JP2020155677A - 誘電膜 - Google Patents

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貴雅 伊藤
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成亮 高松
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亮介 松野
淳 高原
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淳 高原
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Abstract

【課題】 可塑剤がブリードしにくく低温特性に優れる誘電膜を提供する。【解決手段】 第一の誘電膜は、トランスデューサにおいて一対の電極層間に介装され、ゴムポリマーが架橋した架橋体と、該ゴムポリマーおよび該ゴムポリマーの架橋に使用された架橋剤の少なくとも一方と反応する反応性部と、疎水性部と、を有し、該反応性部を介して該架橋体に結合されている反応性可塑剤と、を有する。第二の誘電膜は、同じくトランスデューサにおいて一対の電極層間に介装され、ゴムポリマーが架橋した架橋体と、無機粒子と、該ゴムポリマー、該ゴムポリマーの架橋に使用された架橋剤、および該無機粒子の少なくとも一つと反応する反応性部と、疎水性部と、を有し、該反応性部を介して該架橋体および該無機粒子の少なくとも一方に結合されている反応性可塑剤と、を有する。【選択図】 なし

Description

本発明は、トランスデューサに用いられる誘電膜に関する。
トランスデューサとしては、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ、ハプティクス用素子など、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォンなどが知られている。柔軟性が高く、小型で軽量なトランスデューサを構成するためには、誘電エラストマーなどの高分子材料が有用である。例えば、誘電エラストマーからなる誘電膜の厚さ方向両面に一対の電極層を配置して、電歪型のトランスデューサを構成することができる。誘電エラストマーとしては、比誘電率が大きいニトリルゴム、アクリルゴムなどが用いられる(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2010−219380号公報 特開2011−084712号公報 特開2013−072063号公報
ニトリルゴムなどのガラス転移温度は比較的高い。このため、例えば寒冷地など、0℃以下の低温下でトランスデューサを使用した場合には、誘電膜が硬くなり変位量が小さくなるため、トランスデューサの性能が低下してしまうという問題があった。
例えば上記特許文献2の段落[0033]に記載されているように、可塑剤を配合すると誘電膜を柔軟にすることができるため、低温下における性能低下を抑制できるかもしれない。しかしながら、本発明者が検討したところ、単に可塑剤を配合しただけでは、時間の経過と共にブリードしてしまうことがわかった。この原因として、以下の二点が考えられる。一つは、ゴムポリマーと可塑剤の相溶性が充分ではない点であり、もう一つは、長期間、電圧を印加して駆動させることが、ブリードを促進している可能性がある点である。
可塑剤がブリードすると、それがイオン化して誘電膜中を移動することにより、電気抵抗が小さくなり、誘電膜中に電流が流れやすくなる。これにより、体積抵抗率が低下して絶縁破壊強度が低下する。また、可塑剤がブリードすると、可塑剤が含有されることによる本来の効果が発揮されないため、柔軟性の向上による引張特性などの機械的特性が充分でなくなる他、低温特性も改善されない。さらに、可塑剤が誘電膜の表面に染み出だすと、電極層との接着力が低下して誘電膜が剥がれやすくなるため、信頼性が低下する。加えて、誘電膜を製造した後の保管時に可塑剤が誘電膜の表面に染み出だすと、加工性も低下する。
可塑剤のブリードを抑制するためには、可塑剤をゴムポリマーに化学結合させる方法が考えられる。しかしながら、誘電膜に適したニトリルゴムなどに化学結合することができ、かつ相溶性が良好な可塑剤は無いというのが現状である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、可塑剤がブリードしにくく低温特性に優れる誘電膜を提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の第一の誘電膜は、トランスデューサにおいて一対の電極層間に介装される誘電膜であって、ゴムポリマーが架橋した架橋体と、該ゴムポリマーおよび該ゴムポリマーの架橋に使用された架橋剤の少なくとも一方と反応する反応性部と、疎水性部と、を有し、該反応性部を介して該架橋体に結合されている反応性可塑剤と、を有することを特徴とする。
(2)上記課題を解決するため、本発明の第二の誘電膜は、トランスデューサにおいて一対の電極層間に介装される誘電膜であって、ゴムポリマーが架橋した架橋体と、無機粒子と、該ゴムポリマー、該ゴムポリマーの架橋に使用された架橋剤、および該無機粒子の少なくとも一つと反応する反応性部と、疎水性部と、を有し、該反応性部を介して該架橋体および該無機粒子の少なくとも一方に結合されている反応性可塑剤と、を有することを特徴とする。
(1)本発明の第一の誘電膜は、架橋体と、該架橋体に結合されている反応性可塑剤と、を有する。反応性可塑剤が含有されているため、ガラス転移温度が低くなり、0℃以下の低温下でも柔軟性が維持されやすい。このため、寒冷地などの低温下でトランスデューサを使用した場合にも、誘電膜が硬くなりにくく、出力および変位量が低下しにくい。
反応性可塑剤は、可塑化効果を発揮し得る疎水性部を有する。そして、疎水性部にゴムポリマーと相溶な構造を選択することで相溶化できる。加えて、反応性可塑剤は、反応性部を有し、ゴムポリマーおよび架橋剤の両方、またはいずれか一方と化学結合することにより、架橋体に固定されている。本発明の第一の誘電膜によると、反応性可塑剤が架橋構造に組み込まれているため、時間が経過しても、電圧を印加して長期間使用しても、反応性可塑剤がブリードしにくい。したがって、反応性可塑剤による柔軟性向上、低温特性向上などの効果が存分に発揮される。また、ブリードした可塑剤由来のイオン性不純物による体積抵抗率の低下も生じにくい。また、電極層との接着力が低下しにくいため、信頼性が向上する。さらに、誘電膜を長期間保管しても、加工性が低下しにくい。このように、本発明の第一の誘電膜は、低温下での使用が想定されるトランスデューサに好適であり、長期間使用しても性能が低下しにくく信頼性が高い。
(2)本発明の第二の誘電膜は、無機粒子を有する点以外は、上記本発明の第一の誘電膜と同じである。すなわち、本発明の第二の誘電膜において反応性可塑剤は、ゴムポリマー、架橋剤、および無機粒子の少なくとも一つと化学結合することにより、架橋体および無機粒子の少なくとも一方に固定されている。本発明の第二の誘電膜によると、反応性可塑剤が架橋構造に組み込まれるか、無機粒子に固定されるため、時間が経過しても、電圧を印加して長期間使用しても、反応性可塑剤がブリードしにくい。ちなみに、反応性可塑剤が無機粒子のみに化学結合されている場合であっても、無機粒子が架橋体に化学結合されていれば、反応性可塑材は架橋構造に組み込まれる。本発明の第二の誘電膜によると、配合する無機粒子の特性に応じて、耐絶縁破壊性、圧電性などを誘電膜に付与することができる。例えば、無機粒子が電気絶縁性を有すれば、誘電膜の体積抵抗率が大きくなり、耐絶縁破壊性が向上する。また、無機粒子が圧電性を有すれば、圧電機能を有するトランスデューサの圧電層として、誘電膜を用いることができる。
以下、本発明の第一および第二の誘電膜の実施の形態について説明する。なお、本発明の第一および第二の誘電膜は、以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
<第一の誘電膜>
本発明の第一の誘電膜は、架橋体と反応性可塑剤とを有する。
(1)架橋体
架橋体は、ゴムポリマーが架橋した三次元構造体である。比誘電率が比較的大きく、電気抵抗が大きいという観点から、ゴムポリマーは、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴムから選ばれる一種以上であることが望ましい。また、反応性可塑剤の反応性部とゴムポリマーとを反応させるという観点から、ゴムポリマーは、該反応性部と反応する官能基を有することが望ましい。この場合、官能基としては、カルボキシ基、水酸基、エポキシ基、酸無水物、イソシアネートなどが挙げられる。ゴムポリマーとしては、これらの官能基から選ばれる一種以上を有するものを採用するとよい。例えば、カルボキシ基含有ニトリルゴム、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムなどが好適である。また、チオール−エン反応などを利用して、ゴムポリマーに所望の官能基を導入してもよい。
ゴムポリマーを架橋する架橋剤としては、硫黄、有機過酸化物、有機金属化合物などが挙げられる。このうち、硫黄や有機過酸化物を用いると、未反応の硫黄や架橋助剤などの反応残渣が生じやすい。反応残渣は誘電膜中の不純物になり、絶縁破壊強度を低下させる一因になる。すなわち、反応残渣がイオン化して誘電膜中を移動することにより、電気抵抗が小さくなり、誘電膜中に電流が流れやすくなる。したがって、架橋剤としては、有機金属化合物を用いることが望ましい。有機金属化合物を用いると、反応残渣や副反応によるイオン性の不純物が生じにくく、体積抵抗率の低下を抑制することができる。これにより、耐絶縁破壊性が高い誘電膜を構成することができる。
有機金属化合物としては、金属アルコキシド、金属アシレートなどが挙げられる。これらのうち一種または二種以上を用いればよい。金属アルコキシドとしては、テトラn−ブトキシチタン、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラn−ブトキシシラン、テトラi−プロポキシチタン、テトラエトキシシラン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、チタンブトキシドダイマーなどが挙げられる。なかでも、加水分解性が高く、エステル交換反応しやすいという理由から、チタンアルコキシドが好適である。また、金属アシレートとしては、ポリヒドロキシチタンステアレート、ジルコニウムトリブトキシモノステアレートなどが挙げられる。
有機金属化合物を用いると、反応時に生成した金属酸化物粒子が架橋体中に分散されるため、絶縁破壊強度をより大きくすることができる。また、生成した金属酸化物粒子が水酸基を有する場合には、当該水酸基と反応する反応性部を有する反応性可塑剤を用いることにより、反応性可塑剤を架橋体に結合させることができる。
(2)反応性可塑剤
反応性可塑剤は、反応性部と、疎水性部と、を有し、該反応性部を介して架橋体に結合されている。反応性部は、ゴムポリマーおよび該ゴムポリマーの架橋に使用された架橋剤の少なくとも一方と反応する部位である。反応性部としては、ポリマー、架橋剤が有する水酸基、カルボキシ基などと反応しやすいという理由から、アルコキシシリル基およびシラノール基から選ばれる一種以上であることが望ましい。疎水性部は、可塑化効果を発揮する部位である。疎水性部にゴムポリマーと相溶な構造を選択することにより、ゴムポリマー、ひいてはその架橋体との相溶性が良好になる。疎水性部としては、アルキル基、アルキレン基、フェニル基、およびシクロアルカンから選ばれる一種以上であることが望ましい。
反応性可塑剤は、反応性部を形成する化合物と、疎水性部を形成する化合物と、をチオール−エン反応などを利用して合成し、製造すればよい。チオール−エン反応によると、酸素による反応阻害が無い、副反応が生じにくい、収率が高いという利点がある。
反応性部を形成する化合物としては、(メルカプトプロピル、メルカプトエチル)と(トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシシラン)とを組み合わせた構造を有する化合物が望ましい。具体的には、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジエチルエトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
疎水性部を形成する化合物としては、(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸)と(アルキル基、アルキレン基、フェニル基、シクロアルカン)とを組み合わせた構造を有する化合物が望ましい。具体的には、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロへキシル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジイソノニル、マレイン酸ジ2エチルヘキシル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ジシクロへキシルなどが挙げられる。
反応性可塑剤の第一合成例として、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランと、アクリル酸オクチルと、を用いた場合の反応式を次式(1)に示す。式(1)に示すように、触媒としてジイソプロピルアミン(DIPA)を用いたチオール−エン反応により、反応性部としてアルコキシシリル基、疎水性部としてアルキル基(オクチル基)を有する反応性可塑剤を製造することができる。
Figure 2020155677
反応性可塑剤の第二合成例として、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランと、マレイン酸ジブチルと、を用いた場合の式(2)に示す。式(2)に示すように、触媒としてジイソプロピルアミン(DIPA)を用いたチオール−エン反応により、反応性部としてアルコキシシリル基、疎水性部として二つのアルキル基(ブチル基)を有する反応性可塑剤を製造することができる。
Figure 2020155677
反応性可塑剤の含有量は、柔軟性の向上効果、ゴムポリマーとの相溶性などを考慮して適宜決定すればよい。すなわち、反応性可塑剤の含有量が少なすぎると、柔軟性の向上効果が充分に発揮されないため、低温特性の改善につながらない。このため、反応性可塑剤の含有量は、ゴムポリマーの100質量部に対して7質量部以上、10質量部以上であることが望ましい。一方、反応性可塑剤の含有量が多すぎると、ゴムポリマーなどと結合できない未反応物が存在し、それがブリードするおそれがある。このため、反応性可塑剤の含有量は、ゴムポリマーの100質量部に対して30質量部以下、20質量部以下であることが望ましい。
(3)その他の成分
本発明の第一の誘電膜は、架橋体、反応性可塑剤に加えて加工助剤、老化防止剤、軟化剤、着色剤などの他の成分を含んでいてもよい。また、電気絶縁性を有する粒子や、圧電性を有する粒子を含んでいても構わない。無機粒子を含む形態は、本発明の第二の誘電膜の概念に含まれるため、詳細は後述する。
(4)製造方法
本発明の第一の誘電膜は、ゴムポリマーに、反応性可塑剤、架橋剤を加え、架橋剤によりゴムポリマーを架橋すると共に、ゴムポリマーおよび架橋剤の少なくとも一方と反応性可塑剤とを反応させて、製造すればよい。一例として、架橋剤として有機金属化合物を用いた場合の製造方法を説明する。
まず、ゴムポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液を調製する。次に、ポリマー溶液に反応性可塑剤を添加し、さらに有機金属化合物をそのまま、あるいは溶剤に溶解した状態で添加して、混合液を調製する。それから、混合液を基材上に塗布して乾燥し、所定の条件下で加熱して、架橋反応を進行させる。混合液には、必要に応じて無機粒子、加工助剤、老化防止剤、軟化剤、着色剤などを添加してもよい。架橋反応の条件(温度、時間など)は、用いた溶剤の種類や量に応じて適宜決定すればよい。
有機金属化合物の配合量は、ゴムポリマーの100質量部に対して1質量部以上30質量部以下にするとよい。1質量部未満の場合には、架橋が充分に進行しないおそれがある。反対に、30質量部を超えると、架橋密度が大きくなり、特に低温下での柔軟性が損なわれるおそれがある。また、過剰な有機金属化合物が反応しきれずに析出して、機械的強度、絶縁破壊強度を低下させるおそれがある。25質量部以下がより好適である。
また、ゴムポリマーを溶解する溶剤と、有機金属化合物を溶解する溶剤とは、同じでも異なっていてもよい。有機金属化合物は、空気中や反応系(ゴムポリマー、溶液)中の水分と反応し、加水分解して重縮合する(ゾルゲル反応)。したがって、水との急激な反応を抑制し、均質な膜を形成するためには、有機金属化合物をキレート剤によりキレート化して用いることが望ましい。例えば、有機金属化合物を溶解する溶剤として、キレート剤を用いることが望ましい。キレート剤としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ−ジケトン、アセト酢酸エチル、ベンゾイル酢酸エチルなどのβ−ケト酸エステル、トリエタノールアミン、乳酸、2-エチルヘキサンー1,3ジオール、1,3へキサンジオールなどが挙げられる。
<第二の誘電膜>
本発明の第二の誘電膜は、無機粒子を有する点以外は、上記本発明の第一の誘電膜と同じである。したがって、ここでは主に、無機粒子および第二の誘電膜の製造方法を説明する。
(1)無機粒子
無機粒子の種類は特に限定されない。例えば、無機粒子の体積抵抗率が10Ω・cm以上であり、無機粒子が電気絶縁性を有する場合には、誘電膜の絶縁破壊強度が大きくなる。このような無機粒子としては、例えば、酸化チタン、シリカ、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、タルクなどの粒子が挙げられる。
また、無機粒子が圧電性を有する場合には、本発明の第二の誘電膜を、圧電機能を有するトランスデューサの圧電層として用いることができる。圧電性を有する無機粒子としては、例えばペロブスカイト型の結晶構造を有する強誘電体の粒子が望ましい。例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウムナトリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、チタン酸ビスマスランタン(BLT)、タンタル酸ビスマスストロンチウム(SBT)などが挙げられる。
本発明の第二の誘電膜において、反応性可塑剤は、反応性部を介して架橋体および無機粒子の少なくとも一方に結合されている。すなわち、反応性可塑剤は、ゴムポリマーや架橋剤ではなく、あるいはゴムポリマーや架橋剤に加えて、無機粒子と反応するものでもよい。本発明の第二の誘電膜における反応性可塑剤の反応性部は、ゴムポリマー、該ゴムポリマーの架橋に使用された架橋剤、および無機粒子の少なくとも一つと反応する部位である。反応性部としては、ポリマー、架橋剤、無機粒子が有する水酸基、カルボキシ基などと反応しやすいという理由から、アルコキシシリル基およびシラノール基から選ばれる一種以上であることが望ましい。
無機粒子は、反応性可塑剤の反応性部と反応する官能基を有することが望ましい。官能基としては水酸基などが挙げられることから、無機粒子としては、水酸基を有する金属酸化物粒子などが好適である。
(2)製造方法
本発明の第二の誘電膜は、ゴムポリマーに、反応性可塑剤、架橋剤、無機粒子を加え、架橋剤によりゴムポリマーを架橋すると共に、ゴムポリマー、架橋剤、無機粒子の少なくとも一つと反応性可塑剤とを反応させて、製造すればよい。一例として、架橋剤として有機金属化合物を用いると共に、有機金属化合物の加水分解反応により生成した金属酸化物粒子を無機粒子として含有させる場合の製造方法を説明する。
まず、ゴムポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液を調製する。また、有機金属化合物のキレート化物に、有機溶剤および水を添加して、有機金属化合物の加水分解反応により生成した金属酸化物粒子のゾルを製造する。次に、ポリマー溶液に、金属酸化物粒子のゾルおよび反応性可塑剤を添加し、さらに有機金属化合物をそのまま、あるいは溶剤に溶解した状態で添加して、混合液を調製する。それから、混合液を基材上に塗布して乾燥し、所定の条件下で加熱して、架橋反応を進行させる。上述した本発明の第一の誘電膜の製造方法と同様に、混合液には、必要に応じて加工助剤、老化防止剤、軟化剤、着色剤などを添加してもよい。架橋反応の条件(温度、時間など)は、用いた溶剤の種類や量に応じて適宜決定すればよい。
この製造方法によると、ゾル中の金属酸化物粒子が水酸基を有するため、ゴムポリマーが水酸基と反応する官能基を有する場合や、反応性可塑剤の反応性部が水酸基と反応する場合には、金属酸化物粒子(無機粒子)を架橋体および反応性可塑剤に結合させることができる。また、予め金属酸化物粒子のゾルを製造しておくと、金属酸化物粒子の粒子径を調整することができるため、微細な無機粒子を分散させて均質な誘電膜を製造するのに好適である。
<トランスデューサ>
本発明の第一および第二の誘電膜(以下、実施の形態において、まとめて「本発明の誘電膜」あるいは単に「誘電膜」と称す)は、トランスデューサにおいて一対の電極層間に介装される。誘電膜の厚さは、成膜精度を確保して膜の欠陥を低減するという観点から、5μm以上であることが望ましい。一方、誘電膜の厚さが大きくなると、駆動に大きな電圧が必要になりコスト高になる。このため、誘電膜の厚さは、200μm以下であることが望ましい。
本発明の誘電膜のガラス転移温度(Tg)は、低温下でも柔軟性を有するという観点から−8℃以下であるとよい。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定してもよいが、後の実施例に示すように、動的粘弾性を測定して得られるtanδのピーク温度を指標にしてもよい。なお、DSCによる測定値とtanδのピーク温度とは、相関はあるが同じ値ではない。ここに示した好適なTg値は、tanδのピーク温度としての値である。同様に、低温下でも柔軟性を有するという観点から、本発明の誘電膜の−10℃における貯蔵弾性率は、35MPa以下であることが望ましい。30MPa以下であるとより好適である。
本発明の誘電膜の比誘電率は、10以上であるとよい。比誘電率は、例えば誘電膜のサンプルをサンプルホルダー(ソーラトロン社製、12962A型)に設置し、誘電率測定インターフェイス(同社製、1296型)および周波数応答アナライザー(同社製、1255B型)を併用して測定すればよい(測定周波数100Hz)。
電極層は、誘電膜に追従して変形可能であることが望ましい。このような電極層は、バインダーおよび導電材を用いて形成することができる。伸縮しても電気抵抗が増加しにくい電極層を形成するという観点から、バインダーとしては、エラストマーが好適である。エラストマーとしては、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、シリコーンゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンなどの架橋ゴム、およびスチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマーが挙げられる。また、エポキシ基含有アクリルゴム、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムなどのように、官能基を導入するなどして変性したエラストマーを用いてもよい。
導電材の種類は、特に限定されない。カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛、薄層黒鉛、グラフェンなどの導電性炭素粉末、銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、およびこれらの合金などの金属粉末などから、適宜選択すればよい。また、銀被覆銅粉末など、金属で被覆された粒子からなる粉末を用いてもよい。また、π電子を共役させた構造の導電性ポリマーを用いてもよい。これらの一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
電極層は、バインダーおよび導電材に加えて、必要に応じて分散剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、着色剤などの添加剤を含んでいてもよい。例えば、バインダーとしてエラストマーを用いる場合、当該エラストマー分のポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液に、導電材、必要に応じて添加剤を添加して、攪拌、混合することにより、導電塗料を調製することができる。調製した導電塗料を、誘電膜の一面に直接塗布することにより、電極層を形成すればよい。あるいは、離型性フィルムに導電塗料を塗布して電極層を形成し、形成した電極層を、誘電膜の一面に転写してもよい。
複数の誘電膜と電極層とを交互に積層させた積層構造にすると、より出力が大きなトランスデューサを構成することができる。また、電荷増幅の機能を有するイオン層などを誘電膜に積層させてもよい。また、電極層の外側に保護層を配置してもよい。保護層を配置することにより、電気絶縁性を確保したり、外部からの機械的応力に対してトランスデューサを保護することができる。保護層は、柔軟で伸縮性を有するという観点から、ウレタンゴム、シリコーンゴム、NBR、HNBR、エチレン−プロピレン共重合ゴム、EPDM、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴムなどを含んで形成するとよい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<反応性可塑剤Aの製造>
アクリル酸オクチル10.0gを脱水エタノール100mLに溶解した液に、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン13.7mLと、触媒としてのジイソプロピルアミン1.6mLと、を加えて6時間撹拌した。その後、エバポレーターで溶媒を減圧留去して、反応性部としてアルコキシシリル基、疎水性部としてオクチル基を有する反応性可塑剤Aを製造した(先の式(1)参照)。
<反応性可塑剤Bの製造>
マレイン酸ジブチル10.0gを脱水エタノール100mLに溶解した液に、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン11.1mLと、触媒としてのジイソプロピルアミン1.3mLと、を加えて6時間撹拌した。その後、エバポレーターで溶媒を減圧留去して、反応性部としてアルコキシシリル基、疎水性部として二つのブチル基を有する反応性可塑剤Bを製造した(先の式(2)参照)。
<誘電膜の製造>
[実施例1]
金属酸化物粒子のゾルを配合して無機粒子を含有する誘電膜を製造した。まず、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴムポリマー(アランセオ社製「テルバン(登録商標)XT VP KA8889」)をアセチルアセトンに溶解して、固形分濃度12質量%のポリマー溶液を調製した。また、架橋剤のチタンアルコキシドとして、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタンをアセチルアセトンに溶解したチタンアルコキシド溶液(固形分濃度20質量%)を調製した。次に、調製したポリマー溶液の100質量部に、後述するTiOゾル6.9質量部およびTiO/ZrOゾル1.2質量部と、チタンアルコキシド溶液3質量部と、反応性可塑剤A1.2質量部と、を添加して、混合液を調製した。それから、混合液を基材上に塗布し、乾燥させた後、150℃で60分間加熱して、厚さ20μmの水素化ニトリルゴムシートを製造した。製造した水素化ニトリルゴムシートを、実施例1の誘電膜とした。TiOゾルおよびTiO/ZrOゾルの製造方法は、以下のとおりである。
(1)TiOゾル
まず、チタンアルコキシド(テトラi−プロポキシチタン)0.01molに、アセチルアセトン0.02molを加えてキレート化した。次に、得られたキレート化物に、イソプロピルアルコール(IPA)0.083mol、メチルエチルケトン(MEK)0.139mol、および水0.04molを添加して、TiO粒子のゾルを得た。その後、得られたゾルを、40℃下で2時間静置して、エージング処理した。このようにして製造したゾルを、TiOゾルと称す。TiOゾル中の、TiO粒子の粒子径は100nm以下であり、メジアン径は14nmであった。
(2)TiO/ZrOゾル
まず、ジルコニウムアルコキシド(テトラn−ブトキシジルコニウム)0.005molに、アセチルアセトン0.01molを加えてキレート化した。次に、得られたキレート化物を、先のTiOゾルの製造で使用したテトラi−プロポキシチタンのキレート化物に添加し、さらにIPA0.083mol、MEK0.139mol、および水0.04molを添加して、TiO/ZrO複合粒子のゾルを得た。得られたゾルを、40℃下で2時間静置して、エージング処理した。このようにして製造したゾルを、TiO/ZrOゾルと称す。TiO/ZrOゾル中の、TiO/ZrO複合粒子の粒子径は100nm以下であり、メジアン径は14nmであった。
[実施例2]
反応性可塑剤Aに代えて反応性可塑剤Bを配合した点以外は、実施例1と同様にして水素化ニトリルゴムシートを製造した。製造した水素化ニトリルゴムシートを実施例2の誘電膜とした。
[実施例3]
金属酸化物粒子のゾルを配合しないで無機粒子を含有しない誘電膜を製造した。まず、実施例1の誘電膜の製造において使用したカルボキシ基含有水素化ニトリルゴムのポリマー溶液(固形分濃度12質量%)の100質量部に、同じく実施例1の誘電膜の製造において使用したチタンアルコキシド溶液(固形分濃度20質量%)3質量部と、反応性可塑剤A1.2質量部と、を添加して、混合液を調製した。次に、混合液を基材上に塗布し、乾燥させた後、150℃で60分間加熱して、厚さ20μmの水素化ニトリルゴムシートを製造した。製造した水素化ニトリルゴムシートを、実施例3の誘電膜とした。
[実施例4]
反応性可塑剤Aに代えて反応性可塑剤Bを配合した点以外は、実施例3と同様にして水素化ニトリルゴムシートを製造した。製造した水素化ニトリルゴムシートを実施例4の誘電膜とした。
[比較例1]
可塑剤を配合しなかった点以外は、実施例1と同様にして水素化ニトリルゴムシートを製造した。製造した水素化ニトリルゴムシートを比較例1の誘電膜とした(無機粒子有り)。
[比較例2]
反応性可塑剤Aに代えて、反応性部を有しない汎用可塑剤(トリメリット酸イソノニルエステル)を配合した点以外は、実施例1と同様にして水素化ニトリルゴムシートを製造した。製造した水素化ニトリルゴムシートを比較例2の誘電膜とした(無機粒子有り)。
[比較例3]
可塑剤を配合しなかった点以外は、実施例3と同様にして水素化ニトリルゴムシートを製造した。製造した水素化ニトリルゴムシートを比較例3の誘電膜とした(無機粒子無し)。
[比較例4]
反応性可塑剤Aに代えて、反応性部を有しない汎用可塑剤(トリメリット酸イソノニルエステル)を配合した点以外は、実施例3と同様にして水素化ニトリルゴムシートを製造した。製造した水素化ニトリルゴムシートを比較例4の誘電膜とした(無機粒子無し)。
<可塑剤残存率の測定>
可塑剤を配合して製造した誘電膜について、可塑剤がゴムポリマーにどの程度固定化されているかを調べた。まず、製造した誘電膜の1gを抽出前サンプルとし、このサンプルをエタノール100mLに24時間浸漬した。次に、サンプルを取り出して、室温下で6時間放置した。それから、サンプルを100℃で1時間乾燥し、残存溶媒を揮発させたものを抽出後サンプルとした。抽出前サンプルおよび抽出後サンプルの赤外吸収スペクトルを、多目的フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光(株)製「VIR−200」)により測定し、いずれの可塑剤にも共通するカルボニル基(C=O)のピーク値を比較した。そして、次式(I)により、可塑剤残存率(%)を算出した。可塑剤残存率が高いほど、ゴムポリマーに固定化された可塑剤が多いことを示す。
可塑剤残存率=(抽出後サンプルのC=Oピーク値)/(抽出前サンプルのC=Oピーク値)×100 ・・・(I)
<誘電膜の物性測定>
製造した誘電膜の体積抵抗率および動的粘弾性を測定した。測定方法は以下のとおりである。
[体積抵抗率]
体積抵抗率については、JIS K6271−1:2015に規定される二重リング電極法に準じて測定した。測定は、直流電圧100Vを印加して行った。
[動的粘弾性]
動的粘弾性測定装置((株)UBM製「Rheogel−E4000」)を用いて、動的応力および動的歪みを測定し、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E”、tanδ(E”/E’)のピーク温度を求めた。tanδのピーク温度は、ガラス転移温度を示す指標になる。測定条件は以下のとおりである。
試験片:幅5mm、厚さ0.1mm、チャック間長さ20mm。
温度範囲:−60℃〜100℃。
昇温速度:3℃/分。
測定ジグ:引っ張り。
周波数:11Hz。
表1に、各誘電膜の原料、可塑剤残存率、および物性の測定結果を示す。なお、表1に示す原料の質量部は、ゴムポリマー(固形分)100質量部に対する各成分の固形分の質量部である。
Figure 2020155677
表1に示すように、実施例1〜4の誘電膜においては、体積抵抗率が大きく、可塑剤残存率も65%以上であった。また、−10℃における貯蔵弾性率は35MPa以下であり、tanδピーク温度も−8℃以下であった。このように、本発明の第一および第二の誘電膜の概念に含まれる実施例1〜4の誘電膜は、低温特性に優れ、可塑剤がゴムポリマーに固定されていることからブリードしにくく、トランスデューサの誘電膜として好適であることが確認された。また、無機粒子を含有する実施例1、2の誘電膜においては、より可塑剤残存率が大きくなり、体積抵抗率も大きくなった。実施例1、2の誘電膜は、金属アルコキシドの加水分解反応により生成した金属酸化物粒子のゾルを配合して製造されている。ゾル中の金属酸化物粒子は水酸基を有するため、当該水酸基と反応性可塑剤の反応性部とが反応して、反応性可塑剤が金属酸化物粒子(無機粒子)にも固定されたため、可塑剤残存率が大きくなったと考えられる。そして、架橋体中に分散した金属酸化物粒子により、電子の流れが遮断されるため、体積抵抗率が大きくなったと考えられる。
次に、無機粒子を有する誘電膜同士(実施例1、2の誘電膜と比較例1、2の誘電膜)を比較する。可塑剤を配合しなかった比較例1の誘電膜においては、tanδピーク温度が高く、−10℃を含めた全ての温度で貯蔵弾性率が大きくなった。このように、可塑剤を有しない比較例1の誘電膜は、低温下で硬く変形しにくいため、低温下での使用が想定されるトランスデューサの誘電膜には適していない。また、汎用可塑剤を配合した比較例2の誘電膜においては、低温特性は向上したが、可塑剤残存率が小さくなった。すなわち、比較例2の誘電膜においては、可塑剤が架橋体に固定されていないためブリードし、誘電膜の物性、電極層との密着性などを低下させるおそれがある。
次に、無機粒子を有しない誘電膜同士(実施例3、4の誘電膜と比較例3、4の誘電膜)を比較する。可塑剤を配合しなかった比較例3の誘電膜においては、tanδピーク温度が高く、−10℃における貯蔵弾性率が大きくなった。このように、可塑剤を有しない比較例3の誘電膜は、低温下で硬く変形しにくいため、低温下での使用が想定されるトランスデューサの誘電膜には適していない。また、汎用可塑剤を配合した比較例4の誘電膜においては、可塑剤が架橋体に固定されていないためブリードし、誘電膜の物性、電極層との密着性などを低下させるおそれがある。
本発明の誘電膜を備えるトランスデューサは、産業、医療、福祉ロボットやアシストスーツなどに用いられる人工筋肉、電子部品冷却用や医療用などの小型ポンプ、力や振動により触覚フィードバックを得るためのハプティクス用素子、および医療用器具などに用いられる柔軟なアクチュエータとして好適である。また、ウエアラブルな生体情報センサや、ロボットの人工皮膚、医療用、介護用などのマットレス、車椅子のシートなどに配置される圧力センサとして好適である。

Claims (9)

  1. トランスデューサにおいて一対の電極層間に介装される誘電膜であって、
    ゴムポリマーが架橋した架橋体と、
    該ゴムポリマーおよび該ゴムポリマーの架橋に使用された架橋剤の少なくとも一方と反応する反応性部と、疎水性部と、を有し、該反応性部を介して該架橋体に結合されている反応性可塑剤と、
    を有することを特徴とする誘電膜。
  2. トランスデューサにおいて一対の電極層間に介装される誘電膜であって、
    ゴムポリマーが架橋した架橋体と、
    無機粒子と、
    該ゴムポリマー、該ゴムポリマーの架橋に使用された架橋剤、および該無機粒子の少なくとも一つと反応する反応性部と、疎水性部と、を有し、該反応性部を介して該架橋体および該無機粒子の少なくとも一方に結合されている反応性可塑剤と、
    を有することを特徴とする誘電膜。
  3. 前記無機粒子は、金属酸化物粒子である請求項2に記載の誘電膜。
  4. 前記反応性可塑剤の前記反応性部は、アルコキシシリル基およびシラノール基から選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の誘電膜。
  5. 前記反応性可塑剤の前記疎水性部は、アルキル基、アルキレン基、フェニル基、およびシクロアルカンから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の誘電膜。
  6. 前記反応性可塑剤の含有量は、前記ゴムポリマーの100質量部に対して7質量部以上30質量部以下である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の誘電膜。
  7. 前記ゴムポリマーは、前記反応性可塑剤の前記反応性部と反応する官能基を有し、
    該官能基は、カルボキシ基、水酸基、エポキシ基、酸無水物、イソシアネートから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の誘電膜。
  8. 前記ゴムポリマーは、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、カルボキシ基含有ニトリルゴム、カルボキシ基含有水素化ニトリルゴム、アクリルゴムから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の誘電膜。
  9. 前記架橋剤は、有機金属化合物である請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の誘電膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP6997897B1 (ja) * 2021-03-31 2022-01-18 ナガセケムテックス株式会社 組成物

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