以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一または相当する部分には同一の符号を付して、その説明を繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態に係る無停電電源システム100の構成を示す回路ブロック図である。
図1を参照して、無停電電源システム100は、複数(図1では3台)の無停電電源装置(UPS)11〜13、複数の蓄電池B1〜B3、複数のバイパス盤UB1〜UB3、複数の遮断器CB11,CB12,CB21,CB22,CB31,CB32,CB51,CB52、および運用切替盤UC1を備える。本実施の形態では、UPS11〜13の内部構成は互いに同一であり、その容量(定格出力容量)も互いに同等であるとする。
UPS11〜13の各々は、交流入力端子T1、バイパス入力端子T2、交流出力端子T3、バッテリ端子T4、コンバータ1、インバータ2、バイパス回路3およびバイパス切替回路4を含む。
交流入力端子T1は、商用交流電源5から交流電力を受けるとともに、コンバータ1の入力ノードに接続される。バッテリ端子T4は、コンバータ1の出力ノードおよびインバータ2の入力ノードの間の直流回路(直流リンク)に接続されるとともに、対応の蓄電池Bに接続される。交流出力端子T3は、バイパス切替回路4を介してバイパス回路3に接続される。
コンバータ1は、商用交流電源5から商用周波数の交流電力を受ける。コンバータ1は、商用交流電源5から交流電力が供給される通常時、交流電力を直流電力に変換する。コンバータ1は、直流回路に供給される直流電圧が一定電圧となるように制御される。
蓄電池Bは、対応のUPSの直流回路に接続される。蓄電池Bは、通常時はコンバータ1によって生成された直流電力を貯蔵し、商用交流電源5からの交流電力の供給が停止された停電時、インバータ2に直流電力を供給する。
インバータ2は、対応の直流回路に接続される。インバータ2は、通常時、コンバータ1によって生成された直流電力を商用周波数の交流電力に変換し、停電時、対応の蓄電池Bから直流電力を商用周波数の交流電力に変換する。コンバータ1およびインバータ2は「電力変換器」の一実施例に対応する。
バイパス回路3は、バイパス入力端子T2およびバイパス切替回路4の間に接続される。バイパス切替回路4は、バイパス回路3および交流出力端子T3の間に接続される。バイパス切替回路4は、バイパス回路3と交流出力端子T3との電気的な接続および遮断を切り替える。具体的には、バイパス切替回路4は、バイパス回路3と交流出力端子T3との間に接続されるスイッチを含む。スイッチは、インバータ2からの給電時に非導通(オフ)状態となり、バイパス回路3からの給電時に導通(オン)状態となる。
UPS11〜13の各々は、図示しない制御部をさらに含む。制御部は、コンバータ1およびインバータ2を制御して交流電力を生成する。一方、制御部は、停電時、コンバータ1を停止させるとともにインバータ2を制御して交流電力を生成する。制御部は、各UPSの交流入力端子T1の電圧(すなわち、商用交流電源5から供給される交流電圧)に基づいて、商用交流電源5から交流電力が正常に供給されているか否かを判定する。制御部は、判定結果に基づいてコンバータ1およびインバータ2を制御する。また、制御部は、対応するUPSの故障を検出すると、インバータ2の出力をバイパス回路3の出力に無瞬断で切り替えるようにバイパス切替回路4を制御する。
遮断器CB11,CB12は、UPS11の交流出力端子T3および負荷L1の間に直列に接続される。遮断器CB21,CB22は、UPS12の交流出力端子T3および負荷L2の間に直列に接続される。遮断器CB31,CB32は、UPS13の交流出力端子T3および負荷L3の間に直列に接続される。
遮断器CB51は、遮断器CB12および負荷L1の間のノードと、遮断器CB22および負荷L2の間のノードとの間に接続される。遮断器CB52は、遮断器CB22および負荷L2の間のノードと、遮断器CB32および負荷L3の間のノードとの間に接続される。
バイパス盤UB1〜UB3の各々は、スイッチS1およびスイッチS2を有する。各バイパス盤UBにおいて、スイッチS1は、運用切替盤UC1およびバイパス入力端子T2の間に接続される。スイッチS2は、商用交流電源5およびバイパス入力端子T2の間に接続される。
運用切替盤UC1は、複数の遮断器CB13,CB14,CB23,CB24,CB33,CB34を有する。遮断器CB13,CB14は、遮断器CB11およびCB12の間のノードと、バイパス盤UB1のスイッチS1との間に直列に接続される。遮断器CB23,CB24は、遮断器CB21およびCB22の間のノードと、バイパス盤UB2のスイッチS1との間に直列に接続される。遮断器CB33,CB34は、遮断器CB31およびCB32の間のノードと、バイパス盤UB3のスイッチS1との間に直列に接続される。遮断器CB13およびCB14間のノードN1、遮断器CB23およびCB24間のノードN2、および遮断器CB33およびCB34間のノードN3は互いに接続されている。
UPS11〜13の各々は、保守点検または故障発生の際に、バイパス切替回路4を用いてインバータ2による給電からバイパス回路3による給電へ無瞬断で切り替えることができるように構成されている。
図1に示す無停電電源システム100は、このような無瞬断バイパス切替機能を有するUPSを3台用意しており、このうちの1台を予備運転とし、残りの2台を常用運転とし、常用運転のUPSのバイパス電源として予備運転のUPSの出力を供給するように構成される。なお、無停電電源システム100は、予備運転のUPSを常用運転のUPSに直列に接続して冗長性を得るように構成されるため、直列冗長無停電電源システム(または待機冗長無停電電源システム)と称される。
以下の説明では、常用運転のUPSを「常用UPS」とも称し、予備運転のUPSを「予備用UPS」とも称する。なお、予備用UPSは、2台の常用UPSに共通に予備用UPSとして作用することから、共通予備用UPSとも称することができる。共通予備用UPSの容量は、常用UPSの容量と同一容量であってもよいし、2台の常用UPSをバックアップできる容量であってもよい。
ここで、一般的な直列冗長無停電電源システムでは、常用UPSのバイパス回路の入力に予備用UPSの出力を接続した回路構成とすることで、通常は常用UPSが負荷給電を行ない、常用UPSの保守点検または故障発生時に予備用UPSからの負荷給電を行なうように構成される。
図6は、一般的な直列冗長無停電電源システムの構成を示す回路ブロック図である。図6を参照して、一般的な直列冗長無停電電源システム200は、複数(たとえば、3台)のUPS21〜UPS23、遮断器CB61〜CB64,CB71〜CB73および、バイパス盤UB1,UB2を備える。UPS21〜UPS23の内部構成は、図1に示したUPS11〜UPS13の内部構成と同一である。
図6の例では、UPS21を予備用UPSとし、UPS22およびUPS23を常用UPSとする。遮断器CB63は、予備用UPS21の交流出力端子T3およびバイパス盤UB1のスイッチS1の間に接続される。遮断器CB64は、予備用UPS21の交流出力端子T3およびバイパス盤UB2のスイッチS1の間に接続される。
バイパス盤UB1は、スイッチS1,S2を有する。スイッチS1は、遮断器CB63および常用UPS22のバイパス入力端子T2の間に接続される。スイッチS2は、商用交流電源5および常用UPS22のバイパス入力端子T2の間に接続される。
バイパス盤UB2は、スイッチS1,S2を有する。スイッチS1は、遮断器CB64および常用UPS23のバイパス入力端子T2の間に接続される。スイッチS2は、商用交流電源5および常用UPS23のバイパス入力端子T2の間に接続される。
遮断器CB72は、常用UPS22の交流出力端子T3および負荷L1の間に接続される。遮断器CB74は、常用UPS23の交流出力端子T3および負荷L2の間に接続される。遮断器CB61およびCB71は、予備用UPS21の交流出力端子T3および負荷L1の間に直列に接続される。遮断器CB62およびCB73は、予備用UPS21の交流出力端子T3および負荷L2の間に直列に接続される。
図6に示すように、常用UPS22および常用UPS23による負荷給電中は、遮断器CB63,CB64をオンとし、遮断器CB61,CB62をオフとする。また、遮断器CB72,CB74をオンとし、遮断器CB71,CB73をオフとする。バイパス盤UB1,UB2の各々において、スイッチS1をオンとし、スイッチS2をオフとする。
予備用UPS21は、交流入力端子T1およびバイパス入力端子T2が商用交流電源5と電気的に接続され、交流出力端子T3が常用UPS22のバイパス入力端子T2および常用UPS23のバイパス入力端子T2と電気的に接続される。
常用UPS22は、交流入力端子T1が商用交流電源5と電気的に接続され、バイパス入力端子T2が予備用UPS21の交流出力端子T3と電気的に接続され、交流出力端子T3が負荷L1と電気的に接続される。
常用UPS23は、交流入力端子T1が商用交流電源5と電気的に接続され、バイパス入力端子T2が予備用UPS21の交流出力端子T3と電気的に接続され、交流出力端子T3が負荷L2と電気的に接続される。
この状態において、予備用UPS21は、常用UPS22および常用UPS23による負荷給電中、無負荷運転で待機する。具体的には、予備用UPS21は、電力変換器(コンバータ1およびインバータ2)を制御して交流電力を生成し、生成した交流電力を交流出力端子T3に出力する。交流出力端子T3から出力される交流電力は、図中に太実線で示されるように、常用UPS22および常用UPS23の各々のバイパス入力端子T2に入力される。常用UPS22および常用UPS23がバイパス回路3による給電を行なわない限り、予備用UPS21は、待機状態で無負荷運転とされる。
図7は、常用UPS22の故障が発生した場合における直列冗長無停電電源システム200の動作を説明する図である。
図7を参照して、常用UPS22では、電力変換器の故障発生によって、インバータ2による給電が不可能になると、図示しない制御部によってインバータ2の運転が停止されるとともに、バイパス切替回路4がオフからオンに切り替えられる。これにより、図中に太実線で示されるように、バイパス回路3から交流出力端子T3および遮断器C72を介して負荷L1に交流電力が供給される。バイパス回路3には、遮断器CB63およびバイパス盤UB1のスイッチS1を介して予備用UPS21から交流電力が供給されている。よって、常用UPS22は、インバータ2による給電から予備用UPS21による給電に無瞬断で切り替えられることになる。
図示は省略するが、遮断器CB63,CB72をオンからオフに切り替えるとともに、遮断器CB61,CB71をオンとすることにより、予備用UPS21の交流出力端子T3および負荷L1の間には保守バイパス回路が形成される。常用UPS22を無停電電源システムから分離した状態で、常用UPS22の故障を修復する作業が行なわれる。
上述したように、一般的な直列冗長無停電電源システム200では、常用UPSによる負荷給電中、予備用UPSは無負荷運転で待機している。そのため、予備用UPSは、常用UPSに比べて、稼働率が低くなる傾向がある。なお、本願明細書において、UPSの稼働率とは、無停電電源システム全体の全運転時間に対する、UPSの稼働時間の割合を示すものとする。
このような予備用UPSと常用UPSとの間の稼働率の違いにより、無停電電源システムを構成する複数のUPS間で稼働率に不均衡が生じることがある。そのため、これら複数のUPSを同時期に導入した場合であっても、常用UPSは予備UPSに比べて経年劣化が進むことなる。この常用UPSの経年劣化が無停電電源システムの信頼性に影響を及ぼすことが懸念される。
そこで、図1に示すように、本実施の形態に係る無停電電源システム100では、3台のUPS11〜UPS13の間で、常用UPSおよび予備用UPSを切り替え可能に構成する。この常用UPSおよび予備用UPSの切り替えは、遮断器CB12,CB22,CB32、バイパス盤UB1〜UB3および運用切替盤UC1における導通(オン)および非導通(オフ)の切り替えによって実現することができる。
図1の例では、UPS11を予備用UPSとし、UPS12およびUPS13を常用UPSとするように、遮断器CB、バイパス盤UBおよび運用切替盤UC1におけるオンオフを切り替えるものとする。以下の説明では、UPS11を「予備UPS11」とも称し、UPS12およびUPS13をそれぞれ、「常用UPS12」および「常用UPS13」とも称する。
具体的には、バイパス盤UB1にて、スイッチS1をオフとし、スイッチS2をオンとする。これにより、予備用UPS11のバイパス入力端子T2は商用交流電源5と電気的に接続される。遮断器CB11をオンとし、遮断器CB12をオフとする。これにより、予備用UPS11の交流出力端子T3は、遮断器CB11を介して運用切替盤UC1の遮断器CB13と電気的に接続される。
運用切替盤UC1にて、遮断器CB13,CB24およびCB34をオンとし、遮断器CB14,CB23およびCB33をオフとする。これにより、予備用UPS11の交流出力端子T3は、遮断器CB11,CB13およびCB34を介して、バイパス盤UB3のスイッチS1と電気的に接続される。また、予備用UPS11の交流出力端子T3は、遮断器CB11,CB13およびCB24を介して、バイパス盤UB2のスイッチS1と電気的に接続される。
バイパス盤UB2にて、スイッチS1をオンとし、スイッチS2をオフとする。これにより、予備用UPS11の交流出力端子T3は、遮断器CB11,CB13,CB24および、バイパス盤UB2のスイッチS1を介して、常用UPS12のバイパス入力端子T2と電気的に接続される。遮断器CB21をオンとし、遮断器CB22をオンとする。これにより、常用UPS12の交流出力端子T3は負荷L2と電気的に接続される。
バイパス盤UB3にて、スイッチS1をオンとし、スイッチS2をオフとする。これにより、予備用UPS11の交流出力端子T3は、遮断器CB11,CB13,CB34およびバイパス盤UB3のスイッチS1を介して、常用UPS13のバイパス入力端子T2と電気的に接続される。遮断器CB31をオンとし、遮断器CB32をオンとする。これにより、常用UPS13の交流出力端子T3は負荷L3と電気的に接続される。
遮断器CB51をオンとし、遮断器CB52をオフとする。これにより、常用UPS12の交流出力端子T3は、遮断器CB21,CB22およびCB51を介して、負荷L1と電気的に接続される。
以上をまとめると、予備用UPS11は、交流入力端子T1およびバイパス入力端子T2が商用交流電源5と電気的に接続され、交流出力端子T3が常用UPS12のバイパス入力端子T2および常用UPS13のバイパス入力端子T2と電気的に接続される。
常用UPS12は、交流入力端子T1が商用交流電源5と電気的に接続され、バイパス入力端子T2が予備用UPS11の交流出力端子T3と電気的に接続され、交流出力端子T3が負荷L2および負荷L1と電気的に接続される。
常用UPS13は、交流入力端子T1が商用交流電源5と電気的に接続され、バイパス入力端子T2が予備用UPS11の交流出力端子T3と電気的に接続され、交流出力端子T3が負荷L3と電気的に接続される。
この状態において、予備用UPS11は、常用UPS12および常用UPS13による負荷給電中、無負荷運転で待機する。具体的には、予備用UPS11は、電力変換器(コンバータ1およびインバータ2)を制御して交流電力を生成し、生成した交流電力を交流出力端子T3に出力する。交流出力端子T3から出力される交流電力は、図中に太実線で示されるように、常用UPS12および常用UPS13の各々のバイパス入力端子T2に入力される。常用UPS12および常用UPS13がバイパス回路3による給電を行なわない限り、予備用UPS11は、待機状態で無負荷運転とされる。
なお、予備用UPS11のバイパス回路3は、図中に点線で示されるように、商用交流電源5から交流電力の供給を受ける。予備用UPS11の保守点検または故障発生時には、バイパス切替回路4をオフからオンに切り替えることで、インバータ2による給電からバイパス回路3による給電(商用交流電源5による給電)へ無瞬断で切り替えることができる。
常用UPS12は、通常時、図中に一点鎖線で示されるように、商用交流電源5から交流電力の供給を受け、電力変換器(コンバータ1およびインバータ2)を制御して交流電力を生成し、生成した交流電力を交流出力端子T3に出力する。交流出力端子T3から出力される交流電力は、図中に一点鎖線で示される経路を通って、負荷L1および負荷L2に入力される。すなわち、インバータ2による給電が行なわれる。
常用UPS12のバイパス回路3は、図中に太実線で示されるように、予備用UPS11から交流電力の供給を受ける。常用UPS12保守点検または故障発生時には、バイパス切替回路4をオフからオンに切り替えることで、インバータ2による給電からバイパス回路3による給電(予備用UPS11による給電)へ無瞬断で切り替えることができる。
常用UPS13は、通常時、図中に一点鎖線で示されるように、商用交流電源5から交流電力の供給を受け、電力変換器(コンバータ1およびインバータ2)を制御して交流電力を生成し、生成した交流電力を交流出力端子T3に出力する。交流出力端子T3から出力される交流電力は、図中に一点鎖線で示される経路を通って、負荷L3に入力される。すなわち、インバータ2による給電が行なわれる。
常用UPS13のバイパス回路3は、図中に太実線で示されるように、予備用UPS11から交流電力の供給を受ける。常用UPS12の保守点検または故障発生時には、バイパス切替回路4をオフからオンに切り替えることで、インバータ2による給電からバイパス回路3による給電(予備用UPS11による給電)へ無瞬断で切り替えることができる。
以下、図2および図3を用いて、常用UPS13の故障が発生した場合における無停電電源システム100の動作について説明する。
図2を参照して、常用UPS13では、電力変換器の故障が発生したことによって、インバータ2による給電が不可能になると、図示しない制御部によってインバータ2の運転が停止されるとともに、バイパス切替回路4がオフからオンに切り替えられる。これにより、図中に太実線で示されるように、バイパス回路3から交流出力端子T3および遮断器C31,CB32を介して負荷L3に交流電力が供給される。バイパス回路3には、運用切替盤UC1の遮断器CB13およびCB34を介して予備用UPS11から交流電力が供給されている。よって、常用UPS13は、インバータ2による給電から予備用UPS11による給電に無瞬断で切り替えられることになる。
この状態において、運用切替盤UC1では、遮断器CB33がオフからオンに切り替えられる。遮断器CB33がオンとされたことにより、予備用UPS11の交流出力端子T3は、遮断器CB11,CB13およびCB33を介して、遮断器CB31およびCB32の間のノードと電気的に接続される。これにより、図中に実線で示すように、予備用UPS11から負荷L3に直接的に給電する回路(保守バイパス回路)が形成されることになる。
図3を参照して、運用切替盤UC1では、遮断器CB33をオンとすると、続いて、遮断器CB34をオフとする。また、遮断器CB31をオンからオフに切り替える。これにより、予備用UPS11から常用UPS13のバイパス回路3への給電が遮断されるともに、常用UPS13の交流出力端子T3が負荷L3と電気的に遮断され、予備用UPS11から負荷L3に直接的に給電する保守バイパス回路のみが残ることになる。
これによると、常用UPS13の故障発生時には、バイパス回路3による給電を経て、保守バイパス回路による給電へと移行することで、常用UPS13による負荷給電から予備用UPS11による負荷給電に切り替えられる。保守バイパス回路による給電に移行した後、常用UPS13では故障の修復作業が行なわれる。
図2に戻って、常用UPS12は、常用UPS13の故障発生時、バイパス盤UB2のスイッチS1がオフとされるとともに、スイッチS2がオンとされる。これにより、バイパス入力端子T2は商用交流電源5と電気的に接続され、バイパス回路3は、図中に点線で示されるように、商用交流電源5から交流電力の供給を受けることになる。また、運用切替盤UC1では遮断器CB24がオンからオフに切り替えられることにより、バイパス盤UB2のスイッチS1は予備用UPS11と電気的に遮断される。すなわち、常用UPS13の故障発生後は、予備用UPS11が常用UPS13をバックアップするため、常用UPS12のバイパス回路3への給電が停止される。
以上説明したように、無停電電源システム100では、常用UPS13の保守点検または故障発生時には、常用UPS12および常用UPS13による負荷給電から、予備用UPS11および常用UPS12による負荷給電に切り替えられる。その結果、負荷L1〜L3に対しては、常用UPS13の故障発生後においても、信頼度の高いUPSによる給電を継続して行なうことができる。
なお、図示は省略するが、常用UPS12の保守点検または故障発生時においても、同様の手順に従って、常用UPS12および常用UPS13による負荷給電から、予備用UPS11および常用UPS13による負荷給電に切り替えることができる。
また、図1の例では、常用UPS12の交流出力端子T3に負荷L1を電気的に接続する構成について説明したが、遮断器CB32および負荷L3の間のノードと、遮断器CB12および負荷L1の間のノードとの間に遮断器を接続することにより、常用UPS13の交流出力端子T3に負荷L1を電気的に接続する構成としてもよい。あるいは、負荷L1を常用UPS12または常用UPS13に接続せず、運用前に負荷L1を負荷L2,L3の少なくとも一方に振り替える構成としてもよい。
さらに、無停電電源システム100においては、3台のUPS11〜13の間で予備用UPSおよび常用UPSを切り替えることができる。図4に、UPS12を予備用UPSとし、UPS11およびUPS13を常用UPSとした場合の無停電電源システム100の構成を示す。
図4を参照して、バイパス盤UB2にて、スイッチS1をオフとし、スイッチS2をオンとする。これにより、予備用UPS12のバイパス入力端子T2は商用交流電源5と電気的に接続される。遮断器CB21をオンとし、遮断器CB22をオフとする。これにより、予備用UPS12の交流出力端子T3は、遮断器CB21を介して運用切替盤UC1の遮断器CB23と電気的に接続される。
運用切替盤UC1にて、遮断器CB23,CB14およびCB34をオンとし、遮断器CB13,CB24およびCB33をオフとする。これにより、予備用UPS12の交流出力端子T3は、遮断器CB21,CB23およびCB14を介して、バイパス盤UB1のスイッチS1と電気的に接続される。また、予備用UPS12の交流出力端子T3は、遮断器CB21,CB23およびCB34を介して、バイパス盤UB3のスイッチS1と電気的に接続される。
バイパス盤UB1にて、スイッチS1をオンとし、スイッチS2をオフとする。これにより、予備用UPS12の交流出力端子T3は、遮断器CB21,CB23,CB14およびバイパス盤UB1のスイッチS1を介して、常用UPS11のバイパス入力端子T2と電気的に接続される。遮断器CB11をオンとし、遮断器CB12をオンとする。これにより、常用UPS11の交流出力端子T3は負荷L1と電気的に接続される。
バイパス盤UB3にて、スイッチS1をオンとし、スイッチS2をオフとする。これにより、予備用UPS12の交流出力端子T3は、遮断器CB21,CB23,CB34および、バイパス盤UB3のスイッチS1を介して、常用UPS13のバイパス入力端子T2と電気的に接続される。遮断器CB31をオンとし、遮断器CB32をオンとする。これにより、常用UPS13の交流出力端子T3は負荷L3と電気的に接続される。
遮断器CB51をオンとし、遮断器CB52をオフとする。これにより、常用UPS11の交流出力端子T3は、遮断器CB11,CB12およびCB51を介して、負荷L2と電気的に接続される。
以上をまとめると、予備用UPS12は、交流入力端子T1およびバイパス入力端子T2が商用交流電源5と電気的に接続され、交流出力端子T3が常用UPS11のバイパス入力端子T2および常用UPS13のバイパス入力端子T2と電気的に接続される。
常用UPS11は、交流入力端子T1が商用交流電源5と電気的に接続され、バイパス入力端子T2が予備用UPS12の交流出力端子T3と電気的に接続され、交流出力端子T3が負荷L1および負荷L2と電気的に接続される。
常用UPS13は、交流入力端子T1が商用交流電源5と電気的に接続され、バイパス入力端子T2が予備用UPS12の交流出力端子T3と電気的に接続され、交流出力端子T3が負荷L3と電気的に接続される。
この状態において、予備用UPS12は、常用UPS11および常用UPS13による負荷給電中、無負荷運転で待機する。具体的には、予備用UPS12は、電力変換器(コンバータ1およびインバータ2)を制御して交流電力を生成し、生成した交流電力を交流出力端子T3に出力する。交流出力端子T3から出力される交流電力は、図中に太実線で示されるように、常用UPS11および常用UPS13の各々のバイパス入力端子T2に入力される。常用UPS11および常用UPS13がバイパス回路3による給電を行なわない限り、予備用UPS12は、待機状態で無負荷運転とされる。
予備用UPS12のバイパス回路3は、図中に点線で示されるように、商用交流電源5から交流電力の供給を受ける。予備用UPS12の保守点検または故障発生時には、バイパス切替回路4をオフからオンに切り替えることで、インバータ2による給電からバイパス回路3による給電(商用交流電源5による給電)へ無瞬断で切り替えることができる。
常用UPS11は、通常時、図中に一点鎖線で示されるように、商用交流電源5から交流電力の供給を受け、電力変換器(コンバータ1およびインバータ2)を制御して交流電力を生成し、生成した交流電力を交流出力端子T3に出力する。交流出力端子T3から出力される交流電力は、図中に一点鎖線で示される経路を通って、負荷L1および負荷L2に入力される。すなわち、インバータ2による給電が行なわれる。
常用UPS11のバイパス回路3は、図中に太実線で示されるように、予備用UPS12から交流電力の供給を受ける。常用UPS11の保守点検または故障発生時には、バイパス切替回路4をオフからオンに切り替えることで、インバータ2による給電からバイパス回路3による給電(予備用UPS12による給電)へ無瞬断で切り替えることができる。
常用UPS13は、通常時、図中に一点鎖線で示されるように、商用交流電源5から交流電力の供給を受け、電力変換器(コンバータ1およびインバータ2)を制御して交流電力を生成し、生成した交流電力を交流出力端子T3に出力する。交流出力端子T3から出力される交流電力は、図中に一点鎖線で示される経路を通って、負荷L3に入力される。すなわち、インバータ2による給電が行なわれる。
常用UPS13のバイパス回路3は、図中に太実線で示されるように、予備用UPS12から交流電力の供給を受ける。常用UPS13の保守点検または故障発生時には、バイパス切替回路4をオフからオンに切り替えることで、インバータ2による給電からバイパス回路3による給電(予備用UPS12による給電)へ無瞬断で切り替えることができる。
図1および図4を比較して明らかなように、各UPSの交流出力端子T3および負荷の間に接続される遮断器(遮断器CB12,CB22,CB32)、運用切替盤UC1に含まれる遮断器(遮断器CB13,CB14,CB23,CB24,CB33,CB34)および、各バイパス盤UB1〜UB3におけるスイッチS1,S2のオンオフを切り替えることによって、3台のUPS11〜UPS13の間で常用UPSおよび予備用UPSを切り替えることができる。これによると、無停電電源システム100のユーザは、3台のUPS11〜UPS13の中から予備用UPSを任意に選択することができる。
したがって、たとえば、各UPSの稼働率を見ながら予備用UPSおよび常用UPSを定期的に入れ替えることによって、3台のUPS11〜UPS13間で稼働率を平準化することができる。この場合、一定期間毎に、直前の一定期間における稼動率が最も高いUPSを次の一定期間において予備用UPSとするように、遮断器CB、運用切替盤UC1およびバイパス盤UBのオンオフを切り替える構成とすることにより、3台のUPS11〜13の稼働率のばらつきを低減することができる。これによると、常用UPSの経年劣化の進行を抑えることができるため、無停電電源システム100全体の信頼性を高めることができる。
あるいは、3台のUPS11〜UPS13のうちのいずれか1台に、使用期間の短いUPSを導入したときには、この導入されたUPSを常用UPSとし、残り2台のUPSのうちの使用期間の長い方のUPSを予備用UPSとするように、遮断器、運用切替盤UC1およびバイパス盤UB1〜UB3のオンオフを切り替える構成とすることができる。これによると、3台のUPS11〜13のうち使用期間が相対的に短いUPSが常用UPSに割り当てられることから、無停電電源システム100全体の信頼性を高めることができる。
なお、上述した実施の形態では、無停電電源システム100が3台のUPS11〜UPS13を備える構成における常用UPSおよび予備用UPSの切り替えについて説明したが、4台以上のUPSを備える無停電電源システムにおいても同様の手法を適用することによって、同様の効果を得ることができる。
図5は、図1に示す無停電電源システム100において、UPSの台数を4台に増設した場合の構成を示す回路ブロック図である。
図5を参照して、無停電電源システム100は、図1に示した無停電電源システム100にUPS14を追加したものである。UPS14は、負荷L4に給電するための常用UPSとして使用される。UPS14の内部構成は、UPS11〜UPS13の内部構成と同一であり、その容量も同等であるとする。
無停電電源システム100は、遮断器CB41,CB42,CB53およびバイパス盤UB4をさらに備える。遮断器CB41およびCB42は、UPS14の交流出力端子T3および負荷L4の間に直列に接続される。
遮断器CB53は、遮断器CB42および負荷L4の間のノードと、遮断器CB32および負荷L3の間のノードとの間に接続される。
バイパス盤UB4は、スイッチS1およびスイッチS2を有する。スイッチS1は、運用切替盤UC1およびバイパス入力端子T2の間に接続される。スイッチS2は、商用交流電源5およびバイパス入力端子T2の間に接続される。
運用切替盤UC1は、遮断器CB43,CB44をさらに有する。遮断器CB43,CB44は、遮断器CB41およびCB42の間のノードと、バイパス盤UB4のスイッチS1との間に直列に接続される。遮断器CB13およびCB14間のノードN1、遮断器CB23,CB24間のノードN2、遮断器CB33およびCB34間のノードN3および、遮断器CB43,CB44の間のノードN4は互いに接続されている。
運用切替盤UC1にて、遮断器CB13,CB24,CB34およびCB44をオンとし、遮断器CB14,CB23,CB33およびCB43をオフとする。これにより、予備用UPS11の交流出力端子T3は、遮断器CB11,CB13およびCB44を介して、バイパス盤UB4のスイッチS1と電気的に接続される。
バイパス盤UB4にて、スイッチS1をオンとし、スイッチS2をオフとする。これにより、予備用UPS11の交流出力端子T3は、遮断器CB11,CB13,CB44およびバイパス盤UB4のスイッチS1を介して、常用UPS14のバイパス入力端子T2と電気的に接続される。遮断器CB41をオンとし、遮断器CB42をオンとする。これにより、常用UPS14の交流出力端子T3は負荷L4と電気的に接続される。
図5に示す無停電電源システム100においても、各UPSの交流出力端子T3および負荷Lの間に接続される遮断器(遮断器CB12,CB22,CB32,CB42)、運用切替盤UC1に含まれる遮断器(遮断器CB13,CB14,CB23,CB24,CB33,CB34,CB43,CB44)および、各バイパス盤UB1〜UB4におけるスイッチS1,S2のオンオフを切り替えることによって、4台のUPS11〜UPS14の間で常用UPSおよび予備用UPSを切り替えることができる。したがって、4台のUPSの稼働率を平準化させることができるため、常用UPSの経年劣化の進行による無停電電源システム100の信頼性の低下を抑制することができる。
以上説明したように、図1に示す実施の形態に係る無停電電源システムにおける予備用UPSおよび常用UPSの切り替えは、各UPSの交流出力端子T3および負荷の間に接続される遮断器CB12,CB22,CB32、運用切替盤UC1およびバイパス盤UB1〜UB3におけるオンオフの切り替えによって実現される。すなわち、遮断器CB12,CB22,CB32、運用切替盤UC1およびバイパス盤UB1〜UB3は、3台のUPS11〜13の間で常用UPSおよび予備用UPSを切り替えるための「切替装置」を構成する。
実施の形態に係る無停電電源システムに含まれる第1のUPSおよび第2のUPSの間で、常用UPSおよび予備用UPSを切り替えるために、切替装置は、第1のUPSの交流出力端子T3および負荷の間に接続される「第1のスイッチ」と、第1のUPSの交流出力端子T3および第2のUPSのバイパス入力端子T2の間に電気的に直列に接続される「第2および第3のスイッチ」と、第2のUPSの交流出力端子および負荷の間に接続される「第4のスイッチ」と、第2のUPSの交流出力端子T3および第1のUPSのバイパス入力端子T2の間に電気的に直列に接続される「第5および第6のスイッチ」と、第1のUPSのバイパス入力端子T2を交流電源および第6のスイッチのいずれかと選択的に接続する「第7のスイッチ」と、第2のUPSのバイパス入力端子T2を交流電源および第3のスイッチのいずれかと選択的に接続する「第8のスイッチ」とを有する。
図1の例では、UPS11を「第1のUPS」とし、UPS13を「第2のUPS」とすると、遮断器CB12は「第1のスイッチ」に対応し、運用切替盤UC1の遮断器CB13およびCB34は「第2および第3のスイッチ」にそれぞれ対応し、遮断器CB32は「第4のスイッチ」に対応し、運用切替盤UC1の遮断器CB33およびCB14は「第5および第6のスイッチ」にそれぞれ対応する。バイパス盤UB1は「第7のスイッチ」に対応し、バイパス盤UB3は「第8のスイッチ」に対応する。
上記構成において、第1のUPS(UPS11)を予備用UPSとし、第2のUPS(UPS13)を常用UPSとする場合には、第1のスイッチ(遮断器CB12)をオフとし、第2および第3のスイッチ(遮断器CB13,CB34)をオンとし、第4のスイッチ(遮断器CB32)をオンとし、第5および第6のスイッチ(遮断器CB33,CB14)をオフとする。また、第7のスイッチ(バイパス盤UB1)は、第1のUPSのバイパス入力端子T2を交流電源(商用交流電源5)に接続し、第8のスイッチ(バイパス盤UB3)は、第2のUPSのバイパス入力端子T2を第3のスイッチ(遮断器CB34)に接続する。
一方で、第1のUPS(UPS11)を常用UPSとし、第2のUPS(UPS13)を予備用UPSとする場合には、第1のスイッチ(遮断器CB12)をオンとし、第2および第3のスイッチ(遮断器CB13,CB34)をオフとし、第4のスイッチ(遮断器CB32)をオフとし、第5および第6のスイッチ(遮断器CB33,CB14)をオンとする。また、第7のスイッチ(バイパス盤UB1)は、第1のUPSのバイパス入力端子T2を第6のスイッチ(遮断器CB14)に接続し、第8のスイッチ(バイパス盤UB3)は、第2のUPSのバイパス入力端子T2を交流電源(商用交流電源5)に接続する。
なお、第1から第8のスイッチにおけるオンオフの切り替えは、ユーザが手動で行なってもよく、無停電電源システム100を統括制御する制御装置が行なってもよい。あるいは、各UPSの制御部が互いに情報を遣り取りすることにより協調して行なってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。