JP2020167107A - イオン源及び蒸着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、引き出し電極の製造が容易でコストが安く製造でき、引き出し電極間での異常放電が発生し難いイオン源を提供することを目的とする。【解決手段】 放電室と、プラズマを生成させるプラズマ生成手段と、前記放電室からイオンを引き出す複数の第1の貫通孔を有する平板状の第1の電極1、及び前記第1の電極よりも前記放電室から遠い位置に配置された複数の第2の貫通孔を有する平板状の第2の電極と、を備え、前記第1の電極及び/又は前記第2の電極は、電極の中央部における空孔の割合が前記中央部以外の空孔の割合より低く、前記第1の電極の中央部および前記第2の電極の中央部との間に、第1の絶縁性部材が設けられていることを特徴とするイオン源。【選択図】 図1
Description
本発明は、イオンを照射するイオン源およびイオン源を備える蒸着装置に関する。
従来、イオン源はエッチングや薄膜形成時の膜質向上のためのアシストに用いられてきた。
イオン源は、例えばアルゴンプラズマや酸素プラズマを生成し、引き出し電極と呼ばれる多数の貫通孔が設けられた複数の電極を通して、アルゴンイオンビームや酸素イオンビームを照射する。電極に高電圧を印加することで、アルゴンイオンや酸素イオンにエネルギーを与えることができる。
特許文献1は、外側に向かって凸となる曲面領域を備えた板状の引き出し電極を有し、大直径イオンビームを照射できるイオン源を記載している。
特許文献2は、プラズマ密度が高い部分のグリッド開口率を減少させた引き出し電極を有し、引き出されるイオンビームが均一化したイオン源を記載している。
しかしながら、特許文献1に記載のイオン源の引き出し電極は、外側に向かって凸となる曲面領域を備えた形状なので、加工することが難しく製造コストが高いという課題があった。
また、特許文献2に記載のイオン源は、引き出し電極の開口率が低い箇所においてガスの抜けが悪いため滞留が起こりやすく、引き出し電極間での異常放電が発生するという課題があった。
本発明は、引き出し電極の製造が容易でコストを安く製造でき、引き出し電極間での異常放電が発生し難いイオン源を提供することを目的とする。
本発明のイオン源は、放電室と、プラズマを生成させるプラズマ生成手段と、前記放電室からイオンを引き出す複数の第1の貫通孔を有する平板状の第1の電極1、及び前記第1の電極よりも前記放電室から遠い位置に配置された複数の第2の貫通孔を有する平板状の第2の電極と、を備え前記第1の電極及び/又は前記第2の電極は、電極の中央部における空孔の割合が前記中央部以外の空孔の割合より低く、前記第1の電極の中央部および前記第2の電極の中央部との間に、第1の絶縁性部材が設けられていることを特徴とする。
本発明の蒸着装置は、チャンバーと、前記チャンバーの内部に配置され、ワークを保持するホルダと、前記ホルダに対向して配置された蒸着源と、上記のイオン源と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、引き出し電極の製造が容易でコストが安く製造でき、引き出し電極間での異常放電が発生し難いイオン源を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるイオン源の一例を示す概略図である。図2は、本実施形態のイオン源を搭載した成膜装置の一例を示す概略図である。
まず、イオン源が設けられた成膜装置の概略を説明する。図2において成膜装置30は、最初に補助排気系24により、チャンバー10を大気圧環境下から圧力が100Pa程度になるまでの排気を行う。
補助排気系24により100Pa程度になるまで排気が完了した後に、主排気系23により成膜可能な圧力までの排気を行う。一般的に、蒸着による成膜プロセスでは、10−4Pa〜10−2Paで成膜を行う。
所望の圧力になるまで主排気系23により排気が完了したところで、ヒーター18を用いてワーク20の加熱を行う。ワーク20はワークホルダ21で保持されている。ワーク20の加熱は、成膜を行うチャンバー10で加熱しても良いが、別のチャンバーにてワーク20を加熱した後に、成膜を行う真空のチャンバー10に真空搬送しても良い。その場合、チャンバー10は、ワーク20の温度が低下しないように保温用にヒーター18で保温することになる。
ワーク20が所望の温度となるまで加熱をしたら、ワークファルダ21に対向して設けられ、金属製のルツボに入れた蒸着源(蒸着材料)13を加熱する。蒸着源13の加熱方法として、電子ビームによるものや、ボートと呼ばれる金属容器上に蒸着源を乗せてボートに直接電流を流すことによりボートを加熱する方法や、シースヒーターまたはカートリッジヒーターによりルツボを加熱する方法を用いることができる。加熱された蒸着源13は、真空のチャンバー10内を蒸気となってワーク20に堆積する。ワークに堆積した蒸着源13の膜厚は、膜厚計16で計測する。膜厚計16は、水晶膜厚系等を用いることができる。ワーク20はワークホルダ21と共に回転する構造となっていて、ワーク20の膜厚分布を均一化する装置構成となっている。
加熱された蒸着源13はワーク20に堆積するが、その際に膜質を高めるためイオン源11から放出するイオンビームをワーク20に対して照射する。イオンビームをワーク20に対して照射することで、ワーク20に堆積した蒸着源13を緻密で密着性の高い膜にすることができる。イオン源11より照射されるイオンビームは正電荷を帯びているため、ワーク20に対してイオンビームだけを照射しているとワーク20が正電荷に帯電してしまう。正電荷に帯電したままであると、静電気による静電破壊やパーティクルの付着による膜品質が低下する。ワーク20の帯電を除去する目的で、電子を放出して電気的に中和するための電子放出装置12が用いられる。電子放出装置12は、電子が放出されればよく、タングステンの線に電流を流して熱電子を放出する方法でも良いし、イオン源と同様にプラズマを生成してプラズマ中から電子を放出させる方法でも良い。
次に、本実施形態のイオン源11について図1を用いて説明する。イオン源11は、プラズマ生成手段を用いて、プラズマを生成させる場所となる放電室7を有している。誘電体などで周囲が囲まれた放電室7内に、放電用ガス導入部9から放電用ガスを供給し、放電室外に設けられたRFコイル8に高周波を印加することで放電室7内にプラズマ5を生成する。図1においては、放電室7の底面側から放電用ガスを供給する構造とした。
放電用ガス導入部9は、RFコイル8との距離が近くなるため、絶縁部材(不図示)で電気的にフローティング状態とし、RFの投入効率が低下するのを防ぐことが好ましい。
RFコイル8から高周波が印加され生成したプラズマ5は、イオンと電子に電離した状態となる。そのプラズマ5の中から引き出し電極によりイオンを引き出すことにより所望のイオンビームを作り出す。
図1において、プラズマ5を生成するためのRFコイル8は、放電室7の底面にスパイラル状のコイルとしたが、放電室7の側面にヘリカル状のコイルとしても良い。放電室7の側面に、プラズマを均一化するために磁石層(不図示)を配置して磁場を作り出しても良い。側面に磁石等を配置する場合は、底面スパイラルコイルを用いると配置しやすくなる。
イオン源11は、放電室7からイオンを引出すために、複数の貫通孔を設けた複数枚の平板状の電極が配置されている。平板状の電極は、所定の間隔を設けた状態で通常2枚又は3枚設けられている。放電室7からイオンを引き出すために、放電室7から近い位置に複数の第1の貫通孔を有する第1の電極1と、第1の電極1よりも放電室7からと遠い位置に複数の第2の貫通孔を有する平板状の第2の電極2が設けられている。
図1(b)にイオン源の電極を上面から見た図を示す。第1の電極1は、正電位が印加され、放出されるイオンにエネルギーを与える役割を果たす。第2の電極2は、負電位が印加され、イオンを引き寄せ加速させる役割を果たす。第1の電極1及び/第2の電極2は、貫通孔の直径φが0.2mm〜5mmであることが好ましく、φが1.0mm〜2.5mmであることがより好ましい。貫通孔中心と貫通孔の中心のピッチは、貫通孔の直径の1.5〜3倍程度が好ましい。第1の電極1及び/又は第2の電極2は、イオンで腐食されにくい導電性材料のモリブデンや銅を用いることができる。
第1の電極1及び/又は第2の電極2は、電極の中央部における空孔の割合が、中央部の以外の空孔の割合よりも大きい。本明細書において、電極の中央部とは、電極の中心から電極の径Rの1/3の長さの領域を示す。空孔の割合は、電極の面積に対して、貫通孔によって生じる空孔の面積の割合を示す。第1の電極及び/又は第2の電極の中央部の空孔の割合は、20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、0%以下であることが更に好ましい。
複数の第2の貫通孔は、第1の電極の平板面に垂直な方向から見て第1の貫通孔と一部が重なり、かつ第1の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔を複数含むことが好ましい。このような構成をとると、平板状の電極を用いても、引き出されるイオンビーム径が大きくなる。
イオン源11は、第1の電極の中央部および第2の電極の中央部との間に、第1の絶縁性部材101が設けられている。第1の絶縁性部材101は、第1の電極1と第2の電極2の間にガスが滞留することにより生じる異常放電を防止することができる。第1の絶縁性部材101は、石英、アルミナ、セラミックなどの耐熱性絶縁部材を用いることができる。第1の絶縁性部材101は、図4に示すようなリング形状のものを用いることもできる。リング形状の第1の絶縁性部材301を用いると、グリッド中央での荷重を少なくすることができるために平板グリッドにおいてもたわみ量を少なくすることができるので好ましい。図1における絶縁性部材101は、多孔質部材を用いても良い。絶縁性部材101は、中央部において空洞が無い部材や、中央部が中空になった部材を用いても良い。
また図5に示すように、3枚構成のイオン源において、第1の電極1と第3の電極3の間に絶縁性部材401を設けても良い。図5(a)において絶縁性部材401は空洞のない部材を用いており、図5(b)において絶縁性部材411はリング状の中空部材を用いている。
更に図6に示すように、3枚構成のイオン源において、第1の電極1と第3の電極3の間に絶縁性部材502を設け、更に絶縁性部材502の周囲にギャップ調整部材501を第1電極1と第2の電極2の間及び第2の電極2と第3の電極3の間に配置した。このような配置にすることで、電極間のギャップ管理をすることが可能となる。
イオン源11は、第2の電極2よりも放電室7から遠い位置に、第3の電極3を設けることができる。第3の電極3は、着膜防止等のために必要に応じて配置することが好ましい。第3電極3の電位はチャンバーと同電位であることが好ましい。
第3の電極3は、電極の中央部における空孔の割合が前記中央部以外の空孔の割合より低いことが好ましい。第2の電極2の中央部および第3の電極3の中央部との間に、第2の絶縁性部材が設けられていることが好ましい。第2の絶縁性部材は、第1の絶縁性部材25と同一の形状および材質のものを用いることができる。
以下に、実施例を用いて本実施形態の発明を説明する。
(実施例1)
実施例1は、図1に示すイオン源を用いた。
実施例1は、図1に示すイオン源を用いた。
イオン源11は、内部に高純度の石英で囲まれた放電室7を有するものを用いた。放電室7は、プラズマ5生成用の放電用ガス導入部9から酸素を導入した。放電室7の一部には開口部が設けられており、放電室7の開口部分に複数枚の3枚の電極を配置した。放電室7に一番近い第1電極1には+200〜+800Vの正電位を印加した。第2の電極2には、−1,000V〜−250Vを印加した。第3の電極3は接地した。
放電室7の下部にはRFコイル8を配置した。実施例1において、RFコイル8は1/4インチサイズの銅パイプを用いており、パイプ内には冷却水を流した。冷却水を流す理由は高周波印加時に流れる電流により、RFコイル8が発熱するのを抑えるためである。RFコイル8は3ターンのスパイラル状に巻いた形状のものを用いた。このRFコイル8に高周波を印加することで誘導結合型のプラズマを生成した。実施例1においては、13.56MHzの周波数にて高周波を印加してプラズマを生成した。高周波の出力は200〜1000Wの範囲であり、引き出したいイオン電流量により出力を調整した。
RFコイル8の周辺には、周囲に高周波が漏れ出すのを防ぐためにカバー6を設けた。整合器は真空チャンバー10の外に配置されており、整合機との接続は銅部材により高周波電力を供給した。その導部材の周辺にも高周波漏えい防止用のカバー(不図示)を用いた。
放電室7の下部から放電用ガス導入部9を用いて放電室7内に酸素を導入した。放電用ガス導入部9は1/8インチのステンレス鋼製のパイプを用いた。放電用ガス導入部7は、RFコイル8と距離が近いので、電気的にフローティング状態とすることでRFコイル8からの電界影響を抑えた。放電用ガス導入部9からは、10〜100sccmの酸素を放電室7内に導入してプラズマ5を生成した。放電室7に導入された酸素はRFコイル8により誘導結合型のプラズマを生成し、イオンと電子に電離した中からイオンが複数のグリッドを通過してワーク20に到達した。このとき、放電用ガス導入部9で導入されたすべての酸素がプラズマとなるわけではなく、一部は中性ガスとして真空チャンバー10内に放出される。その際に、グリッドの開口部を通過して真空チャンバー10内に放出される中性ガスもあれば、電極間の閉口部に流れ込む中性ガスも存在する。グリッド電極間の閉口部に流れ込んだ中性ガスで圧力が高くなってしまうと、第1の電極1と第2の電極2の間でアーク的な放電を引き起こしてしまう。ガスの圧力が高くならないようにし異常放電を防ぐことを目的として絶縁性部材101を設けた。
実施例1では、電極外径の直径はφ120mm、中央部の直径をφ80mmのモリブデンの電極を用いた。貫通孔の直径は、φ2.5mmであり空孔間のピッチは5mmであった。第1の電極1の中央部と第2の電極2の中央部の間及び第2の電極の中央部2と第3の電極3の中央部の間には、絶縁性部材101として石英を設けた。
実施例1では、上記のイオン源11を図2における薄膜形成装置に搭載した。図2の薄膜形成装置において、真空排気可能な真空チャンバー10を設けた。真空チャンバー10は大気圧環境下からまず補助排気系24により荒引き排気が行われ、圧力が100Pa程度になるまでの排気を行った。補助排気系24により100Paになるまで排気が完了したら、主排気系23により成膜可能な圧力までの排気を行った。主排気系23はターボ分子ポンプ(以下、TMP)を用いているため、TMPの排気側は補助排気系24にて排気を行う構成とした。実施例1では、6.6×10−4Pa以下となるまで排気を行ってから、プロセスガスを導入して1.3×10−2Paでイオン源11の安定性を確認した。
実施例1では、放電室7内には30sccmの酸素を導入した。イオン源11内において酸素プラズマが生成したら、各グリッドに所定の電圧を印加してイオンビームを生成した。放電室7に近い第1の電極1に+250〜+1000Vの間で印加し、第3の電極2に−250〜−1000Vを印加した。またRFコイル8に印加する高周波は、初期値は400Wであった。プラズマ生成後は、所望のイオン電流量となるようにRFコイル8に印加する電力量を調整した。イオン源11から放出された酸素イオンをワーク20に照射した。
実施例1で、イオン源における第1の電極1と第2の電極2の間に印加する電圧差を変化させた際の異常放電の有無を調べた結果を表1に示す。イオンビームの引き出し量は、第一グリッド電極1に流れる電流値とし、その値が300mAとなるようにRFコイル8に投入する高周波電力を調整することにより行った。また酸素導入量は30sccmとした。
異常放電の確認方法としては、30分間の連続放電中に第1の電極1および第2の電極2に接続された電源において、瞬間的に電流値が増大し且つ電圧が低下した時を異常放電としてカウントすることで異常放電回数を目視で確認した。
〇:異常放電が発生しない。
△:異常放電が1回〜4回
×:異常放電が5回以上
〇:異常放電が発生しない。
△:異常放電が1回〜4回
×:異常放電が5回以上
次に、酸素導入量を変化させたときに、グリッド電極間での異常放電の有無を調べた結果を表2に示す。イオンビームの引き出し量は、第一グリッド電極1に流れる電流値とし、その値が300mAとなるようにRFコイル8に投入する高周波電力を調整することにより行った。グリッド電極に与える電圧は、第一グリッド電極1に+450V、第二グリッド電極2に−300Vを印加して、グリッド電極間に750Vの電圧差を与えた。
(比較例1)
比較例1では、電極間に絶縁性部材の石英を設けない以外は実施例1と同様に行った。結果を表1と表2のようになった。
比較例1では、電極間に絶縁性部材の石英を設けない以外は実施例1と同様に行った。結果を表1と表2のようになった。
(実施例2)
実施例2は、図3に示すイオン源を用いた以外は実施例1と同様に行った。
実施例2は、図3に示すイオン源を用いた以外は実施例1と同様に行った。
実施例2では、図3(b)に示す電極1及び電極2を用いた。実施例2では、図3(a)に示すように、電極は2枚構成で、放電室7に一番近い第1電極1には+200〜+1000Vの正電位を印加した。第2の電極2には−250〜−1,000Vの負電位を印加した。
実施例2では、第1の電極1と第2の電2極の中央部に絶縁性部材201を配置した。実施例では、絶縁性部材201は高純度アルミナを使用した。
実施例2は、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に異常放電を抑制できた。
(実施例3)
実施例3は、図4に示すイオン源を用いた以外は実施例1と同様に行った。
実施例3は、図4に示すイオン源を用いた以外は実施例1と同様に行った。
実施例3では、図4(a)に示すように、電極が3枚構成で、絶縁性部材301はリング形状のマシナブルセラミックを用いた。
実施例3は、実施例1と同様の評価を行ったところ、図4の構成において実施例1と同様に異常放電を抑制できた。
また、図4(b)に示すように、電極が2枚構成で、絶縁性部材301はリング形状のマシナブルセラミックを用いた場合でも、同様に異常放電を抑制できた。
(実施例4)
実施例4は、図5に示すはイオン源を用いるとともに下記の条件に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例4は、図5に示すはイオン源を用いるとともに下記の条件に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例4では、図5(a)に示すように電極は3枚構成で、放電室7に一番近い第1電極1には+200〜+1000Vの正電位を印加した。第2の電極2には−250〜−1,000Vの負電位を印加した。実施例4では、第1電極1と第2電極の中央部に絶縁性部材410として高純度アルミナを配置した。また、第2の電極2と第3の電極3の間にも、絶縁性部材である高純度アルミナを設けた。
実施例4は、実施例1と同様の評価を行ったところ、実施例1と同様に異常放電を抑制できた。
また、図5(a)の電極では絶縁性部材401が中央部においても空洞が無い部材を使用したが、図5(b)に示すように絶縁性部材411がリング形状の高純度アルミナを用いた場合でも、同様に異常放電を抑制できた。
(実施例5)
実施例5は、絶縁性部材の周囲にギャップ調整部材を設けるとともに下記の条件に変更する以外は実施例4と同様に行った。
実施例5は、絶縁性部材の周囲にギャップ調整部材を設けるとともに下記の条件に変更する以外は実施例4と同様に行った。
実施例5では、図6(a)に示すように、絶縁性部材502として中央部においても空洞が無い高純度アルミナを設けた。実施例5では、第1電極1と第2電極2および第2電極2と第3電極3の間において絶縁性部材502の周囲にギャップ調整部材501を配置した。ギャップ調整部材501は絶縁性部材502と同じ高純度アルミナを用いた。
実施例5は、実施例4と同様の評価を行ったところ、実施例4と同様に異常放電を抑制できた。
また、図6(b)に示すように、図6(a)の絶縁性部材502をリング形状の高純度アルミナの絶縁性部材512とした用いた場合でも、同様に異常放電を抑制できた。
(実施例6)
実施例6は、図7に示す電極を用いるとともに下記の条件に変更する以外は実施例1と同様に行った。実施例6で用いた電極の拡大図を図8に示す。
実施例6は、図7に示す電極を用いるとともに下記の条件に変更する以外は実施例1と同様に行った。実施例6で用いた電極の拡大図を図8に示す。
実施例6では、電極は、第1の電極1と、第2の電極2と、第3の電極3の3枚構成とした。実施例6では、放電室7に一番近い第1の電極1には+200〜+1000Vを印加の正電位を印加した。第2の電極2には−250〜−1,000Vの負電位を印加した。第3の電極3は接地した。
実施例6は、図7に示すように第2の電極2の開口位置が、第1の電極1及び第3の電極3の貫通孔の中心をずらした配置にした。実施例6で、電極をこのような配置とすることにより、イオンビームの引き出し角度を曲げることができた。
第1の電極1と第3の電極3は、図8(a)に示すように、貫通孔が第1の電極穴ピッチで開いており、4.00mmピッチであった。第2の電極2は、図8(b)に示すように、貫通孔が第二の電極穴ピッチで孔が開いており、3.99mmピッチであり、貫通孔の径はφ3mmであった。
実施例6は、実施例5と同様の評価を行ったところ、実施例5と同様に異常放電を抑制することができた。
(評価)
表1に示すように実施例1におけるイオン源11においては、グリッド間電圧を2000Vとしても異常放電することなく、安定したイオンビーム照射を行うことができることを確認した。電極間に絶縁性部材を設けなかった比較例1のイオン源においては、グリッド間電圧が500Vであっても数回の異常放電を確認した。
表1に示すように実施例1におけるイオン源11においては、グリッド間電圧を2000Vとしても異常放電することなく、安定したイオンビーム照射を行うことができることを確認した。電極間に絶縁性部材を設けなかった比較例1のイオン源においては、グリッド間電圧が500Vであっても数回の異常放電を確認した。
表2に示すように、実施例1におけるイオン源においては、酸素導入量を増加させても異常放電を起こすことなく安定したイオンビーム照射を行うことができることを確認した。比較例1のイオン源においては、酸素導入量を減少させれば異常放電が発生しない場合もあるが、酸素導入量が少ないために引き出すことができるイオンビームの増加は見込めない。そのために実施例1における絶縁性部材25を設置した構成にすることでグリッド電極間の電圧差を高められ、ガス導入量が増加した際にも異常放電がなく安定したイオン源を提供することができた。
実施例1〜6は、平板の中央部に貫通孔が無い閉口型の電極を用いたイオン源において、電極間に絶縁性部材を設けた。これにより、電極の中央閉口部を設けても、絶縁性部材により放電用ガスの滞留を抑制することができた。そして、グリッド閉口部におけるガス圧の上昇を抑えることができ、電極間での異常放電を防ぐことができた。
1 第1の電極
2 第2の電極
3 第3の電極
5 プラズマ
7 放電室
8 RFコイル
9 放電用ガス導入部
11 イオン源
20 ワーク
21 ワークホルダ
25 絶縁性部材
2 第2の電極
3 第3の電極
5 プラズマ
7 放電室
8 RFコイル
9 放電用ガス導入部
11 イオン源
20 ワーク
21 ワークホルダ
25 絶縁性部材
Claims (10)
- 放電室と、
プラズマを生成させるプラズマ生成手段と、
前記放電室からイオンを引き出す複数の第1の貫通孔を有する平板状の第1の電極1、及び前記第1の電極よりも前記放電室から遠い位置に配置された複数の第2の貫通孔を有する平板状の第2の電極と、を備え、
前記第1の電極及び/又は前記第2の電極は、電極の中央部における空孔の割合が前記中央部以外の空孔の割合より低く、
前記第1の電極の中央部および前記第2の電極の中央部との間に、第1の絶縁性部材が設けられていることを特徴とするイオン源。 - 前記第1の絶縁性部材は、リング形状であることを特徴とする請求項1に記載のイオン源。
- 前記第1の絶縁性部材は、多孔質部材であることを特徴とする請求項1に記載のイオン源。
- 前記複数の第2の貫通孔は、前記第1の電極の平板面に垂直な方向から見て前記第1の貫通孔と一部が重なり、かつ前記第1の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔を複数含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイオン源。
- 前記第2の電極よりも前記放電室から遠い位置に配置された複数の第3の貫通孔を有する第3の電極を更に備え、
前記第3の電極は、電極の中央部における空孔の割合が前記中央部以外の空孔の割合より低く、前記第2の電極の中央部および前記第3の電極の中央部との間に、第2の絶縁性部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のイオン源。 - 前記第2の絶縁性部材は、リング形状であることを特徴とする請求項5に記載のイオン源。
- 前記第2の絶縁性部材は、多孔質部材であることを特徴とする請求項5に記載のイオン源。
- 前記2の絶縁性部材は、前記第1の絶縁性部材と同一の材質であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のイオン源。
- 前記複数の第3の貫通孔は、前記第3の電極の平板面に垂直な方向から見て前記第2の貫通孔と一部が重なり、かつ前記第2の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔を複数含むことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載のイオン源。
- チャンバーと、
前記チャンバーの内部に配置され、ワークを保持するホルダと、
前記ホルダに対向して配置された蒸着源と、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のイオン源と、を備えたことを特徴とする蒸着装置。
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---|---|---|---|
JP2019068889A JP2020167107A (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | イオン源及び蒸着装置 |
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JP2020167107A true JP2020167107A (ja) | 2020-10-08 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7496438B2 (ja) | 2020-05-22 | 2024-06-06 | 江蘇魯▲もん▼儀器股▲ふん▼有限公司 | イオン源バッフル、イオンエッチング装置及びその使用方法 |
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2019
- 2019-03-29 JP JP2019068889A patent/JP2020167107A/ja active Pending
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