JP2020173002A - クラッチ制御装置 - Google Patents

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陽介 寺田
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陽介 寺田
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Abstract

【課題】タッチ点学習に係る機能及び制御用のクラッチトルクマップを学習制御させる機能を備え、両機能を適切に協調させて、変速ショックやドライバビリティを向上させるクラッチ制御装置を提供すること。【解決手段】クラッチ制御装置1は、クラッチ(10)と、アクチュエータ(20)と、アクチュエータ制御部(50)と、アクチュエータストロークを検出するストローク検出部(22a)と、を具備し、アクチュエータ制御部は、制御用タッチ点検出部(51)と、タッチ点異常変化判断部(52)と、タッチ点学習部(53)と、クラッチトルクマップ学習部(54)と、クラッチトルクマップ学習部によって学習された最新クラッチトルクマップが、実クラッチトルク特性に収束していると判定される場合には、その最新クラッチトルクマップをゼロ点カットして制御用クラッチトルクマップを更新する制御用クラッチトルクマップ更新部(55)と、を具備する。【選択図】 図1

Description

本出願において開示された技術は、クラッチ制御装置に関する。
従来から、オートメイテッド・マニュアルトランスミッション(AMT)やクラッチバイワイヤ(CbW)方式を採用したマニュアルトランスミッション(MT)等、アクチュエータを用いてクラッチを自動的に制御・操作させるクラッチ制御装置、及びそのクラッチ制御装置が搭載された車両が知られている。
上記のようなアクチュエータを用いてクラッチを自動的に制御・操作させるクラッチ制御装置においては、特許文献1に開示されるように、クラッチが継合を開始するクラッチストロークであるタッチ点ストロークを検出して、検出された当該タッチ点ストロークに基づいて、当該クラッチを制御する制御用タッチ点ストロークが設定され、この制御用タッチ点ストロークを用いてアクチュエータは作動する。しかしながら、上記のタッチ点ストロークは、センサの検出誤差やクラッチの劣化等の影響で、次第に又は急激に変化する場合がある。この変化を考慮せずに、当該変化前のタッチ点ストロークに対応する制御用タッチ点ストロークをもとにアクチュエータを作動させると、変速ショックやドライバビリティの悪化等の問題が生じてしまう。
そこで、特許文献1には、通常、車両停止中であり且つ変速機がニュートラルでなければ実行されないタッチ点学習(タッチ点ストロークの学習)の頻度を増加させるべく、クラッチ制御装置(車両用駆動装置)に、変速機をニュートラル状態に維持した上で強制的にタッチ点学習を実行させる強制タッチ点学習実行部を具備させる旨が開示されている。
他方、特許文献2には、クラッチストローク(アクチュエータストローク)とクラッチトルクとの関係を表す制御用のクラッチトルクマップを作成し、実際のクラッチトルク特性と制御用のクラッチトルクマップとの間にずれが生じた場合は、制御用のクラッチトルクマップが実際のクラッチトルク特性(実クラッチトルク特性)に追従することができるようにクラッチトルクマップを学習制御する旨が開示されている。
特開2017−61236号公報 特開2004−138176号公報
しかしながら、特許文献1に記載の強制タッチ点学習実行部による強制タッチ点学習は、いくらその頻度を増加させようとしても、その実行のために所定条件が満たされる必要がある(少なくとも、特許文献1に記載のとおり、変速機をニュートラル状態に維持する必要がある)ことから、依然としてその実行頻度に限界があり、強制タッチ点学習が実行されるまでの間の変速ショックやドライバビリティの向上に限界がある。
そこで、特許文献1に記載のタッチ点学習(強制タッチ点学習)に係る機能に加えて、さらに、特許文献2に記載されている、制御用のクラッチトルクマップを学習制御させる機能をさらに具備するクラッチ制御装置が提案されている。しかしながら、上記の両機能が併存する場合、両機能を協調させることを怠ると、タッチ点学習(強制タッチ点学習)による制御用タッチ点ストロークやクラッチトルクマップの学習制御結果にずれが生じ、結果として変速ショックやドライバビリティが悪化してしまうという問題がある。
そこで、様々な実施形態により、タッチ点学習に係る機能及び制御用のクラッチトルクマップを学習制御させる機能を備え、両機能を適切に協調させて、変速ショックやドライバビリティを向上させるクラッチ制御装置を提供する。
一態様に係るクラッチ制御装置は、エンジンと変速機との間のトルク伝達経路上に設けられ、前記エンジンの駆動軸に連結される入力部材と、前記変速機へトルクを出力する出力部材と、を備えるクラッチと、前記クラッチを作動させて、前記入力部材から前記出力部材に伝達されるクラッチトルクを可変させるアクチュエータと、前記アクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御部と、前記クラッチのクラッチストロークに対応するアクチュエータストロークを検出するストローク検出部と、を具備し、前記アクチュエータ制御部は、前記ストローク検出部により検出される前記アクチュエータストロークにおいて、前記クラッチが切断され前記クラッチトルクが0となる点であって、且つ前記クラッチが継合を開始する実タッチ点に対応する制御用タッチ点を検出する制御用タッチ点検出部と、前記制御用タッチ点が、前記実タッチ点に対して所定値以上相違するか否かを判定するタッチ点異常変化判断部と、前記タッチ点異常変化判断部によって、前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された場合に、前記変速機をニュートラル状態にして、最新の前記制御用タッチ点の検出を実行させるよう前記制御用タッチ点検出部に指令するタッチ点学習部と、前記ストローク検出部により検出される前記アクチュエータストロークと前記クラッチトルクとの関係を表す制御用の最新のクラッチトルクマップを、直前に生成された前記クラッチトルクマップ及び実クラッチトルク特性を比較参照して学習するクラッチトルクマップ学習部と、前記タッチ点異常変化判断部によって、前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された場合に、前記タッチ点学習部の指令に基づき前記制御用タッチ点検出部によって最新の前記制御用タッチ点の検出が実行される第1時点で、前記クラッチトルクマップ学習部によって学習された最新クラッチトルクマップが、前記第1時点の前記実クラッチトルク特性に既に収束していると判定される場合には、前記最新クラッチトルクマップにおいて、最新の前記制御用タッチ点の検出結果を反映し、且つ最新の前記制御用タッチ点を除く前記クラッチトルクが0となる部分を削除して制御用クラッチトルクマップを更新する、制御用クラッチトルクマップ更新部と、をさらに有するものである。
この構成のクラッチ制御装置によれば、クラッチの過熱等の影響により、実タッチ点に対して、制御用タッチ点が大幅に変化(所定値以上相違)した場合において、制御用タッチ点検出部による最新の制御用タッチ点の検出が実行される前に、クラッチトルクマップ学習部によるクラッチトルクマップ学習制御が別途実行されるため、制御用タッチ点検出部により最新の制御用タッチ点の検出が実行される第1時点で、既に、最新クラッチトルクマップが実クラッチトルク特性に収束している場合には、当該最新クラッチトルクマップを基本にし、最新の前記制御用タッチ点の検出結果を反映し、且ついわゆるゼロ点カット処理を施して、実クラッチトルク特性に追従する制御用クラッチトルクマップに更新することができる。つまり、この構成のクラッチ制御装置は、タッチ点学習に係る機能及び制御用のクラッチトルクマップを学習制御させる機能を協調させることが可能となるため、変速ショックやドライバビリティを向上させることが可能となる。
また、一態様に係る前記クラッチ制御装置において、前記制御用クラッチトルクマップ更新部は、さらに、前記タッチ点異常変化判断部によって、前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された場合に、前記第1時点で、前記クラッチトルクマップ学習部によって学習された前記最新クラッチトルクマップが、前記第1時点の前記実クラッチトルク特性に収束していないと判定される場合には、前記最新クラッチトルクマップを消去した上で、前記クラッチトルクマップ学習部によって学習される前であって前記タッチ点異常変化判断部によって前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された第2時点の前記クラッチトルクマップを参照しつつ、前記制御用タッチ点検出部によって検出された最新の前記制御用タッチ点を基準に、参照された前記第2時点の前記クラッチトルクマップを比例計算して前記制御用クラッチトルクマップを更新することが好ましい。
この構成のクラッチ制御装置によれば、クラッチの過熱等の影響により、実タッチ点に対して、制御用タッチ点が大幅に変化(所定値以上相違)した場合において、制御用タッチ点検出部による最新の制御用タッチ点の検出が実行される前に、クラッチトルクマップ学習部によるクラッチトルクマップの学習制御が実行されていても、上記第1時点で、最新のクラッチトルクマップが実クラッチトルク特性に収束していない場合においては、バックアップとして、制御用タッチ点検出部(タッチ点学習制御)による最新の制御用タッチ点の検出結果を利用し(つまり、クラッチトルクマップ学習部による最新のクラッチトルクマップの学習結果は利用されず)、第2時点のクラッチトルクマップを比例計算して制御用クラッチトルクマップを更新することができる。このように、クラッチトルクマップを学習制御させる機能によって最新のクラッチトルクマップが実クラッチトルク特性に追従していない場合でも、タッチ点学習に係る機能を効率的に利用することで、実クラッチトルク特性に追従する制御用クラッチトルクマップを正確に生成することができる。つまり、この構成のクラッチ制御装置は、いかなる場合においても、タッチ点学習に係る機能及び制御用のクラッチトルクマップを学習制御させる機能を協調させることが可能となり、いかなる場合においても、変速ショックやドライバビリティを向上させることが可能となる。
また、一態様に係る前記クラッチ制御装置において、前記クラッチトルクマップ学習部は、前記タッチ点異常変化判断部によって、前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された場合には、学習された前記最新クラッチトルクマップが直前に学習された前記クラッチトルクマップに対して所定の補正処理範囲内に収まるように制御するガード制御を少なくとも所定期間禁止することが好ましい。
この構成とすることによって、クラッチトルクマップ学習部におけるクラッチトルクマップ学習制御に関し、最新のクラッチトルクマップを実クラッチトルク特性に迅速に収束させることが可能となるため、この構成のクラッチ制御装置は、クラッチトルクマップ学習部による学習制御を効率的に利用することが可能となる。
また、一態様に係る前記クラッチ制御装置において、前記クラッチトルクマップ学習部は、前記タッチ点異常変化判断部によって、前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された場合には、直前に生成された前記クラッチトルクマップ及び実クラッチトルク特性を比較参照する際に、実クラッチトルク特性の反映率を上昇させることが好ましい。
この構成とすることによって、クラッチトルクマップ学習部におけるクラッチトルクマップ学習制御に関し、最新のクラッチトルクマップを実クラッチトルク特性により迅速に収束させることが可能となるため、この構成のクラッチ制御装置は、クラッチトルクマップ学習部による学習制御をさらに効率的に利用することが可能となる。
また、一態様に係る前記クラッチ制御装置において、前記タッチ点異常変化判断部は、前記クラッチが所定温度以上である場合に、前記制御用タッチ点が、前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定することが好ましい。
この構成とすることによって、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違すると迅速に判定することができるため、クラッチトルクマップを実クラッチトルク特性にさらに迅速に収束させることが可能となる。
様々な実施形態によれば、タッチ点学習に係る機能及び制御用のクラッチトルクマップを学習制御させる機能を備え、両機能を適切に協調させて、変速ショックやドライバビリティを向上させるクラッチ制御装置を提供することができる。
一実施形態に係るクラッチ制御装置を含むシステムの基本的な構成を示す概略図である。 クラッチトルクとクラッチストローク(アクチュエータストローク)との関係を表すクラッチトルクマップ、及び実クラッチトルク特性を示す図である。 クラッチトルクとクラッチストローク(アクチュエータストローク)との関係を表すクラッチトルクマップ、及び実クラッチトルク特性を示す図である。 クラッチトルクとクラッチストローク(アクチュエータストローク)との関係を表すクラッチトルクマップ、及び実クラッチトルク特性を示す図である。 一実施形態に係るアクチュエータ制御部により実行される制御プロセスを示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要件には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらにまた、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
1.クラッチ制御装置を含むシステムの構成
一実施形態に係るクラッチ制御装置1を含むシステム100の全体構成の概要について、図1乃至図4を参照しつつ説明する。なお、システム100は、例えば、AMTを搭載する車両に組み込まれる。図1は、一実施形態に係るクラッチ制御装置1を含むシステム100の基本的な構成を示す概略図である。図2乃至図4は、クラッチトルクとクラッチストローク(アクチュエータストローク)との関係を表すクラッチトルクマップ、及び実クラッチトルク特性を示す図である。
一実施形態に係るクラッチ制御装置1を含むシステム100の基本的な構成は、図1に示すように、クラッチ10と、クラッチ10に接続されるエンジン3と、クラッチ10に接続される変速機4と、クラッチ10に配管5を経由して接続され、クラッチ10の継合又は切断の切替え操作を行うアクチュエータ20と、エンジン3の運転状況(エンジン回転数等)を制御するエンジン制御部30と、アクチュエータ20の動作を制御するアクチュエータ制御部50と、を主に含む。なお、エンジン3は、一般的なエンジンを用いることができ、また一般的なエンジン制御部30によってその動きが制御されている。したがって、エンジン3及びエンジン制御部30の詳細な説明は省略する。同様に、変速機4も、一般的なMT等を用いることができるため、その詳細な説明は省略する。
1−1.クラッチ10
クラッチ10は、図1に示すように、エンジン3と変速機4との間のトルク伝達経路上に設けられ、例えば、ダイヤフラムスプリング16を用いて、クラッチカバー15内に設けられるプレッシャープレート13を、摩擦材11を備え変速機4へ伝達トルクを出力する出力部材としてのクラッチディスク12を介して、フライホイール17(エンジン3の駆動軸に連結される入力部材)に対して押圧することにより、エンジン3から変速機4へとトルクを伝達する継合状態と、アクチュエータ20から、配管5及びスレーブシリンダ(図示せず)を経由してレリーズシリンダ14に供給される作動油を用いてダイヤフラムスプリング16によるプレッシャープレート13に対する押圧を解除して、エンジン3から変速機4へのトルク伝達を遮断する切断状態と、を切替える。なお、継合状態と切断状態との間におけるクラッチ10の作動は、アクチュエータ20によって実行されている。したがって、伝達トルクの入力部材としてのフライホイール17から、出力部材としてのクラッチディスク12に対して伝達されるクラッチトルクの大きさも、アクチュエータ20によって可変される。
なお、クラッチ10を構成するクラッチディスク12やフライホイール17等の各要素は、周知の構造及び形状を有するものであればよく、これらの詳細な説明は省略する。
1−2.アクチュエータ20
図1に示すように、アクチュエータ20は、一例として、主にモータ25と、モータ25の回転軸に固定され、モータ25の駆動力を減速するウォームギヤ機構の減速機21と、減速機21に係合するアクチュエータピストン22b、及びアクチュエータピストン22bを収容するアクチュエータシリンダ22cから主に構成されるマスタシリンダ22と、を含む。モータ25は、後述するアクチュエータ制御部50による制御に従って、その回転軸を回転させる。減速機21は、モータ25の回転軸に固定され、モータ25と一体的に回転するウォームギヤ21aと、ウォームギヤ21aからモータ25の駆動力が伝達されるウォームホイール21bを有する。ウォームホイール21bは、ウォームギヤ21aの回転に応じて、ウォームギヤ21aの中心軸に直交する中心軸の周りを回転する。なお、ウォームギヤ21aとウォームホイール21bとを入れ替えても、同様の減速機21の構成を取りうることができる点を付言する。
アクチュエータピストン22bは、ウォームホイール21bに係合しており、ウォームホイール21bの回転に応じて、アクチュエータシリンダ22cの内部において、アクチュエータシリンダ22cの延設方向(図1においては紙面左右方向)に沿って摺動する。
なお、アクチュエータピストン22bには、アクチュエータシリンダ22c内におけるアクチュエータピストン22bの実位置(アクチュエータストローク)を検出するストローク検出部としてのストロークセンサ22aが設けられている。この場合、ストロークセンサ22aは、検出したアクチュエータストロークに関する情報を、有線又は無線の周知の通信方法によって、アクチュエータ制御部50に送信する。なお、ストロークセンサ22aが検出するアクチュエータストロークに基づいて、アクチュエータピストン22bの移動速度(アクチュエータストロークの変化速度)を算出することも可能であり、このアクチュエータストローク変化速度を、アクチュエータ制御部50に送信することも可能である。
ところで、アクチュエータピストン22bのアクチュエータシリンダ22c内における摺動は、クラッチ10の継合状態及び切断状態の両状態間での作動と連動している。つまり、アクチュエータストロークはクラッチ10におけるクラッチストローク(クラッチ開度)に対応している。具体的には、モータ25を駆動させて、アクチュエータピストン22bをアクチュエータシリンダ22c内で油圧を発生させるように摺動(図1においては、アクチュエータピストン22bが紙面左方向へ摺動)させると、かかる油圧が配管5を経由してレリーズシリンダ14に供給される。これにより、ダイヤフラムスプリング16によるプレッシャープレート13に対する押圧を解除して、切断状態を実現する。同様に、アクチュエータピストン22bを逆方向に摺動させることにより、継合状態を実現する。
このように、クラッチ10の作動はアクチュエータピストン22bの摺動と連動していることから、クラッチ10において、伝達トルクが入力される入力部材としてのフライホイール17から、出力部材としてのクラッチディスク12に対して伝達されるクラッチトルクの大きさも、アクチュエータストロークを適宜調整することで可変させることが可能となる。
なお、ストロークセンサ22aは、マスタシリンダ22におけるアクチュエータピストン22bに設けられる。他方、上記ストロークセンサ22aの目的に反しない限りにおいて、ストロークセンサ22aは、例えばアクチュエータシリンダ22c、クラッチ10内におけるレリーズシリンダ14、クラッチディスク12、又はプレッシャープレート13に設けられてもよく、これら列挙された構成要素のいずれかのストロークを検知することで、上記の構成を代替することができる。さらにまた、ストロークセンサ22aは、ウォームホイール21bに設けられてよい。ウォームホイール21bの回転速度を検知することで、上記の構成を代替することもできる。
1−3.アクチュエータ制御部
アクチュエータ制御部50は、大まかにいえば、例えばエンジン3の回転数、変速機4の入力回転数及びギヤ段、アクセルペダル(図示せず)のストローク等の車両の運転情報を、エンジン制御部30や変速機4に設けられる変速機センサ42等から受信して、これらの運転情報に基づく車両の運転状況に応じて、アクチュエータ20の動作(アクチュエータストローク)を制御して、クラッチ10を作動させる。
一般に、クラッチ10の作動をアクチュエータ20によって制御する場合、図2の実線Aで示すようなクラッチトルクTとクラッチストローク(アクチュエータストローク)Stcとの関係を表す制御用のクラッチトルクマップが用いられることが知られている。図2に示すように、実線Aに係るクラッチトルクマップは、例えば、クラッチ10が完全に切断されクラッチトルクTが0となる点であって、且つクラッチ10が継合を開始する(クラッチトルクTが0から正の値へと変化する)実タッチ点に対応する制御用タッチ点Stc0から、クラッチ10が完全に継合されクラッチトルクTが最大クラッチトルクTCMAXとなる点StcxまでのクラッチトルクTとクラッチストローク(アクチュエータストローク)Stcとの関係で表される。
実線Aのようなクラッチトルクマップは、ストロークセンサ22a等の検出誤差、クラッチ10に係る各要素の経年劣化、及びクラッチ10の過熱等に起因して、当該クラッチトルクマップとクラッチ10の実際の特性(実クラッチトルク特性)との間にずれが生じるたびに、当該ずれを解消して変速ショックやドライバビリティを向上させるべく、常に実クラッチトルク特性に追従する最新のクラッチトルクマップに補正(更新)される。このように、クラッチトルクマップを常に実クラッチトルク特性に追従する最新のものに更新する方法として、タッチ点学習制御及びクラッチトルクマップ学習制御が存在するが、アクチュエータ制御部50はこれら両方の制御を実行する。
前述のとおり、アクチュエータストロークはクラッチストローク(クラッチ開度)に対応し、両者は常に同一であるとみなして、制御用のクラッチトルクマップは生成される。一方、実クラッチトルク特性は、制御用のクラッチトルクマップに基づいて作動するアクチュエータ20(アクチュエータストローク)に対する実際のクラッチトルクを実測して算出される。したがって、クラッチ10の過熱等に起因して、制御用のクラッチトルクマップと実クラッチトルク特性との間にずれが生じうる。なお、このようなずれの要因は、実際のところ、クラッチ10の過熱等に起因する、クラッチ10におけるプレッシャープレート13の押圧力の変化と捉えられ、アクチュエータストロークとクラッチストロークとの間でずれが発生するとみなすことができる。従って、例えば、クラッチストロークと対応するクラッチトルクとの関係を基に制御用のクラッチトルクマップを生成し、アクチュエータストロークと対応するクラッチトルクとの関係を基に実クラッチトルク特性を生成するように、アクチュエータ制御部50を構成してもよい。
アクチュエータ制御部50は、上記タッチ点学習制御及び上記クラッチトルクマップ学習制御を実行するべく、図1に示すように、主に、制御用タッチ点検出部51、タッチ点異常変化判断部52、タッチ点学習部53、クラッチトルクマップ学習部54、及び制御用クラッチトルクマップ更新部55を含む。また、アクチュエータ制御部50は、ハードウェアとして、例えば、様々なプログラム及びデータを記憶するメインメモリ及び外部メモリ等を含むメモリ56、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(図示せず)、ストロークセンサ22a、変速機センサ42、及びエンジン制御部30等と通信する通信インターフェース(図示せず)、車両の運転者が様々な情報(例えば、要求ギヤ段等)を入力するためのユーザーインターフェース(図示せず)、等も含む。なお、メモリ56は、制御用クラッチトルクマップ更新部55など、他の構成要素内に設けられてもよい。
1−3−1.タッチ点学習制御
まず、エンジン制御部30や変速機4に設けられる変速機センサ42等から受信される車両に係る種々の運転情報に基づいて、アクチュエータ制御部50におけるタッチ点異常変化判断部52が、クラッチトルクマップにおける制御用タッチ点と実クラッチトルク特性における実タッチ点との間にずれが生じたと判定する場合に種々の制御が実行される。なお、タッチ点異常変化判断部52は、エンジン30から受信するエンジン回転数と、変速機センサ42から受信する変速機の回転数とを比較することでクラッチトルクTとクラッチストロークStcとの関係を監視しており、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違するか否かを判定する。
なお、タッチ点異常変化判断部52が、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違するか否かを迅速に判定するための手段として、クラッチ10(摩擦材11)が所定温度以上である場合には、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定するように設定してもよい。一般的に、クラッチ10が過熱状態となると、クラッチ10(特に、摩擦材11)に大きな特性変化が生じることが知られていることから、タッチ点異常変化判断部52による判定方法を前文のとおり設定することができる。
そして、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違するとタッチ点異常変化判断部52が判定すると、当該判定をトリガーにして、アクチュエータ制御部50によるタッチ点学習制御が実行される。まず、タッチ点学習部53は、変速機4をニュートラル状態に維持した上で、上記のずれが生じた後の実クラッチトルク特性における実タッチ点に対応する最新の制御用タッチ点の検出を実行するよう制御用タッチ点検出部51に対して指令する。タッチ点学習部53の当該指令に基づいて、制御用タッチ点検出部51は、ストロークセンサ22aにより検出されるアクチュエータストロークの中から、クラッチ10が完全に切断されている切断状態であって、クラッチトルクが0となる点であって、且つクラッチ10が継合を開始する実タッチ点に対応する最新の制御用タッチ点を検出する。
その後、制御用タッチ点検出部51によって、実タッチ点に対応する最新の制御用タッチ点が検出されると、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違するとタッチ点異常変化判断部52が判定する前の時点のクラッチトルクマップをベースにして(参照して)、最新の制御用タッチ点とクラッチトルクTが最大クラッチトルクTCMAXとなる点Stcxまでの新たなクラッチトルクマップ(制御用クラッチトルクマップ)が、制御用クラッチトルクマップ更新部55にて生成及び更新される。このように、制御用クラッチトルクマップは、一実施形態に係るクラッチ制御装置1(アクチュエータ制御部50)においては制御用クラッチトルクマップ更新部55にて生成されるが、これに限定されず、例えば、クラッチトルクマップ学習部54にて生成及び更新されてもよい。
以上のタッチ点学習制御を、図3を参照しつつさらに説明する。図3の点線A’に係る実クラッチトルク特性の実タッチ点と、図3の実線Aに係るクラッチトルクマップの制御用タッチ点との間にずれが生じた場合(実際には、クラッチ10が所定温度以上となった場合)、タッチ点異常変化判断部52は、制御用タッチ点Stc0が実タッチ点Stc0’に対して所定値以上相違すると判定する。その後、上記のとおり、タッチ点学習部53の指令に基づいて、制御用タッチ点検出部51は、実タッチ点Stc0’に対応する最新の制御用タッチ点Stc0’を検出する。そして、制御用クラッチトルクマップ更新部55は、実線Aを参照しつつ(便宜上、本段落の説明においては、クラッチトルクマップ学習制御が実行されていないことを前提とする)、最新の制御用タッチ点Stc0’からクラッチトルクTが最大クラッチトルクTCMAXとなる点Stcxまでの新たなクラッチトルクマップ(制御用クラッチトルクマップ)としての三点破線Cを生成し、これを最新の制御用クラッチトルクマップであるとして更新する。なお、三点破線Cは、実線Aを比例計算して得られるものであって、端的にいえば、実線Aを横軸(クラッチストローク)において「Stcx−Stc0’/Stcx−Stc0」倍縮小して得られるものである。
なお、後述するとおり、タッチ点学習制御とクラッチトルクマップ学習制御が併存する場合、クラッチトルクマップ学習制御が先んじて実行されるため、制御用クラッチトルクマップ更新部55が三点破線Cを生成する際に参照すべきクラッチトルクマップは、本来的にはクラッチトルクマップ学習制御によって得られる最新クラッチトルクマップ(図3の一点破線B)とすべきであるが、一点破線Bを参照してしまうと、後述の問題が発生する可能性がある点に留意する必要がある。
その他、タッチ点学習制御の詳細は、特許文献1等に開示されており周知であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
ここで、タッチ点学習制御、特に一連の上記タッチ点学習制御のうち制御用タッチ点検出部51による実タッチ点に対応する制御用タッチ点の検出動作は、基本的にエンジン3及び変速機4が所定条件を満たす状態においてのみ実行される。当該所定条件とは、一般的に、エンジン3の始動時であって、エンジン3が所定水温以下であり、クラッチ10(摩擦材11)の温度が所定温度以下である場合を指す。この条件が満たされる場合に、タッチ点学習制御は、変速機4をニュートラル状態にした上で実行される。なお、タッチ点学習制御の頻度を増加させるために、特許文献1に開示されるような強制タッチ点学習制御をアクチュエータ制御部50に導入してもよい。
1−3−2.クラッチトルクマップ学習制御
クラッチトルクマップ学習制御とは、直前に生成されたクラッチトルクマップと実クラッチトルク特性とを常に比較参照して、両者間の特性に相違があれば、都度、最新のクラッチトルクマップを学習する制御であり、アクチュエータ制御部50におけるクラッチトルクマップ学習部54によって実行される。つまり、クラッチトルクマップ学習制御は基本的に高い頻度(例えば、エンジン暖気時や発進動作時等)で作動する制御であるといえる。
図4を参照しつつ、クラッチトルクマップ学習制御についてさらに説明する。まず、図4の点線A’に係る実クラッチトルク特性と、図4の実線Aに係るクラッチトルクマップとが相違する場合、クラッチトルクマップ学習部54は、実線Aに係るクラッチトルクマップを点線A’に係る実クラッチトルク特性に近づけるべく、クラッチストロークStc0からStcxまでの多数の任意のクラッチストロークStciにおける実線AのクラッチトルクTCiの値に所定の補正係数(図4の場合においては、補正係数は1未満であって、この補正係数を反映率ともいう。)を乗じて、クラッチストロークStciにおける点線A’上のクラッチトルクTCi’の値に近づくよう補正する。このような補正処理を多数回繰返す(つまり、直前に生成されたクラッチトルクマップと実クラッチトルク特性との比較参照処理を繰り返す)ことで、実線Aは次第に点線A’に近づいていき、最終的には一点破線Bのような曲線となって点線A’に収束する。なお、上記の補正係数の算出方法を含めたクラッチトルクマップ学習制御の詳細は、特許文献2等に開示されており周知であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
ところで、クラッチトルクマップ学習制御は、前述のとおり、直前に生成されたクラッチトルクマップと実クラッチトルク特性との間に相違が生じれば、都度実行される制御である。したがって、前述にて説明したタッチ点学習制御とは無関係に独立して実行される。したがって、クラッチトルクマップ学習制御が実行される場面としては、タッチ点異常変化判断部52が、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定する場合と、タッチ点異常変化判断部52が、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定していない場合と、に分類される。後者の場合(仮に、通常時という。)においては、クラッチトルクマップ学習制御は、前述のとおり実行されればよい。他方、前者の場合(仮に、異常時という。)は、前に生成されたクラッチトルクマップと実クラッチトルク特性との間にも大きな相違が生じている異常時と想定されることから、学習されて得られる最新クラッチトルクマップが、直前に学習されたクラッチトルクマップに対して所定の学習範囲内(補正処理範囲内)に収まるように制御するいわゆるガード制御を、少なくとも所定期間(つまり、異常時においては)禁止することが好ましい。これにより、クラッチトルクマップ学習制御による最新のクラッチトルクマップを実クラッチトルク特性に迅速に収束させることが可能となる。
さらに、前者の場合においては、直前に生成されたクラッチトルクマップ及び実クラッチトルク特性を比較参照する際に、実クラッチトルク特性の反映率を上昇させておくことが好ましい。これにより、クラッチトルクマップ学習制御による最新のクラッチトルクマップを実クラッチトルク特性にさらに迅速に収束させることが可能となる。
1−3−3.タッチ点学習制御及びクラッチトルクマップ学習制御の協調
次に、上記のとおり説明したタッチ点学習制御とクラッチトルクマップ学習制御の協調について説明する。
前述のとおり、タッチ点学習制御は、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違するとタッチ点異常変化判断部52が判定することをトリガーにする一方、クラッチトルクマップ学習制御は、基本的に、都度(常に)実行されている。したがって、タッチ点異常変化判断部52による当該判定のタイミング次第ではあるが、通常、クラッチトルクマップ学習制御が実行された後に、タッチ点学習制御が実行されることとなる。つまり、例えば、変速機4がニュートラル状態にないとき(又は、変速機4が任意のギヤ段に噛合し、且つ運転者が加速意思を有している状況下等、強制タッチ点学習制御によっても、変速機4をニュートラル状態へと遷移させることが不可能な状態のとき等)にタッチ点異常変化判断部52による当該判定がなされると、少なくとも、制御用タッチ点検出部51による実タッチ点に対応する制御用タッチ点の検出動作がなされず、タッチ点学習制御は実行されないが、クラッチトルクマップ学習制御は通常どおり実行されている。その後、上記の所定条件が満たされた場合、又は強制タッチ点学習制御によって、変速機4をニュートラル状態に維持できる場面で、遅れてタッチ点学習制御が実行されることとなる。
このように、クラッチトルクマップ学習制御が先に実行され、その後にタッチ点学習制御が実行される場合、両制御を適切に協調させることを怠ると、変速ショックやドライバビリティが逆に悪化してしまう。この問題について、図2乃至図4を参照しつつさらに説明する。
まず、図2の点線A’に係る実クラッチトルク特性が、図2の実線Aに係るクラッチトルクマップに対してずれを生じた場合、前述のとおり、クラッチトルクマップ学習制御が実行される。一方、タッチ点異常変化判断部52は、制御用タッチ点Stc0が実タッチ点Stc0’に対して所定値以上相違すると判定する。そして、かかるタッチ点異常変化判断部52による当該判定時に、上記所定条件が満たされない場合、タッチ点学習制御が直ぐには実行されない。したがって、クラッチトルクマップ学習制御がタッチ点学習制御に先んじて実行されることとなる。
そして、クラッチトルクマップ学習制御によって、実線Aに係るクラッチトルクマップが、次第に点線A’に係る実クラッチトルク特性に近づいていく途中であって、図4に示すような一点破線Bのような曲線にまでクラッチトルクマップ学習(補正処理)が進行しておらず、図2における一点破線Bを最新クラッチトルクマップとする学習結果しか得られていない時点で、タッチ点学習制御が実行される場合が想定される。この場合、タッチ点学習制御において、タッチ点学習部53の指令に基づいて、制御用タッチ点検出部51は、実タッチ点Stc0’に対応する最新の制御用タッチ点Stc0’を検出する。ここで、特段の制御(タッチ点学習制御とクラッチトルクマップ学習制御との協調制御)がない限り、制御用クラッチトルクマップ更新部55は、実線Aでなく最新クラッチトルクマップである図2の一点破線Bを参照しつつ、最新の制御用タッチ点Stc0’からクラッチトルクTが最大クラッチトルクTCMAXとなる点Stcxまでの新たなクラッチトルクマップC(図2における二点破線)を生成してしまう。なお、新たなクラッチトルクマップCは、最新クラッチトルクマップである一点破線Bを比例計算して得られるものであって、一点破線Bを横軸(クラッチストローク)において「Stcx−Stc0’/Stcx−Stc0」倍縮小して得られるものである。
このように生成された新たなクラッチトルクマップCは、図2に示すように、実クラッチトルク特性A’に対して大きくずれてしまい、変速ショックやドライバビリティが逆に悪化してしまうため最新の制御用クラッチトルクマップとして利用することはできない。
したがって、上記のような事態の発生を防止するため、アクチュエータ制御部50における制御用クラッチトルクマップ更新部55では、特別な協調制御がなされている。
具体的には、制御用クラッチトルクマップ更新部55は、タッチ点学習部53の指令に基づいて制御用タッチ点検出部51によって最新の制御用タッチ点の検出が実行される時点(つまり、上記のとおり、タッチ点学習制御が実行される時点であって、以後「第1時点」という。)において、クラッチトルクマップ学習制御に基づいて学習された(クラッチトルクマップ学習部54によって学習された)最新クラッチトルクマップが、実クラッチトルク特性に収束しているか否かを判定する。
ここで、当該最新クラッチトルクマップが、実クラッチトルク特性に収束していると制御用クラッチトルクマップ更新部55によって判定される場合には、制御用クラッチトルクマップ更新部55は、当該最新クラッチトルクマップにおいて、タッチ点学習制御の結果として検出された最新の制御用タッチ点を反映した上で、最新の制御用タッチ点を除くクラッチトルクが0となる部分を削除するいわゆるゼロ点カット処理を施して、最新の制御用クラッチトルクマップを生成してこれを更新する。なお、更新された最新の制御用クラッチトルクマップはメモリ56に保存されて、一連の制御処理は終了する。
このような場合としては、タッチ点学習部53の指令に基づいて制御用タッチ点検出部51によって最新の制御用タッチ点の検出が実行される第1時点において、図4に示すように、最新クラッチトルクマップが、図4における一点破線Bにまで補正処理されて、当該一点破線Bが実クラッチトルク特性に係る点線A’に収束している場合をいう。なお、一点破線Bの制御用タッチ点は未だStc0と認識されているため、一点破線B上で、タッチ点学習制御の結果として検出された最新の制御用タッチ点を反映し(最新の制御用タッチ点がStc0’となるよう再設定し)、クラッチトルクTが0となる部分(アクチュエータトルクStc0からStc0’未満までの部分)をカット(ゼロ点カット)して、最新の制御用クラッチトルクマップ生成及び更新される。
なお、前述の最新クラッチトルクマップが、実クラッチトルク特性に収束しているか否かの判定は、例えば、クラッチトルクマップ学習制御に基づく繰返しの補正処理の結果、最新クラッチトルクマップと、所定回数前に補正処理されて得られたクラッチトルクマップとの差(任意のクラッチストロークStciにおけるクラッチトルクTCiの値の差)が所定値以下になった場合に収束していると判定させることができる。
他方、前述の最新クラッチトルクマップが、実クラッチトルク特性に収束していないと判定される場合について、図3を参照しつつ説明する。この場合として、図3に示すように、最新クラッチトルクマップが、図3における一点破線Bまでしか補正処理されておらず、当該一点破線Bが実クラッチトルク特性に係る点線A’に収束していない場合をいう。この場合、図2を基に説明したような問題が生じてしまうことを防止するため、制御用クラッチトルクマップ更新部55は、当該一点破線Bを消去(破棄)する。その上で、クラッチトルクマップ学習制御に基づいて学習される前であって、タッチ点異常変化判断部51によって制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された時点(クラッチトルクマップ学習部54によって学習される前であって、タッチ点異常変化判断部52によって、制御用タッチ点Stc0が実タッチ点Stc0’に対して所定値以上相違すると判定された時点であって、以後「第2時点」という。)のクラッチトルクマップ(図3における実線A)を基にして(参照して)、制御用クラッチトルクマップが生成される。
これにより、タッチ点学習部53の指令に基づいて、制御用タッチ点検出部51によって最新の制御用タッチ点Stc0’を検出した上で、当該最新の制御用タッチ点Stc0’を基準にして、前述のとおり、新たな制御用クラッチトルクマップとしての三点破線Cを生成して更新し、これをメモリ56に保存して、制御処理を終了する。
2.アクチュエータ制御部により実行される制御プロセス
次に、アクチュエータ制御部50によって実行される前述の一連の制御のプロセスフローについて、図5を参照しつつ再度説明する。図5は、一実施形態に係るアクチュエータ制御部50により実行される制御プロセスを示すフローチャートである。
まず、タッチ点異常変化判断部52によって、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違するか否かについて判定される(図5におけるステップS1)。なお、当該ステップS1は、クラッチ10(摩擦材11)が所定温度以上であるか否かを判定するように置き換えてもよい。
ステップS1において、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違しない場合には制御を終了する。一方、制御用タッチ点が実タッチ点に対して所定値以上相違する場合は、タッチ点学習制御が実行可能であるかどうかを判定するため、エンジン3の始動時であって、エンジン3が所定水温以下であり、クラッチ10(摩擦材11)の温度が所定温度以下であって、且つ変速機4がニュートラルであるか否かが判定される(図5におけるステップS2)。ステップS2において、上記全ての条件のうち少なくとも1つが満たされない場合(強制タッチ点学習制御が実行される場合においては、変速機4がニュートラルであるか否かに係る条件以外の3つの条件のうち少なくとも1つが満たされない場合)には、タッチ点学習制御は実行されない。なお、この場合においても、クラッチトルクマップ学習制御は、前述のとおり実行されるが、この際、前述のとおり、ガード制御が所定期間禁止されるのと同時に、実クラッチトルク特性の反映率が通常時より上昇するよう制御される(ステップS3)。ステップS3にかかるクラッチトルクマップ学習制御は、ステップS2に係る全ての条件が満たされるまで(強制タッチ点学習制御が実行される場合においては、変速機4がニュートラルであるか否かに係る条件以外の3つの条件全てが満たされるまで)繰返し実行される。
次に、ステップS2において、上記全ての条件が満たされると、変速機4をニュートラル状態に維持して、前述のタッチ点学習制御が実行される(ステップS4)。
そして、ステップS4にてタッチ点学習制御が実行される第1時点で、クラッチトルクマップ学習制御によって生成された最新クラッチトルクマップが実クラッチトルク特性に収束しているか否かが判定される(ステップS5)。
ステップS5において、クラッチトルクマップ学習制御によって生成された最新クラッチトルクマップが実クラッチトルク特性に収束していると判定される場合には、前述のとおり、タッチ点学習制御の結果として検出された最新の制御用タッチ点を反映し、且つ当該最新クラッチトルクマップをゼロ点カット処理した上で最新の制御用クラッチトルクマップを生成及び更新し、これをメモリ56に保存して制御を終了する(ステップS6)。
他方、ステップS5において、クラッチトルクマップ学習制御によって生成された最新クラッチトルクマップが実クラッチトルク特性に収束していないと判定される場合には、前述のとおり、ステップS1時点(第2時点)のクラッチトルクマップを基準に、タッチ点学習制御によって検出された最新の制御用タッチ点を反映して、最新の制御用クラッチトルクマップを生成及び更新し、これをメモリ56に保存して制御を終了する(ステップS7)。
以上、前述のとおり、一実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。また、各構成や、配置順、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数等は適宜変更して実施することができる。特に、一実施形態においては、アクチュエータ制御部50内における制御用タッチ点検出部51、タッチ点異常変化判断部52、タッチ点学習部53、クラッチトルクマップ学習部54、及び制御用クラッチトルクマップ更新部55が設けられるが、これに限定されず、アクチュエータ制御部50が、これら全ての要素の機能を有する限りにおいて、アクチュエータ制御部50内の構成を適宜変更して実施することができる。
1 クラッチ制御装置
3 エンジン
4 変速機
10 クラッチ
11 摩擦材
12 クラッチディスク(出力部材)
17 フライホイール(入力部材)
20 アクチュエータ
22a ストロークセンサ(ストローク検出部)
30 エンジン制御部
50 アクチュエータ制御部
51 制御用タッチ点検出部
52 タッチ点異常変化判断部
53 タッチ点学習部
54 クラッチトルクマップ学習部
55 制御用クラッチトルクマップ更新部
A,B,B,B,C,C クラッチトルクマップ
A’ 実クラッチトルク特性

Claims (5)

  1. エンジンと変速機との間のトルク伝達経路上に設けられ、前記エンジンの駆動軸に連結される入力部材と、前記変速機へトルクを出力する出力部材と、を備えるクラッチと、
    前記クラッチを作動させて、前記入力部材から前記出力部材に伝達されるクラッチトルクを可変させるアクチュエータと、
    前記アクチュエータの動作を制御するアクチュエータ制御部と、
    前記クラッチのクラッチストロークに対応するアクチュエータストロークを検出するストローク検出部と、
    を具備し、
    前記アクチュエータ制御部は、
    前記ストローク検出部により検出される前記アクチュエータストロークにおいて、前記クラッチが切断され前記クラッチトルクが0となる点であって、且つ前記クラッチが継合を開始する実タッチ点に対応する制御用タッチ点を検出する制御用タッチ点検出部と、
    前記制御用タッチ点が、前記実タッチ点に対して所定値以上相違するか否かを判定するタッチ点異常変化判断部と、
    前記タッチ点異常変化判断部によって、前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された場合に、前記変速機をニュートラル状態にして、最新の前記制御用タッチ点の検出を実行させるよう前記制御用タッチ点検出部に指令するタッチ点学習部と、
    前記ストローク検出部により検出される前記アクチュエータストロークと前記クラッチトルクとの関係を表す制御用の最新のクラッチトルクマップを、直前に生成された前記クラッチトルクマップ及び実クラッチトルク特性を比較参照して学習するクラッチトルクマップ学習部と、
    前記タッチ点異常変化判断部によって、前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された場合に、前記タッチ点学習部の指令に基づき前記制御用タッチ点検出部によって最新の前記制御用タッチ点の検出が実行される第1時点で、前記クラッチトルクマップ学習部によって学習された最新クラッチトルクマップが、前記第1時点の前記実クラッチトルク特性に既に収束していると判定される場合には、前記最新クラッチトルクマップにおいて、最新の前記制御用タッチ点の検出結果を反映し、且つ最新の前記制御用タッチ点を除く前記クラッチトルクが0となる部分を削除して制御用クラッチトルクマップを更新する、制御用クラッチトルクマップ更新部と、
    をさらに有する、クラッチ制御装置。
  2. 前記制御用クラッチトルクマップ更新部は、さらに、前記タッチ点異常変化判断部によって、前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された場合に、前記第1時点で、前記クラッチトルクマップ学習部によって学習された前記最新クラッチトルクマップが、前記第1時点の前記実クラッチトルク特性に収束していないと判定される場合には、前記最新クラッチトルクマップを消去した上で、前記クラッチトルクマップ学習部によって学習される前であって前記タッチ点異常変化判断部によって前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された第2時点の前記クラッチトルクマップを参照しつつ、前記制御用タッチ点検出部によって検出された最新の前記制御用タッチ点を基準に、参照された前記第2時点の前記クラッチトルクマップを比例計算して前記制御用クラッチトルクマップを更新する、請求項1に記載のクラッチ制御装置。
  3. 前記クラッチトルクマップ学習部は、前記タッチ点異常変化判断部によって、前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された場合には、学習された前記最新クラッチトルクマップが直前に学習された前記クラッチトルクマップに対して所定の補正処理範囲内に収まるように制御するガード制御を少なくとも所定期間禁止する、請求項1又は2に記載のクラッチ制御装置。
  4. 前記クラッチトルクマップ学習部は、前記タッチ点異常変化判断部によって、前記制御用タッチ点が前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定された場合には、直前に生成された前記クラッチトルクマップ及び実クラッチトルク特性を比較参照する際に、実クラッチトルク特性の反映率を上昇させる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のクラッチ制御装置。
  5. 前記タッチ点異常変化判断部は、前記クラッチが所定温度以上である場合に、前記制御用タッチ点が、前記実タッチ点に対して所定値以上相違すると判定する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のクラッチ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022064399A (ja) * 2020-10-14 2022-04-26 京楽産業.株式会社 遊技機

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