JP2020184426A - 有機el表示パネルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】狭小な周辺領域において有機EL発光素子アレイを被覆する樹脂材料の流れ出しを防止し封止効果を高める。【解決手段】基板101の上方に配された下部樹脂絶縁層102と、平面方向に延在して配された配線層203と、配線層203を覆う樹脂絶縁層214と、有機EL素子アレイ100arを囲繞して配された周堤204と、樹脂絶縁層214の外縁近傍まで連続して配された下部無機封止層1081と、下部無機封止層1081の上面に配され、外縁が周堤により規定されている樹脂封止層1082と、周堤より内方では樹脂封止層の上面に配され、周堤より外方では下部無機封止層の上面において、下部無機封止層の外縁近傍まで連続して配された上部無機封止層1083とを備え、周堤は樹脂封止層の基板の外方の端部に位置し、下部樹脂絶縁層には周堤を囲繞するように周溝1022が形成されている。【選択図】図3

Description

本開示は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を複数含む有機EL表示パネルおよびその製造方法に関し、特に、外部環境に存在する水分の浸入を抑制するための封止技術に関する。
従来、有機EL素子を複数含む有機EL表示パネルが知られている。有機EL素子は、各種材料の薄膜を積層した多層構造を有し、平坦化絶縁層に覆われたTFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)基板上に、少なくとも、画素電極と、対向電極と、これらに挟まれた有機発光層とを備える。
画素電極と有機発光層の間、または、対向電極と有機発光層の間には、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層などが設けられる。これらの層は、水分と反応すると発光特性が劣化する材料を含むことがある。有機EL表示パネルの表示品質の経時的な劣化を抑制するために、外部環境に存在する水分の浸入を抑制するための封止技術が重要となる。そこで、有機EL表示パネルの表示品質の経時的な劣化を抑制するために、外部環境に存在する水分の浸入を抑制するための封止構造が提案されている(例えば、特許文献1〜5)。
この封止構造の実現において、有機材料を用いて封止層を形成する場合、一般に、未硬化の樹脂材料を、例えば、ディスペンス法、スクリーン印刷法、インクジェット法等のウエットプロセスを利用して塗布した後、硬化処理を施す工程と採る。未硬化の状態の塗布材料は粘度が低く、塗布直後に樹脂材料の流れ出しが発生する場合がある。その場合、流出した樹脂材料の外縁がその後に形成する無機封止層による被覆の障害となり、十分な封止効果が得られないという課題があった。
これに対し、例えば、特許文献6では、基板上の周辺領域に樹脂絶縁層により平坦部を設けて、下地の配線パターンによる凹凸に沿った樹脂材料の流れ出しを防止する構造が提案されている。
米国特許公開2016/365398号公報 米国特許公開2016/204373号公報 特開2018−37390号公報 米国特許公開2015/0060806号公報 米国特許公開2017/0279057号公報 特開2019−3819号公報
ところで、近年では、有機EL表示パネルは多様な分野での利用が期待され、画像表示領域の周辺領域を狭小化する狭額縁化が求められている。そのため、例えば、特許文献6に記載の技術では、狭小化された周辺領域の中に、下地の配線パターンに沿った樹脂材料の流れ出しを防止する絶縁層による平坦部を設けることが難しく、十分な封止性を確保することが困難であった。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、狭額縁化した有機EL表示パネルにおいて、狭小な周辺領域において有機EL発光素子アレイを被覆する樹脂材料の塗布直後の流れ出しを防止し、十分な封止性を有する有機EL表示パネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板と、前記基板の上方に配された下部樹脂絶縁層と、前記下部樹脂絶縁層の上方において、平面方向に延在して配された配線層と、前記基板の上方において、前記配線層を覆う樹脂絶縁層と、前記基板の上方に配された有機EL素子を複数含む有機EL素子アレイと、前記樹脂絶縁層上面において、前記有機EL素子アレイを囲繞して配された周堤と、前記有機EL素子アレイ上方において、平面視において前記樹脂絶縁層の外縁近傍まで連続して配された下部無機封止層と、前記下部無機封止層の上面に配され、外縁が前記周堤により規定されている樹脂封止層と、前記周堤より内方では前記樹脂封止層の上面に、前記周堤より外方では前記下部無機封止層の上面において、平面視において前記下部無機封止層の外縁近傍まで連続して配された上部無機封止層とを備え、前記周堤は前記樹脂封止層の前記基板の外方の端部に位置し、前記下部樹脂絶縁層には、前記周堤を囲繞するように周溝が形成されており、当該周溝によって、前記下部樹脂絶縁層が内側下部樹脂絶縁層部と外側下部樹脂絶縁層部に分離されており、前記下部無機封止層が前記溝の内側面および底部および前記外側下部樹脂絶縁層部の表面の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする。
また、本開示の別の態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板の上方に下部樹脂絶縁層を形成する工程と、前記下部樹脂絶縁層の上方において、平面方向に延在して配線層を形成する工程と、前記基板の上方において、前記配線層を覆う樹脂絶縁層を形成する工程と、前記基板の上方に有機EL素子を複数含む有機EL素子アレイを形成する工程と、前記樹脂絶縁層上面において、前記有機EL素子アレイを囲繞して周堤を形成する工程と、前記有機EL素子アレイ上方において、平面視において前記樹脂絶縁層の外縁近傍まで連続して下部無機封止層を形成する工程と、前記下部無機封止層の上面における、前記周堤により内方に所定距離だけ離れた位置よりも内方に樹脂材料を塗布した後、前記周堤まで濡れ広がった状態で硬化させることにより、外縁が前記周堤により規定されている樹脂封止層を形成する工程と、前記周堤より内方では前記樹脂封止層の上面に、前記周堤より外方では前記下部無機封止層の上面において、平面視において前記下部無機封止層の外縁近傍まで連続して配された上部無機封止層を形成する工程とを有し、前記周堤を形成する工程では、前記周堤を前記樹脂封止層の前記基板の外方の端部に形成し、前記下部樹脂絶縁層を形成する工程では、前記周堤を囲繞するように周溝を形成し、当該周溝によって、前記下部樹脂絶縁層を内側下部樹脂絶縁層部と外側下部樹脂絶縁層部に分離し、前記下部無機封止層が前記溝の内側面および底部および前記外側下部樹脂絶縁層部の表面の少なくとも一部を覆うことを特徴とする。
本開示の態様に係る有機EL表示パネルおよびその製造方法によれば、狭小な周辺領域において有機EL発光素子アレイを被覆する樹脂材料の塗布直後の流れ出しを防止し、封止効果を高めることができる。
実施の形態に係る有機EL表示パネル100の平面図である。 図1におけるA部の模式平面図である。 図2におけるX1−X1で切断した模式断面図である。 有機EL表示パネル100の製造工程のフローチャートである。 (a)〜(e)は、有機EL表示パネル100の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(c)は、有機EL表示パネル100の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(c)は、有機EL表示パネル100の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(c)は、有機EL表示パネル100の製造における各工程での状態を示す図2におけるX1−X1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(c)は、それぞれ比較例1、2、3に係る有機EL表示パネル100S1、100S2、100S3を図1のX1−X1と同じ位置で切断した模式平面図である。 (a)〜(c)は、樹脂封止層1082を形成する工程での樹脂材料の塗布直後における、比較例1〜3に係る有機EL表示パネルの周辺領域を平面視した写真である。 (a)は、図10(a)におけるC部の拡大図、(b)は、図10(b)におけるB部の拡大模式図である。 (a)〜(b)は、それぞれ比較例2、実施例に係る有機EL表示パネル100S4、100を図1のX1−X1と同じ位置で切断した模式平面図である。 (a)は、図12(a)におけるD部の拡大図、(b)は、図12(b)におけるE部の拡大図である。 従来の有機EL表示パネルの積層構造の一例を示す概略断面図である。
≪本開示の一態様に至った経緯≫
図14は、特許文献6に記載された従来の有機EL表示パネルの構成の一例を示す概略断面図である。同図に示すように、有機EL表示パネルは、基板501、平坦化絶縁層502、画素電極503、列バンク504、発光層505、電子輸送層506、対向電極507、封止層508、配線層512を備える。
基板501は、基材501a上にTFT層501bを形成してなる。
封止層508は、窒化シリコン(SiN)からなる第1封止層5081と、樹脂からなる第2封止層5082と、窒化シリコンからなる第3封止層5083を積層した3層構造としており、これにより封止層508の耐久性と防水性が向上する。
平坦化絶縁層502には、その外縁近くに周溝5022が形成されて、平坦化絶縁層502が内側絶縁層部5023と外側絶縁層部5021に分離され、平坦化絶縁層502を介した水分の侵入を遮断する。
この有機EL表示パネルでは、図14に示すように、第2封止層5082は、平面視においてその外縁5082cが外側絶縁層部5021に位置するように塗布される。
この構成により、外側絶縁層部5021は下地凹凸の平坦化層であるため、第2封止層5082をウエットプロセスで形成する際、塗布時点で流動性がある樹脂材料が配線層512のパターンに沿って流れ出すことを防止でき、さらに第3封止層5083で被覆することにより封止性を確保できることが、特許文献6に記載されている。
ところが、上述のとおり、近年では、有機EL表示パネルでは、画像表示領域の周辺領域を狭小化する狭額縁化が求められている。そのため、特許文献6に記載の技術では、狭小化された周辺領域の中に、内側絶縁層部5023、周溝5022、外側絶縁層部5021といった構成要素を確保することが必要となる。そのため、それぞれの範囲は狭くなり、狭小化された外側絶縁層部5021の範囲内において、下地の配線パターンに沿った樹脂材料の流れ出しを防止するための平坦部を設けることが難しい。そのため、十分な封止性を確保する封止構造を実現することが困難であった。
そこで、発明者本開示は、狭小な周辺領域において、有機EL発光素子アレイを被覆する樹脂材料の流れ出しを防止するとともに、異物等による膜欠陥の発生を抑止できる封止構造について鋭意検討し、本開示に係る有機EL表示パネル及びその製造方法に至ったものである。
≪開示の態様≫
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板と、前記基板の上方に配された下部樹脂絶縁層と、前記下部樹脂絶縁層の上方において、平面方向に延在して配された配線層と、前記基板の上方において、前記配線層を覆う樹脂絶縁層と、前記基板の上方に配された有機EL素子を複数含む有機EL素子アレイと、前記樹脂絶縁層上面において、前記有機EL素子アレイを囲繞して配された周堤と、前記有機EL素子アレイ上方において、平面視において前記樹脂絶縁層の外縁近傍まで連続して配された下部無機封止層と、前記下部無機封止層の上面に配され、外縁が前記周堤により規定されている樹脂封止層と、前記周堤より内方では前記樹脂封止層の上面に、前記周堤より外方では前記下部無機封止層の上面において、平面視において前記下部無機封止層の外縁近傍まで連続して配された上部無機封止層とを備え、前記周堤は前記樹脂封止層の前記基板の外方の端部に位置し、前記下部樹脂絶縁層には、前記周堤を囲繞するように周溝が形成されており、当該周溝によって、前記下部樹脂絶縁層が内側下部樹脂絶縁層部と外側下部樹脂絶縁層部に分離されており、前記下部無機封止層が前記溝の内側面および底部および前記外側下部樹脂絶縁層部の表面の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする。
係る構成により、狭小な周辺領域において有機EL発光素子アレイを被覆する樹脂材料の塗布直後の流れ出しを防止し、封止効果を高めることができる。
また、仮に、表示パネルの製造工程において配線層の上面に異物が載設され、異物に起因して下部無機封止層及び上部無機封止層を連通するシーム等の膜欠陥が生じた場合でも、水分が画像表示領域に浸入することを抑止できる。すなわち、この場合にも、水分は外側絶縁層部内に浸入するので、侵入した水分は周溝および下部無機封止層により遮断されて、内側絶縁層部まで浸入することを抑止できる。
また、別の態様では、上記何れかの態様において、前記上部無機封止層は、前記周溝内、及び前記下部樹脂絶縁層の前記外側下部樹脂絶縁層部の上面の一部又は全部において前記下部無機封止層と接触している構成としてもよい。
係る構成により、樹脂封止層を挟んでその外方で下部無機封止層と上部無機封止層とを接合することにより、樹脂封止層を無機層により袋状に閉じることができる。これにより、有機層である樹脂封止層に水分が浸入することを防止できる。
また、別の態様では、上記何れかの態様において、前記下部無機封止層の外縁、及び前記上部無機封止層の外縁は、前記下部樹脂絶縁層の前記外側下部樹脂絶縁層部に存在する構成としてもよい。
係る構成により、周辺領域の狭小化が図れ有機EL表示パネルの狭額縁化を実現できる。
本開示に一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板の上方に下部樹脂絶縁層を形成する工程と、前記下部樹脂絶縁層の上方において、平面方向に延在して配線層を形成する工程と、前記基板の上方において、前記配線層を覆う樹脂絶縁層を形成する工程と、前記基板の上方に有機EL素子を複数含む有機EL素子アレイを形成する工程と、前記樹脂絶縁層上面において、前記有機EL素子アレイを囲繞して周堤を形成する工程と、前記有機EL素子アレイ上方において、平面視において前記樹脂絶縁層の外縁近傍まで連続して下部無機封止層を形成する工程と、前記下部無機封止層の上面における、前記周堤により内方に所定距離だけ離れた位置よりも内方に樹脂材料を塗布した後、前記周堤まで濡れ広がった状態で硬化させることにより、外縁が前記周堤により規定されている樹脂封止層を形成する工程と、前記周堤より内方では前記樹脂封止層の上面に、前記周堤より外方では前記下部無機封止層の上面において、平面視において前記下部無機封止層の外縁近傍まで連続して配された上部無機封止層を形成する工程とを有し、前記周堤を形成する工程では、前記周堤を前記樹脂封止層の前記基板の外方の端部に形成し、前記下部樹脂絶縁層を形成する工程では、前記周堤を囲繞するように周溝を形成し、当該周溝によって、前記下部樹脂絶縁層を内側下部樹脂絶縁層部と外側下部樹脂絶縁層部に分離し、前記下部無機封止層が前記溝の内側面および底部および前記外側下部樹脂絶縁層部の表面の少なくとも一部を覆うことを特徴とする。
係る構成により、狭小な周辺領域において有機EL発光素子アレイを被覆する樹脂材料の塗布直後の流れ出しを防止し、封止効果を高めることができる有機EL表示パネルを製造できる。
また、仮に、表示パネルの製造工程において配線層の上面に異物が載設され、異物に起因して下部無機封止層及び上部無機封止層を連通するシーム等の膜欠陥が生じた場合でも、水分は外側絶縁層部内に浸入するので、侵入した水分は周溝および下部無機封止層により遮断されて、内側絶縁層部まで浸入することを抑止できる有機EL表示パネルを製造できる。
≪実施の形態≫
以下、本開示に係る有機EL表示パネル(以下、「表示パネル」とする)の実施の形態の一態様として、フレキシブル性を有するトップエミッション型の表示パネル100を例にして説明する。
<表示パネル100の構成概要>
図1は、実施の形態に係る表示パネル100の平面図である。
同図に示すように表示パネル100は、基板101にシート基材110が積層された構成からなり、平面視したとき、画像表示領域10と、画像表示領域10を囲繞する周辺領域20とを有する。
表示パネル100の画像表示領域10には、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が形成された基板101(TFT基板)に、各々が画素を構成する複数の有機EL素子が行列状に配され、上面より光を発するトップエミッション型の構成を有する。ここで、本明細書では、図1におけるX方向、Y方向、Z方向を、それぞれ表示パネル100における、行方向、列方向、厚み方向とする。
周辺領域20には、外部のドライブ回路に電気的に接続するための複数の端子(不図示)が配設される。
図2は、図1におけるA部の模式平面図であって、後述する、封止補強層120を取り除いた状態を示した図である。図3は、図2におけるX1−X1で切断した模式断面図である。
図2に示すように、画像表示領域10には、複数の単位画素1eがマトリクス状に配列されている。図2に示すように、表示パネル100の画像表示領域10には、それぞれが画素電極103を有し、発光色R、G、Bの副画素1seを備えた単位画素1eが行列状に配され有機EL素子アレイ100arを構成している。画素電極103は、平面視において矩形形状であり光反射材料から構成される。
表示パネル100では、副画素1seを区画するバンクの形状は、いわゆるライン状のバンク形式を採用し、行方向に隣接する2つの画素電極103の間には、各条が列方向(図2のY方向)に延伸する列バンク104が複数行方向に並設されている。
一方、列方向に隣接する2つの画素電極103の間には、各条が行方向(図2のX方向)に延伸する行バンク114が複数列方向に並設されており、行バンク114が形成される領域は、発光層において有機電界発光が生じないために非自己発光領域となる。非自己発光領域には、画素電極103とTFTのソースとを接続する接続凹部(コンタクトホール、不図示)が設けられている。
表示パネル100には、基板101上の画像表示領域10から下部樹脂絶縁層102にわたって、下部樹脂絶縁層102上が敷設されており、周辺領域20において下部樹脂絶縁層102には画像表示領域10を囲繞するように周溝1022が開設されている。すなわち、下部樹脂絶縁層102は、周溝1022によって、基板101内方に位置する内側下部樹脂絶縁層部1023(以後、「内側絶縁層部」とする)と、基板101外方に位置する外側下部樹脂絶縁層部1021(以後、「外側絶縁層部」とする)とに分割されている。
表示パネル100の周辺領域20には、下部樹脂絶縁層102上において、平面視において有機EL素子アレイ100arが存在する画像表示領域10の外方に延在する配線層203が配されている。配線層203は対向電極107の表示パネル100内の電気抵抗を低減するための配線である。配線層203は周辺領域20の外縁付近まで連続して配され給電部(不図示)に接続される。
また、図2において、電子輸送層106は画像表示領域10の外縁付近まで、対向電極107は画像表示領域10から周辺領域20における配線層203と重なる位置まで、それぞれ連続して形成される。
配線層203には、電子輸送層106及び対向電極107に被覆されない範囲に、複数の開口(スリット)203a(以後、「開口」とする)が開設され、配線層203の開口203aからは下部樹脂絶縁層102が露出している。これより、バンク及び発光層105の成膜後の焼成時に、下部樹脂絶縁層102から除去される水分が配線層203の開口203aを通って上方に排出される。
<表示パネル100の積層構造>
図3は、表示パネル100の概略構成を示す、図2におけるX1−X1で切断した模式断面図である。
同図に示すように、表示パネル100は、画像表示領域10では、基板101、下部樹脂絶縁層102、画素電極103、行バンク114、列バンク104、発光層105、電子輸送層106、対向電極107、封止層108、封止補強層120を備える。また、周辺領域20では、基板101、接続配線層111、下部樹脂絶縁層102、配線層203、樹脂絶縁層214、対向電極107、周堤204、封止層108、封止補強層120を備える。本実施の形態では、画素電極103と配線層203、行バンク114と樹脂絶縁層214、列バンク104と周堤204は、それぞれ、同一材料により同一レイヤーに形成されている。
(基板101)
基板101は、絶縁材料である基材101aと、TFT(Thin Film Transistor)層101bとを含む。TFT層101bには、TFTからなる公知の駆動回路が画素ごとに形成されてなる。
基材101aは、本実施の形態ではフレキシブル性を確保するため、絶縁性の樹脂材料からなることが望ましい。当該樹脂材料として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を積層した積層体を用いることができる。
基板101は、周辺領域20において、TFT層101bに替えて配線層112を有する。配線層112は、TFT層101bから引き出された複数の配線を含む。各配線は、互いに間隔を置いて形成され、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)などの金属や、合金(例えば、MoW、MoCr、NiCr)等の導電材料からなる。
また、基板101は、TFT層101b又は配線層112とを覆う絶縁性の保護膜であり、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)等で形成されるパッシベーション膜(不図示)を有する。周辺領域20において配線層112から引き出された接続端子1121がパッシベーション膜から露出しており、外部のドライブ回路(不図示)に接続される。
(下部樹脂絶縁層102)
下部樹脂絶縁層102は、基板101の上方に形成されている。下部樹脂絶縁層102は、絶縁性の樹脂材料からなり、TFT層101b上又は配線層112上に形成されるパッシベーション膜の上面の段差を平坦化するものである。樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。
なお、上述のとおり、下部樹脂絶縁層102の周辺領域20には、当該下部樹脂絶縁層102の外周縁に沿うようにして溝(以下、「周溝」という。)1022が形成され(図1参照)、これにより下部樹脂絶縁層102が内側絶縁層部1023と外側絶縁層部1021に完全に分離されており、周溝1022の底部にはパッシベーション膜が露出している。
下部樹脂絶縁層102が除去された周溝1022の間隙幅は、20μm以上500μm以下であることが好ましく、30μm以上200μm以下であることがより好ましい。本実施の形態では、約100μm以下とした。
上述のとおり、下部樹脂絶縁層102は、ポリイミド系樹脂またはアクリル系樹脂等の絶縁材料からなり、水分を透過しやすい性質を有する。しかしながら、周溝1022を設けることにより、仮に、周溝1022の外側の外側絶縁層部1021に基板の外縁方向から水分が浸入した場合でも、画像表示領域10への水分の浸入を抑制できる。
(画素電極103)
画素電極103は、光反射性の金属材料からなる金属層を含み、下部樹脂絶縁層102上に形成されている。画素電極103は、画素ごとに設けられ、コンタクトホール内の接続電極103aを介してTFT層101bと電気的に接続されている。
本実施の形態においては、画素電極103は、陽極として機能する。
光反射性を具備する金属材料の具体例としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが挙げられる。
画素電極103は、金属層単独で構成してもよいが、金属層の上に、ITO(酸化インジウム錫)やIZO(酸化インジウム亜鉛)のような金属酸化物からなる層を積層した積層構造としてもよい。
(配線層203)
表示パネル100の周辺領域20には、下部樹脂絶縁層102上において、平面視において画像表示領域10の外方に延在する配線層203が配されている。配線層203は対向電極107と一部で積層されて接触することにより、対向電極107のバス配線として機能し、表示パネル100内の電気抵抗を低減する。本実施の形態では、配線層203は画素電極103と同一材料により同一レイヤーに形成されている。
(行バンク114、列バンク104)
行バンク114及び列バンク104は、画素電極103の上面の一部を露出させ、その周辺の領域を被覆した状態で形成されている。
画素電極103上面において行バンク114又は列バンク104で被覆されていない領域(以下、「開口部」という)は、副画素に対応している。
行バンク114及び列バンク104は、例えば、絶縁性の有機材料(例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂等)からなる。列バンク104は、発光層105を塗布法で形成する場合には塗布されたインクがあふれ出ないようにするための構造物として機能し、発光層105を蒸着法で形成する場合には蒸着マスクを載置するための構造物として機能する。
(樹脂絶縁層214)
樹脂絶縁層214は、周辺領域20における下部樹脂絶縁層102の内側絶縁層部1023に配され、配線層203を覆い、配線層203の配線パターンによる凹凸を平坦化するための樹脂絶縁層である。樹脂絶縁層214を設けることにより、封止層108の樹脂封止層1082をウエットプロセスで形成する際、流動性がある塗布直後の樹脂材料が、配線パターンによる凹凸に沿って濡れ広がることを防止する。これより、樹脂封止層1082の外縁がいびつな形状となり、その上に積層形成される上部無機封止層1083に膜欠陥が生じることを防止できる。ここで、樹脂絶縁層214の厚みは、0.3μm以上1μm以下としてもよい。あるいは、0.4μm以上0.7μm以下としてもよい。実施の形態では、約0.5μmとした。また、樹脂絶縁層214の周溝1022に垂直な方向の幅は、例えば、120μm以上としてもよい。
上述のとおり、実施の形態では、樹脂絶縁層214は行バンク114と同一材料により同一レイヤーに形成される。
(周堤204)
周堤204(周状バンク)は、下部樹脂絶縁層102上面において、有機EL素子アレイ100arを囲繞して配され、樹脂封止層1082の平面視における外縁1082cを規定するための障壁である。実施の形態では、周堤204は周溝1022の基板101の内方に隣接して設けられており、周溝1022が周堤204を囲繞する位置関係にある。
ここで、封止層108の樹脂封止層1082をウエットプロセスで形成する際、その材料である樹脂は塗布時点で流動性があるため、外縁の一部が樹脂絶縁層102上面を濡れ広がり周溝1022内に浸入して、樹脂封止層1082の外縁がいびつな形状となるおそれがある。その場合、積層形成される上部無機封止層1083に膜欠陥が生じるおそれがある。このように周堤204を設けることにより、周堤204が「ダム」の役目を果たすので、樹脂封止層1082の形成のため塗布した樹脂材料の濡れ広がり規制し、樹脂封止層1082の外縁の位置を周堤204の内縁の位置に規定することができる。その結果、膜欠陥の要因を取り除くことができる。ここで、周堤204の厚みは、0.6μm以上1.5μm以下としてもよい。あるいは、0.8μm以上1.2μm以下としてもよい。実施の形態では、約1μmとした。また、周堤204の幅は、例えば、30μm以上としてもよい。
上述のとおり、実施の形態では、周堤204は列バンク104と同一材料により同一レイヤーに形成される。
(発光層105)
発光層105は、列バンク104の開口部内に形成されており、正孔と電子の再結合により、R、G、Bの各色の光を出射する機能を有する。
発光層105の材料としては、公知の材料を利用することができる。具体的には、例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
(電子輸送層106)
電子輸送層106は、対向電極107からの電子を発光層105へ輸送する機能を有する。電子輸送層106は、例えば、電子輸送性が高い有機材料からなり、具体的には、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料からなる。電子輸送層106は、アルカリ金属、または、アルカリ土類金属から選択されるドープ金属がドープされていてもよい。または、例えば、電子輸送層106は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から選択される金属の単体またはフッ化物から形成されてもよい。
(対向電極107)
対向電極107は、透光性の導電性材料からなり、電子輸送層106上に形成されている。対向電極107は、陰極として機能する。
対向電極107の材料としては、例えば、ITOやIZOなどを用いることができる。あるいは、対向電極107の材料として、銀、銀合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属の薄膜を用いてもよい。
(封止層108)
封止層108は、発光層105、電子輸送層106などの有機層が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有する。
封止層108は、それぞれ透光性を有する下部無機封止層1081、樹脂封止層1082、上部無機封止層1083の3層からなる。
下部無機封止層1081は、窒化シリコン(SiN)の薄膜であって、対向電極107の上面を被覆し、平面視において下部樹脂絶縁層102の外側絶縁層部1021の外縁近傍まで連続して配されている。ここで、「外側絶縁層部1021の外縁近傍」とは、外側絶縁層部1021の外縁から外側絶縁層部1021の幅に相当する距離だけ内方の位置から、外縁から同じ距離だけ外方の位置までの範囲を指す。
樹脂封止層1082は、樹脂からなり、外縁1082cが周堤204により規定され、下部無機封止層1081の上面をその周縁部を除いて被覆する。樹脂封止層1082を形成する樹脂材料として、例えば、フッ素系やアクリル系、エポキシ系、シリコン系等の樹脂が使用される。
上部無機封止層1083も、下部無機封止層1081と同様な窒化シリコンの薄膜であって、樹脂封止層1082の上面を被覆している。具体的には、上部無機封止層1083は、周堤204より内方では樹脂封止層1082の上面に、周堤204より外方では下部無機封止層1081の上面において、平面視において下部無機封止層1081の外縁近傍まで連続して配されている。ここで、「下部無機封止層1081の外縁近傍」とは、下部無機封止層1081の外縁から外側絶縁層部1021の幅に相当する距離だけ内方の位置から、外縁から同じ距離だけ外方の位置までの範囲を指す。
下部無機封止層1081は、周辺領域20では、平面視において樹脂材料からなる外側絶縁層部1021の内周縁の位置(P1)より外方であって、接続端子1121の位置(P3)まで至らない位置P2まで延在し、周辺領域20に存する外側絶縁層部1021の内側までを皮膜する。なお、位置P2とP3の距離は、封止補強層120の形成時に接着層109が多少染み出しても接続端子1121に至らないような距離に設定するのが望ましい(実施の形態では約600μmとしている)。
樹脂封止層1082は、樹脂材料を下部無機封止層1081上に塗布して形成されるが、上記したように周堤204により濡れ広がりが阻止されるため、その外縁は、周堤204の頂面上の画像表示領域10寄りに位置する。
上部無機封止層1083は、外側絶縁層部1021まで延在しており、その外縁が下部無機封止層1081の外縁と一致する。そのため、下部無機封止層1081、上部無機封止層1083の外縁部は、樹脂封止層1082を介せずに直接密着する。
これにより、基板外方から下部樹脂絶縁層102および樹脂封止層1082へ水分が直接浸入するのを防ぐことができ、封止層108の封止性を高めることができる。
(封止補強層120)
封止補強層120は、上記封止層108の表示パネル100の封止性を補強するものであり、実施の形態では、シート状の基材110(以下、「シート基材」という。)と、シート基材110を封止層108上に貼着するための接着層109とからなる。
シート基材110は、表示パネル100がトップエミッション型であるため、例えば、透明樹脂フィルムなどの光透過性材料が用いられる。シート基材110の下側主面には予め接着層109が形成されており、製造工程において上記封止層108上に位置合わせして貼着される。
接着層109の材料として、例えば、光透過性を有するアクリル系樹脂が使用される。
<表示パネルの製造方法>
表示パネル100の製造方法について、図面を用いて説明する。
図4は、表示パネル100の製造工程を示すフローチャートである。
(基板101の形成)
まず、基材101a上に、TFT層101bおよび配線層112を形成して基板101を形成する(ステップS1、図5(a))。TFT層101bおよび配線層112は、公知のTFTの製造方法により成膜することができる。
さらに、TFT層101b上にパッシベーション膜を形成する。このパッシベーション膜は、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)、酸窒化シリコン(SiON)等で形成されており、下部樹脂絶縁層102や列バンク104に含まれる不純物によりTFT層101bや配線層112を保護する。パッシベーション膜は、たとえばプラズマCVD法もしくはスパッタリング法などにより形成される。
次に、パッシベーション膜上に、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法を用いて接続配線層111を形成する(ステップS2、図5(b))。
次に、パッシベーション膜上に下部樹脂絶縁層102を形成する(ステップS3、図5(c))。下部樹脂絶縁層102は、例えば、樹脂材料をダイコート法やスピンコート法などを用いて塗布したのちに焼成して形成することができる。
次に、下部樹脂絶縁層102における、TFT層101bのソース電極上の個所にドライエッチング法を行い、コンタクトホール102cを形成する(ステップS4、図5(d))。コンタクトホール102cは、その底部に例えばTFTのソース電極の表面が露出するように形成される。
また、同様にドライエッチング法により下部樹脂絶縁層102の周縁部に周溝1022を形成して、下部樹脂絶縁層102を外側絶縁層部1021と内側絶縁層部1023に分離する(ステップS4、図5(d))。周溝1022の底には下部樹脂絶縁層102はなく、パッシベーション膜の上面が露出するまでドライエッチングされる。
次に、コンタクトホール102cの内壁に沿って接続電極103aを形成する(図5(e))。接続電極の上部は、その一部が下部樹脂絶縁層102、パッシベーション膜上に配される。接続電極の形成は、例えば、スパッタリング法を用いることができ、金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびウェットエッチング法を用いパターニングすることでなされる。
接続端子1121も、上記と同様な方法により形成されてもよい。すなわち、パッシベーション膜の周辺領域20における所定箇所にドライエッチングにより開口を形成し、スパッタリング等により金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびウェットエッチング法を用いパターニングすることで、下層の配線層112における配線と接続された接続端子1121をパッシベーション膜表面に形成することができる。
なお、下部樹脂絶縁層102は、公知のフォトレジスト法により形成しても構わない。
(画素電極103、配線層203の形成)
次に、下部樹脂絶縁層102上に画素電極材料層を形成する。画素電極材料層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法を用いて形成することができる。
次に、画素電極材料層をエッチングによりパターニングして、画像表示領域10にサブピクセルごとに区画された複数の画素電極103と、周辺領域20に配線層203を形成する(ステップS5、図5(e))。
(行バンク114、樹脂絶縁層214の形成)
次に、画素電極103および下部樹脂絶縁層102上に、行バンク114、樹脂絶縁層214の材料である行バンク用樹脂を塗布し、上部樹脂絶縁層材料層を形成する。
上部樹脂絶縁層材料層は、行バンク用樹脂であるフェノール樹脂を溶媒(例えば、乳酸エチルとGBLの混合溶媒)に溶解させた溶液を画素電極103上および下部樹脂絶縁層102上にスピンコート法などを用いて一様に塗布することにより形成される。そして、隔壁材料層にパターン露光と現像を行うことで行バンク114、樹脂絶縁層214を形成し、焼成する(ステップS6、図6(a))。焼成は、例えば、150℃以上210℃以下の温度で60分間行う。
(列バンク104、周堤204の形成)
次に、画素電極103および下部樹脂絶縁層102上に、列バンク104、周堤204の材料である列バンク用樹脂を塗布し、周堤材料層を形成する(図6(b))。
周堤材料層は、列バンク用樹脂であるフェノール樹脂を溶媒(例えば、乳酸エチルとGBLの混合溶媒)に溶解させた溶液を画素電極103上および下部樹脂絶縁層102上にスピンコート法などを用いて一様に塗布することにより形成される。そして、隔壁材料層にパターン露光と現像を行うことで列バンク104、周堤204を形成し、焼成する(ステップS7、図6(c))。これにより、発光層105の形成領域となる開口部が規定される。焼成は、例えば、150℃以上210℃以下の温度で60分間行う。
また、列バンク104の形成工程においては、さらに、列バンク104の表面を所定のアルカリ性溶液や水、有機溶媒等によって表面処理するか、プラズマ処理を施すこととしてもよい。これは、開口部に塗布するインク(溶液)に対する列バンク104の接触角を調節する目的で、もしくは、表面に撥水性を付与する目的で行われる。
(発光層105の形成)
次に、行バンク114及び列バンク104が規定する開口部に対し、発光層105の構成材料を含むインクを、インクジェット装置を用いて塗布し、乾燥(焼成)を行って発光層105を形成する(ステップS8、図7(a))。その他の塗布方法として、ディスペンス法、スクリーン印刷法などがある。
(電子輸送層106の形成)
次に、発光層105および列バンク104上に、電子輸送層106を成膜する(ステップS9、図7(b))。電子輸送層106は、例えば、蒸着法により各サブピクセルに共通して成膜することにより、画像表示領域10内に連続して形成される。
(対向電極107の形成)
次に、電子輸送層106上に、対向電極107を成膜する(ステップS10、図7(b)。対向電極107は、例えば、ITO、IZO、銀、アルミニウム等を、スパッタリング法、真空蒸着法により成膜することにより形成される。このとき、対向電極107は、周辺領域20において、外縁付近の一部が配線層203に積層されて、配線層203と電気的に接続する構成となる。
(封止層108の形成)
対向電極107上に、封止層108を形成する。
まず、SiNからなる下部無機封止層1081を、例えばプラズマCVD法により成膜することにより形成する(ステップS11、図7(c))。原料ガスとしては、例えば、シラン(SiH4)とアンモニア(NH3)が用いられ、さらに、窒素(N2)を用いてもよい。
下部無機封止層1081の外縁は、周辺領域20における外側絶縁層部1021上の位置P2まで延在するように形成される。このとき、下部無機封止層1081は、周溝1022の底の部分および外側絶縁層部1021の外方部分において、パッシベーション膜に直接接触している。
次に、樹脂封止層1082を、樹脂材料を下部無機封止層1081上にインクジェット装置のヘッド部200のノズル2010から吐出することにより塗布し硬化させて形成する(ステップS12、図8(a))。
このとき、図8(a)に示すように、樹脂材料は、外縁1082aが下部無機封止層1081上であって周堤204からは所定距離だけ離間するように塗布される。封止層108の樹脂封止層1082をウエットプロセスで形成する際、流動性がある塗布直後の樹脂材料が、下部無機封止層1081上面を濡れ広がり周堤204の内縁に到達し、樹脂材料の外縁1082cは周堤204により規定される。ここで、樹脂材料の外縁1082aから周堤204の内縁までの距離は、例えば、200μm程度としてもよい。樹脂材料の濡れ広がり約100μmと、インクジェットによる塗布位置のばらつき約100μmの合計値程度であることが好ましいからである。
樹脂材料の硬化では、例えば、これらの樹脂材料が熱硬化性を有すれば加熱し、これらの樹脂材料が紫外線硬化性を有すれば紫外線を照射することにより硬化させることができる。これより、樹脂封止層1082は、外縁1082cが周堤204により規定され、下部無機封止層1081の上面をその周縁部を除いて被覆する構成となる。
なお、樹脂材料を塗布する方法としては、上記のインクジェット法以外にスクリーン印刷法やディスペンス法などを用いることができる。
上部無機封止層1083が、下部無機封止層1081と同一の成膜条件により、樹脂封止層1082上に形成される(ステップS13、図8(b))。このとき、上部無機封止層1083の外縁は、周辺領域20における外側絶縁層部1021上の位置P2まで延在するように形成される。
上述の通り、周堤204による堰き止め作用により、樹脂封止層1082の外縁は、内側絶縁層部1023の上方に位置しており、下部無機封止層1081と上部無機封止層1083は、平面視において内側絶縁層部1023の外方まで延在するため、下部無機封止層1081と上部無機封止層1083はその外縁部において樹脂封止層1082を介さずに直接積層される。樹脂封止層1082の樹脂が外部に露出するおそれがないので、大気中の水分などが、樹脂封止層1082内に浸入しにくい。
(シート基材110の貼着(封止補強層120の形成))
実施の形態では、シート基材110は、透明な樹脂フィルムを予め設計されたサイズに裁断してなり、その一方の主面に粘着剤が一面に塗布されて接着層109が形成されている。
このシート基材110を接着層109の塗布された面を下にして、封止層108上に位置決めして載置し、例えば、真空圧着法により圧着する(ステップS14。図8(c))。
このとき、真空圧着と並行して、あるいは、真空圧着の後に、接着層109を硬化させるための処理を実施する。例えば、これらの材料が熱硬化性を有すれば加熱し、これらの材料が紫外線硬化性を有すれば紫外線を照射する。これにより封止補強層120が形成される。
最後に、周辺領域20上にある封止層108の周縁部における接着層109より外側の部分を、反応性イオンエッチング法(RIE)により除去する(ステップS10)。
以上の工程を経て、表示パネル100が完成する。
<評価試験>
以下、表示パネル100の封止構造について試験により評価を行った。以下、その結果について説明する。
発明者は、比較例1、2、3に係る表示パネル100S1、100S2、100S3を作成し、実施例に係る表示パネル100との比較を行った。
(塗布直後の樹脂材料の流れ出しについて)
図9(a)〜(c)は、それぞれ比較例1、2、3に係る表示パネル100S1、100S2、100S3を図1のX1−X1と同じ位置で切断した模式平面図である。
先ず、実施例に係る表示パネル100では、上記した構成の表示パネル100において、樹脂封止層1082を形成する工程では、下部無機封止層1081の上面における、周堤204により内方に所定距離だけ離れた位置に樹脂材料の外縁が位置するように樹脂材料を塗布した後、周堤まで濡れ広がった状態で硬化させることにより、周堤204により外縁が規定される樹脂封止層1082を形成する構成を採る(図3参照)。
これに対し、比較例1に係る表示パネル100S1は、図9(a)に示すように、樹脂絶縁層214と周堤204を備えない点で相違する。さらに、樹脂封止層1082xを形成する工程において、内側下部樹脂絶縁層部1023の外縁の位置に樹脂材料の外縁1082aが位置するように樹脂材料を塗布した後、硬化させることにより樹脂封止層を形成する点で、表示パネル100と相違する。
比較例2に係る表示パネル100S2は、図9(b)に示すように、樹脂絶縁層214と周堤204を備えない点で相違する。さらに、樹脂封止層1082xを形成する工程において、内側下部樹脂絶縁層部1023の外縁より内方に所定距離だけ離れた位置に樹脂材料の外縁1082aが位置するように樹脂材料を塗布した後、硬化させることにより樹脂封止層を形成する点で、表示パネル100と相違する。塗布された樹脂材料の一部分は外縁1082bまで濡れ広がった状態で樹脂材料が硬化するが、塗布された樹脂材料の他の部分は濡れ広がらない状態で樹脂材料が硬化する。
比較例3に係る表示パネル100S3は、図9(c)に示すように、樹脂封止層1082xを形成する工程において、樹脂絶縁層214上に敷設された下部無機封止層1081の上面における、周堤204より内方に実施例より距離が長い所定距離だけ離れた位置に樹脂材料の外縁1082aが位置するように樹脂材料を塗布した後、塗布された樹脂材料は周堤204まで濡れ広がらない状態で樹脂材料が硬化する点で表示パネル100と相違する。比較例3による実験は、樹脂絶縁層214がある状態において樹脂材料の外縁における濡れ広がりの状態を確認するために行った実験である。
比較例に係る表示パネル100S1、100S2、100S3は、それぞれ他の構成については表示パネル100の各構成と同じである。
(評価結果)
先ず、樹脂封止層1082を形成する工程における、樹脂材料の塗布直後の流れ出しの様子を観察した。
図10(a)〜(c)は、樹脂封止層1082xを形成する工程での樹脂材料の塗布直後における、比較例1〜3に係る表示パネルの周辺領域を平面視した写真である。図11(a)は、図10(a)におけるC部の拡大図、(b)は、図10(b)におけるB部の拡大模式図である。
比較例1に係る表示パネル100S1では、図10(a)、図11(a)に示すように、樹脂材料の流れ出しが生じ流れ出した部分1082bが周溝1022内に浸入していることが確認できた。封止層108の樹脂封止層1082をウエットプロセスで形成する際、インクジェットによる塗布位置のばらつきにより、樹脂材料1082xが内側下部樹脂絶縁層部1023の外縁の位置よりも基板外方に塗布され、あるいは、樹脂材料1082xの流れ出しが生じ、樹脂材料1082xが周溝1022内に浸入したと考えられる。
次に、比較例2に係る表示パネル100S2では、図10(b)、図11(b)に示すように、樹脂材料の流れ出しが生じ流れ出した部分1082bが、塗布直後の樹脂材料の外縁1082aの位置から内側下部樹脂絶縁層部1023の外縁方向に移動していることが確認できた。塗布した樹脂材料の一部分が流れ出すことにより、樹脂材料が存在しない部分(未濡れ部)が発生し、異物に対する封止性が悪化する。
一方、比較例3に係る表示パネル100S3では、図10(c)、図11(c)に示すように、樹脂材料の流れ出しが生じず、樹脂材料の外縁の位置が、塗布直後の外縁1082aの位置から変化していないことが確認できた。樹脂絶縁層214は平坦化層として機能するため、配線層203のパターンに起因して表面に現れる凹部は平坦化され樹脂材料1082xが硬化処理を施すまでに凹部のパターンに沿った流れ出しは生じない。
(異物に対する封止性の確保について)
次に、表示パネルの製造工程において異物が膜表面に付着した場合の封止性の確保について、比較例2及び実施例をもとに考察した。
図12(a)〜(b)は、それぞれ比較例2、実施例に係る表示パネル100S2、100を図1のX1−X1と同じ位置で切断した模式平面図である。図13(a)は、図12(a)におけるD部の拡大図、(b)は、図12(b)におけるE部の拡大図である。
比較例2に係る表示パネル100S2では、図12(a)に示すように、表示パネルの製造工程において配線層203の上面に異物F0が載設された場合、異物F0を被覆するように下部無機封止層1081、上部無機封止層1083が順次成膜される。このとき、図13(a)に示すように、異物F0の下部周辺に成膜された下部無機封止層1081は異物F0の下部の近傍においてシームSM1や空洞といった膜欠陥を伴い、いびつな膜形状となる。そして、その上方に成膜された上部無機封止層1083にも、下地層の膜欠陥に起因して同じ箇所に膜欠陥が発生し、異物F0の下部の近傍においてシームSM2や空洞といった膜欠陥を伴う。同じ位置に生じたシームSM1、2、外部からの水分侵入を許容する。仮に、水分が侵入した場合には、水分は内側下部樹脂絶縁層部1023を介して有機EL素子アレイ100arに到達する。このように、下部無機封止層1081及び上部無機封止層1083は有機EL素子アレイ100arを外部の水分やガス等から保護するための主なバリアであるが、これらの膜欠陥は封止層108の気密性を低下させる。
これに対し、実施例に係る表示パネル100では、上述のとおり、図12(b)に示すように、樹脂封止層1082を形成する工程において、下部無機封止層1081の上面における、周堤204により内方に所定距離だけ離れた位置に樹脂材料の外縁が位置するように樹脂材料を塗布し、周堤204まで濡れ広がった後、硬化させることにより、周堤204により外縁が規定される樹脂封止層1082を形成されている。
そのため、表示パネルの製造工程において配線層203の上面に異物F0が載設された場合、異物F0を被覆するように下部無機封止層1081、樹脂封止層1082、上部無機封止層1083が順次積層される。このとき、図13(b)に示すように、異物F0の下部周辺に成膜された下部無機封止層1081は異物F0の下部の近傍においてシームSM3や空洞といった膜欠陥を伴い、いびつな膜形状となる。しかしながら、その上面に積層される樹脂封止層1082は柔軟性を有する有機材料から構成され、かつ、所定の厚みを有することから異物F0を被覆して異物F0による凸形状を吸収する。そのため、形成された樹脂封止層1082の上面は平坦な形状となる。
そして、その上方に成膜された上部無機封止層1083に、下地層の膜欠陥に起因して同じ箇所に膜欠陥が発生することが抑止され、封止性の高い上部無機封止層1083が成膜され、外部からの水分等の侵入を遮断することができる。すなわち、下部無機封止層1081、樹脂封止層1082、及び上部無機封止層1083は有機EL素子アレイ100arを外部の水分やガス等から保護するためのバリアとして機能する。
<まとめ>
以上のとおり、実施の形態に係る表示パネル100は、基板101の上方に配された下部樹脂絶縁層102と、下部樹脂絶縁層102の上方において、平面方向に延在して配された配線層203と、基板101の上方において、配線層203を覆う樹脂絶縁層214と、樹脂絶縁層214上面において、有機EL素子アレイ100arを囲繞して配された周堤204と、有機EL素子アレイ100ar上方において、平面視において樹脂絶縁層214の外縁近傍まで連続して配された下部無機封止層1081と、下部無機封止層1081の上面に配され、外縁が周堤204により規定されている樹脂封止層1082と、周堤より内方では樹脂封止層1082の上面に、周堤204より外方では下部無機封止層1081の上面において、平面視において下部無機封止層1081の外縁近傍まで連続して配された上部無機封止層1083と、基板の上方、かつ、配線層203の下方において、下部樹脂絶縁層102を備え、周堤204は樹脂絶縁層214の基板101の外方の端部に位置し、下部樹脂絶縁層102には、周堤204を囲繞するように周溝1022が形成されており、当該周溝1022によって、下部樹脂絶縁層102が内側下部樹脂絶縁層部1023と外側下部樹脂絶縁層部1021に分離されており、下部無機封止層1081が周溝1022の内側面および底部および外側下部樹脂絶縁層部1021の表面の一部を覆っている構成を採る。
そして、表示パネル100を製造するために、樹脂封止層1082を形成する工程において、下部無機封止層1081の上面における、周堤204により内方に所定距離だけ離れた位置よりも内方に樹脂材料1082xを塗布した後、周堤204まで濡れ広がった状態で硬化させることにより、外縁1082aが周堤204により規定されている樹脂封止層1082を形成し、上部無機封止層1083を形成する工程では、周堤204より内方では樹脂封止層1082の上面に、周堤204より外方では下部無機封止層1081の上面において、平面視において下部無機封止層1081の外縁近傍まで連続して配することを特徴とする。
係る構成により、実施の形態に係る表示パネル100は、以下の効果を奏する。
(1)封止層108の樹脂封止層1082をウエットプロセスで形成する際、インクジェットによる塗布位置のばらつきにより、樹脂材料1082が周堤204よりも基板外方に塗布されることを防止し、周堤204を超えて塗布された樹脂材料1082が周溝1022内に浸入することを防止できる。
(2)流動性がある塗布直後の樹脂材料1082の一部分が、硬化処理を施すまでの間に下部無機封止層1081の表面の凹凸のパターンに沿って濡れ広がり、樹脂材料が存在しない箇所が発生し、封止性が悪くなることを防止できる。
(3)表示パネル100では、樹脂封止層1082を形成する工程において、下部無機封止層1081の上面における、周堤204により内方に所定距離だけ離れた位置に樹脂材料の外縁が位置するように樹脂材料を塗布し、周堤204まで濡れ広がった状態で硬化させることにより、周堤204により外縁が規定される。樹脂絶縁層214は下地の配線層203の凹凸を吸収する平坦化層として機能するため、その上に積層される下部無機封止層1081の表面は平坦化され、下部無機封止層1081の現れる下地の凹凸は平滑化される。そのため、流動性がある塗布直後の樹脂材料1082が、硬化処理を施すまでの間に下部無機封止層1081の平坦な表面に沿って周堤204まで濡れ広がり、樹脂封止層1082の外縁は内側下部樹脂絶縁層部1023の外縁方向に移動し周堤204により位置規制される。これより、樹脂封止層1082の外縁は周堤204により規定され、樹脂封止層1082の外縁がいびつな形状となることを防止できる。これより、樹脂材料が存在しない箇所が発生し、封止性が悪くなることを防止できる。
(4)表示パネルの製造工程において配線層203の上面に異物F0が載設された場合、異物F0を被覆する下部無機封止層1081の上面に積層される樹脂封止層1082は柔軟性を有する有機材料から構成され、かつ、所定の厚みを有することから異物F0を被覆して異物F0による凸形状を吸収し、樹脂封止層1082の上面は平坦化する。そして、積層された上部無機封止層1083に、異物に起因して膜欠陥が発生することが抑止される。その結果、封止性の高い上部無機封止層1083が成膜され、外部からの水分等の侵入を遮断する。これより、下部無機封止層1081、樹脂封止層1082、及び上部無機封止層1083は有機EL素子アレイ100arを外部の水分やガス等から保護するためのバリアとして機能する。
(5)下部樹脂絶縁層102が周溝1022により外側絶縁層部1021と内側絶縁層部1023に完全に分離されており、周溝1022の内側面および底部が下部無機封止層1081により皮膜されているため、たとえ、外側絶縁層部1021内に水分が浸入したとしても、周溝1022および下部無機封止層1081により遮断されて、内側絶縁層部1023まで浸入しにくい。そのため、水分が画像表示領域10に浸入することを抑止できる。
(6)表示パネル100では樹脂封止層1082を挟んでその外方で下部無機封止層1081と上部無機封止層1083とを接合することにより、樹脂封止層1082を無機層により袋状に閉じることができる。これにより、有機層である樹脂封止層1082に水分が浸入することを防止できる。
以上のとおり、本開示の態様に係る表示パネルおよびその製造方法によれば、狭小な周辺領域において有機EL発光素子アレイを被覆する樹脂材料の塗布直後の流れ出しを防止し、封止効果を高めることができる。
≪変形例≫
実施の形態に係る表示パネルを説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態に対して当業者が各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。以下では、そのような形態の一例として、表示パネルの変形例を説明する。
(1)上記実施の形態では、発光層の形成方法としては、スクリーン印刷法、スピンコート法、インクジェット法などの湿式成膜プロセスを用いる構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、気相成長法等の乾式成膜プロセスを用いることもできる。さらに、各構成部位の材料には、公知の材料を適宜採用することができる。
また、上記実施の形態では、発光層105は、行バンク上を列方向に連続して延伸している構成としている。しかしながら、上記構成において、発光層105は、行バンク上において画素ごとに断続している構成としてもよい。
(2)上記実施の形態では、下部無機封止層1081の成膜条件および組成と上部無機封止層1083の成膜条件および組成は同一であるとしたが、必ずしも完全に一致する必要はなく、当業者により適宜変更されてよい。
また、一般的に無機材料は樹脂よりも水分を吸収しにくい特性を有するので、下部無機封止層1081、上部無機封止層1083の材料として、上述の窒化シリコン(SiN)のほかに、他の適当な無機材料(例えば、酸窒化シリコン(SiON)、炭化シリコン(SiC)等)を使用してもよい。
(3)上記実施の形態では、封止層108の上に透明な樹脂フィルムからなるシート基材110を貼着することにより、封止性をより向上させていたが、シート基材110として樹脂材料からなる公知の偏光板フィルムを用いてもよい(例えば、特開平7−142170号公報、特開2001−4837号公報など参照)。
上記偏光板フィルムは、外部から入射して表示パネル100内部(特に、画素電極103)で反射した光を外部に透過させにくくするので、屋外などにおける表示パネル100の視認性を増すことができる。
また、上記実施の形態では、発光層105としてR、G、Bの個別の発光色を有する有機材料を用いたが、白色のみ発光する有機材料を使用し、シート基材110としてR、G、Bのフィルターを配列した公知のカラーフィルタ基板を用いてもよい。
(4)上記実施の形態のように、基材101aが樹脂からなるフレキシブル基板である場合には、基材101aとTFT層101bとの間に、実施の形態に係る下部無機封止層1081や上部無機封止層1083と同様な封止膜を備える構成としてもよい。本構成により、基板側からの水分の侵入を抑止することができる。
(5)上記実施の形態では、各有機EL素子が、画素電極、発光層、電子輸送層、対向電極からなる構成であるとしたが、例えば、画素電極と発光層との間に正孔注入層や正孔輸送層を含む構成であってもよいし、電子輸送層と対向電極との間に電子注入層を含む構成であってもよい。
また、上記実施の形態では、画素電極が反射型電極、対向電極が透過型電極であるトップエミッション型であるとしたが、画素電極が透過型電極、対向電極が反射型電極であるボトムエミッション型であるとしてもよい。その場合には、各構成について、適宜の変更が可能である。また、コロイド状量子ドット(Quantum Dot)を用いた量子ドットディスプレイ装置などに適用することもできる。
(6)上記実施の形態では、図3に示すように下部無機封止層1081と上部無機封止層1083のいずれの端縁が位置P2まで延びて、双方で外側絶縁層部1021の頂部および外側の側面を覆うように構成したが、下部無機封止層1081と上部無機封止層1083のうち少なくとも一方の封止層が、外側絶縁層部1021の頂部および外側の側面を覆うようにすれば、外側絶縁層部1021内に外部から容易に水分が浸入しないようにすることができる。
(7)また、下部無機封止層1081、上部無機封止層1083の端縁を位置P2に完全に一致させる必要はなく、その位置が多少異なっていてもよい。位置が多少異なっていても、下部無機封止層1081と上部無機封止層1083が直接接触している部分があれば、下部無機封止層1081と上部無機封止層1083の界面から水分の侵入を抑制することができるからである。
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
また、上記の工程が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記工程の一部が、他の工程と同時(並列)に実行されてもよい。
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
また、各実施の形態及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネル、及び有機EL表示装置は、テレビジョンセット、パーソナルコンピュータ、携帯電話などの装置、又はその他表示パネルを有する様々な電子機器に広く利用することができる。
10 表示領域
20 周辺領域
100 有機EL表示パネル
101 基板
101a 基材
101b TFT層
102 下部樹脂絶縁層(層間絶縁層)
1021 外側下部樹脂絶縁層部
1022 周溝
1023 内側下部樹脂絶縁層部
103 画素電極
203 配線層
114 行バンク
214 樹脂絶縁層
104 列バンク
204 周堤
105 発光層
106 電子輸送層
107 対向電極
108 封止層
1081 下部無機封止層
1082 樹脂封止層
1083 上部無機封止層
109 接着層
110 シート基材
111 接続配線層
112 配線層
1121 接続端子
120 封止補強層

Claims (4)

  1. 基板と、
    前記基板の上方に配された下部樹脂絶縁層と、
    前記下部樹脂絶縁層の上方において、平面方向に延在して配された配線層と、
    前記基板の上方において、前記配線層を覆う樹脂絶縁層と、
    前記基板の上方に配された有機EL素子を複数含む有機EL素子アレイと、
    前記樹脂絶縁層上面において、前記有機EL素子アレイを囲繞して配された周堤と、
    前記有機EL素子アレイ上方において、平面視において前記樹脂絶縁層の外縁近傍まで連続して配された下部無機封止層と、
    前記下部無機封止層の上面に配され、外縁が前記周堤により規定されている樹脂封止層と、
    前記周堤より内方では前記樹脂封止層の上面に、前記周堤より外方では前記下部無機封止層の上面において、平面視において前記下部無機封止層の外縁近傍まで連続して配された上部無機封止層とを備え、
    前記周堤は前記樹脂封止層の前記基板の外方の端部に位置し、
    前記下部樹脂絶縁層には、前記周堤を囲繞するように周溝が形成されており、当該周溝によって、前記下部樹脂絶縁層が内側下部樹脂絶縁層部と外側下部樹脂絶縁層部に分離されており、前記下部無機封止層が前記溝の内側面および底部および前記外側下部樹脂絶縁層部の表面の少なくとも一部を覆っている
    有機EL表示パネル。
  2. 前記上部無機封止層は、前記周溝内、及び前記下部樹脂絶縁層の前記外側下部樹脂絶縁層部の上面の一部又は全部において前記下部無機封止層と接触している
    請求項1に記載の有機EL表示パネル。
  3. 前記下部無機封止層の外縁、及び前記上部無機封止層の外縁は、前記下部樹脂絶縁層の前記外側下部樹脂絶縁層部に存在する
    請求項1又は2に記載の有機EL表示パネル。
  4. 基板を準備する工程と、
    前記基板の上方に下部樹脂絶縁層を形成する工程と、
    前記下部樹脂絶縁層の上方において、平面方向に延在して配線層を形成する工程と、
    前記基板の上方において、前記配線層を覆う樹脂絶縁層を形成する工程と、
    前記基板の上方に有機EL素子を複数含む有機EL素子アレイを形成する工程と、
    前記樹脂絶縁層上面において、前記有機EL素子アレイを囲繞して周堤を形成する工程と、
    前記有機EL素子アレイ上方において、平面視において前記樹脂絶縁層の外縁近傍まで連続して下部無機封止層を形成する工程と、
    前記下部無機封止層の上面における、前記周堤により内方に所定距離だけ離れた位置よりも内方に樹脂材料を塗布した後、前記周堤まで濡れ広がった状態で硬化させることにより、外縁が前記周堤により規定されている樹脂封止層を形成する工程と、
    前記周堤より内方では前記樹脂封止層の上面に、前記周堤より外方では前記下部無機封止層の上面において、平面視において前記下部無機封止層の外縁近傍まで連続して配された上部無機封止層を形成する工程とを有し、
    前記周堤を形成する工程では、前記周堤を前記樹脂封止層の前記基板の外方の端部に形成し、
    前記下部樹脂絶縁層を形成する工程では、前記周堤を囲繞するように周溝を形成し、当該周溝によって、前記下部樹脂絶縁層を内側下部樹脂絶縁層部と外側下部樹脂絶縁層部に分離し、前記下部無機封止層が前記周溝の内側面および底部および前記外側下部樹脂絶縁層部の表面の少なくとも一部を覆う
    有機EL表示パネルの製造方法。
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