JP2020159472A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents
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−ホイールローダ−
図1は本発明の第1実施形態に係る車両用動力伝達装置を適用する建設機械の一例であるホイールローダの側面図である。図1において図中の左側を前方とする。同図に示したホイールローダ1はホイール式の作業車両の代表例であり、左右の前車輪2が設けられた前部車体3と左右の後車輪4が設けられた後部車体5とが、センタヒンジ6を介して左右方向に屈曲可能に連結されたアーティキュレート式の車両である。前部車体3の下側には、左右方向に延びるフロントアクスル(前車軸)11が設けられ、フロントアクスル11の両端に左右の前車輪2が取り付けられている。後部車体5の下側には、左右方向に延びるリヤアクスル(後車軸)12が設けられ、リヤアクスル12の両端には左右の後車輪4が取り付けられている。
図2は動力伝達装置20の右前方から見た斜視図、図3は一部破断側面図、図4は右方から見た部分断面図である。動力伝達装置20は原動機10の回転出力を油圧ポンプ15や前車輪2及び後車輪4に伝達する役割を果たし、図4に示すように、ケーシング30、伝達軸40、トルクコンバータ50、変速機60、及びロックアップ装置70を含んで構成されている。
ケーシング30は動力伝達装置20の外殻を構成する部材であり、フロントケーシング30a、中間ケーシング30b、リヤケーシング30c及びカバー30dといった複数の分割パーツを連結して構成されている。フロントケーシング30aは椀型に形成されたケーシング30の前部パーツである。このフロントケーシング30aの上部には、外部に油圧ポンプ15が取り付けられている。また、フロントケーシング30aの下部からは、出力軸62が前後に突出している。リヤケーシング30cは筒状に形成されたケーシング30の後部パーツである。トルクコンバータ50やロックアップ装置70はこのリヤケーシング30cの内部に配置されている。中間ケーシング30bは筒状に形成されたケーシング30の前後方向の中間部のパーツであり、フロントケーシング30aとリヤケーシング30cとの間に介在し、フロントケーシング30aとリヤケーシング30cとを連結している。変速機60はこの中間ケーシング30bの内部に配置されている。カバー30dはリヤケーシング30cの後端部を塞ぐプレート状の部材である。カバー30dからは、動力伝達装置20の入力軸としての継手45(後述)が後方に突出している。
伝達軸40は前後方向に水平に延び、内軸41とこれを包囲する外軸42とを含んで構成されている。内軸41と外軸42は同心であり、互いに独立して回転可能な内軸41と外軸42とで二重構造とすることにより、伝達軸40を介して原動機10の動力を油圧ポンプ15及び走行系の2系統に分配して伝達できるように構成されている。また、外軸42の内部に内軸41を収めた構成とすることで、動力伝達装置20の小型化にも貢献している。
変速機60は、入力ギヤ61に入力された回転を変速して出力軸62に出力する機構を含んで構成された装置である。入力ギヤ61は、ケーシング30(中間ケーシング30b)の内部において外軸42に取り付けられた出力ギヤ46と噛み合っている。出力軸62はケーシング30の下部においてケーシング30の前後に突出しており、前後のプロペラシャフト13,14に連結されている。これにより外軸42の回転が変速機60を介して変速されて前車輪2及び後車輪4に伝達される。変速機の構成については、特許第6197249号公報等に詳細に記載されている。
トルクコンバータ50は流体継手の一種であり、図4に示すように、固定軸51、一次回転体52、二次回転体53等を含んで構成されている。固定軸51はケーシング30に対してトルクコンバータ50を取り付けるフランジ管型の部品であり、内側に伝達軸40(内軸41及び外軸42)を通した状態で中間ケーシング30bの後端面にボルト(不図示)により固定されている。
ロックアップ装置70は、トルクコンバータ50の流体を介することなく、原動機10の回転を変速機60に直接伝達する装置である。具体的には、ロックアップ装置70は油圧駆動式のクラッチを含んで構成されており、トルクコンバータ50のカバープレート54と一次回転体52との間に介在し原動機10の出力軸と一体に回転する。そして、二次回転体53と固定関係にあるディスクをクラッチで挟み込むことにより一次回転体52と二次回転体53とを摩擦力で連結する。こうして一次回転体52と二次回転体53とを連結することで、ロックアップ装置70はトルクコンバータ50の潤滑油の流れを介することなく原動機10の動力を外軸42ひいては変速機60に機械的に直接伝達する。ディスクとクラッチとの連結を解けば、トルクコンバータ50の潤滑油を介して原動機10の動力が外軸42に伝達される状態に復帰する。ロックアップ装置の構成については、特許第6197249号公報等に詳細に記載されている。
動力伝達装置20の内部には、軸受やギヤ等、2つの可動部品が接触する箇所が多数存在するため、これらの接触部に潤滑油を供給する潤滑油経路が複数必要になる。ここでは、これら潤滑油経路の要部を説明する。
図5は外軸42の結合部の拡大断面図、図6は第2分割軸42bに対する第1分割軸42aの挿し込み部を径方向外側から見た図、図7はその挿し込み部の端面を軸方向から見た図である。また、図8は図5中のIX−IX線による矢視断面図である。
ホイールローダ1の原動機10を始動させると、原動機10の回転出力が継手45を介して内軸41に伝達される。内軸41を介して伝達される動力により油圧ポンプ15と一次回転体52とが回転する。一次回転体52の回転はギヤ57を介して循環ポンプ80に伝達され、先に説明した潤滑油経路に潤滑油が流れて循環する。また、油圧ポンプ15から吐出される圧油は、オペレータの操作に応じて作業機用の油圧アクチュエータ(不図示)に供給され、これにより作業機8が駆動される。
本実施形態によれば、長尺の外軸42に分割構造を採用し、第1分割軸42aのローレット加工を施した挿し込み部42a1を第2分割軸42bに締り嵌め構造で結合した。ローレット加工の微小な多数の山が第2分割軸42bの内周面に食い込むため、円筒同士を単に圧入する場合に比べて大きな伝達トルクに耐え得る構造とすることができる。また、仮に外軸42の結合に焼き嵌めを採用した場合、外軸42の熱変形が軸受33等の偏摩耗の要因となり得るが、本実施形態の場合は第1分割軸42aと第2分割軸42bの結合に焼き嵌め等の加熱工程がないため変形による軸受33等の偏摩耗も抑制できる。一般的なスプライン結合で生じる結合部のガタツキもないため、第1分割軸42aと第2分割軸42bとの結合部において互いの接触面間の摩耗も抑制することができる。
図9は本発明の第2実施形態に係る車両用動力伝達装置に備えられた外軸の第2分割軸に対する第1分割軸の挿し込み部を径方向外側から見た図、図10はその挿し込み部の端面を軸方向から見た図である。これら図9及び図10は第1実施形態の図6及びにそれぞれ対応している。図9及び図10において第1実施形態と同様の又は対応する要素には既出図面と同符号を付して説明を省略する。
以上においては、ホイールローダ1の後部車体5に動力伝達装置20を搭載した場合を例示したが、例えば前部車体3に動力伝達装置20を搭載する構成としても良い。また、動力伝達装置20を搭載する作業車両としてホイールローダ1を例示したが、例えばホイール式ショベル等の建設車両、リフトトラック等の運搬車両、トラクタ等の農業車両といった他の作業車両にも本発明は広く適用することができる。
Claims (4)
- 外郭を構成するケーシングと、
作業車両に搭載された原動機の出力軸と油圧ポンプの回転軸を連結する内軸と、
第1分割軸を第2分割軸に挿し込んで連結することにより構成され、内側に前記内軸を通すと共に前記第2分割軸と前記内軸との間に環状の油路を形成する筒状の外軸と、
前記外軸の長手方向の一端部を支持する第1軸受と、
前記外軸の長手方向の他端部を支持する第2軸受と、
前記外軸の長手方向の中間部を支持する第3軸受と、
前記内軸と前記外軸とを流体を介して間接的に接続し前記原動機の動力を前記外軸に伝達するトルクコンバータと、
前記外軸の回転を前記作業車両の車輪に変速して伝達する変速機と、
前記外軸の外周面における前記第1分割軸と前記第2分割軸との継ぎ目を包囲して前記第3軸受に隣接するように形成された油室とを備えた車両用動力伝達装置において、
前記第2分割軸に対する前記第1分割軸の挿し込み部がローレット加工を施した外周面を有すると共に前記外周面に少なくとも1条の螺旋溝が設けられており、前記第2分割軸に対して前記第1分割軸が締り嵌め構造で結合されて前記油路と前記油室とが前記螺旋溝で連絡されていることを特徴とする車両用動力伝達装置。 - 請求項1に記載の車両用動力伝達装置において、前記螺旋溝が、前記外軸の半径方向の外側から見て前記油路に向かって前記外軸の回転方向に傾斜していることを特徴とする車両用動力伝達装置。
- 請求項1に記載の車両用動力伝達装置において、前記螺旋溝が1条のみであり、前記螺旋溝の周回数が2周以上であることを特徴とする車両用動力伝達装置。
- 請求項1に記載の車両用動力伝達装置において、前記螺旋溝が複数であり、前記螺旋溝の周回数が1周未満であることを特徴とする車両用動力伝達装置。
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CN114263726A (zh) * | 2021-11-16 | 2022-04-01 | 煤炭科学研究总院 | 润滑装置和采煤机 |
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WO2023155759A1 (zh) * | 2022-02-17 | 2023-08-24 | 大连富地重工机械制造有限公司 | 一种纠错自锁传动对接装置 |
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WO2023155759A1 (zh) * | 2022-02-17 | 2023-08-24 | 大连富地重工机械制造有限公司 | 一种纠错自锁传动对接装置 |
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