JP2020180743A - 沸騰冷却装置 - Google Patents

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Takafumi Matsumoto
貴郁 松本
康光 大見
Yasumitsu Omi
康光 大見
義則 毅
Takeshi Yoshinori
毅 義則
功嗣 三浦
Koji Miura
功嗣 三浦
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Abstract

【課題】小型化を図りつつ、傾斜時における冷却性能を確保することができる沸騰冷却装置を提供する。【解決手段】沸騰冷却装置は、蒸発器10と、凝縮器20と、熱媒体通路30とを備える。凝縮器20は、第1凝縮器21と、第1凝縮器21の重力方向上方側に配置される第2凝縮器22と、を有している。第1凝縮器21には、蒸発器10から流出した熱媒体が流入する。第2凝縮器22には、第1凝縮器21から流出した熱媒体が流入する。熱媒体通路30は、第1凝縮器21から流出した液相熱媒体を蒸発器10側に導く複数の第1液通路303、304と、第2凝縮器22から流出した液相熱媒体を蒸発器10側に導く第2液通路305、306と、を含んでいる。複数の第1液通路303、304の上流側端部は、それぞれ、第1凝縮器21における重力方向の中央より下方側に接続されている。【選択図】図1

Description

本発明は、沸騰冷却装置に関するものである。
従来、特許文献1には、車両に搭載されるパワー素子等の発熱体を冷却するために、発熱体で発生する熱により熱媒体を沸騰させて発熱体から吸熱する沸騰冷却装置が開示されている。
特許文献1の沸騰冷却装置は、蒸発器、凝縮器および熱媒体配管を備えている。蒸発器は、内部に熱媒体を流通させて発熱体からの熱を受熱する。凝縮器は、蒸発器で蒸発した熱媒体を冷却液化する。熱媒体配管は、蒸発器と凝縮器とをループ状に連結して蒸発器と凝縮器との間で熱媒体を循環させる。
特開2017−48964号公報
ところで、特許文献1の沸騰冷却装置において、発熱体の発熱量が増大すると、蒸発器から気液二相状態の熱媒体が流出する。このとき、気液二相状態の熱媒体を凝縮器の重力方向上方側にある熱媒体流入口まで上昇させる必要があるので、気相熱媒体を熱媒体流入口まで上昇させる場合と比較して、熱媒体の圧力損失が増大する。
したがって、沸騰冷却装置内で熱媒体を循環させるためには、蒸発器に対する凝縮器の高さを高くする必要がある。これにより、液相熱媒体の位置エネルギを増大させて、液相熱媒体の駆動力を大きくすることができる。しかしながら、蒸発器に対する凝縮器の高さを高くすると、沸騰冷却装置が大型化してしまう。
ところで、特許文献1の沸騰冷却装置を車両に搭載した場合、坂路等において車両が傾斜すると、沸騰冷却装置全体が傾斜する。このとき、傾斜方向や傾斜角度によっては、凝縮器内に液相熱媒体が滞留し、冷却性能が低下するおそれがある。
本発明は上記点に鑑みて、小型化を図りつつ、傾斜時における冷却性能を確保することができる沸騰冷却装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の沸騰冷却装置は、
冷却対象物(40)と熱媒体との熱交換により熱媒体を沸騰気化させることで冷却対象物を冷却する蒸発器(10)と、
熱媒体と外部流体との熱交換により熱媒体を凝縮させることで熱媒体の熱を外部流体に放熱する凝縮器(20)と、
蒸発器と凝縮器とをループ状に連結して蒸発器と凝縮器との間で熱媒体を循環させる熱媒体通路(30)と、を備える沸騰冷却装置において、
凝縮器は、第1凝縮器(21)と、第1凝縮器の重力方向上方側に配置される第2凝縮器(22)と、を有しており、
第1凝縮器には、蒸発器から流出した熱媒体が流入し、
第2凝縮器には、第1凝縮器から流出した熱媒体が流入し、
熱媒体通路は、第1凝縮器から流出した液相の熱媒体を蒸発器側に導く複数の第1液通路(303、304)と、第2凝縮器から流出した液相の熱媒体を蒸発器側に導く第2液通路(305、306)と、を含んでおり、
複数の第1液通路の上流側端部は、それぞれ、第1凝縮器における重力方向の中央より下方側に接続されている。
これによれば、重力方向下方側に位置する第1凝縮器において、気液二相状態の熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体が分離される。このため、重力方向上方側に位置する第2凝縮器には、少なくとも一部の液相熱媒体が分離された後の熱媒体が流入する。すなわち、気液二相状態の熱媒体を第2凝縮器まで上昇させる必要がない。したがって、気液二相状態の熱媒体の重力方向上方側への上昇高さを低くすることができるので、熱媒体の圧力損失を低減できる。このため、蒸発器に対する凝縮器の高さを高くする必要がないので、沸騰冷却装置の小型化を図ることができる。
さらに、第1液通路を複数設けるとともに、複数の第1液通路の上流側端部を、それぞれ、第1凝縮器における重力方向の中央より下方側に接続することで、傾斜時における冷却性能を確保することができる。
すなわち、沸騰冷却装置全体が傾斜した場合でも、複数の第1液通路のうち、傾斜時に下方側に位置する第1液通路によって、第1凝縮器から蒸発器側へ液相冷媒を供給することができる。このため、傾斜時において、第1凝縮器内に液相熱媒体が滞留することを抑制できる。その結果、傾斜時における沸騰冷却装置の冷却性能を確保することが可能となる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態に係る沸騰冷却装置を示す説明図である。 図1の沸騰冷却装置において車両が登坂している状態を示す図である。 図1の沸騰冷却装置において車両が降坂している状態を示す図である。 第2実施形態に係る沸騰冷却装置を示す説明図である。 図4の沸騰冷却装置において車両が登坂している状態を示す図である。 図4の沸騰冷却装置において車両が降坂している状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。本実施形態の沸騰冷却装置は、車両に搭載された発熱体を冷却する装置である。また、以下の各図における上下前後を示す矢印は、車両が水平面に位置する際の上下前後の各方向を示している。以下の図1、および後述する図4は、車両の上下方向が重力方向と平行になっている状態を示している。
また、本明細書において、「重力方向」とは、沸騰冷却装置が水平面に配置された状態における重力方向を意味している。したがって、「重力方向の上方側」とは、沸騰冷却装置が水平面に配置された状態における重力方向の上方側を示している。同様に、「重力方向の下方側」とは、沸騰冷却装置が水平面に配置された状態における重力方向の下方側を示している。また、「水平方向」とは、沸騰冷却装置が水平面に配置された状態における水平方向を意味している。
より詳細には、「重力方向」とは、水平面に位置する車両に沸騰冷却装置が搭載された状態における重力方向を意味している。したがって、「重力方向の上方側」とは、水平面に位置する車両に沸騰冷却装置が搭載された状態における重力方向の上方側を示している。同様に、「重力方向の下方側」とは、水平面に位置する車両に沸騰冷却装置が搭載された状態における重力方向の下方側を示している。また、「水平方向」とは、水平面に位置する車両に沸騰冷却装置が搭載された状態における水平方向を意味している。
図1に示すように、沸騰冷却装置1は、蒸発器10と、凝縮器20と、熱媒体通路30とを備えている。蒸発器10は、冷却対象物である発熱体40と熱媒体との熱交換により熱媒体を沸騰気化させることで発熱体40を冷却する熱交換器である。発熱体40としては、充放電可能な二次電池(例えば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池)やパワー素子を採用することができる。
凝縮器20は、熱媒体と外部流体である空気との熱交換により熱媒体を凝縮させることで熱媒体の熱を空気に放熱する熱交換器である。熱媒体通路30は、蒸発器10と凝縮器20とをループ状に連結して、蒸発器10と凝縮器20との間で熱媒体を循環させる通路である。
熱媒体としては、蒸発および凝縮可能な流体を採用することができる。具体的には、熱媒体として、水またはアルコールを採用することができる。また、熱媒体として、蒸気圧縮式の冷凍サイクルで利用されるフロン系冷媒(例えば、R134a、R1234yf等)を用いることができる。また、熱媒体としては、フロン系冷媒だけでなく、二酸化炭素等の他の冷媒や不凍液等を用いることも可能である。
蒸発器10および凝縮器20は、車両の前後方向に配置されている。本実施形態では、蒸発器10は、凝縮器20よりも車両後方側に位置している。
次に、蒸発器10の構成について説明する。蒸発器10は、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器である。蒸発器10は、蒸発チューブ101と、蒸発タンク102、103とを備えている。
蒸発チューブ101は、熱媒体が流れる流路を形成する管状部材である。蒸発チューブ101は、扁平板状(すなわち断面扁平形状)に形成された扁平チューブである。蒸発チューブ101は、その長手方向が重力方向と略平行となるように配置されている。蒸発チューブ101は、水平方向において、複数本平行に配置されている。
複数の蒸発チューブ101は、同一平面を形成している。すなわち、複数の蒸発チューブ101は、蒸発チューブ101の両側の扁平面がそれぞれ同一平面上に配置されるように、一列に並んで配置されている。
複数の蒸発チューブ101における扁平面には、発熱体40が接合されている。このため、蒸発チューブ101内の熱媒体には、発熱体40からの熱が伝わる。
蒸発タンク102、103は、複数の蒸発チューブ101と連通している。蒸発タンク102、103は、複数の蒸発チューブ101に対して熱媒体の集合または分配を行う。
蒸発タンク102、103は、蒸発チューブ101における長手方向の両端部に一つずつ設けられている。すなわち、蒸発タンク102、103は、蒸発チューブ101における重力方向上端部および下端部に一つずつ設けられている。
蒸発タンク102、103は、蒸発チューブ101の長手方向と直交する方向に延びている。すなわち、蒸発タンク102、103は、水平方向に延びている。蒸発タンク102、103には、蒸発チューブ101が挿入された状態で接合されている。
ここで、二つの蒸発タンク102、103のうち、重力方向下方側に配置されるとともに蒸発チューブ101に対して熱媒体の分配を行うものを、蒸発入口タンク102という。また、二つの蒸発タンク102、103のうち、重力方向上方側に配置されるとともに、蒸発チューブ101から流出する熱媒体の集合を行うものを、蒸発出口タンク103という。
蒸発入口タンク102は、後述する凝縮器20にて凝縮した液相熱媒体を蒸発入口タンク102内に流入させる蒸発側液流入口1021を有している。蒸発側液流入口1021は、蒸発入口タンク102における長手方向の一端側に設けられている。
蒸発出口タンク103は、蒸発側蒸気流出口1031を有している。蒸発側蒸気流出口1031は、蒸発出口タンク103内の熱媒体を凝縮器20の第1蒸気流入口2121側へ流出させる。換言すると、蒸発側蒸気流出口1031は、蒸発チューブ101にて蒸発した気相熱媒体を含む気液二相状態の熱媒体を、凝縮器20の第1蒸気流入口2121側へ流出させる。
蒸発側蒸気流出口1031は、蒸発出口タンク103における長手方向の一端側に設けられている。本実施形態では、蒸発側蒸気流出口1031は、蒸発出口タンク103の長手方向における蒸発側液流入口1021と同一側の端部に設けられている。
次に、凝縮器20の構成について説明する。凝縮器20は、第1凝縮器21および第2凝縮器22を有している。第2凝縮器22は、第1凝縮器21の重力方向上方側に配置されている。本実施形態では、第1凝縮器21および第2凝縮器22は一体に形成されている。なお、第1凝縮器21および第2凝縮器22を別体として形成してもよい。
第1凝縮器21は、蒸発器10から流出した気液二相状態の熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体を分離する。第1凝縮器21は、気液二相状態の熱媒体から少なくとも一部の液相熱媒体が分離された後の熱媒体を、第2凝縮器22の流入口側へ流出させる。
次に、第1凝縮器21の構成について説明する。第1凝縮器21は、熱媒体と空気とを熱交換させる第1熱交換部210を有している。より詳細には、第1熱交換部210は、蒸発器10から流出した気液二相状態の熱媒体と空気とを熱交換させて、気液二相状態の熱媒体の少なくとも一部を凝縮させる。
第1熱交換部210は、第1凝縮チューブ211および第1放熱フィン215を有している。換言すると、第1凝縮チューブ211および第1放熱フィン215により、第1熱交換部210が構成されている。
具体的には、第1凝縮器21は、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器である。第1凝縮器21は、第1凝縮チューブ211と、第1凝縮タンク212、213と、第1放熱フィン215とを備えている。
第1凝縮チューブ211は、熱媒体が流れる第1凝縮流路2110を形成する管状部材である。具体的には、第1凝縮チューブ211は、扁平板状に形成された扁平チューブである。
第1凝縮チューブ211は、その長手方向が水平方向と略垂直となるように配置されている。すなわち、第1凝縮チューブ211は、その長手方向が重力方向と略平行となるように配置されている。したがって、第1凝縮器21は、第1凝縮流路2110において熱媒体が重力方向に流れるように構成されている。
第1凝縮器21は、複数の第1凝縮チューブ211を有している。したがって、第1凝縮器21は、複数の第1凝縮流路2110を有している。本例では、第1凝縮チューブ211は、水平方向において、複数本平行に配置されている。
複数の第1凝縮チューブ211は所定の間隔で互いに積層されている。複数の第1凝縮チューブ211同士の間には、空気が流れるようになっている。複数の第1凝縮チューブ211同士の間の空気通路には、第1放熱フィン215が設けられている。本実施形態では、第1放熱フィン215は、波状(すなわちコルゲート状)に形成されている。これにより、複数の第1凝縮チューブ211内を流れる熱媒体と、複数の第1凝縮チューブ211間を流れる空気とが熱交換される。
第1凝縮タンク212、213は、複数の第1凝縮チューブ211と連通している。第1凝縮タンク212、213は、複数の第1凝縮チューブ211に対して熱媒体の集合または分配を行う。第1凝縮タンク212、213は、第1凝縮チューブ211における長手方向の両端部に一つずつ設けられている。
第1凝縮タンク212、213は、第1凝縮チューブ211の長手方向と直交する方向に延びている。すなわち、第1凝縮タンク212、213は、水平方向に延びている。具体的には、第1凝縮タンク212、213は、車両前後方向に延びている。第1凝縮タンク212、213には、第1凝縮チューブ211が挿入された状態で接合されている。
ここで、二つの第1凝縮タンク212、213のうち、重力方向上方側に配置されるとともに、第1凝縮チューブ211に対して熱媒体の分配を行うものを、第1凝縮入口タンク212という。また、二つの第1凝縮タンク212、213のうち、重力方向下方側に配置されるとともに、第1凝縮チューブ211から流出する熱媒体の集合を行うものを、第1凝縮出口タンク213という。
第1凝縮入口タンク212は、第1蒸気流入口2121および凝縮側蒸気流出口2122を有している。第1蒸気流入口2121は、蒸発器10から流出した気液二相状態の熱媒体を第1凝縮入口タンク212内に流入させる。凝縮側蒸気流出口2122は、第1凝縮出口タンク213内の気相熱媒体を、後述する第2凝縮器22の第2蒸気流入口2221側へ流出させる。
第1蒸気流入口2121は、第1凝縮入口タンク212における水平方向の一端部に設けられている。具体的には、第1蒸気流入口2121は、第1凝縮入口タンク212における車両後方側の端部に設けられている。また、第1蒸気流入口2121は、蒸発器10の蒸発側蒸気流出口1031よりも重力方向上方側に配置されている。
凝縮側蒸気流出口2122は、第1凝縮入口タンク212における水平方向の他端部に設けられている。具体的には、凝縮側蒸気流出口2122は、第1凝縮入口タンク212における車両前方側の端部に設けられている。
第1凝縮出口タンク213は、第1液流出口2131、第2液流出口2132、第1液流入口2133および第2液流入口2134を有している。第1液流出口2131および第2液流出口2132は、第1凝縮出口タンク213内の液相熱媒体を、蒸発器10の蒸発側液流入口1021側へ流出させる。第1液流入口2133および第2液流入口2134は、第2凝縮器22から流出した液相熱媒体を第1凝縮出口タンク213内に流入させる。
ここで、第1凝縮出口タンク213における重力方向下方側の端面を、第1凝縮出口タンク213の下端面213aという。
第1液流出口2131は、第1凝縮出口タンク213の下端面213aにおける水平方向の一端部に設けられている。具体的には、第1液流出口2131は、第1凝縮出口タンク213の下端面213aにおける車両後方側の端部に設けられている。
第2液流出口2132は、第1凝縮出口タンク213の下端面213aにおける水平方向の他端部に設けられている。具体的には、第2液流出口2132は、第1凝縮出口タンク213の下端面213aにおける車両前方側の端部に設けられている。
第1液流入口2133は、第1凝縮出口タンク213における水平方向の一端部に設けられている。具体的には、第1液流入口2133は、第1凝縮出口タンク213における車両後方側の端部に設けられている。また、第1液流入口2133は、第1液流出口2131よりも重力方向上方側に配置されている。
第2液流入口2134は、第1凝縮出口タンク213における水平方向の他端部に設けられている。具体的には、第2液流入口2134は、第1凝縮出口タンク213における車両前方側の端部に設けられている。また、第2液流入口2134は、第2液流出口2132よりも重力方向上方側に配置されている。
次に、第2凝縮器22の構成について説明する。第2凝縮器22は、熱媒体と空気とを熱交換させる第2熱交換部220を有している。より詳細には、第2熱交換部220は、第1凝縮器21から流出した気相状態の熱媒体と空気とを熱交換させて、気相状態の熱媒体を凝縮させる。
第2熱交換部220は、第2凝縮チューブ221および第2放熱フィン225を有している。換言すると、第2凝縮チューブ221および第2放熱フィン225により、第2熱交換部220が構成されている。
具体的には、第2凝縮器22は、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器である。第2凝縮器22は、第2凝縮チューブ221と、第2凝縮タンク222、223と、第2放熱フィン225とを備えている。
第2凝縮チューブ221は、熱媒体が流れる第2凝縮流路2210を形成する管状部材である。具体的には、第2凝縮チューブ221は、扁平板状に形成された扁平チューブである。
第2凝縮チューブ221は、その長手方向が重力方向と略平行となるように配置されている。第2凝縮チューブ221は、水平方向において、複数本平行に配置されている。
複数の第2凝縮チューブ221は所定の間隔で互いに積層されている。複数の第2凝縮チューブ221同士の間には、空気が流れるようになっている。複数の第2凝縮チューブ221同士の間の空気通路には、第2放熱フィン225が設けられている。本実施形態では、第2放熱フィン225は、波状に形成されている。複数の第2凝縮チューブ221内を流れる熱媒体と、複数の第2凝縮チューブ221間を流れる空気とが熱交換される。
第2凝縮タンク222、223は、複数の第2凝縮チューブ221と連通している。第2凝縮タンク222、223は、複数の第2凝縮チューブ221に対して熱媒体の集合または分配を行う。第2凝縮タンク222、223は、第2凝縮チューブ221における長手方向の両端部に一つずつ設けられている。すなわち、第2凝縮タンク222、223は、第2凝縮チューブ221における重力方向上端部および下端部に一つずつ設けられている。
第2凝縮タンク222、223は、第2凝縮チューブ221の長手方向と直交する方向に延びている。すなわち、第2凝縮タンク222、223は、水平方向に延びている。具体的には、第2凝縮タンク222、223は、車両前後方向に延びている。第2凝縮タンク222、223には、第2凝縮チューブ221が挿入された状態で接合されている。
ここで、二つの第2凝縮タンク222、223のうち、重力方向の上方側に配置されるとともに、第2凝縮チューブ221に対して熱媒体の分配を行うものを、第2凝縮入口タンク222という。また、二つの第2凝縮タンク222、223のうち、重力方向の下方側に配置されるとともに、第2凝縮チューブ221から流出する熱媒体の集合を行うものを、第2凝縮出口タンク223という。
第2凝縮入口タンク222は、第1凝縮器21から流出した気相熱媒体を第2凝縮入口タンク222内に流入させる第2蒸気流入口2221を有している。第2蒸気流入口2221は、第2凝縮入口タンク222における水平方向の他端部に設けられている。具体的には、第2蒸気流入口2221は、第2凝縮入口タンク222における車両前方側の端部に設けられている。
第2凝縮出口タンク223は、第3液流出口2231および第4液流出口2232を有している。第3液流出口2231は、第2凝縮出口タンク223内の液相熱媒体を、第1凝縮器21の第1液流入口2133側へ流出させる。第4液流出口2232は、第2凝縮出口タンク223内の液相熱媒体を、第1凝縮器21の第2液流入口2134側へ流出させる。
第3液流出口2231は、第2凝縮出口タンク223における水平方向の一端部に設けられている。具体的には、第3液流出口2231は、第2凝縮出口タンク223における車両後方側の端部に設けられている。
第4液流出口2232は、第2凝縮出口タンク223における水平方向の他端部に設けられている。具体的には、第4液流出口2232は、第2凝縮出口タンク223における車両前方側の端部に設けられている。
ところで、第2凝縮出口タンク223の下端面には、第1凝縮器21の第1凝縮入口タンク212の上端面が接合されている。これにより、第1凝縮器21および第2凝縮器22が一体化されている。
次に、熱媒体通路30の構成について説明する。熱媒体通路30は、蒸気通路301、接続通路302、複数の第1液通路303、304、および複数の第2液通路305、306を備えている。各通路301〜306は、例えば金属製の配管により形成されている。
蒸気通路301は、蒸発器10から流出した熱媒体を第1凝縮器21に導く通路である。具体的には、蒸気通路301は、蒸発器10の蒸発側蒸気流出口1031と第1凝縮器21の第1蒸気流入口2121とを接続する通路である。
蒸気通路301の上流側端部(すなわち入口側端部)は、蒸発器10の重力方向の中央より上方側に接続されている。蒸気通路301の下流側端部(すなわち出口側端部)は、第1凝縮器21における重力方向の中央より上方側に接続されている。また、蒸気通路301の下流側端部は、第1コネクタ401を介して第1凝縮器21に接続されている。
接続通路302は、第1凝縮器21から流出した熱媒体を第2凝縮器22に導く通路である。具体的には、接続通路302は、第1凝縮器21の凝縮側蒸気流出口2122と第2凝縮器22の第2蒸気流入口2221とを接続する通路である。
接続通路302の上流側端部は、第1凝縮器21の重力方向上方側に接続されている。接続通路302の下流側端部は、第2凝縮器22の重力方向上方側に接続されている。
接続通路302の上流側端部は、第2コネクタ402を介して第1凝縮器21に接続されている。接続通路302の下流側端部は、第3コネクタ403を介して第2凝縮器22に接続されている。
第1液通路303、304は、第1凝縮器21から流出した液相熱媒体を蒸発器10側に導く液通路である。複数の第1液通路303、304の上流側端部は、それぞれ、第1凝縮器21における重力方向の中央より下方側に接続されている。
本実施形態では、複数の第1液通路303、304の上流側端部は、それぞれ第1凝縮器21における重力方向の下端面に接続されている。具体的には、複数の第1液通路303、304の上流側端部は、それぞれ、第1凝縮出口タンク213の下端面213aに接続されている。
複数の第1液通路303、304は、車両の前後方向に配置されている。本実施形態の沸騰冷却装置1は、2つの第1液通路303、304を有している。ここで、2つの第1液通路303、304のうち、車両後方側に配置される第1液通路を第1後方液通路303といい、車両前方側に配置される第1液通路を第1前方液通路304という。
したがって、第1後方液通路303は、複数の第1液通路のうち最も車両後方側に配置された第1液通路の一例に相当する。第1前方液通路304は、複数の第1液通路のうち、最も車両前方側に配置された第1液通路の一例に相当する。
第1後方液通路303は、第1凝縮器21の第1液流出口2131と蒸発器10の蒸発側液流入口1021とを接続する液通路である。第1後方液通路303の上流側端部は、第1凝縮器21における車両後方側の端部に接続されている。第1後方液通路303の上流側端部は、第4コネクタ404を介して第1凝縮器21に接続されている。また、第1後方液通路303の下流側端部は、蒸発器10における重力方向の中央より下方側に接続されている。
第1前方液通路304は、第1凝縮器21の第2液流出口2132と後述する合流部307とを接続する液通路である。より詳細には、第1前方液通路304の下流側端部は、合流部307を介して蒸発器10に接続されている。合流部307は、第1後方液通路303と第1前方液通路304とが合流する部分である。
したがって、第1凝縮器21の第2液流出口2132から流出した熱媒体は、第1前方液通路304および第1後方液通路303を介して蒸発器10に導かれる。すなわち、第2液流出口2132から流出した熱媒体は、第1前方液通路304、合流部307、第1後方液通路303の順に流れて、蒸発器10に流入する。
第1前方液通路304の上流側端部は、第1凝縮器21における車両前方側の端部に接続されている。第1前方液通路304の上流側端部は、第5コネクタ405を介して第1凝縮器21に接続されている。また、第1前方液通路304の下流側端部、すなわち合流部307は、凝縮器20よりも重力方向下方側に位置している。
第2液通路305、306は、第2凝縮器22から流出した液相熱媒体を第1凝縮器21の第1凝縮出口タンク213に導く液通路である。
複数の第2液通路305、306の上流側端部は、それぞれ、第2凝縮器22における重力方向の中央より下方側に接続されている。本実施形態では、複数の第2液通路305、306の上流側端部は、それぞれ第2凝縮器22における重力方向の下端部に接続されている。具体的には、複数の第2液通路305、306の上流側端部は、それぞれ、第2凝縮出口タンク223に接続されている。
複数の第2液通路305、306の下流側端部は、それぞれ、第1凝縮器21における重力方向下方側の端部に接続されている。本実施形態では、複数の第2液通路305、306の下流側端部は、それぞれ、第1凝縮出口タンク213に接続されている。
第2凝縮器22から流出した液相熱媒体は、第2液通路305、306、第1凝縮出口タンク213、および第1液通路303、304を介して蒸発器10に導かれる。したがって、第2液通路305、306は、第2凝縮器22から流出した液相の熱媒体を蒸発器10側に導く液通路の一例に相当する。
複数の第2液通路305、306は、車両の前後方向に配置されている。本実施形態の沸騰冷却装置1は、2つの第2液通路305、306を有している。ここで、2つの第2液通路305、306のうち、車両後方側に配置される第2液通路を第2後方液通路305といい、車両前方側に配置される第2液通路を第2前方液通路306という。
したがって、第2後方液通路305は、複数の第2液通路のうち、最も車両後方側に配置された第2液通路の一例に相当する。第2前方液通路306は、複数の第2液通路のうち、最も車両前方側に配置された第2液通路の一例に相当する。
第2後方液通路305は、第2凝縮器22の第3液流出口2231と第1凝縮器21の第1液流入口2133とを接続する液通路である。第2後方液通路305の上流側端部は、第2凝縮器22における車両後方側の端部に接続されている。第2後方液通路305の上流側端部は、第6コネクタ406を介して第2凝縮器22に接続されている。第2後方液通路305の下流側端部は、第7コネクタ407を介して第1凝縮器21に接続されている。
第2前方液通路306は、第2凝縮器22の第4液流出口2232と第1凝縮器21の第2液流入口2134とを接続する液通路である。第2前方液通路306の上流側端部は、第2凝縮器22における車両前方側の端部に接続されている。第2前方液通路306の上流側端部は、第8コネクタ408を介して第2凝縮器22に接続されている。第2前方液通路306の下流側端部は、第9コネクタ409を介して第1凝縮器21に接続されている。
続いて、車両が水平面に位置する場合における本実施形態の沸騰冷却装置1の作動を、図1に基づいて説明する。
蒸発器10において、高温の発熱体40と蒸発チューブ101内の液相熱媒体との間で、熱交換が行われる。これにより、発熱体40の熱量が液相熱媒体に移動して、液相熱媒体が沸騰して気相熱媒体となり、発熱体40が冷却される。
そして、蒸発チューブ101内で蒸発した気相熱媒体は、蒸発出口タンク103に流入する。蒸発出口タンク103内の気相熱媒体は、蒸気通路301を介して、第1凝縮器21に流入する。
ここで、発熱体40の発熱量が増大すると、気液二相状態の熱媒体が、蒸発チューブ101から蒸発出口タンク103に流出する。このため、気液二相状態の熱媒体が、蒸発出口タンク103から蒸気通路301を介して第1凝縮器21に流入する。
第1凝縮器21に流入した気液二相状態の熱媒体のうち、気相熱媒体は、第1凝縮入口タンク212、および第1凝縮チューブ211の第1凝縮流路2110において凝縮する。そして、凝縮した液相熱媒体は、重力により第1凝縮流路2110を落下する。このとき、第1凝縮入口タンク212から第1凝縮流路2110に液相熱媒体が吸引されることで、 第1凝縮入口タンク212を流れる熱媒体の流速が低下する。
これにより、第1凝縮入口タンク212において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体が分離・除去される。つまり、第1凝縮入口タンク212において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体と気相熱媒体とに分離される。
第1凝縮入口タンク212において気液分離された気相熱媒体は、第1凝縮入口タンク212を水平方向に流れて、接続通路302を介して、第2凝縮器22の第2凝縮入口タンク222に流入する。
第2凝縮器22の第2凝縮入口タンク222に流入した気相熱媒体は、第2凝縮チューブ221に流入する。このとき、第2凝縮器22では、第2放熱フィン225を介して、複数の第2凝縮チューブ221同士の間の空気通路を流れる空気と、第2凝縮チューブ221内の気相熱媒体との間で熱交換が行われる。これにより、気相熱媒体が凝縮して液相熱媒体となり、熱媒体の有する熱が空気に放出される。
第2凝縮チューブ221で凝縮した液相熱媒体は、第2凝縮出口タンク223に流入する。そして、第2凝縮チューブ221で凝縮した液相熱媒体は、第2凝縮出口タンク223から、第2後方液通路305および第2前方液通路306の少なくとも一方を介して、第1凝縮器21の第1凝縮出口タンク213に流入する。
一方、第1凝縮入口タンク212において分離された液相熱媒体は、複数の第1凝縮チューブ211内の第1凝縮流路2110を落下し、第1凝縮出口タンク213に流入する。このとき、第1凝縮器21では、第1放熱フィン215を介して、複数の第1凝縮チューブ211同士の間の空気通路を流れる空気と、第1凝縮チューブ211内の熱媒体との間で熱交換が行われる。これにより、熱媒体の有する熱が空気に放出される。
そして、第1凝縮器21で気液分離された液相熱媒体および第2凝縮器22から流入した液相熱媒体は、第1凝縮出口タンク213から、第1後方液通路303および第1前方液通路304の少なくとも一方を介して、蒸発器10の蒸発入口タンク102に流入する。
続いて、車両の登坂時における本実施形態の沸騰冷却装置1の作動を、図2に基づいて説明する。
車両の登坂時、沸騰冷却装置1は、車両の前方側が後方側より上方に位置するように傾斜する。換言すると、車両の登坂時、沸騰冷却装置1は、凝縮器20が蒸発器10より上方に位置するように傾斜する。このとき、第1凝縮器21および第2凝縮器22において、液相冷媒は車両後方側に流れるため、車両前方側には液相冷媒が存在しなくなる。
したがって、第2凝縮器22内の液相冷媒は、第2後方液通路305および第2前方液通路306のうち、登坂時に下方側に位置する第2後方液通路305に流入し、第1凝縮器21側へ導かれる。そして、第1凝縮器21内の液相冷媒は、第1後方液通路303および第1前方液通路304のうち、登坂時に下方側に位置する第1後方液通路303に流入し、蒸発器10側へ導かれる。
続いて、車両の降坂時における本実施形態の沸騰冷却装置1の作動を、図3に基づいて説明する。
車両の降坂時、沸騰冷却装置1は、車両の前方側が後方側より下方に位置するように傾斜する。換言すると、車両の降坂時、沸騰冷却装置1は、凝縮器20が蒸発器10より下方側に位置するように傾斜する。このとき、第1凝縮器21および第2凝縮器22において、液相冷媒は車両前方側に流れるため、車両後方側には液相冷媒が存在しなくなる。
したがって、第2凝縮器22内の液相冷媒は、第2後方液通路305および第2前方液通路306のうち、降坂時に下方側に位置する第2前方液通路306に流入し、第1凝縮器21側へ導かれる。そして、第1凝縮器21内の液相冷媒は、第1後方液通路303および第1前方液通路304のうち、降坂時に下方側に位置する第1前方液通路304に流入し、蒸発器10側へ導かれる。
以上説明したように、本実施形態の沸騰冷却装置1は、凝縮器20として、第1凝縮器21と、第1凝縮器21の重力方向上方側に配置される第2凝縮器22と、を有している。第1凝縮器21は、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体を分離させる。さらに、第1凝縮器21は、液相熱媒体が分離された後の気相熱媒体を第2凝縮器22の第2蒸気流入口2221側へ流出させる。
これによれば、第1凝縮器21および第2凝縮器22のうち、重力方向上方側に位置する第2凝縮器22には、気相熱媒体が流入する。つまり、気液二相状態の熱媒体を第2凝縮器22まで上昇させる(すなわち、持ち上げる)必要がない。したがって、気液二相状態の熱媒体の重力方向上方側への上昇高さを低くすることができるので、熱媒体の圧力損失を低減できる。
ここで、蒸発器10の蒸発側蒸気流出口1031から流出した気液二相状態の熱媒体を第1凝縮器21の第1蒸気流入口2121まで上昇させる上昇高さを、二相持ち上げ高さHという。第1凝縮器21の凝縮側蒸気流出口2122から流出した気相冷媒を第2凝縮器22の第2蒸気流入口2221まで上昇させる上昇高さを、気相持ち上げ高さHという。本実施形態では、二相持ち上げ高さHは、気相持ち上げ高さHよりも十分小さい。このため、蒸気通路301を流通する熱媒体に生じる圧力損失を十分低減できる。
したがって、蒸発器10に対する凝縮器20の高さを高くする必要がない。このため、沸騰冷却装置1の小型化を図ることができる。
ところで、上述した特許文献1の沸騰冷却装置では、蒸発器から気液二相状態の熱媒体が流出した場合、凝縮器内に液相熱媒体が流入する。これにより、凝縮器の熱交換部の重力方向下方側に液相熱媒体が存在する(すなわち、液没する)こととなり、凝縮器における熱媒体の放熱性が悪化する可能性がある。このため、凝縮器における熱媒体の放熱性を確保するためには、凝縮器の体格を大きくする必要がある。その結果、沸騰冷却装置が大型化してしまう。
これに対し、本実施形態の沸騰冷却装置1は、第1凝縮器21において、液相熱媒体が分離された後の気相熱媒体を第2凝縮器22の第2蒸気流入口2221側へ流出させている。このため、第2凝縮器22への液相熱媒体の流入を抑制できる。したがって、第2凝縮器22における熱媒体の放熱性を確保するために第2凝縮器22の体格を大きくする必要がない。つまり、沸騰冷却装置1の小型化を図ることができる。
また、本実施形態の沸騰冷却装置1では、第1凝縮器21から流出した液相熱媒体を蒸発器10側に導く第1液通路303、304が複数設けられている。そして、複数の第1液通路(すなわち、第1後方液通路303および第1前方液通路304)の上流側端部は、それぞれ、第1凝縮器21における重力方向の中央より下方側に接続されている。
これによれば、車両の登坂・降坂等により沸騰冷却装置1全体が傾斜した場合でも、複数の第1液通路303、304のうち、傾斜時に下方側に位置する第1液通路303、304によって、第1凝縮器21から蒸発器10側へ液相冷媒を供給することができる。このため、第1液通路を1つのみ有する沸騰冷却装置と比較して、傾斜時に第1凝縮器21内に液相熱媒体が滞留することを抑制できる。その結果、傾斜時における沸騰冷却装置1の冷却性能を確保することが可能となる。
また、本実施形態の沸騰冷却装置1は、第2凝縮器22から流出した液相熱媒体を第1凝縮器21側に導く第2液通路305、306を複数有している。そして、複数の第2液通路(すなわち、第2後方液通路305および第2前方液通路306)の上流側端部は、それぞれ、第2凝縮器22における重力方向の中央より下方側に接続されている。
これによれば、車両の登坂・降坂等により沸騰冷却装置1全体が傾斜した場合でも、複数の第2液通路305、306のうち、傾斜時に下方側に位置する第2液通路305、306によって、第2凝縮器22から第1凝縮器21側へ液相冷媒を供給することができる。そして、第1凝縮器21へ供給された液相熱媒体を、複数の第1液通路303、304のうち、傾斜時に下方側に位置する第1液通路303、304によって、蒸発器10側へ供給することができる。
このため、第2液通路を1つのみ有する沸騰冷却装置と比較して、傾斜時に第2凝縮器22内に液相熱媒体が滞留することを抑制できる。その結果、傾斜時における沸騰冷却装置1の冷却性能を確保することが可能となる。
また、本実施形態の沸騰冷却装置1においては、複数の第1液通路303、304のうち、最も車両後方側に配置された第1後方液通路303の上流側端部は、第1凝縮器21における車両後方側の端部に接続されている。
第1凝縮器21における車両後方側の端部は、車両の登坂時において、第1凝縮器21における最も下方側に位置する部位(すなわち、最下点)となる。このため、車両の登坂時には、第1凝縮器21における車両後方側の端部に、液相熱媒体が滞留する。
したがって、第1後方液通路303の上流側端部を、第1凝縮器21における車両後方側の端部に接続することで、車両の登坂時において、第1凝縮器21内の液相冷媒を第1後方液通路303から確実に排出させることができる。このため、車両の登坂時に第1凝縮器21内に液相冷媒が滞留することをより抑制できる。
また、本実施形態の沸騰冷却装置1においては、複数の第2液通路305、306のうち、最も車両後方側に配置された第2後方液通路305の上流側端部は、第2凝縮器22における車両後方側の端部に接続されている。
第2凝縮器22における車両後方側の端部は、車両の登坂時において、第2凝縮器22における最も下方側に位置する部位となる。このため、車両の登坂時には、第2凝縮器22における車両後方側の端部に、液相熱媒体が滞留する。
したがって、第2後方液通路305の上流側端部を、第2凝縮器22における車両後方側の端部に接続することで、車両の登坂時において、第2凝縮器22内の液相冷媒を第2後方液通路305から確実に排出させることができる。このため、車両の登坂時に第2凝縮器22内に液相冷媒が滞留することをより抑制できる。
また、本実施形態の沸騰冷却装置1においては、複数の第1液通路303、304のうち、最も車両前方側に配置された第1前方液通路304の上流側端部は、第1凝縮器21における車両前方側の端部に接続されている。
第1凝縮器21における車両前方側の端部は、車両の降坂時において、第1凝縮器21における最も下方側に位置する部位となる。このため、車両の降坂時には、第1凝縮器21における車両後方側の端部に、液相熱媒体が滞留する。
したがって、第1前方液通路304の上流側端部を、第1凝縮器21における車両前方側の端部に接続することで、車両の降坂時において、第1凝縮器21内の液相冷媒を第1前方液通路304から確実に排出させることができる。このため、車両の降坂時に第1凝縮器21内に液相冷媒が滞留することをより抑制できる。
また、本実施形態の沸騰冷却装置1においては、複数の第2液通路305、306のうち、最も車両前方側に配置された第2前方液通路306の上流側端部は、第2凝縮器22における車両前方側の端部に接続されている。
第2凝縮器22における車両前方側の端部は、車両の降坂時において、第2凝縮器22における最も下方側に位置する部位となる。このため、車両の降坂時には、第2凝縮器22における車両後方側の端部に、液相熱媒体が滞留する。
したがって、第2前方液通路306の上流側端部を、第2凝縮器22における車両前方側の端部に接続することで、車両の降坂時において、第2凝縮器22内の液相冷媒を第2前方液通路306から確実に排出させることができる。このため、車両の降坂時に第2凝縮器22内に液相冷媒が滞留することをより抑制できる。
また、本実施形態の沸騰冷却装置1においては、蒸気通路301の下流側端部は、第1凝縮器21における重力方向の中央より上方側に接続されている。これによれば、車両の傾斜時に、第1凝縮器21内の液相熱媒体が、蒸気通路301から蒸発器10側へ逆流することを抑制できる。
また、本実施形態の沸騰冷却装置1においては、第2液通路305、306の下流側端部は、第1凝縮出口タンク213に接続されている。すなわち、第2液通路305、306の下流側端部は、第1凝縮器21における重力方向下方側の端部に接続されている。これによれば、第2液通路305、306を第1液通路303、304に直接接続させる場合と比較して、第2液通路305、306の長さが短くなる。このため、熱媒体が第2液通路305、306を流通する際に生じる圧力損失を低減することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4〜図6に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、第1凝縮器21の構成が異なる。
図4に示すように、本実施形態の第1凝縮器21では、第1凝縮チューブ211は、その長手方向が車両前後方向と略平行となるように配置されている。このため、第1凝縮流路2110において、熱媒体は車両前後方向に流れる。具体的には、第1凝縮流路2110において、熱媒体は車両後方側から前方側に向かって流れる。第1凝縮チューブ211は、重力方向において、複数本平行に配置されている。
第1凝縮入口タンク212および第1凝縮出口タンク213は、それぞれ、重力方向に延びている。第1凝縮入口タンク212は、第1凝縮チューブ211の車両後方側の端部に接続されている。第1凝縮出口タンク213は、第1凝縮チューブ211の車両前方側の端部に接続されている。
第1凝縮入口タンク212は、第1蒸気流入口2121、第1液流出口2131および第1液流入口2133を有している。
第1蒸気流入口2121は、第1凝縮入口タンク212における重力方向の中央部より上方側に設けられている。第1液流出口2131は、第1凝縮入口タンク212の下端面に設けられている。第1液流入口2133は、第1凝縮入口タンク212における重力方向の中央部より下方側に設けられている。
第1凝縮出口タンク213は、凝縮側蒸気流出口2122、第2液流出口2132および第2液流入口2134を有している。
凝縮側蒸気流出口2122は、第1凝縮出口タンク213における重力方向の中央部より上方側に設けられている。第2液流出口2132は、第1凝縮出口タンク213の下端面に設けられている。第2液流入口2134は、第1凝縮出口タンク213における重力方向の中央部より下方側に設けられている。
本実施形態では、接続通路302の上流側端部は、第1凝縮出口タンク213に接続されている。第1後方液通路303の上流側端部は、第1凝縮入口タンク212の下端面に接続されている。第1前方液通路304の上流側端部は、第1凝縮出口タンク213の下端面に接続されている。第2後方液通路305の下流側端部は、第1凝縮入口タンク212に接続されている。第2前方液通路306の下流側端部は、第1凝縮出口タンク213に接続されている。
ところで、第1凝縮器21は、蒸気通路301から流出した熱媒体が流入する入口側流路219を有している。本実施形態では、入口側流路219は、第1凝縮入口タンク212により形成されている。
入口側流路219の流路断面積Sは、蒸気通路301の通路断面積Sより大きい。ここで、入口側流路219の流路断面積Sとは、入口側流路219における第1蒸気流入口2121から流入した熱媒体の流れ方向に垂直な断面の断面積をいう。
本実施形態では、入口側流路219の流路断面積Sは、第1凝縮入口タンク212の内部空間における、第1凝縮チューブ211の長手方向に垂直な断面の断面積である。換言すると、入口側流路219の流路断面積Sは、第1凝縮入口タンク212の内部空間における水平方向(すなわち、車両前後方向)に垂直な断面の断面積である。
ところで、第2凝縮出口タンク223の下端面には、第1凝縮器21における複数の第1凝縮チューブ211のうち、重力方向の最上方側に配置された第1凝縮チューブ211の上端面が接合されている。これにより、第1凝縮器21および第2凝縮器22が一体化されている。
次に、上記構成を備える第1凝縮器21の作動を説明する。蒸発器10から流出した気液二相状態の熱媒体は、蒸気通路301および第1蒸気流入口2121を介して、第1凝縮器21の入口側流路219(すなわち、第1凝縮入口タンク212)に流入する。
このとき、第1凝縮器21における入口側流路219の流路断面積Sが蒸気通路301の通路断面積Sより大きいので、蒸気通路301から第1凝縮器21に流入した熱媒体の流速が低下する。これにより、第1凝縮器21の入口側流路219において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体が分離・除去される。つまり、第1凝縮入口タンク212において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体と気相熱媒体とに分離される。
第1凝縮入口タンク212において気液分離された気相熱媒体は、複数の第1凝縮チューブ211のうち重力方向上方側の第1凝縮チューブ211を流れて、第1凝縮出口タンク213の重力方向上方側に流入する。そして、第1凝縮器21で気液分離された気相熱媒体は、第1凝縮出口タンク213から接続通路302を介して、第2凝縮器22の第2凝縮入口タンク222に流入する。
一方、第1凝縮入口タンク212において分離された液相熱媒体は、複数の第1凝縮チューブ211のうち重力方向下方側の第1凝縮チューブ211を流れて、第1凝縮出口タンク213の重力方向下方側に流入する。そして、第1凝縮器21で気液分離された液相熱媒体は、第1凝縮出口タンク213から第1前方液通路304を介して、蒸発器10の蒸発入口タンク102に流入する。
続いて、車両の登坂時における本実施形態の沸騰冷却装置1の作動を、図5に基づいて説明する。
車両の登坂時、沸騰冷却装置1は、車両の前方側が後方側より上方に位置するように傾斜する。このとき、第1凝縮器21および第2凝縮器22において、液相冷媒は車両後方側に流れるため、車両前方側には液相冷媒が存在しなくなる。このため、第1凝縮器21においては、液相冷媒は、第1凝縮入口タンク212内に滞留する。
第2凝縮器22内の液相冷媒は、第2後方液通路305および第2前方液通路306のうち、登坂時に下方側に位置する第2後方液通路305に流入し、第1凝縮器21側へ導かれる。具体的には、第2凝縮器22内の液相冷媒は、第2後方液通路305に流入し、第1凝縮器21の第1凝縮入口タンク212へ導かれる。
そして、第1凝縮器21の第1凝縮入口タンク212内の液相冷媒は、第1後方液通路303および第1前方液通路304のうち、登坂時に下方側に位置する第1後方液通路303によって、蒸発器10側へ導かれる。
続いて、車両の降坂時における本実施形態の沸騰冷却装置1の作動を、図6に基づいて説明する。
車両の降坂時、沸騰冷却装置1は、車両の前方側が後方側より下方に位置するように傾斜する。このとき、第1凝縮器21および第2凝縮器22において、液相冷媒は車両前方側に流れるため、車両後方側には液相冷媒が存在しなくなる。このため、第1凝縮器21においては、液相冷媒は、第1凝縮出口タンク213内に滞留する。
第2凝縮器22内の液相冷媒は、第2後方液通路305および第2前方液通路306のうち、降坂時に下方側に位置する第2前方液通路306に流入し、第1凝縮器21側へ導かれる。具体的には、第2凝縮器22内の液相冷媒は、第2後方液通路305に流入し、第1凝縮器21の第1凝縮出口タンク213へ導かれる。
そして、第1凝縮器21の第1凝縮出口タンク213内の液相冷媒は、第1後方液通路303および第1前方液通路304のうち、降坂時に下方側に位置する第1前方液通路304によって、蒸発器10側へ導かれる。
以上説明したように、第2実施形態の沸騰冷却装置1によれば、第1凝縮器21の構成を変更した場合でも、第1実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、例えば以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態では、第1凝縮器21において、気液二相状態の熱媒体から液相熱媒体を分離・除去させるとともに、気相熱媒体を第2凝縮器22の第2蒸気流入口2221側へ流出させたが、この態様に限定されない。
例えば、第1凝縮器21において、気液二相状態の熱媒体から一部の液相熱媒体を分離・除去させてもよい。さらに、第1凝縮器21において、当該一部の液相冷媒が分離された後の熱媒体を第2凝縮器22の第2蒸気流入口2221側へ流出させてもよい。
(2)上述の実施形態では、第1凝縮器21に複数の第1凝縮流路2110を設けたが、この態様に限定されない。例えば、第1凝縮器21の第1凝縮流路2110を1つとしてもよい。
(3)上述の実施形態では、複数の第1液通路303、304として、第1後方液通路303および第1前方液通路304の2つを採用していたが、この態様に限定されない。例えば、第1液通路303、304を3つ以上設けてもよい。
(4)上述の実施形態では、複数の第2液通路305、306として、第2後方液通路305および第2前方液通路306の2つを採用していたが、この態様に限定されない。例えば、第2液通路305、306を、1つとしてもよいし、3つ以上設けてもよい。
(5)上述の実施形態では、複数の第2液通路305、306の全ての下流側端部を、それぞれ、第1凝縮器21における重力方向下方側の端部に接続させたが、この態様に限定されない。
複数の第2液通路305、306のうち少なくとも1つの下流側端部を、第1凝縮器21における重力方向下方側の端部に接続してもよい。複数の第2液通路305、306の少なくともの1つの下流側端部を、第1液通路303、304に接続してもよい。複数の第2液通路305、306の少なくともの1つの下流側端部を、蒸発器10に直接接続することも可能である。
(6)上述の実施形態では、第1後方液通路303の上流側端部を、第1凝縮器21における車両後方側の端部に接続したが、この態様に限定されない。例えば、第1後方液通路303の上流側端部を、第1凝縮器21における車両後方側の端部よりも車両前方側に接続してもよい。
(7)上述の実施形態では、第1前方液通路304の上流側端部を、第1凝縮器21における車両前方側の端部に接続したが、この態様に限定されない。例えば、第1前方液通路304の上流側端部を、第1凝縮器21における車両前方側の端部よりも車両後方側に接続してもよい。
(8)上述の実施形態では、第2後方液通路305の上流側端部を、第2凝縮器22における車両後方側の端部に接続したが、この態様に限定されない。例えば、第2後方液通路305の上流側端部を、第2凝縮器22における車両後方側の端部よりも車両前方側に接続してもよい。
(9)上述の実施形態では、第2前方液通路306の上流側端部を、第2凝縮器22における車両前方側の端部に接続したが、この態様に限定されない。例えば、第2前方液通路306の上流側端部を、第2凝縮器22における車両前方側の端部よりも車両後方側に接続してもよい。
10 蒸発器
20 凝縮器
21 第1凝縮器
22 第2凝縮器
30 熱媒体通路
40 発熱体(冷却対象物)
303 第1後方液通路(第1液通路)
304 第1前方液通路(第1液通路)
305 第2後方液通路(第2液通路)
306 第2前方液通路(第2液通路)

Claims (8)

  1. 冷却対象物(40)と熱媒体との熱交換により前記熱媒体を沸騰気化させることで前記冷却対象物を冷却する蒸発器(10)と、
    前記熱媒体と外部流体との熱交換により前記熱媒体を凝縮させることで前記熱媒体の熱を前記外部流体に放熱する凝縮器(20)と、
    前記蒸発器と前記凝縮器とをループ状に連結して前記蒸発器と前記凝縮器との間で前記熱媒体を循環させる熱媒体通路(30)と、を備える沸騰冷却装置であって、
    前記凝縮器は、第1凝縮器(21)と、前記第1凝縮器の重力方向上方側に配置される第2凝縮器(22)と、を有しており、
    前記第1凝縮器には、前記蒸発器から流出した前記熱媒体が流入し、
    前記第2凝縮器には、前記第1凝縮器から流出した前記熱媒体が流入し、
    前記熱媒体通路は、前記第1凝縮器から流出した液相の前記熱媒体を前記蒸発器側に導く複数の第1液通路(303、304)と、前記第2凝縮器から流出した液相の前記熱媒体を前記蒸発器側に導く第2液通路(305、306)と、を含んでおり、
    前記複数の第1液通路の上流側端部は、それぞれ、前記第1凝縮器における重力方向の中央より下方側に接続されている沸騰冷却装置。
  2. 車両に搭載される請求項1に記載の沸騰冷却装置であって、
    前記複数の第1液通路のうち、最も車両後方側に配置された前記第1液通路である第1後方液通路(303)の上流側端部は、前記第1凝縮器における車両後方側の端部に接続されている請求項1に記載の沸騰冷却装置。
  3. 前記第2液通路は、複数設けられており、
    複数の前記第2液通路の上流側端部は、それぞれ、前記第2凝縮器における重力方向の中央より下方側に接続されている請求項1または2に記載の沸騰冷却装置。
  4. 車両に搭載される請求項3に記載の沸騰冷却装置であって、
    前記複数の第2液通路のうち、最も車両後方側に配置された前記第2液通路である第2後方液通路(305)の上流側端部は、前記第2凝縮器における車両後方側の端部に接続されている請求項3に記載の沸騰冷却装置。
  5. 前記熱媒体通路は、前記蒸発器から流出した前記熱媒体を前記第1凝縮器に導く蒸気通路(301)を含んでおり、
    前記蒸気通路の下流側端部は、前記第1凝縮器における重力方向の中央より上方側に接続されている請求項1ないし4のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。
  6. 前記第2液通路の下流側端部は、前記第1凝縮器における重力方向下方側の端部に接続されている請求項1ないし5のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。
  7. 車両に搭載される請求項1ないし6のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置であって、
    前記複数の第1液通路のうち、最も車両前方側に配置された前記第1液通路である第1前方液通路(304)の上流側端部は、前記第1凝縮器における車両前方側の端部に接続されている請求項1ないし6のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。
  8. 車両に搭載される請求項1ないし7のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置であって、
    前記複数の第2液通路のうち、最も車両前方側に配置された前記第2液通路である第2前方液通路(306)の上流側端部は、前記第2凝縮器における車両前方側の端部に接続されている請求項1ないし7のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。
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