JP2020163936A - 音響処理装置、音響処理方法、及びプログラム - Google Patents

音響処理装置、音響処理方法、及びプログラム Download PDF

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崇 中西
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Abstract

【課題】疑似エンジン音の音像定位精度を向上できる音響処理装置を提供する。【解決手段】車両のエンジン回転数に基づく音響信号を処理する音響処理装置であって、第1の閾値以下の周波数を有する複数の周波数成分を有する第1の音響信号と、第1の閾値よりも高い周波数を有する複数の周波数成分を有する第2の音響信号と、を取得する信号取得部と、第1の音響信号を複数に分割し、複数の第1の音響信号のそれぞれに対して所定の位相制御量で位相制御して、複数の第3の音響信号を生成する位相制御部と、第2の音響信号を複数に分割し、複数の第2の音響信号のそれぞれに対して所定の遅延量で遅延させて、複数の第4の音響信号を生成する遅延部と、複数の第3の音響信号と複数の第4の音響信号とを混合して、複数の第5の音響信号を生成する混合部と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、音響処理装置、音響処理方法、及びプログラムに関する。
従来、疑似エンジン音が知られている(特許文献1参照)。疑似エンジン音は、電子的に加工された車両の走行音を想起させる音や、実際のエンジン音における特定の周波数を強調させた音である。疑似エンジン音は、ESE(Engine Sound Enhancer)技術によって、エンジン音の倍音成分が強調され得る。
特開2017−196976号公報
疑似エンジン音は、検討段階の技術であり、さらなる改善が要望される。
本開示は、疑似エンジン音の音像定位精度を向上できる音響処理装置、音響処理方法、及びプログラムを提供する。
本開示の一態様は、車両のエンジン回転数に基づく音響信号を処理する音響処理装置であって、第1の閾値以下の周波数を有する複数の周波数成分を有する第1の音響信号と、前記第1の閾値よりも高い周波数を有する複数の周波数成分を有する第2の音響信号と、を取得する信号取得部と、前記第1の音響信号を複数に分割し、複数の前記第1の音響信号のそれぞれに対して所定の位相制御量で位相制御して、複数の第3の音響信号を生成する位相制御部と、前記第2の音響信号を複数に分割し、複数の前記第2の音響信号のそれぞれに対して所定の遅延量で遅延させて、複数の第4の音響信号を生成する遅延部と、前記複数の第3の音響信号と複数の前記第4の音響信号とを混合して、複数の第5の音響信号を生成する混合部と、を備える、音響処理装置である。
また、本開示の一態様は、車両のエンジン回転数に基づく音響信号を処理する音響処理方法であって、第1の閾値以下の周波数を有する複数の周波数成分を有する第1の音響信号と、前記第1の閾値よりも高い周波数を有する複数の周波数成分を有する第2の音響信号と、を取得するステップと、前記第1の音響信号を複数に分割し、複数の前記第1の音響信号のそれぞれに対して所定の位相制御量で位相制御して、複数の第3の音響信号を生成するステップと、前記第2の音響信号を複数に分割し、複数の前記第2の音響信号のそれぞれに対して所定の遅延量で遅延させて、複数の第4の音響信号を生成するステップと、前記複数の第3の音響信号と複数の前記第4の音響信号とを混合して、複数の第5の音響信号を生成するステップと、を有する、音響処理方法である。
本開示の一態様は、上記音響処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本開示によれば、疑似エンジン音の音像定位精度を向上できる。
実施形態1における音響再生システムの概要の一例を示す図 音響再生装置の機能的構成を示すブロック図 擬似エンジン音の音響信号の周波数スペクトルを示すグラフ 音響再生装置のハードウェア構成を示すブロック図 音響再生動作手順を示すフローチャート ESEスイッチがオフである場合の音響信号の周波数スペクトル、及びESEスイッチがオンである場合の音響信号の周波数スペクトルを示すグラフ 実施形態2における音響再生装置の機能的構成を示すブロック図 実施形態2における疑似エンジン音の音響信号の周波数スペクトルを示すグラフ 音響再生動作手順を示すフローチャート 実施形態3における音響再生装置の機能的構成を示すブロック図 音響再生動作手順を示すフローチャート
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る音響処理装置、音響処理方法、及びプログラムを具体的に開示した実施形態である音響再生システムを詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
また、実施形態でいう「部」又は「装置」とは単にハードウェアによって実現される物理的構成に限定されず、その構成が有する機能をプログラム等のソフトウェアにより実現されるものも含む。また、1つの構成が有する機能が2つ以上の物理的構成により実現されても、又は2つ以上の構成の機能が例えば1つの物理的構成によって実現されていても構わない。また、実施形態でいう「取得」は、単に情報や信号などを直接に取得する動作を示すものに限定されず、例えば下述する処理部が、通信部を介して取得、すなわち受信することのほか、記憶部(例えばメモリなど)から取得することのいずれも含む。これらの用語の理解や解釈は、特許請求の範囲の記載についても同様である。
(本開示の一形態を得るに至った経緯)
従来、疑似エンジン音の定位制御は、位相制御によって行われる。しかし、疑似エンジン音における中高音域の成分(例えば750Hzを超える帯域の成分)に対し位相を変化させても、定位制御することが困難である。この理由は、以下である。人間は、耳に到来する音の半波長が頭部の回折を含む両耳間の距離(約23cm)未満であると、位相制御による音の到来方向(音源)の位置を特定することが困難である。よって、音の波長が約46cm未満である約750Hzより高い周波数の音については、位相制御により定位制御することが困難である。つまり、約750Hzより高い周波数の場合、一般的な人間の両耳間の距離を加味すると、位相制御による定位制御が不十分となり、疑似エンジン音がどの方向から到来したか知覚し難く、ドライビング体験の満足度が低下し得る。
以下の実施形態では、疑似エンジン音の音像定位精度を向上できる音響処理装置、音響処理方法、及びプログラムについて説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1における音響再生システム5の概要の一例を示す図である。音響再生システム5は、ESEに従って疑似エンジン音を処理し再生し出力する。これにより、エンジン音が迫力のある音となり、車両の走行が一層快適になる。
音響再生システム5は、車両8に搭載される。車両8は、エンジンを搭載したエンジン車である。なお、車両8は、エンジンを搭載しない電気自動車(EV車)等であってもよい。
音響再生システム5は、ディスプレイオーディオ20及びスピーカ部30を含む構成である。ディスプレイオーディオ20は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介してECU(Electronic Control Unit)50に接続される。スピーカ部30は、車両8の車室内の座席や天井等に設置される。スピーカ部30では、例えば、車室内に複数(例えば4つ)のスピーカsp(31,32,33,34)(図4参照)が配置される。例えば、ダッシュボードの左右には、2つのスピーカ31,32が配置される。また、例えば、運転席及び助手席の背もたれ部には、2つのスピーカ33,34が配置される。各スピーカspは、可聴音域(例えば20Hz〜23kHz)の音を出力する。
ECU50は、車両8のエンジン制御、速度制御、舵角制御を含む各種の動作を制御する。ECU50は、プロセッサ、メモリ、通信インタフェース等の電子部品を含む。ECU50は、例えば、エンジン回転数センサによって検知されるエンジン回転数NE、及びスロットルポジションセンサによって検知されるスロットル開度THのデータを、車載ネットワークを介して入力してよい。エンジン回転数センサは、クランクシャフト等に取り付けられ、エンジン回転数NEを検知する。スロットルポジションセンサは、アクセルペダルに連結するように取り付けられ、アクセルペダルの踏込み量に対応するスロットル開度THを検知する。
ディスプレイオーディオ20は、音響再生装置10及びタッチパネル25を含む構成である。音響再生装置10は、処理部11、記憶部12及び通信部13を有する。タッチパネル25は、操作部15及び表示部16を有する。音響再生装置10は、タッチパネル25を含んでよく、操作部15及び表示部16を有してよい。音響再生装置10は、タッチパネル25を含んでもよい。
音響再生装置10は、ECU50から車載ネットワークを介してエンジン回転数NE及びスロットル開度THのデータを入力する。音響再生装置10は、エンジン回転数NE及びスロットル開度THを基に、正弦波を基本波とするエンジン音の音響信号を擬似的に生成し、疑似エンジン音を生成する。擬似エンジン音の詳細については、後述する。
処理部11は、プロセッサが記憶部12に保持されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。プロセッサは、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、等でよい。
記憶部12は、一次記憶装置(例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory))を含む。記憶部は、二次記憶装置(例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive))や三次記憶装置(例えば光ディスク、SDカード)を含んでよい。記憶部12は、各種データや情報を記憶する。
通信部13は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークに接続され、車両内の各種デバイスや車両外の装置(例えば外部サーバ)との間で、各種データや情報を通信する。
表示部16は、各種データや情報を表示する。表示部16は、例えばメニューや各種ボタンを表示する。操作部15は、各種操作を受け付ける。操作部15は、例えば、表示部16に表示されたメニューや各種ボタンに対応するスイッチ、ESE機能のオン/オフを切り替えるESEスイッチ15z、等を含む。操作部15と表示部16とはタッチパネルを構成してもよいし、タッチパネルを構成せずに独立して使用されてもよい。
なお、音響再生装置10は、ディスプレイオーディオに搭載される場合に限らず、ナビゲーション機能を有するナビゲーション装置、デジタルタコグラフ等の車載器に搭載されてもよい。
図2は、音響再生装置10の機能的構成例を示すブロック図である。音響再生装置10は、処理部11によって実現される機能である、音源111、帯域分割部112、先行音効果調整部113、位相調整部114及びミキシング部115を有する。
音源111は、例えばエンジン回転数NE及びスロットル開度THを基に、疑似エンジン音の音響信号SN6を生成する。音源111は、通信部13を介して外部サーバから音響信号SN6を取得してもよい。音響信号SN6は、複数の周波数成分を有する。音響信号SN6は、例えば、エンジン回転数NEに相当する周波数(例えば130Hz)を持つ正弦波を基音とし、この基音に、整数倍の周波数を持つ倍音(例えば260Hz,390Hz,520Hz,650Hz,780Hz,…)を加えた信号である。また、音響信号SN6は、例えば、スロットル開度THが大きい程、大きな音圧レベル(信号レベルの一例)を有する。音響信号SN6は、処理部11が記憶部12に記憶された正弦波のデータを読み出し、擬似エンジン音として処理されることで生成されてよい。なお、基音は、1倍音とも言え、倍音の1つとして扱ってもよい。
帯域分割部112は、音源111から入力された音響信号SN6を、閾値th1(例えば750Hz)以下の周波数を有する音響信号SN1と、閾値th1より高い周波数を有する音響信号SN2と、に分割する。音響信号SN1は、基音(例えば130Hz)と閾値th1以下の周波数の倍音成分(例えば260Hz,390Hz,520Hz,650Hz)を含む。音響信号SN2は、基音を含まず、閾値th1より高い周波数の倍音成分(例えば780Hz,910Hz,…)を含む。
先行音効果調整部113は、音響信号SN2を複数に分割して、各音響信号SN2に対して処理を行う。先行音効果調整部113は、音響信号SN2を所定の遅延時間(遅延量)だけ遅延させる。遅延された音響信号SN2が、音響信号SN4となる。よって、音響信号SN2,SN4が、音響信号SN1,SN3(後述)に対して後続音となる。所定の遅延時間は、例えば、先行音効果が得られる2つの音の時間差である約8ms〜16ms(略8〜16ミリ秒)のいずれかの時間差に設定される。例えば、基音の周波数が130Hzである場合、約8ms〜16msは、1〜2波長分の遅延時間に相当する。
位相調整部114は、音響信号SN1を複数に分割して、各音響信号SN1に対して処理を行う。位相調整部114は、音響信号SN1の位相を調整する。位相を調整された音響信号SN1が、音響信号SN3となる。よって、音響信号SN1,SN3は、音響信号SN2,SN4に対して先行音となる。
位相調整部114は、例えば車両8の前方に配置されたエンジン位置(エンジンの設置位置)に音響信号SN1の音像が定位されるように、定位制御を行う。つまり、この定位制御では、位相調整部114は、各スピーカspに対し、乗員がエンジン位置から音響信号SN1が聞こえるように、例えば左右2つのスピーカ31,32から発せられる音響信号SN1に位相差を持たせる。例えば運転者は、自身の前方に設置されたスピーカ31から発せられる音と、この音より位相の遅れた助手席の前に設置されたスピーカ32から発せられる音と、を一緒に聞くことで、エンジン位置から発せられた音響信号SN1であると知覚可能である。なお、エンジン位置に音像が定位されるのではなく、各席の前方(つまり乗員の正面)に音像が定位されるようにしてもよい。
ミキシング部115は、音響信号SN3と音響信号SN4とを混合(ミキシング)し、混合された音響信号SN5を生成する。音響信号SN5は、複数のスピーカ31〜34のそれぞれに対応して生成されてよい。
図3は、擬似エンジン音の音響信号SN6の周波数スペクトルの一例を示すグラフである。このグラフの縦軸は音圧を示し、横軸は周波数を示す。音響信号SN6は、例えば130Hzの基音、その2倍音成分260Hz,3倍音390Hz,4倍音520Hz,5倍音650Hz,…を含む。また、音響信号SN6では、基音(130Hz)の音圧レベルが最も高く、周波数が高くなるにつれて、その倍音成分である2倍音(260Hz),3倍音(390Hz),4倍音(520Hz),5倍音(650Hz)、…の音圧レベルは、徐々に下がっている。なお、音響信号SN6は、エンジン音の周波数特性に同様の周波数特性を有してもよいし、エンジン音の周波数特性とはあえて異なる周波数特性としてもよい。
次に、先行音効果について説明する。先行音効果は、人間の心理音響効果の1つである。2つの周波数特性が同一又は類似の音響信号が、つまり音の成分が同一又は似ている音響信号が、異なる位置で異なる時刻に出力されると、人間は、先行音に引きずられるように後続音を聞く性質を持つ。時間的に先に出力された音が先行音となり、時間的に後に出力された音が後続音となる。先行音効果は、後続音の定位位置が先行音と同じ定位位置であると知覚する効果である。この場合、後続音は、先行音の付属音のように聞こえる。
先行音効果が得られる条件として、音響信号の周波数特性が類似した構成になっていること、先行音に対して後続音が一定の遅延量(例えば約8ms〜16msのいずれかの値)であること、等がある。先行音となる音響信号SN1は、音響信号SN6のうち、閾値th1以下の周波数を有する音響信号である。後続音となる音響信号SN2は、音響信号SN6のうち、閾値th1より高い周波数を有する音響信号である。図3を参照すると、音響信号SN1及び音響信号SN2は、ともに、同様の周波数の間隔で複数の周波数成分を有し、周波数が高くなると順次音圧レベルが小さくなっていく特性を有する。よって、音響信号SN1と音響信号SN2とでは、所定の時間差を設けることで、先行音効果を発揮できる。
図4は、音響再生装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。
音源111は、複数の信号発生器150(151,152,…,15N)を含む。信号発生器150は、音響信号SN6のうち、音響信号SN1の成分を生成する。帯域分割部112は、複数の可変アンプ160(161,162,…,16N)、複数のゲイン設定部170(171,172,…,17N)、及び加算器181を含む。可変アンプ160は、利得を可変なアンプである。加算器181による加算により、複数の周波数成分を有する音響信号SN1が得られる。
また、音源111は、複数の信号発生器200(201,202,…,20M)を含む。信号発生器200は、音響信号SN6のうち、音響信号SN2の成分を生成する。帯域分割部112は、複数の可変アンプ210(211,212,…,21M)、複数のゲイン設定部220(221,222,…,22M)、及び加算器231を含む。加算器231による加算により、複数の周波数成分を有する音響信号SN1が得られる。
信号発生器150は、閾値th1以下の音を生成する。具体的には、信号発生器151は、例えばエンジン回転数NEを基に、疑似エンジン音の音響信号SN6の基音(例えば130Hzの正弦波)の信号を生成する。信号発生器152は、例えばエンジン回転数NEを基に、疑似エンジン音の音響信号SN6の2倍音(例えば260Hzの正弦波)の信号を生成する。同様に、信号発生器15Nは、例えばエンジン回転数NEを基に、疑似エンジン音の音響信号SN6のN倍音(例えばN(N=5)×130Hzの正弦波)の信号を生成する。
同様に、信号発生器200は、閾値th1より高い音を生成する。具体的には、信号発生器201は、例えばエンジン回転数NEを基に、疑似エンジン音の音響信号SN6の(N+1)倍音成分(例えば780Hzの正弦波)の信号を生成する。信号発生器202は、例えばエンジン回転数NEを基に、疑似エンジン音の音響信号SN6の(N+2)倍音(例えば910Hzの正弦波)の信号を生成する。同様に、信号発生器20Mは、例えばエンジン回転数NEを基に、疑似エンジン音の音響信号SN6の(N+M)倍音(例えば(N+M)×130Hzの正弦波)の信号を生成する。
可変アンプ160(161,162,…,16N)は、複数の信号発生器150(151,152,…,15N)で生成された閾値th1以下の音を、それぞれゲイン設定部170(171,172,…,17N)で設定されたゲインで増幅する。
同様に、可変アンプ210(211,212,…,21M)は、複数の信号発生器201,202,…,20M)で生成された閾値th1より高い周波数の音を、それぞれゲイン設定部220(221,222,…,22M)で設定されたゲインで増幅する。
ゲイン設定部170(171,172,…,17N)は、例えばスロットル開度THを基に、複数の可変アンプ160(161,162,…,16N)のゲインを設定する。同様に、ゲイン設定部220(221,222,…,22M)は、例えばスロットル開度THを基に、複数の可変アンプ210(211,212,…,21M)のゲインを設定する。
擬似エンジン音の音響信号SN6は、例えば図3に示したように、基音の音圧レベルが最も高く、倍音の音圧レベルが高次成分になるほど低くなる特性を有する。つまり、音響信号SN6は、周波数が高い程、音圧レベルが低くなる周波数スペクトルを有する。ESEでは、エンジン音の倍音成分が強調されるので、ゲイン設定部170,220は、所望の周波数スペクトルになるように、各倍音成分のゲインを設定する。
加算器181は、可変アンプ160(161,162,…,16N)でそれぞれ増幅された閾値th1以下の疑似エンジン音の基音、2倍音,…,N倍音の音響信号を加算する。加算された音響信号は、音響信号SN1となる。
同様に、加算器231は、可変アンプ210(211,212,…,21M)でそれぞれ増幅された閾値th1より高い疑似エンジン音の(N+1)倍音,(N+2)倍音,…,(N+M)倍音の音響信号を加算する。加算された音響信号は、音響信号SN2となる。
なお、ここでは、音源111は、複数の信号発生器150,200で疑似エンジン音の基音及び各倍音を生成することを例示したが、これに限られない。例えば、音源111は、1つの信号発生器150で疑似エンジン音の基音を生成し、この基音を基に整数倍の演算処理を行って、疑似エンジン音の各倍音を生成してもよい。
位相調整部114は、各スピーカsp(31〜34)に対応する複数(例えば4つ)のイコライザ190(191,192,193,194)を含む。イコライザ190は、オールパスフィルタを有する。オールパスフィルタは、信号の振幅を変えずに、各周波数成分の位相を一律に変えるフィルタである。イコライザ190(191,192,193,194)は、加算器181で加算して得られた音響信号SN1の位相を、各スピーカsp(31,32,33,34)の位置に応じて調整し、音響信号SN3を生成する。イコライザ190(191,192,193,194)は、各スピーカsp(31,32,33,34)に入力される各音響信号SNの位相を変え、各乗員が実際のエンジン位置から発せられたエンジン音を聞いているように聞こえるように、定位制御する。この場合、各イコライザ190(191,192,193,194)による位相調整量は、全て異なってもよいし、一部が同じで一部が異なってもよいし、全て同じであってもよい。
先行音効果調整部113は、各スピーカsp(31〜34)に対応する複数(例えば4つ)の遅延器240(241,242,243,244)を含む。遅延器241は、スピーカ31から出力される音響信号SN2を遅延させ、音響信号SN4を得る。同様に、遅延器242,243,244は、それぞれスピーカ32,33,34から出力される音響デー亜tSN2を遅延させ、音響信号SN4を得る。この場合、各遅延器240(241,242,243,244)による遅延量は、全て異なってもよいし、一部が同じで一部が異なってもよいし、全て同じであってもよい。
また、遅延器240により遅延される遅延時間は、各スピーカsp(31〜34)に先行音効果が得られる2つの音の時間差である8ms〜16msの範囲のいずれかの値に設定される。なお、各スピーカsp(31,32,33,34)から出力される閾値th1より高い周波数の音に対し、同じ遅延時間で先行音効果が得られる場合、共通の遅延器240が1つだけ設けられてもよい。なお、遅延器240による音響信号SN2の遅延量は、イコライザ190による音響信号SN1の位相調整量よりも大きくてよい。つまり、音響信号を時間的にずらす量が大きくてよい。
ミキシング部115は、位相調整部114によってスピーカsp(31〜34)毎に得られた音響信号SN3と、先行音効果調整部113によってスピーカsp(31〜34)毎に得られた音響信号SN4とを混合し、スピーカsp(31〜34)毎に、混合された音響信号SN5を得る。ミキシング部115は、各スピーカsp(31〜34)に対応する複数(例えば4つ)のミキサ250(251,252,253,254)を有する。
ミキサ251は、イコライザ191で位相調整された音響信号SN3と、遅延器241で遅延した音響信号SN4と、を混合した音響信号SN5を、スピーカ31に出力する。ミキサ252は、イコライザ192で位相調整された音響信号SN3と、遅延器242で遅延した音響信号SN4と、を混合した音響信号SN5を、スピーカ32に出力する。また、ミキサ253は、イコライザ193で位相調整された音響信号SN3と、遅延器243で遅延した音響信号SN4と、を混合した音響信号SN5を、スピーカ33に出力する。ミキサ254は、イコライザ194で位相調整された音響信号SN3と、遅延器244で遅延した音響信号SN4と、を混合した音響信号SN5を、スピーカ34に出力する。
なお、ここでは、車室内に設置されるスピーカ部30が4つのスピーカ31〜34で構成される場合を示したが、2つ、3つあるいは5つ以上のスピーカで構成されてもよい。この場合、音響再生装置10は、スピーカの数に対応する数の、イコライザ、遅延器及びミキサを有してよい。
次に、音響再生システム5の動作例について説明する。
図5は、音響再生動作手順の一例を示すフローチャートである。
音響再生装置10の処理部11は、操作部15に含まれるESEスイッチ15zがオンに操作されたか否かを判別する(S1)。ESEスイッチ15zがオフである場合、処理部11は、本処理を終了する。
ESEスイッチ15zがオンである場合、処理部11は、車載ネットワークを介してECU50からエンジン回転数NE及びスロットル開度THを入力する(S2)。音源111は、エンジン回転数NE及びスロットル開度THを基に、擬似エンジン音の音響信号SN6を生成する(S3)。
帯域分割部112は、音響信号SN6の帯域分割を行い、音響信号SN1と音響信号SN2を得る(S4)。位相調整部114は、音響信号SN1に対し、スピーカsp毎に位相を調整して定位制御を行い、音響信号SN3を得る(S5)。この場合、音響信号SN1の各倍音成分に対する位相調整量は、全て異なってもよいし、一部が同じで一部が異なってもよいし、全て同じであってもよい。また、先行音効果調整部113は、音響信号SN2に対し、遅延処理を行い、音響信号SN4を得る(S6)。音響信号SN2の各倍音成分に対する遅延量は、全て異なってもよいし、一部が同じで一部が異なってもよいし、全て同じであってもよい。
ミキシング部115は、音響信号SN3と音響信号SN4とをスピーカsp毎に対応して混合し、スピーカsp毎に音響信号SN5を生成する(S7)。ミキシング部115は、各スピーカspに音響信号SN5を出力(放音)する(S8)。各スピーカspは、入力した音響信号SN5に基づく音、つまりエンジン音の倍音成分が強調された音(疑似エンジン音)を発する。
図6は、ESEスイッチ15zがオフである場合のエンジン音の音響信号の周波数スペクトル、及びESEスイッチ15zがオンである場合の疑似エンジン音の音響信号SN6の周波数スペクトルを示すグラフである。グラフの縦軸は周波数を示し、横軸はエンジン回転数を示す。このグラフの実線は音圧レベルが高いことを示し、破線は音圧レベルが低いことを表す。
ESEスイッチ15zがオフである場合とESEスイッチ15zがオンである場合のいずれも、図中の枠w1で囲まれる、音響信号の基音の周波数(基本周波数)における音圧レベルは、ほぼ同じである。一方、枠w2で囲まれる、音響信号の倍音成分の周波数における音圧レベルは、ESEスイッチ15zがオフである場合に比べ、ESEスイッチ15zがオンである場合、明らかに大きくなっている。つまり、ESEにより音響信号の倍音成分が強調されている。
このように、音響再生システム5は、疑似エンジン音の音響信号SN6のうち、先行音となる音響信号SN1を用いて定位制御し、後続音となる音響信号SN2を遅延させて、先行音効果により音響信号SN1,SN2が同じ定位位置であるかのように、スピーカ部30から倍音成分が強調された疑似エンジン音を出力する。
また、音響再生システム5は、エンジン回転に同期した、エンジン音の付加音(疑似エンジン音)を生成する場合に着目し、音響再生装置10から出力された再生音の到来方向を、音の状態に依存せず乗員に対して安定させることができる。
また、疑似エンジン音を発生させる音響再生システム5では、音がどこに定位するのかが聴感上重要になる。従来の位相制御による定位制御では、中高音域において定位制御の効果が不十分であるが、音響再生装置10は、中高音域の音(音響信号SN2)に対しての処理を追加することで、中高音域の定位を明確にできる。具体的には、音響再生装置10は、閾値th1以下の低音域の音(音響信号SN1)については位相制御にて定位制御する。音響再生装置10は、中高音域の音(音響信号SN2)については低音域の音(音響信号SN1)から一定の遅延を与えて提示する。これにより、低音域の音(音響信号SN1で定位された方向に、音響信号SN2の定位が移動して感じられる。これは先行音効果を利用したものである。
以上のように、音響再生装置10(音響処理装置の一例)は、車両8のエンジン回転数NEに基づく音響信号を処理する。音響再生装置10では、音源111及び帯域分割部112(信号取得部の一例)は、閾値th1(第1の閾値の一例)(例えば750Hz)以下の複数の周波数成分を有する疑似エンジン音の音響信号SN1(第1の音響信号の一例)と、閾値th1より高い周波数を有する複数の周波数成分を有する疑似エンジン音の音響信号SN2(第2の音響信号の一例)と、を取得する。位相調整部114(位相制御部の一例)は、音響信号SN1を複数に分割し、複数の音響信号SN1のそれぞれに対して所定の位相差で(位相制御量の一例)位相を調整(位相制御の一例)し、位相が調整された音響信号SN1として、音響信号SN3(第3の音響信号の一例)を生成する。先行音効果調整部113(遅延部の一例)は、音響信号SN2を複数に分割し、複数の音響信号SN2のそれぞれに対して所定の遅延量で遅延させ、遅延された音響信号SN2として、音響信号SN4(第4の音響信号の一例)を生成する。ミキシング部115(混合部の一例)は、複数の音響信号SN3と複数の音響信号SN4とを混合して、混合された複数の音響信号SN5(第5の音響信号の一例)を生成する。
これにより、音響再生装置10は、音響信号SN1の位相を調整することで、音響信号SN1を定位制御でき、音響信号SN1の到来方向を表現できる。また、音響再生装置10は、音響信号SN2を遅延させることで、音響信号SN1に応じた先行音と、音響信号SN2に応じた後続音とによって、先行音効果を発揮させることができる。つまり後続音の到来方向が、先行音の到来方向に擬制されるので、音響再生装置10は、先行音に後続音の定位が引っぱられるように、運転者等の乗員に対し、音響信号SN5に基づく音の到来方向を、音響信号SN1の到来方向に統一して知覚させることができる。よって、音響再生装置10は、疑似エンジン音の音像定位精度を向上できる。
また、位相調整部114は、複数の音響信号SN1に対して異なる位相調整量(例えば位相差)で位相を調整してよい。先行音効果調整部113は、複数の音響信号SN2に対して異なる遅延量で遅延させてよい。ミキシング部115は、位相が調整された音響信号SN1(音響信号SN3)の1つずつと、遅延された音響信号SN2(音響信号SN4)の中の1つずつと、を混合し、複数の音響信号SN5を生成してよい。
これにより、音響再生装置10は、各音響信号SN5が出力されるスピーカspの設置位置や各音響信号の周波数等に基づいて、複数の音響信号SN1による音像定位が実現するように各位相調整量を配分し、位相調整可能である。また、音響再生装置10は、各音響信号SN5が出力されるスピーカspの設置位置や各音響信号の周波数等に基づいて、複数の音響信号SN2を用いて先行音効果が発揮させるように各遅延量を配分し、遅延させることができる。これにより、音響再生装置10は、異なる周波数を有する音響信号を同じ到来方向から発せられた音として、運転者等の乗員に知覚させることができる。
また、音源111は、異なる周波数を有する疑似エンジン音の音響信号SN6(複数の第6の音響信号の一例)を生成する信号発生器150,200(信号源の一例)を有してよい。音源111は、閾値th1以下の周波数を有する音響信号SN6を加算して、それぞれを周波数成分とする音響信号SN1を取得してよい。音源111は、閾値th1より高い周波数を有する音響信号SN6を加算して、それぞれを周波数成分とする音響信号SN2を取得してよい。
これにより、音響再生装置10は、外部サーバ等から音響信号SN1,SN2を取得せずに、自装置において音響信号SN6を生成することで、音響信号SN1,SN2を得ることができる。
また、音響信号SN1に含まれる複数の周波数成分の特性と、音響信号SN2に含まれる複数の周波数成分の特性とは、類似してよい。これにより、音響再生装置10は、音響信号SN1,SN2の周波数特性が類似することで、信号成分としては同一視でき、後続音となる音響信号SN2を、先行音となる音響信号SN1の定位に引っぱられるように、運転者等の乗員に知覚させる先行音効果を発揮できる。
また、音源111、位相調整部114、先行音効果調整部113及びミキシング部115は、車両8に搭載されてよい。音響信号SN1,SN2の各周波数成分は、車両8のエンジン回転数の基音成分又は倍音成分でよい。これにより、音響再生装置10は、車両8内において、位相調整による音像定位と先行音効果とを利用して、擬似エンジン音の音像定位を精度良く再現できる。
また、閾値th1は、略750Hzでよい。これにより、音響再生装置10は、閾値th1を用いて、定位制御可能な音響信号SN1と、位相制御による定位制御の代わりに先行音効果を利用する音響信号SN2とを明確に区別して、それぞれの特性を活かして疑似エンジン音の音像定位を行うことができる。
また、所定の遅延量は、略8ミリ秒以上であり略16ミリ秒以下であるいずれかの遅延量でよい。これにより、音響再生装置10は、後続音となる音響信号SN2について、先行音効果を得やすくできる。
また、音響再生装置10は、車両8に搭載され、複数の音響信号SN5を出力するスピーカ部sp(複数の音響出力部の一例)を備えてよい。これにより、運転者等の乗員は、高精度に音像定位された疑似エンジン音を聞くことができ、満足度の高いドライビング体験が可能である。
位相調整部114は、複数のスピーカ31〜34による複数の混合された疑似エンジン音の音響信号SN5の出力の結果、車両8における座席の正面又は車両8に設置されるエンジンの配置位置に音像が定位されるように、複数の音響信号SN1を位相制御してよい。音響再生装置100がこのように位相制御することで、運転者等の乗員は、高精度に音像定位された疑似エンジン音を聞くことができ、満足度の高いドライビング体験が可能である。
(実施形態2)
実施形態1では、擬似エンジン音の音響信号は、周波数が高くなるにつれて音圧レベルが低くなる、つまり先行音に対して後続音の音圧が低い特性を有する。しかし、擬似エンジン音の生成方法によっては、エンジン音の倍音成分の音圧レベルが基音よりも大きくなるよう生成することも可能である。後続音である倍音成分の音圧レベルが過大である場合、先行音効果が生じにくいことがある。実施形態2では、後続音の音圧レベルが過大である場合、音響再生装置は、後続音の音圧レベルを下げるようにする。
実施形態2の音響再生システム5は、実施形態1とほぼ同一の構成を有する。実施形態1と同一の構成要素については、同一の符号を用いることで、その説明を省略又は簡略化する。
図7は、実施形態2における音響再生装置10Aの機能的構成例を示すブロック図である。音響再生装置10Aは、実施形態1と比べ、音源111A及び減衰部117を有する。
音源111Aは、エンジン回転数NE及びスロットル開度THを基に、疑似エンジン音の音響信号SN6Aを生成して出力する。音源111Aは、通信部13を介して外部サーバから音響信号SN6Aを取得してもよい。音響信号SN6Aは、複数の周波数成分を有する。音響信号SN6Aは、例えば、エンジン回転数NEに相当する周波数(例えば130Hz)を持つ正弦波を基音とし、この基音に、整数倍の周波数を持つ倍音(例えば260Hz,390Hz,520Hz,650Hz,780Hz,…)を加えた信号である。また、音響信号SN6Aは、例えば、スロットル開度THが大きい程、大きな音圧レベルを有する。音響信号SN6Aは、処理部11が記憶部12に記憶された正弦波のデータを読み出し、擬似エンジン音として処理されることで生成されてよい。
音響信号SN6Aは、音源111と比較すると、基音の音圧レベルと比べ、倍音成分の音圧レベルが大きい特性を有する。図8は、音響信号SN6Aの周波数スペクトルの一例を示すグラフである。このグラフの縦軸は音圧を示し、横軸は周波数を示す。この音響信号SN6Aでは、基音の音圧レベルよりも倍音成分の音圧レベルが大きい箇所がある。後続音の音圧レベルが先行音に比べて過大に大きい場合、例えば閾値th1以上の周波数成分の音圧レベルが、閾値th1以下の周波数成分の音圧レベルよりも閾値th2以上大きい場合、先行音効果が得られない可能性がある。この場合、運転者等の乗員は、先行音から分離された音として後続音を聞くことになり、疑似エンジン音の音像定位の再現精度が低くなる。なお、閾値th2は、0以上の値である。音響信号SN6Aが帯域分割部112により帯域分割されて、本実施形態の音響信号SN1,SN2となる。
減衰部117は、音響信号SN2が音響信号SN1に対して過大であるか否かを判別する。例えば、音響信号SN1の音圧レベルよりも音響信号SN2の音圧レベルが閾値th2以上大きいか否かを判別する。つまり音響信号SN1の音圧レベルから音響信号SN2の音圧レベルを減算した減算値が、閾値th2以上であるか否かを判別する。音響信号SN2の音圧レベルが音響信号SN1の音圧レベルより閾値th2以上大きい場合、減衰部117は、音響信号SN2を減衰させ、音響信号SN2の音圧レベルを音響信号SN1以下になるように調整する。音響信号SN2の音圧レベルは、例えば音響信号SN1に対して音響信号SN2が閾値th2A(例えば−10dB)以下となるように調整される。先行音効果調整部113は、音圧レベルを低下させた音響信号SN2を遅延させる。
例えば、音響信号SN2の各周波数成分の音圧レベルの少なくとも1つが、音響信号SN1の各周波数成分の音圧レベルの少なくとも1つより閾値th2以上大きい場合に、音響信号SN2の音圧レベルが音響信号SN1の音圧レベルより閾値th2以上大きいと判別されてよい。また、音響信号SN2の各周波数成分の音圧レベルの平均値が音響信号SN1の各周波数成分の音圧レベルの平均値より閾値th2以上大きい場合、音響信号SN2の音圧レベルが音響信号SN1の音圧レベルより閾値th2以上大きいと判別されてよい。
これにより、音響再生装置10Aは、音響信号SN2,SN4の音圧レベルが音響信号SN1,SN3の音圧レベルに対して過大となることを抑制できる。よって、音響信号SN1に対応する先行音と音響信号SN2に対応する後続音とは、先行音効果により同じ音源位置(例えばエンジン位置)から発せられた音として、運転者等の乗員に知覚される。
図9は、本実施形態における音響再生動作手順の一例を示すフローチャートである。実施形態1と同一のステップについては、同一のステップ番号を付すことで、その説明を省略又は簡略化する。
音響再生装置10Aは、S1〜S4の処理を行う。S4で帯域分割部112が帯域分割を行った後、減衰部117は、音響信号SN2が音響信号SN1に対して過大であるか否かを判別する。この場合、減衰部117は、例えば、帯域分割された750Hzより高い周波数を有する音響信号SN2に含まれる倍音成分の音圧レベルが、音響信号SN1に対して閾値th2以上大きいか否かを判別する(S6A)。音響信号SN2が音響信号SN1に対して過大でない場合、先行音効果調整部113は、S6で音響信号SN2を遅延させ、音響信号SN4を生成する。
一方、S6Aにおいて、音響信号SN2が音響信号SN1に対して過大である場合、減衰部117は、音響信号SN2を減衰させる(S6B)。この場合、減衰部117は、音響信号SN1に対して音響信号SN2の音圧レベルが閾値th2A(例えば−10dB)以下となるように調整してよい。先行音効果調整部113は、S6で、音響信号SN2を遅延させる。以後の処理は、実施形態1と同様である。
このように、音響再生システム5Aでは、音響信号SN2の音圧レベルが音響信号SN1に対して過大である場合、音響再生装置10Aは、音響信号SN2を減衰させてその音圧レベルを下げることで、先行音効果を発揮させることができる。よって、音響再生装置10Aは、音響信号SN1,SN2に対応する低音域及び中高音域の定位を、音響信号SN1に対応する低音域の定位に統一して知覚させることができる。
以上のように、音響再生装置10Aでは、先行音効果調整部113(減衰部の一例)が、音響信号SN2の音圧レベル(信号レベルの一例)を減衰させてよい。これにより、音響再生装置10Aでは、音響信号SN2に対応する後続音の音圧レベルが音響信号SN1に対応する先行音の音圧レベルに対して過大であるために先行音効果が発揮できなくなり、先行音と後続音とが分離して知覚され、疑似エンジン音の定位が不安定となることを抑制できる。
また、減衰部117は、音響信号SN1の音圧レベルよりも音響信号SN2の音圧レベルが閾値th2(第2の閾値の一例)以上大きいか否かを判別してよい。減衰部117は、音響信号SN1の音圧レベルよりも音響信号SN2の音圧レベルが閾値th2以上に大きい場合、音響信号SN1よりも音響信号SN2の音圧レベルが小さくなるように、音響信号SN2を減衰させてよい。
これにより、音響再生装置10Aは、音響信号SN2の音圧レベルを小さくした後に遅延させて音響信号SN4を生成できる。つまり、後続音の音圧レベルを小さくして遅延させることができる。よって、音響再生装置10Aは、先行音と後続音とが先行音効果により同じ音源位置から発せられた音として、運転者等の乗員に知覚されるようにできる。
本実施形態では、減衰部117は、音響信号SN1に対して音響信号SN2の音圧レベルが過大である場合に、音響信号SN2を減衰させることを例示したが、これに限られない。例えば、処理部11は、音響信号SN1に対して音響信号SN2の音圧レベルが過大である場合、先行音効果調整部113による遅延の遅延量を変更してもよい。例えば、音響信号SN2の音圧レベルが大きい程、遅延量を、先行音効果が得られる2つの音の時間差のうちの長めの時間差(約8ms〜16msにおいて16msに近い値)としてもよい。
(実施形態3)
実施形態1では、エンジン回転数NEが変化し(例えば車両8の加速時、減速時)、エンジン音の周波数が変化すると、先行音に対応する音響信号SN1の周波数の変化に遅れて、後続音に対応する音響信号SN2の周波数も変化する。車両8の乗員は、この先行音及び後続音の周波数の変化によって、先に周波数が変化した音が先行音であり、後から周波数が変化した音が後続音であるとして、これらの音を区別可能である。
一方、定常走行等を行うことでエンジン回転数NEが一定であると、エンジン回転数NEに基づく疑似エンジン音の周波数が一定となり、先行音に対応する音響信号SN1,SN3と後続音に対応する音響信号SN2,SN4の周波数がいずれも一定となる。そのため、音響信号SN1,SN3と音響信号SN2,SN4のうちどちらの音響信号が先行音であるか区別することが困難となる。したがって、先行音効果が生じ難くなる。実施形態3では、音響再生装置は、車両8が定常走行になった場合、後続音を減衰させることで、音圧レベルの差を基に先行音と後続音とを区別可能にする。
実施形態3の音響再生システムは実施形態1又は実施形態2とほぼ同一の構成を有する。実施形態1又は実施形態2と同一の構成要素については、同一の符号を用いることで、その説明を省略又は簡略化する。
図10は、実施形態3における音響再生装置10Bの機能的構成例を示すブロック図である。音響再生装置10Bは、実施形態1と比べ、状態判別部118及び減衰部117Aを有する。
状態判別部118は、車両8の状態を判別する。状態判別部118は、例えば、車載ネットワークを介してECU50から入力した車両8の速度を基に、車両8が定速走行状態であるか否かを判別する。ECU50は、例えば、車速センサで車両8の速度を検知してもよいし、GPS(Global Positioning System)受信機で得られる車両位置の変化等を基に、車両8の速度を算出してもよい。
減衰部117Aは、音響信号SN2の音圧レベルを減衰させる。この場合、減衰部117Aは、疑似エンジン音の音響信号の周波数がほぼ一定の場合に、先行音と後続音とを音圧レベルで区別可能となる程度に、音響信号SN2の音圧レベルを小さくしてよい。この場合の減衰量、つまり定常走行状態において先行音効果を発揮させるための減衰量は、実施形態2における減衰量、つまり音響信号SN2の音圧レベルが過大に大きい場合の減衰量よりも大きくてよい。ここでは、減衰部117Aは、例えば、音響信号SN1に対して音響信号SN2が−15dB以下となるように、音響信号SN2減衰させてよい。
先行音効果調整部113は、音圧レベルを低下させた音響信号SN2を遅延させる。これにより、音響再生装置10Bは、車両8が定常走行状態であっても、先行音と後続音とを区別可能となるように車両8の乗員に提供できる。よって、音響再生装置10Bは、先行音効果により同じ音源位置(例えばエンジン位置)から発せられた音として、閾値th1以下の周波数の音響信号も閾値th1より高い周波数の音響信号も運転者等の乗員に知覚させることができる。
図11は、本実施形態における音響再生動作手順の一例を示すフローチャートである。実施形態1と同一のステップについては、同一のステップ番号を付すことで、その説明を省略又は簡略化する。
音響再生装置10Bは、S1〜S4の処理を行う。S4で帯域分割部112が帯域分割を行った後、状態判別部118は、車両8が定速走行状態であるか否かを判別する(S6C)。ここで、定速走行状態であるか否かは、例えば、平坦な道路を車両8が走行している場合にスロットル開度THが一定であるか、又はエンジン回転数NEが一定であるか、を基に判断されてもよい。また、定速走行状態であるか否かは、直接的に車速センサで検知される車両8の速度が一定であるか、又は車両8の現在位置を逐次検出しその時間変化である速度が一定であるか、を基に判断されてもよい。
車両8が定速走行状態にない場合、先行音効果調整部113は、S6で、音響信号SN2(音響信号SN2に含まれる倍音成分)を遅延させる。
一方、S6Cで、車両8が定速走行状態にある場合、減衰部117Aは、音響信号SN2を減衰させる(S6D)。この場合、減衰部117Aは、音響信号SN1に対して音響信号SN1の音圧レベルが閾値th3(例えば−15dB)以下となるように調整してよい。先行音効果調整部113は、S6で、音響信号SN2に含まれる倍音成分を遅延させる。以後の処理は、実施形態1と同様である。
このように、音響再生システム5Bでは、車両8が定常走行状態にあり、疑似エンジン音の周波数特性が一定であっても、音響再生装置10Bは、音響信号SN2の音圧レベルを低下させることで、先行音と後続音とを区別でき、先行音効果を発揮させることができる。よって、音響再生装置10Bは、音響信号SN1,SN2に対応する低音域及び中高音域の定位を、音響信号SN1に対応する低音域の定位に統一して知覚させることができる。
なお、本実施形態の減衰部117Aは、実施形態2における減衰部117の機能を有してもよい。この場合、減衰部117Aは、音響信号SN2が音響信号SN1に対して過大である場合、例えば音響信号SN1の音圧レベルよりも音響信号SN2の音圧レベルが閾値th2以上に大きい場合、音響信号SN1に対して音響信号SN2の音圧レベルが閾値th2A(例えば−10dB)以下となるように、音響信号SN2を減衰させてよい。よって、減衰部117Aは、車両8が定速走行状態であっても、音響信号SN1に対して音響信号SN2の音圧レベルが過大であっても、音響信号SN2の音圧レベルを減衰でき、先行音効果を生じるように、音響信号SN1,SN2に対応するスピーカspからの出力音の音圧レベルのバランスを調整できる。
以上のように、音響再生装置10Bでは、状態判別部118(第2の判別部の一例)は、車両8の走行状態の情報を判別してよい。減衰部117Aは、車両8の走行状態が定速走行状態である場合、音響信号SN2を減衰させてよい。
これにより、車両8が定常走行状態で疑似エンジン音の周波数特性が一定であっても、音響信号SN1に対応する先行音に比べて音響信号SN2に対応する後続音が大きく減衰しているので、運転者等の乗員は、先行音と後続音の区別できる。したがって、音響再生装置10Bは、先行音効果を発揮でき、先行音と後続音とが同じ定位となるように知覚させることができる。
また、減衰部117Aは、音響信号SN1の音圧レベルよりも音響信号SN2の音圧レベルが閾値th2以上に大きいか否かを判別してよい。減衰部117Aは、音響信号SN1の音圧レベルよりも音響信号SN2の音圧レベルが閾値th2以上に大きい場合、音響信号SN1よりも音響信号SN2の音圧レベルが小さくなるように、音響信号SN2を第1の減衰量(例えば−10dB)で減衰させてよい。減衰部117Aは、車両の走行状態が定速走行状態である場合、音響信号SN2を第2の減衰量(例えば−15dB)で減衰させてよい。第2の減衰量は、第1の減衰量よりも大きくてよい。第1の減衰量及び第2の減衰量は、音響信号SN1に対する音響信号SN2の音圧レベルに対応してよい。
これにより、音響再生装置10Bは、車両8が定速走行状態にある場合や後続音の音圧レベルが過大である場合においても、先行音効果を発揮できる。また、後続音が過大である場合の減衰量に比べて、定速走行状態にある場合の減衰量を大きくすることで、区別し難い定速走行状態の先行音と後続音とが、より明確に区別され得る。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
上記実施形態では、音響再生装置は、正弦波を用いて、疑似エンジン音の音響信号SN6を生成したが、実際のエンジン音、あるいは予め記憶部12に記憶されたエンジン音の音響信号を用いてもよい。実際のエンジン音、あるいは予め記憶部12に記憶されたエンジン音の音響信号を用いる場合、音響再生装置は、帯域毎に疑似エンジン音の音成分を抽出し、抽出した帯域毎の周波数成分を、閾値th1以下の周波数を有する音響信号と閾値th1より高い周波数を有する音響信号とに分割し、上記の位相調整の処理及び遅延の処理を行ってもよい。
上記実施形態における帯域分割では、人間の頭部の回折を含む両耳間の平均的な距離(約23cm)に対応する1/2波長を持つ音として、750Hzを閾値th1としたが、厳密に750Hzでなくてもよい。例えば700Hz〜800Hzの範囲のいずれかの周波数を閾値th1としてもよい。
上記実施形態では、音響再生システム5は、エンジン車に搭載される場合を示したが、非エンジン車に搭載されてもよい。例えば、非エンジン車として電気自動車(EV(Electric Vehicle)車)に搭載される場合、音響再生装置は、エンジン音の代わりに、モータ音の倍音成分を強調してよい。この場合、音響再生装置には、エンジン回転数の代わりにモータ回転数が入力され、音響信号SN6が生成されてよい。あるいは、上記のように、エンジン音の音響信号を予め記憶部12に記憶しておき、記憶された音響信号を基に音響信号SN6が生成されてもよい。このように、音響再生装置は、車両8の駆動源(例えばエンジン、モータ)の回転数に応じた音響信号を処理してよい。
また、本開示は、上記実施形態の音響再生装置の機能を実現するプログラムを、ネットワークあるいは各種記憶媒体を介して音響再生装置に供給し、この音響再生装置内のコンピュータが読み出して実行するプログラムも適用範囲である。
本開示は、疑似エンジン音の音像定位精度を向上できる音響処理装置、音響処理方法、及びプログラム等に有用である。
5 音響再生システム
10,10A,10B 音響再生装置
11 処理部
12 記憶部
13 通信部
15 操作部
15z ESEスイッチ
16 表示部
20 ディスプレイオーディオ
25 タッチパネル
30 スピーカ部
31,32,33,34 スピーカ
50 ECU
111,111A 音源
112 帯域分割部
113 先行音効果調整部
114 位相調整部
115 ミキシング部
117,117A 減衰部
118 状態判別部
151,152,15N,201,202,20M 信号発生器
161,162,16N,211,212,21N 可変アンプ
171,172,17N,221,222,22M ゲイン設定部
181,231, 加算器
191,192,193,194 イコライザ
241,242,243,244 遅延器
251,252,253,254 ミキサ
SN1,SN2,SN3,SN4,SN5,SN6,SN6A 音響信号

Claims (15)

  1. 車両のエンジン回転数に基づく音響信号を処理する音響処理装置であって、
    第1の閾値以下の周波数を有する複数の周波数成分を有する第1の音響信号と、前記第1の閾値よりも高い周波数を有する複数の周波数成分を有する第2の音響信号と、を取得する信号取得部と、
    前記第1の音響信号を複数に分割し、複数の前記第1の音響信号のそれぞれに対して所定の位相制御量で位相制御して、複数の第3の音響信号を生成する位相制御部と、
    前記第2の音響信号を複数に分割し、複数の前記第2の音響信号のそれぞれに対して所定の遅延量で遅延させて、複数の第4の音響信号を生成する遅延部と、
    前記複数の第3の音響信号と複数の前記第4の音響信号とを混合して、複数の第5の音響信号を生成する混合部と、
    を備える音響処理装置。
  2. 前記位相制御部は、複数の前記第1の音響信号に対して異なる位相制御量で位相制御し、
    前記遅延部は、複数の前記第2の音響信号に対して異なる遅延量で遅延させ、
    前記混合部は、前記第3の音響信号の中の1つずつと前記第4の音響信号の中の1つずつとを混合し、複数の前記第5の音響信号を生成する、
    請求項1に記載の音響処理装置。
  3. 前記信号取得部は、
    異なる周波数を有する複数の第6の音響信号を生成する信号源を有し、
    前記第1の閾値以下の周波数を有する前記第6の音響信号を加算して、前記第6の音響信号のそれぞれを周波数成分とする前記第1の音響信号を取得し、
    前記第1の閾値よりも高い周波数を有する前記第6の音響信号を加算して、前記第6の音響信号のそれぞれを周波数成分とする前記第2の音響信号を取得する、
    請求項1または2に記載の音響処理装置。
  4. 前記第1の音響信号に含まれる複数の周波数成分の特性と、前記第2の音響信号に含まれる複数の周波数成分の特性とは、類似する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の音響処理装置。
  5. 前記第2の音響信号の信号レベルを減衰させる減衰部、更に備える、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の音響処理装置。
  6. 前記第1の音響信号の信号レベルよりも前記第2の音響信号の信号レベルが第2の閾値以上大きいか否かを判別する第1の判別部、を更に備え、
    前記減衰部は、前記第1の音響信号の信号レベルよりも前記第2の音響信号の信号レベルが前記第2の閾値以上大きい場合、前記第1の音響信号よりも前記第2の音響信号の信号レベルが小さくなるように、前記第2の音響信号を減衰させる、
    請求項5に記載の音響処理装置。
  7. 前記車両の走行状態の情報を判別する第2の判別部、を更に備え、
    前記減衰部は、前記車両の走行状態が定速走行状態である場合、前記第2の音響信号を減衰させる、
    請求項5に記載の音響処理装置。
  8. 前記第1の音響信号の信号レベルよりも前記第2の音響信号の信号レベルが第2の閾値以上大きいか否かを判別する第1の判別部と、
    前記車両の走行状態の情報を判別する第2の判別部と、を更に備え、
    前記減衰部は、
    前記第1の音響信号の信号レベルよりも前記第2の音響信号の信号レベルが前記第2の閾値以上大きい場合、前記第1の音響信号よりも前記第2の音響信号の信号レベルが小さくなるように、前記第2の音響信号を第1の減衰量で減衰させ、
    前記車両の走行状態が定速走行状態である場合、前記第2の音響信号を第2の減衰量で減衰させ、
    前記第2の減衰量は、前記第1の減衰量よりも大きい、
    請求項5に記載の音響処理装置。
  9. 前記信号取得部、前記位相制御部、前記遅延部、及び前記混合部は、車両に搭載され、
    前記第1の音響信号及び前記第2の音響信号の各周波数成分は、前記車両のエンジン回転数の基音成分又は倍音成分である、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の音響処理装置。
  10. 前記第1の閾値は、略750Hzである、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の音響処理装置。
  11. 前記所定の遅延量は、略8ミリ秒以上であり略16ミリ秒以下であるいずれかの遅延量である、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の音響処理装置。
  12. 前記車両に搭載され、複数の前記第5の音響信号を出力する複数の音響出力部、を更に備える、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の音響処理装置。
  13. 前記位相制御部は、前記複数の音響出力部による複数の前記第5の音響信号の出力の結果、前記車両における座席の正面又は前記車両に設置されるエンジンの配置位置に音像が定位されるように、複数の前記第1の音響信号を位相制御する、
    請求項12に記載の音響処理装置。
  14. 車両のエンジン回転数に基づく音響信号を処理する音響処理方法であって、
    第1の閾値以下の周波数を有する複数の周波数成分を有する第1の音響信号と、前記第1の閾値よりも高い周波数を有する複数の周波数成分を有する第2の音響信号と、を取得するステップと、
    前記第1の音響信号を複数に分割し、複数の前記第1の音響信号のそれぞれに対して所定の位相制御量で位相制御して、複数の第3の音響信号を生成するステップと、
    前記第2の音響信号を複数に分割し、複数の前記第2の音響信号のそれぞれに対して所定の遅延量で遅延させて、複数の第4の音響信号を生成するステップと、
    前記複数の第3の音響信号と複数の前記第4の音響信号とを混合して、複数の第5の音響信号を生成するステップと、
    を有する音響処理方法。
  15. 請求項14に記載の音響処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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