JP2020164510A - 1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法、および1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法 - Google Patents

1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法、および1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法 Download PDF

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正宗 岡本
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悟 吉川
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英明 井村
健祐 牟田
Kensuke MUTA
健祐 牟田
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理香子 四元
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【課題】不飽和クロロフルオロカーボンを効率よく、かつ低コストで製造するための方法を提供する。【解決手段】1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法。この方法は、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つ、ならびに1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第1の混合物を塩素と処理して1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンを含む第2の混合物を生成すること、および第2の混合物に対して脱ハロゲン化水素を行って1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第3の混合物を生成することを含む。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態の一つは、不飽和クロロフルオロカーボンの製造方法に関する。
1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンや2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンなどに代表される不飽和クロロフルオロカーボンは、低い沸点、低いオゾン層破壊係数と地球温暖化係数を有しているため、洗浄剤や冷媒などに利用可能な化合物の一つとして期待されている。特許文献1から4に開示されているように、これらの不飽和クロロフルオロカーボンは、対応する1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンや1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンを脱塩化水素することで製造することができる。
特許第6183370号 特許第6119757号 特開2016−69369号公報 特開2016−33128号公報
本発明の実施形態は、不飽和クロロフルオロカーボンを効率よく、かつ低コストで製造するための方法を提供することを課題の一つとする。
本発明の実施形態の一つは、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法である。この方法は、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つ、ならびに1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第1の混合物を塩素と処理して1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンを含む第2の混合物を生成すること、および第2の混合物に対して脱ハロゲン化水素を行って1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第3の混合物を生成することを含む。
本発明の実施形態の一つは、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法である。この方法は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つ、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、ならびに1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第1の混合物を塩素と処理して1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンと1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンを含む第2の混合物を生成すること、および第2の混合物に対して脱ハロゲン化水素を行って1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第3の混合物を生成することを含む。
本発明の実施形態の一つは、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法である。この方法は、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンとフッ化水素との反応により、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つ、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、ならびに1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第1の混合物を生成すること、第1の混合物を塩素と処理して1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンと1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンを含む第2の混合物を生成すること、および第2の混合物に対して脱ハロゲン化水素を行って1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第3の混合物を生成することを含む。
本発明の実施形態の一つは、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造するための方法である。この方法は、2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを塩化水素を用いるハロゲン交換によって1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに変換することを含む。
本発明の実施形態により、高純度の出発原料を用いなくても高収率、低コストで1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造することができる。あるいは本発明の実施形態により、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを選択的に製造することができる。
本発明の実施形態の一つに係る製造方法の反応サイクル
以下、本発明の各実施形態について説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下の実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
以下、本実施形態に係る1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、1223xd)、および2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(以下、1224xe)を製造するための方法(以下、本製造方法と記す)について説明する。本製造方法では、1223xdを選択的に製造することができ、あるいは1223xdと1224xeを同時に(すなわち1223xdと1224xeの混合物を)製造することができる。
1.スキーム
図1に本実施形態の製造方法のスキームを示す。本製造方法は、1233zd、あるいは1233zdと1234zeの混合物を塩素化(塩素付加)し、1233zdと1234zeからそれぞれ1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(以下、233da)、1,2−ジクロロ1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(以下、234da)を生成すること(工程a)、および233da、あるいは233daと234daの混合物を脱ハロゲン化水素することで1223xd、あるいは1223xdと1224xeの混合物を生成すること(工程b)を含む。本製造方法はさらに、ハロゲン交換による1224xeから1223xdへの変換(工程c)を含んでもよい。さらにこの製造方法は、未反応の、あるいは脱ハロゲン化水素によって生成する1233zdや1234zeを回収し(工程d)、これらを新たに加えられる1233zd、あるいは1233zdと1234zeの混合物に添加(工程e)して得られる混合物に対して塩素化(工程a)、脱ハロゲン化水素(工程b)を行うことで1223xdや1224xeを生成することを含んでもよい。あるいは、工程eに替わり、または工程eとともに、工程dで回収された1233zdや1234zeを塩素化(工程f)し、引き続き脱ハロゲン化水素(工程b)を行うことで1223xdや1224xeを生成することを含んでもよい。
2.出発原料
1233zdや1234zeは、1,1,1,3,3−テトラクロロプロパン(以下、240fa)をフッ化水素と反応させることで、以下のスキームに従って得ることができる。
Figure 2020164510
この反応では、主成分としての1233zdや1234zeだけでなく、他のハロゲン化物が不純物として副生したり、1223xdが副生することがある。反応条件にも依存するが、例えば1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(以下、245fa)、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(以下、244fa)、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(以下、243fa)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、1233xf)などがハロゲン化物として副生する。得られる粗生成物から必要な成分を単離するための精製を行ってもよいが、実施例でも示すように、本製造方法ではこれらの不純物は塩素化や脱ハロゲン化水素、あるいはハロゲン交換において悪影響を及ぼさない。このため、240faとフッ化水素との反応で得られる粗生成物を精製することなく、すなわち、蒸留やカラムクロマトグラフィーなどによる各成分の単離精製を行うことなく、引き続く反応に用いることができる。例えば反応後に得られる混合物から酸成分を除去するための洗浄(一次洗浄)や、簡易的に水分を除去する脱水処理を行って得られる粗生成物を塩素化に用いることができる。以下、精製とは複数のハロゲン化物が含まれる混合物から必要とする一つ、あるいは複数のハロゲン化物を他のハロゲン化物から分離して単離する工程であり、一次洗浄とは塩化水素やフッ化水素などの酸成分を除去することを目的とする工程であり、脱水処理とは水を除去することを目的とする工程である。
したがって本製造方法では、このようなハロゲン化物、すなわち、245fa、244fa、243fa、および1233xfのうち少なくとも一つと1233zdを含む混合物、245fa、244fa、243fa、および1233xfのうち少なくとも一つと1233zdと1234zeを含む混合物、あるいは245fa、244fa、243fa、1233xf、および1234zeのうち少なくとも一つと1233zdを含む混合物を引き続く塩素化に用いることができる。以下、上記混合物を第1の混合物と記す。なお、第1の混合物を用いず、1233zdの単体、1234zeの単体、あるいは単体の1233zdと1233zdを混合して得られる混合物を出発原料として用いて塩素化を行ってもよい。また、第1の混合物は1223xdを含んでもよく、1233zd、1234ze、245fa、244fa、243fa、1233xf以外のハロゲン化物を含んでもよい。例えば、1,2,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(以下、233ab)などのハロゲン化物を含んでもよい。1223xdは塩素化により1,1,2,2−テトラクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(223aa)に変換されることがあり、223aaは脱塩化水素により1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1213xa)に変換されることがある。1213xaは洗浄剤、冷媒などとしての用途が期待される有用な化合物である。
1233zdと1234zeは、それぞれシス体(Z体)とトランス体(E体)の幾何異性体を有するが、塩素化では幾何異性体のいずれか一方、あるいは幾何異性体の混合物を用いてもよい。以下、1233zdのシス体とトランス体をそれぞれ1233zdZと1233zdE、1234zeのシス体とトランス体をそれぞれ1234zeZ、1234zeEと記す。
3.塩素化
第1の混合物に含まれる1233zdと1234zeは、以下の反応式に従って塩素化を受け、それぞれ233daと234daを与える。この反応式では1233zdと1234zeの両者が塩素化に供される基質として示されているが、1233zdのみの塩素化を行ってもよい。すなわち、245fa、244fa、243fa、1233xfのうち少なくとも一つと1233zdを含む第1の混合物を塩素化に用い、233daを選択的に生成してもよい。
Figure 2020164510
塩素化は、常圧、減圧、あるいは加圧下の条件で第1の混合物と塩素を反応することで行われる。常圧で塩素化を行う場合には、例えばガラスや石英、あるいはステンレス製の反応器内に第1の混合物を加え、これに塩素をガスとして導入することで行うことができる。この場合、1233zdと1234zeは液体として存在し、第1の混合物に溶解した塩素と反応するため、反応は液相で進む。塩素ガスの第1の混合物への溶解度を向上させるため、反応は−78℃以上30℃以下、−40℃以上20℃以下、−40℃以上10℃以下、あるいは0℃以上10℃以下の温度で行うことが好ましい。
塩素化を常圧やそれよりも高い圧力で行う場合には、例えばオートクレーブなどの密閉可能な反応容器内に第1の混合物と塩素を加える。第1の混合物と塩素は、反応容器内が0.1MPa以上5MPa以下、0.2MPa以上2MPa以下、あるいは0.5MPa以上2MPa以下の圧力となるように加えればよい。反応温度は、0℃以上150℃以下、50℃以上120℃以下、あるいは50℃以上100℃以下の範囲から選択すればよい。加圧下で塩素化を行うことにより、大きな反応速度を得ることができ、効率よく塩素化を行うことができる。
あるいは、反応は気相で進行させてもよい。常圧または減圧において1233zdと1234zeの少なくとも一方が気体として存在する温度で反応を行ってもよい。例えば、50℃以上150℃以下、80℃以上150℃以下、あるいは90℃以上120℃以下に加熱された反応管に、気化した第1の混合物を通すことで塩素化を行うことができる。圧力は反応温度における1233zdと1234zeの蒸気圧を考慮し、これらが気体として存在できる圧力範囲から選択される。具体的には、0.01MPa以上0.10MPa以下、0.05MPa以上0.10MPa以下、あるいは0.07MPa以上0.10MPa以下から選択することができる。
塩素化では、1233zdと1234zeの総和と塩素が1:1のモル比で反応するが、一方の材料を他方の材料よりも過剰に用いてもよい。例えば1233zdと1234zeの総和と塩素の仕込みモル比(1233zd+1234ze:Cl2)は、0.1:1.0以上5:1以下、0.4:1.0以上2.5:1.0以下、あるいは0.5:1.0以上2:1以下とすることができる。1233zdや1234zeの転化率を向上させる場合には塩素を少過剰用いることが好ましく、このモル比は、例えば1.0:1.1以上1:5以下、あるいは1.0:1.1以上1:2以下の範囲から設定すればよい。
塩素化では、バッチ式、半バッチ式あるいは連続式のいずれを適用してもよい。バッチ式では、第1の混合物と塩素を反応容器内に加えた後、上述した圧力と温度に反応系を設定して反応を開始し、反応終了まで第1の混合物や塩素を追加しない。半バッチ式では、反応開始後、第1の混合物と塩素のいずれか一方を断続的に反応容器内に加える。例えば第1の混合物、および第1の混合物よりも低いモル数の塩素を反応容器内に加え、反応系を上述した圧力と温度に設定して反応を開始する。その後塩素を断続的に反応容器内に注入する。これにより、過剰な塩素に起因する副反応を抑制することができる。連続式では、第1の混合物および塩素を上述したモル比で連続的に反応管内に導入する。これにより、連続的に233da、あるいは233daと234daを主成分とする反応生成物を得ることができる。
塩素化では、触媒の使用は任意である。すなわち、触媒の存在下で行ってもよく、非存在下で行ってもよい。実施例でも述べるように、触媒の非存在下でもほぼ定量的に反応が進行するため、触媒除去工程を経ることなく効率よく233daや234daを得ることができる。
触媒を用いる場合には、触媒として遷移金属の塩化物、塩化酸化物、フッ化塩化酸化物を用いることができる。遷移金属としては鉄、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などが挙げられる。塩化物において複数の原子価を取ることができる遷移金属である場合、遷移金属の価数に制限はなく、異なる価数の遷移金属を含む塩化物を用いてもよい。例えば塩化鉄を用いる場合、塩化第1鉄(FeCl2)や塩化第2鉄(FeCl3)のいずれを用いてもよく、これらの混合物を用いてもよい。また、塩化物は異なる複数の金属を含む混合塩化物でも良い。触媒の仕込み量は、1233zdと1234zeの総和に対して0.1mol%から30mol%、0.5mol%から15mol%、あるいは1mol%から10mol%の範囲から選択すればよい。触媒を添加することによってより大きな速度で反応が進行するため、反応時間を大幅に短縮することが可能である。
触媒を用いる場合、触媒を単独で用いてもよく、触媒を担体に担持して用いてもよい。担体に担持する場合、単体としてはシリカゲル、アルミナ、活性炭、ゼオライトなどの多孔質体を用いることができる。
液相と気相のいずれの塩素化においても、反応を促進させるために光照射を行ってもよい(光塩素化)。照射される光の波長は200nm以上400nm以下、あるいは300nm以上400nm以下の範囲から任意に選択され、光源は水銀ランプ(高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ)、発光ダイオード(LED)ランプ、ハロゲンランプなどの種々の光源から選択することができる。
光塩素化では、反応器の全体を透光性材料で構成する、あるいはステンレスなどの非透光性材料で形成される反応器の一部に透光性材料を含む窓を設ける。このような反応器に第1の混合物を加え、光を照射しながら塩素を加える、あるいは第1の混合物と塩素を反応器に加えて光を照射することで塩素化を行うことができる。塩素を加える際、アルゴンや窒素などの不活性ガスを希釈用のガスとして混合して反応器に供給してもよい。反応器の形状に制約はなく、所謂フラスコの形状でも良く、チューブ状の形状でも良い。前者はバッチ式や半バッチ式の塩素化に好適であり、後者は連続式の塩素化に有利である。チューブ状の反応器を用いる場合には、第1の混合物と塩素の混合物を反応器の一端から導入し、他方から塩素化された生成物を得ることができる。
光を透過する材料としては、ガラスや石英のほか、末端官能基を有するパーフルオロアルキルビニルエーテルを重合して得られる重合体、あるいは共重合体(以下、これらを総じて末端官能化ポリパーフルオロアルキルビニルエーテルと記す)が挙げられる。パーフルオロアルキルビニルエーテルとしては以下の式で表されるビニルエーテルが例示され、ここでXは末端官能基である。末端官能基Xとしては、例えばアルコキシカルボニル基(Cn2n+1C(O))(nは1から4)やフルオロスルホニル基(FSO2)が例示される。共重合体を使用する場合には、パーフルオロアルキルビニルエーテルと共重合するコモノマーとして、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンなどを用いればよい。
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2
反応器の窓をガラスまたは石英、および末端官能化ポリパーフルオロアルキルビニルエーテルの積層体で形成してもよい。また、反応器の非透光性部分の内側に末端官能化ポリパーフルオロアルキルビニルエーテルをコーティングしてもよい。
あるいは、末端官能化ポリパーフルオロアルキルビニルエーテルの末端官能基を加水分解して得られる重合体を透光性材料として用いてもよい。この場合、末端官能基はカルボン酸、またはスルホン酸である。あるいは、これらをさらに塩基で処理することにより、例えばリチウムやナトリウム、カリウム、アンモニウムなどを対カチオンとするカルボン酸塩、スルホン酸塩を末端に有する末端官能化ポリパーフルオロアルキルビニルエーテルを用いてもよい。
具体的な実施形態の一つとして、以下のような手順が例示される。オートクレーブなどの密閉可能な反応容器内に第1の混合物を加える。反応容器を密閉、加熱し、さらに反応容器内の圧力が上述した範囲になるように塩素を断続的に加える。加えた塩素のモル数が233daと234daの総モル数とほぼ等しくなった時点で塩素の供給を停止し、必要に応じて加熱を維持する。反応容器内の圧力低下が観察されず、圧力が一定となった時点を反応の完結と認識してもよい。
あるいは、フラスコなどのガラス製反応器に第1の混合物を加え、温度を上述した範囲に維持する。この後、塩素ガスを第1の混合物の液面に吹き付けることで塩素の導入が行われる。塩素の導入量は流量計を用いて見積もる、あるいは反応器内の材料の重量変化から見積もることができる。
塩素化が終了すると、反応物は水や弱アルカリ水溶液で一次洗浄される。必要に応じ、一次洗浄後に硫酸マグネシウムや硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、アルミナなどを用いて脱水処理を行ってもよい。これにより、233daや234daのほか、第1の混合物に含まれるハロゲン化物を含有する混合物を生成物として得ることができる。以下、233daと234daの少なくとも一方を有する混合物を第2の混合物と記す。第2の混合物には、第1の混合物に含まれるハロゲン化物が含まれてもよい。第1の混合物に1233xfが含まれる場合、塩素化によって1233xfは以下の反応式に従って233abへ変換される。したがって、第2の混合物には、233abが含まれていてもよい。また、第2の混合物には、未反応の1233zdや1234zeが含まれていてもよい。また、第1の混合物に1223xdが含まれる場合、1223xdの塩素化によって1,1,2,2−テトラクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン(223aa)が副生することがある。したがって、第2の混合物には、223aaが含まれていてもよい。
Figure 2020164510
後述するように245faと244faは、引き続く脱ハロゲン化水素によって1234zeを与える。243faも同様に脱ハロゲン化水素によって1233zdを与える。一方、233abは脱ハロゲン化水素によって1223xdを与える。得られる第2の混合物からを必要な成分を単離するために蒸留やカラムクロマトグラフィーなどによって精製を行ってもよいが、実施例でも示されるように、245faや244fa、243faの脱塩化水素は233daや234daの脱ハロゲン化水素に影響を与えないため、塩素化によって得られる第2の混合物を蒸留やカラムクロマトグラフィーなどによる精製を行うことなく、脱ハロゲン化水素に直接用いることができる。すなわち、各成分を単離せずに脱ハロゲン化水素を行うことができる。その結果、1223xdや1224xeを低コストで製造することができる。
4.脱ハロゲン化水素
本製造方法における233daや234daの脱ハロゲン化水素は、以下の反応式に従って進行する。以下の式においてXは塩素、あるいはフッ素である。なお、脱ハロゲン化水素では、塩素イオンの高い脱離能に起因して脱塩化水素が優先的に生じ、233daと234daはそれぞれ1223xdと1224xeを与えるが、反応条件によっては一部脱フッ化水素が進行することがあり、この場合には234daは1223xdを与える。
Figure 2020164510
上記反応式では233daと234daの両者が脱ハロゲン化水素に供される基質として示されているが、233daのみの脱ハロゲン化水素を行ってもよい。すなわち、245fa、244fa、243fa、1233xfのうち少なくとも一つと1233zdを含み、1234zeを含まない第1の混合物を出発原料として用いた場合には、1234zeの塩素化による234daの生成は起こらない。したがって、第2の混合物に含まれる233daの脱ハロゲン化水素によって1223xdを選択的に得ることができる。一方、245fa、244fa、243fa、1233xfのうち少なくとも一つと1233zdと1234zeとを含む第1の混合物を出発原料として用いた場合には、塩素化によって第2の混合物には233daと234daが含まれるので、これらを脱ハロゲン化水素して1223xdと1224xeを同時に生成(併産)することができる。
脱ハロゲン化水素は触媒の存在下、あるいは非存在下、気相で行うことができる。具体的には、一つ、あるいは直列に接続される複数の反応管を200℃以上500℃以下、あるいは250℃以上400℃以下に加熱する。反応管に用いられる材料としては、石英やステンレス、ハステロイ(TM)、モネル(TM)、白金、ニッケル、炭素、フッ素樹脂などが挙げられる。加熱の際、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを反応管に流してもよい。反応管内部が所定の温度に達した後、第2の混合物のガスを反応管に導入する。第2の混合物のガスとともに不活性ガスを同時に反応管に流してもよい。第2の混合物の流速は、例えば0.1g/min以上2.0g/min以下、0.2g/min以上2.0g/min以下、あるいは0.3g/min以上1.0g/min以下の範囲から選択することができる。反応管出口にトラップを設置し、反応管内で生成した生成物をトラップ内に捕捉することで1223xdや1224xeを含む生成物が得られる。
脱ハロゲン化水素は反応管の太さや長さにも影響を受けるので、第2の混合物の流速と反応管の大きさから見積もられる接触時間を用いて反応を制御することが好ましい。ここで接触時間とは、反応管内で実際に反応(ここでは脱ハロゲン化水素)が生じるゾーン(反応ゾーン)の容積A(mL)を原料の流速B(mL/秒)で除した値(秒)である。反応ゾーンに触媒を備える場合には、触媒の見掛け容積(mL)を容積Aとみなせばよい。流速Bは一秒あたりに反応管に導入される原料気体(ここでは第2の混合物のガス)の容積を示すが、原料気体を理想気体とみなして、そのモル数、圧力および温度から流速Bを算出すればよい。本製造方法では、接触時間が30秒以上120秒以下、40秒以上70秒以下、あるいは40秒以上60秒以下の範囲から選択することが好ましい。
触媒としては、活性炭や金属触媒が挙げられる。脱ハロゲン化水素では、それぞれを単独で触媒として用いてもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。複数の反応管を用いる場合、反応管ごとに触媒の種類を変えて脱ハロゲン化水素を行うことができる。例えば二基の反応管を用い、一方には活性炭を、他方には金属触媒を充填して脱ハロゲン化水素を行ってもよい。
活性炭を用いる場合、その種類に限定はなく、例えば松や竹、ヤシ殻などの植物、あるいは石炭から調製された活性炭などが挙げられる。活性炭の形状にも限定はなく、粉末状、粒状、繊維状、棒状でもよい。活性炭のBET(Brunauer−Emmett−Teller)比表面積は、例えば10m2/g以上3000m2/g以下、20m2/g以上2500m2/g以下、あるいは50m2/g以上2000m2/g以下が好ましい。
金属触媒は、アルミニウム、バナジウム、クロム、チタン、マグネシウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、アンチモン、亜鉛、ランタン、タンタルおよびタングステンから選択される少なくとも1種の金属を含む。金属触媒としては上記金属の化合物、例えば金属の酸化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物が好ましい。ハロゲン化物の場合、上記金属の部分フッ素化物または全フッ素化物のいずれを用いてもよい。
金属触媒は、担持触媒であってもよいし、非担持触媒であってもよい。担持触媒の場合の担体としては、例えば炭素や前述の金属の酸化物、オキシハロゲン化物(好ましくはオキシフッ化物)、ハロゲン化物(好ましくはフッ化物)などを採用することが好ましい。このような担体の中でも活性炭、またはアルミニウム、クロム、ジルコニウムおよびチタニウムなどの酸化物、オキシハロゲン化物(特に好ましくはオキシフッ化物)、フッ化物は汎用的に利用できるため好ましい。担体に担持される担持物は前述の金属の化合物であり、例えば、前述の金属のハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物、フッ化塩化物)、オキシハロゲン化物(例えば、オキシフッ化物、オキシ塩化物、オキシフッ化塩化物)、硝酸化物などとして担体に担持される。具体的な担持物として、硝酸クロム、三塩化クロム、重クロム酸カリウム、三塩化チタン、硝酸マンガン、塩化マンガン、塩化第二鉄、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸コバルト、塩化コバルト、五塩化アンチモン、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化銅(II)、塩化亜鉛(II)、硝酸ランタン、四塩化スズなどを用いることができる。
金属触媒は、フッ素化処理を施した後に本反応に用いることが好ましい。フッ素化処理は、フッ化水素、フッ素化炭化水素、フッ素化塩素化炭化水素などのフッ素化剤と金属触媒とを接触させ、加熱することにより行う。加熱温度は、例えば200℃以上600℃以下から選択される。典型的な金属触媒としては、フッ素化処理したAl23、Cr23、Cr23/Al23、Cr23/AlF3、Cr23/C、TiO2、ZrO2、ZrO2/TiO2、CoCl2/Cr23/Al23、NiCl2/Cr23/Al23、CoCl2/AlF3、NiCl2/AlF3、FeCl3/C、SnCl4/C、TaCl5/C、SbCl3/C、AlCl3/C、AlF3/Cが挙げられる。
本製造方法の脱ハロゲン化水素では、用いる触媒によって得られる1223xdと1224xeの割合を制御することができる。より具体的には、活性炭を触媒として用いることで1224xeを優先的に生成することができ、一方、金属触媒を用いることで1223xdを優先的に生成することができる。したがって、本製造方法は1224xe、あるいは1223xdを選択的に得る方法としても有用である。なお、1223xdと1224xeはいずれもシス体とトランス体の両者を含む混合物として得られる。本製造方法では、シス体を優先的に与えることができる。
脱ハロゲン化水素では、第2の混合物中に含まれる233daや234da以外のハロゲン化物は、脱ハロゲン化水素に悪影響を及ぼさない。具体的には、塩素化において反応せずに残存する1233zdや1234zeは、そのまま反応せずに残存する。一方、233abは以下の反応式に従って1223xdを与え、234daは以下の反応式に従って1224xeを与える。
Figure 2020164510
さらに245fa、244fa、243faは、それぞれ以下の反応式に従って1234ze、あるいは1233zdを与える。
Figure 2020164510
Figure 2020164510
Figure 2020164510
したがって、脱ハロゲン化水素によって得られる生成物には、1223xdや1224xeのほか、主に1234zeや1233zdがハロゲン化物として含まれる。これらはいずれも1223xdや1224xeの原料であり(図1参照)、後述するように回収することで、再度塩素化に利用することができる。このことは、本製造方法の高い効率に寄与する。なお、脱ハロゲン化水素によって得られる生成物には、脱ハロゲン化水素において反応しなかった245fa、244fa、243fa、あるいは233abなどのハロゲン化物が含まれてもよい。以下、1223xdと1224xeの少なくとも一方を含む混合物を第3の混合物と記す。第3の混合物には、1234ze、1233zd、245fa、244fa、243fa、および233abのうち少なくとも一つの化合物が含まれてもよく、未反応の233daや234daが含まれてもよい。
5.反応サイクル
1223xdや1224xeは、脱ハロゲン化水素によって得られる第3の混合物を蒸溜やカラムクロマトグラフィーによる精製を行うことで単離することができる。これにより、1223xdを選択的に、1224xeを選択的に、あるいは1223xdと1224xeの混合物を純度良く得ることができる。なお、第3の混合物に対してハロゲン交換を行う場合、第3の混合物を精製せず、一次洗浄や脱水処理を行うことで得られる粗生成物を用いてもよい。
精製の際、1223xdや1224xe以外のハロゲン化物も単離することができる。1223xdや1224xe以外のハロゲン化物としては1234zeや1233zdが主に第3の混合物に含まれており、これらを回収し、再度塩素化、脱ハロゲン化水素を行うことができる(図1)。すなわち、回収された1233zdや1234zeと、新たに加えられる1233zdや1234zeと混合し、得られる混合物を塩素化、脱ハロゲン化水素を行うことができる。あるいは、回収された1233zdや1234zeに新たに1233zdや1234zeを加えることなく塩素化し、さらに脱ハロゲン化水素を行ってもよい。再度の脱ハロゲン化水素後にも再び1234zeや1233zdを回収することができるので、本製造方法では図1に示すような反応サイクルを構築することができる。なお、図示しないが、第3の混合物中に245faや244fa、233da、234da、243fa、233abなどのハロゲン化物が含まれている場合でも、これらを回収して次のサイクルに投入することで、これらのハロゲン化物から1223xdや1224xeを製造することができる。
このため、240faから出発し、各工程における主生成物のみならず副生成物も有効に利用することができ、このことは1223xdや1224xeを効率よく製造することに寄与する。また、最終生成物である1223xdや1224xeの単離以外、各工程において精製は必ずしも必要としない。したがって、本実施形態の製造方法を適用することで、低コストで1223xdや1224xeを製造することが可能となる。
6.ハロゲン交換
本製造方法ではさらに、1224xeのハロゲン交換を行ってもよい。この反応のスキームを以下に示す。この反応では、1224xeが塩化水素と反応し、1位のフッ素が塩素に置換される。このハロゲン交換は、上述した脱ハロゲン化水素と同時に行ってもよく、脱ハロゲン化水素後に別途行ってもよい。
Figure 2020164510
ハロゲン交換は、脱ハロゲン化水素で得られる第3の混合物、第3の混合物から単離した1224xe、あるいは単離した1224xeと1223xdの混合物を出発原料として用い、触媒存在下または触媒非存在下、気相で塩化水素と反応させることで行うことができる。具体的には、一つ、あるいは直列に接続される複数の反応管を200℃以上500℃以下、あるいは250℃以上400℃以下に加熱する。反応管としては、脱ハロゲン化水素で用いることが可能な反応管を利用することができる。
反応管内の温度が所定の温度に達した後、上記出発原料と塩化水素を反応管に導入する。理論的には1224xeと塩化水素は1:1のモル比で反応するが、一方の材料を他方の材料よりも過剰に用いてもよい。1224xeの高い転化率を得るため、塩化水素を1224xeよりも過剰量用いることが好ましい。例えば1224xeと塩化水素の比は、1:1以上1:5以下、または1.0:1.5以上1:3以下とすることができる。1224xeと塩化水素の総流量は、例えば、接触時間が5秒以上120秒以下、15秒以上100秒以下、あるいは30秒以上90秒以下となるように適宜選択される。反応管出口にトラップを設置し、反応管内で生成した生成物をトラップ内に捕捉することで1223xdが得られる。
触媒としては、脱ハロゲン化水素で用いることが可能な活性炭や金属触媒が挙げられる。脱ハロゲン化水素で用いる触媒と同一の触媒をハロゲン交換で用いてもよい。また、同一の反応管内に活性炭や金属触媒を混合する、あるいは活性炭や金属触媒を異なる反応管に接続し、これらに出発原料と塩化水素を導入してもよい。
実施例でも示すように、活性炭や金属触媒はハロゲン交換を触媒し、高収率で1224xeから1223xdを与えることができる。これらの触媒は脱ハロゲン化水素にも有効であり、したがって本製造方法では、活性炭や金属触媒を用いることで脱ハロゲン化水素と同時にハロゲン交換を行うこともできる。特に金属触媒はハロゲン交換の高い反応速度を実現することができるため、脱ハロゲン化水素とハロゲン交換を同一工程で行うことができ、高い選択性で1223xdを得ることができる。この場合、反応管に塩化水素を導入しなくても、脱ハロゲン化水素で生成する塩化水素を直接ハロゲン交換に用いることができる。換言すると、ハロゲン交換で用いられる塩化水素は、脱ハロゲン化水素によって生成する塩化水素を含む。なお、1223xdはシス体とトランス体の混合物として得ることができる。
以上述べたように、本発明の実施形態の一つに係る本製造方法では、240faとフッ化水素との反応で得られる第1の混合物から出発し、塩素化、脱ハロゲン化水素、1223xdと1224xeの回収を繰り返すという、1223xdと1224xe製造のための反応サイクルが構築される。このため、1233zdや1234zeのみならず、第1の混合物に含まれる不純物も1223xdや1224xeの製造に利用することができ、効率の高い製造プロセスを提供することができる。また、240faとフッ化水素との反応、塩素化、および脱ハロゲン化においては精製は必ずしも必要とせず、精製を脱ハロゲン化水素後に行うだけで高純度の1223xdや1224xeを得ることができるため、低コストで1223xdや1224xeを製造することができる。さらに本製造方法を適用することにより、1223xdを選択的に製造することもできる。
以下、上述した実施形態に従った実施例を説明する。ただし、本発明の実施態様は以下の実施例によって限定されることは無い。以下の実施例において、有機物の組成は、別途注釈のない限り、FID検出器を備えたガスクロマトグラフィーによって得られるクロマトグラムの面積によって決定した。
[実施例1]1233zdの光塩素化
本実施例では、単離された1233zdの液相中における連続式光塩素化によって233daを製造する例について述べる。本実施例の反応式を以下に示す。
Figure 2020164510
高圧水銀ランプ(ウシオ電機製400W)を光源冷却管に設置し、1233zdおよび塩素フィードラインを備えたパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)製のコイル型PFAチューブを光源冷却管の周りに巻き付けた。PFAチューブの内径は6mm、容量は約80mL(光が照射される容量)であった。PFAチューブに対して紫外光を照射しつつ、光が照射されるPFAチューブを氷水で冷却し、1233zdと塩素をPFAチューブへ連続的に供給した。1233zdの平均流速は24.1g/min(184.7mmol/min)、塩素の平均流速は11.0g/min(154.7mmol/min、1233zdに対して0.84当量)であり、反応混合液がPFAチューブ内に滞留する時間(1233zdと塩素が光照射される時間)は約189秒であった。反応装置出口に5質量%の炭酸水素ナトリウム水溶液を含むトラップを設置し、そこへ反応粗体を導入することで未反応分の塩素を除去し、得られた反応粗体に対してガスクロマトグラフィー(アジレント社製、型番7890B。以下同じ)による分析を行った。その結果、1233zdは14.95%、233daは83.62%、その他の成分は1.43%であり、1233zdの転化率は85.05%、選択率は98.31%であることが分かった。本実施例では未反応の1233zdが残存するが、上述したようにこれは本製造方法における反応サイクルにおいて回収し、再利用することができる。
[実施例2]1233zdの塩素化
本実施例では、単離された1233zdの塩素化を加熱条件下で行う例について述べる。本実施例の反応式を以下に示す。
Figure 2020164510
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(1500mL)に1233zd(EZ混合体)を652.45g(5.00mol)加えた。オートクレーブを密閉した後、反応液を撹拌しながら加熱し、内温が80℃になった時点でオートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるように塩素を注入した。この後、圧力が0.8MPa付近を維持するよう塩素を断続的に注入した。塩素供給量が355.00g(5.00mol)になった時点(約5.5時間後)で塩素の供給を停止し、さらに2時間攪拌を継続した。冷却後、反応液を水500g、および5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液500gで洗浄し、粗生成物1007.01gを得た。得られた粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、1233zdは0.60%であり、233daは96.36%、その他の成分は3.0%であった。本実施例でも未反応の1233zdが残存するが、これは本製造方法における反応サイクルにおいて回収し、再利用することができる。
[実施例3]1233zdを含む混合物を用いる光塩素化
上述したように、1233zdや1234zeは240fをフッ化水素と反応させることで得ることができるが、この時、副生成物として245faなどのフルオロアルカンや244faや243faなどのクロロフルオロアルカンが生成する。本実施例では、このような副生成物の存在下でも1233zdの塩素化によって高収率で233daが得られる例を示す。本実施例の反応式を以下に示す。
Figure 2020164510
PFA被覆温度計、PFA製塩素導入ライン、およびPTFEで被覆された攪拌子を備えた500mL3口フラスコに、予め調整した245fa 49.8mol%、1233zd 50.2mol%の混合液137.97g(1233zd(EZ混合体) 0.520mol、245fa 0.524mol)を加えた。混合液を5℃以下に冷却した後、フラスコ外部からUV−LEDランプを用いて光照射を行い、引き続き塩素導入ラインより塩素37g(0.521mol)を流速0.1g/minから0.4g/minで約3.5時間かけて導入した。塩素の導入終了後、反応液を水200g、および1重量%炭酸水素ナトリウム水溶液200gで洗浄し、粗生成物172.8gを得た。ガスクロマトグラフィーで分析したところ、245faは44.3%、233daは54.2%であり、1−クロロ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン(235fa)が0.4%含まれることが確認され、原料の1233zdは検出されなかった。出発原料中の245faの割合と粗生成物中のそれは完全には一致していないが、これは測定方法に起因すると考えられる。したがって上記結果は、245faは反応せずにそのまま粗生成物中に残留すると考えることができる。換言すると、245faの存在は塩素化に影響を及ぼさないと言える。
[実施例4]1233zdを含む混合物を用いる塩素化
本実施例では、実施例3と同様、クロロフルオロアルカンである244faの存在下でも1233zdの光塩素化によって高収率で233daが得られる例を示す。本実施例の反応式を以下に示す。
Figure 2020164510
PFA被覆温度計、PFA製塩素導入ライン、および冷媒を流したガラス製ジムロートコンデンサーを備えたガラス製の500mLフラスコにPTFEで被覆された攪拌子を配置し、さらにこの中に1233zd(EZ混合体)を80g(0.62mol)、244faを20g(0.13mol)量りとり、フラスコを氷水バスで冷却した。フラスコ内の温度を15℃以下に保ちつつ塩素43.0g(0.61mol)を流速0.1g/minから0.4g/minで約4時間かけて導入した。塩素導入後、未反応の塩素を窒素を用いて排出し、反応液を水200g、および1重量%炭酸水素ナトリウム水溶液200gで洗浄し、粗生成物142.99gを得た。得られた粗生成物をガスクロマトグラフィーによって分析した結果、未反応の1233zdは0.04%、244faは17.03%、233daは81.59%、その他の成分は1.34%であった。このことから、1233zdの転化率は99.96%であり、233daの転化率は0.02%と誤差範囲であった。このことから、244faは反応に関与せず、1233zdは高い転化率で反応して233daを与えることが分かった。
[実施例5]1234zeの光塩素化
本実施例では、単離された1234zeの光塩素化によって234daを製造する例について述べる。本実施例の反応式を以下に示す。
Figure 2020164510
PTFEで被覆された撹拌子、PFA被覆温度計、PFA製塩素導入ライン、ドライアイスコンデンサーを備えた300mL三口フラスコをドライアイス−アセトン浴で冷却し、フラスコ内に1234zeを171.25g(EZ混合体、1.502モル)加えた。1234zeを−35℃以下まで冷却した後、高圧水銀ランプ(100W)を用いてフラスコ外部より光を照射しながら、塩素導入ラインより塩素102.56g(1.44mol)を4時間かけて導入した。塩素の導入終了後、反応液を0℃に昇温し、氷浴下で水200g、および1重量%炭酸水素ナトリウム水溶液200gで洗浄し、粗生成物259.42gを得た。ガスクロマトグラフィー分析を行ったところ、原料である1234zeは0.01%、234daは99.08%(エリトロ体、トレオ体の合計)であった。
[実施例6]1233zdと1234zeを含む混合物を用いる塩素化
本実施例では、1233zdと1234zeの混合物の塩素化について述べる。以下に述べるように、この実施例においても、原料に含まれるフルオロアルカンが反応を阻害しないことが分かった。本実施例の反応式を以下に示す。
Figure 2020164510
耐圧硝子社製SUS316オートクレーブ(1500mL)に原料670g(ガスクロマト組成:1233zd 76.8%、1234ze 19.7%、245fa 3.0%、その他の成分0.5%)を加えた。オートクレーブを密閉した後、反応液を撹拌しながら加熱し、内温が80℃になった時点でオートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるように塩素を注入した。この後、圧力が0.8MPa付近を維持するよう塩素を断続的に注入した。塩素供給量が225.00g(3.17mol)になった時点(約5.5時間後)で塩素の供給を停止し、さらに2時間攪拌を継続した。冷却後、反応液を水500g、および5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液500gで洗浄し、粗生成物1032gを得た。得られた粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、233daは78.3%、234daは18.0%であり、原料である1233zdは0.1%、1234zeは0.1%であった。さらに粗生成物には245faが1.8%、その他の成分が1.7%含まれていた。245faが検出されたことは、245faは塩素化を実質的に阻害しないことを示す。また、1233zdと1234zeの比は233daと234daの比とほぼ一致していることから、塩素化によって1233zdと1234zeからそれぞれ233daと234daが得られることが確認された。
[実施例7]活性炭触媒による、234daを含む混合物を用いる脱ハロゲン化水素
本実施例では、活性炭を触媒として用いる234daの脱ハロゲン化水素によって1224xe、および1223xdを製造した例について説明する。本実施例における反応式を以下に示す。
Figure 2020164510
電気炉を備えた外径1インチ(2.54cm)×長さ40cmステンレス製(SUS316)反応管に触媒として粒状活性炭(白鷺G2x 4/6:大阪ガスケミカル株式会社製、比表面積=1150m2/g、細孔容積=0.51cm3/g、ヤシ殻由来、以下同じ)50mLを充填し、この反応管に約30mL/minの流速で窒素ガスを流しながら反応管内を300℃に昇温した。窒素の供給を止め、実施例5で得られた234daを含む混合物を流速0.50g/min、接触時間約54秒で反応管に供給した。反応管の出口に氷水で冷却した100mL氷水トラップを設置し、約30分間有機物の回収、および副生した酸成分の吸収を行い、重量回収率を算出した結果、99%以上の回収率で粗生成物が得られたことが分かった。酸成分を除去した後、残留した有機成分をガスクロマトグラフィーで分析した結果、1224xeZは76.0%、1224xeEは7.1%、1223xdZは10.7%、1223xdEは0.5%であり、未反応の234daは4.5%、その他の成分は1.2%であった。このことから、活性炭を用いることで効率よく234daから1224xe、および1223xdを製造できることが確認された。
[実施例8]フッ素化アルミナ触媒の調製
本実施例では、脱ハロゲン化水素やハロゲン交換に有効なフッ素化アルミナ触媒の調製例を示す。
まず、活性アルミナ(住友化学製KHS−46、粒径4mm〜6mm、比表面積155m2/g)300mLを水で洗浄した。10重量%フッ酸1150gを洗浄したアルミナにゆっくり加え、生成した混合物を攪拌後、約4時間静置した。この混合物を水で洗浄し、濾過し、残渣を常温で終夜乾燥し、その後電気炉において200℃で2時間乾燥を行った。乾燥後の活性アルミナを外径1インチ(2.54cm)長さ40cmのステンレス鋼製(SUS316)反応管に150mL充填し、窒素150をmL/minの流速で流しながら電気炉で200℃まで昇温し、さらに窒素の流速を維持したままフッ化水素を0.1g/minの流速で加えた。このフッ化水素処理によって反応管内の温度が上昇するが、反応管の内温が400℃を超えないように、窒素とフッ化水素の流速を調整した。発熱が収束したことを確認した後、窒素の流速を30mL/minに低下させ、電気炉の温度を30分おきに50℃ずつ上げ、400℃で2時間温度を維持した。その後室温に冷却し、活性アルミナを反応管から取り出し、フッ素化アルミナ触媒として使用した。あるいは、活性アルミナを反応管から取り出すことなく、反応管をフッ素化アルミナ触媒が充填された反応管として使用した。以下、フッ素化アルミナ触媒を便宜上、Al23−HFと記すことがある。
[実施例9]フッ素化アルミナ担持クロム触媒の調製
本実施例では、脱ハロゲン化水素やハロゲン交換に有効なフッ素化アルミナ担持クロム触媒の調製例を示す。
三角フラスコに20質量%塩化クロム水溶液を調製し、その中に実施例8で調製したフッ素化アルミナ触媒100mLを3時間浸漬させた。固体部分を濾過により取得し、これをロータリーエバポレーターを用いて減圧下、70℃で乾燥させた。得られたフッ素化アルミナ触媒50mLを電気炉を備えた外径2.7cm、長さ26cmの円筒形ステンレス鋼(SUS316L)製反応管に充填し、窒素ガスを100mL/minの流速で流しながら250℃まで昇温した。水の流出が見られなくなった後、窒素ガスの流速を維持したままフッ化水素(HF)を0.3g/minの流速で、反応管の内温が400℃を超えないように流した。反応管内の充填物のフッ素化によるホットスポットが反応管出口端に達したところで電気炉の温度を300℃に上げ、30分間温度を維持した。さらに電気炉を330℃に昇温し、窒素の流速を10mL/minに落としてHF濃度を増大させ、30分時間その温度を維持した。その後室温に冷却し、フッ素化アルミナ触媒を取り出し、フッ素化アルミナ担持クロム触媒として用いた。あるいは、活性アルミナを反応管から取り出すことなく、反応管をフッ素化アルミナ担持クロム触媒が充填された反応管として使用した。以下、フッ素化アルミナ担持クロム触媒を便宜上、Cr−Al23−HFと記すことがある。
[実施例10]フッ素化アルミナ担持クロム触媒を用いる234daの脱ハロゲン化水素
本実施例では、フッ素化アルミナ担持クロム触媒を用いる234daの脱ハロゲン化水素について述べる。本実施例における反応式を以下に示す。
Figure 2020164510
電気炉を備えた1インチ(2.54cm)×長さ40cmステンレス製(SUS316)反応管に、実施例9で調製したフッ素化アルミナ担持クロム触媒50mLを充填し、約30mL/minの流速で窒素ガスを流しながら反応管内を300℃に加熱した。窒素の供給を止め、実施例5で得られた234daを含む混合物を流速0.50g/min、接触時間約54秒で反応管へ供給した。反応管出口に氷水で冷却した100mL氷水トラップを設置し、約30分間有機物の回収、および副生した酸成分の吸収を行い、重量回収率を算出した。その結果、99%以上の回収率で粗生成物が得られることが分かった。酸成分を除去した後、有機成分をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、1224xeZは2.1%、1224xeEは0.2%、1223xdZは66.8%、1223xdEは5.0%であり、さらに副生成物である2−クロロ−1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンが16.6%、未反応の234daが6.5%、その他の成分が2.8%で含まれることが確認された。1224xeの総量と比較して1223xd総量が大きいが、これは脱ハロゲン化水素で得られる1224xeが反応管内でハロゲン交換されて1223xdに変換されたことを示している。
[実施例11]活性炭とフッ素化アルミナ担持クロム触媒を用いる234daの脱ハロゲン化水素
本実施例では、活性炭とフッ素化アルミナ担持クロム触媒を用いる234daの脱ハロゲン化水素について述べる。本実施例における反応式を以下に示す。
Figure 2020164510
電気炉を備えた1インチ(2.54cm)×長さ40cmステンレス製(SUS316)反応管2基をSUS316−6mm配管を用いて直列に繋ぎ、一方に前段触媒として粒状活性炭、もう一方に後段触媒として実施例9で調製したフッ素化アルミナ担持クロム触媒50mLを充填し、約30mL/minの流速で窒素ガスを流しながら反応管内を300℃に加熱した。窒素の供給を止め、実施例5で得られた234daを含む混合物を流速0.50g/min、反応管一基あたり接触時間約54秒で前段反応管、後段反応管の順に供給した。後段反応管の出口に氷水で冷却した100mL氷水トラップを設置し、約30分間有機物の回収、および副生した酸成分の吸収を行い、重量回収率を算出した結果、99%以上の回収率で粗生成物が得られたことが確認された。酸成分を除去した後、有機成分をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、1224xeZは3.6%、1224xeEは0.4%、1223xdZは88.4%、1223xdEは4.2%であり、さらに未反応の234daが0.2%、その他の成分が3.1%含まれることが確認された。本実施例でも1224xeの総量と比較して1223xd総量が大きく、脱ハロゲン化水素で得られる1224xeが反応管内でハロゲン交換されていることが分かる。
[実施例12]233daと234daを含む混合物の活性炭とフッ素化アルミナ担持クロム触媒を用いる脱ハロゲン化水素
本実施例では、実施例6で得られる粗生成物を出発原料として用い、活性炭とフッ素化アルミナ担持クロム触媒による脱ハロゲン化水素を行った例を説明する。本実施例における反応式を以下に示す。以下に述べるように、本反応では、脱ハロゲン化水素される233daと234da以外に、1233zdや1234ze、245faなどが出発原料に含まれる。
Figure 2020164510
電気炉を備えた1インチ(2.54cm)×長さ40cmステンレス製(SUS316)反応管2基をsus316−6mm配管を用いて直列に繋ぎ、一方に前段触媒として粒状活性炭、もう一方に後段触媒として実施例9で調製したフッ素化アルミナ担持クロム触媒50mLを充填し、約30mL/minの流速で窒素ガスを流しながら反応管内を300℃に加熱した。窒素の供給を止め、前段反応管、後段反応管の順に233da 78.3%、234da 18.0%、1233zd 0.1%、1234ze 0.1%、245fa 1.8%、その他の成分1.7%を含む混合物を流速0.50g/min、反応管一基あたり接触時間約54秒で供給した。後段反応管の出口に氷水で冷却した100mL氷水トラップを設置し、約30分間有機物の回収、および副生した酸成分の吸収を行い、重量回収率を算出した結果、99%以上の回収率で粗生成物が得られたことが確認された。酸成分を除去した後、有機成分をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、1224xeZは1.4%、1224xeEは0.1%、1223xdZは87.2%、1223xdEは4.5%であり、さらに1233zdが1.1%、未反応の245faが1.0%、未反応の234daが0.1%、未反応の233daが0.1%、その他の成分が4.5%含まれることが確認された。この結果から、塩素化によって得られる粗生成物を精製しなくても、高収率で目的とする化合物が得られることが分かる。
[実施例13]233daと234daを含む混合物の活性炭を用いる脱ハロゲン化水素
本実施例では、実施例6で得られる粗生成物を出発原料として用い、活性炭による脱ハロゲン化水素を行った例を説明する。本実施例における反応式を以下に示す。本反応でも、脱ハロゲン化水素される233daと234da以外に、1233zdや1234ze、245faなどが出発原料に含まれる。
Figure 2020164510
電気炉を備えた1インチ(2.54cm)×長さ40cmステンレス製(SUS316)反応管に触媒として粒状活性炭50mLを充填し、約30mL/minの流速で窒素ガスを流しながら反応管内を300℃に昇温した。窒素の供給を止め、反応管へ233da 78.3%、234da 18.0%、1233zd 0.1%、1234ze 0.1%、245fa 1.8%、その他の成分1.7%を含む混合物を流速0.50g/min、接触時間約54秒で供給した。反応管の出口ガスを氷水で冷却した100mL氷水トラップを設置し、約30分間有機物の回収、および副生した酸成分の吸収を行い、重量回収率を算出した結果、99%以上の回収率で粗生成物が得られたことが分かった。酸成分を除去した後、有機成分をガスクロマトグラフィーで分析を行った結果、1224xeZは0.1%、1224xeEは4.6%、1223xdZは85.9%、1223xdEは4.5%であり、さらに1233zdが0.1%、未反応の245faが1.0%、未反応の234daが0.1%、未反応の233daが0.1%、その他の成分が3.7%含まれることが確認された。この結果からも、塩素化によって得られる粗生成物を精製しなくても、高収率で目的とする化合物が得られることが分かる。
[実施例14]フッ素化アルミナ担持クロム触媒を用いる1224xeのハロゲン交換
本実施例では、実施例9で調製したフッ素化アルミナ担持クロム触媒を用い、1224xeをハロゲン交換した例を示す。本反応の反応式を以下に示す。この反応式に示されるように、本実施例では反応基質である1224xeのほか、1223xdや234daなどが出発原料に含まれる。
Figure 2020164510
1.実験1
実施例9で調製したフッ素化アルミナ担持クロム触媒50mLを充填した金属製電気ヒーターを備えた円筒形反応管を有する気相反応装置(SUS316製、外径2.7cm、長さ26cm)に窒素を45mL/minの流速で流しながら徐々に昇温し、反応管内の温度が300℃に達したところで、1224xeZを58.52%、1224xeEを38.85%、1223xdZを2.12%、234daを0.19%、その他の成分を0.32%含む混合物を供給ラインから原料気化ラインに導入した。この時、1224xeZと1224xeEの合計に対する塩化水素のモル比が1.6となるように、塩化水素を29mL/minで気相反応装置に供給した。窒素の供給を停止し、原料気化ラインで上記混合物と塩化水素と混合させ、反応管に導入した。この混合ガスの流速が安定したことを確認した後、上記混合物を約0.12g/min、塩化水素を29mL/min(約0.047g/min)の流速で110分間かけてそれぞれ13.3g、5.2g供給した(接触時間64秒)。この間の反応管内の温度は300℃であった。反応管から流出する生成ガスを氷水浴中で冷却した水入りのフッ素樹脂製ガス洗浄瓶に通し、塩化水素の吸収および粗生成物の捕集を行った。捕集された12.35gの粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析し、1224xeの転化率、生成した1223xdの収率を求めた。
2.実験2
反応管へ供給される1224xeを含む混合物の流速を0.17g/min、塩化水素の流速を25mL/min(約0.041g/min)、1224xeに対する塩化水素のモル比を1.0とした他は、実験1に記載の方法で反応を行った。この反応では、170分間かけて上記混合物を28.4g、塩化水素を6.9g供給し、反応管内での接触時間は60秒であった。この後、捕集された26.4gの粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析し、1224xeの転化率、生成した1223xdの収率を求めた。
3.実験3
反応管へ供給される1224xeを含む混合物の流速を0.085g/min、塩化水素の流速を37.5mL/min(約0.061g/min)、1224xeに対する塩化水素のモル比を2.9とした他は、実験1に記載の方法で反応を行った。今反応では、240分間かけて上記混合物を20.3g、塩化水素を14.7g供給し、反応管内での接触時間は60秒であった。その後、捕集された18.9gの粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析し、1224xeの転化率、生成した1223xdの収率を求めた。
4.実験4
触媒として実施例8で調製したフッ素化アルミナを用い、反応管へ供給される1224xeを含む混合物の流速を0.13g/min、塩化水素の流速を30mL/min(約0.049g/min)、1224xeに対する塩化水素のモル比を1.5とした他は、実験1に記載の方法で反応を行った。この反応では、210分間かけて上記混合物を28.1g、塩化水素を10.3g供給し、反応管内での接触時間は60秒であった。その後、捕集された26.47gの粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析し、1224xeの転化率、生成した1223xdの収率を求めた。
5.実験5
触媒として粒状活性炭を用い、反応管へ供給される1224xeを含む混合物の流速を0.13g/min、塩化水素の流速を30mL/min(約0.049g/min)、1224xeに対する塩化水素のモル比を1.5とした他は、実験1に記載の方法で反応を行った。この反応では、180分間かけて上記混合物を24.1g、塩化水素を8.8g供給し、反応管内での接触時間は60秒であった。この後、捕集された21.94gの粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析し、1224xeの転化率、生成した1223xdの収率を求めた。
6.実験6
触媒として粒状活性炭を用い、反応管へ供給される1224xeを含む混合物の流速を0.21g/min、塩化水素の流速を48mL/min(約0.078g/min)、1224xeに対する塩化水素のモル比を1.5とした他は、実験1に記載の方法で反応を行った。この反応では、130分間かけて上記混合物を26.9g、塩化水素を10.2g供給し、反応管内での接触時間は38秒であった。この後、捕集された24.95gの粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析し、1224xeの転化率、生成した1223xdの収率を求めた。
7.実験7
触媒として粒状活性炭を用い、反応管へ供給される1224xeを含む混合物の流速を0.13g/min、塩化水素の流速を30mL/min(約0.049g/min)、1224xeに対する塩化水素のモル比を1.5とした他は、実験1に記載の方法で反応を行った。この反応では、180分間かけて上記混合物を23.7g、塩化水素を8.8g供給し、反応管内での接触時間は60秒であった。その後、捕集された19.03gの粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析し、1224xeの転化率、生成した1223xdの収率を求めた。
8.実験8
触媒として実施例8で調製したフッ素化アルミナを用い、反応温度を200℃、反応管へ供給される1224xeを含む混合物の流速を0.14g/min、塩化水素の流速を30mL/min(約0.049g/min)、1224xeに対する塩化水素のモル比を1.5とした他は、実験1に記載の方法で反応を行った。この反応では、220分間かけて上記混合物を30.0g、塩化水素を10.7g供給し、反応管内での接触時間は60秒であった。この後、捕集された23.95gの粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析し、1224xeの転化率、生成した1223xdの収率を求めた。
9.実験9
フッ素化アルミナ担持クロム触媒の替わりにSUS316製ラシヒリング(5mmφ×5mm)を反応管に充填し、反応管へ供給される1224xeを含む混合物の流速を0.13g/min、塩化水素の流速を30mL/min(約0.049g/min)、1224xeに対する塩化水素のモル比を1.5とした以外は、実験1に記載の方法で反応を行った。この反応では、180分間かけて上記混合物を23.5g、塩化水素を8.8g供給し、反応管内での接触時間は60秒であった。その後、捕集された18.62gの粗生成物をガスクロマトグラフィーで分析し、1224xeの転化率、生成した1223xdの収率を求めた。
実験1から実験4の結果を表1に、実験5から実験9の結果を表2にまとめる。
Figure 2020164510
Figure 2020164510
いずれの実験においても、出発原料における1224xeの割合はシス体とトランス体を合わせて97%以上であり、1223xdZは2.12%しか含まれていない。しかしながらいずれの実験でも反応後には1224xeの割合が低下することが表1、表2から分かる。特に金属触媒を用いた実験(実験1から4)では、得られる混合物中の1223xdの総割合は80%を超えており、金属触媒を用いることでより速やかにハロゲン交換が生じることが分かった。このことは、金属触媒を用いる脱ハロゲン化水素においてもハロゲン交換が進行し、その結果1223xdが優先的に生成することを示唆している。

Claims (33)

  1. 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つ、ならびに1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第1の混合物を塩素と処理して1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンを含む第2の混合物を生成すること、および
    前記第2の混合物に対して脱ハロゲン化水素を行って1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第3の混合物を生成することを含む、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法。
  2. 前記処理は液相または気相で行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記脱ハロゲン化水素は気相で行われる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記脱ハロゲン化水素は触媒の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記触媒は、活性炭、フッ素化アルミナ触媒、およびフッ素化アルミナ担持クロム触媒から選択される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記脱ハロゲン化水素は200℃以上500℃以下の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記第3の混合物はさらに、2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1−クロロ―3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記第3の混合物から、2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1−クロロ―3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つの化合物を回収すること、
    前記少なくとも一つの化合物に1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを新たに混合して得られる第4の混合物を塩素と処理して1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンを含む第5の混合物を生成すること、および
    前記第5の混合物に対して脱ハロゲン化水素を行って1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第6の混合物を生成することを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つ、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、ならびに1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第1の混合物を塩素と処理して1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンと1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンを含む第2の混合物を生成すること、および
    前記第2の混合物に対して脱ハロゲン化水素を行って1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第3の混合物を生成することを含む、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法。
  10. 前記処理は液相または気相で行われる、請求項9に記載の方法。
  11. 前記脱ハロゲン化水素は気相で行われる、請求項9に記載の方法。
  12. 前記脱ハロゲン化水素は触媒の存在下で行われる、請求項9に記載の方法。
  13. 前記触媒は、活性炭、フッ素化アルミナ触媒、およびフッ素化アルミナ担持クロム触媒から選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記脱ハロゲン化水素は200℃以上500℃以下の温度で行われる、請求項9に記載の方法。
  15. 前記第3の混合物はさらに、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1−クロロ―3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つを含む、請求項9に記載の方法。
  16. 前記第3の混合物から、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つの化合物を回収すること、
    前記少なくとも一つの化合物に1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを新たに追加して得られる第4の混合物を塩素と処理して1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンと1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンを含む第5の混合物を生成すること、および
    前記第5の混合物に対して脱ハロゲン化水素を行って1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第6の混合物を生成することを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記第3の混合物に対して塩化水素を用いるハロゲン交換を行って2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに変換することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
  18. 前記塩化水素は、前記脱ハロゲン化水素によって生成する塩化水素を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンとフッ化水素との反応により、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つ、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、ならびに1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第1の混合物を生成すること、
    第1の混合物を塩素と処理して1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンと1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンを含む第2の混合物を生成すること、および
    前記第2の混合物に対して脱ハロゲン化水素を行って1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第3の混合物を生成することを含む、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法。
  20. 前記処理は液相または気相で行われる、請求項19に記載の方法。
  21. 前記脱ハロゲン化水素は気相で行われる、請求項19に記載の方法。
  22. 前記脱ハロゲン化水素は触媒の存在下で行われる、請求項19に記載の方法。
  23. 前記触媒は、活性炭、フッ素化アルミナ触媒、およびフッ素化アルミナ担持クロム触媒から選択される、請求項22に記載の方法。
  24. 前記脱ハロゲン化水素は200℃以上500℃以下の温度で行われる、請求項19に記載の方法。
  25. 前記第3の混合物はさらに、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1−クロロ―3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つを含む、請求項19に記載の方法。
  26. 前記第3の混合物から、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1−クロロ―3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つの化合物を回収すること、
    前記少なくとも一つの化合物に1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを新たに追加して得られる第4の混合物を塩素と処理して1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパンと1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンを含む第5の混合物を生成すること、および
    前記第5の混合物に対して脱ハロゲン化水素を行って1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンと2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む第6の混合物を生成することを含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記第3の混合物に対して塩化水素を用いるハロゲン交換を行って2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに変換することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
  28. 前記塩化水素は、前記脱ハロゲン化水素によって生成する塩化水素を含む、請求項27に記載の方法。
  29. 2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを塩化水素を用いるハロゲン交換によって1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに変換することを含む、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法。
  30. 前記ハロゲン交換は、触媒存在下、気相中で2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを塩化水素と反応させることによって行われる、請求項29に記載の方法。
  31. 前記触媒は、活性炭、フッ素化アルミナ触媒、およびフッ素化アルミナ担持クロム触媒から選択される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記ハロゲン交換は200℃以上500℃以下の温度で行われる、請求項30に記載の方法。
  33. 前記ハロゲン交換は、触媒存在下、気相中において、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン、および2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンのうち少なくとも一つ、ならびに2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む混合物に対して塩化水素を作用させることで行われる、請求項29に記載の方法。
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