JP2020169919A - 励磁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】励磁回路に供給される励磁用電源の電源電圧が低下するものとしても、励磁回路に適正な励磁信号を生成させる。【解決手段】励磁装置は、回転角度検出装置のセンサ部に設けられる励磁コイルに正弦波状の励磁信号を出力し、励磁回路と、励磁用電源と、制御部と、を備える。励磁回路は、励磁用電源により動作し、正弦波状の励磁源信号を増幅して励磁信号を生成する増幅部と、増幅部から出力された励磁信号を増幅部の入力側に帰還させる帰還ラインと、帰還ラインに設けられたインピーダンス部と、を有する。インピーダンス部は、励磁源信号の周波数によってインピーダンスが変化する。そして、制御部は、励磁用電源の電源電圧を監視し、電源電圧が低い場合には高い場合に比して励磁回路において中心電圧が低くなる励磁信号が生成されるように、振幅および周波数の少なくとも一方と中心電圧とを調整した励磁源信号を生成して増幅部へ出力する。【選択図】図3
Description
本発明は、励磁装置に関する。
従来、モータの回転角を検出する回転角検出センサとしてのレゾルバを制御するレゾルバ制御装置において、正弦波のレゾルバ励磁信号を出力するレゾルバ励磁信号出力部を有するマイコンと、レゾルバ励磁信号出力部から出力された励磁信号を増幅して励磁コイルへ出力する増幅部と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。マイコンは、レゾルバ励磁信号出力部から出力する励磁信号の振幅を変更する励磁信号切替部を更に有する。増幅部は、オペアンプOP1,抵抗r4(入力抵抗),抵抗r5,抵抗r6(帰還抵抗)とを有し、レゾルバ励磁信号出力部から出力された励磁信号を、抵抗r6の抵抗値に比例した増幅率で増幅する。レゾルバ制御装置では、モータを駆動するインバータがシャットダウンされたときに、励磁信号切替部によって、レゾルバ励磁信号出力部から出力する励磁信号の振幅を減少させる変更を行なう。インバータがシャットダウンされるとスイッチング素子のスイッチングノイズがなくなるため、励磁コイルに印加される励磁信号の振幅を小さくすることにより、SN比を悪化させることなく、励磁コイルによる消費電力の低減を図ることができる、としている。
しかしながら、インバータのシャットダウン時だけでなく、システムの状態に応じて励磁コイルへの励磁を継続したいときに対応することができない場合がある。例えば励磁回路の電源が故障等して電源電圧が低下したとき、励磁信号の中心電圧が高いままだと、励磁信号の振幅を減少させても、電源電圧の範囲内で励磁信号を生成することができない場合があり、励磁コイルへの励磁を継続することができないおそれがある。
本発明の励磁装置は、励磁回路に供給される励磁用電源の電源電圧が低下するものとしても、励磁回路に適正な励磁信号を生成させることのできる励磁装置を提供することを主目的とする。
本発明の励磁装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の励磁装置は、
回転角度検出装置のセンサ部に設けられる励磁コイルに正弦波状の励磁信号を出力する励磁装置であって、
正弦波状の励磁源信号を増幅して前記励磁信号を生成する増幅部と、該増幅部から出力された励磁信号を該増幅部の入力側に帰還させる帰還ラインと、前記帰還ラインに設けられ前記励磁源信号の周波数によってインピーダンスが変化するインピーダンス部と、を有する励磁回路と、
前記励磁回路に電源を供給する励磁用電源と、
前記励磁用電源の電源電圧を監視し、前記電源電圧が低い場合には高い場合に比して前記励磁回路において中心電圧が低くなる前記励磁信号が生成されるように、振幅および周波数の少なくとも一方と中心電圧とを調整した前記励磁源信号を生成して前記増幅部へ出力する制御部と、
を備えることを要旨とする。
回転角度検出装置のセンサ部に設けられる励磁コイルに正弦波状の励磁信号を出力する励磁装置であって、
正弦波状の励磁源信号を増幅して前記励磁信号を生成する増幅部と、該増幅部から出力された励磁信号を該増幅部の入力側に帰還させる帰還ラインと、前記帰還ラインに設けられ前記励磁源信号の周波数によってインピーダンスが変化するインピーダンス部と、を有する励磁回路と、
前記励磁回路に電源を供給する励磁用電源と、
前記励磁用電源の電源電圧を監視し、前記電源電圧が低い場合には高い場合に比して前記励磁回路において中心電圧が低くなる前記励磁信号が生成されるように、振幅および周波数の少なくとも一方と中心電圧とを調整した前記励磁源信号を生成して前記増幅部へ出力する制御部と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の励磁装置は、回転角度検出装置のセンサ部に設けられる励磁コイルに正弦波状の励磁信号を出力するものであり、励磁回路と、励磁用電源と、制御部と、を備える。励磁回路は、励磁用電源により動作し、正弦波状の励磁源信号を増幅して励磁信号を生成する増幅部と、増幅部から出力された励磁信号を増幅部の入力側に帰還させる帰還ラインと、帰還ラインに設けられたインピーダンス部と、を有する。インピーダンス部は、励磁源信号の周波数によってインピーダンスが変化するものであり、例えば、互いに並列に接続される抵抗およびコンデンサにより構成されてもよい。そして、制御部は、励磁用電源の電源電圧を監視し、電源電圧が低い場合には高い場合に比して励磁回路において中心電圧が低くなる励磁信号が生成されるように、振幅および周波数の少なくとも一方と中心電圧とを調整した励磁源信号を生成して増幅部へ出力する。帰還ラインにインピーダンス部を備えた励磁回路において生成される励磁信号の中心電圧は、電源電圧と励磁源信号の中心電圧とに依存し、電源電圧を監視しつつ、励磁源信号の中心電圧を調整することにより、励磁信号の中心電圧を調整することができる。また、励磁源信号の振幅および周波数の少なくとも一方を調整することにより、励磁信号の振幅を調整することができる。これにより、励磁用電源の故障などにより電源電圧が低下しても、電源電圧の範囲内で励磁回路に適正な励磁信号を生成させることができ、回転角度検出装置による回転角度の検出を良好に行なうことができる。
また、本発明の第2の励磁装置は、
回転角度検出装置のセンサ部に設けられる励磁コイルに励磁信号を出力する励磁装置であって、
正弦波状の励磁源信号を増幅して前記励磁信号を生成する増幅部と、該増幅部から出力された励磁信号を該増幅部の入力側に帰還させる帰還ラインと、前記増幅部の2つの入力端子に接続された2つの入力ラインのうち一方の入力ラインに設けられ前記励磁源信号の周波数によってインピーダンスが変化するインピーダンス部と、を有する励磁回路と、
前記励磁回路に電源を供給する励磁用電源と、
前記励磁用電源の電源電圧を監視し、前記電源電圧が低い場合には高い場合に比して前記励磁回路において中心電圧が低くなる前記励磁信号が生成されるように、前記2つの入力ラインのうち他方の入力ラインに調整した電圧を印加すると共に振幅および周波数の少なくとも一方を調整した前記励磁源信号を前記増幅部の前記一方の入力ラインへ出力する制御部と、
を備えることを要旨とする。
回転角度検出装置のセンサ部に設けられる励磁コイルに励磁信号を出力する励磁装置であって、
正弦波状の励磁源信号を増幅して前記励磁信号を生成する増幅部と、該増幅部から出力された励磁信号を該増幅部の入力側に帰還させる帰還ラインと、前記増幅部の2つの入力端子に接続された2つの入力ラインのうち一方の入力ラインに設けられ前記励磁源信号の周波数によってインピーダンスが変化するインピーダンス部と、を有する励磁回路と、
前記励磁回路に電源を供給する励磁用電源と、
前記励磁用電源の電源電圧を監視し、前記電源電圧が低い場合には高い場合に比して前記励磁回路において中心電圧が低くなる前記励磁信号が生成されるように、前記2つの入力ラインのうち他方の入力ラインに調整した電圧を印加すると共に振幅および周波数の少なくとも一方を調整した前記励磁源信号を前記増幅部の前記一方の入力ラインへ出力する制御部と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の励磁装置では、励磁回路は、励磁用電源により動作し、正弦波状の励磁源信号を増幅して励磁信号を生成する増幅部と、増幅部から出力された励磁信号を増幅部の入力側に帰還させる帰還ラインと、増幅部の2つの入力端子に接続された2つの入力ラインのうち一方の入力ラインに設けられたインピーダンス部と、を有する。インピーダンス部は、励磁源信号の周波数によってインピーダンスが変化するものであり、例えば、互いに直列に接続される抵抗およびコンデンサにより構成されてもよい。そして、制御部は、励磁用電源の電源電圧を監視し、電源電圧が低い場合には高い場合に比して励磁回路において中心電圧が低くなる励磁信号が生成されるように、2つの入力ラインのうち他方の入力ラインに調整した電圧を印加すると共に振幅および周波数の少なくとも一方を調整した励磁源信号を増幅部の一方の入力ラインへ出力する。増幅部の一方の入力ラインにインピーダンス部を備えた励磁回路において生成される励磁信号の中心電圧は、増幅部の他方の入力ラインに印加する電圧に依存し、当該他方の入力ラインに印加する電圧を調整することにより、励磁信号の中心電圧を調整することができる。また、増幅部の一方の入力ラインに出力する励磁源信号の振幅および周波数の少なくとも一方を調整することにより、励磁信号の振幅を調整することができる。これにより、励磁用電源の故障などにより電源電圧が低下しても、電源電圧の範囲内で励磁回路に適正な励磁信号を生成させることができ、回転角度検出装置による回転角度の検出を良好に行なうことができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
[第1実施例]
図1は、第1実施例の励磁装置を含む回転角度検出装置10の構成の概略を示す構成図である。図2は、励磁回路40を含む第1実施例の励磁装置の構成の概略を示す構成図である。回転角度検出装置10は、例えば電動車両に搭載される走行用のモータの回転角度を検出するための装置として構成されるものであり、レゾルバ11と、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)20と、を備える。
図1は、第1実施例の励磁装置を含む回転角度検出装置10の構成の概略を示す構成図である。図2は、励磁回路40を含む第1実施例の励磁装置の構成の概略を示す構成図である。回転角度検出装置10は、例えば電動車両に搭載される走行用のモータの回転角度を検出するための装置として構成されるものであり、レゾルバ11と、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)20と、を備える。
レゾルバ11は、図1に示すように、モータの回転軸と一体に回転する磁性体としてのロータ12と、励磁コイル14や電気的に90度ずれて(位相差が90度となるように)配置された2つの検出コイル15,16が内蔵された磁性体としてのステータ13と、を備える。励磁コイル14には、ECU20から励磁信号V1が印加される。2つの検出コイル15,16のうち一方の検出コイル15からは、楕円形状のロータ12の回転によって生じるロータ12とステータ13との間隙の変化に伴って振幅が正弦波状に変化する正弦波信号(SIN信号)を出力する。また、2つの検出コイル15,16のうち他方の検出コイル16からは、振幅が余弦波状に変化する余弦波信号(COS信号)を出力する。
ECU20は、図1に示すように、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という)30と、励磁回路40と、増幅回路60と、を備える。マイコン30は、全体の制御を司るCPU31や処理プログラムを記憶するROM32,入出力ポート他に、A/Dコンバータ33,D/Aコンバータ34,A/Dコンバータ35等を備える。CPU31は、ROM32とA/Dコンバータ33,35とD/Aコンバータ34とにバスを介して接続されている。A/Dコンバータ33には、2つの検出コイル15,16からの正弦波信号および余弦波信号が増幅回路60を介して入力される。入力された正弦波信号および余弦波信号は、A/Dコンバータ33により所定のサンプリング周波数でサンプリングされ、デジタルデータとしてCPU31に出力される。CPU31は、入力したデータに基づいてロータ12の回転角度を演算する。また、D/Aコンバータ34は、CPU31から指令値を入力すると共に、入力した指令値に基づいて正弦波状の励磁源信号V0を生成して励磁回路40へ出力する。A/Dコンバータ35には、励磁用電源50とグランドとに直列に接続される抵抗R3,R4の接続点の電圧が入力される。入力された電圧は、励磁用電源50の電源電圧VEXを監視するためのデータとしてA/Dコンバータ35によりA/D変換され、CPU31に出力される。
励磁回路40は、図2に示すように、オペアンプ41と、抵抗R0〜R6と、トランジスタTr1,Tr2と,コンデンサC0,C1と、を備え、励磁用電源50からの電源の供給を受けて動作する。なお、励磁用電源50は、例えば、電動車両に搭載する低圧バッテリ(例えば12Vバッテリ)を励磁に適した電圧(例えば30V)まで昇圧して各部へ供給するDC/DCコンバータとして構成される。オペアンプ41は、2つの入力端子と1つの出力端子とを有する。オペアンプ41の2つの入力端子のうち一方の入力端子である反転入力端子(V−)は、抵抗R0を介してD/Aコンバータ34の出力端子に接続されると共に抵抗R2を介してグランドに接続されている。オペアンプ41の他方の入力端子である非反転入力端子(V+)は、励磁用電源50に直列に接続された抵抗R3,R4の接続点に接続されると共にA/Dコンバータ35の入力端子に接続されている。また、オペアンプ41の出力端子には、抵抗R5,R6とトランジスタTr1,Tr2とを含むプッシュプル回路42が接続され、更にプッシュプル回路42と励磁コイル16との間には、コンデンサC2が接続されている。コンデンサC2は、励磁コイル14に出力される励磁信号V1の直流成分を除去するものである。また、プッシュプル回路42の出力端子とオペアンプ41の反転入力端子(V−)とは、帰還ラインで接続されており、当該帰還ラインには、互いに並列に接続された抵抗R1(帰還抵抗)およびコンデンサC1が設けられている。
ここで、第1実施例の励磁装置は、マイコン30と、励磁回路40と、が該当する。
次に、こうして構成された第1実施例の励磁装置の動作について説明する。特に、励磁用電源50が故障等してその電源電圧VEXが低下した場合の動作について説明する。図3は、マイコン30のCPU31により実行される励磁制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
励磁制御ルーチンが実行されると、励磁用電源50の電源電圧VEXを入力する(ステップS100)。続いて、入力した電源電圧VEXに基づいて励磁コイル14に出力する励磁信号V1(正弦波電圧)の目標振幅V1pp*および目標中心電圧V1c*を設定する(ステップS110)。この処理は、入力した電源電圧VEXの範囲内で上ピーク電圧と下ピーク電圧とを設定し、設定した上ピーク電圧と下ピーク電圧との偏差を目標振幅V1pp*に設定すると共に、設定した上ピーク電圧と下ピーク電圧との和を値2で割った値を目標中心電圧V1c*に設定することにより行なう。次に、設定した励磁信号V1の目標振幅V1pp*および目標中心電圧V1c*と入力した電源電圧VEXとに基づいて次式(1),(2)を用いて生成する励磁源信号V0の周波数指令f*と振幅指令V0pp*と中心電圧指令V0c*とを設定する(ステップS120)。ここで、式(1)または式(2)中、「C1」は、コンデンサC1の静電容量を示し、「R0」,「R1」,「R2」,「R3」,「R4」は、抵抗R0,R1,R2,R3,R4の抵抗値を示す。ステップS120の処理は、本実施例では、式(1),(2)の関係が成立する範囲内でできる限り周波数fが大きくなるように、周波数指令f*と振幅指令V0pp*と中心電圧指令V0c*とを設定することにより行なわれる。なお、式(1)からわかるように、励磁信号V1の目標振幅V1ppは振幅指令V0pp*および周波数指令f*のうちいずれか一方のみの調整により調整することができるから、振幅指令V0pp*および周波数指令f*の設定は、いずれか一方のみを設定するものであってもよい。励磁源信号V0と励磁源信号V0により生成される励磁信号V1の一例を図4に示す。以下、式(1)および式(2)の励磁信号V1の振幅V1ppおよび中心電圧V1cの導出の仕方について説明する。
励磁信号V1の振幅V1ppの導出
励磁信号V1の振幅V1ppは、交流ゲインを考えて、次式(3)により計算される。
励磁信号V1の振幅V1ppは、交流ゲインを考えて、次式(3)により計算される。
ここで、第1実施例の励磁回路40では、オペアンプ41の帰還ラインに抵抗R1とコンデンサC1とが並列に接続されているから、任意の周波数f[Hz]における抵抗値Z1は、コンデンサC1のインピーダンスがコンデンサC1の静電容量c[F]を用いて1/2πfcで計算されることを利用して、次式(4)により計算することができる。
式(3)に式(4)を代入すると、上記式(1)を得る。
励磁信号V1の中心電圧V1cの導出
オペアンプ41の2つの入力端子に作用する電圧(V+,V-)は、それぞれ次式(5)および式(6)で計算される。なお、式(6)は、図5に示す計算用の等価回路を用いて重ねの理により計算することができる。
オペアンプ41の2つの入力端子に作用する電圧(V+,V-)は、それぞれ次式(5)および式(6)で計算される。なお、式(6)は、図5に示す計算用の等価回路を用いて重ねの理により計算することができる。
オペアンプ41の効果によりV+=V-となるから、式(5)および式(6)から「V1c」について解けば、上記式(2)を得る。
上記式(1)により、励磁信号V1の振幅V1ppは、励磁源信号V0の周波数fが大きいほど小さくなると共に、励磁源信号V0の振幅V0ppが小さいほど小さくなることがわかる。すなわち、励磁信号V1の振幅V1ppは、励磁源信号V0の周波数fや振幅V0ppを設定することにより調整することができる。また、上記(2)により、励磁信号V1の中心電圧V1cは、電源電圧VEXが小さいほど小さくなると共に励磁源信号V0の中心電圧V0cが大きいほど小さくなることがわかる。すなわち、励磁信号V1の中心電圧V1cは、電源電圧VEXを監視しつつ、励磁源信号V0の中心電圧V0cを設定することにより調整することができる。このように、第1実施例では、マイコン30は、励磁用電源50の電源電圧VEXを監視し、電源電圧VEXの範囲内で励磁信号V1が生成されるように目標振幅V1pp*と目標中心電圧V1c*とを設定し、上記式(1)および式(2)の関係を満たすように振幅指令V0pp*,周波数指令f*および中心電圧指令V0c*を設定して励磁源信号V0を生成・出力することで、電源電圧VEXが低下しても適正な励磁信号(正弦波電圧)を励磁回路40に生成させてレゾルバ11へ出力させることができる。
こうして各指令値を設定すると、各指令値をD/Aコンバータ34に出力して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。各設定値を入力したD/Aコンバータ34は、周波数指令fと振幅指令V0ppと中心電圧指令V0cとにより定まる正弦波電圧を励磁源信号V0として生成し、生成した励磁源信号V0をオペアンプ41の入力端子V−に出力する。
ここで、レゾルバ11の任意の周波数fにおける負荷は、レゾルバ11のインダクタンス成分をLRESとし、抵抗成分をRRESとすると、RRES+2πfLRESで表すことができる。そして、この負荷で消費される電力WRESは、励磁信号V1の振幅V1ppの実効値V1pp_RMSを用いて次式(7)により計算することができる。周波数fが大きいほど、上記式(1)より振幅V1ppが小さくなると共に、レゾルバ11の負荷も大きくなるため、式(7)により電力WRESが小さくなる。したがって、励磁源信号V0の周波数fを大きくすることで、レゾルバ11の消費電力を低減することができる。ステップS120において、式(1),(2)の関係が成立する範囲内でできる限り周波数fが大きくなるように周波数指令f*と振幅指令V0pp*と中心電圧指令V0c*とを設定するのは、こうした理由に基づく。
図6は、電源電圧VEXが低下した場合における比較例の励磁源信号V0とその励磁源信号V0により生成される励磁信号V1とを示す説明図であり、図7は、電源電圧VEXが低下した場合における第1実施例の励磁源信号V0とその励磁源信号V0により生成される励磁信号V1とを示す説明図である。いま、励磁用電源50に異常が生じて、電源電圧VEXが低下した場合を考える。比較例では、図6に示すように、励磁源信号V0の振幅V0cを小さくすることで、励磁信号V1の振幅V1ppも小さくなるものの、振幅V0cを小さくするだけでは励磁信号V1の中心電圧V1cは変わらないため、電源電圧VEXの範囲内で適正な励磁信号V1を生成することができない。これに対して、本実施例では、励磁源信号V0の振幅V0cを小さくするのに加えて、励磁源信号V0の中心電圧V0cを大きくすることにより、上記式(2)より励磁信号V1の中心電圧V1cを低下させることができ、図7に示すように、電源電圧VEXの範囲内で適正な励磁信号V1を生成することができる。
以上説明した第1実施例の励磁装置では、オペアンプ41の帰還ラインに対して互いに並列接続される抵抗R1およびコンデンサC1(インピーダンス部Z1)を設け、励磁用電源50の電源電圧VEXを監視しながら、励磁回路40において電源電圧VEXの範囲内で励磁信号V1が生成されるように、すなわち電源電圧VEXが低い場合には高い場合に比して励磁源信号V0の中心電圧V0cが低くなるように、励磁源信号V0の振幅V0ppと周波数fと中心電圧V0cとを調整する。励磁回路40に供給される励磁用電源50の電源電圧VEXが低下するものとしても、励磁回路40に適正な励磁信号を生成させることができ、レゾルバ10への励磁を継続して行なうことができる。
第1実施例では、D/Aコンバータ34およびA/Dコンバータ35は、マイコン30に内蔵されるものとしたが、マイコン30とは別に設けられてもよい。
[第2実施例]
第2実施例の励磁装置は、励磁回路40に代えて、図8に示す励磁回路140を備える。励磁回路140は、オペアンプ41の帰還ラインに設けられるコンデンサC1に代えてオペアンプ41の反転入力端子に接続された抵抗R0(抵抗R0のD/Aコンバータ134側)にコンデンサC0を直列接続する点と、オペアンプ41の非反転入力端子に励磁用電源50が接続されない点とが第1実施例の励磁回路40と異なる。マイコン130は、オペアンプ41の反転入力端子に直列接続される抵抗R0およびコンデンサC0を介して接続されたD/Aコンバータ134と、励磁用電源50とグランドとに直列に接続される抵抗R7,R8の接続点に接続されたA/Dコンバータ135と、オペアンプ41の非反転入力端子に直接に接続されたD/Aコンバータ136と、を備える。マイコン130は、D/Aコンバータ136により調整した電圧VDACをオペアンプ41の非反転入力端子に印加すると共に、D/Aコンバータ134により励磁源信号V0をオペアンプ41の反転入力端子に印加することにより、励磁回路140に励磁信号V1を生成させる。また、マイコン130は、電源電圧VEXが抵抗R7,R8により分圧された電圧をA/Dコンバータ135を介して入力することにより、電源電圧VEXを監視している。
第2実施例の励磁装置は、励磁回路40に代えて、図8に示す励磁回路140を備える。励磁回路140は、オペアンプ41の帰還ラインに設けられるコンデンサC1に代えてオペアンプ41の反転入力端子に接続された抵抗R0(抵抗R0のD/Aコンバータ134側)にコンデンサC0を直列接続する点と、オペアンプ41の非反転入力端子に励磁用電源50が接続されない点とが第1実施例の励磁回路40と異なる。マイコン130は、オペアンプ41の反転入力端子に直列接続される抵抗R0およびコンデンサC0を介して接続されたD/Aコンバータ134と、励磁用電源50とグランドとに直列に接続される抵抗R7,R8の接続点に接続されたA/Dコンバータ135と、オペアンプ41の非反転入力端子に直接に接続されたD/Aコンバータ136と、を備える。マイコン130は、D/Aコンバータ136により調整した電圧VDACをオペアンプ41の非反転入力端子に印加すると共に、D/Aコンバータ134により励磁源信号V0をオペアンプ41の反転入力端子に印加することにより、励磁回路140に励磁信号V1を生成させる。また、マイコン130は、電源電圧VEXが抵抗R7,R8により分圧された電圧をA/Dコンバータ135を介して入力することにより、電源電圧VEXを監視している。
こうして構成された第2実施例の励磁装置では、マイコン130は、励磁回路140に励磁源信号V0を出力するに際して、まず、第1実施例の励磁制御ルーチンのステップS100,S110と同様に、電源電圧VEXを入力すると共に入力した電源電圧VEXに基づいて励磁信号V1の目標振幅V1pp*および目標中心電圧V1c*を設定する。次に、目標振幅V1pp*に基づいて次式(8)を用いてオペアンプ41の反転入力端子に印加する励磁源信号V0の振幅指令V0pp*と周波数指令f*とを設定する。なお、式(8)からわかるように、励磁信号V1の目標振幅V1ppは振幅指令V0pp*および周波数指令f*のうちいずれか一方のみの調整により調整することができるから、振幅指令V0pp*および周波数指令f*の設定は、いずれか一方のみを設定するものであってもよい。続いて、目標中心電圧V1c*に基づいて次式(9)を用いてオペアンプ41の非反転入力端子に印加する電圧の指令値である電圧指令VDAC*を設定する。そして、振幅指令V0pp*と周波数指令f*とをD/Aコンバータ134に出力すると共に電圧指令VDAC*をD/Aコンバータ136に出力する。ここで、式(8)中、「C0」は、コンデンサC0の静電容量を示す。以下、式(8)および式(9)の励磁信号V1の振幅V1ppおよび中心電圧V1cの導出の仕方について説明する。
励磁信号V1の振幅V1ppの導出
励磁信号V1の振幅V1ppは、交流ゲインを考えて、次式(10)により計算される。
励磁信号V1の振幅V1ppは、交流ゲインを考えて、次式(10)により計算される。
ここで、第2実施例の励磁回路140では、オペアンプ41の反転入力端子に抵抗R0とコンデンサC0とが直列に接続されているから、任意の周波数f[Hz]における抵抗値Z0は、次式(11)により計算することができる。
式(10)に式(11)を代入すると、上記式(8)を得る。
励磁信号V1の中心電圧V1cの導出
オペアンプ41の2つの入力端子に作用する電圧(V+,V-)は、それぞれ次式(12)および式(13)で計算される。
オペアンプ41の2つの入力端子に作用する電圧(V+,V-)は、それぞれ次式(12)および式(13)で計算される。
オペアンプ41の効果によりV+=V-となるから、式(12)および式(13)から「V1c」について解けば、上記式(9)を得る。
上記式(8)により、励磁信号V1の振幅V1ppは、励磁源信号V0の周波数fが小さいほど小さくなると共に、励磁源信号V0の振幅V0ppが小さいほど小さくなることがわかる。すなわち、励磁信号V1の振幅V1ppは、励磁源信号V0の周波数fや振幅V0ppを適宜設定することにより調整することができる。また、上記(9)により、励磁信号V1の中心電圧V1cは、オペアンプ41の非反転入力端子に印加する電圧VDACが小さいほど小さくなることがわかる。すなわち、励磁信号V1の中心電圧V1cは、電圧VDACを適宜設定することにより調整することができる。このように、第2実施例では、マイコン130は、励磁用電源50の電源電圧VEXを監視し、電源電圧VEXの範囲内で励磁信号V1が生成されるように目標振幅V1pp*と目標中心電圧V1c*とを設定し、上記式(8)および式(9)の関係を満たすように振幅指令V0pp*および周波数指令f*を設定して励磁源信号V0を生成・出力すると共に電圧指令VDAC*を設定して印加することで、電源電圧VEXが低下しても適正な励磁信号(正弦波電圧)を励磁回路140に生成させてレゾルバ11へ出力させることができる。
第2実施例では、D/Aコンバータ134,136およびA/Dコンバータ135は、マイコン130に内蔵されるものとしたが、マイコン130とは別に設けられてもよい。
第1実施例や第2実施例において、マイコン30,130は、車両の走行状態を入力ポートや通信ポートを介して入力し、入力した走行状態に基づいて励磁信号V1の目標振幅V1ppと目標中心電圧V1cとを設定することもできる。例えば、車両が走行しているときには、省電力よりも検出精度が優先されるように励磁信号V1の目標振幅V1ppと目標中心電圧V1cとを設定し、車両が停止しているときには、検出精度よりも省電力が優先されるように励磁信号V1の目標振幅V1ppと目標中心電圧V1cとを設定することができる。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、レゾルバ11が「センサ部」に相当し、オペアンプ41が「増幅部」に相当し、抵抗R1およびコンデンサC1や抵抗R0およびコンデンサC0が「インピーダンス部」に相当し、励磁用電源50が「励磁用電源」に相当し、マイコン30,130が「制御部」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、励磁装置の製造産業に利用可能である。
10 回転角度検出装置、11 レゾルバ、12 ロータ、13 ステータ、14 励磁コイル、15,16 検出コイル、20 制御部、30 マイクロコンピュータ(マイコン)、31 CPU、32 ROM、33,35,135 A/Dコンバータ、34,134,136 D/Aコンバータ、40,140 励磁回路、41 オペアンプ、42 プッシュプル回路、50 励磁用電源、60 増幅回路、R0、R1,R2,R3,R4,R4,R5,R6,R7,R8 抵抗、C0,C1,C2 コンデンサ、Tr1,Tr2 トランジスタ。
Claims (1)
- 回転角度検出装置のセンサ部に設けられる励磁コイルに正弦波状の励磁信号を出力する励磁装置であって、
正弦波状の励磁源信号を増幅して前記励磁信号を生成する増幅部と、該増幅部から出力された励磁信号を該増幅部の入力側に帰還させる帰還ラインと、前記帰還ラインに設けられ前記励磁源信号の周波数によってインピーダンスが変化するインピーダンス部と、を有する励磁回路と、
前記励磁回路に電源を供給する励磁用電源と、
前記励磁用電源の電源電圧を監視し、前記電源電圧が低い場合には高い場合に比して前記励磁回路において中心電圧が低くなる前記励磁信号が生成されるように、振幅および周波数の少なくとも一方と中心電圧とを調整した前記励磁源信号を生成して前記増幅部へ出力する制御部と、
を備える励磁装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019071924A JP2020169919A (ja) | 2019-04-04 | 2019-04-04 | 励磁装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2020169919A true JP2020169919A (ja) | 2020-10-15 |
Family
ID=72747076
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019071924A Pending JP2020169919A (ja) | 2019-04-04 | 2019-04-04 | 励磁装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2020169919A (ja) |
-
2019
- 2019-04-04 JP JP2019071924A patent/JP2020169919A/ja active Pending
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