JP2020157232A - 塗膜除去方法 - Google Patents

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將司 杉浦
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Abstract

【課題】 治具に付着した塗膜を短時間で除去することができる塗膜除去方法を提供すること。【解決手段】 被塗物(W)を吊り下げるフック部(122)が形成された子治具(12)及び子治具を支持する親治具(11)を有する治具(10)に付着した塗膜を除去する塗膜除去方法であって、親治具から分離されて所定位置にセットされた子治具のフック部のうち被塗物との接触部位に、レーザ光を出射するレーザヘッド(312)を有するレーザ照射装置(31)を用いてレーザ光を照射することにより、接触部位に付着した塗膜のみを除去する塗膜除去工程を含む、塗膜除去方法とすること。【選択図】 図4

Description

本発明は、被塗物を保持する冶具に付着した塗膜を除去するための塗膜除去方法に関する。
電着塗装を実施する場合、被塗物は、冶具に保持された状態で、電着槽内の電着塗料中に浸漬される。そして、電着塗料中に浸漬した被塗物に所定の電圧を印加することによって、被塗物表面が塗装される。このとき、治具を経由して被塗物に通電されるため、治具表面も被塗物と同時に塗装される。
治具表面のうち被塗物との接触部位(以下、治具の接触部位)は、初期には塗装されないが、治具を何度も使い回していくと、やがて、治具の接触部位にまで塗膜が形成されてしまう。治具の接触部位に塗膜が形成されると、被塗物と治具との電気的な接続状態が悪化する。つまり治具の接触部位に形成された塗膜により、被塗物と治具との間の電気抵抗が増大する。このため被塗物に十分に通電することができず、その結果、塗装不良を引き起こす。
上記した塗装不良の発生を防止するため、治具に付着した塗膜が定期的に除去される。一般的に、治具に付着した塗膜の除去は、例えば特許文献1に記載のように、治具全体を強アルカリ水溶液或いは溶剤等の剥離剤に浸漬させ、剥離剤によって塗膜を治具から剥離させることにより、行われる。
特開2005−326424号公報
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載の塗膜の剥離方法では、塗膜の除去に長時間を要するため生産性が悪いという問題が生じる。また、治具全体を剥離剤に浸漬するために、広い作業スペースが必要となり、スペース的に不利である。そこで、本発明は、上記した不具合を解消することができる塗膜除去方法を提供することを、目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、被塗物(W)を吊り下げるフック部(122)が形成された子治具(12)及び子治具を支持する親治具(11)を有する治具(10)に付着した塗膜を除去する塗膜除去方法であって、親治具から分離されて所定位置にセットされた子治具のフック部のうち被塗物との接触部位に、レーザ光を出射するレーザヘッド(312)を有するレーザ照射装置(31)を用いてレーザ光を照射することにより、接触部位に付着した塗膜のみを除去する塗膜除去工程を含む、塗膜除去方法を提供する。
本発明によれば、レーザ光を照射することにより治具に付着した塗膜を除去する方法を採用することにより、剥離剤を用いて塗膜を除去する方法と比較して、より短時間で塗膜を除去することができる。また、親治具から分離された子治具のみをレーザ光の照射対象にすることにより、作業スペースに親治具を設置する必要がなく、小さい子治具を作業スペースに設置すればよい。このため作業スペースのコンパクト化を図ることができる。加えて、子治具のフック部のうち被塗物との接触部位に付着した塗膜のみをレーザ照射によって除去すればよいので、より一層、塗膜の除去時間の短縮化を図ることができる。
また、本発明に係る塗膜除去方法は、塗膜除去工程の前に実施され、レーザヘッドから出射されるレーザ光の光軸方向におけるレーザヘッドと子冶具の接触部位との間の光軸方向距離が適正距離(LS)となるように、光軸方向におけるレーザヘッドの光軸方向位置を基準位置に設定するティーチング工程を含むとよい。この場合、ティーチング工程は、レーザヘッドに固定された距離検出センサ(35)により、所定位置にセットされた子冶具のマスターワークのうち接触部位に対応する部位と距離検出センサとの間の距離を第一距離(L1)として検出するとともに検出された第一距離を表示装置(37)に表示する距離表示工程と、表示装置に表示された第一距離が、適正距離に対応して予め定められている基準距離(L0)になるように、レーザヘッドの位置を調整する位置調整工程と、位置調整工程にて調整されたレーザヘッドの光軸方向位置を基準位置に設定する基準位置設定工程と、を含むとよい。
これによれば、ティーチング工程にて距離検出センサによりマスターワークと距離検出センサとの間の第一距離が検出されるとともに表示装置にその距離が表示される。従って、作業者は、表示装置に表示された第一距離が、適正距離に対応して予め定められている基準距離になるように(一致するように)、レーザヘッドを移動することができる。このようにして、比較的容易にレーザヘッドのティーチングを実施することができるため、ティーチング作業性が向上するとともにティーチング時間の短縮化を図ることができる。
上記「適正距離」は、レーザヘッドから出射されるレーザ光が子治具の接触部位に照射されたときに、接触部位に付着した塗膜がレーザ光の熱によってほぼ除去され、且つ、接触部位を構成する子治具の母材が溶融するなどの損傷を生じることのない距離である。この適正距離は、予め調査して決定することができる。この場合、例えば、レーザヘッドから出射するレーザ光の焦点距離を適正距離と定義することができる。
また、塗膜除去工程は、光軸方向位置がティーチング工程にて設定された基準位置にあるレーザヘッドからレーザ光を出射しながらレーザヘッドを光軸方向に垂直な方向であって接触部位を横断する横断方向に移動させることにより、所定位置にセットされた子冶具の接触部位にレーザ光を照射する工程であるとよい。これによれば、子冶具の接触部位を横断するようにレーザ光を走査することにより、接触部位に付着した塗膜を除去することができる。
この場合、塗膜除去工程は、距離検出センサによって、所定位置にセットされた子冶具の接触部位と距離検出センサとの間の距離を第二距離(L2)として検出しながらレーザヘッドを横断方向に移動させることにより、レーザ光を接触部位に照射する照射工程と、照射工程にて第二距離が基準距離から許容範囲(LB)内で変動したときに、第二距離が基準距離に近づくようにレーザヘッドの位置を補正する補正工程と、を含むとよい。これによれば、子冶具の接触部位が許容範囲内で変形している場合であっても、その変形した接触部位に付着した塗膜を精度よく除去することができる。
また、塗膜除去工程は、距離検出センサによって、所定位置にセットされた子冶具の接触部位と距離検出センサとの間の距離を第二距離として検出しながらレーザヘッドを横断方向に移動させることにより、レーザ光を接触部位に照射する照射工程と、照射工程にて第二距離が基準距離から許容範囲を超えて変動したときに、異常を報知する異常報知工程と、を含んでもよい。これによれば、子冶具の接触部位が許容範囲を超えて変形している場合に異常を報知することにより、接触部位が大きく変形した子冶具を再度使用することを防止することができる。
また、レーザヘッド又は距離検出センサには、エアーブロー装置(36)が取り付けられていてもよい。この場合、塗膜除去工程にて、エアーブロー装置から、レーザヘッドから出射されるレーザ光の光軸を横断する方向に向けてエアーが噴出されるとよい。これによれば、塗膜除去工程にてエアーブロー装置から噴出したエアーにより、レーザ光の照射位置から生じてレーザヘッドに向かう煙が吹き流される。このため、煙がレーザヘッドに到達してレーザヘッド内の部品(例えばレンズ)が汚染されることを防止することができる。
図1は、本実施形態に係る治具の正面図である。 図2は、治具のフック部に吊り下げられた被塗物を電着塗装するための電着塗装装置の概略図である。 図3は、親治具から子治具を分離する様子を示す図である 図4は、親治具から分離された子治具に付着した塗膜を除去するための塗膜除去装置の概略図である。 図5は、レーザヘッドから出射されるレーザ光と、距離検出センサにより検出される距離との関係を表す模式図である。 図6は、作業台の所定位置に配設された子冶具と、照射開始位置にあるレーザヘッドから出射したレーザ光の照射スポットとの位置関係を上方から表した模式図である。 図7は、接触部位に付着した塗膜が除去されたフック部の断面概略図である。 図8は、レーザヘッドから出射されるレーザ光と、エアーブロー装置から噴出されるエアーの流れとの関係を示す模式図である。 図9は、制御装置が実行する照射位置調整処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。 図10は、補正工程によりレーザヘッドの位置が補正される様子を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、本実施形態に係る塗膜除去方法により塗膜が除去される対象としての治具について説明する。図1は、本実施形態に係る治具10の正面図である。図1に示すように、治具10は、金属製の親治具11及び子治具12を有する。親治具11は、枠体状のフレーム部111と、フレーム部111の上辺111aから上方に立設した一対の連結部112,112を有する。
子治具12は、長尺状の軸部121と、フック部122とを有する。軸部121の両端が、フレーム部111の両側辺111b,111bに設けられた係合部111c,111cに係合することにより、子治具12が親治具11に支持される。子治具12が親治具11に支持されたとき、子治具12の軸部121は図1に示すように水平に保たれる。
フック部122は、軸部121の軸方向(水平方向)に沿った複数個所(図1では2箇所)に軸部121から垂れ下がるように形成される。そして、このフック部122に、塗装される被塗物が吊り下げられる。軸部121に形成されるフック部122の個数は、1個でもよいし3個以上でもよい。
図2は、治具10のフック部122に吊り下げられた被塗物を電着塗装するための電着塗装装置の概略図である。図2に示すように、電着塗装装置20は、電着槽21と、電極22と、電源23と、ベルトコンベア等の移送機構24と、図略の制御装置とを備える。電着槽21は図2の紙面に垂直な方向(奥行方向)に長く形成された槽であり、内部に凹部空間が形成されるとともに、その凹部空間の上部が開口している。この電着槽21の上方に移送機構24が設置される。移送機構24は電着槽21の上方位置にて電着槽21の長手方向(奥行方向)に移動可能に配設される。
移送機構24に治具10が取り付けられる。具体的には、親治具11が有する一対の連結部112,112の上部に形成された嵌合部112a,112aが、移送機構24に嵌合することにより、治具10が移送機構24に取り付けられる。従って、治具10は、移送機構24に吊り下げられた状態にされる。上記したように移送機構24は電着槽21の上部に設けられているので、移送機構24に吊り下げられた治具10は、電着槽21の凹部空間内に配設されることになる。また、電着槽21の凹部空間内には電着塗料が充填される。従って、移送機構24に吊り下げられた治具10は、電着槽21内の電着塗料に浸漬される。
また、被塗物Wが治具10に取り付けられる。具体的には、被塗物Wの上部に設けられた取付孔W1が、子治具12に形成されているフック部122に挿通されることにより、被塗物Wがフック部122に吊り下げられるようにして、治具10に取り付けられる。治具10に取り付けられた被塗物Wは、治具10とともに、電着槽21内の電着塗料に浸漬される。
また、電着槽21内に電極22が設けられている。電極22は、電着槽21内の電着塗料に浸漬される。電極22は、電源23のマイナス端子に電気的に接続される。一方、電源23のプラス端子は、移送機構24に電気的に接続される。
被塗物Wを電着塗装する場合、電着槽21内の電着塗料中に治具10及びそれに取り付けられた被塗物Wが浸漬した状態で、電源23によって電極22と移送機構24との間に所定の電圧が印加される。これにより、被塗物Wが、移送機構24及び治具10を介してプラスに帯電される。そのためマイナスに帯電した電着塗料が被塗物Wに付着して被塗物Wが塗装される。また、移送機構24が駆動することにより、被塗物W及びそれが取り付けられた治具10が電着槽21の長手方向に移送される。従って、被塗物Wは、電着槽21の長手方向に移送されながら、電着槽21内で電着塗装される。なお、この例に示した電着塗装はカチオン電着塗装である。
上記のようにして被塗物Wを電着塗装した場合、被塗物Wとともに、被塗物Wが取り付けられている治具10も塗装される。また、電着塗装中に、被塗物Wは、子治具12のフック部122に吊り下げられているので、被塗物Wとフック部122が接触する。従って、被塗物Wは、電着塗装中に、フック部122の接触部位から給電されることになる。フック部122の接触部位は、被塗物Wと接触しているため初期の段階では塗装されることはないが、治具10を繰り返して使い回ししていくうちに、接触部位にまで電着塗料が浸透するため、やがて接触部位も塗装されてしまう。また、電着塗装中に被塗物Wが治具10に対して動いた場合、フック部122との接触位置がずれるので、それまで接触部位であった部分が電着塗料に浸される。これによっても、フック部122の接触部位が塗装されてしまう。
フック部122の接触部位が塗装された場合、塗膜の電気抵抗によって被塗物Wと子治具12との間に流れる電流が制限される。このため、十分に被塗物Wに電流を流すことができず、その結果、塗装不良が生じる虞がある。従って、定期的に治具10に付着した塗膜を除去する必要がある。
従来では、特許文献1に示すように、治具10の全体を、例えば強アルカリ性の水溶液等の剥離剤中に浸漬させて、治具10に付着した塗膜を剥離していたが、この方法では剥離時間が長期化するために生産性が悪い。また、治具10の全体を剥離剤に浸漬させるためのスペースの確保が必要であり、そのため作業スペースが増大し、スペース的に不利である。
一方、本実施形態に係る塗膜の除去方法は、親治具11から子治具12を分離し、分離した子治具12を所定位置にセットし、所定位置にセットした子治具12のみを塗膜の除去対象とする。
図3は、親治具11から子治具12を分離する様子を示す図である。図3に示すように、親治具11の係合部111c、111cに係合している子治具12を、親治具11から取り外す。こうして親治具11から分離した子治具12に付着した塗膜を除去する。このようにすれば、塗膜の除去に大きな親治具11を設置する作業スペースを必要とせず、小さな子治具12のみを設置する作業スペースを確保すればよいので、作業スペースのコンパクト化を図ることができる。
図4は、親治具11から分離された子治具12に付着した塗膜を除去するための塗膜除去装置の概略図である。図4に示すように、この塗膜除去装置30は、レーザ照射装置31と、移動機構としての多関節ロボット32と、制御装置33と、異常報知装置34と、距離検出センサ35と、エアーブロー装置36と、表示装置37と、作業台40とを備える。
レーザ照射装置31は、レーザ発振器311と、レーザヘッド312とを有する。レーザ発振器311が駆動することによりレーザ光が発振される。発振されたレーザ光は、レーザヘッド312から出射される。レーザヘッド312には、集光レンズ313が取り付けられており、レーザ光は集光レンズ313を通過することにより所定の焦点距離の位置にて集光して照射スポットを形成する。従って、塗膜を除去すべき子治具12の所定位置に照射スポットが形成されるように、レーザヘッド312からレーザ光を出射することにより、レーザ光が照射された部位に形成されている塗膜が加熱される。これにより塗膜が焼かれて、最終的に塗膜が除去される。
多関節ロボット32は、多関節アーム部321及び本体部322を有する。本体部322から多関節アーム部321が上方に延設される。多関節アーム部321の先端には把持部323が形成されており、この把持部323によってレーザ照射装置31が把持される。なお、レーザ照射装置31のレーザ発振器311とレーザヘッド312は分離されていてもよく、この場合、把持部323はレーザヘッド312を把持していればよい。
制御装置33は多関節ロボット32の本体部322内に組み込まれている。制御装置33は、多関節ロボット32の多関節アーム部321の動作を制御する。制御装置33によって多関節アーム部321の動作が制御されることにより、多関節アーム部321に把持されたレーザヘッド312を移動させることができる。
異常報知装置34は、多関節ロボット32の異常、或いは、塗膜除去装置30により塗膜が除去される子治具12の変形等の異常を報知することができるように構成される。本実施形態では、本体部322から立設されたポール324の上端に設けられたランプにより異常報知装置34が構成される。異常報知装置34(ランプ)が点灯することにより異常が報知される。
作業台40は、多関節ロボット32の近傍に配設される。この作業台40の上面の所定位置に、塗膜を除去すべき子治具12、または、子治具12のマスターワークが載置される。ここで、子治具12のマスターワーク(以下、単にマスターワークと言う)は、変形していない子治具12と同じ形状を呈し、後述するティーチング工程のみに使用される。以下においてマスターワークを説明する際には、子治具12と同じ符号を付与して説明する。
作業台40の所定位置にセットされた子治具12(またはマスターワーク12)は、そのフック部122のうち、電着塗装中に被塗物Wと接触していた部位である接触部位が上方を向くように、作業台40の所定位置にセットされる。図4において接触部位が、破線で囲んだ部位Aにより表される。
レーザヘッド312には、距離検出センサ35が固定されている。距離検出センサ35は、レーザヘッド312が後述する基準位置にセットされたときに、作業台40の所定位置にセットされた子治具12のうちレーザが照射される部位(接触部位)と距離検出センサ35との間の距離を検出する。距離検出センサ35により検出された距離は、制御装置33に入力される。また、距離検出センサ35に表示装置37が設けられている。この表示装置37には、距離検出センサ35により検出された距離が表示される。表示装置37は距離検出センサ35とは別に設けられていても良い。
エアーブロー装置36は、距離検出センサ35から図4において下方に突出するように、距離検出センサ35に取り付けられる。このエアーブロー装置36は、内部空間を有するケース状に形成されていて、レーザヘッド312側を向く壁面361にエアーブロー孔が形成されている。また、エアーブロー装置36内には、図略のエアー供給源からエアーが供給される。供給されたエアーは、エアーブロー孔から噴出される。噴出されたエアーは、エアーブロー装置36からレーザヘッド312側に向かう。なお、エアーブロー装置36は、レーザヘッド312に取り付けられていても良い。
上記構成の塗膜除去装置30を用いて、子治具12に付着した塗膜を除去する方法について説明する。この塗膜除去方法は、ティーチング工程と、塗膜除去工程を含む。
ティーチング工程は、レーザヘッド312から出射されるレーザ光の光軸方向におけるレーザヘッド312の位置、すなわちレーザヘッド312の光軸方向位置を設定する工程である。このティーチング工程では、まず、作業台40上の所定位置に、図4に示すようにマスターワーク12をセットする。
マスターワーク12を作業台40の所定位置にセットした後に、作業者が、制御装置33に設けられているティーチングスイッチを押下する。これにより多関節ロボット32の動作モードがティーチングモードにされ、多関節アーム部321が動作してレーザヘッド312を初期位置に移動させる。この初期位置は、レーザヘッド312から出射されるレーザ光の光軸が、作業台40の所定位置にセットされたマスターワーク12に形成されたフック部122のうち接触部位Aに対応する部位を通る位置である。また、本実施形態では、レーザヘッド312から出射したレーザ光は、図4に示すように鉛直下方に向かう。つまり、レーザ光の光軸方向が、図4の上下方向である。従って、初期位置にあるレーザヘッド312は、マスターワーク12のフック部122の接触部位Aの直上に位置する。
次に、作業者は、多関節ロボット32の多関節アーム部321を操作して、初期位置にあるレーザヘッド312の光軸方向位置(上下方向位置)を微調整する。このとき、レーザヘッド312の隣に取り付けられている距離検出センサ35が、図4に示すように、作業台40の所定位置にセットされたマスターワーク12と距離検出センサ35との間の距離を検出する。この距離を便宜上第一距離L1とする。検出された第一距離L1は表示装置37に表示される(距離表示工程)
ここで、本実施形態において、距離検出センサ35は赤外線センサであり、赤外線が出射された方向における距離を検出する。出射された赤外線がマスターワーク12に照射された場合、その照射部位に赤く光るポインタが形成される。レーザヘッド312の光軸方向位置を微調整する場合、作業者は、ポインタの形成部位が、マスターワーク12のフック部122の接触部位に対応する部位(図4の部位A)に位置する範囲内でレーザヘッド312を動かす。そして、表示装置37に表示された第一距離L1が、予め定められた基準距離L0に一致するように、レーザヘッド312の光軸方向位置を調整する(位置調整工程)。
図5は、レーザヘッド312から出射されるレーザ光と、距離検出センサ35により検出される距離との関係を表す模式図である。図5に示すように、レーザヘッド312から出射されるレーザ光は、その光軸方向においてレーザヘッド312の先端から所定の焦点距離LSの位置(焦点位置S)にて集光される。ここで、レーザヘッド312から出射されるレーザ光の出力は、焦点位置Sに子治具12のフック部122の接触部位が位置する場合に接触部位に付着した塗膜が焼かれてほぼ除去され且つフック部122の母材を溶かすことがないように、調整されている。従って、レーザヘッド312から出射されるレーザ光の光軸方向におけるレーザヘッド312と子冶具12の接触部位との間の光軸方向距離が焦点距離LSである場合に、子治具12の母材を溶かすことなく接触部位に付着した塗膜を除去できる。焦点距離LSが、本発明の適正距離に相当する。
また、距離検出センサ35が出射する赤外線Dは、レーザヘッド312から出射されるレーザ光の焦点位置Sを通過する。従って、レーザ光の焦点位置Sに物体(本実施形態ではフック部122の接触部位)が存在する場合、距離検出センサ35は、距離検出センサ35からレーザ光の焦点位置Sまでの距離を検出することになる。この距離が基準距離L0である。基準距離L0は、レーザ光の焦点距離LS(適正距離)と距離検出センサ35の固定位置に基づいて、すなわちレーザ光の焦点距離LS(適正距離)に対応して、予め定めることができる。従って、距離検出センサ35により検出され表示装置37に表示される第一距離L1が基準距離L0に一致するように、レーザヘッド312の光軸方向位置を調整した場合、調整されたレーザヘッド312の位置は、レーザ光の光軸方向におけるレーザヘッド312と子治具12のフック部122の接触部位との間の光軸方向距離が適正距離である焦点距離LSとなる位置である。上記のように調整されたレーザヘッド312の光軸方向位置、すなわち図4の上下方向位置が、基準位置として、制御装置33に設定される(基準位置設定工程)。
このように、本実施形態に係る塗膜除去方法におけるティーチング工程は、レーザヘッド312に固定された距離検出センサ35により、作業台40の所定位置にセットされたマスターワーク12のうち接触部位に対応する部位と距離検出センサ35との間の距離を第一距離L1として検出するとともに検出された第一距離L1を表示装置37に表示する距離表示工程と、表示装置37に表示された第一距離L1が基準距離L0になるように、レーザヘッド312の光軸方向位置を調整する位置調整工程と、位置調整工程にて調整されたレーザヘッド312の光軸方向位置を基準位置に設定する基準位置設定工程と、を含む。このようなティーチング工程によれば、表示装置37に表示された第一距離L1を参照しながらレーザヘッド312の光軸方向位置を基準位置に設定することができる。よって、ティーチング作業が容易になるとともに、ティーチングに要する時間を短縮することができる。
上記のティーチング工程によりレーザヘッド312の光軸方向位置を基準位置に設定した後に、作業者は、作業台40からマスターワーク12を取り外す。次に、作業者は、実際に電着塗装に使用して塗料が付着した子治具12を作業台40の所定位置に配設する。次いで、作業者は、制御装置33に設けられているレーザ駆動スイッチを押下する。これにより、塗膜除去工程が実施される。
塗膜除去工程が開始されると、制御装置33からの駆動指令によって多関節ロボット32が動作して、多関節アーム部321に把持されたレーザヘッド312が、基準位置から、作業台40に配設されている子治具12の軸部121の軸方向に平行な方向に所定の距離だけ移動し、その後、レーザヘッド312の移動が停止する。レーザヘッド312の移動が停止した位置が、照射開始位置として定義される。
レーザヘッド312が照射開始位置に移動した後に、レーザ照射装置31が駆動する。すると、レーザヘッド312からレーザ光が出射する。レーザヘッド312から出射したレーザ光は、作業台40上に照射スポットを形成する。図6は、作業台40の所定位置に配設された子冶具12と、照射開始位置にあるレーザヘッドから出射したレーザ光の照射スポットとの位置関係を上方から表した模式図である。ここで、説明の便宜上、図6において左右方向をX方向、左方向をX1方向、右方向をX2方向、上下方向をY方向と定義する。この場合、レーザ光の光軸方向は、図6の紙面に垂直な方向であり、X方向及びY方向に直交する方向である。図6に示すように、作業台40上の子冶具12の軸部121の軸方向はX方向に一致する。また、照射開始位置にあるレーザヘッド312から出射されたレーザ光の照射スポットSSが、作業台40上の子冶具12に設けられている2つのフック部122のうちの左側のフック部122の接触部位122aからX1方向に所定距離だけ離れた位置に形成される。
照射開始位置にあるレーザヘッド312からレーザ光が出射された後に、多関節ロボット32の動作によって、レーザヘッド312が図6のX2方向に移動する。ここで、レーザヘッド312が照射開始位置から移動するX2方向は、レーザヘッド312から出射されるレーザ光の光軸に垂直な方向であって、且つ、作業台40上の子治具12のフック部122の接触部位122aを、軸部121の軸方向に沿って図6の左方から右方に横断する方向(横断方向)である。つまり、レーザヘッド312は、照射開始位置から接触部位122aを横断する横断方向に移動する。これにより、作業台40上に形成された照射スポットSSが図6の破線矢印で示すようにX2方向に移動する。照射スポットSSの移動経路上には、作業台40上の子冶具12のフック部122の接触部位122aが位置する。このため照射スポットSSが接触部位122aを横断する。このときレーザ光が接触部位122aに照射される。また、上記したティーチング工程によって、レーザヘッド312から出射したレーザ光の焦点位置Sに接触部位122aが一致するように、レーザヘッド312の光軸方向位置が調整されている。したがって、接触部位122aに照射されたレーザ光により、子冶具12の母材が溶かされることなく付着した塗膜のみが除去される(塗膜除去工程)。
図7は、接触部位122aに付着した塗膜が除去されたフック部122の断面概略図である。図7に示すように、フック部122のうち接触部位122aに付着していた塗膜のみがレーザ照射により除去されている。また、それ以外の部分に付着した塗膜は除去されていない。このように、本実施形態では、フック部122に付着した塗膜のうち、電着塗装時に被塗物Wに接触する部位のみに付着した塗膜を除去するため、塗膜の除去に要する時間を最小限に抑えることができる。
また、図6に示すように、子冶具12の軸部121に複数のフック部122が設けられている場合には、照射スポットSSが、照射開始位置から子冶具12の軸部121のほぼ全長に相当する長さにわたってX2方向(横断方向)に移動することにより、すべてのフック部122を照射スポットSSが横断するので、一度のレーザ光の走査によって、一つの子冶具12に設けられているすべてのフック部122の接触部位122aに付着した塗膜を除去することができる。
また、レーザ照射装置31による塗膜の除去中に、エアーブロー装置36からエアーが噴出される。図8は、レーザヘッド312から出射されるレーザ光と、エアーブロー装置36から噴出されるエアーの流れとの関係を示す模式図である。図8に示すように、エアーブロー装置36から噴出されたエアーは、レーザヘッド312から出射されたレーザ光の光軸Rを横断する方向に流れる。また、エアーブロー装置36は、レーザヘッド312に固定された距離検出センサ35に取り付けられているので、エアーブロー装置36からのエアーは、レーザヘッド312の先端部分の近傍領域に流れる。このようなエアーの流れの形成により、レーザ光の照射部位から発生してレーザヘッド312に近づいてくる煙Qが吹き流される。よって、レーザヘッド312内の集光レンズ313に煙が付着することによる集光レンズ313の汚れ、及び、集光レンズ313の汚れに起因するレーザ光の強度低下が防止される。また、上記のようなエアーの流れをレーザ光の照射スポットの近傍に形成する場合と比較して、確実に、集光レンズ313に煙が付着することを防止することができる。
このように、本実施形態によれば、レーザ照射により塗膜を除去するため、従来の強アルカリ性水溶液等の剥離剤に治具の全体を浸して塗膜を剥離する方法と比較して、短時間で塗膜を除去することができる。また、本実施形態によれば、フック部122の接触部位に付着した塗膜のみを除去する。すなわち塗膜の除去が必要な部位に付着した塗膜を除去し、除去する必要のない塗膜については除去しないので、より短時間で塗膜の除去作業が終了する。
上記したレーザ光の照射による子冶具12のフック部122の接触部位に付着した塗膜の除去中、すなわち塗膜除去工程中に、制御装置33は、照射位置調整処理を実行する。図9は、制御装置33が実行する照射位置調整処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンが起動すると、制御装置33は、まず、図9のステップ(以下、ステップをSと略記する)11にて、レーザヘッド312から出射したレーザ光が、子治具12のフック部122の接触部位に照射されているか否かを判断する。レーザ光が子治具12のフック部122の接触部位に照射されているか否かは、照射開始位置からのレーザヘッド312の移動量に基づいて判断することができる。レーザ光が接触部位を照射していないと判断した場合(S11:No)、制御装置33はS11の処理を繰り返す。一方、レーザ光が接触部位を照射していると判断した場合(S11:Yes)、制御装置33はS12に処理を進める。
S12では、制御装置は、距離検出センサ35により検出されている最新の距離を取得する。この距離を、説明の便宜上、第二距離L2と定義する。したがって、本実施形態に係る塗膜除去工程では、所定位置にセットされた子治具12の接触部位と距離検出センサ35との間の距離(第二距離L2)を検出しながら、レーザヘッド312を横断方向に移動させることにより、レーザ光を接触部位に照射することになる(照射工程)。
続いて制御装置33は、S13にて、S12で取得した第二距離L2が、基準距離L0を含む所定の基準範囲LA内にあるか否かを判断する。ここで、上記所定の基準範囲LAとは、基準距離L0から塗膜厚及び不可避的な検出誤差を加味して予め定められる。
第二距離L2が基準範囲LA内にある場合(S13:Yes)、制御装置33はS11に処理を戻す。一方、第二距離L2が基準範囲LA内に無い場合(S13:No)、制御装置33はS14に処理を進める。S14では、制御装置33は、第二距離L2が、許容範囲LB内にあるか否かを判断する。ここで、許容範囲LBとは、基準範囲LAを含む範囲であって、且つ、後述するように子治具12のフック部122の変形量が許容される程度であるときに距離検出センサ35により検出される距離の範囲として、予め定められている。
S14にて、第二距離L2が許容範囲LB内にあると判断した場合(S14:Yes)、制御装置33はS15に処理を進める。S15では、制御装置33は、第二距離L2が基準範囲LA内の基準距離L0に近づくように、具体的には、第二距離L2が基準距離L0になるように、レーザ照射装置31の位置を補正する信号を、多関節ロボット32に出力する。これにより多関節ロボット32の多関節アーム部321が駆動して、レーザヘッド312の光軸方向位置を補正する。このように、本実施形態に係る塗膜除去方法では、上記の照射工程にて第二距離L2が基準距離L0から許容範囲LB内で変動したときに、第二距離L2が基準距離L0に近づくようにレーザヘッド312の位置を補正する(補正工程)。
図10は、上記の補正工程によりレーザ照射装置31の位置が補正される様子を示す図である。図10(a)に示すように、フック部122の接触部位122aのうち変形していない部分と距離検出センサ35との間の距離は、概ね基準距離L0である。一方、図10(b)に示すように、フック部122の接触部位122aが凸状に変形している場合、その変形部分と距離検出センサ35との間の距離は、基準距離L0よりも短い距離(L0−α)である。或いは、フック部122の接触部位122aが凹状に変形している場合、その変形部分と距離検出センサ35との間の距離は、基準距離L0よりも長い距離(L0+α)である。
塗膜を除去すべき部分が上記のように変形して、第二距離L2が基準距離L0から所定長さだけずれている場合、レーザ光が照射部位に与えるエネルギーが増減するために、十分に塗膜を除去することができないという不具合、或いは、塗膜のみならず治具の母材をも溶かしてしまうといった不具合が発生する虞がある。従って、このような状況であって、且つ、第二距離L2の基準距離L0からのずれが許容範囲である場合、すなわち第二距離L2が許容範囲LB内で変動した場合には、上記の補正工程の実施によってレーザヘッド312の光軸方向位置が補正される。この補正により、図10(c)に示すようにレーザヘッド312が移動して、距離検出センサ35で検出される第二距離L2が基準距離L0にされる。このようにレーザヘッド312の光軸方向位置を補正することにより、変形したフック部122の形状に追従して、適正な大きさのエネルギーを持つレーザ光を接触部位122aに照射することができ、その結果、治具10の母材を溶かすことなく接触部位122aに付着した塗膜を除去することができる。S15にて第二距離L2が基準距離L0となるようにレーザヘッド312の光軸方向位置を補正した後に、制御装置33はS11に処理を戻す。
また、S13にて、第二距離L2が許容範囲LB内に無いと判断した場合(S14:No)、制御装置33はS16に処理を進める。S16では、制御装置33は、異常報知装置34に異常信号を出力する。これにより、異常報知装置34としてのランプが点灯して異常を報知する。このように、本実施形態に係る塗膜除去工程では、上記の照射工程にて第二距離L2が基準距離L0から許容範囲LBを超えて変動したときに、異常を報知する(異常報知工程)。次いで、制御装置33は、S17にて、レーザ照射装置31によるレーザ照射を停止するように、レーザ照射装置31に停止信号を出力する。これによりレーザ照射装置31からのレーザ光の照射が停止する。その後、制御装置33はこのルーチンを終了する。
上記したように第二距離L2が許容範囲LB内にあるときには、レーザヘッド312の光軸方向位置が補正された上で、レーザ照射装置31からのレーザ光の照射が継続される。しかし、第二距離L2が許容範囲LBを超えて変動した場合は、子治具12のフック部122が大きく変形している可能性が高い。従って、そのようにフック部122が大きく変形している治具10を再度使用した場合、フック部122に被塗物をうまく吊り下げることができないという不具合、或いは、被塗物Wの塗装中に被塗物Wがフック部122から脱落するという不具合が発生する虞がある。つまり、許容範囲LBは、フック部122の変形により上記したような不具合が発生しない第二距離L2の範囲として、予め設定される。
よって、第二距離L2が許容範囲LBを超えて変動したと判断した場合、すなわち治具10のフック部122が大きく変形していると予測される場合、制御装置33は、上記したように異常報知装置34としてのランプを点灯させて異常を報知するとともにフック部122の接触部位へのレーザ光の照射を停止する。作業者は、異常報知装置34としてのランプの点灯により異常を認識し、作業台40上の子治具12を作業台40から取り外して、修理あるいは破棄する。これにより、接触部位が大きく変形した子冶具12を再度使用することを防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、電着塗装に用いる冶具に付着した塗膜を除去する方法について説明したが、電着塗装以外の塗装方法であって、被塗物と接触する冶具の接触部位に付着した塗膜を除去する場合にも、本発明を適用することができる。また、上記実施形態では、レーザヘッド312から出射されるレーザ光の光軸方向が上下方向である例を説明したが、レーザ光の光軸方向は、上下方向以外の方法でもよい。また、上記実施形態では、レーザヘッド312から出射したレーザ光の焦点位置に子冶具12の接触部位を一致させる例について説明したが、母材を溶かすことなく接触部位に付着した塗膜を除去することができるのであれば、レーザ光の焦点位置以外の位置に接触部位を合わせるようにレーザヘッド312の基準位置を設定してもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
10…治具、11…親治具、12…子治具,マスターワーク、121…軸部、122…フック部、122a…接触部位、20…電着塗装装置、21…電着槽、22…電極、23…電源、24…移送機構、30…塗膜除去装置、31…レーザ照射装置、311…レーザ発振器、312…レーザヘッド、313…集光レンズ、32…多関節ロボット、321…多関節アーム部、322…本体部、323…把持部、33…制御装置、34…異常報知装置、35…距離検出センサ、36…エアーブロー装置、37…表示装置、40…作業台、L0…基準距離、L1…第一距離、L2…第二距離、LA…基準範囲、LB…許容範囲、LS…焦点距離、W…被塗物

Claims (6)

  1. 被塗物を吊り下げるフック部が形成された子治具及び前記子治具を支持する親治具を有する治具に付着した塗膜を除去する塗膜除去方法であって、
    前記親治具から分離されて所定位置にセットされた前記子治具の前記フック部のうち前記被塗物との接触部位に、レーザ光を出射するレーザヘッドを有するレーザ照射装置を用いてレーザ光を照射することにより、前記接触部位に付着した塗膜のみを除去する塗膜除去工程を含む、塗膜除去方法。
  2. 請求項1に記載の塗膜除去方法において、
    前記塗膜除去工程の前に実施され、前記レーザヘッドから出射されるレーザ光の光軸方向における前記レーザヘッドと前記子冶具の前記接触部位との間の光軸方向距離が適正距離となるように、前記光軸方向における前記レーザヘッドの光軸方向位置を基準位置に設定するティーチング工程を含み、
    前記ティーチング工程は、
    前記レーザヘッドに固定された距離検出センサにより、前記所定位置にセットされた前記子冶具のマスターワークのうち前記接触部位に対応する部位と前記距離検出センサとの間の距離を第一距離として検出するとともに検出された前記第一距離を表示装置に表示する距離表示工程と、
    前記表示装置に表示された前記第一距離が、前記適正距離に対応して予め定められている基準距離になるように、前記レーザヘッドの位置を調整する位置調整工程と、
    前記位置調整工程にて調整された前記レーザヘッドの前記光軸方向位置を前記基準位置に設定する基準位置設定工程と、を含む、塗膜除去方法。
  3. 請求項2に記載の塗膜除去方法において、
    前記塗膜除去工程は、前記光軸方向位置が前記ティーチング工程にて設定された前記基準位置にある前記レーザヘッドからレーザ光を出射しながら前記レーザヘッドを前記光軸方向に垂直な方向であって前記接触部位を横断する横断方向に移動させることにより、前記所定位置にセットされた前記子冶具の前記接触部位にレーザ光を照射する工程である、塗膜除去方法。
  4. 請求項3に記載の塗膜除去方法において、
    前記塗膜除去工程は、
    前記距離検出センサによって、前記所定位置にセットされた前記子冶具の前記接触部位と前記距離検出センサとの間の距離を第二距離として検出しながら前記レーザヘッドを前記横断方向に移動させることにより、レーザ光を前記接触部位に照射する照射工程と、
    前記照射工程にて前記第二距離が前記基準距離から許容範囲内で変動したときに、前記第二距離が前記基準距離に近づくように前記レーザヘッドの位置を補正する補正工程と、を含む、塗膜除去方法。
  5. 請求項3又は4に記載の塗膜除去方法において、
    前記塗膜除去工程は、
    前記距離検出センサによって、前記所定位置にセットされた前記子冶具の前記接触部位と前記距離検出センサとの間の距離を第二距離として検出しながら前記レーザヘッドを前記横断方向に移動させることにより、レーザ光を前記接触部位に照射する照射工程と、
    前記照射工程にて前記第二距離が前記基準距離から許容範囲を超えて変動したときに、異常を報知する異常報知工程と、を含む、塗膜除去方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗膜除去方法において、
    前記レーザヘッド又は前記距離検出センサには、エアーブロー装置が取り付けられていて、前記塗膜除去工程にて、前記エアーブロー装置から、前記レーザヘッドから出射されるレーザ光の光軸を横断する方向に向けてエアーが噴出される、塗膜除去方法。
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