JP2020163249A - 脱水促進材 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の脱水促進材には、無水石膏、特に天然無水石膏が含有される。本発明においては、例えば、天然無水石膏(タイ産)を用いることができる。その物性を、工業無水石膏(旭硝子(株)製)と比較して以下に示す。
各無水石膏について、湿式粒度分布から求めた平均粒子径D50を、下記表1にまとめる。なお、分散媒としては水を用い、超音波分散による前処理を施した後、粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製)により求めた。
なお、天然無水石膏の平均粒子径D50が5μm未満と小さい場合には、泥水に良好に分散せず、脱水剤の機能が損なわれるおそれがある。一方、天然無水石膏の平均粒子径D50が100μmを超えて大きい場合には、他の成分との粒径の乖離が発生し、偏析が起こりうるという点で好ましくない。したがって、本発明においては、平均粒子径D50が5〜100μmの天然無水石膏が用いられる。天然無水石膏の平均粒子径D50は、好ましくは10〜40μmであり、より好ましくは15〜30μmである。
下記表2には、各無水石膏の乾式粒度をまとめる。乾式粒度は、目開き150μmの篩と、目開き90μmの篩とを用いて測定した。
全自動多目的X線解説装置(D8 ADVANCE ブルカー・エイエックス社製)を用いて、天然無水石膏(タイ産)及び工業無水石膏(旭硝子(株)製)の結晶子を測定した。測定条件は以下のとおりとした。
・管電圧、管電流:40kV、40mA
・走査範囲:20〜50° ・ステップ幅:0.02° ・計測時間:1S/ステップ
・発散スリット、受光スリット:いずれも0.3°
結晶子は、(020)面のピークからシェラーの式より算出した。結晶子の算出は、装置による自動計算で行われる。
D=Kλ/(Bcosθ)
(D:結晶子サイズ、 K:シェラー定数(0.9)、 λ:X線波長
B:ピーク半地幅、 θ:ブラッグ角)
得られた結果を、下記表4にまとめる。
天然無水石膏は、工業無水石膏より配向性が高いことから、長さ方向に成長した繊維状を有していると推測される。下記表5には、(020)面と(102)面との強度比を示す。
比(I(020)/I(102))が小さすぎる場合は、配向性が高くなく、長さ方向へ成長した繊維状を示さないことから、泥水への分散性に悪影響を及ぼすと考えられる。比(I(020)/I(102))を5以上に規定することにより、泥水への分散性が向上することが見出された。容易に測定可能な強度比の範囲を考慮すると、比(I(020)/I(102))の上限は50程度とすることができる。
本発明の脱水促進材は、上述したような天然無水石膏とポリマーとを混合して調製することができる。ポリマーは、凝集によるフロックの肥大化という効果を付与する。ポリマーが少なすぎる場合には、所望の効果を十分に得ることができない。一方、ポリマーが過剰に配合されても効果が顕著に向上するわけではない。ポリマーは、天然無水石膏100質量部に対し、10〜15質量部の割合で用いることが好ましい。
また、スルホン酸塩とアクリルアミドとの共重合体におけるスルホン酸としては、例えば、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等を挙げることができる。
本発明の脱水促進材には、硫酸アルミニウム、ソーダ灰、粉末ポリ塩化アルミニウム(PAC)、珪藻土(P1200)等が含有されていてもよい。こうした成分は、天然無水石膏100質量部に対して、それぞれ以下の割合で用いることが好ましい。
硫酸アルミニウム:15〜30質量部
アルギン酸:1〜10質量部
ソーダ灰:10〜20質量部
粉末PAC:0.5〜10質量部
珪藻土:5〜20質量部
本発明の脱水促進材は、天然無水石膏に対し、所定量のポリマー、及び硫酸アルミニウム等の成分を配合し、粉体用混合機等を用いて混合することによって作製することができる。
<使用する石膏の選定>
まず、天然無水石膏と工業無水石膏について、脱水性能の確認を行った。具体的には、ため池底質に天然無水石膏と工業無水石膏とをそれぞれ添加し、フロックの形成試験、及び沈降試験を行った。
ため池底質25gに水475gを加えて、泥水500gを調製した。得られた泥水に、天然無水石膏(タイ産)と工業無水石膏(旭硝子社製)とを0.3gずつ添加し、試料を作製した。
(試験の内容)
フロック形成試験:作製した天然無水石膏添加の泥水と工業無水石膏添加の泥水とを、それぞれ、汎用攪拌機(新東科学株式会社製 汎用撹拌機BL300)を用いて混合速度200rpmで撹拌した。1分後、篩(篩目850μm)にて泥水を漉し、篩上に残った分量について質量測定を行った。測定結果を下記表6に示す。
天然無水石膏100質量部に対し、下記表8に示す質量部で、ポリマー、硫酸アルミニウム、アルギン酸(粗粉)、ソーダ灰、粉末ポリ塩化アルミニウム(PAC)、珪藻土(P1200)を配合して、実施例1〜10の脱水促進材を作製した。
上述のように作製された実施例1〜10の脱水促進材、及び比較例の脱水促進材を評価するために、福島県の所定のため池から採取した底質土25gと水道水475gとを混合して、500gの汚水を調製した。汚水に試料を加えてフロックを形成し、フロック形成速度、フロックの大きさ、上水のpH、及び上水の透明度を調べた。
1リットルのガラスビーカーに上記泥水を収容し、0.3g(0.06質量%)の脱水促進材をそれぞれ加えた。汎用撹拌機(新東科学株式会社製 BL300)を用いて、目視により観察しつつ、回転数200rpmで攪拌して脱水促進材と汚水とを混合した。
汚水中の脱水促進材の分散状態を目視により観察したところ、実施例1〜10の脱水促進材は、比較例の脱水促進材より良好に分散していることが確認された。
混合開始からフロックが形成されるまでの時間(tF)を測定し、以下のようにフロック形成速度を評価した。
◎:tF≦30sec
○:30sec<tF≦60sec
△:60sec<tF≦120sec
×:tF>120sec
なお、フロックが形成されない場合も、フロック形成速度は“×”とした。
フロック形成速度は、“△”、“○”、“◎”を合格とする。
フロックを含有する汚水を目開き850μmの円形篩を用いて分離して、篩上に残ったフロックの大きさを測定した。フロックの大きさとは、泥水中に形成されたフロックの大きさをさし、目視及びビーカーの外からの計測により求めた。フロックの大きさが5mm以上10mm以下であれば“大”とし、1mm以上5mm未満であれば“小”とする。
篩下の水分のpHは、卓上型pHメーターにより測定した。pHは、5〜9程度であることが好ましく、5.8〜8.6程度であることがより好ましい。
篩下の水分の透明度は、目視により調べ、以下の基準により評価した。
◎:浮遊物が見られず、水が透明になる
○:浮遊物が若干あるが、水がほぼ透明になる
△:浮遊物が若干あり、水に若干の濁りがある
×:浮遊物があり、水に濁りがある
透明度が優れていることは、汚水中の汚濁浮遊物が沈降したことに相当する。
Claims (4)
- 無水石膏を含有する脱水促進材であって、
前記無水石膏は、平均粒子径D50が5〜100μmであり、
X線回折により求められるピーク強度のうち、(020)面のピーク強度(I(020))と、(102)面のピーク強度(I(102))との比(I(020)/I(102))が、5以上であることを特徴とする脱水促進材。 - 前記比(I(020)/I(102))が50以下であることを特徴とする請求項1に記載の脱水促進材。
- 前記無水石膏は天然無水石膏であることを特徴とする請求項1または2に記載の脱水促進材。
- 前記無水石膏100質量部に対して、10〜15質量部のポリマーが配合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脱水促進材。
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