JP2020168545A - 資源回収用自立性網状袋 - Google Patents

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昭吉 大西
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Abstract

【課題】網状袋を低コストで自立させ、ペットボトルや飲料缶などの資源回収に役立ち、作業性に優れる資源回収用自立性網状袋の提供【解決手段】資源回収用自立性網状袋1であって、略直方体又は略立方体を構成する4つの側面2,2,2,2及び底面3が網状体によって構成され、上面の開口部4の周縁において網状体を下方に折返して折返し面51を形成し、側面2と折返し面51とが重なった部位が開口部4の周方向に沿う縫合線Lで縫合され、縫合線Lと側面2と折返し面51とによって囲まれた空間により紐通し穴5が形成され、紐通し穴5の少なくとも一部に紐引き出し口54が設けられ、紐通し穴5には紐引き出し口54を介して引き出され開口部4を引き絞り可能な口紐6が挿通され、紐引き出し口54は紐通し穴5の上端から縫合線Lまでの全長に亘って形成され、紐通し穴5の上端から縫合線Lまでの距離Aが4cm以上であること。【選択図】図1

Description

本発明は、資源回収用自立性網状袋に関し、より詳しくは、ペットボトルや飲料缶などの資源回収に役立ち、作業性に優れる資源回収用自立性網状袋に関する。
一般家庭からごみとして排出されるペットボトルや飲料缶などは、資源回収ごみとして業者に回収される。
毎日資源回収ごみとして回収する際に、マンション管理組合や町内会組織では、各人が持ち寄ったペットボトルを網状袋内に収納して一時的に保管している場合が多い。
ペットボトルを網状袋内に収納するのに、一人で行う場合には、一方の手で袋開口部を広げておく必要があるが、一方の手だけでは開口部を十分に開放できず、ペットボトルを網状袋内に収納しにくい問題がある。
特開2006−264885号公報
従来、かかる問題を解決するために、特許文献1には、網状袋を開放状態で支持する網状袋支持具であって、自立可能な支柱体の上部に平面「コ」字状のフレームを有する網状支持部を設けるとともに、該網状支持部の各フレームにそれぞれ網状袋の開口縁部を係止する係止突起を設けている網状袋支持具が提案されている。この支持具によれば、ペットボトルの網状袋への収納作業を一人で簡単に行なうことができるようになる。
しかし、自立可能な支柱体の上部に平面「コ」字状のフレームを有する網状支持部を設ける構成では、コスト高となる問題がある。
そこで、本発明の課題は、網状袋を低コストで自立させ、ペットボトルや飲料缶などの資源回収に役立ち、作業性に優れる資源回収用自立性網状袋を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
回収容器資源を収納する資源回収用自立性網状袋(1)であって、
略直方体又は略立方体を構成する4つの側面(2,2,2,2)及び底面(3)が網状体によって構成され、上面が開口部(4)になっており、
前記底面(3)を囲む辺には、おもり(7)が取り付けられ、
前記開口部(4)の上端周縁において前記側面(2)から延長される前記網状体を下方に向けて折返して折返し面(51)を形成し、前記側面(2)と、前記折返し面(51)とが重なった部位で、前記開口部(4)の周方向に沿う縫合線Lで縫合され、該縫合線Lと前記側面(2)と前記折返し面(51)とによって囲まれた空間により紐通し穴(5)が形成されており、
前記紐通し穴(5)の少なくとも一部に、紐引き出し口(54)が設けられ、
該紐通し穴(5)には、前記紐引き出し口(54)を介して引き出され、前記開口部(4)を引き絞り可能な口紐(6)が挿通されており、
前記紐引き出し口(54)は、前記紐通し穴(5)の上端から前記縫合線Lまでの全長に亘って形成されており、
前記紐通し穴(5)の上端から前記縫合線Lまでの距離Aが4cm以上であることを特徴とする資源回収用自立性網状袋。
(請求項2)
前記距離Aが5cm〜10cmであることを特徴とする請求項1記載の資源回収用自立性網状袋。
(請求項3)
前記折返し面(51)は、前記開口部(4)の上端周縁において前記側面2から延長される前記網状体を、該側面(2)の内面に対向するように、下方に向けて折返して形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の資源回収用自立性網状袋。
(請求項4)
前記紐通し穴(5)には、紐通し口(55)が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の資源回収用自立性網状袋。
(請求項5)
前記4つの側面を構成する前記網状体が、2枚の網状体であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の資源回収用自立性網状袋。
(請求項6)
前記網状体が3重以上に折重ねられた折重ね部(8)が前記側面(2,2)間の辺に沿って帯状に形成されると共に、該折重ね部(8)の幅方向の一側及び他側のそれぞれを側面(2,2)間の辺に沿うように糸(81、82)で縫合していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の資源回収用自立性網状袋。
(請求項7)
前記折返し面(51)から延長される前記網状体を上方に向けて前記側面(2)と前記折返し面(51)とに挟まれるように更に折返して折返し部(52)が形成され、
前記縫合線Lは、前記側面(2)と前記折返し面(51)と前記折返し部(52)とが重なった部位を、前記開口部(4)の周方向に沿って縫合して、前記折返し部(52)の先端を前記紐通し穴(5)の内部に配置してなることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の資源回収用自立性網状袋。
本発明によれば、網状袋を低コストで自立させ、ペットボトルや飲料缶などの資源回収に役立ち、作業性に優れる資源回収用自立性網状袋を提供することができる。
本発明の資源回収用自立性網状袋の一実施形態を示す斜視図 図1に示した資源回収用自立性網状袋の側面図 図1に示した資源回収用自立性網状袋を底面側から見た図 図2におけるiv−iv線断面図 (a)図1のv(a)部拡大図、(b)図1のv(b)部拡大図 開口部を閉鎖する過程の資源回収用自立性網状袋の写真 開口部の閉鎖を概念的に説明する図であり、(a)閉鎖前(開き状態)の様子を示した概念図、(b)閉鎖過程の様子を示した概念図、(c)市販品(参考例)に係る網状袋の閉鎖過程の様子を示した概念図 図2におけるviii−viii線断面図 図2におけるix−ix線断面図 図2におけるx−x線断面図 網状体による側面の形成例について説明する図
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳しく説明する。
図1は本発明の資源回収用自立性網状袋(以下、単に「網状袋」ともいう。)の一実施形態を示す斜視図、図2は図1に示した網状袋の側面図である。また図3は、図1に示した網状袋を底面側から見た図である。
図1〜図3に示すように、網状袋1は、略直方体又は略立方体(図示の例では直方体)を構成する4つの側面2,2,2,2及び底面3が網状体によって構成され、上面が開口部4になっている。
網状袋1は、4つの側面2を構成する網状体の底面3側端部に、底面3を構成する方形状の網状体の周縁(四辺)が接合されることによって形成されている。網状袋1は、網状袋1の底部が網状体の底面3によって閉塞されている。側面2と底面3との接合には縫合を用いることができる。
網状袋1の底面3は、方形状(図示の例では正方形)の網状体によって構成されている。底面3を構成する網状体は、側面2を構成する網状体と同じであっても、異なってもよい。
開口部4は、略直方体の上面の全体にわたって開口するように設けられており、網状袋1の外部と、網状袋1の内部(収納空間ともいう。)との間で、収納物である回収容器資源(図示省略)を出し入れする部位である。
回収容器資源としては、回収された使用済みの(通常は空の)容器であって資源としてリサイクル可能なものが挙げられ、例えば、ペットボトル等の樹脂容器、及び飲料缶等の金属容器の一方又は両方を含む。
網状袋1を構成する網状体は、格別限定されないが、網状袋1を自立させるのに十分なコシを有するものを好ましく用いることができる。
網状体の材質は格別限定されず、例えば樹脂等を好ましく用いることができる。樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。ポリプロピレンとしては、例えば、プロピレンの単独重合体(ホモポリマー)や、エチレンを共重合成分として含むプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等が挙げられる。また、ポリオレフィンとして、例えば、ポリプロピレンからなる主成分にポリエチレンを混合してなる混合物を用いてもよい。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称PET)等が挙げられる。PETとして、例えば、ペットボトル等のような使用済みPET製品を再生してなる再生PETを用いてもよい。
ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6等が挙げられる。
上記樹脂には色材を配合してもよい。色材としては顔料や染料等が挙げられる。色材によって網状体が着色されていることによって、網状袋1を目立たせたり、あるいは環境に馴染ませたりすることができる。
また、複数種の回収容器資源を分別回収する際に、複数種の回収容器資源のそれぞれに対応する色に着色された複数の網状袋1を用いることができる。色は格別限定されず、緑、茶、青、赤、黒、白等、適宜設定することができる。
また上記樹脂に耐候剤を配合し、耐候性に優れる網状袋1を構成することも好ましい。
更に上記樹脂に難燃剤を配合し、網状袋1に防炎性を付与したり、安全性を高めたりすることが好ましい。
網状体を構成する糸の線径は格別限定されないが、例えば300〜1000デニールとすることが好ましく、400〜800デニールとすることが更に好ましく、500〜700デニールとすることが最も好ましい。
また、網状体における糸の打ち込み本数は格別限定されず、例えば、25.4mm(1インチ)間に、経糸を10〜30本、緯糸を10〜30本とすることができる。
更に、網状体の目合い(網目の一辺の大きさ)は、例えば、0.7mm〜15mmとすることが好ましい。
網状体を構成する糸の織り方は格別限定されず、例えば、平織り、ラッセル織り等が挙げられる。
網状袋1の側面2の上部には、所定幅に折返し縫製された網状体によって、紐通し穴5が形成されている。紐通し穴5には、紐引き出し口54が形成されており、紐引き出し口54の開口部4の対角上に紐通し口55が形成されている。詳細は後述する。
口紐6は、開口部4を一周するように紐通し穴5に挿通されており、口紐6の両端側は、紐通し穴5に形成された紐引き出し口54から外部に引き出されている。口紐6は、開口部4を引き絞り可能に紐通し穴5に挿通されている。
口紐6の材質は格別限定されず、例えば樹脂等が挙げられる。樹脂としては、網状体について例示した樹脂等を用いることができ、柔軟性を付与する観点からポリオレフィンが好適である。
また、口紐6は、染料や顔料等の色材によって着色されていてもよい。
口紐6の線径(太さ)は、2mm〜10mmであることが好ましく、3mm〜6mmであることが更に好ましい。
口紐6のうち紐通し穴5の紐引き出し口54から外部に引き出された部分(「引き出し部分」ともいう。)には、ロック部材61が設けられている。ロック部材61は、詳細な図示は省略するが、口紐6を挟持して束ねた状態に固定する固定部と、固定部による口紐6の固定を解除するためのスイッチとなる押圧部とを有している。ロック部材61が配置された引き出し部分の箇所において、口紐6の両端側同士(即ち、一端側と他端側)が束ねられる。
網状袋1の底面3を囲む辺には、おもり7が取り付けている。
図4及び図5を参照して、紐通し穴5について説明する。
図4は図2におけるiv−iv線断面図であり、図5(a)は、図1のv(a)部拡大図、図5(b)は、図1に示すv(b)部拡大図である。
図4に示されるように、紐通し穴5は、網状袋1の側面2の上部に、所定幅に折返し縫製された網状体によって形成されている。
紐通し穴5の形成手法は格別限定されるわけではないが、開口部4の上端周縁において側面2から延長される網状体を下方に向けて折返して折返し面51を形成している。図4の例では、開口部4の上端周縁の内側下方に向かって側面2の上部を折返して所定幅の折返し面51を形成している。
側面2と折返し面51とが重なった部位の任意の箇所に、側面2の周方向に沿う縫合線Lで、糸53により縫合する。縫合線Lは、限定的ではないが、水平方向に形成されることが作業性から好ましい。
側面2と、折返し面51と、縫合線Lとによって囲まれた空間によって、紐通し穴5が形成される。
上記の形態では、側面2の上部の折返しは、折返し面51が側面2の内面(網状袋1の内面)に対向するように折返しているが、これに限定されず、側面2の外面(網状袋1の外面)に対向するように折返してもよい。
紐通し穴5の上端から縫合線Lまでの距離Aは4cm以上、好ましくは4cm〜12cm、より好ましくは5cm〜10cmに設定される。
なお、紐通し穴5に口紐6を挿通させた場合の距離Aと、紐通し穴5に口紐6を挿通させない場合の距離とに、実質的な差異はない。
本発明の更なる好ましい形態においては、紐通し穴5を構成する折返し面51を下方に延ばし、その下方に延ばした部位を、側面2と折返し面51とに挟まれるように、上方に向けて折り返して、折返し部52を形成する。側面2と折返し部52と折返し面51とを縫合線Lで縫合する。
上述した縫合線Lは、側面2と折返し面51との間に、折返し部52が挟まれた状態で、これらが重なった部位を、開口部4の周方向に沿って縫合して、紐通し穴5を形成している。
折返し部52の先端は、紐通し穴5の内部に向かって配置される。これにより、折返し部52の先端が外部に露出しないので、作業者の手などを刺激することが防止される。
このような折返し部52を設ける場合においても、紐通し穴5の上端から縫合線Lまでの距離Aが4cm以上であることによって、口紐6による開口部4の引き絞り及び開きがスムーズになる効果が良好に発揮される。
紐通し穴5の少なくとも一部には、図5(a)に示すように、紐引き出し口54が設けられている。本実施形態では、紐引き出し口54から外部に口紐6が引き出され、開口部4を引き絞るように形成されている。
本実施形態では、紐引き出し口54の形成幅は、紐通し穴5の上端から前記縫合線Lまでの全長に亘っており、口紐6の両端側同士を束ねた状態にあるロック部材61の通過を許容する幅を有している。
通常は、何らかの理由で口紐6が開口部4に対して回転しても、ロック部材61が紐通し穴5内に入り込まないように、紐引き出し口54の形成幅は、口紐6の両端側同士を束ねた状態にあるロック部材61が通過できない狭い幅に設計される。しかし、このように紐引き出し口54の形成幅を狭くすることが、上述した摩擦の増大を招く一つの要因になることがわかった。
本実施形態では、紐引き出し口54の形成幅は、口紐6の両端側同士を束ねた状態にあるロック部材61の通過を許容する幅であるため、紐引き出し口54の形成幅を広くして摩擦を低減することができる。このとき、仮にロック部材61が紐通し穴5内に入り込んだとしても、摩擦が低減されているため、口紐6を引き出すことによって、ロック部材61を簡単に外部に引き出すことができる。
このような効果をより好適に発揮する観点で、紐引き出し口54の形成幅を、紐通し穴5に係る距離Aと等しくすることが好ましい。これにより、口紐6による開口部4の引き絞り及び開きを、より滑らかに行うことができる。
本実施形態において、詳細な図示は省略するが、紐引き出し口54によって分断された網状体の端部は、紐通し穴5の内部側に折り返されていることが好ましい。これにより、紐引き出し口54によって分断された網状体の端部が外部に露出しないので、作業者の手などを刺激することが防止される。
また、図5(b)に示されるように、紐通し穴5には紐通し口55が形成されていることが好ましい。これにより、開口部4を閉鎖する際に網状体にかかるストレスが開放され、口紐6による開口部4の引き絞り及び開きを更にスムーズにすることができる。紐通し口55の向きは格別限定されないが、紐通し口55の長手方向が網状袋1の上下方向に配向されることが好ましい。
本実施形態において、紐通し口55は、紐通し穴5の長手方向(紐通し穴5に挿通された口紐6の長手方向)に直交する面で、紐通し穴5を分断するように形成されている。紐通し口55は、紐引き出し口54と同様に形成することができる。
本実施形態では、図1に示したように、紐通し口55を、側面2,2間の4辺のうち、紐引き出し口54と対角関係にある辺に対応する位置に1つ設けているが、これに限定されない。
紐通し口55は、4辺のうちの2以上の辺に対応する位置にそれぞれ設けられてもよい。また、紐通し口55は、辺に対応する位置に設けられる場合に限定されず、辺と辺との間の領域に設けられてもよい。
紐通し穴5における側面2,2間の辺に対応する位置に紐通し口55を設ける場合は、該位置を挟む一方の側面2を構成する網状体と、他方の側面2を構成する網状体とを該位置において接合しないことによって、紐通し口55を形成できる。あるいは、該位置を挟む一方の側面2を構成する網状体と、他方の側面2を構成する網状体とが1枚の網状体で形成されている場合は、該位置において網状体を切断することによって、紐通し口55を形成できる。
紐通し口55の形成幅は、紐引き出し口54と同様に、紐通し穴5に係る距離Aと等しくすることが好ましい。
本実施形態において、詳細な図示は省略するが、紐通し口55によって分断された網状体の端部は、紐引き出し口54と同様に、紐通し穴5の内部側に折り返されていることが好ましい。
次に、開口部4の閉鎖について、以下に図6及び図7を参照して説明する。
図6は、本発明に係る網状袋1の開口部4を閉鎖している一例を示す図であり、図7は、開口部4の閉鎖を概念的に説明する図であり、図7(a)は閉鎖前(開き状態)の様子を示した概念図、図7(b)は閉鎖過程の様子を示した概念図である。また、図7(c)は市販品(参考例)に係る網状袋の閉鎖過程の様子を示した概念図である。
図6に示すように、網状袋1は、口紐6を引っ張ることによって、口紐6が挿通された紐通し穴5が収縮され、開口部4が引き絞られる。この状態にて、ロック部材61の位置を紐引き出し口54の近傍に移動させて口紐6を固定することにより、開口部が閉鎖された状態になる。
ロック部材61については、公知の物を用いることができる。このロック部材61によって、口紐6を束ねた状態に固定することができる。
このロック部材61を紐引き出し口54に近接させ固定することにより開口部4が口紐6によって閉鎖された状態が維持されている。
上述した図6に示す開口部4の閉鎖について、更に図7を参照して概念的に説明する。
図7(a)に示すように、開口部4の閉鎖前(開き状態)において、紐通し穴5を構成する網状体は平坦である。
図7(b)に示すように、開口部4の閉鎖過程において、紐通し穴5を構成する網状体は、口紐6による引き絞りに伴って、徐々に波状に変形する。
このとき、本実施形態では、距離Aが4cm以上、好ましくは4cm〜12cm、より好ましくは5cm〜10cmであることによって、網状体によって形成される波は、該波の大きさ(振幅)を増大するように成長し、波の数が増大しにくい。波の数が少ないことによって、紐通し穴5を構成する網状体と、口紐6との接点の数が少なくなるため、摩擦の発生が防止される。
本発明の網状袋1では、波の大きさが増大することによって、緩衝作用が働いて各々の波が口紐6を押圧する力が弱まり、このことも摩擦の発生の防止に寄与する。更に、閉鎖に伴って折り畳まれる波の数が少なくなるため、折り畳みのために加える応力(網状体を変形するための応力)も少なくて済む。これらの結果、口紐6による開口部4の引き絞り及び開きが非常にスムーズになり、また開口部4を十分に閉鎖できる効果が得られる。すなわち、本実施形態に係る網状袋1は、開口部4の引き絞りによる閉鎖及び開きをスムーズにすることにより、作業時間を短縮し、及び労力を軽減することができ、作業者への負担を減らすことができる効果を有する。
そして、図6に示した網状袋1は、ロック部材61の位置を紐引き出し口54から離れるように移動させて、開口部4を押し広げることで、開口部4を再び開くことができる。
開口部4を開き状態で、網状袋1に回収容器資源を出し入れすることができ、開口部4を閉鎖することで回収容器資源を収納空間に収納することができる。
これに対して、図7(c)に示すように、市販品(参考例)では、網状体によって形成される波は、波の数を増大するように成長し、波の大きさ(振幅)が増大しにくい。波の数が多いことによって、紐通し穴と、口紐との接点の数が多くなるため、摩擦の発生が著しくなる。また、大きさ(振幅)が増大しにくいことによって、緩衝作用が働かず各々の波が口紐を押圧する力が強く、このことも摩擦の発生の原因になる。更に、閉鎖に伴って折り畳まれる波の数が多くなるため、折り畳みのために加える応力(網状体を変形するための応力)を増大させなければならない。これらの結果、口紐による開口部の引き絞り及
び開きをスムーズに行うことができなくなる。また、摩擦が増大する結果、波状の収縮が始まった一部(通常は紐通し口近傍)に集中的に力が加わり、他の紐通し穴の部分には力が加わらない状態が形成され、開口部を十分に閉鎖できなくなる。更に、開口部を十分に閉鎖させようとすると作業時間と労力を要し、作業者への負担が増える。開口部を開口しようとするときは、更に作業者の負担が増えてしまう。
次に、図8を参照して、おもり7について説明する。図8は、図2におけるviii−viii線断面図である。
図8に示されるように、おもり7は、網状袋1の底面3を囲む辺に取り付けている。
おもり7によって、網状袋1の自立が安定し、例えば回収容器資源の出し入れに伴って網状袋1が転倒してしまうことも防止される。
おもり7は、上記目的を達成できるものであれば格別限定されず、本実施形態では、おもり7として、ロープ71と、該ロープ71を固定するためのロープ固定用シート72とを用いている。
ここでは、ロープ71として、3本撚りのロープを用いている。ロープ71は、底面3を囲む4辺に沿って一周するように設けられている。
ロープ71の材質は格別限定されないが、おもり7としての機能を良好に発揮する観点で、比重が1.0以上、1.1以上、1.2以上、更には1.3以上の樹脂を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート等が好適である。
おもり7としての機能を更に良好に発揮する観点で、ロープ71を構成する樹脂には、該樹脂よりも比重が高い充填剤を配合してもよい。
ロープ71の重量は、60〜250g/mであることが好ましく、これにより、網状袋1の自立が安定化し、且つ過剰に重くなることが防止され、取扱性に優れる。
ロープ71の線径は格別限定されないが、重量を増大させる観点で太いことが好ましく、例えば9〜20mmであることが好ましい。
ロープ71は、以上に説明したものに限定されず、例えば、鉛線やスチールチェーン等のような金属製の線条体を用いてもよい。また、鉛や紐等の金属によって構成された複数の球体を紐で数珠状に形成したものを用いてもよい。
本実施形態において、ロープ71は、ロープ固定用シート72によって網状袋1に取り付けられている。具体的には、図6に示されるように、底面3を構成する網状体と、側面2を構成する網状体とが、それぞれ網状袋1の外部に向けて延長され、これら網状体が重ね合わされた重なり部を形成しており、この重なり部に対して、ロープ固定用シート72を用いて、ロープ71を固定している。
ロープ固定用シート72は、ロープ71の長さ方向に沿うように帯状に形成されており、ロープ71を内包するように該帯状のロープ固定用シート72の幅方向にループを形成している。
かかるロープ固定用シート72の幅方向の両端を、上述した網状体の重なり部を両側から挟むように重ね合わせた状態で、重ね合わされた部分を糸73で縫合することで、ロープ71を内包したロープ固定用シート72を固定することができる。更に、ロープ71を内包するループの基端部に沿って、重ね合わされたロープ固定用シート72を糸74で縫合することによって、ロープ71の固定が更に安定化する。
ロープ固定用シート72の材質は格別限定されず、例えば樹脂等を用いることができる。
以上に説明したおもり7の取り付け方法(あるいは、おもり7の取り付け機構)を用いることによって、ロープ71の取り付けと共に、側面2を構成する網状体と底面3を構成する網状体との接合が同時に成されるため、生産性を向上できる。
次に、図9及び図10を参照して、網状袋1を構成する側面2,2間の辺について、網状袋1の自立性を向上するための好ましい態様を説明する。
図9は図2におけるix−ix線断面図、図10は図2におけるx−x線断面図である。
図9及び図10の断面図は、何れも、側面2,2間の辺を該辺に直交する面で切断した様子を示している。ここで、図9は、側面2,2間の辺に網状体間の接合部位が配置されている場合を示しており、図10は、側面2,2間の辺に網状体間の接合部位が配置されていない場合を示している。
図9の例では、網状体が6重に折重ねられた折重ね部8が側面2,2間の辺に沿って帯状に形成されると共に、該折重ね部8の幅方向の一側及び他側のそれぞれを側面2,2間の辺に沿うように糸81、82が縫合している。
具体的には、一つの側面2から延長された網状体と、該一つの側面2に隣接する他の側面2から延長された網状体とを重ね合わせ、重ね合わせた部分の先端を折り返して、網状体が4重に重ね合わされた部分を糸81で縫合する。このようにして折重ねられた網状体の先端を基端側に折り返して、網状体が6重に重ね合わされた部分を糸82で縫合する。このようにして、側面2,2間の辺に網状体間の接合部位が配置されている場合において、折重ね部8と糸81、82による縫合を行うことができる。
糸81と糸82とは、互いに平行に、側面2,2間の辺に沿って、底面3側から、紐通し穴5の近傍までにわたって縫合している。
かかる折重ね部8と、糸81及び糸82による縫合とによって、側面2,2間の辺に強いコシが付与されて、網状袋1の自立性が向上する。特に、糸81及び糸82を2列に配したことで、折重ね部8を構成する網状体間の相対的な滑り(ずれ)が防止され、自立性が顕著に向上する。
図9のように、側面2,2間の辺に網状体間の接合部位が配置されている場合は、糸81及び糸82による縫合を、紐通し穴5に至らない直前位置で終わらせることによって、紐通し穴5に上述した紐引き出し口54や紐通し口55を形成することができる。
図10の例では、網状体が4重に折重ねられた折重ね部8が側面2,2間の辺に沿って帯状に形成されると共に、該折重ね部8の幅方向の一側及び他側のそれぞれを、側面2,2間の辺に沿うように糸81、82が縫合している。
具体的には、一つの側面2及び該一つの側面2に隣接する他の側面2に跨る網状体をつまみ出して重ね合わせ、2重に重ね合わされた部分を糸81で縫合する。このようにして折重ねられた網状体の先端を基端側に折り返して、網状体が4重に重ね合わされた部分を糸82で縫合する。このようにして、折重ね部8と糸81、82による縫合が行われる。このようにして、側面2,2間の辺に網状体間の接合部位が配置されていない場合において、折重ね部8と糸81、82による縫合を行うことができる。また、縫合に際し、網状体の端部同士を重ねて構成する場合、上述のとおり、網状体をつまみ出して重ね合わせるのと同様に、端部同士を重ね合わせた状態で、糸81によって縫合し、端部同士の重ね合わせた先端を基端側に折り返し、折り重ねられた部分を糸82で縫合することもできる。
図10の例においても、図9の例と同様に、折重ね部8と、糸81及び糸82による縫合とによって、同様の効果が発揮される。
以上の説明では、折重ね部8を側面2,2間の辺から突出するように形成しているが、これに限定されず、折重ね部8と側面2とが対向するように、折重ね部8の先端を一方の側面2に縫合してもよい。
また、折重ね部8を、網状体を6重あるいは4重に折重ねて形成する場合について示したが、これに限定されず、折重ね部8は、網状体を3重以上に折重ねて形成されればよい。網状体の折重ね数の上限は格別限定されないが、10以下であることが好ましい。
さらに、折重ね部8の形成に際して、折重ね部8に、網状体以外の他の補強部材を更に重ね合わせてもよい。補強部材によって、側面2,2間の辺のコシを更に強くすることができる。補強部材は格別限定されず、例えば樹脂製の棒状体等が挙げられ、例えばFRP(繊維強化プラスチック)等によって構成されたものを用いてもよい。
次に、図11を参照して、網状体による側面2の形成例について説明する。図11は、網状袋1のうち側面2を構成する網状体のみを平面視した様子を概念的に示している。
網状袋1の4つの側面2,2,2,2は、例えば、1枚、2枚、3枚又は4枚の網状体Nによって構成することができる。
図11(a)に示すように、4つの側面2,2,2,2を1枚の網状体Nで構成する場合は、該1枚の網状体Nを筒状にして、4つの側面2、2,2,2を構成することができる(態様1)。図11中、丸で囲まれた部位Sは、網状体Nの側端部間の接合部位であり、側面2,2間の辺に沿って(図11の紙面奥行方向に沿って)設けられる。
図11(b)に示すように、4つの側面2,2,2,2を2枚の網状体Nで構成する場合は、各網状体Nを「く」の字状にして互いに隣接する2つの側面2,2を構成し、これら網状体Nを組み合わせることによって、4つの側面2,2,2,2を構成することができる(態様2−1)。あるいは、図11(c)に示すように、1枚の網状体Nを「コ」の字状にして互いに隣接する3つの側面2,2,2を構成し、他の1枚の網状体Nによって残りの1つの側面2を構成することもできる(態様2−2)。
図11(d)に示すように、4つの側面2,2,2,2を3枚の網状体Nで構成する場合は、1枚の網状体Nを「く」の字状にして互いに隣接する2つの側面2を構成し、他の2枚の網状体Nによって残りの2つの側面2をそれぞれ構成することができる(態様3)。
図11(e)に示すように、4つの側面2,2,2,2を4枚の網状体Nで構成する場合は、4つの側面2,2,2,2のそれぞれを1枚の網状体Nによって構成することができる(態様4)。
4つの側面2,2,2,2を構成する網状体Nの枚数が少ないほど網状体N間を接合する接合部位Sの数(網状体Nの数に等しい)が減り、生産性を向上できる。この観点では、上述した態様1、態様2−1及び態様2−2が特に好ましい。
また、4つの側面2,2,2,2の側面2,2間の接合部位Sは、平面視した際に、網状袋1の中心を該網状袋1の高さ方向に伸びる仮想回転軸(図11中、ドットCで示した)に対して、回転対称となるように配置されることが、網状袋1を自立させる上で(特に直立させる上で)好ましい。この観点では、上述した態様2−1及び態様4が特に好ましい。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
(実施例1)
図1に示したものと同様の網状袋1を用意した。この網状袋1は、紐通し穴5の上端から縫合線Lまでの距離Aが10cmであり、口紐6の線径は5mmである。この網状袋1の口紐6を荷重計(株式会社ドリテック製、型番LS−101)のフックに掛けた状態で引っ張り、開口部4を閉鎖させた。開口部4を閉じるために必要な力(ここでは、閉鎖過程において観察される力の最大値とする。)は約4.5kgfであった。網状袋1の開口部4を閉鎖している写真は、図6に示した通りである。
(実施例2)
図1に示したものと同様の網状袋1を用意した。この網状袋1は、紐通し穴5の上端から縫合線Lまでの距離Aが5cmであり、口紐6の線径は5mmである。この網状袋1の口紐6を荷重計のフックに掛けた状態で引っ張り、開口部4を閉鎖させた。開口部4を閉じるために必要な力は約5.0kgfであった。
(参考例1)
市販品の網状袋1(距離A=2.5cm、口紐6の線径=5mm)の口紐を引っ張って、開口部の閉鎖を試みた。その結果、10kgfの荷重で引っ張っても、開口部を閉じることができなかった。このとき、紐通し部を構成する網状体は、図7(c)に示したように、その一部(紐通し口近傍)のみが細かい波状に収縮し、他の部分に収縮は生じなかった。
1:資源回収用自立性網状袋(網状袋)
2:側面
3:底面
4:開口部
5:紐通し穴
51:折返し部
52:折返し部
53:糸
54:紐取り出し口
55:紐通し口
6:口紐
61:ロック部材
7:おもり
71:ロープ
72:ロープ固定用シート
73、74:糸
8:折重ね部
81、82:糸
L:縫合線
N:網状体
S:接合部位

Claims (7)

  1. 回収容器資源を収納する資源回収用自立性網状袋(1)であって、
    略直方体又は略立方体を構成する4つの側面(2,2,2,2)及び底面(3)が網状体によって構成され、上面が開口部(4)になっており、
    前記底面(3)を囲む辺には、おもり(7)が取り付けられ、
    前記開口部(4)の上端周縁において前記側面(2)から延長される前記網状体を下方に向けて折返して折返し面(51)を形成し、前記側面(2)と、前記折返し面(51)とが重なった部位で、前記開口部(4)の周方向に沿う縫合線Lで縫合され、該縫合線Lと前記側面(2)と前記折返し面(51)とによって囲まれた空間により紐通し穴(5)が形成されており、
    前記紐通し穴(5)の少なくとも一部に、紐引き出し口(54)が設けられ、
    該紐通し穴(5)には、前記紐引き出し口(54)を介して引き出され、前記開口部(4)を引き絞り可能な口紐(6)が挿通されており、
    前記紐引き出し口(54)は、前記紐通し穴(5)の上端から前記縫合線Lまでの全長に亘って形成されており、
    前記紐通し穴(5)の上端から前記縫合線Lまでの距離Aが4cm以上であることを特徴とする資源回収用自立性網状袋。
  2. 前記距離Aが5cm〜10cmであることを特徴とする請求項1記載の資源回収用自立性網状袋。
  3. 前記折返し面(51)は、前記開口部(4)の上端周縁において前記側面2から延長される前記網状体を、該側面(2)の内面に対向するように、下方に向けて折返して形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の資源回収用自立性網状袋。
  4. 前記紐通し穴(5)には、紐通し口(55)が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の資源回収用自立性網状袋。
  5. 前記4つの側面を構成する前記網状体が、2枚の網状体であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の資源回収用自立性網状袋。
  6. 前記網状体が3重以上に折重ねられた折重ね部(8)が前記側面(2,2)間の辺に沿って帯状に形成されると共に、該折重ね部(8)の幅方向の一側及び他側のそれぞれを側面(2,2)間の辺に沿うように糸(81、82)で縫合していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の資源回収用自立性網状袋。
  7. 前記折返し面(51)から延長される前記網状体を上方に向けて前記側面(2)と前記折返し面(51)とに挟まれるように更に折返して折返し部(52)が形成され、
    前記縫合線Lは、前記側面(2)と前記折返し面(51)と前記折返し部(52)とが重なった部位を、前記開口部(4)の周方向に沿って縫合して、前記折返し部(52)の先端を前記紐通し穴(5)の内部に配置してなることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の資源回収用自立性網状袋。
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