JP2021083661A - 光照射デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】生体管腔内に光を照射する光照射デバイスにおいて、生体組織の過熱を抑制しつつ、光の照射方向を制御する。【解決手段】光照射デバイスは、長尺状の外形を有する中空シャフトと、中空シャフトの先端側に設けられ、光透過性を有する拡縮可能なバルーンと、バルーンの内側に設けられ、バルーンの内周面に向けて光を照射する光照射部と、バルーンの外周面または内周面に設けられ、光照射部から照射された光を反射可能な光反射部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、光照射デバイスに関する。
がん治療においては、外科的、放射線的、薬物的(化学的)手法が単独で、あるいは併用されて用いられ、それぞれの技術が近年発展を遂げている。しかしながら、未だ満足のいく治療技術が見出されていないがんも多く存在し、さらなる治療技術の発展が期待されている。がん治療技術の1つとして、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的療法)と呼ばれる手法が知られている。PDTでは、光感受性物質を静脈投与後、光照射をすることで、がん細胞で活性酸素を発生させ、がん細胞を死滅させる(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、PDTは、光感受性物質のがん細胞への集積選択性が低く、正常細胞に取り込まれることによる副作用の大きさが課題となり、治療技術として広く普及していない。
そこで近年注目されている治療技術として、NIR−PIT(Near-infrared photoimmunotherapy:近赤外光線免疫療法)がある。NIR−PITでは、がん細胞の特異的な抗原に対する抗体と、光感受性物質(例えば、IRDye700DX)との2化合物を結合させた複合体を用いる。この複合体は、静脈投与されると、体内のがん細胞に選択的に集積する。その後、複合体中の光感受性物質の励起波長(例えば、690nm)の光を照射することで、複合体が活性化し、抗がん作用を示す(例えば、特許文献1参照)。NIR−PITでは、抗体によるがんへの集積選択性と、局部光照射によって、PDTと比較して副作用を減らすことができる。また、NIR−PITでは、例えば690nmという近赤外線領域での光照射(NIR照射)を行うため、NIR照射による免疫系への作用も期待できる(例えば、非特許文献2参照)。
上記において例示した690nmを含む所定の波長領域は、生体の分光学的窓とも呼ばれ、他の波長領域と比べて生体成分による光の吸収が少ない波長領域であるものの、体表からの光照射では光の浸透性が不足するため、体内深部のがんに適用できないという課題があった。そこで近年、体表からの光照射ではなく、よりがん細胞に近い位置で光照射を行うNIR−PITの研究がされている(例えば、非特許文献3参照)。一方、特許文献2〜特許文献4には、血管等の生体管腔内に挿入されて、癌、腫瘍、血栓といった病変部にレーザ光を照射することにより、病変部の焼灼を行うアブレーションデバイスが開示されている。また、特許文献5には、血圧等を測定可能なセンサ付きガイドワイヤが開示されている。
特表2014−523907号公報 特開2015−77168号公報 特開平11−332876号公報 特開2000−24001号公報 特開2014−42645号公報
Makoto Mitsunaga, Mikako Ogawa, Nobuyuki Kosaka Lauren T. Rosenblum, Peter L. Choyke, and Hisataka Kobayashi、Cancer Cell-Selective In Vivo Near Infrared Photoimmunotherapy Targeting Specific Membrane Molecules、Nature Medicine 2012 17(12): 、p.1685-1691 Kazuhide Sato, Noriko Sato, Biying Xu, Yuko Nakamura, Tadanobu Nagaya, Peter L. Choyke, Yoshinori Hasegawa, and Hisataka Kobayashi、Spatially selective depletion of tumor-associated regulatory T cells with near-infrared photoimmunotherapy、Science Translational Medicine 2016 Vol.8 Issue352、ra110 Shuhei Okuyama, Tadanobu Nagaya, Kazuhide Sato, Fusa Ogata, Yasuhiro Maruoka, Peter L. Choyke, and Hisataka Kobayashi、Interstitial near-infrared photoimmunotherapy: effective treatment areas and light doses needed for use with fiber optic diffusers、Oncotarget 2018 Feb 16; 9(13): 、p.11159-11169
ここで、PDTやNIR−PITにおいては、上述の通り、複合体を集積させたがん細胞に対して、複合体中の光感受性物質の励起波長の光を照射させることで、がん細胞を死滅させる。一方で、がん細胞以外の正常な細胞に対して光を照射することは、血液の凝固や、正常な細胞の損傷に繋がるため、避けることが好ましい。この点、特許文献3に記載のデバイスでは、形状記憶材料により形成されたカンチレバーをヒータにより加熱することで、レーザ光の照射方向を制御することができる。しかし、特許文献3に記載の技術では、ヒータにより血液が過熱され、血液の凝固が生じる虞があった。また、凝固(又は炭化)した血液によってレーザ光が遮蔽され、レーザ光が目的組織に到達しない虞があった。また、特許文献2及び特許文献4に記載のデバイスでは、レーザ光の照射方向を制御することについて何ら考慮されていない。特許文献5に記載のデバイスでは、生体組織にレーザ光を照射すること、及び、レーザ光の照射方向を制御することについて何ら考慮されていない。
なお、このような課題は、PDTやNIR−PITに限らず、体内において光を照射するプロセスを含む検査又は治療において使用されるデバイス全般に共通する。また、このような課題は、血管に挿入されるデバイスに限らず、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入されるデバイス全般に共通する。
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、生体管腔内に光を照射する光照射デバイスにおいて、生体組織の過熱を抑制しつつ、光の照射方向を制御することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、光照射デバイスが提供される。この光照射デバイスは、長尺状の外形を有する中空シャフトと、前記中空シャフトの先端側に設けられ、光透過性を有する拡縮可能なバルーンと、前記バルーンの内側に設けられ、前記バルーンの内周面に向けて光を照射する光照射部と、前記バルーンの外周面または内周面に設けられ、前記光照射部から照射された光を反射可能な光反射部と、を備える。
この構成によれば、光照射デバイスの光照射部は、光反射部が設けられたバルーンの内側に設けられており、バルーンの内周面に向けて光を照射する。このため、光照射部から照射された光を、光反射部で反射させることができる。また、光反射部が設けられたバルーンは拡縮可能であるため、バルーンの状態(すなわち、収縮状態、拡張状態、及び拡張の程度)を制御することにより、光を照射する光照射部と、光を反射する光反射部との位置関係を変更して、光の照射方向を制御できる。さらに、バルーンの拡張には、バルーンの内側に流体を満たす方法、自己拡張式のバルーンを用いる方法、及び操作用コアを用いてバルーンを拡張する方法のいずれを用いた場合であっても、形状記憶材料をヒータにより加熱する従来の方法と比較して余分な熱を生じることなく、血液過熱の虞を低減できる。この結果、本構成によれば、生体管腔内に光を照射する光照射デバイスにおいて、生体組織の過熱を抑制しつつ、光の照射方向を制御することができる。
(2)上記形態の光照射デバイスにおいて、前記光反射部は、平板状の金属製の素線を網目織りにしたメッシュ部材であってもよい。
この構成によれば、光反射部は、金属製の素線を網目織りにしたメッシュ部材であるため、バルーンの外周面または内周面に光反射部を均等に設けることができると共に、光反射部を容易に形成できる。また、平板状の素線を用いることにより、光が反射可能な範囲を広くできる。
(3)上記形態の光照射デバイスにおいて、前記光反射部は、少なくとも前記バルーンの基端側に設けられていてもよい。
この構成によれば、光反射部は、少なくともバルーンの基端側に設けられているため、バルーンの拡張時において、光照射部からの光の照射方向を先端側に向かう方向へと制御できる。
(4)上記形態の光照射デバイスにおいて、前記光反射部は、少なくとも前記バルーンの先端側に設けられていてもよい。
この構成によれば、光反射部は、少なくともバルーンの先端側に設けられているため、バルーンの拡張時において、光照射部からの光の照射方向を基端側に向かう方向へと制御できる。
(5)上記形態の光照射デバイスでは、さらに、前記中空シャフトの内側に設けられ、先端から光を照射する光ファイバを備え、前記光照射部は、前記光ファイバの先端に接合されると共に前記中空シャフトの先端から突出した位置に配置された散乱体であって、前記光ファイバからの光を散乱させる散乱体であってもよい。
この構成によれば、光照射部は、光ファイバからの光を散乱させる散乱体であるため、光照射部からの光の照射範囲を広げることができる。
(6)上記形態の光照射デバイスでは、さらに、流体が流通可能な流体ルーメンを有する可撓管体であって、前記流体ルーメンに連通する先端部の開口を前記バルーンの内側に位置させて、前記中空シャフトの内側に固定された可撓管体を備えていてもよい。
この構成によれば、可撓管体の流体ルーメンを介して流体を供給及び排出することにより、バルーンを拡張及び収縮できる。
(7)上記形態の光照射デバイスでは、さらに、前記光照射部の先端側に設けられたコアシャフトと、前記コアシャフトの外周面を覆うコイル体と、前記コアシャフトの先端部と、前記コイル体の先端部とが接合された先端接合部と、を備えていてもよい。
この構成によれば、光照射部の先端側に設けられたコアシャフトと、コイル体と、先端接合部とによって、光照射デバイスの先端部を柔軟に構成できる。この結果、光照射デバイスの安全性を向上できる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、光照射デバイスとしてのガイドワイヤ、光照射デバイスとしてのカテーテル、光照射システムとカテーテルとを備える光照射システム、及びこれらの製造方法などの形態で実現することができる。
第1実施形態の光照射デバイスの構成を例示した説明図である。 光照射デバイスの先端側の拡大図である。 図2のA−A線における断面構成を例示した説明図である。 バルーンの収縮時における光照射デバイスの使用状態を示す図である。 バルーンの拡張時における光照射デバイスの使用状態を示す図である。 第2実施形態の光照射デバイスの先端側の拡大図である。 第2実施形態の光照射デバイスの使用状態を示す図である。 第3実施形態の光照射デバイスの先端側の拡大図である。 第3実施形態の光照射デバイスの使用状態を示す図である。 第4実施形態の光照射デバイスの先端側の拡大図である。 第4実施形態の光照射デバイスの使用状態を示す図である。 第5実施形態の光照射デバイスの先端側の拡大図である。 第6実施形態の光照射デバイスの先端側の拡大図である。 第7実施形態の光照射デバイスの先端側の拡大図である。 第8実施形態の光照射デバイスの先端側の拡大図である。 第9実施形態の光照射デバイスの先端側の拡大図である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の光照射デバイス1の構成を例示した説明図である。光照射デバイス1は、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入して使用される。光照射システムは、生体管腔内から生体組織に向けて光を照射するデバイスであり、例えば、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的療法)や、NIR−PIT(Near-infrared photoimmunotherapy:近赤外光線免疫療法)において使用される。本実施形態の光照射デバイス1は、先端部にコイル体を備えるガイドワイヤとして構成されている。図1に示すように、光照射デバイス1は、先端から基端に向かって、先端部100と、中間部200と、基端部300と備えている。
図1では、光照射デバイス1の中心を通る軸を軸線O(一点鎖線)で表す。図1の例では、軸線Oは、光照射デバイス1及び各構成部材の各中心を通る軸と一致している。しかし、軸線Oは、光照射デバイス1及び各構成部材の各中心軸と相違していてもよい。図1には、相互に直交するXYZ軸を図示する。X軸は光照射デバイス1の長軸方向(軸線O方向)に対応し、Y軸は光照射デバイス1の高さ方向に対応し、Z軸は光照射デバイス1の幅方向に対応する。図1の左側(−X軸方向)を光照射デバイス1及び各構成部材の「先端側」と呼び、図1の右側(+X軸方向)を光照射デバイス1及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。光照射デバイス1及び各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端」と呼び、先端及びその近傍を「先端部」と呼ぶ。また、基端側に位置する端部を「基端」と呼び、基端及びその近傍を「基端部」と呼ぶ。先端側は生体内部へ挿入され、基端側は医師等の術者により操作される。これらの点は、図1以降においても共通する。
図2は、光照射デバイス1の先端側の拡大図である。図1に示すように、先端部100は、光照射デバイス1の先端側に設けられた部分である。図2に示すように、先端部100は、先端接合部20と、コアシャフト30と、コイル体40と、内側コイル体45と、第1接合部51と、第2接合部52とを備えている。
コアシャフト30は、光照射デバイス1の軸線Oに沿って設けられた中実の部材であり、後述する光照射部(散乱体85)よりも先端側に配置されている。コアシャフト30は、先端側に設けられた細径部31と、基端側に設けられた太径部32とを有している。細径部31は、略一定の外径を有する略円柱形状の部材である。太径部32は、細径部31よりも太い略一定の外径を有する略円柱形状の部材である。細径部31及び太径部32の外径及び長さは任意に決定できる。コアシャフト30は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、ニッケルチタンと他の金属との合金といった金属材料で形成できる。
コイル体40は、素線41を螺旋状に巻回して形成された中空の部材であり、基端側から先端側にかけて略一定の外径を有する略円筒形状の部材である。コイル体40は、コアシャフト30の外周面を覆うように、換言すれば、コアシャフト30の周囲を取り囲むようにして設けられている。コイル体40は、1本の素線41を単条に巻回して形成される単条コイルであってもよく、複数本の素線41を多条に巻回して形成される多条コイルであってもよい。また、コイル体40は、複数本の素線を撚り合せた撚線を単条に巻回して形成される単条撚線コイルであってもよく、複数本の素線を撚り合せた撚線を複数用い、各撚線を多条に巻回して形成される多条撚線コイルであってもよい。素線41の線径と、コイル体40の外径と内径とは、任意に決定できる。
内側コイル体45は、素線46を螺旋状に巻回して形成された中空の部材である。素線46は、コイル体40よりも小さな略一定の外径を有する略円筒形状の部材である。内側コイル体45は、コイル体40の内側において、細径部31の略中央部分から太径部32の基端部までの範囲における、コアシャフト30の外周面を覆うようにして設けられている。内側コイル体45は、コイル体40と同様に、単条コイルであってもよく、多条コイルであってもよく、単条撚線コイルであってもよく、多条撚線コイルであってもよい。素線46の線径と、内側コイル体45の外径と内径とは、内側コイル体45をコイル体40の内側に配置可能な限りにおいて、任意に決定できる。
コイル体40の素線41、及び内側コイル体45の素線46は、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス合金、ニッケルチタン合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル−クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金−ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成できる。
先端接合部20は、光照射デバイス1の先端に配置され、他の部材よりも先行して生体管腔内を進行する部材である。先端接合部20は、コアシャフト30の細径部31の先端部と、コイル体40の先端部とを接合している。第1接合部51は、コアシャフト30の細径部31の略中央部分に配置され、コアシャフト30の一部分と、内側コイル体45の先端部とを接合している。第2接合部52は、コアシャフト30の太径部32の基端部に配置され、コアシャフト30の基端部と、コイル体40の基端部と、内側コイル体45の基端部と、後述する散乱体85の先端部とを接合している。先端接合部20は、柔軟性を有することが好ましく、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等の樹脂材料により形成できる。第1接合部51及び第2接合部52は、任意の接合剤、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn−Ag合金、Au−Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤によって形成できる。
図1に示すように、中間部200は、先端部100と基端部300との間に設けられた部分である。図2に示すように、中間部200は、バルーン60と、メッシュ部材70と、散乱体85とを備えている。
バルーン60は、径方向(YZ軸方向)に拡縮可能であり、かつ、先端側と基端側の両端部が開放したチューブ状の部材である。バルーン60は、後述する中空シャフト10の先端側に設けられている。バルーン60の先端部は、第2接合部52に接合されており、バルーン60の基端部は、後述する中空シャフト10の先端部に接合されている。接合は任意の方法で実現でき、例えば、エポキシ系接着剤などの任意の接合剤による接合を採用できる。
バルーン60は、内側(内部)に流体を供給することによって、後述する図5に示すように径方向の外側へ拡張(拡径)する。また、バルーン60は、内側の流体を排出することによって、図2に示すように径方向の内側に収縮(縮径)する。このように、バルーン60は、流体の供給/排出によって、自在に拡張/収縮することができる。バルーン60の拡張圧、外径及び長さは任意に決定できる。なお、流体としては例えば、光透過性を有する流体(生理食塩水等)を利用できる。
バルーン60は、光透過性を有すると共に、内圧の変化に伴って拡張、収縮可能であり、かつ、生体組織の損傷を抑制可能な柔軟性と、狭窄した生体管腔内においても拡張が可能な硬さとを備える材料により形成されている。ここで、光透過性とは、透明または無色透明であって、内側の光を外側に透過させる性質を意味する。例えば、バルーン60は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレンー酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等により形成できる。
メッシュ部材70は、素線71を網目織りにした中空の部材であり、散乱体85(光照射部)から照射された光を反射する。本実施形態においてメッシュ部材70は、「光反射部」として機能する。メッシュ部材70の目開きの大きさ、換言すれば隣り合う素線71同士の間隔は、任意に定めることができる。図2に示すように、メッシュ部材70は、バルーン60の基端側において、バルーン60の外周面を覆うようにして設けられている。メッシュ部材70は、バルーン60の外周面に対して、エポキシ系接着剤などの任意の接合剤を用いて固定されていてもよい。メッシュ部材70は、バルーン60の外周面に対して裁置され、固定されていなくてもよい。メッシュ部材70は、バルーン60の外周面に対して埋設されていてもよい。
メッシュ部材70の素線71は、図2に示すように、矩形形状の横断面を有する平板状である。素線71は、光を反射可能な金属材料により形成されており、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス合金、ニッケルチタン合金等の超弾性合金、ニッケル−クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金−ニッケル合金)等の放射線不透過性合金により形成されている。メッシュ部材70による光の反射率を向上させるため、素線71の表面は鏡面加工されていることが好ましい。素線71の線径と、メッシュ部材70の外径と内径とは、メッシュ部材70をバルーン60の外周面に配置可能な限りにおいて、任意に決定できる。
散乱体85は、バルーン60の内側において、光照射デバイス1の軸線Oに沿って設けられた中実の略円柱状の部材である。散乱体85は、後述する光ファイバ80の先端面に隣接して接合されており、軸線O方向において、中空シャフト10の先端から突出した位置に配置されている。散乱体85は、光ファイバ80の先端面において露出したコア80c(図3)からの出射光(レーザ光)を散乱させ、バルーン60の内周面に向けて照射する。本実施形態において散乱体85は、「光照射部」として機能する。散乱体85は、例えば、石英微粉末を分散させたアクリル系紫外線硬化樹脂に塗布し、紫外光で硬化させることにより形成できる。なお、散乱体85は、例えば光反射ミラーにより実現されてもよい。散乱体85の外径及び長さは任意に決定できる。
図1に示すように、基端部300は、光照射デバイス1の基端側に設けられた部分である。基端部300は、中空シャフト10と、光ファイバ80と、可撓管体90と、第3接合部53と、第4接合部54とを備えている。
中空シャフト10は、長尺状の外形を有し、軸線Oに沿って配置された中空の部材である。中空シャフト10は、先端部と基端部とにそれぞれ開口が形成され、内側に両開口を連通する内腔10Lを有する略円筒形状である。中空シャフト10は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成することができる。樹脂材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等を採用できる。金属材料としては、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン鋼等を採用できる。中空シャフト10の外径、内径、及び長さは任意に決定できる。
図3は、図2のA−A線における断面構成を例示した説明図である。光ファイバ80は、軸線Oに沿って配置されている。図3に示すように、光ファイバ80は、軸線Oに沿って延びるコア80cと、コア80cの外周面を被覆するクラッド80clとを備えている。コア80cは、クラッド80clの略中央に配置されており、クラッド80clよりも高い光屈折率を有する。クラッド80clは、屈折率が均一である。光ファイバ80は、コア80cとクラッド80clとの屈折率差を利用した光の全反射によって、光源3からレーザ光(単に「光」とも呼ぶ)を伝達する。図2に示すように、光ファイバ80の先端では、光ファイバ80が軸線Oに垂直な面に沿ってカットされており、コア80cが露出している。光ファイバ80の先端部は、露出したコア80cと散乱体85とを隣接させた状態で、散乱体85に接合されている。光ファイバ80の基端部は、コネクタや他の光ファイバ等を介して、外部に設けられた光源3に接続されている。光源3は、任意の波長のレーザ光を発生するレーザ光発生装置である。
本実施形態の光ファイバ80は、コア80cとクラッド80clとが共に樹脂製のプラスチック光ファイバである。コア80cは、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA:Polymethylmetacrylate)、ポリスチレン、ポリカーボネート、含重水素化ポリマー、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー等により形成できる。コア80cは、光が伝搬するモード数によってシングルモードと、マルチモードとに分類されるが、本実施形態ではどちらを用いてもよい。また、マルチモードのコア80cの場合、屈折率分布によってステップインデックスと、グレーデッドインデックスとに分類されるが、本実施形態ではどちらを用いてもよい。クラッド80clは、例えば、フッ素系ポリマーにより形成できる。なお、光ファイバ80には、プラスチック光ファイバに代えて、石英ガラス光ファイバや、多成分ガラス光ファイバを採用してもよい。光ファイバ80の長さは任意に決定できる。また、光ファイバ80は、コア80cのみで形成されてもよく、クラッド80clを被覆する1つ以上の保護層をさらに備えてもよい。
可撓管体90は、長尺状の外径を有し、軸線Oに沿って配置された中空の部材である。可撓管体90は、先端部と基端部とにそれぞれ開口90oが形成され、内側に両開口を連通する内腔(流体ルーメン90L)を有する略円筒形状である。可撓管体90は、中空シャフト10よりも細径であり、中空シャフト10の内腔10Lに挿入されている。可撓管体90の先端部の開口90oは、中空シャフト10の先端部から突出した位置であって、バルーン60の内側に配置されている。可撓管体90の基端部の開口90oは、中空シャフト10の基端部から突出した位置に配置され、術者による流体の供給が可能な構成とされている。可撓管体90は、上述した中空シャフト10と同様の材料により形成できる。可撓管体90の材料と中空シャフト10の材料とは同じでもよく、相違してもよい。
図3に示すように、第3接合部53は、中空シャフト10の先端部において、中空シャフト10の内周面と、光ファイバ80及び可撓管体90の外周面との間に設けられている。第3接合部53は、中空シャフト10、光ファイバ80、及び可撓管体90の先端側をそれぞれ接合すると共に、バルーン60の内側(内部)を封止状態としている。図1に示すように、第4接合部54は、中空シャフト10の基端部において、中空シャフト10の内周面と、光ファイバ80及び可撓管体90の外周面との間に設けられている。第4接合部54は、中空シャフト10、光ファイバ80、及び可撓管体90の基端側をそれぞれ接合すると共に、光照射デバイス1の把持を容易としている。第3接合部53及び第4接合部54は、任意の接合剤、例えば、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn−Ag合金、Au−Sn合金等の金属はんだや、エポキシ系接着剤などの接着剤によって形成できる。
図4は、バルーン60の収縮時における光照射デバイス1の使用状態を示す図である。光照射デバイス1の使用は、例えば以下のように行う。まず術者は、血管等の生体管腔内に光照射デバイス1を挿入する。術者は、生体管腔内において光照射デバイス1を押し進め、散乱体85(光照射部)を光照射の目的位置までデリバリした後、光源3を作動させる。光源3によって発生されたレーザ光LTは、光ファイバ80のコア80cを介して、光ファイバ80の基端側から先端側へと伝達される。レーザ光LTは、先端部において露出したコア80cから、散乱体85を介して、バルーン60の内周面に向けて照射される。バルーン60は光透過性であるため、バルーン60の内周面に向けて照射されたレーザ光LTは、バルーン60を透過して、外部の生体組織へと到達する。
ここで、本実施形態の光照射デバイス1では、バルーン60の先端側にはメッシュ部材70(光反射部)が設けられていない。このため、バルーン60の先端側に向かう光LT1は、メッシュ部材70に遮蔽されることなく、外部に照射される。一方、バルーン60の基端側にはメッシュ部材70(光反射部)が設けられている。バルーン60の収縮時において、メッシュ部材70を構成する素線71の内側面と、散乱体85の外周面とは、ほぼ平行である。また、バルーン60の基端側に向かう光LT2の一部は、メッシュ部材70の隙間(素線71の隙間)を通って、外部に照射される。なお、バルーン60の基端側に向かう光LT2の残部は、メッシュ部材70により反射される。この結果、バルーン60の収縮時における光LTの照射範囲A1は、図4において破線で示すように、散乱体85(光照射部)を覆う略球状となる。
図5は、バルーン60の拡張時における光照射デバイス1の使用状態を示す図である。術者は、可撓管体90の基端側の開口90oから、光透過性を有する流体CA(例えば、生理食塩水等)を供給することにより、バルーン60を径方向の外側に拡張させる。バルーン60の拡張に伴って、バルーン60の外周面に設けられたメッシュ部材70も同様に、径方向の外側に拡張する。この結果、特にバルーン60の両端側といった、バルーン60の外径が軸線O方向の位置の変化に伴って変化する部分において、メッシュ部材70を構成する素線71の内側面と、散乱体85の外周面とは、平行でなくなる。このため、バルーン60の基端側に向かう光LT3は、メッシュ部材70(光反射部)の素線71の内側面において反射し、先端側へと進む。一方、バルーン60の略中央部分といった、バルーン60の外径が軸線O方向の位置の変化に伴って変化しない部分において、メッシュ部材70を構成する素線71の内側面と、散乱体85の外周面とは、ほぼ平行のままである。このため、バルーン60の略中央部分に向かう光LT2は、メッシュ部材70の隙間(素線71の隙間)を通って、外部に照射される。なお、バルーン60の先端側では収縮時と同様に、光LT1はメッシュ部材70に遮蔽されることなく、外部に照射される。この結果、バルーン60の拡張時における光LTの照射範囲A2は、図5において破線で示すように、散乱体85(光照射部)から先端側に向かって広がる楕円体状となる。
以上説明した通り、第1実施形態の光照射デバイス1によれば、散乱体85(光照射部)は、メッシュ部材70(光反射部)が設けられたバルーン60の内側に設けられており、バルーン60の内周面に向けて光を照射する。このため、散乱体85から照射された光LTを、メッシュ部材70で反射させることができる。また、メッシュ部材70が設けられたバルーン60は拡縮可能であるため、バルーン60の状態(すなわち、図4に示す収縮状態、図5に示す拡張状態、及び拡張の程度)を制御することにより、光LTを照射する散乱体85と、光LTを反射するメッシュ部材70(具体的には、素線71の内側面)との位置関係を変更して、光LTの照射方向を制御できる。さらに、バルーン60の拡張には、上述のようにバルーン60の内側に流体CAを満たす方法のほか、自己拡張式のバルーンを用いる方法、及び操作用コアを用いてバルーンを拡張する方法のいずれを用いた場合であっても、形状記憶材料をヒータにより加熱する従来の方法と比較して余分な熱を生じることなく、血液過熱の虞を低減できる。この結果、第1実施形態の光照射デバイス1によれば、生体管腔内に光LTを照射する光照射デバイス1において、生体組織の過熱を抑制しつつ、光LTの照射方向を制御することができる。
また、第1実施形態の光照射デバイス1によれば、光反射部は、金属製の素線71を網目織りにしたメッシュ部材70であるため、バルーン60の外周面または内周面に光反射部を均等に設けることができると共に、光反射部を容易に形成できる。また、メッシュ部材70において、平板状の素線71を用いることにより、光LTが反射可能な範囲を広くできる。さらに、メッシュ部材70(光反射部)は、少なくともバルーン60の基端側に設けられているため、バルーン60の拡張時において、散乱体85(光照射部)からの光LTの照射方向を先端側に向かう方向へと制御できる(図5)。
さらに、第1実施形態の光照射デバイス1によれば、光照射部は、光ファイバ80からの光LTを散乱させる散乱体85であるため、光照射部からの光の照射範囲を広げることができる。また、光照射デバイス1は可撓管体90を備えるため、可撓管体90の流体ルーメン90Lを介して流体CAを供給及び排出することにより、バルーン60を拡張及び収縮できる。さらに、光照射デバイス1は、コアシャフト30、コイル体40、及び先端接合部20を備えるため、散乱体85(光照射部)の先端側に設けられたコアシャフト30と、コイル体40と、先端接合部20とによって、光照射デバイス1の先端部を柔軟に構成できる。この結果、光照射デバイス1の安全性を向上できる。
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の光照射デバイス1Aの先端側の拡大図である。第2実施形態の光照射デバイス1Aは、メッシュ部材70に代えてメッシュ部材70Aを備える。メッシュ部材70Aは、バルーン60の先端側において、バルーン60の外周面を覆うようにして設けられている点を除き、第1実施形態と同様の構成を有している。
バルーン60の収縮時において、バルーン60の基端側(メッシュ部材70Aが設けられていない部分)に向かう光LTは、メッシュ部材70Aに遮蔽されることなく、外部に照射される。また、バルーン60の先端側に向かう光LTは、一部がメッシュ部材70Aの隙間を通って外部に照射され、残部がメッシュ部材70Aにより反射される。すなわち、バルーン60の収縮時における光LTの照射範囲は、図4に示す第1実施形態と同様に、散乱体85(光照射部)を覆う略球状となる。
図7は、第2実施形態の光照射デバイス1Aの使用状態を示す図である。バルーン60の拡張時において、バルーン60の先端側に向かう光LT3は、メッシュ部材70Aの素線71の内側面において反射し、基端側へと進む。一方、バルーン60の略中央部分に向かう光LT2は、メッシュ部材70Aの隙間(素線71の隙間)を通って、外部に照射される。なお、収縮時と同様に、バルーン60の基端側(メッシュ部材70Aが設けられていない部分)に向かう光LT1は、メッシュ部材70Aに遮蔽されることなく、外部に照射される。この結果、光照射デバイス1Aでは、バルーン60の拡張時における光LTの照射範囲A3は、図7において破線で示すように、散乱体85(光照射部)から基端側に向かって広がる楕円体状となる。
このように、メッシュ部材70Aの構成は種々の変更が可能であり、メッシュ部材70Aは、バルーン60の少なくとも先端側を覆う位置に配置されていてもよい。以上のような第2実施形態の光照射デバイス1Aによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態の光照射デバイス1Aによれば、メッシュ部材70A(光反射部)は、少なくともバルーン60の先端側に設けられているため、バルーン60の拡張時において、散乱体85(光照射部)からの光LTの照射方向を基端側に向かう方向へと制御できる(図7)。
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態の光照射デバイス1Bの先端側の拡大図である。第3実施形態の光照射デバイス1Bは、メッシュ部材70に代えてメッシュ部材70Bを備える。メッシュ部材70Bは、バルーン60の略中央部分を除く先端側と基端側とにおいて、それぞれバルーン60の外周面を覆うようにして設けられている。メッシュ部材70Bの他の構成は、第1実施形態と同様である。
バルーン60の収縮時において、バルーン60の略中央部分(メッシュ部材70Bが設けられていない部分)に向かう光LTは、メッシュ部材70Bに遮蔽されることなく、外部に照射される。また、バルーン60の先端部及び基端部に向かう光LTは、一部がメッシュ部材70Bの隙間を通って外部に照射され、残部がメッシュ部材70Bにより反射される。すなわち、バルーン60の収縮時における光LTの照射範囲は、図4に示す第1実施形態と同様に、散乱体85(光照射部)を覆う略球状となる。
図9は、第3実施形態の光照射デバイス1Bの使用状態を示す図である。バルーン60の拡張時において、バルーン60の先端側に向かう光LT3は、バルーン60の先端側に設けられたメッシュ部材70Bによって反射し、基端側へと進む。同様に、バルーン60の基端側に向かう光LT2は、バルーン60の基端側に設けられたメッシュ部材70Bによって反射し、先端側へと進む。なお、収縮時と同様に、バルーン60の略中央部分(メッシュ部材70Bが設けられていない部分)に向かう光LT1は、メッシュ部材70Bに遮蔽されることなく、外部に照射される。この結果、光照射デバイス1Bでは、バルーン60の拡張時における光LTの照射範囲A4は、図9において破線で示すように、散乱体85(光照射部)から周方向(YZ軸方向)に向かって広がる楕円体状となる。
このように、メッシュ部材70Bの構成は種々の変更が可能であり、メッシュ部材70Bは、バルーン60の先端側と、基端側との両方を覆う位置に配置されていてもよい。以上のような第2実施形態の光照射デバイス1Aによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態の光照射デバイス1Bによれば、メッシュ部材70B(光反射部)は、バルーン60の先端側及び基端側にそれぞれ設けられているため、バルーン60の拡張時において、散乱体85(光照射部)からの光LTの照射方向を周方向に向かう方向へと制御できる(図9)。
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態の光照射デバイス1Cの先端側の拡大図である。第4実施形態の光照射デバイス1Cは、メッシュ部材70に代えてメッシュ部材70Cを備える。メッシュ部材70Cは、バルーン60の外周面の全体を覆うようにして設けられている点を除き、第1実施形態と同様の構成を有している。
バルーン60の収縮時において、バルーン60に向かう光LTは、一部がメッシュ部材70Cの隙間を通って外部に照射され、残部がメッシュ部材70Cにより反射される。すなわち、バルーン60の収縮時における光LTの照射範囲は、図4に示す第1実施形態と同様に、散乱体85(光照射部)を覆う略球状となる。
図11は、第4実施形態の光照射デバイス1Cの使用状態を示す図である。バルーン60の拡張時において、バルーン60の先端側に向かう光LT3は、バルーン60の先端側に設けられたメッシュ部材70Cによって反射し、基端側へと進む。ここで、メッシュ部材70Cはバルーン60の外周面の全体を覆っているため、光LT3は、バルーン60の基端側に設けられたメッシュ部材70Cによってさらに反射する。同様に、バルーン60の基端側に向かう光LT2は、バルーン60の基端側に設けられたメッシュ部材70Cによって反射し、先端側へと進んだ後、バルーン60の先端側に設けられたメッシュ部材70Cによってさらに反射する。一方、バルーン60の略中央部分に向かう光LT1は、メッシュ部材70Cの隙間(素線71の隙間)を通って、外部に照射される。この結果、光照射デバイス1Cでは、バルーン60の拡張時における光LTの照射範囲A5は、図11において破線で示すように、散乱体85(光照射部)から周方向(YZ軸方向)に向かって広がる楕円体状となる。
このように、メッシュ部材70Cの構成は種々の変更が可能であり、メッシュ部材70Cは、バルーン60の外周面の全体を覆うように配置されていてもよい。以上のような第4実施形態の光照射デバイス1Cによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第5実施形態>
図12は、第5実施形態の光照射デバイス1Dの先端側の拡大図である。第5実施形態の光照射デバイス1Dは、メッシュ部材70に代えてメッシュ部材70Dを備える。メッシュ部材70Dは、バルーン60の内周面に設けられている点を除き、第1実施形態と同様の構成を有している。このように、メッシュ部材70Dの構成は種々の変更が可能であり、バルーン60の外周面に限らず、バルーン60の内周面に設けられていてもよい。また、メッシュ部材70Dの少なくとも一部、またはメッシュ部材70Dの全体は、バルーン60の内部に埋設されていてもよい。以上のような第5実施形態の光照射デバイス1Dによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第6実施形態>
図13は、第6実施形態の光照射デバイス1Eの先端側の拡大図である。第6実施形態の光照射デバイス1Eは、第1実施形態の構成において、メッシュ部材70に代えてメッシュ部材70Eを備え、光ファイバ80に代えて光ファイバ80Eを備え、かつ、散乱体85を備えていない。
光ファイバ80Eの先端側は、バルーン60の内側に配置されており、光ファイバ80Eの先端部は、第2接合部52に接合されている。光ファイバ80Eは、バルーン60の内側に位置する一部分に、複数の切込み81が形成されている。切込み81は、光ファイバ80Eの外周面において、コア80c(図3)を露出させることで、光ファイバ80Eの外周面から光LTを照射させるために設けられている。このため、本実施形態では、切込み81が形成された光ファイバ80Eの先端側の一部分が「光照射部」として機能する。メッシュ部材70Eは、バルーン60の基端側において、周方向の一部分(図13:+Y方向)を覆うようにして設けられている点を除き、第1実施形態と同様の構成を有している。ここで、光ファイバ80Eの外周面において、切込み81が形成されている側(図13:+Y方向)と、バルーン60の外周面において、メッシュ部材70Eが設けられている側とは同じである。このため、第6実施形態の光照射デバイス1Eによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
このように、光ファイバ80Eの構成は種々の変更が可能であり、第1実施形態で説明した散乱体85を用いずに、光照射部を構成してもよい。切込み81は、図示のように複数であってもよく、1つであってもよい。切込み81は、図示のように周方向の一部分(図13:+Y方向)に形成されてもよく、周方向の全体に形成されてもよい。また、切込み81に代えて、光ファイバ80Eの先端を任意の角度でカットすることで光照射部を形成してもよく、光ファイバ80Eの先端からクラッド80clを除去することで光照射部を形成してもよい。また、露出したコア80cに対しては、周知の加工(例えば、刻み目を形成する加工、サンドブラスト加工、化学的処理)を施してもよい。
また、メッシュ部材70Eの構成は種々の変更が可能であり、バルーン60の周方向の一部分を覆うようにして設けられていてもよい。この場合、図13で説明したように、バルーン60の外周面においてメッシュ部材70Eを設ける方向は、光照射部が光を照射する方向と同じ、または重複する方向とすることが好ましい。以上のような第6実施形態の光照射デバイス1Eによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第6実施形態の光照射デバイス1Eによれば、デバイス設計の自由度を向上させることができる。
<第7実施形態>
図14は、第7実施形態の光照射デバイス1Fの先端側の拡大図である。第7実施形態の光照射デバイス1Fは、第1実施形態の構成において、コアシャフト30、コイル体40、内側コイル体45、第1接合部51、及び第2接合部52を備えておらず、先端接合部20に代えて先端接合部20Fを備え、バルーン60に代えてバルーン60Fを備えている。先端接合部20Fは、散乱体85の先端に接合されている。バルーン60Fは、先端部が先端接合部20Fに接合されている点を除き、第1実施形態と同様の構成を有する。
このように、光照射デバイス1Fの構成は種々の変更が可能であり、上述した構成のうち、少なくとも一部分を備えていなくてもよい。例えば、図14で説明したように、先端接合部20Fを除く先端部100の全体を省略してもよい。また、例えば、第1実施形態の構成において、内側コイル体45及び第1接合部51のみを省略してもよい。例えば、第1実施形態の構成において、内側コイル体45に代えて、管状体を備える構成を採用してもよい。以上のような第7実施形態の光照射デバイス1Fによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
<第8実施形態>
図15は、第8実施形態の光照射デバイス1Gの先端側の拡大図である。第8実施形態の光照射デバイス1Gは、第7実施形態の構成において、先端接合部20Fに代えて先端接合部20Gを備えている。先端接合部20Gは、YZ軸方向の略中央部分において、軸線O方向に先端側と基端側とを貫通する貫通孔20hを有している。散乱体85は、先端面を、先端接合部20Gの貫通孔20hの周縁部に当接させた状態で、先端接合部20Gに接合されている。このため、光照射デバイス1Gでは、バルーン60Fの状態(収縮状態、拡張状態)に関係なく、先端接合部20Gの貫通孔20hを介して、光照射デバイス1Gの先端側に向かう光LT5を照射できる。
このように、光照射デバイス1Gの構成は種々の変更が可能であり、軸線O方向に貫通する貫通孔20hを有する先端接合部20Gを用いてもよい。貫通孔20hの数や大きさは任意に変更可能であり、先端接合部20Gを例えば多孔質体により形成することで、貫通孔20hとしての無数の細孔を設けてもよい。また、先端接合部20Gを光透過性樹脂により形成することで、貫通孔20hを省略してもよい。以上のような第8実施形態の光照射デバイス1Gによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第8実施形態の光照射デバイス1Gによれば、光照射デバイス1Gの側面に向かう光LT1,2に加えてさらに、先端側に向かう光LT5を照射できる。
<第9実施形態>
図16は、第9実施形態の光照射デバイス1Hの先端側の拡大図である。第9実施形態の光照射デバイス1Hは、メッシュ部材70に代えて光反射部70Hを備える。光反射部70Hは、素線71Hを螺旋状に巻回して形成されたコイル体であり、散乱体85(光照射部)から照射された光を反射する。光反射部70Hは、第1実施形態と同様に、バルーン60の基端側において、バルーン60の外周面を覆うようにして設けられている。光反射部70Hを構成する素線71Hは、略円形状の横断面を有する丸線である。素線71Hは、素線71と同様の材料により形成できる。素線71Hの材料は、素線71と同じでもよく、異なっていてもよい。
このように、光反射部70Hの構成は種々の変更が可能であり、第1実施形態で説明したメッシュ部材とは異なる構成が採用されてもよい。光反射部70Hは、上述したコイル体のほか、バルーン60の外周面または内周面に対して、金属めっき処理を施すことにより形成されてもよい。また、光反射部70Hは、複数の板状部材や、複数の粒状部材をバルーン60に貼付、または埋設することにより形成されてもよい。以上のような第9実施形態の光照射デバイス1Hによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第9実施形態の光照射デバイス1Hによれば、デバイス設計の自由度を向上させることができる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
[変形例1]
上記第1〜9実施形態では、光照射デバイス1,1A〜1Hの構成の一例を示した。しかし、光照射デバイス1の構成は種々の変更が可能である。例えば、光照射デバイス1において、上述した各構成部材の材料はあくまで一例であり、各構成部材は、上記以外の公知の材料によって形成されてもよい。例えば、上記実施形態では、光の例としてレーザ光を例示したが、レーザ光に限らず、例えばLED(Light Emitting Diode)光や、白色光を用いて光照射デバイス1を構成してもよい。
例えば、光照射デバイス1は、カテーテルと組み合わせて使用されてもよい。この場合、カテーテルの先端側には、散乱体85(光照射部)から照射された光を透過する光透過部を設けることが好ましい。光透過部は、カテーテルのシャフトに設けられた開口、光透過性樹脂により形成された窓部、シャフトを薄肉化して形成された透過部等の任意の態様とできる。
例えば、光照射デバイス1には、先端から基端までを軸線O方向に連通した1つ以上のルーメンが形成されていてもよい。この場合、先端接合部20に軸線O方向に連通した貫通孔を形成した上で、先端接合部20の貫通孔、コイル体40、内側コイル体45、及びバルーン60の内側を通過して内腔10Lに連通するインナーシャフトを設ければよい。そうすれば、光照射デバイス1をカテーテルとして構成できる。
例えば、光照射デバイス1の中空シャフト10には、編組体や、コイル体からなる補強層が埋設されていてもよい。このようにすれば、光照射デバイス1のトルク伝達性や、形状保持性を向上できる。例えば、光照射デバイス1の外表面には、親水性又は疎水性の樹脂からなるコーティングが施されていてもよい。このようにすれば、生体管腔内における光照射デバイス1の滑り性を向上できる。また、光照射デバイス1の外表面には、ヘパリンなどの抗血栓性材料をコーティングしてもよい。このようにすれば、出射光(レーザ光)LTの照射による血栓付着を抑制できると共に、レーザ出力の低下を抑制できる。
例えば、光照射デバイス1には、放射線不透過性のマーカーが設けられていてもよい。マーカーは、光照射部の近傍に設けられることが好ましいため、例えば散乱体85の外周面に設けることができる。また、第2接合部52や第3接合部53を放射線不透過性の材料により形成することで、第2接合部52や第3接合部53にマーカーとしての機能を付してもよい。また、素線71を放射線不透過性の材料により形成することで、メッシュ部材70にマーカーとしての機能を付してもよい。このようにすれば、術者が生体管腔内において、光照射部の位置を容易に把握できるため、使い勝手を向上できる。
[変形例2]
上記第1〜9実施形態では、バルーン60,60F、及びメッシュ部材70,70A〜70E,70Hの構成の一例を示した。しかし、これらの構成は種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態において、バルーン60の先端部は、第2接合部52に接合されているとした。しかし、バルーン60は散乱体85(光照射部)の少なくとも一部分を覆っている限りにおいて、任意の構成を採用できる。例えば、バルーン60の先端部は、先端接合部20、第1接合部51、及びコアシャフト30など、任意の場所に接合されていてよい。例えば、バルーン60の基端部は、散乱体85、光ファイバ80及び可撓管体90など、任意の場所に接合されていてよい。
例えば、上記実施形態において、バルーン60は、可撓管体90の流体ルーメン90Lから供給される流体により拡張するとした。しかし、バルーン60の拡張方式は種々の方式を利用できる。例えば、バルーン60を自己拡張式のバルーンとした上で、光照射デバイス1はさらに、中空シャフト10及びバルーン60を覆うスリーブ(管状体)を備えていてもよい。この場合、スリーブを基端側に移動させることでバルーン60を拡張状態とでき、スリーブを先端側に移動させてバルーン60を被覆することでバルーン60を収縮状態とできる。例えば、バルーン60の内側に操作用コアを固定しておき、この操作用コアによってバルーン60を操作してもよい。この場合、操作用コアを基端側に引っ張ることによってバルーン60を拡張状態でき、操作用コアを先端側に押し込むことによってバルーン60を収縮状態とできる。
例えば、メッシュ部材70を構成する素線には種々の形状を採用することができ、略楕円形状の横断面を有する偏平な丸線を用いてもよく、略多角形状の横断面を有する素線を用いてもよい。また、1本または複数本の素線を捻った上で、この捻り線を用いてメッシュ部材70を形成してもよい。さらに、第9実施形態で説明したとおり、メッシュ部材70以外の構成を用いて、光反射部を構成してもよい。
[変形例3]
第1〜9実施形態の光照射デバイス1,1A〜1Hの構成、及び上記変形例1,2の光照射デバイス1,1A〜1Hの構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第6実施形態で説明した光照射部を備える光照射デバイス1において、第2〜6実施形態、及び第9実施形態で説明した構成を有するメッシュ部材70を備えていてもよい。例えば、第7及び第8実施形態で説明した先端部100を備えない光照射デバイス1において、第2〜6実施形態、及び第9実施形態で説明した構成を有するメッシュ部材70を備えていてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
1,1A〜1H…光照射デバイス
3…光源
10…中空シャフト
20,20F,20G…先端接合部
20h…貫通孔
30…コアシャフト
31…細径部
32…太径部
40…コイル体
41…素線
45…内側コイル体
46…素線
51…第1接合部
52…第2接合部
53…第3接合部
54…第4接合部
60,60F…バルーン
70,70A〜70E,70H…光反射部
71,71H…素線
80,80E…光ファイバ
80c…コア
80cl…クラッド
85…散乱体
90…可撓管体
90L…流体ルーメン
100…先端部
200…中間部
300…基端部

Claims (7)

  1. 光照射デバイスであって、
    長尺状の外形を有する中空シャフトと、
    前記中空シャフトの先端側に設けられ、光透過性を有する拡縮可能なバルーンと、
    前記バルーンの内側に設けられ、前記バルーンの内周面に向けて光を照射する光照射部と、
    前記バルーンの外周面または内周面に設けられ、前記光照射部から照射された光を反射可能な光反射部と、
    を備える、光照射デバイス。
  2. 請求項1に記載の光照射デバイスであって、
    前記光反射部は、平板状の金属製の素線を網目織りにしたメッシュ部材である、光照射デバイス。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光照射デバイスであって、
    前記光反射部は、少なくとも前記バルーンの基端側に設けられている、光照射デバイス。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光照射デバイスであって、
    前記光反射部は、少なくとも前記バルーンの先端側に設けられている、光照射デバイス。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光照射デバイスであって、さらに、
    前記中空シャフトの内側に設けられ、先端から光を照射する光ファイバを備え、
    前記光照射部は、前記光ファイバの先端に接合されると共に前記中空シャフトの先端から突出した位置に配置された散乱体であって、前記光ファイバからの光を散乱させる散乱体である、光照射デバイス。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光照射デバイスであって、さらに、
    流体が流通可能な流体ルーメンを有する可撓管体であって、前記流体ルーメンに連通する先端部の開口を前記バルーンの内側に位置させて、前記中空シャフトの内側に固定された可撓管体を備える、光照射デバイス。
  7. 請求項1から請求項6に記載の光照射デバイスであって、さらに、
    前記光照射部の先端側に設けられたコアシャフトと、
    前記コアシャフトの外周面を覆うコイル体と、
    前記コアシャフトの先端部と、前記コイル体の先端部とが接合された先端接合部と、
    を備える、光照射デバイス。
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