JP2020157190A - 生体成分分離用高分子ファイバー、生体成分分離用カラム、計測装置及び生体成分分離装置 - Google Patents

生体成分分離用高分子ファイバー、生体成分分離用カラム、計測装置及び生体成分分離装置 Download PDF

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伊藤 正人
Masato Ito
正人 伊藤
白鳥 世明
Tokiaki Shiratori
世明 白鳥
秀子 金澤
Hideko Kanazawa
秀子 金澤
健一 長瀬
Kenichi Nagase
健一 長瀬
文 秋元
Aya Akimoto
文 秋元
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Abstract

【課題】低コストで生体成分を短時間に高回収率で分離でき、かつ分離後の生体成分の生理活性低下を抑制できる生体成分分離用高分子ファイバー、及び、それを用いた生体成分分離用カラム、計測装置及び生体成分分離装置を提供することを目的とする。【解決手段】温度変化により生体成分を吸着又は脱離する温度応答性高分子を含む生体成分分離用高分子ファイバー。また、溶離液収容部10と、送液ポンプ12と、試料注入部14と、前記生体成分分離用高分子ファイバーを用いたカラム16及び計測装置18と、回収部20とを備える生体成分分離装置。【選択図】図1

Description

本発明は、生体成分分離用高分子ファイバー、生体成分分離用カラム、計測装置及び生体成分分離装置に関する。
生理活性物質や細胞等の生体成分の分離技術は、分子生物学、病理学、細胞生物学、臨床医学等のあらゆるライフサイエンス分野の研究発展のために不可欠な要素技術である。近年、分子生物学、幹細胞生物学の飛躍的な発展に伴い、細胞分離技術は一層の緻密さが求められるようになってきている。例えば、不純物が少ない精密な分離、物理化学的形状はほぼ同じだが表面抗原に僅かな違いがある細胞群の分離等が求められている。
生体成分の分離装置としては、生体成分を蛍光物質や蛍光ラベル抗体により染色するFACS(Fluorescence Activated Cell sorting)や、抗体を担持した磁気ビーズで生体成分を捕集するMACS(Magnetic Activated Cell Sorting)等のフローサイトメトリーが知られている(特許文献1)。
特許第4716337号公報
しかし、フローサイトメトリーによる生体成分の分離においては、分離後の生体成分の生理活性が低下する、回収率が低い、分離に長時間を要する、高コストである等の問題がある。
本発明は、低コストで生体成分を短時間に高回収率で分離でき、かつ分離後の生体成分の生理活性低下を抑制できる生体成分分離用高分子ファイバー、及び、それを用いた生体成分分離用カラム、計測装置及び生体成分分離装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]温度変化により生体成分を吸着又は脱離する温度応答性高分子を含む生体成分分離用高分子ファイバー。
[2]前記温度応答性高分子が、アクリルアミドモノマーと、前記アクリルアミドモノマーよりも親水性又は疎水性のモノマーと、結合部位を有するモノマーとの共重合体である、[1]に記載の生体成分分離用高分子ファイバー。
[3]前記アクリルアミドモノマーが、N−イソプロピルアクリルアミドである、[1]又は[2]に記載の生体成分分離用高分子ファイバー。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の生体成分分離用高分子ファイバーが充填された生体成分分離用カラム。
[5]水晶振動子を備え、前記水晶振動子の電極表面に[1]〜[3]のいずれかに記載の生体成分分離用高分子ファイバーが結合されている、生体成分の吸着又は脱離を計測する計測装置。
[6]前記水晶振動子の周波数変化量△F及び周波数の減衰曲線から得られるD値を用いて生体成分の吸着又は脱離を計測する、[5]に記載の計測装置。
[7][4]に記載の生体成分分離用カラムと[5]又は[6]に記載の計測装置のいずれか一方又は両方を備える、生体成分分離装置。
本発明の生体成分分離用高分子ファイバー、及び、それを用いた生体成分分離用カラム、計測装置及び生体成分分離装置によれば、低コストで生体成分を短時間に高回収率で分離でき、かつ分離後の生体成分の生理活性低下を抑制できる。
本発明の生体成分分離装置の一例を示した概略構成図である。 本発明の生体成分分離装置の一例を示した概略構成図である。 実施例1における液温の変化による水晶振動子(QCM)の周波数変化量△Fを示したグラフである。
[生体成分分離用高分子ファイバー]
本発明の生体成分分離用高分子ファイバー(以下、「本高分子ファイバー」とも記す。)は、温度変化により生体成分を吸着又は脱離する温度応答性高分子を含む、生体成分を分離するための高分子ファイバーである。
生体成分の種類によって、温度応答性高分子に対する温度依存的な吸着性及び脱離性が異なる。そのため、本高分子ファイバーは、液体クロマトグラフによる生体成分の分離に好適に利用できる。温度応答性高分子に吸着させる生体成分は、温度応答性高分子の種類によって調節できる。そのため、生体成分の分離においては、分離対象の生体成分に応じて温度応答性高分子を選択する。
分離対象の生体成分としては、特に限定されず、動物や植物等の生体内に存在する各種タンパク質や細胞等が挙げられる。
温度応答性高分子としては、0〜80℃の温度範囲内で水和力が変化する高分子が挙げられる。温度に応じて温度応答性高分子の水和力が変化することで、生体成分を吸着させたり、脱離させたりすることができる。
温度応答性高分子としては、水に対する下限臨界溶解温度が0〜80℃の重合体が好ましく、水に対する下限臨界溶解温度が20〜50℃の重合体がより好ましい。
温度応答性高分子の水に対する下限臨界溶解温度は、公知の方法で測定できる。例えば、種々の濃度の温度応答性高分子の水溶液を調製した後、水溶液の温度を上下させて2相分離する温度を測定することで、水に対する下限臨界溶解温度を求めることができる。
温度応答性高分子は、1種のモノマーの単独重合体であってもよく、2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。温度応答性高分子が共重合体である場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。温度応答性高分子は、本発明の効果を損なわない範囲で架橋してもよい。
温度応答性高分子を構成するモノマーとしては、例えば、アクリルアミドモノマー、ビニルエーテルモノマーが挙げられる。これらのモノマーを用いた温度応答性高分子は、下限臨界溶解温度よりも高温で疎水性となって生体成分が吸着し、下限臨界溶解温度よりも低温で親水性となって生体成分が脱離する。なお、温度応答性高分子としては、低温で疎水性となって生体成分が吸着し、高温で親水性となって生体成分が脱離するものを用いてもよい。
アクリルアミドモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。なお、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド及びメタクリルアミドの総称である。
(メタ)アクリルアミド誘導体としては、例えば、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチルメチルアクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエーテルモノマーとしては、メチルビニルエーテル等が挙げられる。
温度応答性高分子を構成するモノマーとしては、アクリルアミドモノマーが好ましく、N−アルキル(メタ)アクリルアミドがより好ましく、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドがさらに好ましく、N−イソプロピルアクリルアミドが特に好ましい。
温度応答性高分子の具体例としては、例えば、ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド(下限臨界溶解温度:21℃)、ポリ−N−n−プロピルメタクリルアミド(下限臨界溶解温度:27℃)、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(下限臨界溶解温度:32℃)、ポリ−N−イソプロピルメタクリルアミド(下限臨界溶解温度:43℃)、ポリ−N−シクロプロピルアクリルアミド(下限臨界溶解温度:45℃)、ポリ−N−エトキシエチルアクリルアミド(下限臨界溶解温度:約35℃)、ポリ−N−エトキシエチルメタクリルアミド(下限臨界溶解温度:約45℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド(下限臨界溶解温度:約28℃)、ポリ−N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド(下限臨界溶解温度:約35℃)、ポリ−N,N−エチルメチルアクリルアミド(下限臨界溶解温度:56℃)、ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド(下限臨界溶解温度:32℃)等が挙げられる。
温度応答性高分子は、アクリルアミドモノマーと、アクリルアミドモノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。共重合可能な他のモノマーは、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
例えば、共重合可能な他のモノマーとして、アクリルアミドモノマーよりも親水性のモノマー、又はアクリルアミドモノマーよりも疎水性のモノマーを用いることで、温度応答性高分子の下限臨界溶解温度を調節することができる。具体的には、メタクリル酸、アクリル酸、ジメチルアクリルアミド、ビニルピロリドン等のN−イソプロピルアクリルアミドよりも親水性のモノマーをN−イソプロピルアクリルアミドと共重合させることで、温度応答性高分子の下限臨界温度を32℃よりも高い温度に調節できる。また、スチレン、アルキルメタクリレート、アルキルアクリレート等のN−イソプロピルアクリルアミドよりも疎水性モノマーをN−イソプロピルアクリルアミドと共重合させることで、温度応答性高分子の下限臨界温度を32℃よりも低い温度に調節できる。
水晶振動子の電極等の部材に本高分子ファイバーを結合させる場合、本高分子ファイバーの結合力を高める目的で、温度応答性高分子に結合部位を有するモノマーを共重合させてもよい。結合部位を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシ基含有モノマーが挙げられる。
温度応答性高分子としては、アクリルアミドモノマーと、前記アクリルアミドモノマーよりも親水性又は疎水性のモノマー(以下、「モノマー(a)」と記す。)と、結合部位を有するモノマー(以下、「モノマー(b)」と記す。)との共重合体(A)が好ましい。
共重合体(A)中のアクリルアミドモノマー単位の割合は、全モノマー単位に対して、50〜97モル%が好ましく、70〜95モル%がより好ましい。アクリルアミドモノマー単位の割合が前記範囲の下限値以上であれば、温度応答性高分子の温度応答性が高くなり、生体成分の分離が容易になる。アクリルアミドモノマー単位の割合が前記範囲の上限値以下であれば、温度応答性高分子の下限臨界溶解温度を調節できる。
共重合体(A)中のモノマー(a)単位の割合は、全モノマー単位に対して、0.5〜15モル%が好ましく、1〜5モル%がより好ましい。モノマー(a)単位の割合が前記範囲の下限値以上であれば、温度応答性高分子の下限臨界溶解温度を調節できる。モノマー(a)単位の割合が前記範囲の上限値以下であれば、温度応答性高分子の温度応答性を確保しやすい。
共重合体(A)中のモノマー(b)単位の割合は、全モノマー単位に対して、3〜30モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましい。モノマー(b)単位の割合が前記範囲の下限値以上であれば、電極等への本高分子ファイバーの結合力が高くなる。モノマー(b)単位の割合が前記範囲の上限値以下であれば、温度応答性高分子の温度応答性を確保しやすい。
温度応答性高分子の製造方法は、特に限定されず、例えば、ラジカル重合等の公知の方法を採用できる。
本高分子ファイバーは、温度応答性高分子がエレクトロスピニング法等でファイバー化された温度応答性高分子のみからなるファイバーであってもよく、繊維表面に温度応答性高分子の被膜が形成されたファイバーであってもよい。
繊維表面に温度応答性高分子の被膜を形成する場合、用いる繊維としては、特に限定されず、例えば、無機繊維、有機繊維、金属繊維等が挙げられる。無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。金属繊維としては、ステンレス、鉄等の繊維が挙げられる。
本高分子ファイバーは、繊維径が1μm未満のナノファイバーであることが好ましい。本高分子ファイバーがナノファイバーであれば、比表面積が大きくなるため、温度変化による生体成分の吸着及び脱着の応答性が向上する。
なお、本高分子ファイバーは、繊維径が1μm以上のファイバーであってもよい。
本高分子ファイバーの平均繊維径は、10〜50000nmが好ましく、100〜8000nmがより好ましい。本高分子ファイバーの繊維径が前記範囲の下限値以上であれば、液体クロマトグラフによる分離の際に本高分子ファイバーが溶離液に溶解することを抑制しやすい。本高分子ファイバーの繊維径が前記範囲の上限値以下であれば、比表面積が大きくなるため、温度変化による生体成分の吸着及び脱着の応答性が向上する。
なお、本高分子ファイバーの平均繊維径は、100本の本高分子ファイバーについて測定した繊維径の平均値である。本高分子ファイバーの繊維径は、走査型電子顕微鏡像により測定できる。
本高分子ファイバーの平均繊維長は、0.001〜1000mmが好ましく、0.1〜1000mmがより好ましい。本高分子ファイバーの繊維径が前記範囲の下限値以上であれば、従来の針状結晶に比べ、本高分子ファイバーの脱離による悪影響を低減できる。本高分子ファイバーの繊維径が前記範囲の上限値以下であれば、本高分子ファイバーの部分的な破壊による脱離の可能性が低下する。
なお、本高分子ファイバーの平均繊維長は、100本の本高分子ファイバーについて測定した繊維長の平均値である。本高分子ファイバーの繊維長は、ナノファイバー作製時の顕微鏡動画観察により測定できる。
[生体成分分離用カラム]
本発明の生体成分分離用カラム(以下、「本カラム」と記す。)は、本高分子ファイバーが充填されたカラムである。本カラムは、液体クロマトグラフ用のカラムとして使用できる。
本カラムを液体クロマトグラフに用いてカラム温度を制御し、目的の生体成分をカラム中の本高分子ファイバーに吸着させた後、任意のタイミングで脱離させることで、目的の生体成分を分離することができる。
本カラムにおける本高分子ファイバーの充填率は、10〜100%が好ましく、60〜99%がより好ましい。本高分子ファイバーの充填率が前記範囲の下限値以上であれば、生体成分を分離しやすい。本高分子ファイバーの充填率が前記範囲の上限値以下であれば、水溶液の漏れが発現しにくい。
なお、本高分子ファイバーの充填率は、体積占有率として求められる。
[計測装置]
本発明の計測装置(以下、「本計測装置」と記す。)は、生体成分の吸着又は脱離を計測するための装置であって、水晶振動子(QCM)を備え、水晶振動子の電極表面に本高分子ファイバーが結合されている。
本計測装置においては、水晶振動子の電極表面に本高分子ファイバーが結合されているため、温度に依存した生体成分の本高分子ファイバーへの吸着及び脱離を水晶振動子の周波数の変化によって計測できる。そのため、例えば液体クロマトグラフにおいて本計測装置を本カラムと接続し、本計測装置の温度を本カラムと同じ温度に制御することで、本カラムにおける生体成分の吸着及び脱離をリアルタイムに定量することができる。
本計測装置においては、水晶振動子における、生体成分を含む液体と接する電極表面の全体に本高分子ファイバーを結合して被覆する。液体と接する電極表面の一部だけに本高分子ファイバーを結合すると、電極表面の本高分子ファイバーが結合していない部分に吸着した生体成分が脱離しないことで計測の妨げとなる。
本計測装置においては、水晶振動子における水晶板の両側の電極のうち、一方の電極表面だけに本高分子ファイバーを結合してその電極表面だけを液体と接触させてもよく、両方の電極表面に本高分子ファイバーを結合して両方の電極表面を液体と接触させてもよい。
水晶振動子の電極表面の単位面積あたりの本高分子ファイバーの結合量は、1000〜10000ng/cmが好ましく、1000〜6000ng/cmがより好ましい。本高分子ファイバーの結合量が前記範囲の下限値以上であれば、温度による特性の変化が見えやすく、生体成分の吸着及び脱離を認識しやすい。本高分子ファイバーの結合量が前記範囲の上限値以下であれば、水晶振動子が安定に発振しやすい。
本計測装置を用いた計測においては、生体成分が電極表面の本高分子ファイバーに吸着すると周波数が減少し、生体成分が本高分子ファイバーから脱離すると周波層が増大する。このように、水晶振動子の周波数の変化により、生体成分の温度に依存した本高分子ファイバーへの吸着及び脱離をリアルタイムに認識できる。
本計測装置による生体成分の吸着及び脱離の計測においては、水晶振動子の周波数変化量△F及び周波数の減衰曲線から得られるD値を用いることが好ましい。
水晶振動子の周波数変化量△F(Hz)は、Sauerbrey式を用いることによって質量変化量△m(ng/cm))に変換できる。そのため、周波数変化量△F(Hz)を用いることで、生体成分の吸着及び脱離をリアルタイムに定量することができる。また、水晶振動子の周波数は、生体成分の吸着及び脱離に関わらず温度に依存して変化する。そのため、周波数変化量△Fを用いる場合には、水晶振動子の温度に依存した周波数変化分を差し引いて、生体成分の吸着及び脱離を定量する。
D値は、振動中の水晶振動子の電源を切った際に起こる周波数の減衰に関わるエネルギー散逸量である。D値の変化量(△D)は粘弾性に依存する。△Fによる質量変化に加えて、D値を用いることで吸着した生体成分の硬さを判断できるため、生体成分の種類をより正確に認識できる。
[生体成分分離装置]
本発明の生体成分分離装置(以下、「本分離装置」と記す。)は、本カラムと本計測装置のいずれか一方又は両方を備える、生体成分を分離するための装置である。本分離装置の態様としては、例えば、液体クロマトグラフ、透析装置が挙げられる。
本分離装置は、本カラムにおける生体成分の温度に依存した本高分子ファイバーへの吸着及び脱離を本計測装置によってリアルタイムに計測できることから、本カラムと本計測装置の両方を備えることが好ましい。なお、本分離装置は、本カラムと本計測装置のいずれか一方のみを備えるものであってもよい。
本分離装置としては、例えば、図1に例示した生体成分分離装置1(以下、「分離装置1」と記す。)が挙げられる。分離装置1は、溶離液収容部10と、送液ポンプ12と、試料注入部14と、カラム16と、計測装置18と、回収部20とがこの順に接続された液体クロマトグラフである。カラム16として本カラムを用い、計測装置18として本計測装置を用いる。
分離装置1においては、溶離液収容部10に収容されている溶離液を送液ポンプ12によって送液しつつ、試料注入部14から試料を注入する。そして、例えばカラム16及び計測装置18の温度を上昇させて、試料中の目的の生体成分をカラム16中の本高分子ファイバーに吸着させ、計測装置18によって吸着を計測する。その後、カラム16及び計測装置18の温度を下降させて、カラム16中の本高分子ファイバーに吸着した生体成分を脱離させ、その脱離を計測装置18でモニターしつつ回収部20で回収する。
また、本分離装置としては、例えば、図2に例示した生体成分分離装置2(以下、「分離装置2」と記す。)が挙げられる。分離装置2は、血液ポンプ22と、カラム24と、計測装置26とがこの順に接続された透析装置である。計測装置26の下流側には切換弁28が設けられて経路が分岐し、廃液することが可能になっている。カラム24として本カラムを用い、計測装置26として本計測装置を用いる。
分離装置2を用いた透析では、例えば、人体から取り出した血液をカラム24に送り、カラム24の温度を制御して、ガン細胞等の分離対象の生体成分をカラム24中の本高分子ファイバーに吸着させて分離する。そして、計測装置26によって血液中の分離対象の生体成分をモニターしつつ、分離対象の生体成分が分離された血液は人体に戻す。また、カラム24の温度を制御し、カラム24中の本高分子ファイバーから脱離したガン細胞等の分離対象の生体成分が含まれる血液は、切換弁28を操作して分岐経路に送って廃棄する。
以上説明したように、本発明においては、温度変化により生体成分を吸着又は脱離する温度応答性高分子を含む本高分子ファイバーを用いる。温度応答性高分子をファイバー状にすることで、生体成分の吸着及び脱離の応答性が向上し、目的の生体成分を簡便かつ短時間に分離することができる。また、フローサイトメトリーに比べて装置が簡便で低コストであり、生体成分を高回収率で分離して回収できる。また、分離の際に蛍光物質、蛍光ラベル抗体、磁気ビーズ等を用いないため、分離後の生体成分の生理活性が低下することを抑制できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[製造例1]
モノマーとしてN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)7.679g、ブチルアクリレート(BAA)335μL、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAAm)802μL、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の0.128gを、メタノールの60mLに溶解し、60℃で24時間ラジカル重合を行った。反応後、NMR測定を行い、NIPAAmとBAAとHEAAMPのランダム共重合体(NIPAAm:BAA:HEAAMP(モル比)=87:3:10)である温度応答性高分子を得た。
[実施例1]
製造例1で得た温度応答性高分子の0.75gをメタノールの2.5mLに溶解し、エレクトロスピニング法によって、水晶振動子(QCM)の電極表面にファイバー状にして製膜し、真空下において130℃で24時間焼成した。
フィブロネクチン(FN)を約1質量%含むリン酸緩衝液に、QCM電極を浸漬させた。恒温恒湿槽を用いて、液温を周期的に変化させたときの周波数変化量△Fを測定した。液温は、恒温恒湿槽の温度を25℃と37℃でと1時間ごとに繰り返し変化させた。また、FNを含まないリン酸緩衝液に未加工のQCM電極を浸漬する以外は、同様に液温を周期的に変化させたときの周波数変化量△Fを測定した。そして、周波数変化量△Fから周波数変化量△Fを差し引いた周波数変化量△Fを求めた。その結果を図3に示す。
図3に示すように、液温37℃においてQCMの周波数が減少し、FNの吸着が確認された。また、液温25℃においてQCMの周波数が増大し、FNの脱離が確認された。
1、2…生体成分分離装置、10…溶離液収容部、12…送液ポンプ、14…試料注入部、16…カラム、18…計測装置、20…回収部、22…血液ポンプ、24…カラム、26…計測装置、28…切換弁。

Claims (7)

  1. 温度変化により生体成分を吸着又は脱離する温度応答性高分子を含む生体成分分離用高分子ファイバー。
  2. 前記温度応答性高分子が、アクリルアミドモノマーと、前記アクリルアミドモノマーよりも親水性又は疎水性のモノマーと、結合部位を有するモノマーとの共重合体である、請求項1に記載の生体成分分離用高分子ファイバー。
  3. 前記アクリルアミドモノマーが、N−イソプロピルアクリルアミドである、請求項2に記載の生体成分分離用高分子ファイバー。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体成分分離用高分子ファイバーが充填された生体成分分離用カラム。
  5. 水晶振動子を備え、
    前記水晶振動子の電極表面に請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体成分分離用高分子ファイバーが結合されている、生体成分の吸着又は脱離を計測する計測装置。
  6. 前記水晶振動子の周波数変化量△F及び周波数の減衰曲線から得られるD値を用いて生体成分の吸着又は脱離を計測する、請求項5に記載の計測装置。
  7. 請求項4に記載の生体成分分離用カラムと請求項5又は6に記載の計測装置のいずれか一方又は両方を備える、生体成分分離装置。
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