縮状態の第2係合部290を図示する。光照射デバイス2のシャフト210の外表面には、さらに、第2係合部290が設けられている。本実施形態の第2係合部290は、シャフト210の外表面において、離間して設けられた4つの凸部291〜294である。
図示の横断面における凸部291は、カテーテル1の凹部191よりも小さな略矩形形状である。また、光照射デバイス2の上面視(図1の+Y軸方向からの視点)における凸部291の形状は、カテーテル1の凹部191よりも小さな略矩形形状である。図6上段に示すように、シャフト210の外表面には、凸部291を収容可能な大きさ及び形状の切欠き210nが形成されている。また、切欠き210nの底面と、凸部291との間には、弾性体291eが配置されている。凸部291は、弾性体291eによって切欠き210nの底面に固定されている。このような構成によって、凸部291は、図6上段に示す黒矢印の方向に伸縮可能に形成されている。すなわち、外部からの押圧を受けた際、凸部291は、図6下段に示すように、弾性体291eの収縮によって切欠き210n内に収容される。また、外部からの押圧が解除された際、凸部291は、図6上段に示すように、弾性体291eの伸張によって切欠き210nから突出する。他の凸部292〜294についても、それぞれ凸部291と同様に、伸縮可能に形成されている。
なお、凸部291〜294の大きさは、凹部191〜194よりも小さい限りにおいて任意に決定できる。また、凸部291〜294の横断面形状、及び、上面/側面/下面の各視点における各形状は、略円形形状、略楕円形形状、略多角形形状等、任意に決定でき、凹部191〜194と同一形状であってもよく、相違した形状であってもよい。凸部291と凸部293とは、垂直方向に対向する位置に配置されており、凸部292と凸部293とは、水平方向に対向する位置に配置されている。凸部291〜294が伸張状態(図6上段)における凸部292と凸部293との間の長さ、及び、凸部291と凸部293との間の長さΦ4は、シャフト110のルーメン110Lの径Φ2よりも大きい。また、凸部291〜294が収縮状態(図6下段)における凸部292と凸部293との間の長さ、及び、凸部291と凸部293との間の長さΦ3は、シャフト110のルーメン110Lの径Φ2よりも小さい(Φ3<Φ2<Φ4)。
図1に示すように、第2係合部290の凸部291〜294は、光照射デバイス2の先端側、かつ、光照射部239及び第2マーカー部232の基端側の位置に設けられている。凸部291〜294が設けられている軸線O方向(X軸方向)の位置は、図5において後述する光照射デバイス2の挿入状態において、カテーテル1の凹部191〜194に対応する位置である。
カテーテル1の第1マーカー部131,132と、光照射デバイス2の第2マーカー部231,232とは、放射線不透過性を有する樹脂材料や金属材料により形成できる。例えば、樹脂材料を用いる場合、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等に対して、三酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等の放射線不透過材料を混ぜて形成できる。例えば、金属材料を用いる場合、放射線不透過材料である金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金)等で形成できる。
カテーテル1のシャフト110と、光照射デバイス2のシャフト210とは、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成することができる。樹脂材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等を採用できる。金属材料としては、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン鋼等を採用できる。また、シャフト110と、シャフト210とは、上述した材料を複数組み合わせた接合構造体とすることもできる。カテーテル1の先端チップ120と、光照射デバイス2の先端チップ220とは、柔軟性を有することが好ましく、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等の樹脂材料により形成できる。カテーテル1のコネクタ140と、光照射デバイス2のコネクタ240とは、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルサルフォン等の樹脂材料で形成することができる。
光照射デバイス2の凸部291〜294は、シャフト210において例示したと同様に、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成することができる。凸部291〜294の材料と、シャフト210の材料とは、同一でもよく、異なっていてもよい。光照射デバイス2の弾性体291e〜294eは、金属製のばね、コイル体、樹脂製のゴム、スポンジ等により形成できる。
図7は、光照射システムの使用状態を例示した説明図である。図7の上段には、カテーテル1に光照射デバイス2を挿入した様子を図示する。図7の下段には、先端側の一部分を拡大した様子を図示する。図1及び図7を参照しつつ、光照射システムの使用方法について説明する。まず、術者は、生体管腔内にガイドワイヤを挿入する。次に、術者は、ガイドワイヤの基端側を、図1に示すカテーテル1の先端チップ120の開口120oから、ルーメン110Lへと挿通し、コネクタ140の開口140oから突出させる。次に、術者は、ガイドワイヤに沿わせてカテーテル1を生体管腔内に押し進め、カテーテル1の光透過部139を、光照射の目的部位(例えば、NIR−PITの場合はがん細胞の付近)までデリバリする。このように、カテーテル1の先端チップ120に形成された貫通孔120hからガイドワイヤを挿通することによって、術者は、カテーテル1を生体管腔内の目的部位まで容易にデリバリできる。なお、デリバリの際、術者は、X線画像において、光透過部139の近傍に配置された第1マーカー部131,132の位置を確認しつつ、生体管腔内におけるカテーテル1の位置決めをすることができる。その後、術者は、カテーテル1からガイドワイヤを抜去する。
次に、術者は、図7に示すように、カテーテル1のコネクタ140の開口140oから、光照射デバイス2を挿入する。このとき、光照射デバイス2の第2係合部290の凸部291〜294はそれぞれ、カテーテル1のルーメン110Lによる押圧を受けて、図6下段に示す収縮状態である。術者は、カテーテル1のルーメン110Lに沿わせて、光照射デバイス2をカテーテル1の先端側へと押し進める。光照射デバイス2の第2係合部290が、軸線O方向(X軸方向)において、カテーテル1の第1係合部190の位置まで到達した際、第1係合部190の凹部191〜194によって、第2係合部290の凸部291〜294への押圧が解除される。この結果、図7下段の黒矢印に示すように、第2係合部290の凸部291〜294は、それぞれ、弾性体291e〜294eの伸張によって切欠き210nから突出し、第1係合部190の凹部191〜194に係合する(嵌り込む)。
ここで、上述の通り、カテーテル1の第1係合部190の凹部191〜194、及び、光照射デバイス2の第2係合部290の凸部291〜294は、周方向の一部分において、それぞれ離間して設けられている。また、伸張状態の第2係合部290の径Φ4(図6)は、シャフト110のルーメン110Lの径Φ2よりも大きい。このため、図7に示す第1係合部190と第2係合部290との係合状態において、カテーテル1と光照射デバイス2とは、軸線O方向(X軸方向)及び周方向(YZ軸方向)において、相対的な移動が規制されている。
また、第1係合部190と第2係合部290との係合状態において、カテーテル1の光透過部139と、光照射デバイス2の光照射部239とは、軸線O方向(X軸方向)及び周方向(YZ軸方向)における位置が合った状態、換言すれば、カテーテル1において光透過部139が形成されている範囲と、光照射デバイス2において光照射部239が形成されている範囲とが重複した状態とされている(図7下段)。これにより、光ファイバー250を介して伝達され、光照射部239から射出されたレーザ光LTを、カテーテル1の光透過部139を透過させて、外部の生体組織へと射出することができる。このように、術者は、カテーテル1の第1係合部190と、光照射デバイス2の第2係合部290とを係合させることで、簡単に、光透過部139と光照射部239の位置合わせを行うことができる。
なお、光照射デバイス2の外径Φ3を、カテーテル1のルーメン110Lの径Φ2よりも小さく、先端チップ120の貫通孔120hの径Φ1よりも大きくしておけば、カテーテル1に光照射デバイス2を挿入した際に、光照射デバイス2の先端面220eが、先端チップ120の内表面120iに突き当たることによって、光照射デバイス2の先端側への抜けを抑制できる(図7下段:破線丸枠)。
以上説明した通り、第1実施形態の光照射システムによれば、カテーテル1は、シャフト110の内表面に設けられた第1係合部190を備える。また、光照射デバイス2は、シャフト210の外表面に設けられた第2係合部290であって、カテーテル1の光透過部139と光照射デバイス2の光照射部239との周方向(YZ軸方向)における位置を合わせた状態で、カテーテル1に対する光照射デバイス2の周方向の移動を規制する第2係合部290を備える。このため、図7で説明した通り術者は、カテーテル1の第1係合部190(凹部191〜194)に対して、光照射デバイス2の第2係合部290(凸部291〜294)を係合させることで、簡単に、カテーテル1の光透過部139と、光照射デバイス2の光照射部239との周方向における位置を合わせ、かつ、カテーテル1と光照射デバイス2とを周方向において固定できる。この結果、本実施形態の光照射システムによれば、カテーテル1と光照射デバイス2とを個別に備える光照射システムにおいて、光透過部139と光照射部239との周方向におけるずれを抑制することができ、光照射の目的部位(例えば、NIR−PITの場合はがん細胞の付近)に対して、安定した光照射を行うことができる。
また、第1実施形態の光照射システムでは、第1係合部190と第2係合部290とは、第1係合部190が凹部191〜194であり、第2係合部290が凸部291〜294からなる凹凸係合構造であるため、第1係合部190と第2係合部290の位置関係及び機能を直感的に把握しやすくできる。また、第1係合部190と第2係合部290とを容易に形成できる。さらに、カテーテル1には、複数の凹部191〜194が形成されており、光照射デバイス2には、複数の凸部291〜294が形成されている。このため、複数個所の凹凸係合構造によって、カテーテル1と光照射デバイス2とを強固に固定できる。
さらに、第1実施形態の光照射システムでは、カテーテル1の先端側に第1係合部190としての凹部191〜194が形成され、光照射デバイス2の先端側に第2係合部290としての凸部291〜294が形成されている。このため、凹部191〜194と凸部291〜294とが係合することにより、カテーテル1に対する光照射デバイス2の周方向(YZ軸方向)の相対的な移動に加えてさらに、軸線O方向(X軸方向)の相対的な移動をも規制することができる。また、図6で説明した通り、凸部291〜294は押圧により伸縮可能に形成されているため、凸部291〜294を収縮状態(図6下段)とすることにより、凹部191〜194が形成されている位置までスムーズにデリバリできる。
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。図9は、図8のF−F線における断面構成を例示した説明図である。第2実施形態の光照射システムは、第1実施形態とは異なる構成のカテーテル1Aと、光照射デバイス2Aとを備えている。カテーテル1Aは、光透過部139に代えて光透過部139Aを備えている。図9に示すように、光透過部139Aは、円弧形状の板状部材であり、シャフト110の一部分に嵌め込まれて、シャフト110に接合されている。このため、第2実施形態の光透過部139Aは、周方向の一部分に設けられ、周方向の一部分においてシャフト110の内部の光を外部に透過させる。なお、光透過部139Aは、光透過部139と同様の材料により形成できる。
光照射デバイス2Aは、光照射部239に代えて光照射部239Aを備えている。図8に示すように、光照射部239Aは、シャフト210の外径と略同一の径を有する中実の略円柱状の部材である。光照射部239Aは、基端側と先端側とにおいて、それぞれシャフト210に接合されている。また、光照射部239Aの基端側の面は、光ファイバー250の露出したコアの先端を覆っている。このため、光照射デバイス2Aでは、レーザ光発生装置3によって発生されたレーザ光LTは、光照射部239Aを介して、光照射デバイス2Aの周方向の全体から外部へと照射される(図8)。
図10は、第2実施形態の光照射システムの使用状態を例示した説明図である。第2実施形態の光照射システムの使用方法は、第1実施形態と同様である。第2実施形態の光照射システムでは、図10に示すように、カテーテル1Aの光透過部139Aが、周方向の一部分に設けられている一方、光照射デバイス2Aの光照射部239Aが周方向の全体に設けられている。このような第2実施形態の光照射システムにおいても、第1実施形態と同様に、術者は、カテーテル1Aの第1係合部190と、光照射デバイス2Aの第2係合部290とを係合させることで、簡単に、光透過部139Aと光照射部239Aの位置合わせを行うことができる。
図11は、光透過部139と光照射部239との組み合わせを例示した説明図である。図11に示すように、第1実施形態で説明した光透過部139及び第2実施形態で説明した光透過部139Aと、第1実施形態で説明した光照射部239及び第2実施形態で説明した光照射部239Aとの組み合わせは任意に変更できる。すなわち、項番1に示すように、全周へと光を透過する光透過部139(図1)と、周方向の一部へと光を照射する光照射部239(図1)とを組み合わせた光照射システムを構成してもよい。また、項番2に示すように、周方向の一部へと光を透過する光透過部139A(図8)と、全周へと光を照射する光照射部239A(図8)とを組み合わせた光照射システムを構成してもよい。さらに、項番3に示すように、全周へと光を透過する光透過部139(図1)と、全周へと光を照射する光照射部239A(図8)とを組み合わせた光照射システムを構成してもよい。さらに、項番4に示すように、周方向の一部へと光を透過する光透過部139A(図8)と、周方向の一部へと光を照射する光照射部239(図1)とを組み合わせた光照射システムを構成してもよい。以上のような第2実施形態の光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。図12(A)は、第3実施形態のカテーテル1Bの先端側の上面図(図1の+Y軸方向から見た図)を表す。図12(B)は、第3実施形態の光照射デバイス2Bの先端側の上面図を表す。
図12(A)に示すカテーテル1Bは、第1係合部190に代えて第1係合部190Bを備えている。破線で図示するように、第1係合部190Bは、シャフト110の内表面を軸線O方向(X軸方向)に延びる溝形状に切り欠いて形成された凹部191Bである。凹部191Bは、カテーテル1Bの先端側、かつ、光透過部139及び第1マーカー部132よりも基端側の位置から、シャフト110の基端部までの範囲に形成されている。図12(B)に示す光照射デバイス2Bは、第2係合部290に代えて第2係合部290Bを備えている。第2係合部290Bは、シャフト210の外表面を軸線O方向に延びる棒状に隆起させることで形成された凸部291Bである。凸部291Bは、図6で説明した第1実施形態とは異なり、押圧により伸縮可能に形成されていない。凸部291Bは、光照射デバイス2Bの先端側、かつ、光照射部239及び第2マーカー部232よりも基端側の位置から、シャフト210の基端部までの範囲に形成されている。
図13は、第3実施形態の光照射システムの使用状態を例示した説明図である。図13の上段には、カテーテル1Bに光照射デバイス2Bを挿入する途中の様子を図示する。図13の下段には、カテーテル1Bに光照射デバイス2Bを挿入後の様子を図示する。なお、図13では、カテーテル1Bに挿入された光照射デバイス2Bを破線で表す。
ガイドワイヤを用いてカテーテル1Bをデリバリし、カテーテル1Bからガイドワイヤを抜去した後、術者は、図13上段に示すように、カテーテル1Bのコネクタ140から、光照射デバイス2Bを挿入する。このとき、術者は、周方向(YZ軸方向)におけるカテーテル1Bの第1係合部190Bの位置と、光照射デバイス2Bの第2係合部290Bの位置とを合わせた(一致させた)状態で、カテーテル1Bに光照射デバイス2Bを挿入する。その後、術者は、図13上段に示すように、光照射デバイス2Bをカテーテル1Bの先端側へと押し進める。すると、軸線O方向(X軸方向)に延びた溝形状の凹部191Bがレールのように機能することで、カテーテル1Bの凹部191Bに沿って、光照射デバイス2Bの凸部291Bを軸線O方向へと容易に押し進めることができる。
軸線O方向(X軸方向)において、光照射デバイス2Bの凸部291Bの先端部が、カテーテル1Bの凹部191Bの先端部の位置まで到達した際、図13下段に示すように、凸部291Bの先端部が凹部191Bの先端部に突き当たることによって、光照射デバイス2Bの先端側への移動が規制される。ここで、上述の通り、カテーテル1Bの第1係合部190Bの凹部191B、及び、光照射デバイス2Bの第2係合部290Bの凸部291Bは、周方向の一部分に設けられている。このため、図13下段に示す第1係合部190Bと第2係合部290Bとの係合状態において、カテーテル1Bと光照射デバイス2Bとは、周方向(YZ軸方向)の相対的な移動が規制されている。一方、カテーテル1Bの第1係合部190Bの凹部191Bは、シャフト110の基端部まで延びているため、図13下段に示す第1係合部190Bと第2係合部290Bとの係合状態においても、カテーテル1Bと光照射デバイス2Bとは、軸線O方向の相対的な移動が可能である。
このように、カテーテル1Bの第1係合部190Bは、軸線O方向(X軸方向)に延びる溝形状の凹部191Bであってもよい。このようなカテーテル1Bと組み合わせて使用される光照射デバイス2Bは、第3実施形態で説明した軸線O方向に延びる棒状の凸部291Bを備える光照射デバイス2Bであってもよく、第1実施形態で説明した光照射デバイス2であってもよい。第3実施形態では、カテーテル1Bは1つの凹部191Bを備え、光照射デバイス2Bは1つの凸部291Bを備える場合を例示したが、凹部191Bや、凸部291Bは複数設けられていてもよい。以上のような第3実施形態の光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態の光照射システムによれば、溝形状の凹部191Bと凸部291Bとが係合することにより、カテーテル1Bに対する光照射デバイス2Bの周方向(YZ軸方向)の相対的な移動を規制する一方で、軸線O方向の相対的な移動は許容することができる。また、凹部191Bは軸線O方向に延びた溝形状であるため、凸部291Bを伸縮可能な構成とする必要がなく、凸部291Bを簡単に形成できる。
<第4実施形態>
図14は、第4実施形態のカテーテル1C及び光照射デバイス2Cの断面構成を例示した説明図である。図14(A)は、カテーテル1CのC−C線(図1)における断面構成を表す。図14(B)は、光照射デバイス2CのE−E線(図1)における断面構成を表す。図14(A)に示すように、カテーテル1Cは、第1係合部190に代えて第1係合部190Cを備えている。第1係合部190Cは、シャフト110の内表面に設けられた1つの凹部191である。図14(B)に示すように、光照射デバイス2Cは、第2係合部290に代えて第2係合部290Cを備えている。第2係合部290Cは、シャフト210の外表面に設けられた1つの伸縮可能な凸部291である。ここで、凸部291が伸張状態における、凸部291と、凸部291の反対側に位置するシャフト210の外表面との間の長さΦ41は、シャフト110のルーメン110Lの径Φ2よりも大きい(Φ2<Φ41)。
このように、カテーテル1Cの第1係合部190Cの凹部191の数は、1つでもよく、2つ以上でもよく、任意の個数とすることができる。同様に、光照射デバイス2Cの第2係合部290Cの凸部291の数は、1つでもよく、2つ以上でもよく、任意の個数とすることができる。このような第4実施形態の光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。例えば、第1実施形態で説明したカテーテル1(第1係合部190として複数の凹部191〜194を備える構成)と、第4実施形態の光照射デバイス2C(第2係合部290Cとして1つの凸部291を備える構成)とを組み合わせて用いれば、所望の位置の凹部191〜194に対して、凸部291を係合させることで、所望の位置でカテーテル1と光照射デバイス2Cとを固定できる。例えば、第4実施形態のカテーテル1C(第1係合部190Cとして1つの凹部191を備える構成)と、第1実施形態で説明した光照射デバイス2C(第2係合部290として複数の凸部291〜294を備える構成)とを組み合わせて用いれば、所望の位置の凸部291〜294に対して凹部191を係合させることで、所望の位置でカテーテル1Cと光照射デバイス2とを固定できる。
<第5実施形態>
図15は、第5実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。第5実施形態の光照射システムは、第1実施形態とは異なる構成のカテーテル1Dと、第1実施形態と同様の構成を有する光照射デバイス2とを備えている。図15では、カテーテル1Dに対して光照射デバイス2を挿入した様子を図示している。カテーテル1Dは、第1実施形態で説明した各構成に加えてさらに、温度センサ180を備えている。温度センサ180は、二種類の異なる金属導体を含んでおり、光透過部139の近傍における温度を測定する。温度センサ180は、光透過部139と、シャフト110との内部に埋設されている。温度センサ180の先端側は、光透過部139の内部に配置されており、基端側は、図示しない温度計に接続されている。なお、温度センサ180の先端側の少なくとも一部分は、光透過部139又はシャフト110の外表面から突出していていもよい。温度センサ180は、カテーテル1Dと、光照射デバイス2との少なくとも一方に設けられていてもよく、両方に設けられていてもよい。
このように、カテーテル1D及び光照射デバイス2は、上述しない種々の構成を備えることができる。以上のような第5実施形態の光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第5実施形態の光照射システムでは、少なくとも光透過部139の近傍における温度を測定する温度センサ180を備えるため、光照射による生体組織の温度変化をリアルタイムに観測できるため、光照射による血液の凝固や、生体組織損傷の抑制に寄与できる。
<第6実施形態>
図16は、第6実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。第6実施形態の光照射システムは、第1実施形態とは異なる構成のカテーテル1E及び光照射デバイス2Eを備えている。カテーテル1Eは、第1係合部190に代えて第1係合部190Eを備えている。第1係合部190Eは、カテーテル1Eの先端側、かつ、光透過部139及び第1マーカー部131よりも先端側の位置に設けられた凹部191E〜194Eである。なお、凹部191E〜194Eの設置位置を除く各構成は、第1実施形態と同様である。光照射デバイス2Eは、第2係合部290に代えて第2係合部290Eを備えている。第2係合部290Eは、光照射デバイス2Eの先端側、かつ、光照射部239及び第2マーカー部231よりも先端側の位置に設けられた凸部291E〜294Eである。本実施形態の凸部291E〜294Eは、シャフト210ではなく、先端チップ220Eの外表面に設けられている。凸部291E〜294Eの設置位置を除く各構成は、第1実施形態と同様である。
このように、カテーテル1Eにおいて第1係合部190E(凹部191E〜194E)が設けられる位置、及び、光照射デバイス2Eにおいて第2係合部290E(凸部291E〜294E)が設けられる位置、については任意に変更することができる。図示のように、全ての凹部191E〜194Eが光透過部139よりも先端側に設けられてもよく、全ての凸部291E〜294Eが光照射部239よりも先端側に設けられてもよい。また、例えば、凹部191E,193Eが光透過部139よりも先端側に設けられ、凹部192E,194Eが光透過部139よりも基端側に設けられる等、凹部191E〜194Eの軸線O方向(X軸方向)における配置が、それぞれ異なっていてもよい。光照射デバイス2Eの凸部291E〜294Eについても同様に、軸線O方向における配置が、それぞれ異なっていてもよい。以上のような第6実施形態の光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第7実施形態>
図17は、第7実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。第7実施形態の光照射システムは、第1実施形態とは異なる構成のカテーテル1F及び光照射デバイス2Fを備えている。カテーテル1Fは、第1係合部190に代えて第1係合部190Fを備えている。第1係合部190Fは、シャフト110の内表面において、離間して設けられた4つの伸縮可能な凸部191F〜194Fである。凸部191F〜194Fの構成は、図6で説明した第1実施形態の光照射デバイス2の凸部291〜294と同様である。光照射デバイス2Fは、第2係合部290に代えて第2係合部290Fを備えている。第2係合部290Fは、シャフト210の外表面において、離間して設けられた4つの凹部291F〜294Fである。凹部291F〜294Fの構成は、図4で説明した第1実施形態のカテーテル1の凹部191〜194と同様である。
このように、カテーテル1Fの第1係合部190Fは、1つ以上の凸部191F〜194Fとして構成されてもよい。また、光照射デバイス2Fの第2係合部290Fは、1つ以上の凹部291F〜294Fとして構成されてもよい。以上のような第7実施形態の光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第8実施形態>
図18は、第8実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。第8実施形態の光照射システムは、第1実施形態とは異なる構成のカテーテル1G及び光照射デバイス2Gを備えている。カテーテル1Gは、光透過部139の目印としての第1マーカー部131,132を備えていない。光照射デバイス2Gは、光照射部239の目印としての第2マーカー部231,232を備えていない。図7で説明したように、第1係合部190と第2係合部290との係合状態において、カテーテル1Gの光透過部139と、光照射デバイス2Gの光照射部239とは、軸線O方向(X軸方向)及び周方向(YZ軸方向)における位置が合った状態とされる。このため、カテーテル1Gは第1マーカー部131,132を備えていなくてもよく、光照射デバイス2Gは第2マーカー部231,232を備えていなくてもよい。以上のような第8実施形態の光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第9実施形態>
図19は、第9実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。第9実施形態の光照射システムは、第1実施形態と同様の構成を有するカテーテル1と、第1実施形態とは異なる構成の光照射デバイス2Hとを備えている。光照射デバイス2Hは、第2係合部290に代えて第2係合部290Eを備えている。第2係合部290Eは、第1実施形態の凸部291〜294とは異なる形状の凸部291H〜294Hを有している。凸部291H〜294Hは、軸線Oを通る図示の断面において、基端側から先端側に向けて徐々に低くなる略三角形形状である。このような凸部291H〜294Hによれば、カテーテル1に光照射デバイス2Hを挿入する際に、第1係合部190の凹部191〜294に対する、第2係合部290Hの凸部291H〜294Hの引っ掛かりを無くすことができ、カテーテル1に光照射デバイス2Hをスムーズに挿入し、第1係合部190と第2係合部290Hとを係合状態とすることができる。また、第1係合部190と第2係合部290Hとの係合状態において、カテーテル1から光照射デバイス2Hを抜けづらくできる。
このように、光照射デバイス2Hの第2係合部290Hにおける、凸部291H〜294Hの形状は任意に定めることができ、軸線Oを通る断面における形状を、略三角形形状としてもよく、略半円形状としてもよく、略円形状としてもよく、略多角形形状としてもよい。同様に、カテーテル1の第1係合部190を凸部に構成した場合の、当該凸部の形状についても任意に定めることができる。以上のような第9実施形態の光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第10実施形態>
図20は、第10実施形態の光照射システムの構成を例示した説明図である。第10実施形態の光照射システムは、第1実施形態と同様の構成を有するカテーテル1と、第1実施形態とは異なる構成の光照射デバイス2Jとを備えている。光照射デバイス2Jは、第2係合部290に代えて第2係合部290Jを備えている。第2係合部290Jは、第1実施形態とは異なる構成により伸縮可能とされた凸部291J〜294Jである。凸部291Jは、弾性体の薄膜からなる中空かつ半球状の凸部部材を、シャフト210の外表面に接合することにより構成されている。凸部291Jが押圧を受けた際、凸部部材は、軸線O方向に撓みを生じることで、収縮する。一方、凸部291Jの押圧が解除された際、凸部部材は、元の形へと伸張する。第2係合部290Jの凸部292J〜294Jについても、凸部291Jと同様の構成を有している。
このように、光照射デバイス2Jの第2係合部290Jにおける、凸部291J〜294Jの構成は任意に定めることができ、図6で説明した切欠き210nや弾性体291eを用いずに、収縮可能に構成されてもよい。凸部291J〜294Jとしては、図20で説明した弾性体の薄膜からなる中空かつ半球状の凸部部材のほか、例えばスポンジのような収縮可能な多孔質体により構成されてもよい。同様に、カテーテル1の第1係合部190を凸部に構成した場合の、当該凸部の構成についても任意に定めることができる。以上のような第10実施形態の光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第11実施形態>
図21は、第11実施形態のカテーテル1Kの構成を例示した説明図である。図21に示すカテーテル1Kは、第1実施形態で説明した構成に加えてさらに、マーカー161を備えている。マーカー161は、第1マーカー部131よりも先端側に配置され、カテーテル1Kの先端を表す目印として機能する。マーカー161を設ければ、術者は、マーカー161及び第1マーカー部131の位置を確認しつつ、生体管腔内においてカテーテル1Kを進めることができる。また、マーカー161を設けることで、光照射デバイス2を挿入した際の、カテーテル1Kの位置ずれを抑制することもできる。なお、図示したマーカー161と第1マーカー部131とを統合してもよい。このような第11実施形態のカテーテル1Kを用いて構成された光照射システムによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
[変形例1]
上記第1〜11実施形態では、カテーテル1,1A〜1G,1K、及び、光照射デバイス2,2A〜2Jの構成の一例を示した。しかし、カテーテル1及び光照射デバイス2の構成は種々の変更が可能である。
例えば、カテーテル1のシャフト110、及び、光照射デバイス2のシャフト210には、編組体や、コイル体からなる補強層が埋設されていてもよい。このようにすれば、カテーテル1や光照射デバイス2のトルク伝達性や、形状保持性を向上できる。例えば、カテーテル1の外表面や、光照射デバイス2の外表面には、親水性又は疎水性の樹脂からなるコーティングが施されていてもよい。このようにすれば、生体管腔内におけるカテーテル1の滑り性を向上できる。また、カテーテル1のルーメン110L内における光照射デバイス2の滑り性を向上できる。また、ヘパリンなどの抗血栓性材料をカテーテル1の外表面や、光照射デバイス2の外表面にコーティングしてもよい。このようにすれば、出射光(レーザ光)LTの照射によるカテーテル1の内外面や、光照射デバイス2の外面への血栓付着によるレーザ出力の低下を抑制できる。
例えば、カテーテル1には、径方向(YZ方向)に拡張可能な拡張部を備えていてもよい。拡張部としては、例えば、柔軟性を有する薄膜からなるバルーンや、素線を網目状にしたメッシュ体を用いることができる。拡張部は、シャフト110において、光透過部139の先端側と、光透過部139の基端側と、の少なくとも一方に設けられ得る。このようにすれば、生体管腔内におけるカテーテル1の位置決めの後、拡張部を拡張することによって、生体管腔内においてカテーテル1を固定することができる。また、拡張部としてバルーンを用いれば、光照射箇所における血流を遮断することができるため、血流による光の遮断を抑制できる。
例えば、カテーテル1は、ルーメン110Lとは異なる複数のルーメンを有する、マルチルーメンカテーテルとして構成されていてもよい。同様に、光照射デバイス2は、光ファイバー250が挿通されたルーメン210Lとは異なる別途のルーメンを有する、マルチルーメンカテーテルとして構成されていてもよい。この場合、シャフト210を中空の略円筒形状の部材で構成し、かつ、先端チップ220に軸線O方向に沿って延びる貫通孔を設けることができる。
例えば、カテーテル1の先端チップ120の内表面と、光照射デバイス2の先端チップ220の外表面とを磁性体によって構成し、互いに引き寄せあう構成としてもよい。このようにすれば、図7に示すように、カテーテル1に光照射デバイス2を挿入し、先端チップ220を先端チップ120に押し当てた状態を容易に維持できる。例えば、カテーテル1の先端チップ120を省略し、シャフト110の先端側が開放した構成を採用してもよい。この場合であっても、カテーテル1の第1係合部190と、光照射デバイス2の第2係合部290とが係合することによって、光照射デバイス2のカテーテル1からの抜けを抑制することができる。
[変形例2]
上記第1〜11実施形態では、第1係合部190,190B,C,E,F、及び、第2係合部290,290B,C,E,F,H,Jの構成の一例を示した。しかし、第1係合部190及び第2係合部290の構成は種々の変更が可能である。例えば、第1係合部190として凹部及び凸部を設け、第2係合部290として第1係合部190の凹部に係合する凸部と、第1係合部190の凸部に係合する凹部とを設けてもよい。例えば、第1係合部190としてシャフト110の内表面に雌ねじ構造を設け、第2係合部290としてシャフト210の外表面に雄ねじ構造を設けてもよい。
[変形例3]
上記第1〜11実施形態では、139,139A、及び、光照射部239,239Aの構成の一例を示した。しかし、光透過部139及び光照射部239の構成は種々の変更が可能である。例えば、光透過部139を、放射線不透過性を有する材料により構成することで、光透過部139と、第1マーカー部131,132とを一体に構成してもよい。同様に、光照射部239を、放射線不透過性を有する材料により構成することで、光照射部239と、第2マーカー部231,232とを一体に構成してもよい。
例えば、光透過部139は、シャフト110の一部分を薄肉化することにより形成されていてもよい。例えば、光透過部139と、光照射部239との少なくとも一方を、シャフト110又はシャフト210に形成された切欠き(シャフトの内外を連通する貫通孔)として形成してもよい。このようにすれば、光透過部139と光照射部239とを簡単に形成できる。
例えば、光透過部139が設けられる軸線O方向(X軸方向)の範囲や周方向(YZ軸方向)の範囲、光照射部239が設けられる軸線O方向の範囲や周方向の範囲、については任意に変更できる。具体的には、例えば、光透過部139を軸線O方向の広範囲に設けた上で、先端側の第1地点と、基端側の第2地点と、第1及び第2地点の中央の第3地点等に対応した複数箇所の第1係合部190(凹部又は凸部)をカテーテル1に備える構成としてもよい。
例えば、カテーテル1には、さらに、光透過部139の先端側や、光透過部139の基端側等、任意の位置に配置された別途のマーカー部を備えていてもよい。例えば、光照射デバイス2には、さらに、光照射部239の先端側や、光照射部239の基端側等、任意の位置に配置された別途のマーカー部を備えていてもよい。カテーテル1や、光照射デバイス2のマーカー部の形状は任意に定めることができ、周方向(YZ方向)の全体又は一部分に延びる形状でもよく、軸線O方向(X軸方向)に延びる形状でもよく、シャフトの周囲を取り囲む形状でもよい。また、カテーテル1の先端チップ120や、光照射デバイス2の先端チップ220がマーカー部として構成されていてもよい。
例えば、光ファイバー250の先端面を斜めにカットして、この先端面を光照射部239として構成してもよい。例えば、光ファイバー250の切断面(軸線O方向に垂直に設けられた切断面)に対して、傾斜して設置された光反射ミラーを設け、これを光照射部239としてもよい。例えば、光ファイバー250は、シャフト210に内挿されておらず、シャフト210の外表面に接合されていてもよい。例えば、シャフト210は、ルーメン210Lを有しておらず、光ファイバー250の外表面に接触し、かつ、光ファイバー250の外表面を覆う態様でシャフト210が設けられていてもよい。
[変形例4]
第1〜11実施形態のカテーテル1,1A〜1G,1K、及び、光照射デバイス2,2A〜2Jの構成、及び上記変形例1〜3のカテーテル1,1A〜1G、及び、光照射デバイス2,2A〜2Jの構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態(図11)で説明した、光透過部139及び光照射部239の種々の組み合わせを採用したカテーテル1及び光照射デバイス2において、第3,4,6,7,9,10の各実施形態で説明した第1係合部190や、第2係合部290を備える構成としてもよく、第5実施形態で説明した温度センサ180を備える構成としてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
1,1A〜1G,1K…カテーテル
2,2A〜2J…光照射デバイス
3…レーザ光発生装置
110…シャフト
120…先端チップ
131,132…第1マーカー部
139,139A…光透過部
140…コネクタ
141…接続部
142…羽根
161…マーカー
180…温度センサ
190,190B,C,E,F…第1係合部
191,191B,E,F…凸部
192,192E…凹部
193,194…凹部
210…シャフト
220,220E…先端チップ
231,232…第2マーカー部
239,239A…光照射部
240…コネクタ
241…接続部
242…羽根
250…光ファイバー
290,290B,C,E,F,H,J…第2係合部
291,291B,E,F,H,J…凸部
291e…弾性体
292,292J…凸部
293…凸部

Claims (9)

  1. 医療用の光照射システムであって、
    長尺管形状のカテーテルと、
    前記カテーテルに挿入して使用される長尺状の光照射デバイスと、
    を備え、
    前記カテーテルは、
    先端側の側面の少なくとも一部分に設けられ、管の内部の光を外部に透過させる光透過部と、
    前記カテーテルの内表面に設けられた第1係合部と、を有し、
    前記光照射デバイスは、
    先端側の側面の少なくとも一部分に設けられ、外部へと光を照射する光照射部と、
    前記光照射デバイスの外表面に設けられた第2係合部であって、前記第1係合部と係合することで、前記光透過部と前記光照射部との周方向における位置を合わせた状態で、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの周方向の移動を規制する第2係合部と、を有する、光照射システム。
  2. 請求項1に記載の光照射システムであって、
    前記第1係合部と前記第2係合部とは、一方が凹部、他方が凸部での凹凸係合構造である、光照射システム。
  3. 請求項2に記載の光照射システムであって、
    前記凹部は、前記カテーテルまたは前記光照射デバイスの一方の先端側に形成され、
    前記凸部は、前記カテーテルまたは前記光照射デバイスの他方の先端側において、押圧により伸縮可能に形成され、
    伸張した前記凸部が前記凹部に係合することで、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの周方向の相対的な移動を規制すると共に、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの軸線方向の相対的な移動を規制する、光照射システム。
  4. 請求項2に記載の光照射システムであって、
    前記凹部は、軸線方向に延びた溝形状であり、
    前記凸部が前記凹部に係合することで、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの周方向の相対的な移動を規制しつつ、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの軸線方向の相対的な移動を許容する、光照射システム。
  5. 請求項3または請求項4に記載の光照射システムであって、
    前記カテーテルまたは前記光照射デバイスの一方には、前記凹部が複数形成されている、光照射システム。
  6. 請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光照射システムであって、
    前記カテーテルまたは前記光照射デバイスの他方には、前記凸部が複数形成されている、光照射システム。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光照射システムであって、
    前記カテーテルは、さらに、少なくとも前記光透過部の近傍における温度を測定する温度センサを備える、光照射システム。
  8. 長尺管形状のカテーテルであって、
    先端側の側面の少なくとも一部分に設けられ、管の内部の光を外部に透過させる光透過部と、
    前記カテーテルの内表面に設けられた第1係合部と、
    を備える、カテーテル。
  9. カテーテルに挿入して使用される長尺状の光照射デバイスであって、
    先端側の側面の少なくとも一部分に設けられ、外部へと光を照射する光照射部と、
    前記光照射デバイスの外表面に設けられ、前記カテーテルの内表面に係合することで、前記カテーテルに対する前記光照射デバイスの周方向の移動を規制する第2係合部と、
    を備える、光照射デバイス。
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