(第一の実施形態)
以下に図面を参照して第一の実施形態について説明する。図1は、脈波の測定について説明する図である。
本実施形態では、脈波測定装置100に搭載された撮像装置(カメラ)11により、脈波の測定の対象となる生体1の画像を撮像し、撮像した画像の画像データから、生体1の脈波を示す信号を取得する。そして、本実施形態の脈波測定装置100は、後述するピーク検出処理により、脈波を示す信号(生体信号)における各ピークの発生時刻を検出する。
より具体的には、本実施形態では、脈波を示す信号に対して複数の補正処理を行い、その結果として得られた複数の補正信号から、ノイズによる影響が最も小さいと判定された補正信号を用いて、脈波を示す信号のピークの発生時刻を検出する。このため、本実施形態によれば、脈波のピークの検出精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、ピークの検出精度を向上させることで、ピーク間の時間の変動の検出精度も向上させることができる。このため、本実施形態によれば、ピーク間の時間の変動を示す情報を用いる処理を実行する装置に対し、精度の高い情報を提供することができ、処理結果の信頼性の向上に対しても貢献できる。ピーク間の時間の変動を示す情報を用いる処理とは、例えば、生体の自律神経の働きを解析する処理等である。
本実施形態の脈波測定装置100は、撮像装置を有するものであれば、どのような装置であっても良い。具体的には、図1に示すように、Webカメラ等の撮像装置が内蔵されたコンピュータであっても良い。また、本実施形態の脈波測定装置100は、撮像装置が内蔵されていなくてもよく、一般的なWebカメラと、Webカメラに接続されたコンピュータと、を脈波測定装置としても良い。
また、本実施形態の脈波測定装置100は、例えばタブレット型のコンピュータやスマートフォン等の携帯端末であっても良いし、撮像装置が内蔵された又は、撮像装置と接続されたウェアラブル端末等であっても良い。
以下に、本実施形態の脈波測定装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、脈波測定装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
本実施形態の脈波測定装置100は、撮像装置11、CPU(Central
Processing Unit)12、記憶装置13、入力装置14、出力装置15、I/F(Interface)装置16を有し、それぞれがシステムバスBで互いに接続されている。
撮像装置11は、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の3チャンネルを持つCCDイメージセンサを有し、生体1のRGB画像を取得する。尚、撮像装置11は、必ずしもRGBの3チャンネルである必要はなく、分光感度が互いに異なる少なくとも2つのチャンネルを有していれば良い。その場合、ヘモグロビンの吸収率が高いG波長域(550nm付近の波長域)に分光感度を持つチャンネルの信号値(以下、G信号と呼ぶ)と、ヘモグロビンの吸収率が低いG波長域以外の波長域に分光感度を持つチャンネルとを有することが望ましい。また、撮像装置11の撮像素子はCMOS(Complementary MOS)イメージセンサであっても良い。
CPU12は、脈波測定装置100全体の制御や演算を行う中央処理装置である。CPU12は、記憶装置13に格納されているプログラムを読み出し実行することで、撮像装置11で取得した画像から脈波の各拍のピークとピークの間の時間を検出する。
記憶装置13は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、外部記憶装置を含み、CPU12が実行するプログラムや演算に必要なデータを格納する。
入力装置14は、キーボードやマウス等であり、各種の情報の入力に用いられる。例えば、入力装置14は、脈波測定処理の実行指示の入力等に用いられる。
出力装置15は、ディスプレイ等であり、各種の情報の出力に用いられる。例えば出力装置15は、撮像装置11により取得した画像や測定した脈波データを出力する。
I/F装置16は外部装置と接続するための汎用I/Fを備える。I/F装置16は、例えば本実施形態の脈波測定プログラムを格納した記録媒体17が接続されても良い。本実施形態の脈波測定プログラムは、脈波測定装置100を制御するプログラムの一部である。記録媒体17に格納された脈波測定プログラムは、I/F装置16を介して読み込まれると、記憶装置13へ格納される。また、本実施形態の脈波測定プログラムは、例えばネットワークを介して接続された他の装置からダウンロードされても良い。
尚、図2の例では、脈波測定装置100は、撮像装置11を有する構成としたが、これに限定されない。撮像装置11は、例えばI/F装置16を介して外部に接続されていても良い。
図3は、第一の実施形態の脈波測定装置の機能構成を説明する図である。本実施形態の脈波測定装置100は、画像取得部110、データ記憶部120、脈波測定処理部130、データ出力部140を有する。
画像取得部110は、撮像装置11により撮像されたRGB画像の画像データを取得する。具体的には、本実施形態の画像取得部110は、撮像装置11に対し、フレームレートを30fps、RGB信号のビット数を8bitに設定して画像データを取得させる。尚、本実施形態における最適なフレームレートやビット数等のパラメータは、計測環境や撮像装置11の性能、その後のデータ処理にも依存するため、それらの影響を考慮して最適な値を設定すれば良い。
データ記憶部120は、記憶装置13の記憶領域に、画像取得部110が取得した画像データや、脈波測定処理部130から出力された脈波データ等を格納する。本実施形態のデータ記憶部120は、例えば所定の測定時間において画像取得部110により取得された画像データ群が格納される。
脈波測定処理部130は、データ記憶部120に記憶された画像データ群を取得して脈波データを出力する。脈波測定処理部130の詳細は後述する。
データ出力部140は、データ記憶部120に格納された脈波データ等を出力装置15や外部装置に出力する。
以下に、本実施形態の脈波測定処理部130について説明する。本実施形態の脈波測定処理部130は、信号抽出部150、補正部160、ピーク検出処理部170を有する。
信号抽出部150は、データ記憶部120が格納した画像データ群の各画像データから、脈波を示す信号を取得する。
以下に、脈波を示す信号を取得する仕組みについて説明する。生体1の血中に含まれるヘモグロビンは、特定波長の光を吸収する特性を持ち、血管の容積変化に伴う血中のヘモグロビン量の変化に応じて、光の吸収量が周期的に変化する。この変化は、撮像装置11の受光素子で受光される生体1からの反射光量の変化に表れる。言い換えれば、この変化は、撮像装置11が撮像する画像の色の変化に表れる。血管の容積変化は、生体1の鼓動によって生じるものであるから、画像データから抽出された信号(R信号、G信号、B信号)そのものが、脈波を示す信号となる。
本実施形態の信号抽出部150は、画像データから、ヘモグロビンの吸収率が高いG波長域(550nm付近の波長域)に分光感度を持つチャンネルの信号値(以下、G信号と呼ぶ)と、R波長域に分光感度を持つチャンネルの信号値(以下、R信号と呼ぶ)とを抽出し、補正部160へ出力する。信号抽出部150により抽出された信号と、信号抽出部150の処理の詳細は後述する。
尚、上述した説明では、信号抽出部150は、R信号とG信号を抽出するものとして説明しているが、これに限定されない。信号抽出部150は、B波長域に分光感度を持つチャンネルの信号値(以下、B信号と呼ぶ)を抽出しても良い。
補正部160は、信号抽出部150が画像データ群の各画像データから抽出したG信号とR信号に対して、複数種類の補正を行う。本実施形態の補正部160は、差分補正部161、フィルタ補正部162を有する。
本実施形態の差分補正部161は、R信号とG信号を用いて両者の差分をとり、2つの信号間の同相ノイズを低減した補正信号を生成する。
本実施形態の差分補正部161では、G信号とR信号を用いて、以下の式(1)により差分補正を行った補正信号C1を算出する。補正信号C1の例は後述する。尚、式(1)におけるkは、G信号とR信号の感度差を補正するための係数である。
C1=G−kR (1)
また、本実施形態では、補正信号C1をG信号とR信号を用いて算出するものとしたが、これに限定されない。補正信号C1は、G信号と比較して同相ノイズ成分を低減した差分補正信号を得ることができれば、差分を取る2つの信号は他のRGB信号の組み合わせであっても良い。この際に、差分を取る信号の一方は、ヘモグロビンの吸収率が高いG波長域の信号であるG信号を用いることが望ましい。
本実施形態では、信号抽出部150により抽出された信号に対し、差分補正部161による補正を行うことで、脈拍と同周期の同相ノイズ成分を低減できる。したがって、差分補正部161によれば、計測中に生体の体動や光路中にある物体の動き等による計測面の照度変化が発生した場合等において、脈波のピークの検出漏れや誤検出の発生を抑制できる。
本実施形態のフィルタ補正部162は、信号抽出部150により抽出されたG信号と、補正信号C1のそれぞれに対し、所定の周期特性を持ったフィルタを適用したフィルタ補正を行い、補正信号C2と、補正信号C1’と、を出力する。補正信号C2の例は後述する。
本実施形態では、G信号に対し、フィルタ補正部162によるフィルタ補正を行うことで、脈波の周期と異なる周期を持つノイズ成分を低減できる。
また、本実施形態では、差分補正を行った後の補正信号C1に対してフィルタ補正を行うことで、差分補正を行うことで増大した、脈波の周期と異なる周期を持つノイズ成分を低減できる。
本実施形態の所定の周期特性を持ったフィルタは、例えば脈波の周期に近い周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタであっても良い。また、フィルタ補正部162では、このフィルタは、脈波に近い周期を持つフィルタ関数を生成し、対象信号との相互相関計算により脈波の周期と異なる周期のノイズ成分を低減する手法を用いても良い。
以上のように、本実施形態の補正部160は、G信号に対してフィルタ補正を行った補正信号C2と、G信号とR信号を用いた差分補正を行った補正信号C1に対してフィルタ補正を行った補正信号C1′と、をピーク検出処理部170へ出力する。
本実施形態のピーク検出処理部170は、信号分割部171、影響度算出部172、補正信号選択部173、ピーク時間検出部174を有する。
信号分割部171は、補正部160から出力される補正信号C2と補正信号C1′を、脈波の周期単位で複数の区間に分割する。
影響度算出部172は、各時間区間におけるノイズによる影響度を算出する。影響度とは、補正信号C2及び補正信号C1′のそれぞれにおける、ノイズの影響の度合いを示す値である。尚、本実施形態におけるノイズとは、脈波の周期の同相ノイズと、脈波の周期の非同相ノイズとを含む。
具体的には、本実施形態では、補正信号C2及び補正信号C1′の波形の歪みを示す歪み量を影響度とした。したがって、本実施形態の影響度算出部172は、補正信号C2及び補正信号C1′の歪み量を算出する。影響度算出部172の詳細は後述する。
補正信号選択部173は、影響度算出部172が算出した影響度が小さい方と対応する補正信号を選択する。
ピーク時間検出部174は、補正信号選択部173により選択された補正信号において、ピークが発生した時刻を検出する。尚、ピーク時間検出部174は、ピークが発生した時刻と、ピークとピークの間の時間と、ピーク間の時間の変動を算出しても良い。
以上のように、本実施形態では、脈波を示す信号に対し、複数種類の補正を行った結果の補正信号から、ノイズの影響が小さい補正信号を選択し、選択された補正信号から脈波のピークの発生時刻を検出する。
次に、図4乃至6を参照し、本実施形態の信号抽出部150により抽出された信号と、補正部160において補正された信号の例を説明する。
図4は、RGB信号の一例を示す図である。図4では、信号抽出部150が画像データからR信号、G信号、B信号を抽出した場合の各信号の例を示している。
図4では、上述したように、RGB各色の信号で容積脈波に起因する周期的な信号値の変化が表れていることが分かる。また、R信号、G信号、B信号のうち、G信号の値の変化量が最も大きく、R信号とB信号では小さくなっていることが分かる。
図5は、差分補正を行った結果の例を示す図である。
図5では、差分補正部161により、区間TにおいてG信号とR信号とを用いた差分補正を行った結果の補正信号C1を示している。
図6は、フィルタ補正を行った結果の例を示す図である。図6(a)はG信号を示しており、図6(b)は、G信号に対してフィルタ補正部162によるフィルタ補正を行った結果の補正信号C2を示している。
図6の例では、G信号では脈波の周期に長い周期での信号値の変動や短い周期での信号値の変動が発生しているが、フィルタ補正部162によるフィルタ補正後の補正信号C2では、それらの信号値の変動が低減されていることが分かる。
次に、図7を参照して、本実施形態の脈波測定装置100の動作について説明する。図7は、脈波測定装置の動作を説明するフローチャートである。
本実施形態の脈波測定装置100において、脈波測定処理部130は、信号抽出部150により、データ記憶部120に格納された画像データから、脈波を示す信号を抽出する(ステップS701)。具体的には、信号抽出部150は、データ記憶部120に格納された所定の測定時間分の画像データを取得し、画像データから、G信号とR信号を抽出し、補正部160へ出力する。
続いて、補正部160は、差分補正部161により、G信号とR信号とを用いた差分補正を行い、補正信号C1を出力する(ステップS702)。
続いて、補正部160は、フィルタ補正部162により、信号抽出部150から出力されたG信号に対してフィルタ補正を行い、補正信号C2を出力する。また、補正部160は、フィルタ補正部162により、差分補正部161から出力された補正信号C1に対してフィルタ補正を行い、補正信号C1′を出力する(ステップS703)。
続いて、脈波測定処理部130は、ピーク検出処理部170により、補正信号C2及び補正信号C1′を区間毎に分割し、区間毎に、補正信号C2又は補正信号C1′の何れか一方を選択し、選択した補正信号のピークと、ピークが発生した時刻を検出する(ステップS704)。
以下に、図8、図9を参照し、信号抽出部150の処理についてさらに説明する。
図8は、撮像装置による画像の取得について説明する図である。本実施形態の信号抽出部150は、例えば生体1の顔部分の画像データから、G信号とR信号を抽出する。
本実施形態では、脈波の測定対象者(生体1)の顔部分の画像を撮像装置11で撮像し、撮像した画像のうち、鼻と頬を含む領域81の画像データからG信号とR信号を抽出する。
この領域81は、血管が皮膚表面の近くを通るため、撮像される画像から脈拍によって反射する光量の変化が観察しやすい領域である。そのため、領域81を含む画像に基づいて、脈波信号が抽出されると、解析における評価値が精度良く計算できる。
さらに、領域81は、髪又は衣服等によって肌が隠れる場合が少ない領域である。したがって、領域81を含む画像に基づいて、脈波信号が抽出されると、解析における評価値が精度良く計算できる。
上述したように、脈拍による血中のヘモグロビン量の変化に応じて領域81のRGB信号の値は周期的に変化するため、脈波測定処理部130では、その特性を利用して脈波を示す信号におけるピークを検出する。
尚、領域81は必ずしも図8に示す領域である必要はなく、脈拍によるRGB信号の変化が観測できる領域であれば他の領域を用いても構わない。例えば額部分や指先部分を撮像対象の領域としても良い。領域81は、測定時間中に、継続して画像を撮像できる領域であれば良い。
また、領域81の画素サイズは、画像から顔認識技術により目や鼻の特徴点の画像位置を検出し、それらの画像位置に基づき設定すれば良い。その他にも、脈波測定装置100の入力装置14において、領域81の始点画素位置と幅・高さの画素数の入力受け付けても良い。
また、計測は、撮像等であり、端末装置又は端末装置が有する撮像装置等が、生体から離れた位置にある、いわゆる非接触で行われるのが望ましい。
図9は、信号抽出部の処理を説明するフローチャートである。
本実施形態の信号抽出部150は、データ記憶部120から取得した画像データにおいて、顔特徴点座標の算出を行う(ステップS901)。具体的には、信号抽出部150は、顔のパーツ検出により顔画像から目、鼻、口の各特徴点の座標位置を検出する。顔のパーツ検出については既存の顔認識技術を用いれば良い。
続いて、信号抽出部150は、ステップS901で検出した特徴点の座標位置に基づき、脈波の検出に用いる領域81を設定する(ステップS902)。領域81の幅は、鼻の座標位置を中心として顔領域から外れない範囲で設定する。領域81の高さは、目と口に領域が重ならない範囲で設定する。
続いて、信号抽出部150は、領域81のG信号の値を加算平均する(ステップS903)。脈拍による領域81の反射光量の変化は微小な変化であり、1画素単位ではノイズによる影響が非常に大きいが、複数画素の信号の値を加算平均することで、脈波を示す信号に対するノイズの影響を低減することができる。
本実施形態では、以上の処理を、データ記憶部120から取得した画像データ群の全ての画像データ(全てのフレーム)に対して適用することで、各画像データからG信号とR信号を抽出する。
次に、図10を参照して、本実施形態のピーク検出処理部170の処理について説明する。図10は、第一の実施形態のピーク検出処理部の処理を説明するフローチャートである。
本実施形態のピーク検出処理部170は、信号分割部171により、補正部160から出力される補正信号C2と、補正信号C1′を脈波の周期毎の区間に分割する(ステップS1001)。
脈波の周期は、血中のヘモグロビン量が極小となる脈波の立ち上がり開始時間において、補正信号C2及び補正信号C1′が極大値をとることを利用して検出する。すなわち、本実施形態の信号分割部171は、補正信号C2及び補正信号C1′のi番目の極大時間Tmax[i]とi+1番目の極大時間Tmax[i+1]で表される時間区間[Tmax[i],Tmax[i+1]]を脈波の1周期に対応する区間として補正信号C2及び補正信号C1′を分割する。
続いて、ピーク検出処理部170は、変数N=1を設定し(ステップS1002)、N番目の区間の補正信号C2及び補正信号C1′を取得する(ステップS1003)。
続いて、ピーク検出処理部170は、影響度算出部172によるステップS1004からステップS1006の処理により、補正信号C2及び補正信号C1′に対するノイズの影響度を算出する。本実施形態の影響度は、補正信号C2及び補正信号C1′の歪み量である。
本実施形態のピーク検出処理部170は、影響度算出部172により、補正信号C2及び補正信号C1′の波形特徴量を算出する(ステップS1004)。続いて、影響度算出部172は、補正信号C2及び補正信号C1′の標準波形特徴量を算出する(ステップS1005)。
続いて、影響度算出部172は、補正信号C2及び補正信号C1′のそれぞれについて、波形特徴量と標準波形特徴量とを用いて歪み量を算出する(ステップS1006)。波形特徴量、標準波形特徴量及び歪み量の算出の処理の詳細は後述する。
続いてピーク検出処理部170は、補正信号選択部173により、歪み量が小さい方の補正信号を選択する(ステップS1007)。
続いて、ピーク検出処理部170は、N番目の区間において、選択した補正信号の値が最小値となる時刻を検出し、この時刻をピークが発生した時刻とする(ステップS1008)。
続いて、ピーク検出処理部170は、N番目の区間が、最後の区間であるか否かを判定する(ステップS1009)。ステップS1009において、最後の区間でない場合、ピーク検出処理部170は、変数N=N+1とし(ステップS1010)、ステップS1003へ戻る。
ステップS1009において、N番目の区間が最後の区間であった場合、ピーク検出処理部170は、測定時間における区間毎の脈波のピークの発生時刻を示す情報をデータ記憶部120に対して出力し(ステップS1011)、処理を終了する。
尚、データ記憶部120には、区間毎に選択された補正信号をつなげた波形データである脈波データが、区間毎のピークの発生時刻を示す情報と共に格納されても良い。データ記憶部120に記憶されたデータは、例えば脈波測定装置100の外部の装置からの取得要求を受けて、データ出力部140から出力されても良い。
以下に、図11を参照して、影響度の算出についてさらに説明する。図11は、影響度を算出する処理を説明する図である。
図11に示す波形は、例えば、区間Kにおける補正信号C2を示している。本実施形態では、補正信号C2の極大値P1から次の極大値P2までの間を脈波の周期とし、1つの区間としている。
また、本実施形態では、区間Kにおいて、補正信号C2の値が極小となる点P3をピークとして検出する。
始めに、区間Kにおける補正信号C2の波形特徴量の算出について説明する。本実施形態では、波形特徴量として、補正信号C2の立ち上がり時間UT[i]と立ち下がり時間DT[i]の比率DT[i]/UT[i]を用いる。立ち上がり時間UT[i]と立ち下がり時間DT[i]は以下の式(2)で算出する。
UT[i]=Tmin[i]−Tmax[i]
DT[i]=Tmax[i+1]−Tmin[i] (2)
ここでTmin[i]は、時間区間[Tmax[i],Tmax[i+1]](区間K)において、補正信号C2の値が最小となる時間である。
次に、本実施形態の標準波形特徴量の算出について説明する。本実施形態では、標準波形特徴量を、各時間区間の波形特徴量UT[i]/DT[i]を全区間で平均した値とした。標準波形特徴量UT/DTは、以下の式(3)により算出される。
UT/DT=Σ(UT[i]/DT[i])/N (3)
次に、本実施形態の歪み量の算出について説明する。本実施形態では、波形特徴量と、標準波形特徴量との差分を歪み量とした。歪み量Δ(UT/DT)[i]は、以下の式(4)により算出される。
Δ(UT/DT)[i]=|UT/DT−UT[i]/DT[i]| (4)
本実施形態では、以上のようにして、各区間の補正信号C2及び補正信号C1′について、波形特徴量と標準波形特徴量を算出し、歪み量を算出する。
そして、本実施形態では、区間毎に、補正信号C2及び補正信号C1′のうち、歪み量が小さい方の補正信号を、ノイズによる影響度が小さい補正信号として、選択する。
波形の歪み量は、脈波の周期の同相ノイズによる影響が小さい場合は、脈波の感度の低下や非同相ノイズの増大がないフィルタ補正を行った補正信号C2の方が、差分補正を行った補正信号C1′よりも小さくなる傾向がある。一方、波形の歪み量は、脈波の周期の同相ノイズによる影響が大きい場合は、フィルタ補正を行った補正信号C2よりも、脈波の周期の同相ノイズを低減できる差分補正を行った補正信号C1′の方が小さくなる傾向がある。
すなわち、補正信号C2の歪み量は、脈波の周期の同相ノイズによる影響が小さい場合は補正信号C1′の歪み量より小さくなり、補正信号C1′の歪み量は、同相ノイズの影響が大きい場合は補正信号C2の歪み量より小さくなる傾向がある。
よって、本実施形態では、補正信号C2及び補正信号C1′のうち、歪み量が小さい方の補正信号をピークの検出に用いる信号として選択することで、ノイズによる影響が小さい方の補正信号を選択することができる。
以上のように、本実施形態では、補正信号C2及び補正信号C1′のそれぞれについて、ノイズによる影響度を、脈波の周期毎に求める。そして、本実施形態では、脈波の周期毎に、ノイズの影響が小さい方の補正信号を選択し、ピークの検出に用いる。
ノイズによる影響が補正信号C1′と補正信号C2のどちらで小さくなるかは、脈波周期の同相ノイズの影響の大きさに応じて変化する。したがって、本実施形態によれば、脈波の周期の同相ノイズによる影響の大きさが、脈波の測定中の生体1の体動や光路中にある物体の動き等の有無や、その程度によって変化した場合でも、測定時間全体に渡ってピークの検出精度を向上させることができる。
言い換えれば、本実施形態によれば、脈波測定装置100が生体1と接触しない非接触の状態で脈波を示す信号を取得した場合でも、外乱による影響を抑制できるため、脈波を示す信号におけるピークの検出精度を向上させることができる。
尚、本実施形態では、所定の測定時間の間、撮像装置11で撮像した画像データがデータ記憶部120に格納されており、信号抽出部150は、測定が終了した後の画像データからG信号とR信号を抽出するものとしたが、これに限定されない。
本実施形態の脈波測定処理部130は、撮像装置11による撮像と並行してピークを検出する処理を実行しても良い。
この場合、影響度算出部172は、信号抽出部150がG信号とR信号を抽出した時点までの補正信号C2及び補正信号C1′の波形特徴量の加算平均を標準波形特徴量としても良い。また、この場合には、標準波形特徴量を予め実験等により求めておき、データ記憶部120に格納しておいても良い。
図12は、第一の実施形態の効果を説明する図である。図12では、差分補正を行った場合、フィルタ補正を行った場合、及び本実施形態を適用した場合のそれぞれにおいて検出されたピークの発生時刻と、接触式の脈波測定装置により検出されたピークの発生時刻とを比較した結果の誤差を示している。
以下の説明では、接触式の脈波測定装置により検出されたピークの発生時刻を真の発生時刻と呼ぶ。図12の例では、差分補正を行った場合、フィルタ補正を行った場合、及び本実施形態を適用した場合のそれぞれにおいて検出されたピークの発生時刻と、真の発生時刻との誤差を規格化した値をピーク検出誤差として縦軸にプロットしている。
図12において、フィルタ補正を行った場合のピーク検出誤差は、多くの時間区間において、差分補正を行った場合のピーク検出誤差よりも小さい。これは、フィルタ補正を行った場合には、差分補正において問題となる脈波の感度の低下や非同相ノイズの増大がなく、同相ノイズによる影響が小さい多くの時間区間においてはピーク検出誤差が小さくなるためである。
しかし、フィルタ補正では、同相ノイズが大きく影響した時間区間では、ピーク検出誤差が大きくなり、ピークの検出精度が著しく悪化する。このため、ピーク間の時間の変動にも大きな誤差が生じていた。
これに対し、本実施形態を適用した場合では、フィルタ補正によるピークの検出精度が悪化する時間区間では、差分補正を行った補正信号からピークの検出を行うため、ピーク検出誤差の悪化を抑制できることがわかる。
(第二の実施形態)
以下に、図面を参照して第二の実施形態について説明する。第二の実施形態は、影響度をノイズに含まれる同相ノイズによる影響の度合いを示す値とした点が第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
フィルタ補正を行った補正信号C2におけるノイズは、脈波の周期の同相ノイズと、脈波の周期の非同相ノイズとを含む。また、フィルタ補正を行った補正信号C2では、脈波の周期以外の周期のノイズ(非同相ノイズ)が低減されている。
差分補正を行った補正信号C1′では、同相ノイズが除去されているため、脈波の周期の非同相ノイズのみがノイズとなり、補正信号C1′における非同相ノイズは、補正信号C2における非同相ノイズよりも大きくなる。
したがって、脈波の周期の同相ノイズによる影響が大きい場合には、ノイズに同相ノイズが含まれる補正信号C2の方が、補正信号C1′と比べてノイズによる影響が大きいと言える。
また、脈波の周期の同相ノイズによる影響が小さい場合には、ノイズに同相ノイズが含まれず、非同相ノイズが低減されていない補正信号C1′の方が、補正信号C2と比べてノイズによる影響が大きいと言える。
そこで、本実施形態では、同相ノイズによる影響の度合いに基づき、ノイズの影響が小さい補正信号を選択し、選択した補正信号からピークの発生時刻を検出する。言い換えれば、本実施形態では、同相ノイズによる影響の度合いを示す値を影響度として算出し、影響度に基づきノイズによる影響の小さい補正信号を選択する。
本実施形態の影響度算出部172は、同相ノイズによる影響の度合いを示す値として、各時間区間におけるR信号の最大値と最小値を検出し、その変化量ΔRを算出する。
R信号の変化量ΔRの値は、大きくなるほど同相ノイズによる影響の度合いが大きくなるという傾向がある。本実施形態では、この点に着目し、R信号の変化量ΔRが所定の閾値よりも小さい場合には、同相ノイズによる影響が小さいものと判定し、フィルタ補正を行った補正信号C2をピークの検出に用いる。また、本実施形態では、R信号の変化量ΔRが所定の閾値以上の場合には、同相ノイズによる影響が大きいものと判定し、差分補正を行った補正信号C1′をピークの検出に用いる。
本実施形態では、以上のように補正信号を選択することで、ノイズによる影響が小さい方の補正信号を用いてピークを検出する。
尚、本実施形態において、閾値は、事前に行われた実験等によりピーク検出誤差が最も小さくなる変化量の値を求め、この値を予め設定しておくものとした。
図13は、第二の実施形態のピーク検出処理部の処理を説明するフローチャートである。
図13のステップS1301からステップS1303までの処理は、図10のステップS1001からステップS1003までの処理と同様であるから、説明を省略する。
ステップS1303において、N番目の時間区間の補正信号C1′及び補正信号C2を取得すると、影響度算出部172は、N番目の時間区間におけるR信号の変化量ΔRを算出する(ステップS1304)。具体的には、影響度算出部172は、信号抽出部150により抽出されたR信号において、N番目の時間区間における最大値と最小値を取得し、最大値と最小値との差分を変化量ΔRとする。
続いて影響度算出部172は、変化量ΔRが、閾値より小さいか否を判定する(ステップS1305)。
ステップS1305において、変化量ΔRが閾値より小さい場合、補正信号選択部173は、フィルタ補正が行われた補正信号C2を選択し(ステップS1306)、後述するステップS1308へ進む。ステップS1305において、変化量ΔRが閾値以上である場合、補正信号選択部173は、差分補正が行われた補正信号C1′を選択し(ステップS1307)、後述するステップS1308へ進む。
ステップS1308からステップS1311までの処理は、図10のステップS1008からステップS1011までの処理と同様であるから、説明を省略する。
以上のように、本実施形態では、同相ノイズの影響の度合いを示す値を、時間区間毎のR信号の変化量ΔRとすることで、第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。
尚、R信号の代わりにB信号やG信号を用いて時間区間毎の変化量を算出しても構わないが、脈波の感度の変化の小さい信号を、同相ノイズによる影響の度合いの判定に用いることが好ましい。
(第三の実施形態)
以下に、図面を参照して第三の実施形態について説明する。第三の実施形態は、同相のノイズの影響の度合いを示す値を、生体1と撮像装置11との距離を示す距離信号の変化量として算出する点が第二の実施形態と相違する。以下の第三の実施形態の説明では、第二の実施形態との相違点についてのみ説明し、第二の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第二の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
本実施形態では、撮像装置11に、生体1と撮像装置11の撮像面までの距離を検出する機能を設けた。
本実施形態では、撮像装置11は、例えば、距離計測用の赤外光パターンを照射する赤外プロジェクタと、被写体からの赤外反射光を受光する赤外イメージセンサを備えた、距離の検出が可能な3Dカメラ等としても良い。この場合、RGB画像と同時に、生体1に照射された赤外光パターンを解析することで、生体1からの2次元の距離画像を取得することができる。
尚、撮像装置11を3Dカメラとする場合には、パターン投影法(Structured Light方式)の3Dカメラを用いても良いし、他のTOF方式やステレオカメラ方式の3Dカメラを用いて距離画像を取得しても構わない。
本実施形態における撮像装置11よる生体1の撮像領域と、撮像領域の指定方法は、第一の実施形態と同様である。また、本実施形態における距離画像のフレームレートは、RGB画像と同じ30fps、距離を示す信号のビット数は16bitである。最適なフレームレートやビット数等のカメラパラメータは、第一の実施形態と同様に、測定環境やカメラ性能、その後のデータ処理を考慮して最適な値を設定すれば良い。
尚、本実施形態では、撮像装置11を3Dカメラとしなくても良く、生体1と、撮像装置11との間の距離を示す信号を検出できるものであれば良い。以下の説明では、生体1から撮像装置11までの距離を示す信号を距離信号と呼ぶ。距離信号は、例えば画像取得部110により取得され、RGB画像データと共に、データ記憶部120に格納される。
本実施形態の影響度算出部172は、各時間区間における距離信号の最大値と最小値を検出し、その変化量ΔDを算出する。
距離信号の変化量ΔDは、大きくなるほど同相ノイズによる影響の度合いが大きくなるという傾向がある。本実施形態では、この点に着目し、距離信号の変化量ΔDが所定の閾値より小さい時間区間では、脈波の周期の同相ノイズによる影響が小さいものと判定し、フィルタ補正を行った補正信号C2をピークの検出に用いる。また、本実施形態では、距離信号の変化量ΔDが所定の閾値以上の時間区間では、同相ノイズによる影響が大きいものと判定し、差分補正を行った補正信号C1’を用いてピークを検出する。
本実施形態では、以上のように補正信号を選択することで、ノイズによる影響が小さい方の補正信号を用いてピークを検出する。
尚、本実施形態において、閾値は、事前に行われた実験等によりピーク検出誤差が最も小さくなる変化量の値を求め、この値を予め設定しておくものとした。
図14は、第三の実施形態のピーク検出処理部の処理を説明するフローチャートである。
図14のステップS1401からステップS1403までの処理は、図10のステップS1001からステップS1003までの処理と同様であるから、説明を省略する。
ステップS1403において、N番目の時間区間の補正信号C1′及び補正信号C2を取得すると、影響度算出部172は、N番目の時間区間における距離信号の変化量ΔDを算出する(ステップS1404)。具体的には、影響度算出部172は、N番目の時間区間の距離信号を取得し、最大値と最小値との差分を変化量ΔDとする。
続いて影響度算出部172は、変化量ΔDが閾値より小さいか否かを判定する(ステップS1405)。ステップS1405において、変化量ΔDが閾値より小さい場合、補正信号選択部173は、フィルタ補正が行われた補正信号C2を選択し、後述するステップS1408へ進む。
ステップS1405において、変化量ΔDが閾値以上の場合、補正信号選択部173は、差分補正が行われた補正信号C1′を選択し、後述するステップS1408へ進む。
ステップS1408からステップS1411までの処理は、図10のステップS1008からステップS1011までの処理と同様であるから、説明を省略する。
以上のように、本実施形態では、同相ノイズの影響の度合いを示す値を、時間区間毎の距離信号の変化量ΔDとすることで、第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第四の実施形態)
以下に、図面を参照して第四の実施形態について説明する。第四の実施形態は、差分補正部161の出力である補正信号C1もピーク検出処理部170へ供給する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第四の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図15は、第四の実施形態の脈波測定装置の機能構成を説明する図である。本実施形態の脈波測定装置100Aは、補正部160Aを有する。
本実施形態の補正部160Aは、差分補正部161から出力される補正信号C1をピーク検出処理部170の信号分割部171へ供給する。
本実施形態のピーク検出処理部170では、3つの補正信号C1、C1′、C2について、第一の実施形態と同様の処理を行う。
つまり、本実施形態のピーク検出処理部170は、3つの補正信号C1、C1′、C2のそれぞれを時間区間毎に分割し、歪み量を算出する。そして、ピーク検出処理部170は、3つの補正信号C1、C1′、C2のうち、歪み量が最も小さい補正信号を用いてピークを検出する。
したがって、本実施形態では、最もノイズの影響が小さい補正信号を用いてピークを検出することができ、ピークの検出精度を向上させることができる。
(第五の実施形態)
以下に、図面を参照して第五の実施形態について説明する。第五の実施形態は、脈波測定処理部を、撮像装置を有する端末装置の外部に設けた点が第一の実施形態と相違する。以下の第五の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図16は、第五の実施形態の脈波測定システムを説明する図である。本実施形態の脈波測定システム200は、脈波測定サーバ300と、端末装置100Bとを有する。
本実施形態の脈波測定サーバ300は、CPUと記憶装置とを有する一般的な情報処理装置であり、脈波測定処理部130を有する。本実施形態の端末装置100Bは、撮像装置11を有する。
本実施形態の脈波測定システム200において、端末装置100Bは、撮像装置11により撮像された画像データを脈波測定サーバ300へ送信する。
脈波測定サーバ300は、端末装置100Bから受信した画像データを用いて、脈波測定処理部130による処理を実行し、脈波データを得る。脈波測定サーバ300は、得られた脈波データを端末装置100Bへ送信する。
本実施形態では、以上のように、脈波測定処理部130を端末装置100Bの外部にある脈波測定サーバ300に設けることで、端末装置100Bの処理の負荷を軽減することができる。したがって、端末装置100Bは、撮像装置11が撮像した画像データを送信できれば良く、簡易な構成のものとすることができる。例えば、本実施形態の端末装置100Bは、撮像装置11に送信機能が設けられたものであっても良い。
また、図16の例では、脈波測定サーバ300が得た脈波データを端末装置100Bに送信するものとしたが、これに限定されない。脈波測定サーバ300は、脈波データを端末装置100B以外の装置へ送信しても良い。
また、本実施形態では、脈波測定サーバ300に脈波測定処理部130が設けられた例を説明したが、これに限定されない。脈波測定サーバ300は、脈波測定処理部130のうち、例えばピーク検出処理部170のみを有しており、信号抽出部150と補正部160が端末装置100Bに設けられていても良い。
(第六の実施形態)
第六の実施形態の脈波測定装置は、例えば、第一の実施形態と同様に図1に示すような脈波の測定を行う。また、第六の実施形態の脈波測定装置は、例えば、第一の実施形態と同様のハードウェアによって実現される。以下、重複する説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、図1に示すように、脈波測定装置の例である端末装置100に搭載された撮像装置(カメラ)11により、脈波の測定の対象となる生体1の画像を撮像し、撮像した画像から、生体1の脈波を示す信号を取得する。この場合において、本実施形態の端末装置100は、信号のSN比を計算して、SN比が閾値以下であれば、露光時間を制御する。このようにして、本実施形態の端末装置100は、SN比が高い画像が撮像されるようにする。そして、本実施形態の端末装置100は、ピーク検出処理により、脈波を示す脈波信号における各ピークの発生時刻を検出する。
したがって、本実施形態によれば、脈波のピークの検出精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、ピークの検出精度を向上させることで、ピーク間の時間の変動の検出精度も向上させることができる。
したがって、本実施形態によれば、ピーク間の時間の変動を示す変動情報を用いる処理を実行する装置に対し、精度の高い変動情報を提供することができ、変動情報を用いる処理の処理結果の信頼性の向上に対しても貢献できる。変動情報を用いる処理とは、例えば、生体の自律神経の働きを解析する処理等である。
<機能構成例>
図17は、第六の実施形態の脈波測定装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図示するように、端末装置100は、計測部100F1と、脈波信号抽出部100F2と、計算部100F3と、制御部100F4と、解析部100F5とを備える。
計測部100F1は、脈波を計測する対象である生体1から送られる光をサンプリングする。例えば、計測部100F1は、生体1を撮像し、画像を生成する。尚、計測部100F1は、例えば、撮像装置11(図2)等によって実現される。
脈波信号抽出部100F2は、計測部100F1から入力される画像等に基づいて、脈波信号を抽出する。例えば、脈波信号抽出部100F2は、計測部100F1によって、サンプリングされる画像を1フレームごと読み出し、主にGを示す信号値等から脈波信号を抽出する。尚、脈波信号抽出部100F2は、例えば、CPU12(図2)等によって実現される。
計算部100F3は、SN比を計算する。具体的には、計算部100F3は、脈波信号抽出部100F2によって抽出される脈波信号の信号成分と、ノイズ成分とを評価して、SN比を計算する。尚、計算部100F3は、例えば、CPU12等によって実現される。
制御部100F4は、各ハードウェアを制御する。例えば、計測部100F1がカメラで実現される場合には、制御部100F4は、カメラのフレームレート、シャッタスピードのいずれか又は両方を設定し、カメラの撮像条件等を変更する。また、制御部100F4は、計算部100F3によって計算されるSN比に基づいて制御を行う。尚、制御部100F4は、例えば、CPU12等によって実現される。
解析部100F5は、脈波信号抽出部100F2によって抽出される脈波信号等に基づいて、解析を行い、生体1の脈拍数又は脈拍のピーク間隔のゆらぎ等を評価する。尚、解析部100F5は、例えば、CPU12等によって実現される。
尚、端末装置100は、更に補正部を備える機能構成であってもよい。
<全体処理例>
図18は、第六の実施形態の脈波測定装置による全体処理の一例を示すフローチャートである。
<計測例(ステップS01)>
ステップS01では、端末装置は、生体を計測する。例えば、ステップS01では、端末装置は、生体を撮像し、画像を生成する。尚、撮像は、例えば、第一の実施形態と同様、すなわち、図8に示す領域81等を撮像し、画像を生成する。
<脈波信号の抽出例(ステップS02)>
ステップS02では、端末装置は、脈波信号を抽出する。例えば、図7に示すステップS701と同様に行われる。すなわち、ステップS02では、例えば、図9に示すような処理が行われる。
図19は、第六の実施形態の脈波信号の一例を示す図である。図示する脈波信号の例は、30(回/分)抽出された例である。また、図19では、横軸は、撮像される画像のフレーム数、すなわち、所定時間に撮像されるフレーム数が一定とすると、横軸は、時間に相当する。一方で、縦軸は、信号値、すなわち、図9に示す処理によって計算される平均値である。図示するように、脈波信号は、脈拍に応じて周期的に変化する状態が観測できる信号である。
<SN比の計算例(ステップS03)>
図18に戻り、ステップS03では、端末装置は、SN比を計算する。
図20は、第六の実施形態のSN比を計算する処理の一例を示すフローチャートである。例えば、図18に示すステップS03では、図20に示す処理が行われる。
<パワースペクトルの算出例(ステップS31)>
ステップS31では、端末装置は、パワースペクトルを算出する。具体的には、ステップS31では、まず、端末装置は、データ数が2の累乗となるように調整する。次に、端末装置は、調整されたデータに対して、高速フーリエ変換(FFT)を行う。続いて、端末装置は、各周波数におけるパワーをそれぞれ算出する。
図21は、第六の実施形態のSN比の計算において算出されるパワースペクトルの一例を示す図である。例えば、図示するグラフがステップS31によって生成される。尚、図21では、縦軸は、パワーを示し、一方で、横軸は、周波数を示す。
<脈波周波数の検出例(ステップS32)>
図20に戻り、ステップS32では、端末装置は、脈波周波数を検出する。以下、図21に示すパワースペクトルがステップS31によって算出された例で説明する。この例では、脈波周波数Fpは、図示するように検出される。
生体が安静状態であると、脈拍数は、1分当たり30乃至120回程度であることが多い。したがって、パワースペクトルでは、この脈拍数に応じた周期で、強いピークの基本波が検出される。すなわち、周波数が0.5乃至2.0ヘルツ(Hz)となる帯域で、端末装置は、パワースペクトルにおいて、最もパワーが大きくなる周波数を検出する。このようにすると、端末装置は、脈波周波数Fpを図示するように検出できる。具体的には、図21に示す例では、周波数が1.0ヘルツ程度となる周波数で、強いピークが検出される。したがって、この例では、周波数が1.0ヘルツ程度となる周波数が脈波周波数Fpと検出される。
<信号及びノイズのそれぞれの周波数帯域の決定例(ステップS33)>
図20に戻り、ステップS33では、端末装置は、信号及びノイズのそれぞれの周波数帯域を決定する。例えば、信号成分の周波数帯域は、ステップS32で検出される脈波周波数を中心として決定される。具体的には、図21では、信号成分の周波数帯域Fsは、「Fp−ΔF」乃至「Fp+ΔF」の帯域と決定される例である。尚、図21では、「ΔF」は、0.2ヘルツと設定された例である。また、「ΔF」は、あらかじめ設定される値である。例えば、「ΔF」は、パワースペクトルのピーク形状等を考慮して設定される。また、信号成分の周波数帯域Fsには、脈波周波数Fpの整数倍の周波数に現れる高調波のピークを含む周波数帯域が含まれてもよい。
一方で、ステップS33では、端末装置は、信号成分の周波数帯域Fs以外の周波数帯域をノイズ成分の周波数帯域Fnと決定する。ただし、脈波周波数Fpより低周波のパワーは、計測される際の生体の体動等によって影響を受ける。したがって、端末装置は、図21に示すように、信号成分の周波数帯域Fsより高周波となる周波数帯域をノイズ成分の周波数帯域Fnと決定してよい。尚、ノイズ成分の周波数帯域Fnには、信号成分の周波数帯域Fsより低周波の周波数帯域が含まれてもよい。また、ノイズ成分の周波数帯域Fnの上限の周波数は、(サンプリング周波数/2)である。すなわち、例えば、カメラのフレームレートが「30fps(フレーム/秒)」とすると、ノイズ成分の周波数帯域Fnの上限の周波数は、「30Hz/2=15Hz」である。
<SN比の計算例(ステップS34)>
図20に戻り、ステップS34では、端末装置は、SN比を計算する。具体的には、ステップS34では、まず、端末装置は、ステップS33で決定される信号成分の周波数帯域と、ノイズ成分の周波数帯域とに基づいて、信号成分である「Vs」及びノイズ成分である「Vn」をそれぞれ計算する。尚、「Vs」及び「Vn」は、例えば、各周波数帯域のそれぞれのパワーを平均してそれぞれ計算される。次に、端末装置は、計算される「Vs」及び「Vn」の比を取ってSN比を計算する。尚、SN比は、他の計算方法で計算されてもよい。
<SN比が所定の閾値以下であるか否かの判断例(ステップS04)>
図18に戻り、ステップS04では、端末装置は、SN比が所定の閾値以下であるか否かを判断する。すなわち、ステップS04では、端末装置は、ステップS03で計算されるSN比と、閾値とを比較して、SN比が閾値以下であるか否かを判断する。
次に、SN比が閾値以下であると判断されると(ステップS04でYES)、端末装置は、ステップS05に進む。一方で、SN比が閾値以下ではないと判断されると(ステップS04でNO)、端末装置は、ステップS06に進む。尚、SN比が閾値以下であると判断された場合には、端末装置は、アラーム等を表示して、脈波測定に係る処理を中止してからステップS05に進んでもよい。
図22は、第六の実施形態における閾値の設定例を示す図である。尚、図22は、SN比と、ピーク検出誤差との関係の一例を示す図である。
図22では、横軸は、図20に示すステップS34等の計算方法で計算されるSN比の値を示す。一方で、縦軸は、端末装置による解析によって検出されるピーク時間と、接触式等の脈波測定装置によって検出されるピーク時間、すなわち、真のピーク時間との誤差を示す。
図示するように、SN比が低いと、ピーク検出誤差は、増大する関係となる。したがって、まず、端末装置は、ピーク検出誤差と、SN比との関係を示す関係式FRを算出する。尚、関係式FRは、例えば、各点に基づいて最小二乗法等によって算出される。
次に、端末装置は、後段に行われる解析の目的等に合わせて、許容できるピーク検出誤差、すなわち、縦軸の値を決定する。続いて、端末装置は、関係式FRに基づいて、決定される縦軸の値に対する値を閾値THと決定する。このようにして、端末装置は、閾値THを設定する。また、この決定によって定まる閾値THがあらかじめ端末装置に設定され、図4に示すステップS04が行われる。
<露光時間を変更する制御例(ステップS05)>
図18に戻り、ステップS05では、端末装置は、露光時間を変更する制御を行う。
図23は、第六の実施形態の脈波測定装置による制御の一例を示すタイミングチャートである。以下、シャッタスピードの初期設定等によって定まる露光時間が図23(A)に示す露光時間(以下「第1露光時間ET1」という。)である例で説明する。尚、初期設定等によって、フレームレートによって定まる周期は、図23(A)に示すサンプリング周期(以下「第1サンプリング周期ST1」という。)であるとする。尚、露光時間は、カメラのシャッタが切られ、光が取り込まれている時間、すなわち、露光が行われている時間である。
次に、SN比が所定の閾値以下であると判断されると(図18に示すステップS04でYES)、ステップS05では、端末装置は、例えば、露光時間を図23(B)に示す露光時間(以下「第2露光時間ET2」という。)に変更するように制御を行う。具体的には、端末装置は、シャッタスピードの設定値等を変更して露光時間が第2露光時間ET2となるように制御する。図示するように、第2露光時間ET2は、第1露光時間ET1と比較すると、長い時間である。このように、露光時間が長くなると、1フレーム当たりの受光量が増加するため、1フレーム当たりの受光量が不足している場合には、パワースペクトルにおいて信号成分が強くなる。すなわち、露光時間が長くなると、SN比を高くすることができる。また、SN比と、ピーク検出誤差との関係は、図22に示す関係にあることが多いため、SN比を高くすると、ピーク検出誤差を減少させることができる。したがって、端末装置は、露光時間を変更する制御によって、SN比を高くし、ピーク検出誤差を減少させることができる。
また、端末装置は、脈波信号をサンプリングする周期の例であるフレームレートによって定まる周期を遅くしてもよい。図23に示す例では、端末装置は、第1サンプリング周期ST1を図23(B)に示すサンプリング周期(以下「第2サンプリング周期ST2」という。)に変更する制御を行う。露光時間は、1周期において、フレームレートによって定まる周期より、長く設定できない場合が多い。そこで、端末装置は、図23(B)に示す第2サンプリング周期ST2のように、サンプリングする周期が長くなるようにフレームレート等を変更する制御を行う。例えば、変更前、すなわち、図23(A)では、フレームレートが「60fps」であるとすると、端末装置は、フレームレートを「30fps」とする。このように、フレームレートを遅くすると、1周期において、第1露光時間ET1を第2露光時間ET2とするように、端末装置は、露光時間を長くできる。
<解析及び補正例(ステップS06)>
図18に戻り、ステップS06では、端末装置は、解析及び補正等を行う。
図24は、本発明の一実施形態に係る脈波測定装置による解析及び補正の一例を示すフローチャートである。尚、図24では、図18と同一又は類似の処理は、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
<計測例(ステップS01)>
ステップS01では、図18と同様に、端末装置は、撮像等によって、生体を計測する。尚、図24においては、計測は、例えば、後段で行う解析の目的等に合わせて、所定時間計測されてもよい。例えば、脈波信号のLF(Low Frequency)及びHF(High Frequency)の値、すなわち、低周波及び高周波のそれぞれのゆらぎ等を算出するため、2分間程度計測が行われて、各データが記憶されてもよい。
<脈波信号の検出例(ステップS02)>
ステップS02では、例えば、図18と同様に、端末装置は、脈波信号を検出する。したがって、図18と同様に、ステップS02によって、図19に示すような脈波信号等が検出される。
<ノイズ低減例(ステップS61)>
ステップS61では、端末装置は、脈波信号が有するノイズを低減させる。尚、ノイズを低減させる方法は、公知の技術が用いられてもよい。例えば、ノイズを低減させる方法は、バンドパスフィルタ等を適用させる、いわゆるフィルタ補正技術等である。また、ノイズを低減させる方法は、2つの色信号の差分を取り、計測中における生体の体動又は照明の変化等によって発生する同相ノイズ等を低減させる、いわゆる差分補正技術等でもよい。
尚、ノイズを低減させると、例えば、図6に示すような結果となる。
<ピーク時間の検出例(ステップS62)>
ステップS62では、端末装置は、ピーク時間を検出する。具体的には、ステップS62では、端末装置は、ステップS61で生成されるノイズが低減した脈波信号からピーク時間を検出する。ヘモグロビンによって光が吸収されるため、ピークになると、信号値は、小さくなる。これを利用して、ピーク時間は、各拍における信号値が極大となる時間から次に信号値が極大となるまでの時間区間で信号値が最小値となる時間を算出すると検出できる。
<ピーク時間の補正例(ステップS63)>
ステップS63では、端末装置は、ピーク時間を補正する。
図18に示すステップS05によって、SN比を高くするため、フレームレートが遅くなる場合がある。この場合には、フレームレートが遅くなるため、時間分解能が、後段に行われる解析の目的等によっては、不足する場合がある。すなわち、所定時間に脈波信号の信号値がサンプリングされる数が、所定の値以下となる場合である。例えば、時間分解能が不足である場合等には、端末装置は、ピーク時間を補正する。
具体的には、端末装置は、任意のピークの信号値及びそのピークの前後のそれぞれの信号値、すなわち、複数の信号値に基づいて近似してピーク時間を補正する。以下、3つの信号値に基づいて、ピーク時間が補正される例を示す。
図25は、本発明の一実施形態に係る脈波測定装置によるピーク時間の補正例を示す図である。図示する補正は、いわゆる折れ線近似である。この補正では、補正によって求まるピーク時間をピーク補正量Δtiとする。また、ピークの信号値を第1信号値Piとする。さらに、第1信号値Piの1つ前のピークの信号値を第2信号値Pi−1とする。一方で、第1信号値Piの1つ後のピークの信号値を第3信号値Pi+1とする。この場合には、ピーク補正量Δtiは、図示する式等によって求まる。
図示する式によってピーク補正量Δtiが求まると、端末装置は、脈波信号の時間分解能を高くできる。すなわち、ピーク時間を補正すると、端末装置は、脈波信号の時間分解能を高くできる。そのため、端末装置は、低い時間分解能の脈波信号からでも、脈波のピーク時間を精度良く算出できる。
図26は、本発明の一実施形態に係る脈波測定装置によるピーク時間の別の補正例を示す図である。図24に示すステップS63では、図26に示す補正が、行われてもよい。図25に示す補正と同様に、補正によって求まるピーク時間をピーク補正量Δtiとする。さらに、第1信号値Pi、第2信号値Pi−1及び第3信号値Pi+1も同様とする。この補正では、ピーク補正量Δtiは、図26に示す式等によって求まる。図示する補正は、いわゆる放物線近似である。
図示する式によってピーク補正量Δtiが求まると、端末装置は、脈波信号の時間分解能を高くできる。すなわち、ピーク時間を補正すると、端末装置は、脈波信号の時間分解能を高くできる。そのため、端末装置は、低い時間分解能の脈波信号からでも、脈波のピーク時間を精度良く算出できる。
尚、補正方法は、図25及び図26に示す方法に限られない。例えば、図25に示す補正例は、2つの直線の傾きをそれぞれ「l1」と、「l2」とし、「l1=−l2」となると仮定する例である。これに対して、脈波は、ピーク後の傾きより、ピーク前の傾きの方が急峻となる場合が多い。したがって、この特性を反映させて、「l1>−l2」となるようにして、端末装置は、補正を行ってもよい。このように行うと、端末装置は、より精度良くピーク時間を補正できる。
他にも、補正方法は、スプライン補間法等の補完方法を利用する方法でもよい。さらに、補正に用いられる信号値は、3つに限られず、近傍の別の信号値等を更に用いて、3つ以上の信号値が用いられてもよい。
尚、補正は、所定時間に脈波信号の信号値がサンプリングされる数が所定の値以下となると行われるのが望ましい。例えば、所定時間は、単位時間であり、具体的には、「1秒」等である。また、所定の値は、後段に行われる解析の目的等に基づいて定まる。例えば、生体の自律神経の働きを解析する目的の場合等では、信号値は、1秒に、256個以上が検出されるのが望ましい。この場合等では、補正は、時間分解能が「1秒間に256個以上」となる程度に補正するのが望ましい。
<評価値の算出例(ステップS64)>
図24に戻り、ステップS64では、端末装置は、評価値を算出する等の解析を行う。例えば、端末装置は、検出される各ピーク時間に基づいて、脈拍数、脈拍ピーク間隔のゆらぎ又はこれらの組み合わせ等の評価値を算出する。
また、本発明に係る実施形態は、本発明の一実施形態に係る処理の一部又は全部の手順が、プログラムに基づいて情報処理装置又は情報処理システムによって実行されることで実現されてもよい。すなわち、本発明に係る実施形態は、脈波測定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム等によって実現されてもよい。尚、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体等に記憶されてコンピュータにインストールされる。
さらに、本発明に係る実施形態は、端末装置を含む複数の情報処理装置を有する脈波測定システムによって実現されてもよい。すなわち、各実施形態は、例えば、図16に示す脈波測定システム等によって実現されてもよい。
なお、脈波測定システムでは、端末装置100Bと、脈波測定サーバ300とは、全体処理を上記に説明した以外の分担で処理を行ってもよい。また、脈波測定システムでは、処理は、複数の装置によって、冗長、分散又は並列して行われてもよい。
以上のように、抽出される脈波信号のSN比に基づいて、露光時間を制御すると、脈波測定装置は、SN比を高くし、ピーク検出誤差を減少させることができる。このように、ピーク検出誤差を減少させると、脈波測定装置は、脈波のピークを検出する精度を向上させることができる。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。