JP2020181661A - 双極板、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池 - Google Patents

双極板、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池 Download PDF

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Abstract

【課題】割れ難い双極板、この双極板を備える電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池を提供する。【解決手段】レドックスフロー電池に利用される双極板であって、少なくとも一面に、電極が配置される第一の領域と、前記第一の領域よりも外縁側に位置する第二の領域とを備え、前記第一の領域は、導電材と樹脂とを含み、前記第二の領域は、樹脂を含む表層部を備え、前記表層部は、前記双極板の厚さ方向からの平面視で環状であり、前記表層部における前記樹脂の含有率が前記第一の領域の表面における前記樹脂の含有率よりも高い、双極板。【選択図】図5

Description

本開示は、双極板、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池に関する。
蓄電池の一つに、レドックスフロー電池がある。レドックスフロー電池は、代表的には、正極電極、隔膜、負極電極という順に並ぶ積層物を一つ又は複数備える。上記積層物は一組のセルフレームに挟まれる(例、特許文献1の図10、特許文献2の図8)。上記積層物を挟むセルフレームは、所定の圧力で締め付けられる。この締付力により、積層状態が維持される。
セルフレームは、双極板と、枠体とを備える。複数の上記積層物を備えるレドックスフロー電池では、正極電解液が供給される正極電極が双極板の一面に配置される。負極電解液が供給される負極電極が双極板の他面に配置される。枠体は、双極板において正極電極や負極電極が配置されない外縁側の領域を支持する。また、枠体は、正極電極や負極電極に電解液を供給すること等にも利用される。
国際公開第2016/072192号 特開2002−367658号公報
割れ難い双極板が望まれている。
例えば、特許文献1に記載されるセルフレームでは、Oリングといったシール部材が、双極板における外縁側の領域と枠体との間に介在される。上述の締付力は、シール部材が所定の圧力(シール圧)を生じるように調整される。
上述の締付力が十分に大きければ、所定のシール圧を満たすことができる。しかし、上記締付力が大きければ、双極板における外縁側の領域に負荷される応力も大きくなる。上記応力が大き過ぎれば、双極板における外縁側の領域に割れが生じることが考えられる。上述の積層物の数(積層数)が多い場合には、上記締付力が大きくなり易い。そのため、上述の割れの発生が更に懸念される。
そこで、本開示は、割れ難い双極板を提供することを目的の一つとする。また、本開示は、シール性に優れるレドックスフロー電池を構築可能な電池セル、セルスタックを提供することを別の目的の一つとする。更に、本開示は、シール性に優れるレドックスフロー電池を提供することを別の目的の一つとする。
本開示の双極板は、
レドックスフロー電池に利用される双極板であって、
少なくとも一面に、
電極が配置される第一の領域と、
前記第一の領域よりも外縁側に位置する第二の領域とを備え、
前記第一の領域は、導電材と樹脂とを含み、
前記第二の領域は、樹脂を含む表層部を備え、
前記表層部は、前記双極板の厚さ方向からの平面視で環状であり、
前記表層部における前記樹脂の含有率が前記第一の領域の表面における前記樹脂の含有率よりも高い。
本開示の電池セルは、
本開示の双極板を備える。
本開示のセルスタックは、
本開示の電池セルを複数備える。
本開示のレドックスフロー電池は、
本開示の電池セル、又は本開示のセルスタックを備える。
本開示の双極板は、割れ難い。本開示の電池セル、及び本開示のセルスタックは、シール性に優れるレドックスフロー電池を構築できる。本開示のレドックスフロー電池は、シール性に優れる。
図1は、実施形態のレドックスフロー電池の基本構造を模式的に示す説明図である。 図2は、実施形態の電池セル及び実施形態のセルスタックの概略を示す斜視図である。 図3は、実施形態1の双極板を示す平面図である。 図4は、実施形態1の双極板を備えるセルフレームを示す平面図である。 図5は、図4に示すセルフレームを(V)−(V)切断線で切断した状態を示す部分断面図である。 図6は、実施形態2の双極板の一例を備えるセルフレームを示す平面図である。 図7は、図6に示すセルフレームを双極板と枠体とに分解して示す平面図である。 図8Aは、図6に示すセルフレームを(VIII)−(VIII)切断線で切断した状態の一例を示す部分断面図である。 図8Bは、図6に示すセルフレームを(VIII)−(VIII)切断線で切断した状態の別例を示す部分断面図である。 図9は、実施形態2の双極板の更に別例を備えるセルフレームにおいて、外縁近くの部分を双極板の厚さ方向に平行な平面で切断した状態を示す部分断面図である。 図10は、実施形態の双極板における表層部と第一の領域の表面とについて、フーリエ変換赤外分光(FT‐IR)のスペクトルの一例を示すグラフである。 図11は、実施形態1の双極板であって、流路の一例を備える場合を示す平面図である。 図12は、実施形態1の双極板であって、流路の別例を備える場合を示す平面図である。 図13は、実施形態1の双極板であって、流路の更に別例を備える場合を示す平面図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係る双極板は、
レドックスフロー電池(以下、RF電池と呼ぶことがある)に利用される双極板であって、
少なくとも一面に、
電極が配置される第一の領域と、
前記第一の領域よりも外縁側に位置する第二の領域とを備え、
前記第一の領域は、導電材と樹脂とを含み、
前記第二の領域は、樹脂を含む表層部を備え、
前記表層部は、前記双極板の厚さ方向からの平面視で環状であり、
前記表層部における前記樹脂の含有率が前記第一の領域の表面における前記樹脂の含有率よりも高い。
本開示の双極板がRF電池に組み付けられた状態において、第二の領域は上述の締付力に起因する応力といった外力が負荷され易い領域であるものの、割れが発生し難い。この理由の一つとして、以下のように考えられる。第二の領域に備えられる表層部は、樹脂を相対的に多く含む。そのため、第二の領域では、その表面が起点となる割れを著しく抑制することができる。
第二の領域が割れ難ければ、代表的には、双極板の一面側に流れる正極電解液と双極板の他面側に流れる負極電解液とが割れを介して混合されることを防止することができる。このような本開示の双極板は、シール性に優れるRF電池を構築できる。
(2)本開示の双極板の一例として、
前記表層部における前記樹脂の含有率は、前記第一の領域における前記樹脂の含有率の1.5倍以上である形態が挙げられる。
上記の表層部では、第一の領域に比較して、樹脂が多く、導電材が少ない又は実質的に存在しない。従って、上記形態は、より割れ難い。
(3)本開示の双極板の一例として、
前記表層部の厚さが50μm以上1mm以下である形態が挙げられる。
上記形態は、表層部が適切に存在するため、割れ難い。また、上記形態は、後述するように表層部を形成し易い点で、製造性にも優れる。
(4)本開示の双極板の一例として、
前記第二の領域は、厚さが異なる段差部を有し、
前記段差部における下段面に前記表層部を備える形態が挙げられる。
上記形態は、代表的には、双極板と枠体とが一体に成形されておらず、独立した形態のセルフレーム(詳細は後述する)に利用される。このセルフレームの一例として、枠体の外周側の厚さと内周側の厚さとが異なるという段差構造を有するものがある。この枠体の段差箇所に、双極板の段差部を載置することでセルフレームが構築される。セルフレームを構築し易い点で、上記形態は、RF電池の製造性の向上に寄与する。また、このセルフレームでは、枠体と双極板の外縁との間に、ある程度の大きさのギャップを確保することができる。そのため、枠体からの応力が双極板に負荷され難い。この点で、上記形態は、より割れ難い。
(5)本開示の双極板の一例として、
前記表層部の幅が3mm以上である形態が挙げられる。
上記形態は、表層部が適切に存在するため、割れ難い。また、上記形態が上述の双極板と枠体とが独立した形態のセルフレームに利用される場合、表層部は、双極板と枠体との間に介在されるシール部材の幅よりも大きな幅を有し易い。この点で、上記形態は、より割れ難い。
(6)本開示の双極板の一例として、
前記第一の領域に含まれる前記樹脂、及び前記表層部に含まれる前記樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリフェニレンスルフィドからなる群より選択される一種以上の熱可塑性樹脂を含む形態が挙げられる。
上記形態は、後述するように、第一の領域を成形し易い点、表層部が薄い膜状である場合に形成し易い点から、製造性にも優れる。
(7)上記(6)の双極板の一例として、
前記第一の領域に含まれる前記樹脂、及び前記表層部に含まれる前記樹脂は、同種の前記熱可塑性樹脂を含む形態が挙げられる。
第一の領域と表層部とが同種の樹脂を含むため、第一の領域と表層部との界面近くの領域を、例えば、表層部から第一の領域に向かって上記同種の樹脂が拡散したような領域とすることができる。このような樹脂の拡散領域を含むことで、上記界面近くの領域に負荷される応力に起因する割れや変形が緩和される。この点からも、上記形態は、割れ難い。
(8)本開示の双極板の一例として、
前記第一の領域における前記表層部に隣接する箇所の破断伸びが0.5%以上である形態が挙げられる。
上記の第一の領域は導電材を含むものの、伸びに優れる。そのため、第一の領域と表層部との界面で表層部が剥離し難い。従って、上記形態は、双極板全体として割れ難い。
(9)本開示の一態様に係る電池セルは、
上記(1)から(8)のいずれか一つの双極板を備える。
本開示の電池セルは、上述のように本開示の双極板が割れ難いため、シール性に優れるRF電池を構築できる。
(10)本開示の一態様に係るセルスタックは、
上記(9)の電池セルを複数備える。
本開示のセルスタックは、上述のように本開示の双極板が割れ難いため、シール性に優れるRF電池を構築できる。特に、電池セルの積層数が多く、上述の締付力が大きい場合でも、双極板が割れ難い。この点からも、上記形態は、シール性に優れるRF電池を構築できる。
(11)本開示の一態様に係るレドックスフロー電池(RF電池)は、
上記(9)の電池セル、又は上記(10)のセルスタックを備える。
本開示のRF電池は、上述のように本開示の双極板が割れ難いため、シール性に優れる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本開示の実施形態に係る双極板、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池(RF電池)を説明する。図において同一符号は同一名称物を意味する。
[実施形態]
まず、主に図1,図2を参照して、RF電池1、電池セル10、セルフレーム3、セルスタック100について、概要を順に説明する。その後、実施形態の双極板4を詳細に説明する。
(概要)
〈RF電池〉
RF電池1は、電解液循環型の蓄電池の一つである。RF電池1は、電池セル10(後述のセルスタック100でもよい)と、電池セル10に電解液を供給する循環機構とを備える。RF電池1は、電池セル10に電解液を供給しながら、充放電を行う。
代表的には、RF電池1は、介在機器6を介して、発電部7と負荷8とに接続される。RF電池1は、発電部7を電力供給源として充電を行い、負荷8を電力提供対象として放電を行う。介在機器6は、例えば交流/直流変換器、変電設備等が挙げられる。発電部7は、例えば太陽光発電機、風力発電機、その他一般の発電所等が挙げられる。負荷8は、例えば電力系統や電力の需要家等が挙げられる。RF電池1は、負荷平準化、瞬低補償や非常用電源、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギー発電の出力平滑化等に利用される。
〈電池セル〉
電池セル10は、代表的には、正極電極13と、負極電極14と、隔膜11とを備え、後述のセルフレーム3を用いて構築される。隔膜11は、正極電極13と、負極電極14との間に介在される。正極電極13、負極電極14は、例えば、炭素系材料の繊維集合体、多孔質の金属部材等が挙げられる。炭素系材料の繊維集合体は、例えば、カーボンフェルト、カーボンペーパー、カーボンクロス等が挙げられる。隔膜11は、例えば、イオン交換膜等が挙げられる。以下の説明では、正極電極13及び負極電極14の一方を代表して、単に電極と呼ぶことがある。
RF電池1が一つの電池セル10を備える単セル電池である場合、RF電池1は、セルフレーム3、正極電極13、隔膜11、負極電極14、セルフレーム3という順に積層された積層物(図2の分解図参照)を備える。RF電池1が複数の電池セル10を備える多セル電池である場合、RF電池1は、セルフレーム3、正極電極13、隔膜11、負極電極14という順に繰り返し積層された積層物(図1)を備える。この積層物がセルスタック100である。
〈セルフレーム〉
セルフレーム3は、双極板4と、枠体30とを備える。
双極板4は、電流を流す導電板である。双極板4の表面おいて電極が配置される領域(後述の第一の領域41、図2)は、電解液が流通される領域でもある。但し、双極板4は、その表裏に電解液を透過させない。
双極板4の第一の領域41は、流路5を備えてもよい(図11〜図13参照)。流路5を備える双極板4は、電解液の流通性に優れる。以下、図11〜図13を参照して流路5の具体例を説明する。なお、以下の流路5は、例示であり、流路5の形状、大きさ、個数等は適宜変更できる。また、双極板4は、流路5を備えていなくてもよい。
図11〜図13は、双極板4をその厚さ方向(図11〜図13では紙面垂直方向)から平面視した図である。
図11は、流路5として、電解液の流通方向(ここでは紙面上下方向)に延びる複数の直線状の溝51を備える場合を示す。各溝51は、後述の供給縁5i(後述の図4参照)に開口する一端部と、後述の排出縁5o(図4参照)に開口する他端部とを備える。また、各溝51は、電解液の供給縁5iと電解液の排出縁5o間の距離に等しい長さを有する。これらの溝51は、供給縁5i又は排出縁5oの延設方向に所定の間隔で並ぶ。
図12は、流路5として蛇行する溝52を備える場合を示す。溝52は、供給縁5iに開口する一端部と、排出縁5oに開口する他端部とを備える。溝52の中間部は供給縁5iと排出縁5oとの間を振幅する。溝52の長さは、図11に示す直線状の溝51の長さよりも長い。
図13は、流路5として、電解液の流通方向に延びる直線状の溝を備える場合の別例を示す。この流路5は、上述の溝51よりも短い直線状の溝53,54を備える。溝53は、供給縁5iに開口する一端部と、排出縁5o側で閉口する他端部とを備える。溝54は、供給縁5i側で閉口する一端部と、排出縁5oに開口する他端部とを備える。溝53と溝54とは、供給縁5i又は排出縁5oの延設方向に所定の間隔をあけて交互に並ぶ。
枠体30は、双極板4において電極が配置されない領域、代表的には外縁44(後述の図3等)側の領域を支持する。また、枠体30は、双極板4に配置される電極に電解液を供給すること、及び電極からの電解液を排出することに利用される。
枠体30は、図2に示すように、窓部31と、電解液の供給路及び排出路とを備える。窓部31は、枠体30の中央部に設けられて、双極板4の第一の領域41を露出させる。図2は、枠体30として、外形及び窓部31の形状が長方形である場合を例示する。枠体30の外形、窓部31の形状は適宜変更できる。枠体30は、電気絶縁材料からなる。電気絶縁材料は、例えば、熱可塑性樹脂(例、塩化ビニル)といった各種の樹脂が挙げられる。
代表的には、枠体30は、一面に正極側の供給路及び排出路を備え、他面に負極側の供給路及び排出路を備える。上記供給路は、給液マニホールド33(正極),34(負極)と、給液マニホールド33,34から窓部31に連続するスリット等とを備える。上記排出路は、排液マニホールド35(正極),36(負極)と、窓部31から排液マニホールド35,36に連続するスリット等とを備える。窓部31の内周縁において、上記供給路のスリットの開口部を含む箇所(図2では下端縁)は、電解液の供給縁5iとして利用される。窓部31の内周縁において、上記排出路のスリットの開口部を含む箇所(図2では上端縁)は、電解液の排出縁5oとして利用される。その他、枠体30には、シール部材38が配置される。シール部材38によって、隣り合うセルフレーム3は、液密に保持される(図1)。
単セル電池又は多セル電池の端部に利用されるセルフレーム3では、双極板4の一面に一方の電極が配置される。多セル電池の中間部に利用されるセルフレーム3では、一つの双極板4の一面に正極電極13が配置される。この双極板4の他面に負極電極14が配置される。つまり、一組の正極電極13及び負極電極14は、一つの双極板4の両面を挟むように配置される(図1、後述の図5等も参照)。
〈セルスタック〉
セルスタック100は、代表的には複数の電池セル10を備える上述の積層物と、一対のエンドプレート101と、締結部材102とを備える。締結部材102は、長ボルト等の連結材及びナット等が挙げられる。一対のエンドプレート101は、締結部材102によって締め付けられる。この締付力、即ち上記積層物の積層方向の締付力によって、上記積層物は、積層された状態に保持される。
セルスタック100は、図2に例示するように、複数のサブセルスタック110を備えてもよい。サブセルスタック110は、所定数の電池セル10の積層物と、この積層物を挟む一対の給排板103とを備える。給排板103には、後述の配管160,170(図1)が接続される。
〈循環機構〉
循環機構は、図1に示すように、タンク16,17と、配管160,170(往路配管161,171、復路配管162,172)と、ポンプ18,19とを備える。タンク16は、正極電極13に循環供給する正極電解液を貯留する。往路配管161及び復路配管162は、タンク16と電池セル10又はセルスタック100とに接続される。タンク17は、負極電極14に循環供給する負極電解液を貯留する。往路配管171及び復路配管172は、タンク17と電池セル10又はセルスタック100とに接続される。ポンプ18,19はそれぞれ、往路配管161,171に接続されて、電池セル10に電解液を圧送する。図1の黒矢印は、電解液の流れを例示する。
〈電解液〉
電解液は、活物質となるイオンを含む溶液が挙げられる。代表的な電解液は、上記イオンと、酸とを含む水溶液が挙げられる。図1は、正負の活物質としてバナジウムイオンを含む全バナジウム系RF電池を例示する。正極活物質としてマンガンイオンを含み、負極活物質としてチタンイオンを含むMn−Ti系RF電池等、公知の組成の電解液を利用することができる。
〈双極板〉
以下、図3〜図10を参照して、実施形態の双極板4を説明する。
図3は、双極板4をその厚さ方向(図3では紙面垂直方向)から平面視した図である。
図4,図6は、双極板4を備えるセルフレーム3を上記の平面視した図である。
図5は、図4に示すセルフレーム3において、双極板4における外縁44近くの部分を双極板4の厚さ方向に平行な平面で切断した断面を示す。
図7は、双極板4と、枠体30とを上記の平面視した図である。
図8A,図8Bはそれぞれ、図6に示すセルフレーム3において、双極板4における外縁44近くの部分を双極板4の厚さ方向に平行な平面で切断した断面を示す。
図9は、図8A等と同様に、双極板4における外縁44近くの部分を上記の平面で切断した断面を示す。
以下、平面視とは、双極板4の厚さ方向からみた状態とする。
《概要》
実施形態の双極板4は、RF電池1に利用される部材である。実施形態の双極板4は、その少なくとも一面に、電極が配置される第一の領域41と、第一の領域41よりも外縁44側に位置する第二の領域42とを備える。図5,図9は、双極板4の両面に第一の領域41及び第二の領域42を備える場合を例示する。図8A,図8Bは、双極板4の一面に第一の領域41及び第二の領域42を備え、他面は第一の領域41を備えるものの、第二の領域42を備えていない場合を例示する。
第一の領域41は、代表的には、電極の形状及び平面積に応じた形状及び平面積を有することが挙げられる。第一の領域41は電極を配置可能な大きさを有すれば、第一の領域41の平面形状は、電極の外形に相似な形状でも、非相似な形状でもよい。図3は、図2に例示する平面形状が長方形である電極に対応して、第一の領域41の平面形状が長方形状である場合を例示するが、適宜変更できる。ここでの平面形状とは、上述の平面視における形状である。
第一の領域41は、導電材と樹脂とを含む。第一の領域41は、導電材を含むことで、上述のように電流を流せる。また、第一の領域41は、樹脂を含むことで、双極板4の一面と他面との間で電解液が透過することを防止する。
第二の領域42は、双極板4の表面において、電極が配置されない領域である。第二の領域42の平面形状は、環状(枠状)である。第二の領域42の代表的な平面形状として、外縁44の形状に応じた環状や、第一の領域41の平面形状に応じた環状が挙げられる。図3は、第二の領域42の平面形状が長方形の枠状である場合を例示する。なお、図3は、分かり易いように、第二の領域42にクロスハッチングを付している。
第二の領域42は、樹脂を含む表層部43を備える。表層部43は、上述の平面視で環状である。従って、表層部43は、第二の領域42の表面のうち、少なくとも上述の環状の部分をなす。図3は、表層部43の平面形状が長方形の枠状である場合を例示する。
表層部43における樹脂の含有率(以下、表層部43の樹脂割合と呼ぶことがある)は、第一の領域41の表面41f(図5)における樹脂の含有率(以下、第一の領域41の樹脂割合と呼ぶことがある)よりも高い。
表層部43は、第一の領域41の表面41fに比較して、樹脂を多く含む。そのため、表層部43では、第一の領域41に比較して導電材が少ない、好ましくは全く存在しない。このような表層部43を含む第二の領域42は、双極板4において上述の締付力に起因する応力といった外力が負荷され易い領域であるものの、割れ難い。いわば、表層部43は、上述の外力が負荷され易い領域の補強部として機能する。
本例の双極板4は、枠体30とは独立した部材である。双極板4と枠体30とは、一体に成形されていない。このような双極板4は、後述するように、枠体30の内周側にシール部材39(図5等)を介して載置される。この載置によって、セルフレーム3が構築される。
以下、双極板4をより詳細に説明する。
《構造》
第一の領域41は、代表的には、双極板4の一面から、双極板4の厚さ方向の内部を経て、他面にいたる全体が一様な材料(均一的な材料)からなる板状の部分である。
第二の領域42は、双極板4の一面にのみ設けられる場合と、双極板4の両面に設けられる場合とがある。
前者の場合、表層部43も双極板4の一面にのみ設けられる。この場合、表層部43は、代表的には、第一の領域41の厚さt41よりも薄い膜状であることが挙げられる(例、図8A,図8B)。この場合、第二の領域42は、表面側に表層部43を有し、双極板4の厚さ方向に表層部43よりも内部に表層部43を支持する基部420を有する。
後者の場合、表層部43は、例えば、上述の薄い膜状であることが挙げられる(例、図5,図9)。又は、表層部43は、第一の領域41の厚さt41と実質的に同じ厚さを有することが挙げられる(後述の変形例3参照、図示せず)。
表層部43の表面43fと第一の領域41の表面41fとは、段差を有することなく連続することが好ましい(図5,図8A,図8B,図9参照)。ここでの「段差を有することなく連続する」とは、双極板4の表面において、表層部43と第一の領域41との境界及びその近傍について、双極板4の厚さ方向に生じる段差が500μm未満であることをいう。上記段差は、小さいほど好ましい。例えば、上記段差は、200μm未満、更に100μm以下、50μm以下、10μm以下が好ましく、実質的に0μmがより好ましい。即ち、表層部43と第一の領域41との境界及びその近傍において、表層部43の表面43fと第一の領域41の表面41fとが実質的に面一であることがより好ましい(図5等)。上記段差が小さいほど、上述の外力が表層部43に負荷されても、表層部43に応力が集中し難いからである。その結果、第二の領域42が割れ難い。ひいては、双極板4が割れ難い。
《構成材料》
第一の領域41は、代表的には、導電材と樹脂とを含む複合材料からなることが挙げられる。第一の領域41が一様な材料からなることで、製造性に優れる。
第二の領域42において、少なくとも表層部43は、第一の領域41よりも樹脂を多く含む。例えば、表層部43は、実質的に樹脂からなることが挙げられる。この表層部43は、導電材を実質的に含まない。そのため、上述の外力が負荷されても、導電材が割れの起点となることが無い。このような表層部43を含む第二の領域42は割れ難い。
又は、例えば、表層部43は、第一の領域41における導電材の含有量よりも少ない範囲で、導電材を含むことが挙げられる(後述の変形例1参照)。この表層部43は、ある程度の導電性を有する。そのため、第二の領域42は、割れの発生を低減しつつ、ある程度の導電性を確保する。
第二の領域42において表層部43以外の箇所は、導電材と樹脂とを含む複合材料からなることが挙げられる。上記箇所は、例えば、上述の基部420が挙げられる。又は、上記箇所は、例えば、上述の平面視で、表層部43の幅W(図3)が第二の領域42の幅よりも小さい場合、表層部43よりも内側(第一の領域41側)の箇所及び表層部43よりも外側(外縁44側)の箇所の少なくとも一方であることが挙げられる。
上述の基部420等の箇所を構成する複合材料は、第一の領域41を構成する複合材料と同じであることが好ましい。更に、上記基部420等の箇所と第一の領域41とが一体に成形されてなることがより好ましい。この場合、上記基部420等の箇所における熱膨張係数等の特性と、第一の領域41における上記特性とが実質的に等しい。そのため、RF電池1の使用時等において、上記基部420等の箇所と第一の領域41とが熱伸縮しても、両者が一体化された状態が良好に維持される。上記基部420等の箇所と第一の領域41とが一体成形物であれば、製造性にも優れる。なお、上述の基部420等の箇所を構成する複合材料と、第一の領域41を構成する複合材料とが異なってもよい。
≪樹脂≫
第一の領域41に含まれる樹脂、及び表層部43に含まれる樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂を含むことが挙げられる。この場合、第一の領域41は、例えば射出成型等によって容易に製造可能である。表層部43は、例えば、薄い膜状であれば、後述するように熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることで、容易に形成可能である。これらのことから、第一の領域41中の樹脂と表層部43中の樹脂との双方が熱可塑性樹脂を含む形態は、製造性に優れる。
熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及びポリフェニレンスルフィド(PPS)からなる群より選択される一種以上の樹脂が挙げられる。上記に列挙される熱可塑性樹脂はいずれも、電気絶縁性に優れる上に、電解液に対する耐性にも優れる。そのため、上記に列挙される熱可塑性樹脂は、電解液が接触し得る双極板4の構成材料として好適に利用できる。また、上記に列挙される熱可塑性樹脂は、成形性にも優れており、フィルムを製造し易いといった利点も有する。第一の領域41、及び表層部43は、上記に列挙される1種の樹脂、又は複数の樹脂を化学的あるいは他の手段によって変性した樹脂を含んでもよい。
第一の領域41に含まれる樹脂、及び表層部43に含まれる樹脂は、同種の熱可塑性樹脂(例、PE)を含むことが好ましい。この理由の一つは、以下に説明するように、双極板4がより割れ難いことが挙げられる。別の理由は、上述のフィルムを用いて表層部43を形成する場合、双極板4の製造性に優れることが挙げられる。製造性に優れる点は、後述の製造方法の項で説明する。
第一の領域41と表層部43とが同種の熱可塑性樹脂を含む場合、第一の領域41と表層部43との界面近くの領域が、表層部43から第一の領域41に向かって上記の同種の樹脂が拡散したような領域であることが挙げられる。このような樹脂の拡散領域を上記界面近くの領域に含むことで、この領域に負荷される応力に起因する割れや変形を緩和することができる。この点で、双極板4に割れが発生することを低減することができる。基部420と表層部43とが同種の熱可塑性樹脂を含む場合も、基部420と表層部43との界面近くの領域に上述の樹脂の拡散領域を含めば、上述の割れや変形が緩和されることが期待できる。そのため、双極板4がより割れ難い。
≪複合材料≫
上述の複合材料は、代表的には、有機複合材料、いわゆる導電性プラスチックが挙げられる。導電材の構成材料は、例えば、炭素系材料といった非金属無機材料、各種の金属が挙げられる。炭素系材料は、例えば、グラファイト、カーボンブラック等が挙げられる。金属は、例えば、アルミニウム等が挙げられる。導電材の形態は、例えば、粉末、繊維等が挙げられる。
《樹脂の含有率》
表層部43の樹脂割合は、第一の領域41の樹脂割合よりも高いほど好ましい。割れの起点となり得る導電材が少ない、好ましくは導電材を含まないことで、表層部43を含む第二の領域42が割れ難くなるからである。例えば、表層部43の樹脂割合は、第一の領域41の樹脂割合の1.5倍以上が挙げられる。この場合、表層部43では、樹脂が相対的に多く、導電材が相対的に少ないといえる。割れの発生の更なる低減を望む場合、表層部43の樹脂割合は、第一の領域41の樹脂割合の2倍以上、更に2.5倍以上が好ましい。
表層部43は、実質的に樹脂からなることが最も好ましい。即ち、表層部43を100質量%として、表層部43の樹脂割合は100質量%が最も好ましい。表層部43を含む第二の領域42がより割れ難いからである。また、上述のフィルムを用いて表層部43を製造する場合、フィルムの接合強度に優れる点で、第二の領域42がより割れ難いからである。更に、フィルムを製造し易い点、フィルムを接合し易い点から、双極板4は製造性にも優れる。
第一の領域41を100質量%として、第一の領域41の樹脂割合は、例えば、15質量%以上50質量%以下が挙げられる。第一の領域41の残部(50質量%以上85質量%以下)は、導電材であることが挙げられる。第一の領域41の樹脂割合は、第一の領域41が所定の導通性を有する範囲で調整するとよい。第二の領域42において表層部43以外の箇所(例、基部420)の樹脂割合は、例えば、15質量%以上100質量%以下が挙げられる。特に、基部420を備える場合、基部420の樹脂割合は、第一の領域41の樹脂割合と同じであること、即ち上述のように同じ複合材料からなることが好ましい。
表層部43の樹脂割合と第一の領域41の樹脂割合との高低を判別する方法として、例えば、双極板4の表面を赤外分光分析(IR)の一種である全反射測定法(ATR)を用いて分析し、フーリエ変換赤外分光(FT‐IR)のスペクトルを用いることが挙げられる。ATR法は、測定する試料の表面から厚さ方向に数μm程度までの極薄い領域について、FT‐IRスペクトルを取得可能である。そのため、ATR法によるFT‐IRのスペクトルは、樹脂を含む部材に対して、表面部分における樹脂の含有量の多寡を比較する指標に適すると考えられる。
樹脂の含有量が多ければ、樹脂の構造に基づく吸収ピークが樹脂の特有の波数(cm−1)に現れる。この波数によって、樹脂の含有量の多寡を判別できる。樹脂の含有量が少なければ、上記吸収ピークが小さい、又は全く現れない。
図10は、表層部43におけるFT‐IRのスペクトルの一例、第一の領域41におけるFT‐IRのスペクトルの一例を示すグラフである。図10のグラフにおいて、横軸は波数(cm−1)を示す。縦軸は吸光度を示す。分析した試料を以下に示す。
(試料)
表層部43はポリエチレンからなる(樹脂の含有割合:100質量%、第一の領域41における樹脂の含有割合の約5倍)。表層部43は、第二の領域42の表面側にのみ存在する(厚さt:200μm以上400μm以下程度)。
第二の領域42の表面から離れた内部(基部420)は、第一の領域41を構成する複合材料と同じ複合材料からなる。
第一の領域41はグラファイトを約80質量%含み、残部がポリエチレンである(樹脂の含有割合:約20質量%)。
図10に例示するように、樹脂を相対的に多く含む表層部43は、吸収ピーク(ここでは上に凸な波形)を示す波数が複数現れている。一方、樹脂が相対的に少ない第一の領域41は、吸収ピークを示す波数が無く、ブロードな波形、ここでは横軸に平行するような直線状の波形を示す。このようなスペクトルの相違(ピークの有無、又はピークを示す波数の多寡)に基づいて、表層部43の樹脂割合と第一の領域41の樹脂割合との高低を判別することができる。
なお、ポリエチレンに代えて、熱可塑性樹脂がポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィドである場合も同様なFT‐IRのスペクトルが得られることを確認している。詳しくは、表層部43では、ピークを示す波数が複数現れており、第一の領域41ではピークを示す波数が無い。
ATR法によるFT‐IRのスペクトルは、市販の分析装置(例、株式会社島津製作所、ATR8000Aに付属されるIRTracer−100)を用いて測定することが挙げられる。測定条件は、例えば、波数の分解能が4cm−1であり、積算回数が16回であることが挙げられる。
FT‐IRスペクトルの吸収ピークを利用して、樹脂の含有量を測定することが挙げられる。その他、樹脂の含有量を測定する方法としては、例えば、比重を利用することが挙げられる。第一の領域41、第二の領域42(表層部43)からそれぞれ試料を切り出し、各試料の比重を測定する。測定した比重によって樹脂の含有割合を推定することができる。
《表層部の厚さ》
表層部43の厚さtが厚いほど、樹脂の含有量が相対的に多い箇所が第二の領域42の表面から内部に向かって深い位置まで存在するといえる。このような表層部43を備える第二の領域42は割れ難い。例えば、表層部43の厚さt(図5等)は50μm以上が挙げられる。上記厚さtが50μm以上であれば、表層部43が適切に存在しているといえ、第二の領域42が割れ難い。割れの発生の更なる低減を望む場合、上記厚さtは、80μm以上、更に100μm以上、150μm以上、200μm以上が好ましい。
表層部43の厚さtは、第一の領域41の厚さt41と同等以下が挙げられる。特に、表層部43が薄い膜状である場合、表層部43の厚さtは例えば1mm以下が挙げられる。上記厚さtが1mm以下であれば、上述のフィルムを用いて表層部43を形成することができる。この場合、表層部43の厚さtは、上記フィルムの厚さに依存する。上記フィルムの厚さは、例えば500μm未満であると、上記フィルムと基部420とを接合し易く作業性に優れる。また、フィルムと基部420とが良好に接合されるため、表層部43が剥離し難い。この点で、第二の領域42が割れ難い。上記フィルムの厚さに基づくと、表層部43の厚さtは、450μm以下程度、更に400μm以下程度が挙げられる。
表層部43の厚さtは、例えば、以下のようにして測定することが挙げられる。表層部43が実質的に樹脂からなる膜状であり、第二の領域42における表層部43よりも内部(基部420)が上述の複合材料からなる場合、双極板4の断面を利用することが挙げられる。まず、双極板4において、第二の領域42の断面をとる。次に、上記断面を顕微鏡等で観察する。上記断面では、実質的に導電材を含まず、樹脂からなる箇所と、上述の複合材料からなる箇所との境界が判別できる。上記断面において、表層部43の表面43fから上記境界までの距離を測定する。上記距離は、複数の地点(例、50以上)について測定する。又は、上記境界に沿って100mm以上の範囲において、上記距離を測定する。測定した距離を平均する。この平均値を上記厚さtとする。
《表層部の幅》
表層部43の幅Wが広いほど、樹脂の含有量が相対的に多い箇所が第二の領域42の表面側に広く存在するといえる。このような表層部43を備える第二の領域42は割れ難い。例えば、表層部43の幅Wは3mm以上が挙げられる。上記幅Wが3mm以上であれば、表層部43が適切に存在しているといえ、第二の領域42が割れ難い。また、本例の双極板4のように、シール部材39を介して枠体30に配置される場合、表層部43の幅Wは、シール部材38の幅よりも大きいことが好ましい。特に、表層部43の幅Wは、シール部材38が上述の締付力によって圧縮された状態における幅よりも大きいことが好ましい。
ここで、双極板4とシール部材39と枠体30とを積層した状態において、この積層方向からの平面視で、第二の領域42におけるシール部材39に対向する箇所は、特に上述の締付力に起因する応力を受け易い。そのため、少なくともこの箇所に表層部43を備えることが望まれる。表層部43の幅Wがシール部材39の幅、好ましくは上述の圧縮状態における幅よりも広ければ、表層部43は、上記応力を良好に受けられる。その結果、第二の領域42が割れ難い。また、シール部材39の幅が3mm以上であれば、シール性に優れるRF電池1を構築することができる。
割れの発生の更なる低減、シール性の向上を望む場合、上記幅Wは、3.5mm以上、更に4.0mm以上、4.5mm以上、5.0mm以上が好ましい。図3〜図9に例示するように、表層部43の幅Wは、第二の領域42の幅と実質的に同じでもよい。つまり、第二の領域42における表面及び双極板4の厚さ方向における表面の近傍の全体が表層部43でもよい。この場合、上述のフィルムを用いて表層部43を形成することも容易である。上記幅Wは、第二の領域42の幅と同等以下の範囲で選択すればよい。例えば、上記幅Wは10mm以下でもよい。
表層部43の幅Wは、表層部43が外縁44を含む場合、上述の平面視で、外縁44から、第一の領域41と表層部43との境界までの距離である。表層部43が外縁44を含まず、第二の領域42に上記境界を二つ有し、これら境界が所定の間隔をあけて並ぶ場合、上記幅Wは、上記平面視で、二つの境界間の距離である。第一の領域41と表層部43とは、上述のように互いに面一であっても、樹脂の含有量の相違によって、表面41f,43fの質感が異なる。そのため、上述の平面視において、第一の領域41と表層部43との境界を容易に判別できる。上記幅Wは、例えば、以下のようにして測定することが挙げられる。表層部43の周方向に等間隔に10以上の測定箇所をとる。各測定箇所において幅を測定する。測定した幅を平均する。この平均値を表層部43の幅Wとする。
表層部43の幅Wは、表層部43の周方向において均一的な大きさでもよい。後述するフィルムを用いて表層部43を製造する場合、均一的な幅を有するフィルムを利用すれば、均一的な幅Wを有する帯枠状の表層部43を容易に製造することができる。又は、表層部43は、幅Wが異なる箇所を有してもよい。この場合、表層部43の最小幅は、シール部材39の幅(上述の圧縮状態における幅)よりも大きいことが好ましい。
《機械的特性》
第一の領域41における表層部43に隣接する箇所の破断伸びが0.5%以上であることが挙げられる。ここで、第一の領域41は導電材を含む。そのため、樹脂を相対的に多く含む表層部43に比較して、第一の領域41では伸びが低下し易い。上記破断伸びが0.5%以上であれば、第一の領域41は伸びに優れる。第一の領域41における表層部43に隣接する箇所が伸びに優れることで、第一の領域41と表層部43との界面で、表層部43が剥離し難い。このような双極板4は、全体として割れ難い。上記破断伸びは0.8%以上、更に1.0%以上が好ましい。上記破断伸びを高めるには、例えば、第一の領域41における樹脂の含有割合を大きくすることが挙げられる。即ち導電材の含有量を少なくすることが挙げられる。
上記破断伸びを測定する場合、第一の領域41における表層部43に隣接する箇所、即ち平面視で第一の領域41と表層部43との境界近くの箇所から試験片を採取することが挙げられる。なお、第一の領域41の全体が均一的な材料からなる場合、上記境界から離れた箇所から試験片を採取し、破断伸びを測定しても、測定結果は概ね等しい。そのため、第一の領域41における上述の境界箇所から試験片を採取し難い場合、上記境界から離れた箇所から試験片を採取することを許容する。
《製造方法》
上述の膜状の表層部43を備える双極板4は、例えば以下のようにして製造することが挙げられる。
(1)第一の領域41を備える基材を用意する。
この基材は、導電材と樹脂とを含む複合材料からなる板材が挙げられる。この板材は、例えば、各種の成形方法によって製造することが挙げられる。成形方法は、射出成型、プレス成型、真空成型等が挙げられる。第一の領域41が流路5を備える場合、板状に成形する際に同時に流路5を成形してもよい。又は、平坦な平板材を製造し、この平板材に切削加工等を行うことで、流路5を形成してもよい。このような板状の基材の製造には、公知の双極板の製造方法を利用することができる。基材における外縁側の領域の少なくとも一部は、上述の第二の領域42における基部420をなす。基材における外縁から離れた内側の領域は、第一の領域41をなす。基材における外縁側の領域と、基材における内側の領域との境界及び近傍に、後述するフィルムを載置するための溝(段差)は設けない。
(2)樹脂からなるフィルムを用意する。
上記フィルムは、上述の熱可塑性樹脂からなるものが好ましい。熱可塑性樹脂からなるフィルムは、加熱によって軟化して接合性に優れるからである。上記基材が熱可塑性樹脂を含み、この熱可塑性樹脂と同じ熱可塑性樹脂からなるフィルムは、上記基材との接合性に優れ、剥離し難い表層部43を製造し易く好ましい。上記フィルムは、市販品でもよい。上記フィルムの厚さは、例えば、50μm以上1mm以下、更に100μm以上500μm未満、480μm以下、450μm以下、400μm以下が挙げられる。
(3)上述の基材における外縁側の領域にフィルムを載置した状態で加熱及び加圧を行う。
上記加熱及び加圧は、例えば、熱プレスによって行うことが挙げられる。加熱によって、フィルム中の樹脂と、上記基材中の樹脂とが軟化する、又は溶融する。軟化又は溶融状態のフィルムが加圧されることで、上記フィルムと上記基材とが一体化される。この一体化は、金型の内周面に沿って、フィルムの表面と、上記基材におけるフィルムの載置箇所以外の箇所の表面とが一様な平面をなすように行うことができる。この場合、表層部43の表面43fと、第一の領域41の表面41fとが段差を有することなく連続する双極板4が製造される。また、表層部43が実質的に樹脂からなり、表層部43よりも厚さ方向の内部に位置する箇所(基部420)が複合材料からなる第二の領域42を備える双極板4が製造される。表層部43の幅Wは、用いたフィルムの幅に実質的に等しい。また、この製造方法によれば、フィルムの構成樹脂と基材に含まれる樹脂とが同種の熱可塑性樹脂であれば、表層部43と第一の領域41との界面近くの領域や、表層部43と基部420との界面近くの領域を、上述の樹脂が拡散したような領域とすることができる。
上記(3)の工程において、加熱温度は、上記フィルム中の樹脂の種類、上記基材中の樹脂の種類に応じて調整するとよい。加熱温度は、上記樹脂のガラス転移点以上であることが好ましい。圧力、加圧状態の保持時間は、加熱温度、上記フィルムの厚さ、上記基材の組成等にもよるが、例えば、以下が挙げられる。
圧力:5MPa以上10MPa以下
保持時間:30秒以上10分以下
上記保持時間が経過したら、加熱を止めて、加熱温度から室温まで冷却する。この冷却過程で加圧状態を解除してもよいが、加圧状態を維持してもよい。加圧状態を維持することで、冷却時の熱収縮に起因する変形によって、表層部43の表面43fと第一の領域41の表面41fとに段差が生じることを防止し易いと考えられる。冷却過程で加圧状態を維持する場合、例えば、上述の加熱温度から180℃になるまで、加圧状態とすることが挙げられる。冷却過程で80℃に達したら、加圧状態を解除して冷却のみを行う。
以下、上述の膜状の表層部43を備える双極板4の具体例を説明する。
[実施形態1]
図3〜図5を参照して、実施形態1の双極板4を説明する。
実施形態1の双極板4は、外縁44側の領域の全体を第二の領域42とする。そのため、実施形態1の双極板4は、その表裏面の双方に表層部43を備える(図5)。
本例の表層部43は、図3に示すように、上述の平面視で、外縁44から内側に向かって所定の幅Wを有する枠状の領域である。従って、双極板4における外縁44側の領域の表面全体が表層部43である(図5も参照)。
また、本例の表層部43は、図5に示すように、双極板4の一面における外縁44側の領域から、外縁44をなす双極板4の端面を経て、双極板4の他面における外縁44側の領域に連続する。
本例の表層部43は、例えば、上述のフィルムを用いて、以下のようにして形成することが挙げられる。上述の基材の一面における外縁側の領域から、上記基材の端面を経て、上記基材の他面における外縁側の領域にわたってフィルムを載置して、熱プレス等を行う。この場合、上記基材に対して、フィルムの配置領域が例えば後述する図8Aと比較して広い。そのため、フィルムを上記基材に配置し易い点で、実施形態1の双極板4は製造性に優れる。
実施形態1の双極板4は、例えば、図5に示すように、枠体30が一対の分割片301,302を備え、両分割片301,302に挟まれることで枠体30に支持される場合に利用することが挙げられる。各分割片301,302は、双極板4の第二の領域42を嵌め込むための凹部305を備える。ここでは、両分割片301,302を組み合わせることで、両凹部305は、断面矩形状の空間を形成する。第二の領域42は、この空間に収納される。凹部305を形成する内周面において、第二の領域42に対向する箇所は、シール部材39が嵌め込まれる溝部309を備える。なお、シール部材39が嵌め込まれる溝部は、双極板4に備えてもよい。シール部材39は、例えば、パッキンやOリング等が挙げられる。
実施形態1の双極板4を備えるセルフレーム3は、シール部材39が溝部309に嵌め込まれた分割片301,302によって、双極板4の第二の領域42を挟むことで構築することができる。本例では、図4に示すように、セルフレーム3に組み付けられた状態において、表層部43を含む第二の領域42は、枠体30に覆われて(隠れて)、実質的に見えない。実質的に第一の領域41のみが枠体30の窓部31から露出される。このセルフレーム3では、分割片301,302の上記内周面と、双極板4の第二の領域42、特に表層部43とでシール部材39を挟む(図5)。
その他、本例の表層部43の幅Wはシール部材39の幅(圧縮状態における幅)よりも大きい(図5)。本例の表層部43の厚さtは、表層部43の実質的に全体にわたって均一的である(図5)。本例の双極板4における外縁44側の領域は、厚さtの表層部43と、(t41−t×2)の厚さを有する基部420とを備える。本例の表層部43の断面形状、大きさは、双極板4の厚さ方向の中心軸を中心として対称な形状、大きさである。これらは例示であり、幅W、厚さt等は適宜変更することができる。
実施形態1の双極板4は、その表裏面に表層部43を備える。そのため、枠体30をなす分割片301,302に挟まれることで、枠体30からの応力が負荷されても、実施形態1の双極板4は、割れ難い。また、実施形態1の双極板4は、分割片301,302に挟まれるため、枠体30から脱落し難い。そのため、セルフレーム3を構築し易い点、積層し易い点で、実施形態1の双極板4は、RF電池1の製造性の向上に寄与する。
[実施形態2]
図6〜図9を参照して、実施形態2の双極板4を説明する。
実施形態2の双極板4は、例えば、図7〜図9に示すように、枠体30が内周側にフランジ部303を備え、フランジ部303に載置されることで枠体30に支持される場合に利用することが挙げられる。
まず、枠体30を説明する。この枠体30は、図8A等に示すように、その外周側の厚さと内周側の厚さとが異なるという段差構造を備える。この枠体30は、厚さが相対的に厚い外枠部と、厚さが相対的に薄いフランジ部303とを備える。フランジ部303は、外枠部の内周壁に沿って設けられる。また、フランジ部303は、図8A等に示すように、外枠部の一面(図8,図9では紙面左側の面)側に偏って設けられる。フランジ部303の一面(図8,図9では紙面左側の面)は、枠体30における外枠部の一面(表面)に連続する(面一である)。フランジ部303の他面(図7では紙面上面、図8,図9では紙面右側の面、以下、台座面と呼ぶ)と、上記内周壁とによって、双極板4が嵌め込まれる凹部306が形成される。フランジ部303における上述の台座面は、シール部材39が嵌め込まれる溝部309を備える(図7は溝部309を省略する)。この台座面が双極板4の第二の領域42を支持する(図6)。
フランジ部303を有する枠体30を備えるセルフレーム3は、シール部材39が溝部309に嵌め込まれた上記台座面に、双極板4の第二の領域42を載置することで、容易に構築される。この点で、このセルフレーム3は、RF電池1の製造性の向上に寄与する。また、このセルフレーム3では、図6に例示するように、枠体30の窓部31と双極板4の外縁44との間に、ある程度の大きさのギャップを確保することができる(図8A等も参照)。このギャップによって、枠体30からの応力が双極板4に負荷され難い。そのため、実施形態2の双極板4は、より割れ難い。なお、セルフレーム3では、フランジ部303と、双極板4の第二の領域42、特に表層部43とでシール部材39を挟む。
実施形態2の双極板4の一例として、その一面に第一の領域41と第二の領域42とを備え(図8A,図8B)、他面に第一の領域41のみを備える形態が挙げられる(図7も参照)。
本例の表層部43は、図7に示すように、上述の平面視で、双極板4の一面(図7では紙面奥側を向く裏面)において、外縁44から内側に向かって所定の幅Wを有する枠状の領域である。従って、双極板4の一面において、外縁44側の領域の表面全体が表層部43である(図8A等も参照)。図7は、分かり易いように、表層部43(ここでは第二の領域42でもある)に破線のクロスハッチングを付している。
〈段差が無い形態〉
図8Aに示す双極板4では、第一の領域41の厚さt41と、第二の領域42を備える外縁44側の領域の厚さとが実質的に等しい。この双極板4に備えられる表層部43は、上述のようにフィルムを用意して、上述の基材の一面における外縁側の領域にフィルムを載置して、熱プレス等を行うことで製造することができる。この場合、フィルムの使用量を削減することができる。双極板4の一面にのみ、表層部43が存在する場合でも、図8Aに例示するように、表層部43の幅Wは、シール部材39の幅(圧縮状態における幅)よりも大きければ、第二の領域42が割れ難い。
その他、図8Aに示す双極板4では、表層部43の厚さtは、表層部43の実質的に全体にわたって均一的である。双極板4における外縁44側の領域は、厚さtの表層部43と、(t41−t)の厚さを有する基部420とを備える。これらは例示であり、幅W、厚さt等は適宜変更することができる。
〈段差がある形態1〉
図8Bに示す双極板4は、第二の領域42を備える外縁44側の領域に、第一の領域41における外縁44側の箇所の厚さt41よりも薄い部分を備える。この双極板4は、上記薄い部分に表層部43を備える。具体的には、第二の領域42は、厚さが異なる段差部45を有する。表層部43は、少なくとも段差部45における下段面450に備える。
双極板4の外縁44側の領域は、所定の厚さtを有する部分と、厚さtを有する部分とを備える。厚さtは、厚さtより小さい。厚さtと厚さt41とは実質的に等しい。段差部45は、この厚さtを有する部分に下段面450を備える。段差部45の下段面450は、枠体30のフランジ部303に載置される。段差部45の上段面は、第一の領域41に実質的に面一に連続する。
本例の表層部43は、図8Bに示すように、段差部45の下段面450から、下段面450と上段面とをつなぐ連結面を経て、双極板4の一面における第一の領域41に近い箇所に連続する。また、本例では、双極板4の一面において、表層部43の表面43fと第一の領域41の表面41fとが段差を有することなく連続する。このような表層部43は、以下のようにして形成することができる。上述の基材として、段差部45を有するものを用意する。そして、段差部45の下段面450から、上述の連結面を経て、双極板4の一面における外縁44側の領域にわたってフィルムを載置してして、熱プレス等を行う。表層部43のうち、下段面450に設けられた箇所の幅は、シール部材39の幅(圧縮状態における幅)よりも大きければ、第二の領域42が割れ難い。
その他、図8Bに示す双極板4では、表層部43の厚さtは、表層部43の実質的に全体にわたって均一的である。双極板4における外縁44側の領域は、厚さtの表層部43と、以下の基部420とを備える。基部420は、(t−t)の厚さを有する相対的に薄い部分と、厚さ(t−t)の厚さを有する相対的に厚い部分とを含む。これらは例示であり、幅W、厚さt等は適宜変更することができる。
段差部45を有する双極板4は、セルフレーム3の構築過程において、上述のように枠体30におけるフランジ部303の台座面に段差部45が載置されると、枠体30に対して位置ずれし難い。いわば段差部45とフランジ部303とが相互に位置決め部として機能する。また、位置ずれし難いことで、多セル電池を構築する場合に積層作業等も行い易い点で、この双極板4及びセルフレーム3は、RF電池1の製造性の向上に寄与する。更に、このセルフレーム3では、双極板4における局所的に薄い段差部45に上述の締付力に起因する応力等が負荷されるものの、段差部45に表層部43を備えるため、双極板4が割れ難い。
〈段差がある形態2〉
第二の領域42が上述の段差部45を有する場合に、図9に示すように、表層部43は、段差部45の表面全体をなす形態としてもよい。つまり、実施形態1の双極板4と同様に、双極板4は、その表裏面に表層部43を備えてもよい。このような双極板4は、相対的に薄い段差部45を上述の締付力に起因する応力等を受ける箇所とするものの、段差部45の表面全体に表層部43を備えるため、割れ難い。また、この双極板4は、実施形態1と同様に、フィルムの配置領域が広いため、製造性にも優れる。
本例の表層部43は、双極板4の一面における第一の領域41に近い箇所(上段面)から、上記上段面と下段面450とをつなぐ連結面、下段面450、外縁44をなす端面を順に経て、双極板4の他面における外縁44側の領域に連続する。また、本例では、双極板4の一面及び他面のそれぞれにおいて、表層部43の表面43fと第一の領域41の表面41fとが段差を有することなく実質的に面一に連続する。
その他、図9に示す双極板4では、表層部43のうち、下段面450に設けられた箇所の幅は、シール部材39の幅(圧縮状態における幅)よりも大きい。双極板4における外縁44側の領域は、厚さtの表層部43と、以下の基部420とを備える。基部420は、(t−t×2)の厚さを有する相対的に薄い部分と、厚さ(t41−t×2)の厚さを有する相対的に厚い部分とを含む。これらは例示であり、幅W、厚さt等は適宜変更することができる。
(主要な効果)
実施形態の双極板4は、RF電池1に組み付けられた状態において、上述の締付力に起因するよる応力といった外力が付与される第二の領域42に表層部43を備えるため、割れ難い。
実施形態の電池セル10は、実施形態の双極板4を備える。そのため、実施形態の電池セル10を備えるRF電池1では、上述の外力によって双極板4が割れ難い。従って、実施形態の電池セル10は、双極板4の割れに起因するシール性の低下を防止して、シール性に優れるRF電池1を構築できる。
なお、電池セル10では、正極側のセルフレーム3に備えられる双極板4、及び負極側のセルフレーム3に備えられる双極板4の一方のみが実施形態の双極板4である形態が挙げられる。しかし、上述の正極側及び負極側の双方の双極板4が実施形態の双極板4であることが好ましい。
実施形態のセルスタック100は、実施形態の電池セル10を複数備える。そのため、実施形態のセルスタック100を備えるRF電池1では、上述の外力によって双極板4が割れ難い。従って、実施形態のセルスタック100は、双極板4の割れに起因するシール性の低下を防止して、シール性に優れるRF電池1を構築できる。
なお、セルスタック100では、少なくとも一つのセルフレーム3に備えられる双極板4が実施形態の双極板4である形態が挙げられる。しかし、セルスタック100を構成する複数の電池セル10のうち、少なくとも一つの電池セル10を構成する正極側及び負極側の双方の双極板4が実施形態の双極板4であることが好ましい。セルスタック100を構成する全てのセルフレーム3に備えられる双極板4が実施形態の双極板4であることがより好ましい。
実施形態のRF電池1は、実施形態の電池セル10、又は実施形態のセルスタック100を備える。そのため、実施形態のRF電池1は、上述のようにシール性に優れる。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、実施形態の双極板4に対して、以下の少なくとも一つの変更が可能である。
(変形例1)
双極板4の表層部43が樹脂に加えて、導電材を含む。
導電材の含有量は、表層部43における樹脂の含有率が第一の領域41の表面41fにおける樹脂の含有率よりも高いという条件を満たす範囲で調整するとよい。例えば、表層部43における導電材の含有量は、表層部43を100質量%として、5質量%以上40質量%以下が挙げられる。
(変形例2)
双極板4は、表層部43を備えると共に、外縁44側に一体に成形されてなる枠体30を備える。つまり、セルフレーム3が双極板4と枠体30との一体成形物である。
このセルフレーム3は、例えば双極板4の外縁44側の領域に射出成型等によって枠体30を成形することで製造することが挙げられる。この場合、双極板4の第二の領域42は、枠体30を構成する樹脂によっても覆われる。また、第二の領域42と枠体30とは、上述の射出成型等によって強固に接合される。そのため、第二の領域42が表層部43を含めば、より割れ難い双極板4とすることができる。
(変形例3)
双極板4の第二の領域42の実質的に全体が樹脂からなる。
この場合、表層部43は、第二の領域42の実質的に全体をなす。また、表層部43は、双極板4の表裏面に備えられる。このような双極板4は、例えば、第一の領域41を備える基材の外縁に、射出成型等によって枠状の樹脂成形体を成形することで製造することが挙げられる。上記枠状の樹脂成形体が表層部43(第二の領域42)である。
1 レドックスフロー電池(RF電池)
10 電池セル
11 隔膜、13 正極電極、14 負極電極
16,17 タンク、160,170 配管
161,171 往路配管、162,172 復路配管、18,19 ポンプ
100 セルスタック、110 サブセルスタック
101 エンドプレート、102 締結部材、103 給排板
3 セルフレーム
30 枠体、31 窓部、33,34 給液マニホールド
35,36 排液マニホールド、38,39 シール部材
301,302 分割片、303 フランジ部、305,306 凹部
309 溝部
4 双極板
41 第一の領域、42 第二の領域、43 表層部、44 外縁
41f,43f 表面、45 段差部、450 下段面、420 基部
5 流路、51,52,53,54 溝、5i 供給縁、5o 排出縁
6 介在機器、7 発電部、8 負荷

Claims (11)

  1. レドックスフロー電池に利用される双極板であって、
    少なくとも一面に、
    電極が配置される第一の領域と、
    前記第一の領域よりも外縁側に位置する第二の領域とを備え、
    前記第一の領域は、導電材と樹脂とを含み、
    前記第二の領域は、樹脂を含む表層部を備え、
    前記表層部は、前記双極板の厚さ方向からの平面視で環状であり、
    前記表層部における前記樹脂の含有率が前記第一の領域の表面における前記樹脂の含有率よりも高い、
    双極板。
  2. 前記表層部における前記樹脂の含有率は、前記第一の領域における前記樹脂の含有率の1.5倍以上である請求項1に記載の双極板。
  3. 前記表層部の厚さが50μm以上1mm以下である請求項1に記載の双極板。
  4. 前記第二の領域は、厚さが異なる段差部を有し、
    前記段差部における下段面に前記表層部を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の双極板。
  5. 前記表層部の幅が3mm以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の双極板。
  6. 前記第一の領域に含まれる前記樹脂、及び前記表層部に含まれる前記樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリフェニレンスルフィドからなる群より選択される一種以上の熱可塑性樹脂を含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の双極板。
  7. 前記第一の領域に含まれる前記樹脂、及び前記表層部に含まれる前記樹脂は、同種の前記熱可塑性樹脂を含む請求項6に記載の双極板。
  8. 前記第一の領域における前記表層部に隣接する箇所の破断伸びが0.5%以上である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の双極板。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の双極板を備える、
    電池セル。
  10. 請求項9に記載の電池セルを複数備える、
    セルスタック。
  11. 請求項9に記載の電池セル、又は請求項10に記載のセルスタックを備える、
    レドックスフロー電池。
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