JP2020167379A - 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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清志郎 谷田川
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智司 小林
貴久 福田
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貴久 福田
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【課題】信頼性を向上させることができる積層セラミックコンデンサおよびその製造方法を提供する。【解決手段】積層セラミックコンデンサ100は、セラミックを主成分とする複数の誘電体層11と、複数の内部電極層12と、が積層され、積層された複数の内部電極層が対向する2端面の少なくとも一方に露出するように形成され、略直方体形状を有する積層チップと、2端面に形成された1対の外部電極20a、20bと、積層チップの表面の外部電極が形成されていない領域および外部電極の表面の少なくとも一部に付着し、380℃以上のいずれかの温度で放出されるフッ素化合物14と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサおよびその製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品を基板に実装する際に、応力緩和の目的で、金属成分を樹脂に混ぜた導電性樹脂層を外部電極に設ける構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−63008号公報
このようなセラミック電子部品を高温多湿環境で使用すると、セラミック電子部品表面に付着する水分を原因として、導電性樹脂層に含まれる金属成分が拡散し、信頼性が低下するおそれがある。外部電極に導電性樹脂層が含まれていなくても、外部電極に含まれる金属成分が拡散し、信頼性が低下するおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、信頼性を向上させることができる積層セラミックコンデンサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る積層セラミックコンデンサは、セラミックを主成分とする複数の誘電体層と、複数の内部電極層と、が積層され、積層された複数の前記内部電極層が対向する2端面の少なくとも一方に露出するように形成され、略直方体形状を有する積層チップと、前記2端面に形成された1対の外部電極と、前記積層チップの表面の前記外部電極が形成されていない領域および前記外部電極の表面の少なくとも一部に付着し、380℃以上のいずれかの温度で放出されるフッ素化合物と、を備えることを特徴とする。
上記積層セラミックコンデンサにおいて、前記フッ素化合物は、GC−MS分析において質量電荷比としてm/z=19の化合物としてもよい。
上記積層セラミックコンデンサにおいて、前記フッ素化合物は、380℃以上のいずれかの温度に放出ピークをもっていてもよい。
上記積層セラミックコンデンサにおいて、前記フッ素化合物は、前記積層チップの表面において、前記1対の外部電極の間に付着していてもよい。
上記積層セラミックコンデンサにおいて、前記外部電極は、金属成分を含有する導電性樹脂層を含んでいてもよい。
上記積層セラミックコンデンサにおいて、前記フッ素化合物は、380℃未満では放出されなくてもよい。
本発明に係る積層セラミックコンデンサの製造方法は、セラミックを主成分とする複数の誘電体層と複数の内部電極層とが積層され、積層された複数の前記内部電極層が対向する2端面の少なくとも一方に露出するように形成され、略直方体形状を有する積層チップと、前記2端面に形成された1対の外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサを用意する工程と、前記積層チップの表面の前記外部電極が形成されていない領域および前記外部電極の表面の少なくとも一部に、加熱したフッ素ゴムを接触させることで、380℃以上のいずれかの温度で放出されるフッ素化合物を付着させる工程と、を含むことを特徴とする。
上記積層セラミックコンデンサの製造方法において、前記フッ素化合物を付着させる前の前記積層セラミックコンデンサを基板に実装し、加熱したフッ素ゴムのシートを前記積層セラミックコンデンサに押し付けることで、前記積層チップの表面の前記外部電極が形成されていない領域および前記外部電極の表面の少なくとも一部に、前記フッ素化合物を付着させてもよい。
上記積層セラミックコンデンサの製造方法において、前記積層チップの前記外部電極が形成されていない領域および前記外部電極の表面の少なくとも一部に、150℃以上に加熱した前記フッ素ゴムを接触させてもよい。
本発明によれば、信頼性を向上させることができる積層セラミックコンデンサおよびその製造方法を提供することができる。
積層セラミックコンデンサの部分断面斜視図である。 外部電極の断面図であり、図1のA−A線の部分断面図である。 積層セラミックコンデンサにフッ素化合物が付着した構造を例示する図である。 積層セラミックコンデンサにフッ素化合物が付着した構造を例示する図である。 積層セラミックコンデンサにフッ素化合物が付着した構造を例示する図である。 積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを例示する図である。 積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを例示する図である。 フッ素シートを押し付ける場合を例示する図である。 (a)は実施例1のGC−MS分析結果を示す図であり、(b)は実施例4のGC−MS分析結果を示す図である。 m/z=19の分析結果を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
(実施形態)
まず、積層セラミックコンデンサの概要について説明する。図1は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100の部分断面斜視図である。図1で例示するように、積層セラミックコンデンサ100は、直方体形状を有する積層チップ10と、積層チップ10のいずれかの対向する2端面に設けられた外部電極20a,20bとを備える。なお、積層チップ10の当該2端面以外の4面のうち、積層方向の上面および下面以外の2面を側面と称する。外部電極20a,20bは、積層チップ10の積層方向の上面、下面および2側面に延在している。ただし、外部電極20a,20bは、互いに離間している。
積層チップ10は、誘電体として機能するセラミック材料を含む誘電体層11と、内部電極層12とが、交互に積層された構成を有する。各内部電極層12の端縁は、積層チップ10の外部電極20aが設けられた端面と、外部電極20bが設けられた端面とに、交互に露出している。それにより、各内部電極層12は、外部電極20aと外部電極20bとに、交互に導通している。その結果、積層セラミックコンデンサ100は、複数の誘電体層11が内部電極層12を介して積層された構成を有する。また、誘電体層11と内部電極層12との積層体において、積層方向の最外層には内部電極層12が配置され、当該積層体の上面および下面は、カバー層13によって覆われている。カバー層13は、セラミック材料を主成分とする。例えば、カバー層13の材料は、誘電体層11とセラミック材料の主成分が同じである。
積層セラミックコンデンサ100のサイズは、例えば、長さ0.25mm、幅0.125mm、高さ0.125mmであり、または長さ0.4mm、幅0.2mm、高さ0.2mm、または長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.3mmであり、または長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmであり、または長さ3.2mm、幅1.6mm、高さ1.6mmであり、または長さ4.5mm、幅3.2mm、高さ2.5mmであるが、これらのサイズに限定されるものではない。
内部電極層12は、Ni(ニッケル),Cu(銅),Sn(スズ)等の卑金属を主成分とする。内部電極層12として、Pt(白金),Pd(パラジウム),Ag(銀),Au(金)などの貴金属やこれらを含む合金を用いてもよい。誘電体層11は、例えば、一般式ABOで表されるペロブスカイト構造を有するセラミック材料を主成分とする。なお、当該ペロブスカイト構造は、化学量論組成から外れたABO3−αを含む。例えば、当該セラミック材料として、BaTiO(チタン酸バリウム),CaZrO(ジルコン酸カルシウム),CaTiO(チタン酸カルシウム),SrTiO(チタン酸ストロンチウム),ペロブスカイト構造を形成するBa1-x−yCaSrTi1−zZr(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1)等を用いることができる。
図2は、外部電極20bの断面図であり、図1のA−A線の部分断面図である。なお、図2では断面を表すハッチを省略している。図2で例示するように、外部電極20bは、下地層21上に、Cuなどの第1めっき層22、導電性樹脂層23、Niなどの第2めっき層24、およびSnなどの第3めっき層25が形成された構造を有する。下地層21、第1めっき層22、導電性樹脂層23、第2めっき層24および第3めっき層25は、積層チップ10の両端面から2つの側面および積層方向の上下の面に延在している。
下地層21は、Cu,Ni,Al(アルミニウム),Zn(亜鉛)などの金属を主成分とし、下地層21の緻密化のためのガラス成分や、下地層21の焼結性を制御するための共材が含まれている。これらのセラミック成分が多く含まれる下地層21は、セラミック材料を主成分とするカバー層13と良好な密着性を有する。導電性樹脂層23は、Agなどの金属成分を含む樹脂層である。導電性樹脂層23は、柔軟であるため、積層セラミックコンデンサ100が実装される基板のたわみによって生じる応力を緩和する。第1めっき層22は、下地層21と導電性樹脂層23との密着性を高めるために設けられている。外部電極20aも、外部電極20bと同様の積層構造を有する。なお、導電性樹脂層23は、必ずしも設けられていなくてもよい。
外部電極20a,20bが図2のような構造を有している場合に、積層セラミックコンデンサ100が高温多湿の環境で用いられると、積層セラミックコンデンサ100の表面に付着した水分を原因として、導電性樹脂層23に含まれる金属成分が溶出し、拡散して、信頼性が低下するおそれがある。例えば、積層チップ10の表面における外部電極20aと外部電極20bとの間に、導電性樹脂層23に含まれる金属成分が拡散するおそれがある(マイグレーション)。外部電極20a,20bに導電性樹脂層23が含まれていなくても、外部電極20a,20bに含まれる金属成分が拡散するおそれがある。
そこで、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100は、図3で例示するように、表面の少なくとも一部に、フッ素化合物14が付着した構造を有している。フッ素化合物14は、積層チップ10の表面の外部電極20a,20bが形成されていない領域および外部電極20a,20bの表面の少なくとも一部に付着している。例えば、図4で例示するように、フッ素化合物14は、積層チップ10の表面の外部電極20a,20bが形成されていない領域の一部だけに付着していてもよい。または、図5で例示するように、フッ素化合物14は、外部電極20a,20bの表面の一部だけに付着していてもよい。
なお、ここでの「表面に付着している」とは、表面に直接付着している場合と、表面に他の膜などを介して付着している場合とを含む。以下の説明においても、同様である。
本実施形態においては、フッ素化合物14は、380℃以上のいずれかの温度で積層セラミックコンデンサ100の表面から放出されるフッ素化合物である。フッ素化合物14は、380℃以上のいずれかの温度で放出されるため、積層セラミックコンデンサ100をハンダ付け実装した後にも残存する傾向にある。フッ素化合物14は、撥水性を有することから、積層セラミックコンデンサ100を高温多湿環境で用いても、積層セラミックコンデンサ100の表面への水分の付着が抑制される。その結果、積層セラミックコンデンサ100の信頼性を向上させることができる。なお、フッ素化合物14は、積層チップ10の表面の外部電極20a,20bが形成されていない領域および外部電極20a,20bの表面のどちらに付着していても、信頼性向上に寄与する。また、フッ素化合物14は、380℃未満では積層セラミックコンデンサ100の表面から放出されないことが好ましい。
フッ素化合物14は、例えば、GC−MS(Gas Chromatography Mass Spectrometry)分析において、質量電荷比としてm/z=19の化合物である。フッ素化合物14は、300℃以上のいずれかの温度において、少なくとも1つの放出ピーク(放出量の極大値)を持つことが好ましい。
なお、フッ素化合物14が外部電極20a,20bの表面に付着していても、ハンダの濡れ性の低下は抑制される。付着しているフッ素化合物14の量が微量だからである。例えば、フッ素化合物14の厚さは、1nm〜80nmの範囲である。したがって、フッ素化合物14が外部電極20a,20bの表面に付着していても、実装性を維持することができる。
フッ素化合物14が積層セラミックコンデンサ100の表面において付着する箇所は、特に限定されるものではないが、積層チップ10の上面、下面、および2側面において、外部電極20aと外部電極20bとの間の少なくとも一部に付着していることが好ましい。積層チップ10の表面における外部電極20aと外部電極20bとの間に対する水分の付着が抑制され、マイグレーションが抑制されるからである。
または、フッ素化合物14は、積層セラミックコンデンサ100の全体を覆っていることが好ましい。積層セラミックコンデンサ100の全体に対する水分の付着が抑制されるからである。
続いて、積層セラミックコンデンサ100の製造方法について説明する。図6は、積層セラミックコンデンサ100の製造方法のフローを例示する図である。
(原料粉末作製工程)
まず、誘電体層11を形成するための誘電体材料を用意する。誘電体層11に含まれるAサイト元素およびBサイト元素は、通常はABOの粒子の焼結体の形で誘電体層11に含まれる。例えば、BaTiOは、ペロブスカイト構造を有する正方晶化合物であって、高い誘電率を示す。このBaTiOは、一般的に、二酸化チタンなどのチタン原料と炭酸バリウムなどのバリウム原料とを反応させてチタン酸バリウムを合成することで得ることができる。誘電体層11を構成するセラミックの合成方法としては、従来種々の方法が知られており、例えば固相法、ゾル−ゲル法、水熱法等が知られている。本実施形態においては、これらのいずれも採用することができる。
得られたセラミック粉末に、目的に応じて所定の添加化合物を添加する。添加化合物としては、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン),V(バナジウム),Cr(クロム),希土類元素(Y(イットリウム),Sm(サマリウム),Eu(ユウロピウム),Gd(ガドリニウム),Tb(テルビウム),Dy(ジスプロシウム),Ho(ホロミウム),Er(エルビウム),Tm(ツリウム)およびYb(イッテルビウム))の酸化物、並びに、Co(コバルト),Ni,Li(リチウム),B(ホウ素),Na(ナトリウム),K(カリウム)およびSi(シリコン)の酸化物もしくはガラスが挙げられる。
本実施形態においては、好ましくは、まず誘電体層11を構成するセラミックの粒子に添加化合物を含む化合物を混合して820〜1150℃で仮焼を行う。続いて、得られたセラミック粒子を添加化合物とともに湿式混合し、乾燥および粉砕してセラミック粉末を調製する。例えば、セラミック粉末の平均粒子径は、誘電体層11の薄層化の観点から、好ましくは50〜300nmである。例えば、上記のようにして得られたセラミック粉末について、必要に応じて粉砕処理して粒径を調節し、あるいは分級処理と組み合わせることで粒径を整えてもよい。
(積層工程)
次に、得られた誘電体材料に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤とを加えて湿式混合する。得られたスラリーを使用して、例えばダイコータ法やドクターブレード法により、基材上に例えば厚み0.8μm以下の帯状の誘電体グリーンシートを塗工して乾燥させる。
次に、誘電体グリーンシートの表面に、有機バインダを含む内部電極形成用の金属導電ペーストをスクリーン印刷、グラビア印刷等により印刷することで、内部電極層用のパターンを配置する。金属導電ペーストには、共材としてセラミック粒子を添加する。セラミック粒子の主成分は、特に限定するものではないが、誘電体層11の主成分セラミックと同じであることが好ましい。
その後、基材から剥離した状態で、内部電極層12と誘電体層11とが互い違いになるように、かつ内部電極層12が誘電体層11の長さ方向両端面に端縁が交互に露出して極性の異なる一対の外部電極20a,20bに交互に引き出されるように、誘電体グリーンシートを交互に積層する。例えば、合計の積層数を100〜500層とする。
その後、積層した誘電体グリーンシートの積層体の上下にカバー層13となるカバーシートを圧着することで、セラミック積層体を得る。その後、得られたセラミック積層体(例えば1.0mm×0.5mm)に対して、250〜500℃のN雰囲気中で脱バインダ処理する。
(焼成工程)
このようにして得られた成型体を酸素分圧10−7〜10−10atmの還元雰囲気中で1100〜1300℃で10分〜2時間焼成する。
(再酸化処理工程)
その後、Nガス雰囲気中で600℃〜1000℃で再酸化処理を行ってもよい。
(外部電極形成工程)
次に、金属フィラー、ガラスフリット、バインダ、および溶剤を含む金属ペーストを積層チップ10の両端面にディップ法で塗布し、乾燥させ、焼き付ける。それにより、下地層21が形成される。なお、バインダおよび溶剤は、焼き付けによって揮発する。この手法の金属フィラーには、Cu等が好適である。なお、焼き付けは、700℃〜900℃で約3分〜30分、特に760℃〜840℃で5分〜15分行うことが好ましい。その後、めっきによって、第1めっき層22を下地層21上に形成してもよい。
次に、導電性樹脂層23を形成する。導電性樹脂層23は、例えば、Ag、Ni、Cu等の導電性フィラーを混練したエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を第1めっき層22の表面に浸漬塗布し、熱処理して硬化させることで形成される。導電性樹脂層23の厚みは特に限定されず、例えば、約10〜50μmであり、加工中の製品の大きさに応じて適宜設定される。その後、電解めっき等によって、導電性樹脂層23上に、第2めっき層24および第3めっき層25を形成する。
(加熱接触工程)
次に、フッ素ゴムを150℃以上に加熱し、加工中の製品の表面に接触させる。それにより、積層チップ10の表面の外部電極20a,20bが形成されていない領域および外部電極20a,20bの表面の少なくとも一部に、フッ素化合物14を付着させることができる。このようにして、積層セラミックコンデンサ100が得られる。
本実施形態に係る製造方法によれば、フッ素ゴムを150℃以上に加熱して積層セラミックコンデンサ100の表面に接触させることで、積層チップ10の表面の外部電極20a,20bが形成されていない領域および外部電極20a,20bの表面の少なくとも一部に、380℃以上のいずれかの温度で積層セラミックコンデンサ100の表面から放出されるフッ素化合物を付着させることができる。それにより、フッ素化合物14は、積層セラミックコンデンサ100をハンダ付け実装した後にも残存する傾向にある。フッ素化合物14は、撥水性を有することから、積層セラミックコンデンサ100を高温多湿環境で用いても、積層セラミックコンデンサ100の表面への水分の付着が抑制される。その結果、積層セラミックコンデンサ100の信頼性を向上させることができる。
下地層21は、積層チップ10の焼成時に同時に焼成してもよい。この場合、図7で例示するように、積層工程で得られたセラミック積層体を、250〜500℃のN雰囲気中で脱バインダした後に、セラミック積層体の両端面に、金属フィラー、共材、バインダ、および溶剤を含む金属ペーストをディップ法で塗布し、乾燥させる。その後、金属ペーストをセラミック積層体と同時に焼成する。焼成の条件は、例えば、上述した焼成工程で例示されている。その後、Nガス雰囲気中で600℃〜1000℃で再酸化処理を行ってもよい。その後、めっきによって、第1めっき層22を下地層21上に形成する。次に、第1めっき層22の表面に導電性樹脂層23を形成する。その後、電解めっき等によって、導電性樹脂層23上に、第2めっき層24および第3めっき層25を形成する。
なお、図8で例示するように、フッ素化合物14を付着させる前の積層セラミックコンデンサ100を基板16に実装し、フッ素ゴムのシート17を加熱し、当該加熱したフッ素ゴムのシート17を積層セラミックコンデンサ100に押し付けることで、フッ素化合物14を積層チップ10の表面の外部電極20a,20bが形成されていない領域および外部電極20a,20bの表面の少なくとも一部に付着させてもよい。この場合、基板16にもフッ素化合物14を付着させることができるため、基板16の表面に生じる結露由来の故障を抑制することができる。また、フッ素ゴムのシート17を押し当てる前に積層セラミックコンデンサ100が実装されているため、実装不良を抑制することができる。フッ素ゴムのシート17の見掛け密度は、0.75g/cm以下であることが好ましい。フッ素ゴムの見掛け密度が大きいとシート17が硬くなり、シート17を押し当てた際にチップを十分に覆うことができず、チップを覆うように見掛け密度が大きいシート17を押し付けると無理な力が加わってチップにダメージを与えてしまう可能性があるためである。なお、見掛け密度とは、シート17の体積に対する質量のことである。
なお、上記各実施形態においては、セラミック電子部品の一例として積層セラミックコンデンサについて説明したが、それに限られない。例えば、バリスタやサーミスタなどの、他の電子部品を用いてもよい。
以下、実施形態に係る積層セラミックコンデンサを作製し、特性について調べた。
(実施例1〜4)
チタン酸バリウムを主成分とする耐還元性を有するセラミック粉末を有機バインダと混練してスラリーを調製し、これをドクターブレード等でシート状に形成して誘電体グリーンシートを作製した。この誘電体グリーンシートにスクリーン印刷法によってNiの金属導電ペーストを所定のパターンで塗布して内部電極パターンを形成した。内部電極パターンを形成した誘電体グリーンシートを所定の形状に裁断し、所定枚数積み重ねた後、熱圧着してセラミック積層体を作製した。
次に、上記セラミック積層体を所定のチップサイズに切断、分割した。得られたセラミック積層体の電極露出面(両端面)に、所定の電極幅(E寸法)となるように、共材を含む金属ペーストを浸漬法により塗布した。
続いて、得られたセラミック積層体を窒素あるいは水素雰囲気下、1250℃で焼成および所定の熱処理を行い、積層チップ10およびその両端面を被覆する下地層21を作製した。そして、研磨剤に「ホワイトモランダム」(登録商標)を用いて下地層21表面の乾式研磨を行った後、Cuめっきを施して第1めっき層22を形成した。次に、第1めっき層22の表面に、所定の粘度(10〜30Pa・s)に調整した導電性樹脂ペーストを浸漬法により塗布した。導電性樹脂ペーストには、Agフィラーを混練したエポキシ樹脂を用いた。その後、熱処理により導電性樹脂ペーストを硬化させ、導電性樹脂層23を形成した。そして、導電性樹脂層23の上に、NiめっきおよびSnめっきを順次施して、第2めっき層24および第3めっき層25を形成した。得られた積層セラミックコンデンサ100のサイズは、長さ3.2mm、幅2.5mm、高さ2.5mmであった。
積層セラミックコンデンサ100と共にフッ素ゴムを加熱し、フッ素ゴムを積層セラミックコンデンサ100の表面に接触させた。それにより、積層セラミックコンデンサ100の表面にフッ素化合物14を付着させた。実施例1では、フッ素ゴムの加熱温度を150℃とした。実施例2では、フッ素ゴムの加熱温度を170℃とした。実施例3では、フッ素ゴムの加熱温度を190℃とした。実施例4では、フッ素ゴムの加熱温度を210℃とした。
比較例では、フッ素化合物を付着させなかった(撥水処理無し)。
実施例1,4に係る積層セラミックコンデンサ100に対して、フッ素化合物の放出確認を行った。ガスクロマトグラフ質量分析計:GC−MS(Gas Chromatography Mass Spectrometry)(フロンティア・ラボ製 EGA/Py-3030D/Agilent社製 GC7980A/JEOL製 JMS1050GC)によって、60℃から800℃まで加熱し、放出されるガスの質量からその成分および放出量を分析した。
分析条件は、以下のとおりである。
熱分解条件 :熱分解温度 60℃〜800℃
:昇温レート 20℃/min
カラム :カラム内径 0.25mm
:カラム長さ 5m
オーブン温度条件 :温度領域 250℃
:保持時間 37分
図9(a)は、実施例1のGC−MS分析結果を示す図である。図9(b)は、実施例4のGC−MS分析結果を示す図である。図9(a)および図9(b)において、横軸は質量電荷比(m/z値)を示し、縦軸はピーク強度を示す。図9(a)および図9(b)は、加熱温度が450℃の時点での結果を示している。図9(a)および図9(b)に示すように、加熱温度が450℃の時点において、m/z=19であるフッ素の放出が確認された。
図10は、実施例1,4のGC−MS分析結果について、m/z=19に着目し、横軸を温度としたものである。図10に示すように、実施例1,4では、380℃未満の温度ではフッ素化合物の放出が確認されず、380℃以上の高温でフッ素化合物の放出が確認された。これは、フッ素ゴムを加熱接触させることで、低温でのフッ素化合物の放出が抑制されたからであると考えられる。なお、図10の結果では、380℃以上において、フッ素化合物の放出ピークが確認された。
次に、実施例1〜4および比較例について、他の400個ずつのサンプルに対して、耐湿試験を行った。耐湿試験では、温度が120℃、相対湿度が85%の環境にサンプルを投入し、定格の1.5倍の電圧を印加して100時間後の電気的測定(実装電極間の絶縁抵抗)を確認した。絶縁抵抗値×容量値が100MΩ・μFを満たしていれば合格、これを満たさなければ不合格とした。400個のサンプルに対して、不合格となったサンプルの比率を調べた。
次に、実施例1〜4および比較例について、他の400個のサンプルに対して、結露試験を行った。サンプルを信頼性基板(CEM3)に実装し、電圧16Vを印加しながら恒温恒湿槽に投入し、JIS60068−2−30の結露試験プログラム(1サイクルの条件:(1)湿度98%を維持し、温度25℃→55℃へ3時間かけて変更、(2)温度55℃を維持し、湿度98%→93%へ15分かけて変更、(3)温度55℃湿度93%で9時間25分保持、(4)湿度93%を維持し、温度55→25℃へ3時間かけて変更、(5)温度25℃湿度93%で3時間保持、(6)温度25℃を維持し、湿度93%→98%へ5時間30分かけて変更)を6サイクル経過後において、マイグレーションの発生を確認した。マイグレーションは外部電極間に析出物があるかないかを40倍の実体顕微鏡を使用した外観で判断し、析出物があればマイグレーション発生と判断した。400個のサンプルに対して、マイグレーションが発生したサンプルの比率を調べた。
表1に、耐湿試験結果および結露試験結果を示す。表1に示すように、比較例では耐湿試験の不合格率が高くなったのに対して、実施例1〜4では耐湿試験の不合格率が低くなった。これは、フッ素化合物14を形成したことで、撥水性が得られたからであると考えられる。
Figure 2020167379
次に、比較例では結露試験の不合格率が高くなったのに対して、実施例1〜4では結露試験の不合格率が低くなった。これは、フッ素化合物14を形成したことで、撥水性が得られたからであると考えられる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 積層チップ
11 誘電体層
12 内部電極層
13 カバー層
14 フッ素化合物
20a,20b 外部電極
100 積層セラミックコンデンサ

Claims (9)

  1. セラミックを主成分とする複数の誘電体層と、複数の内部電極層と、が積層され、積層された複数の前記内部電極層が対向する2端面の少なくとも一方に露出するように形成され、略直方体形状を有する積層チップと、
    前記2端面に形成された1対の外部電極と、
    前記積層チップの表面の前記外部電極が形成されていない領域および前記外部電極の表面の少なくとも一部に付着し、380℃以上のいずれかの温度で放出されるフッ素化合物と、を備えることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記フッ素化合物は、GC−MS分析において質量電荷比としてm/z=19の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記フッ素化合物は、380℃以上のいずれかの温度に放出ピークをもつことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  4. 前記フッ素化合物は、前記積層チップの表面において、前記1対の外部電極の間に付着していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ。
  5. 前記外部電極は、金属成分を含有する導電性樹脂層を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ。
  6. 前記フッ素化合物は、380℃未満では放出されないことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ。
  7. セラミックを主成分とする複数の誘電体層と複数の内部電極層とが積層され、積層された複数の前記内部電極層が対向する2端面の少なくとも一方に露出するように形成され、略直方体形状を有する積層チップと、前記2端面に形成された1対の外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサを用意する工程と、
    前記積層チップの表面の前記外部電極が形成されていない領域および前記外部電極の表面の少なくとも一部に、加熱したフッ素ゴムを接触させることで、380℃以上のいずれかの温度で放出されるフッ素化合物を付着させる工程と、を含むことを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
  8. 前記フッ素化合物を付着させる前の前記積層セラミックコンデンサを基板に実装し、加熱したフッ素ゴムのシートを前記積層セラミックコンデンサに押し付けることで、前記積層チップの表面の前記外部電極が形成されていない領域および前記外部電極の表面の少なくとも一部に、前記フッ素化合物を付着させることを特徴とする請求項7に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
  9. 前記積層チップの前記外部電極が形成されていない領域および前記外部電極の表面の少なくとも一部に、150℃以上に加熱した前記フッ素ゴムを接触させることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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