JP2020177776A - 端子付き電線および端子圧着装置 - Google Patents

端子付き電線および端子圧着装置 Download PDF

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Hirotaka Takeda
浩崇 竹田
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Abstract

【課題】芯線圧着部に塗布された樹脂の流出を抑制することができる端子付き電線を提供する。【解決手段】端子付き電線2は、電線60と、電線の芯線61に対して圧着された芯線圧着部12を有する圧着端子1と、芯線圧着部に形成された樹脂膜3と、を備え、芯線圧着部は、底壁部21と、底壁部における幅方向の一端から延出した第一加締片22と、底壁部における幅方向の他端から延出した第二加締片23と、を有し、第一加締片および第二加締片は、底壁部とは反対側に向けて凸の湾曲形状を有し、かつ第一加締片の外側面22dと第二加締片の外側面23dとを当接させながら芯線に対して加締められており、樹脂膜は、第一加締片の外側面と第二加締片の外側面とで形成された溝部24に充填されており、第一加締片の外側面および第二加締片の外側面には、溝部に沿って延在する突出部25,26が形成されている。【選択図】図12

Description

本発明は、端子付き電線および端子圧着装置に関する。
従来、端子付き電線に樹脂を塗布する技術がある。特許文献1には、一対の芯線圧着片の立設方向の先端部同士の間に樹脂を塗布する端子付電線の製造方法が開示されている。
特開2018−106864号公報
芯線圧着部の加締め片同士の間に塗布された樹脂が流出してしまうと、端子付き電線において意図しない部分に樹脂が付着してしまう可能性がある。樹脂の流出を抑制できることが望まれている。
本発明の目的は、芯線圧着部に塗布された樹脂の流出を抑制することができる端子付き電線および端子圧着装置を提供することである。
本発明の端子付き電線は、電線と、前記電線の芯線に対して圧着された芯線圧着部を有する圧着端子と、前記芯線圧着部に形成された樹脂膜と、を備え、前記芯線圧着部は、底壁部と、前記底壁部における幅方向の一端から延出した第一加締片と、前記底壁部における幅方向の他端から延出した第二加締片と、を有し、前記第一加締片および前記第二加締片は、前記底壁部とは反対側に向けて凸の湾曲形状を有し、かつ前記第一加締片の外側面と前記第二加締片の外側面とを当接させながら前記芯線に対して加締められており、前記樹脂膜は、前記第一加締片の外側面と前記第二加締片の外側面とで形成された溝部に充填されており、前記第一加締片の外側面および前記第二加締片の外側面には、前記溝部に沿って延在する突出部が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る端子付き電線において、樹脂膜は、芯線圧着部における第一加締片の外側面と第二加締片の外側面とで形成された溝部に充填されている。第一加締片の外側面および第二加締片の外側面には、溝部に沿って延在する突出部が形成されている。本発明に係る端子付き電線は、芯線圧着部に塗布された樹脂の流出を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、実施形態の圧着端子および電線を示す斜視図である。 図2は、実施形態に係る端子圧着装置を示す正面図である。 図3は、実施形態に係る上型の斜視図である。 図4は、実施形態に係る上型の下面図である。 図5は、実施形態に係る上型の断面図である。 図6は、実施形態に係る上型の要部断面図である。 図7は、実施形態に係る端子付き電線の平面図である。 図8は、実施形態に係る端子付き電線の側面図である。 図9は、実施形態に係る端子付き電線の断面図である。 図10は、実施形態に係る端子付き電線の樹脂膜を説明する平面図である。 図11は、実施形態に係る端子付き電線の樹脂膜を説明する側面図である。 図12は、実施形態に係る端子付き電線の樹脂膜を説明する断面図である。
以下に、本発明の実施形態に係る端子付き電線および端子圧着装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図12を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、端子付き電線および端子圧着装置に関する。図1は、実施形態の圧着端子および電線を示す斜視図、図2は、実施形態に係る端子圧着装置を示す正面図、図3は、実施形態に係る上型の斜視図、図4は、実施形態に係る上型の下面図、図5は、実施形態に係る上型の断面図、図6は、実施形態に係る上型の要部断面図、図7は、実施形態に係る端子付き電線の平面図、図8は、実施形態に係る端子付き電線の側面図、図9は、実施形態に係る端子付き電線の断面図、図10は、実施形態に係る端子付き電線の樹脂膜を説明する平面図、図11は、実施形態に係る端子付き電線の樹脂膜を説明する側面図、図12は、実施形態に係る端子付き電線の樹脂膜を説明する断面図である。図5には、図4のV−V断面が示されている。図9には、図7のIX−IX断面が示されている。
図1に示すように、本実施形態に係る圧着端子1は、端子接続部11、芯線圧着部12、および被覆圧着部13を有する。端子接続部11、芯線圧着部12、および被覆圧着部13は、この順序で圧着端子1の長手方向に沿って配置されている。圧着端子1は、母材としての導電性の金属板(例えば銅板、銅合金板)から形成される。圧着端子1は、母材に対する打ち抜き加工や折り曲げ加工等により所定の形状に形成される。圧着端子1の表面には、スズ(Sn)等のメッキがなされていてもよい。
本明細書では、圧着端子1の説明において、相手側端子との接続方向、すなわち相手側端子との挿入方向を第一方向Lと称する。第一方向Lは、圧着端子1の長手方向および軸方向である。圧着端子1の幅方向を第二方向Wと称する。第二方向Wは、第一方向Lと直交している。圧着端子1において、第一方向Lおよび第二方向Wの何れとも直交する方向を第三方向Hと称する。第三方向Hは、圧着端子1が圧着される際の上型50による圧縮方向である。第三方向Hは、圧着端子1の高さ方向である。
端子接続部11は、相手側端子と電気的に接続される部分である。本実施形態の端子接続部11の形状は、角筒形状である。芯線圧着部12は、電線60の芯線61に対して圧着される部分である。電線60は、芯線61と、被覆62とを有する。芯線61の材料は、例えば、銅やアルミニウムである。圧着端子1の圧着対象である電線60は、端部の被覆62が取り除かれて芯線61が所定の長さ露出している。本実施形態の芯線61は、複数本の素線の集合体である。ただし、芯線61は、同軸ケーブルのような単線であってもよい。圧着端子1は、電線60の端部に圧着されることで、露出している芯線61に対して電気的に接続される。
芯線61に対して圧着される前の芯線圧着部12の形状は、図1に示すようにU字状の形状である。芯線圧着部12は、底壁部21と、第一加締片22と、第二加締片23とを有する。底壁部21は、芯線圧着部12の底壁となる部分であり、後述する下型40によって支持される。第一加締片22および第二加締片23は、芯線61に加締められる一対の導体加締片である。第一加締片22は、底壁部21の幅方向の一端から延出している側壁部である。第二加締片23は、底壁部21の幅方向の他端から延出している側壁部である。第一加締片22および第二加締片23は、底壁部21の幅方向に対して交差する方向に延出している。第一加締片22と第二加締片23とは第二方向Wにおいて互いに対向している。図1および図2に示すように、第一加締片22と第二加締片23との間隔は、底壁部21側から先端側へ向かうに従って広がっている。
図1に示すように、被覆圧着部13は、底壁部31、第三加締片32、および第四加締片33を有する。被覆62に対して圧着される前の被覆圧着部13の形状は、図1に示すようにU字状の形状である。底壁部31は、被覆圧着部13の底壁となる部分である。第三加締片32は、底壁部31の幅方向の一端から延出している側壁部である。第四加締片33は、底壁部31の幅方向の他端から延出している側壁部である。第三加締片32と第四加締片33とは第二方向Wにおいて互いに対向している。第三加締片32と第四加締片33との間隔は、底壁部31側から先端側へ向かうに従って広がっている。被覆圧着部13は、下型40および上型50によって被覆62に対して圧着される。
端子接続部11と芯線圧着部12とは、中間部14を介してつながっている。中間部14の高さは、端子接続部11の高さおよび芯線圧着部12の高さの何れよりも低い。芯線圧着部12と被覆圧着部13とは、中間部15を介してつながっている。中間部15は、底壁部15aおよび側壁部15bを有する。底壁部15aは、芯線圧着部12の底壁部21と被覆圧着部13の底壁部31とをつないでいる。側壁部15bは、底壁部15aの両側からそれぞれ延出している。一方の側壁部15bは第一加締片22と第三加締片32とをつないでいる。他方の側壁部15bは、第二加締片23と第四加締片33とをつないでいる。側壁部15bの高さは、芯線圧着部12の各加締片22,23の高さおよび被覆圧着部13の各加締片32,33の高さの何れよりも低い。
電線60は、図1に示すように、電線60の軸方向が圧着端子1の長手方向と一致するようにして圧着端子1に載置される。圧着端子1に載置された状態で、芯線61の先端61aは、端子接続部11に向けられている。被覆62から外部に露出した芯線61は、芯線圧着部12に載置される。このときに、芯線61の先端61aは、芯線圧着部12から端子接続部11側に突出していてもよい。被覆圧着部13には、電線60の被覆62が載置される。電線60は、例えば、被覆62の先端62aが芯線圧着部12と被覆圧着部13との間に位置するように設置される。
芯線圧着部12および被覆圧着部13は、図2に示すように、下型40および上型50によって電線60に対して圧着される。下型40および上型50は、端子圧着装置100の構成要素である。下型40は、芯線圧着部12および被覆圧着部13を下方から支持する支持側の金型である。下型40の支持面40aは、芯線圧着部12の底壁部21の外側面を支持する。従って、芯線圧着部12が下型40によって支持されている状態で、第一加締片22および第二加締片23は、底壁部21から斜め上方に向けて延出した姿勢となる。下型40は、同様にして、被覆圧着部13を下方から支持する。
上型50は、圧着端子1および電線60を下型40との間に挟み込んで圧着端子1を電線60に対して圧着させる端子圧着用金型である。上型50は、芯線圧着部12および芯線61を下型40との間に挟み込んで芯線圧着部12を芯線61に対して圧着させる。また、上型50は、被覆圧着部13および被覆62を下型40との間に挟み込んで被覆圧着部13を被覆62に対して圧着させる。図2に示すように、上型50は、下型40の上方に配置されている。上型50は、下型40に対して第三方向Hに沿って相対移動する。端子圧着装置100は、上型50を第三方向Hに沿って上下動させる駆動装置110を有する。
本実施形態の上型50は、図2から図5に示す第一上型70を有する。第一上型70は、芯線圧着部12を芯線61に対して加締める金型である。上型50は、第一上型70とは別に、図示しない第二上型を有する。第二上型は、被覆圧着部13を被覆62に対して加締める。第二上型は、第一上型70と共に上下動する。なお、第一上型70と第二上型とが一体であってもよい。
図2に示すように、第一上型70は、凹状の第一加締め面71を有する。第一加締め面71は、第一上型70の下面に設けられた溝状の凹面である。本実施形態の第一上型70は、所謂B型圧着方式(図9参照)で芯線圧着部12を芯線61に対して加締める。図2に示すように、第一加締め面71は、第一壁面72および第二壁面73を有する。第一壁面72と第二壁面73とは第二方向Wにおいて互いに対向している。
第一壁面72および第二壁面73は、第三方向Hに沿って下方へ向かうに従って互いに遠ざかっている。第一壁面72の上端部には、第一曲面74が設けられている。第二壁面73の上端部には、第二曲面75が設けられている。第一曲面74および第二曲面75は、第三方向Hにおいて下型40と対向する面であり、上方に向けて湾曲している。第一曲面74および第二曲面75は、第一壁面72および第二壁面73における下型40から最も離れた奥部に位置している。第一曲面74および第二曲面75は、第二方向Wにおいて隣接している。第一曲面74と第二曲面75との境界は、下方に向けて突出した峰部76となっている。
第一加締め面71は、端部傾斜面80を有する。端部傾斜面80は、第一加締め面71における第一方向Lの一端に設けられている。端部傾斜面80は、第一方向Lに対して傾斜しており、かつ第一方向Lに沿って第一主面70aへ近づくに従って広がっている。第一主面70aは、第一上型70が有する一対の主面70a,70bの一つであり、第一方向Lと直交している。第一主面70aは、圧着工程において電線60の被覆62側を向く面である。言い換えると、第一主面70aは、圧着工程において芯線61の基端側に位置する面である。
第一曲面74は、第一加締片22を第二曲面75側に向けて折り曲げ、第一加締片22を芯線61に巻き付ける面である。第二曲面75は、第二加締片23を第一曲面74側に向けて折り曲げ、第二加締片23を芯線61に巻き付ける面である。
本実施形態の第一上型70は、図3から図5に示すように、第一凹部78および第二凹部79を有する。図5に示すように、第一凹部78および第二凹部79は、下型40に向けて開口している。すなわち、第一凹部78および第二凹部79は、第三方向Hに沿って下方に向けて開口している。第一凹部78は、第一曲面74に設けられており、第二凹部79は、第二曲面75に設けられている。
第一凹部78および第二凹部79は、第一方向Lに沿って延在している溝である。第一凹部78および第二凹部79の一端は、第二主面70bに開口している。第一凹部78および第二凹部79の他端は、端部傾斜面80の近傍に位置している。すなわち、第一方向Lに沿った第一凹部78の延在範囲は、第一曲面74における端部傾斜面80を除いた部分の略全範囲である。同様に、第一方向Lに沿った第二凹部79の延在範囲は、第二曲面75における端部傾斜面80を除いた部分の略全範囲である。
第一方向Lと直交する断面における第一凹部78および第二凹部79の断面形状は、例えば、矩形である。本実施形態の第一凹部78および第二凹部79は、曲率が変化する変化部に設けられている。例えば、図6に示すように、第一曲面74は、外側の面74aおよび内側の面74bを有する。内側の面74bは、第一曲面74のうち、第一凹部78よりも峰部76側の部分である。外側の面74aは、第一曲面74のうち、第一凹部78を挟んで内側の面74bとは反対側の部分である。つまり、外側の面74aは、第一加締め面71において、内側の面74bよりも第二方向Wの外側に位置している。外側の面74aの曲率と、内側の面74bの曲率とは異なる。つまり、第一凹部78は、曲率が異なる二つの面74a,74bの境界に位置している。本実施形態では、内側の面74bの曲率半径が外側の面74aの曲率半径よりも小さい。
第二曲面75は、外側の面75aおよび内側の面75bを有する。内側の面75bは、第二曲面75のうち、第二凹部79よりも峰部76側の部分である。外側の面75aは、第二曲面75のうち、第二凹部79を挟んで内側の面75bとは反対側の部分である。つまり、外側の面75aは、第一加締め面71において、内側の面75bよりも第二方向Wの外側に位置している。外側の面75aの曲率と、内側の面75bの曲率とは異なる。つまり、第二凹部79は、曲率が異なる二つの面75a,75bの境界に位置している。本実施形態では、内側の面75bの曲率半径が外側の面75aの曲率半径よりも小さい。
本実施形態では、峰部76の先端を通る中心線CCに関して、第一曲面74と第二曲面75とが対称に形成されている。また、第一凹部78と第二凹部79とは、中心線CCに関して対称に形成されている。中心線CCから第一凹部78の中心線までの距離W1と、中心線CCから第二凹部79の中心線までの距離W2とが等しい。また、第一凹部78の幅と、第二凹部79の幅とが等しい。
図2に示すように、圧着工程において、第一壁面72は第三方向Hにおいて第一加締片22と対向する。第二壁面73は、第三方向Hにおいて第二加締片23と対向する。第一壁面72は、第一加締片22を内側に向けて折り曲げながら芯線61に対して加締める。このときに、第一曲面74は、第一加締片22の先端部分を湾曲形状に変形させる。第二壁面73は、第二加締片23を内側に向けて折り曲げながら芯線61に対して加締める。このときに、第二曲面75は、第二加締片23の先端部分を湾曲形状に変形させる。
圧着工程によって、図7から図9に示す端子付き電線2が形成される。芯線圧着部12は、芯線61に対して加締められて芯線61に対して電気的に接続される。被覆圧着部13は、被覆62に対して加締められて被覆62を保持する。図7および図8に示すように、芯線61の中間露出部61bは、芯線圧着部12と被覆圧着部13との間において外部空間に露出する。また、芯線61の先端61aは、芯線圧着部12から端子接続部11側に向けて突出する。
図9に示すように、芯線圧着部12は、略B字形状をなすようにして芯線61に対して圧着される。加締め後の第一加締片22および第二加締片23の断面形状は、それぞれ底壁部21側とは反対側に向けて凸の湾曲形状である。より詳しくは、第一加締片22は、湾曲部22bおよび基端部22cを有する。基端部22cは、底壁部21から第三方向Hに沿って延出している部分である。基端部22cの断面形状は、略直線形状である。湾曲部22bは、第一加締片22における基端部22cよりも先端側の部分である。湾曲部22bは、先端22aが第三方向Hにおいて底壁部21と対向するように、底壁部21とは反対側に向けて湾曲している。
第二加締片23は、湾曲部23bおよび基端部23cを有する。基端部23cは、底壁部21から第三方向Hに沿って延出している部分である。基端部23cの断面形状は、略直線形状である。湾曲部23bは、第二加締片23における基端部23cよりも先端側の部分である。湾曲部23bは、先端23aが第三方向Hにおいて底壁部21と対向するように、底壁部21とは反対側に向けて湾曲している。第一加締片22および第二加締片23は、第一加締片22の外側面22dと第二加締片23の外側面23dとを当接させながら芯線61に対して加締められている。第一加締片22の外側面22dと、第二加締片23の外側面23dとが第二方向Wにおいて互いに対向している。第一加締片22と第二加締片23とが当接する部分には、溝部24が形成される。溝部24は、湾曲部22b,23bの間に形成される溝状の部分であり、第一方向Lに沿って延在する。
図7および図8に示すように、加締め後の芯線圧着部12は、ベルマウス部27を有する。ベルマウス部27は、第一上型70の端部傾斜面80に応じて形成される部分である。ベルマウス部27は、芯線圧着部12における被覆圧着部13側の端部に形成される。ベルマウス部27の外側面は、第一方向Lに対して傾斜している傾斜面である。ベルマウス部27は、第一方向Lに沿って被覆圧着部13へ近づくに従って広がるように傾斜している。
図7等に示すように、第一加締片22の外側面22dには、第一突出部25が形成されている。第二加締片23の外側面23dには、第二突出部26が形成されている。図9に示すように、第一突出部25は、湾曲部22bの外側面22dに形成されている。第二突出部26は、湾曲部23bの外側面23dに形成されている。第一突出部25は、例えば、第一加締片22における湾曲形状の頂部に形成される。第二突出部26は、例えば、第二加締片23における湾曲形状の頂部に形成される。
第一突出部25および第二突出部26は、上型50の第一凹部78および第二凹部79によって形成される。つまり、第一突出部25は、湾曲部22bに対して第一曲面74の形状が転写されることにより形成される。第二突出部26は、湾曲部23bに対して第二曲面75の形状が転写されることにより形成される。第一突出部25および第二突出部26の断面形状は、第一凹部78および第二凹部79の断面形状に対応しており、例えば、矩形である。第一突出部25および第二突出部26は、底壁部21側とは反対側に向けて突出している。第一突出部25および第二突出部26の突出方向は、第三方向Hに沿った方向である。
図7および図8に示すように、第一突出部25および第二突出部26は、第一方向Lに沿って延在している。より詳しくは、第一突出部25および第二突出部26は、芯線圧着部12における端子接続部11側の端部から、ベルマウス部27の近傍まで延在している。つまり、第一方向Lに沿った第一突出部25および第二突出部26の延在範囲は、芯線圧着部12におけるベルマウス部27を除く部分の略全範囲である。
図7に示すように、第一突出部25および第二突出部26は、溝部24に沿って延在している。すなわち、第一突出部25は、溝部24に対して第二方向Wの一方側に配置されており、第二突出部26は、溝部24に対して第二方向Wの他方側に配置されている。言い換えるならば、溝部24は、第一突出部25と第二突出部26との間を第一方向Lに沿って延在している。
図8に示すように、圧着端子1の高さ方向において、第二突出部26の先端26aは、被覆圧着部13の頂部13aよりも低い位置にある。すなわち、底壁部21から先端26aまでの第三方向Hの距離は、底壁部31から頂部13aまでの第三方向Hの距離よりも短い。また、圧着端子1の高さ方向において、先端26aは、端子接続部11の頂部11aよりも低い位置にある。第一突出部25の先端25a(図9参照)の高さ位置は、先端26aの高さ位置と同様である。すなわち、先端25aは、被覆圧着部13の頂部13a、および端子接続部11の頂部11aの何れよりも低い位置にある。従って、二つの突出部25,26は、圧着端子1が電気接続箱等のキャビティに対して収容される際に、キャビティの壁面と干渉しにくい。
圧着工程が完了した後に、塗布工程および硬化工程がなされる。塗布工程は、加締め後の芯線圧着部12等に対して防食用の樹脂を塗布する工程である。塗布工程では、ディスペンサー等によって芯線61や圧着端子1に対して樹脂が塗布される。塗布工程において塗布される樹脂は、例えば、紫外線硬化型樹脂である。硬化工程は、塗布された樹脂を硬化させる工程である。紫外線硬化型樹脂に対しては、硬化工程において紫外線が照射される。なお、樹脂として、例えば、熱硬化型樹脂や、二液混合式の硬化型樹脂が用いられてもよい。硬化工程では、樹脂の種類に応じた硬化処理がなされる。
図10から図12には、塗布工程および硬化工程によって形成される樹脂膜3の一例が示されている。樹脂膜3は、芯線61および圧着端子1を一体に覆い、芯線61を外部空間から遮蔽する膜である。図10に示すように、樹脂膜3は、第一覆い部31、第二覆い部32、および第三覆い部33を有する。第一覆い部31、第二覆い部32、および第三覆い部33は、連続している。
第一覆い部31は、芯線61の先端61a(図7参照)を覆う部分である。第一覆い部31は、先端61aおよび中間部14を一体に覆い、先端61aを外部空間から遮蔽する。第二覆い部32は、芯線圧着部12の溝部24(図9参照)を覆う部分である。第二覆い部32は、図10に示すように、第一方向Lに沿って芯線圧着部12の一端から他端まで延在している。図12に示すように、第二覆い部32は、溝部24に充填されている。第二覆い部32は、少なくとも第一加締片22と第二加締片23とが当接している合わせ面を覆うように形成される。第二覆い部32は、図12に示すように、第一突出部25および第二突出部26に接する高さ位置まで充填されていてもよい。
本実施形態の端子付き電線2では、溝部24に塗布された樹脂の流出が抑制される。第一突出部25および第二突出部26は、溝部24に塗布された樹脂が基端部22c,23cに向けて流れてしまうことを規制する。また、第一突出部25および第二突出部26は、溝部24に対して十分な厚さの樹脂膜3を形成しやすくする。すなわち、第一突出部25および第二突出部26によって樹脂の流出が規制されることで、溝部24に対して十分な量の樹脂を塗布することが可能となる。また、塗布工程から硬化工程までの間も樹脂が第一突出部25および第二突出部26の間に貯留される。よって、第二覆い部32の厚さの分布が、第一方向Lに沿って均一化されやすい。
第一突出部25および第二突出部26は、樹脂膜3を保護する機能を有する。第一突出部25および第二突出部26は、他の部材が樹脂膜3に触れてしまうことを抑制する。例えば、端子付き電線2が電気接続箱等のキャビティに挿入される際に、第一突出部25および第二突出部26は、キャビティの壁部が樹脂膜3に接触しないように樹脂膜3を保護することができる。
第三覆い部33は、芯線61の中間露出部61b(図7参照)を覆う部分である。図10および図11に示すように、第三覆い部33は、芯線圧着部12と被覆圧着部13とをつなぐように形成される。第三覆い部33は、中間露出部61b、芯線圧着部12、中間部15、および被覆圧着部13を一体に覆い、中間露出部61bを外部空間から遮蔽する。第一覆い部31から第三覆い部33までが連続的に形成されていることで、防食性能が確保され、端子付き電線2における電気的な性能の低下が適切に抑制される。
以上説明したように、本実施形態の端子付き電線2は、電線60と、圧着端子1と、樹脂膜3と、を有する。圧着端子1は、電線60の芯線61に対して圧着された芯線圧着部12を有する。芯線圧着部12は、底壁部21と、底壁部21における幅方向の一端から延出した第一加締片22と、底壁部21における幅方向の他端から延出した第二加締片23と、を有する。第一加締片22および第二加締片23は、底壁部21とは反対側に向けて凸の湾曲形状を有し、かつ第一加締片22の外側面22dと第二加締片23の外側面23dとを当接させながら芯線61に対して加締められている。
樹脂膜3は、第一加締片22の外側面22dと第二加締片23の外側面23dとで形成された溝部24に充填されている。更に、第一加締片22の外側面22dおよび第二加締片23の外側面23dには、溝部24に沿って延在する突出部25,26が形成されている。本実施形態の端子付き電線2によれば、溝部24に塗布された樹脂の流出が抑制される。よって、芯線圧着部12の側面などの意図しない部分に樹脂が付着してしまうことが抑制される。なお、樹脂膜3は、突出部25,26に接する位置まで充填されていてもよい。
本実施形態の被覆圧着部13は、更に、電線60の被覆62に対して圧着された被覆圧着部13を有する。被覆圧着部13は、電線60の軸方向において芯線圧着部12から離間している。芯線61は、芯線圧着部12と被覆圧着部13との間において露出している部分である中間露出部61bを有する。樹脂膜3は、溝部24から中間露出部61bまでを連続的に覆っている。本実施形態の樹脂膜3は、水や埃等が芯線61に付着してしまうことを適切に抑制することができる。
本実施形態の突出部25,26は、芯線圧着部12におけるベルマウス部27を除く領域に形成されている。よって、突出部25,26の形成とベルマウス部27の形成とが互いに干渉しない。
本実施形態の端子付き電線2では、圧着端子1の高さ方向において、突出部25,26の先端25a,26aは、被覆圧着部13の頂部13aよりも低い位置にある。よって、圧着端子1がキャビティに挿入される際に、第一突出部25および第二突出部26がキャビティの壁部と干渉しにくい。
本実施形態の端子圧着装置100は、下型40と、上型50と、を有する。下型40は、電線60の芯線61に対して加締められる第一加締片22および第二加締片23を有する圧着端子1を下方から支持する。上型50は、第一曲面74および第二曲面75を有する。第一曲面74は、第一加締片22を芯線61に対して巻き付ける曲面である。第二曲面75は、第二加締片23を芯線61に対して巻き付ける曲面である。上型50は、下型40に向けて下降することにより第一加締片22の外側面22dと第二加締片23の外側面23dとを当接させながら芯線61に対して第一加締片22および第二加締片23を加締める。
第一曲面74および第二曲面75は、第一凹部78および第二凹部79を有する。第一凹部78および第二凹部79は、下型40に向けて開口している溝部である。第一凹部78および第二凹部79は、下型40に圧着端子1が載置された場合の圧着端子1の軸方向に沿って延在している。本実施形態の端子圧着装置100は、電線60に対して圧着端子1を加締める際に、芯線圧着部12に突出部25,26を形成することができる。従って、芯線圧着部12の溝部24に樹脂が塗布される際の樹脂の流出が抑制される。
[実施形態の変形例]
実施形態の変形例にいて説明する。第一突出部25および第二突出部26の位置や形状は、実施形態で例示された位置や形状には限定されない。例えば、第一突出部25は、第一加締片22における湾曲形状の頂部よりも第二加締片23側の位置に形成されてもよい。第二突出部26は、第二加締片23における湾曲形状の頂部よりも第一加締片22側の位置に形成されてもよい。この場合、第一凹部78および第二凹部79は、第一曲面74および第二曲面75において、それぞれの曲面の頂部よりも峰部76側の位置に形成される。
端子付き電線2において、樹脂膜3が形成される範囲や形状は実施形態で例示された範囲や形状には限定されない。樹脂膜3の範囲や形状は、所望の防食性能に基づいて適宜定められる。
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
1 圧着端子
2 端子付き電線
3 樹脂膜
11 端子接続部
12 芯線圧着部
13 被覆圧着部
13a 頂部
14,15 中間部
15a:底部、 15b:側壁部
21,31 底壁部
22 第一加締片
23 第二加締片
24 溝部
25 第一突出部
25a 先端
26 第二突出部
26a 先端
27 ベルマウス部
32 第三加締片
33 第四加締片
40 下型
40a 支持面
50 上型
60 電線
61 芯線
61a:先端、 61b:中間露出部
62 被覆
62a 先端
70 第一上型
70a 第一主面
70b 第二主面
71 第一加締め面
72 第一壁面
73 第二壁面
74 第一曲面
74a:外側の面、 74b:内側の面
75 第二曲面
75a:外側の面、 75b:内側の面
76 峰部
78:第一凹部、 79:第二凹部
80 端部傾斜面
100 端子圧着装置
L 第一方向
W 第二方向
H 第三方向

Claims (6)

  1. 電線と、
    前記電線の芯線に対して圧着された芯線圧着部を有する圧着端子と、
    前記芯線圧着部に形成された樹脂膜と、
    を備え、
    前記芯線圧着部は、底壁部と、前記底壁部における幅方向の一端から延出した第一加締片と、前記底壁部における幅方向の他端から延出した第二加締片と、を有し、
    前記第一加締片および前記第二加締片は、前記底壁部とは反対側に向けて凸の湾曲形状を有し、かつ前記第一加締片の外側面と前記第二加締片の外側面とを当接させながら前記芯線に対して加締められており、
    前記樹脂膜は、前記第一加締片の外側面と前記第二加締片の外側面とで形成された溝部に充填されており、
    前記第一加締片の外側面および前記第二加締片の外側面には、前記溝部に沿って延在する突出部が形成されている
    ことを特徴とする端子付き電線。
  2. 前記樹脂膜は、前記突出部に接する位置まで充填されている
    請求項1に記載の端子付き電線。
  3. 更に、前記電線の軸方向において前記芯線圧着部から離間しており、前記電線の被覆に対して圧着された被覆圧着部を有し、
    前記芯線は、前記芯線圧着部と前記被覆圧着部との間において露出している部分である中間露出部を有し、
    前記樹脂膜は、前記溝部から前記中間露出部までを連続的に覆っている
    請求項1または2に記載の端子付き電線。
  4. 前記芯線圧着部における前記電線の軸方向に沿った端部には、ベルマウス部が形成されており、
    前記突出部は、前記芯線圧着部における前記ベルマウス部を除く領域に形成されている
    請求項1から3の何れか1項に記載の端子付き電線。
  5. 前記圧着端子は、前記電線の被覆に対して加締められた被覆圧着部を有し、
    前記圧着端子の高さ方向において、前記突出部の先端は、前記被覆圧着部の頂部よりも低い位置にある
    請求項1から4の何れか1項に記載の端子付き電線。
  6. 電線の芯線に対して加締められる第一加締片および第二加締片を有する圧着端子を下方から支持する下型と、
    前記第一加締片を前記芯線に巻き付ける第一曲面、および前記第二加締片を前記芯線に巻き付ける第二曲面を有し、前記下型に向けて下降することにより前記第一加締片の外側面と前記第二加締片の外側面とを当接させながら前記芯線に対して前記第一加締片および前記第二加締片を加締める上型と、
    を備え、
    前記第一曲面および前記第二曲面は、前記下型に向けて開口しており、かつ前記下型に前記圧着端子が載置された場合の前記圧着端子の軸方向に沿って延在する溝部を有する
    ことを特徴とする端子圧着装置。
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