JP2020173426A - 光学素子 - Google Patents

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康英彦 石井
友一 稲月
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友一 稲月
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英範 吉岡
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Abstract

【課題】照明条件によらずに、見やすいマークを備えた光学素子を提供する。【解決手段】凹凸形状により構成されたマークを備えた光学素子であって、凹凸形状は、凹凸形状が設けられている面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が複数の方向に向いて配置されている。これにより照明条件によらずに、視認性の良好なマークを実現することができる。また、マークに構成する回折格子は、特定のパターンを出射することができる回折格子の領域である単位領域がマーク内に複数配列されている。【選択図】図12

Description

本発明は、マークを備えた光学素子に関するものである。
近年、センサーシステムの用途が拡大している。センサーには色々な種類があり、検出する情報も様々である。その中の1つの手段として、光源から対象物に対して光を照射し、反射してきた光から情報を得るというものがある。例えば、パターン認証センサー、赤外線レーダ等は、その一例である。
これらのセンサーの光源は、用途に応じた波長分布、明るさ、広がり等をもったものが使用される。光の波長は、可視光から赤外線までの範囲がよく用いられる。特に、赤外線は、外光の影響を受けにくく、不可視であり、対象物のやや内部を観察することも可能という特徴があるため、広く用いられている。また、光源の種類としては、LED光源、レーザ光源等が多く用いられる。例えば、遠いところを検知する場合には光の広がりが少ないレーザ光源が好適に用いられ、比較的近いところを検知する場合、ある程度の広がりを持った領域を照射する場合等にはLED光源が好適に用いられる。
ところで、対象とする照射領域の大きさ、形状等は、必ずしも光源からの光の広がり(プロファイル)と一致しているとは限らず、拡散板、レンズ、遮蔽板等により光を整形する必要がある。光を整形する手段として、回折光学素子(Diffractive Optical Element :DOE)が挙げられる。これは異なる屈折率を持った材料が周期性を持って配列している場所を光が通過する際の回折現象を応用したものである。回折光学素子は、基本的に単一波長の光に対して設計されるが、理論的には、ほぼ任意の形状に光を整形することが可能である。また、回折光学素子では、照射領域内の光分布の均一性を制御することが可能である。回折光学素子のこのような特性は、不要な領域への照射を抑えることによる高効率化、光源数の削減等による装置の小型化等の点で有利となる。
また、回折光学素子は、レーザの様な平行光源、LEDの様な拡散光源のいずれにも対応可能であり、また、紫外光から可視光、赤外線までの広い範囲の波長に対して適用可能である。
このような回折光学素子は、高精度なセンサーに適用する場合、非常に高い精度が要求されることになる。高い精度を実現するためには、不具合の発生した回折光学素子の製造履歴を追跡できるようにする、トレーサビリティが重要である。また、製造工程中において素子の位置を正確に位置決めする必要もある。さらに、製造工程中で付着する塵埃等の検査も必要である。これら、トレーサビリティの確保、位置決め、検査等のために、素子の外縁部等にマークが設けられる場合がある。また、このようなマークは、回折光学素子に限らず、例えば、マイクロレンズアレイを備えた光学素子等においても、用いられる場合がある。
従来、このようなマークの視認性の向上を目的として、規則的に配列されたラインアンドスペースパターンと呼ばれるパターンを用いることが知られている(特許文献1)。
しかし、ラインアンドスペースパターンであっても、検査時の照明条件によっては、マークが見にくい場合があった。
又は、ショットピーニングやサンドブラスト等の加工により微細な凹凸をつけ、視認性を向上させる技術も知られている(特許文献2)。
しかし、アライメント加工による精度ズレが問題になること、散乱光に異方性をもたすことが難しいこと、追加工程によるコストアップといった課題があった。
特開2018−189939号公報 特開2015−43400号公報
本発明の課題は、照明条件によらずに、見やすいマークを備えた光学素子を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、凹凸形状により構成されたマーク(20,30,40,50)を備えた光学素子(1)であって、前記凹凸形状は、前記凹凸形状が設けられている面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が複数の方向に向いて配置されている光学素子(1)である。
第2の発明は、第1の発明に記載の光学素子(1)において、前記凹凸形状は、前記法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むこと、を特徴とする光学素子(1)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載の光学素子(1)において、前記凹凸形状は、回折格子であって、1次回折光が少なくとも4つ以上かつ2軸方向以上のパターンを出射すること、を特徴とする光学素子(1)である。
第4の発明は、第3の発明に記載の光学素子(1)において、前記凹凸形状は、回折格子であって、550nmの波長の光を正面から入れたときの1次回折光のうち少なくとも4つ以上のパターンの回折角が8度以上であること、を特徴とする光学素子(1)である。
第5の発明は、第3の発明に記載の光学素子(1)において、前記凹凸形状は、回折格子であって、550nmの波長の光を正面から入れたときの1次回折光のうち少なくとも4つ以上のパターンの回折角が10度以上であること、を特徴とする光学素子(1)である。
第6の発明は、第3の発明から第5の発明までのいずれかに記載の光学素子(1)において、前記凹凸形状は、前記パターンを出射することができる回折格子の領域である単位領域(1001,1002)を有しており、前記単位領域が前記マーク(20,30,40,50)内に複数配列されていること、を特徴とする光学素子(1)である。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれかに記載の光学素子(1)において、当該光学素子(1)の光学的機能を発揮する光学機能領域(10)を備え、前記マーク(20,30,40,50)は、前記光学機能領域(10)の周囲に配置されていること、を特徴とする光学素子(1)である。
第8の発明は、第7の発明に記載の光学素子(1)において、前記光学機能領域(10)は、回折格子を備えること、を特徴とする光学素子(1)である。
第9の発明は、第8の発明に記載の光学素子(1)において、前記凹凸形状は、回折格子であって、前記光学機能領域の回折格子と同一の凹凸高さを持つこと、を特徴とする光学素子(1)である。
第10の発明は、第8の発明又は第9の発明に記載の光学素子(1)において、前記凹凸形状は、回折格子であって、前記光学機能領域(10)の回折格子と同一設計の回折格子により構成されていること、を特徴とする光学素子(1)である。
本発明によれば、照明条件によらずに、見やすいマークを備えた光学素子を提供することができる。
本発明による回折光学素子1の実施形態を示す図である。 図1中の矢印G−Gの位置で切断した断面図である。 シート面の法線方向から見た回折格子の凹凸形状が、凸部と凹部との境界が曲線を含む規則的又は不規則なパターンに形成される回折光学素子の例を示す平面図である。 シート面の法線方向から見た回折格子の凹凸形状が、同一の凹凸形状が並べて配置された単位セルが複数タイリングされた格子状のパターンに形成される回折光学素子の例を示す平面図である。 図3に示した不規則型の回折光学素子の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。 図4に示したGCA型の回折光学素子の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。 図6中の矢印G−G’の位置で回折光学素子を切断した断面図である。 回折光学素子を説明する図である。 回折光学素子1が多面付けされた多面付け体500を示す図である。 多面付け体500の一部を拡大した図である。 異物検査を説明する図である。 成形型識別符号20が形成された領域を拡大して示した図である。 欠陥マーク40が形成された領域を拡大して示した図である。 成形型識別符号20等に形成されている凹凸形状を説明する図である。 単位領域に構成することが望ましい回折格子の他の例を示す図である。 比較例と本実施形態とについて視認性を評価した結果を示す図である。 本実施形態の欠陥マークを備えた回折光学素子を、従来の欠陥マークを備えた比較例と対比を行った結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
(実施形態)
図1は、本発明による回折光学素子1の実施形態を示す図である。
図2は、図1中の矢印G−Gの位置で切断した断面図である。
なお、図1及び図2を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
また、本発明において用いる、形状や幾何学的条件、及び、それらの程度を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本発明において透明とは、少なくとも利用する波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては、透明として取り扱うものとする。
本実施形態の回折光学素子1は、基材1aと、樹脂層1bとを備えている。
基材1aは、回折光学素子1のベースとなる層であり、透明な各種樹脂フィルム、樹脂シート等を用いることができる。
基材1aとしては、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン(MBS)樹脂、メタクリル酸メチル・スチレン(MS)樹脂、アクリル・スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂等の透明樹脂を用いることができる。また、ガラス基材を用いて基材1aを構成してもよい。なお、図示していないが、基材1a上には、塗布された紫外線硬化樹脂等との密着性を高めるための密着層を設けてもよい。
樹脂層1bは、基材1a上に形成されており、成形型に形成されている形状に対応した賦形形状(10,20,30,40,50等)を備えている。樹脂層1bは、上記賦形形状の各パターンに対応する凹凸パターンが形成された成形型を用いて、例えば、基材1a上に塗布された紫外線硬化樹脂を賦型して凹凸パターンを転写し、紫外線を照射して硬化させることにより形成できる。
紫外線硬化樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリチオール系、ブタジエンアクリレート等を用いることができる。なお、樹脂層1bを形成するための材料は、紫外線硬化樹脂に限定されない。樹脂層1bは、例えば、電子線硬化樹脂で形成してもよい。また、樹脂層1bは、熱硬化型や紫外線硬化型のSOG(Spin on Glass)を用いて構成してもよい。また、上記各パターンは、原版から賦型により転写する例に限らず、上記各パターンの凹凸形状を有する原版から作製された樹脂の中間版を用いて賦型してもよい。
樹脂層1bは、賦形形状として、回折格子10と、成形型識別符号20と、位置識別符号30と、欠陥マーク40と、切断位置マーク50を備えている。
回折格子10は、回折光学素子1の中央に配置されており、多数の微細な凹凸形状により構成されている。この回折格子10は、回折光学素子1の本来の目的とする光学的機能を発揮する光学機能領域であり、後述する欠陥マークに設けられる回折格子とは異なるものである。
図3は、シート面の法線方向から見た回折格子の凹凸形状が、凸部と凹部との境界が曲線を含む規則的又は不規則なパターンに形成される回折光学素子の例を示す平面図である。
本実施形態では、1例として、図3に示すような一見不規則に見える凹凸形状のパターンを有する回折光学素子に適用することができる。以下の説明では、この図3に示すタイプの回折光学素子を、不規則型とも呼ぶこととする。ただし、この不規則なパターンは、回折光学素子の狙いの出射パターンによっては、規則的なパターンとなる場合もあるので、不規則型との呼び方は便宜上の呼び名であって、不規則に限定するものではない。また、図3では、不規則型のパターンは、曲線により構成されているが、回折光学素子の狙いの出射パターンによっては、直線、又は、曲線からなる線分を繋げた折れ線となっているパターンを含む場合もある。したがって、不規則型の回折格子のパターンは、高屈折率部(後述)の凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含む。また、特定の不規則型のパターンを単位セルとして、この単位セルが多数格子状に配列されていてもよい。
図4は、シート面の法線方向から見た回折格子の凹凸形状が、同一の凹凸形状が並べて配置された単位セルが複数タイリングされた格子状のパターンに形成される回折光学素子の例を示す平面図である。
本実施形態では、他の例として、図4に示すように、同一の凹凸形状が並べて配置された単位セルが複数タイリングされた格子状のパターンに形成される回折光学素子に適用することができる。以下の説明では、この図4に示すタイプの回折光学素子を、グレーティングセルアレイ(Grating Cell Array)型、又は、GCA型とも呼ぶこととする。グレーティングセルアレイ型の回折光学素子では、単位セル毎に回折格子により回折される光の向き及び角度が異なっており、多数の単位セルがタイリングされることにより、所望の光学特性を得られる回折光学素子が構成されている。すなわち、グレーティングセルアレイ型の回折光学素子では、高屈折率部は、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て、格子状に区画されており、その区画内に特定の方向に延在する同一形状の凸部が前記特定の延在方向と直交する方向に並んで配置されており、区画毎に凸部の幅及び延在方向が異なっている。
図5は、図3に示した不規則型の回折光学素子の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。
図6は、図4に示したGCA型の回折光学素子の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。
図7は、図6中の矢印G−G’の位置で回折光学素子を切断した断面図である。
図8は、回折光学素子を説明する図である。
本発明において「光を整形する」とは、光の進行方向を制御することにより、対象物又は対象領域に投影された光の形状(照射領域)が任意の形状となるようにすることをいう。例えば、図8の例に示されるように、平面形状のスクリーン200に直接投影した場合に照射領域202が円形となる光201(図8(b))を発光する光源部210を用意する。この光201を、本発明の回折光学素子1を透過させることにより、照射領域204を正方形(図8(a))や、長方形、円形(図示せず)等、目的の形状とすることを、「光を整形する」という。
なお、光源部210と、光源部210が発光する光が通過する位置に少なくとも1つ配置された、本実施形態の回折光学素子1とを組み合わせることにより、光を整形した状態で照射可能な光照射装置とすることができる。
本実施形態の回折光学素子1は、光を整形する回折光学素子(DOE)である。回折光学素子1の回折格子10は、例えば、波長が500nmの光を発光する光源部210からの光に対して十文字形状、具体的には、例えば、±50度に、幅が±3.3度で広がる光の帯が2本公差した形状に光を広げるように設計されている。
本実施形態の回折格子10は、図3に示したA,B,C,Dのそれぞれの位置において深さが異なっている。すなわち、回折格子10は、4段階の高さの異なる多段階形状により構成されている。そして、回折格子10は、通常、異なる周期構造を持つ複数の領域(部分周期構造:例えば、図3のE,F領域)を有している。図5,図6では、部分周期構造の一例を抽出して示している。
回折格子10は、図7に示すように、断面形状において複数の凸部11aが並んで配置されている高屈折率部11を備えている。GCA型の回折光学素子では、この高屈折率部11は、同じ断面形状を維持したまま、断面の奥行き方向に延在している。一方、不規則型の回折光学素子では、断面位置が変れば断面形状が変化し、様々な断面形状の回折格子が多数配列されている形態となる。
また、凸部11aの間に形成されている凹部12及び凸部11aの頂部付近の空間13を含む図3の上方の部分は、空気が存在しており、高屈折率部11よりも屈折率が低い低屈折率部14となっている。これら高屈折率部11及び低屈折率部14が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層15が構成されている。
凸部11aは、側面形状の一方側(図7では、左側)に、高さの異なる4つの段部を備えた多段階形状を有している。具体的には、凸部11aは、最も突出したレベル3段部11a−3と、レベル3段部11a−3よりも一段低いレベル2段部11a−2と、レベル2段部11a−2よりもさらに一段低いレベル1段部11a−1と、レベル1段部11a−1よりもさらに一段低いレベル0段部11a−0とを一側面側に有している。また、凸部11aの側面形状の他方側(図7では、右側)は、レベル3段部11a−3からレベル0段部11a−0まで直線上につながる側壁部11bとなっている。
本実施形態の凸部11aは、鋸歯形状を多段階の輪郭形状により模した形状であり、4レベルの形態を説明したので、比較的粗く模した形態となっているが、8レベルや16レベル、さらにそれ以上のレベル数とすれば、より正確に模した形状とすることができる。
図9は、回折光学素子1が多面付けされた多面付け体500を示す図である。
図10は、多面付け体500の一部を拡大した図である。
本実施形態の回折光学素子1は、例えば、外形形状が3mm×3mm程度の非常に小さな部材であることから、製造工程の途中においては、図9に示すように多数の回折光学素子1を格子状に並べて配置した多面付け体500として作製され、製造工程の高効率化を図っている。この多面付け体500から個片に切断して回折光学素子1が作製される。なお、図9では、理解を容易にするために、隣り合う回折光学素子1の境界に境界線を実線で引いて示したが、この境界線は、切断前は形成されていないので、図10では、2点鎖線で示している。なお、図9では、図示を可能とするため、かつ、理解を容易にするために、10行×10列の合計100個の回折光学素子1を配列した状態で図示した。しかし、実際には、これよりも多くの回折光学素子1が配列される。例えば、数千個〜数万個の回折光学素子1を1つの多面付け体500上に配列する場合がある。
以下の説明では、このように多面付け体500から回折光学素子1が切断されて作製されることを前提として説明を行なう。
図1及び図2に戻って、成形型識別符号20は、成形型を識別するマークであって、図1に示す例では、「900A」と記されている。成形型識別符号20は、成形型に固有の符号であり、この成形型識別符号20によって、どの成形型で成形された回折光学素子1であるのかが判別可能である。この成形型識別符号20は、成形型に固有の符号であることから、多面付け体500内にある全ての回折光学素子1において同一の符号となっている(図10参照)。
位置識別符号30は、成形型における回折光学素子1の位置を識別するマークである。図9の例では、1つの成形型に100箇所の回折光学素子1を成形する部位が存在するので、この100箇所のうちのいずれの位置で成形された回折光学素子1であるのかを特定可能な符号として位置識別符号30を設けている。図1の例では、「X49、Y53」となっている例を示しており、これは、X方向(図9、10において横方向)の49番目の列であって、Y方向(図9、10において縦方向)の53番目の行の位置であることを示している。なお、この例のように列番号と行番号といった表示に限らず、1から順番の数値等であってもよい。また、成形型識別符号20と位置識別符号30とを組み合わせて1つの符号で両方の機能を備えた構成としてもよい。上記の場合で例示すると、例えば、「900A−X49Y53」としてもよい。
本実施形態では、回折光学素子1を凹凸形状が設けられている面の法線方向から見て左半分の矩形領域に第1符号領域、右半分の矩形領域に第2符号領域が配置され、第1符号領域および第2符号領域は、それぞれ成形型識別符号20及び位置識別符号30のうち1つずつ別の符号を含む構成としている。具体的には、第1符号領域に成形型識別符号20を含む場合は、第2符号領域には位置識別符号30が含まれ、またその逆の組み合わせもあり得る。すなわち、成形型識別符号20と位置識別符号30は、十分な間隔を空けて配置されており、これにより両者を別の符号であるとして認識することができる。
また、成形型識別符号20と位置識別符号30とを区別できるように識別用の特定の符号をそれぞれに設けるようにしてもよい。例えば、成形型識別符号20及び位置識別符号30それぞれの頭文字に固有記号を付与してもよい。具体的には、例えば、成形型識別符号20には「M(Master)」を、位置識別符号30のX座標には「X(X−Coordinate)」、Y座標には「Y(Y−Coordinate)」を付与する。
成形型識別符号20と位置識別符号30とを備えていることにより、いずれの成形型のどの位置で製造されたのかが、個片化された回折光学素子1であっても、容易に特定が可能である。
欠陥マーク40は、所定の寸法に形成されたマークであって、目視検査時に検査員が参照するために設けられている。又は、検査装置による自動検査での判定基準に用いてもよい。例えば、40μmよりも大きな欠陥については不良品とするという検査規格を設定したとしても、検査員の訓練だけによってその大きさを判別可能とすることは難しい。また、検査員毎の判断基準を統一することも難しい。そこで、欠陥のおそれがある部位を欠陥マーク40と比較して観察可能とすることにより、検査合否判定精度及び検査タクト向上を高め、また、検査員スキルの育成を容易にすることが可能である。
欠陥マーク40を1つ設ける場合には、その寸法は、欠陥と判断する閾値となる寸法としたり、閾値より僅かに小さな寸法としたりすることが望ましい。例えば、上述するように40μmよりも大きな欠陥を不良品とする場合には、欠陥マーク40は、40μm×40μmの正方形としたり、直径40μmの円形としたりするか、又は、30μm×30μmの正方形としたり、直径30μmの円形としたりするとよい。また、正方形や円形に限らず、長方形や楕円形等としてもよい。さらに、発生する欠陥の傾向がわかっているのであれば、その欠陥に近い形状に欠陥マーク40を構成して、検査時に比較を容易にしてもよい。例えば、髪の毛の付着が欠陥として多く発生するような場合には、例えば、10μm×2000μmの長方形に欠陥マーク40を構成してもよい。
また、本実施形態では、寸法が異なる3つの欠陥マーク40a,40b,40cを大きさ順に並べて配置している。本実施形態では、上述したように、40μmよりも大きな欠陥を不良品と想定した場合、これに対応して、欠陥マーク40aは、40μm×40μmの正方形とし、欠陥マーク40bは、30μm×30μmの正方形とし、欠陥マーク40aは、20μm×20μmの正方形としている。このように、一定の割合で徐々に寸法が変化する欠陥マーク40を並べて配置することにより、検査員が対象物(欠陥のおそれのある部位)を観察するときに、その大きさを素早くかつ精度良く把握する効果が期待できる。なお、欠陥マーク40a,40b,40cそれぞれの大きさを示す数字等を各欠陥マークの近くにさらに配置してもよい。
切断位置マーク50は、多面付け体500を切断して個片の回折光学素子1とするときに切断する位置の目安とするためのマークである。なお、切断位置マーク50は、図1のように切断後に回折光学素子1上に残っていてもよいし、切断時に除去されて回折光学素子1上には残らないように構成してもよい。
図11は、異物検査を説明する図である。
本実施形態の回折光学素子1では、異物検査時に、例えば、図11に示すように、異物Pが観察された場合、欠陥マーク40と異物Pとを顕微鏡の同一視野内で対比観察が可能であり、目視検査を精度よく、かつ、素早く容易に行なうことが可能である。そして、この検査を複数の検査員によって行なう場合に、欠陥マーク40が設けられていることにより検査員による検査精度のばらつきを抑え、安定した高精度の検査を実現可能である。
又は画像解析による自動検査を行う場合、欠陥マーク40を画像解析における校正値とすることができ、多面付け体の検査感度のバラツキを抑えることで高精度の検査を実現可能である。
ここで、図11に示すような異物等の検査を行う場合、異物等の欠陥を見やすくするために、顕微鏡観察時の照明の状態を切り替えることが行われる場合が多い。すなわち、複数個の発光部を備えた照明装置の全てを発光させたり、一部のみを発光させたりして、観察が行われる。また、照明装置の角度及び位置を調整する場合もある。従来、光学素子にマークを付与する場合、単にマークの形状で凸形状、又は、凹形状としたり、規則的に配列されたラインアンドスペースパターンと呼ばれるパターンをマークに形成したりしていた。
しかし、照明の状態によっては、従来のマークでは、視認性が悪くなる場合があった。そこで、本実施形態では、成形型識別符号20、位置識別符号30、欠陥マーク40、切断位置マーク50の全てのマークについて、視認性を向上させるための特殊なパターンを構成している。なお、以下の説明では、成形型識別符号20、位置識別符号30、欠陥マーク40、切断位置マーク50の総称として、単にマークとも呼ぶこととする。
図12は、成形型識別符号20が形成された領域を拡大して示した図である。
図13は、欠陥マーク40が形成された領域を拡大して示した図である。
本実施形態の成形型識別符号20及び欠陥マーク40には、回折格子を構成する凹凸形状が形成されている。また、図示しないが、位置識別符号30及び切断位置マーク50についても、同様な回折格子を構成する凹凸形状が形成されている。
図14は、成形型識別符号20等に形成されている凹凸形状を説明する図である。
本実施形態のマークに設けられた凹凸形状は、図14(a)に示す3μm×3μmの大きさの回折格子が配列された領域を1つの単位(以下、単位領域1001とする)としている。そして、この単位領域1001は、マーク内に複数が密接して並べて配列されている。本実施形態で単位領域1001に構成されている回折格子は、2レベルの回折格子であって、その凹凸形状は、回折格子が形成されている面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との双方を含んでいる。なお、図14(a)では、黒く示した部位が、凸形状である。
ここで、例えば単位領域が500μm等、単位領域がマークよりも大きいサイズからマークのサイズに切り出した形状でも良く、この形態でも光を広い範囲に出射することができる。ただしこの形態の場合、設計時に意図した照射スポットと同じ位置に大半の光が出射されるものの、その強度バランスは設計時に意図した強度バランスと大きな乖離が起こることがあり、例えば矩形のマークの片側のエッジは視認性が高いが逆側のエッジの視認性が低い等、マークからの出射光に偏ることがある。そのため、単位領域のサイズはマークよりも小さいことが望ましい。
本実施形態の単位領域1001は、対応する波長の光が照射されると、図14(b)に示すような5×5個の照射スポットSPが波数空間上で等間隔に並んだパターンを構成する光を出射する。マークには、この単位領域1001が密接して配列されているので、対応する波長の光がマークに照射されると、図14(b)に示すような5×5個の照射スポットSPが波数空間上で等間隔に並んだパターンを構成する光が出射される。
このような所望の照射パターン(図14(b))に光を回折させる回折格子パターン(図14(a))の設計は、例えば、IFTA(Iterative Fourier Transform Algorithm)を利用することができる。このIFTAは、図形を動かしながらフーリエ変換を繰り返す設計手法であり、一般的に用いられている。このIFTAを用いれば、高速でターゲット(設計狙い)に対して非常に精度の高い回折格子の設計が可能である。
単位領域1001から出射されるパターンについては、図14(b)に示した形態に限らず、他のパターンとしてもよい。ただし、単位領域1001から出射されるパターンは、広い範囲に出射される回折格子とすることが、様々な方向からの視認性を向上させるために望ましい。
図15は、単位領域に構成することが望ましい回折格子の他の例を示す図である。
図15(a)に示すように、8μm×8μmの大きさの回折格子が配列された領域を単位領域1002としている。この回折格子も、2レベルの回折格子であって、その凹凸形状は、回折格子が形成されている面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との双方を含んでいる。そして、この単位領域1002は、対応する波長の光が照射されると、図15(b)に示すような11×11個の照射スポットSPが波数空間上で等間隔に並んだパターンを構成する光を出射する。
図14(a)及び図15(a)のいずれの回折格子も、その凹凸形状は、前記法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との双方を含んでいる。そして、この凹凸形状は、凹凸形状が設けられている面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が複数の方向に向いて配置されている。これにより、様々な方向から照射される光を様々な方向へ出射させることができ、光散乱性の透明異物や不透明な異物やキズ等を見るために照明の方向を変える場合においても、マークが光を曲げる構造にすることで、種々の方向からの光源に対するベース基材とマークの散乱及び透過の挙動に明確に差異をつけることが可能となり、視認性の優れたマークとすることができる。
ここで、対応する波長の光は、適宜選択して単位領域1001(又は単位領域1002)の回折格子を設計すればよいが、観察時に用いる光の波長に近いことが、視認性を向上させるために望ましい。本実施形態では、可視光で観察するので、550nmの波長の光で上記パターンを出射する回折格子を単位領域1001に構成している。
観察時の照明装置はいわゆる暗視野照明と呼ばれる、斜めから照射する照明装置であることが多い。この照明光をマーカーで曲げて対物レンズに入れることを想定すると、本実施形態で示す照射スポットSPのうちどれかは、8度以上、より好ましくは、10度以上の回折角を持つことが望ましい。
図16は、比較例と本実施形態とについて視認性を評価した結果を示す図である。
暗視野照明を利用する方法では、対物レンズに光が直接入らないように斜め等から光を照射することにより、マークで散乱又は回折された光のみを観察することができるため、明視野照明を利用する方法と比較してマーク視認性が向上する。これは、明視野を採用する比較例1の場合に比べて、比較例2の結果が改善していることからもわかる。
回折格子は、その設計によって回折角を任意に設定可能である。そこで、形状の簡単なラインアンドスペースパターン(図16中では、L/Sとして示す)を用いて、マーク視認性を確認するためにライン幅の異なるマーク基材を作製し、検査視認性評価を実施した。なお、ラインアンドスペースのパターンも回折格子として光を回折する機能を備えている。ライン幅は、4μmと2μmとの2種類を評価した。
その結果、4μm幅の比較例2に対し、2μm幅の比較例3の方が、マーク視認性が向上することが確認できた。
また、回折角の理論式sinθ=λ/pitchで回折角を算出すると、ライン幅4μmの比較例2の回折角は4度に対し、ライン幅2μmの比較例3は8度となり、回折角が大きい方が、視認性が向上することがわかる。
以上により、1次光の回折角は、8度以上であることが望ましく、より好ましくは、10度以上が望ましい。
しかし、ラインアンドスペースパターンは、暗視野照明の照射方向に対し基材セット位置(マークライン配列方向)を90度回転するとマークの視認性が低下することが確認された(比較例4)。
この課題を改善する為に、1次回折角が直交する2軸上にそれぞれ2つ以上を有するDOEパターンを展開したマーク基材を作製し、検査視認性評価を実施した結果、基材セット位置(マークライン配列方向)を0度から90度回転してもマーク視認性は変化せず、さらに視認性が大幅に向上した(本実施形態)。
以上により、1次回折光が少なくとも4つ以上かつ2軸方向以上のパターンを出射する形態が望ましいといえる。
また、マークに回折格子を構成する方法としては、本実施形態では、回折格子10を作製する工程を利用して回折格子10の作製と同時に作成することができ、簡単に作製が可能である。したがって、本実施形態のマークを備えることによって、回折光学素子1の製造コストが上昇することはない。
回折格子で構成されたマークの散乱特性及び透過特性を検証する上では、マークよりも小さい、又はマークと同程度のスポットビームを当て、散乱光及び透過光をスクリーンに投影して観察する、又は散乱光及び透過光をCMOSやCCD等のディテクタで直接観察する、という手段が挙げられる。
あるいは、マークの形状を同定し、シミュレーションによって散乱特性及び透過特性を検証することができる。具体的には、顕微鏡又はSEM等で上部からの絵柄を取得し、輪郭を抽出することでシミュレーションの平面図の入力値とすることができ、AFMやSEM等で凹凸高さを取得することができれば、シミュレーションの高さ方向の入力値とすることができる。このシミュレーションはフーリエ変換等によるThin modelとRCWA又はFDTD等によるRigorous modelのどちらでも良い。前記Thin modelを用いる場合、前記凹凸高さは位相差に変換して入力することで高さ方向の入力値とすることができる。前記Rigorous modelを用いる場合、前記凹凸高さをそのままシミュレーション高さの入力値とでき、さらにはAFMやSEMによる凹凸高さは、測定結果の平均値としてよい。
光源の形態としては、可視光の代表値である550nmの波長を使うことができ、偏角0度と90度といったような直交する直線偏光による特性をそれぞれ算出し、その平均値としてよい。ここで前記位相差を算出する場合、又は前記シミュレーション高さを使う場合、基材及び光学素子部の屈折率が必要となるが、この屈折率は、光学素子の材料の組成から想定される代表値を入力してもよく、例えばホウケイ酸ガラスであれば550nmの波長に対して1.45から1.5の範囲の屈折率となり、一般的な光硬化性樹脂であれば1.45から1.6の範囲の屈折率になることが多い。一方で光学素子の個片サイズが大きい場合などは、エリプソメーター等の測定機で前記屈折率を取得することができ、その値を入力してもよい。
図17は、本実施形態の欠陥マークを備えた回折光学素子を、従来の欠陥マークを備えた比較例と対比を行った結果を示す図である。
図17に示した対比において用意したサンプルは、欠陥マークにラインアンドスペースを構成した従来の形態を比較例1から比較例3とし、欠陥マークに回折格子を構成し本実施形態のサンプルを実施例1から実施例3とした。なお、図17では、欠陥マーク40に相当する位置を拡大して示している。また、図17の欠陥マークは、4つ設けた構成となっている。
比較例1から比較例3は、マークの構成は同じラインアンドスペースであるが、照明条件が異なっている。比較例1は、顕微鏡の対物レンズ周囲に配置されたライトを全て点灯した照明状態(以下、明視野)である。比較例2は、対物レンズ周囲に配置されたライトを一部消灯した照明状態(以下、暗視野)である。比較例3は、対物レンズ周囲に配置されたライトの一部を消灯し、微調整した照明状態(以下、特殊暗視野)である。
同様に、実施例1から実施例3は、マークの構成は同じ回折格子であるが、照明条件が異なっている。実施例1は、明視野であり、実施例2は、暗視野であり、実施例3は、特殊暗視野である。
図17(a)から図17(c)に示すように、比較例1から比較例3では、照明条件の変化によって欠陥マークが見えにくいものがある。これらに対して、図17(d)から図17(f)に示すように、実施例1から実施例3では、照明条件が変わっても欠陥マークの全面及び輪郭がはっきりと視認できる。なお、図17では、白黒写真として示したため、比較例と実施例との差異が分かりにくいかもしれないが、実際の観察視野においては、図17に示した以上に顕著な差異が比較例と実施例との間に表れていた。
以上説明したように、本実施形態の回折光学素子1は、成形型識別符号20と、位置識別符号30と、欠陥マーク40と、切断位置マーク50との全てのマークに、回折格子を構成した。よって、照明条件に寄らずに、視認性の良好なマークとすることができる。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態において、マークに構成した回折格子は、その凹凸形状は、回折格子が形成されている面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との双方を含んでいる複雑な構成をしている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、マークに構成する回折格子は、図4に示したようなグレーティングセルアレイとしてもよい。ただし、グレーティングセルアレイをマークに構成する場合には、マークの幅の狭い部分であっても複数種類の回折格子が配列されるようにすることが望ましい。
(2)実施形態において、マークに設けられる回折格子は、回折光学素子1の本来の目的とする光学的機能を発揮する光学機能領域である回折格子10とは異なるものである例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、マークに設けられる回折格子は、回折光学素子1の本来の目的とする光学的機能を発揮する光学機能領域である回折格子10と同じ構成の回折格子としてもよい。これにより、製造工程をより簡単にすることができる。さらには、マークに設けられる回折格子と、光学的機能を発揮する光学機能領域である回折格子10とは、凹凸の高さを別々にしても、同一にしても良い。同一の高さにする場合、例えばリソグラフィ工程で型の製造する時等、製造工程を簡単にすることができる。
ここで述べた前記凹凸の高さとは、AFMやSEM等で観察できる、数十μmの観察エリアを部分的に抜き出し、パターン形状凸部と凹部、または凸部と凸部の平均高低差で定義することが望ましい。具体的には、図7で示すような多段階構造の場合は凸部が複数あるが、11a−3と11a−0の間のみならず、11a−3と11a−2、あるいは11a−3と11a−1といったように、平均高低差を定義する上でどの段階を使ってもよい。なぜなら、多段階構造の型の製造工程において、どの段階を作りこむ場合でも、同時にマークを作りこむことができるからである。
さらには、マークに設けられる回折格子と光学的機能を発揮する光学機能領域である回折格子の上記平均高低差を比較する場合、約30%の差があっても同一の高さとみなすことができる。なぜなら、図14で示すように、回折光学素子のパターン幅はサブミクロンまたはそれ以下のサイズになることが多く、このような微細パターンの加工においては、パターン幅に応じてリソグラフィ工程のエッチング深さが変化するなど、大きな製造エラーが発生することが多いためである。
(3)実施形態において、光学素子の本来の目的とする光学的機能を発揮する光学機能領域が回折格子10である回折光学素子1を例に挙げて説明した。これに限らず、例えば、光学素子の本来の目的とする光学的機能を発揮する光学機能領域は、例えば、マイクロレンズアレイ等としてもよく、回折光学素子に限らず他の構成の光学素子に本発明を適用してもよい。
(4)実施形態において、マークに構成された回折格子は、2レベルの凹凸形状を備えている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、マークに構成する回折格子は、4レベルや8レベル等としてもよく、回折格子の凹凸形状の段数は適宜変更可能である。
(5)実施形態において、回折光学素子1は、成形型識別符号20と、位置識別符号30と、欠陥マーク40と、切断位置マーク50とを備えている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、賦型形状を賦型する多面付け体500を個々に特定することができるユニークな可変の符号(以下、基材IDと呼ぶ)を各回折光学素子1に設けてもよい。基材IDは、例えば、多面付け体500を作製するために用意された基材1a毎にユニークな符号を設けることができる。この符号は、単なる連番であってもよいし、多面付け体500の賦形加工日時に関連する符号であってもよいし、それらに関連付けられたバーコードや2次元コード等の各種コードであってもよい。
(基材IDを設ける位置)
基材IDは、素子の光学特性に影響を与えないことが必要であり、通常は素子に光が当たる有効エリア外に付与することが好ましいが、使用する光に対して影響を与えない手法をとる場合はその限りではない。例えば、対象波長において実質透明なインキを用いる等する場合には、素子に光が当たる有効エリア内に基材IDを設けてもよい。
また光学素子面(微細凹凸側)にあってもその裏面にあってもよいが、賦型の前に付与する場合は、賦型プロセスへの影響を考慮し賦型面と逆の面に形成するのが好ましい。賦型の後に付与する場合は樹脂面でも裏面でもよく、個片化した後に付与する場合は、素子の側面に付与してもよい。側面に付与する手法は、素子の有効エリアが広く付与する場所が狭すぎる場合等に効果的であり、素子をピックアップした状態で付与する。
(基材IDを設けるタイミング)
賦型前の賦型用基材に付与、賦型後に付与、検査後に付与、ダイシング後の各チップに付与、といった工程が考えられる。チップに付与する基材IDは、チップサイズが小さい場合目視困難になるため、基材状態で工程を流す場合の利便性を考えた場合、賦型用基材に視認できる大きさの基材IDを付与するという運用と併用してもよい。
(基材IDを設ける手法)
基材IDを付与する方法としてレーザマーキング、インクジェット、スタンプといった手法が適用可能である。必ずしも目視で識別できなくても、顕微鏡や深さセンシング装置等で、描画パターンをベース部に比べ識別できればよい。
レーザマーキングは各種方式があるが、付与する面の材質や描画サイズに応じて適宜方式を選定する。材料の蒸散を伴う手法は異物発生につながりやすく、樹脂材料に対する場合はエキシマーレーザが好ましい。ガラス基材に刻印する場合は破損しやすくなる懸念があるため、深さはなるべく浅くしたほうが良い(数μm以下)。また発泡や炭化といった樹脂材料を発色させる手法も適用できる。その場合、非描画部とのコントラストをつければよく、あらかじめ形成した背景凹凸パターンに対しレーザ照射で形状を変化させ、形状変化でコントラストをつけるといった手法でもよい。凹凸パターンは特に限定しないが、欠陥マークと同じ形状にすると後々視認しやすい。
また、基材IDを付与する方法としてインクジェットやスタンプ等でインキを付着する方式も用いることができる。スタンプを用いる場合は、基材毎に番号を変えられるようなものを用いる。使用するインキは産業用に通常使用されるものから、印字する面の材質、濡れ性等から適宜選択すればよいが、環境試験で消失しないものを選定する。また、使用する際の対象波長で実質透明である場合は、印字する場所の制限が緩和される。例えば赤外線用の光学素子の場合、赤外線を透過するインキを用いれば有効エリア内に印字することも可能である。その場合、基材IDの表示サイズを比較的大きくすることができ、検知が容易になる。また、レーザやインクジェット、スタンプといった手法は素子の有効エリアを避ける必要があるため、正確な描画位置制御が必要となるが、実質透明なインキを用いる場合は位置合わせの精度は緩和され、プロセスの尤度が広がる。
上記基材IDを個々の回折光学素子に設けることにより、個片化された回折光学素子自体から、賦型された基材自体のロットを識別することができる。基材IDに紐づけされる情報は、「使用された基材のロット」「使用された材料のロット」「賦型された日付」等、トレーサビリティを担保するのに必要な情報である。基材IDが成形型識別符号及び位置識別符号と合わせて個々の回折光学素子に設けられていることにより、アセンブリされた商品に搭載された回折光学素子自体から、DOEのロット、原版までをトレースすることが可能である。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
1 回折光学素子
1a 基材
1b 樹脂層
10 回折格子
11 高屈折率部
11a 凸部
11b 側壁部
12 凹部
13 空間
14 低屈折率部
15 回折層
20 成形型識別符号
30 位置識別符号
40,40a,40b,40c 欠陥マーク
50 切断位置マーク
200 スクリーン
201 光
202 照射領域
204 照射領域
210 光源部
500 多面付け体
1001,1002 単位領域

Claims (10)

  1. 凹凸形状により構成されたマークを備えた光学素子であって、
    前記凹凸形状は、前記凹凸形状が設けられている面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が複数の方向に向いて配置されている光学素子。
  2. 請求項1に記載の光学素子において、
    前記凹凸形状は、前記法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むこと、
    を特徴とする光学素子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光学素子において、
    前記凹凸形状は、回折格子であって、1次回折光が少なくとも4つ以上かつ2軸方向以上のパターンを出射すること、
    を特徴とする光学素子。
  4. 請求項3に記載の光学素子において、
    前記凹凸形状は、回折格子であって、550nmの波長の光を正面から入れたときの1次回折光のうち少なくとも4つ以上のパターンの回折角が8度以上であること、
    を特徴とする光学素子。
  5. 請求項3に記載の光学素子において、
    前記凹凸形状は、回折格子であって、550nmの波長の光を正面から入れたときの1次回折光のうち少なくとも4つ以上のパターンの回折角が10度以上であること、
    を特徴とする光学素子。
  6. 請求項3から請求項5までのいずれかに記載の光学素子において、
    前記凹凸形状は、前記パターンを出射することができる回折格子の領域である単位領域を有しており、前記単位領域が前記マーク内に複数配列されていること、
    を特徴とする光学素子。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれかに記載の光学素子において、
    当該光学素子の光学的機能を発揮する光学機能領域を備え、
    前記マークは、前記光学機能領域の周囲に配置されていること、
    を特徴とする光学素子。
  8. 請求項7に記載の光学素子において、
    前記光学機能領域は、回折格子を備えること、
    を特徴とする光学素子。
  9. 請求項8に記載の光学素子において、
    前記凹凸形状は、回折格子であって、前記光学機能領域の回折格子と同一の凹凸高さを持つこと、
    を特徴とする光学素子。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の光学素子において、
    前記凹凸形状は、回折格子であって、前記光学機能領域の回折格子と同一設計の回折格子により構成されていること、
    を特徴とする光学素子。
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