JP2020153402A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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佐藤 靖之
Yasuyuki Sato
靖之 佐藤
英毅 柿迫
Hideki Kakisako
英毅 柿迫
翔太郎 近藤
Shotaro Kondo
翔太郎 近藤
純一朗 大坪
Junichiro Otsubo
純一朗 大坪
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Abstract

【課題】異常検出処理を適切に実行する。【解決手段】クラッチ(30)と、アクチュエータ(74)と、クラッチとアクチュエータとの間に設けられ、アクチュエータの駆動力をクラッチに伝達する動力伝達部(7)と、クラッチの駆動を伴う変速要求が生成され又は変速要求の生成が予測された場合に、変速要求に応じた変速動作よりも前に、アクチュエータの駆動を伴う異常検出処理を実行する処理部(158)とを含む、車両用駆動装置(1)が開示される。【選択図】図6

Description

本開示は、車両用駆動装置に関する。
アクチュエータへ供給できる最大電流値の検出結果に基づいてアクチュエータが正常であるか否かを判定する技術が知られている。
特開2002−71019号公報
ところで、変速機において、クラッチの状態を非係合状態と係合状態との間で遷移させる動力をアクチュエータで発生させる構成がある。この構成の場合、アクチュエータの駆動による各種動作が正常に実現されるように異常検出処理を適切に実行することで、クラッチの制御の信頼性を高めることが有用である。
そこで、1つの側面では、本発明は、異常検出処理を適切に実行することを目的とする。
1つの側面では、クラッチと、
アクチュエータと、
前記クラッチと前記アクチュエータとの間に設けられ、前記アクチュエータの駆動力を前記クラッチに伝達する動力伝達部と、
前記クラッチの駆動を伴う変速要求が生成され又は前記変速要求の生成が予測された場合に、前記変速要求に応じた変速動作よりも前に、前記アクチュエータの駆動を伴う異常検出処理を実行する処理部とを含む、車両用駆動装置が提供される。
1つの側面では、本発明によれば、異常検出処理を適切に実行することが可能となる。
一実施例による車両用駆動装置の構成を示す概略図である。 車両用駆動装置における遊星歯車機構の速度線図である。 シフトディテント機構における一状態(N位置)を示す概略図である。 シフトディテント機構における他の一状態(Lo位置)を示す概略図である。 シフトディテント機構における他の一状態(Hi位置)を示す概略図である。 シフトディテント機構における他の一状態(第1ストッパ機能位置)を示す概略図である。 シフトディテント機構における他の一状態(第2ストッパ機能位置)を示す概略図である。 フォークシャフトの移動距離とシフトディテント機構における各状態との関係の説明図である。 制御装置のハードウェア構成の一例を示す概略図である。 制御装置の機能構成の一例を示す概略図である。 変速制御の一例を概略的に示すタイミングチャートである。 変速要求予測部による予測方法の一例の説明図である。 アクチュエータ回転角センサの配置の説明図である。 正回転時のアクチュエータ回転角センサからの出力波形(及び該出力波形に基づく出力信号)を示す図である。 逆回転時のアクチュエータ回転角センサからの出力波形(及び該出力波形に基づく出力信号)を示す図である。 異常判定用の出力信号の関係を示す図である。 動力伝達部の破損異常(ねじ軸の破損異常)の説明図である。 動力伝達部の破損異常(シフトフォークの破損異常)の説明図である。 動力伝達部の固着異常の説明図である。 異常検出処理に関連して制御装置により実行される処理の一例を示す概略フローチャートである。 図11の異常検出処理ルーチン(ステップS118)の一例を示す概略フローチャートである。 “Nモード”での異常検出処理(ステップS208)の一例を示す概略フローチャートである。 “Lowモード”での異常検出処理(ステップS216)の一例を示す概略フローチャートである。 破損異常検出処理(ステップS414)の一例を示す概略フローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。なお、本明細書において、「所定」とは、「予め定められた」という意味で使用されている。
図1は、一実施例による車両用駆動装置1の構成を示す概略図である。図1では、車両用駆動装置の一部の構成がスケルトン図で示されている。
車両用駆動装置1は、電気自動車用の駆動装置であり、モータ10(回転電機の一例)と、遊星歯車機構20と、係合装置30(クラッチの一例)と、第1ギア列41と、第2ギア列42とを備える。
モータ10は、車両駆動用の回転トルクを発生する。なお、モータ10のタイプや構造等は任意である。モータ10は、ジェネレータ(発電機)としても機能できるモータ・ジェネレータであってもよい。
遊星歯車機構20は、モータ10と出力軸60との間に設けられる。本実施例では、一例として、遊星歯車機構20は、シングルピニオンタイプである。遊星歯車機構20は、サンギア21と、リングギア22と、ピニオン23と、キャリア24とを含む。
係合装置30は、機械的な噛み合い状態と非噛み合い状態を選択的に形成可能なクラッチである。係合装置30は、ドッグクラッチ301、302を備える。ドッグクラッチ301、302は、それぞれ、軸方向に近接すると噛み合い状態となりかつ軸方向に離間すると非噛み合い状態となる2つの要素を備える。なお、近接とは、互いの一部が軸方向で重なる状態を含む概念である。
本実施例では、図1に示すように、係合装置30は、スリーブの形態の第1要素31と、クラッチリングの形態の第2要素32A、32Bと、クラッチハブ304とを含む。この場合、係合装置30は、第1要素31と第2要素32Aとが一のドッグクラッチ301を形成し、第1要素31と第2要素32Bとが別の一のドッグクラッチ302を形成する。なお、この場合、第1要素31は、2つのドッグクラッチ301、302を形成する共通の要素である。
第1要素31は、軸Isに関して実質的に回転対称な形態を有する。第1要素31は、内周側に周方向に沿って所定角度ごとに噛み合い用の歯状部311を有する。歯状部311は、例えば軸方向の端部(歯先)がチャンファの形態であってよい。各歯状部311は、径方向内側に突出する態様で軸Isに対する径方向に延在し、複数の歯状部311は、軸Isに沿った方向に視て放射状に延在する。
第1要素31は、外周面に径方向内側に凹む凹溝312を有する。凹溝312は、周方向で全周にわたり延在する。凹溝312は、後述するようにシフトフォーク70と協動する。
第1要素31は、クラッチハブ304に対して、軸Isに沿って並進可能であり、かつ、軸Isまわりに回転不能な態様で、設けられる。例えば、第1要素31は、クラッチハブ304とスプライン結合されてよい。クラッチハブ304は、サンギア21の軸Isと一体回転する。従って、第1要素31は、クラッチハブ304とともにサンギア21の軸Isと一体回転するが、サンギア21の軸Isに沿って並進可能である。
このようにして、第1要素31は、回転状態で又は非回転状態で、図1に示す中立位置と、第2要素32Aと噛み合う位置(図1の位置P100参照)と、第2要素32Bと噛み合う位置(図1の位置P200参照)との間で、軸Isに沿って並進可能である。
第2要素32Aは、軸Isに関して実質的に回転対称な形態を有する。第2要素32Aの外周面は、第1要素31の内周面よりも径が小さく、その径方向の差に応じた径方向の長さで第1要素31の歯状部311及び第2要素32Aの歯状部321A(後述)が形成される。第2要素32Aは、第1要素31の歯状部311と同様、周方向に沿って所定角度ごとに噛み合い用の歯状部321Aを有する。歯状部321Aは、第2要素32Aの外周面に周方向に沿って形成される。各歯状部321Aは、径方向外側に突出する態様で軸Isに対する径方向に延在し、複数の歯状部321Aは、軸Isに沿った方向に視て放射状に延在する。なお、複数の歯状部321Aは、一部の歯状部321Aが他の歯状部321Aに比べて、軸Isに沿った方向で第1要素31側に長くなる態様で形成されてもよい。
第2要素32Aの歯状部321A及び第1要素31の歯状部311は、第2要素32Aと第1要素31とが軸方向に近接すると噛み合い状態を形成する。噛み合い状態が形成されると、第1要素31と第2要素32Aの間で軸Isまわりの回転トルクの伝達が可能となる。
第2要素32Aは、第2要素32Bとは異なり、固定要素であり、例えばモータハウジング(図示せず)に固定される。
第2要素32Bは、第2要素32Aと同様、軸Isに関して実質的に回転対称な形態を有し、周方向に沿って所定角度ごとに噛み合い用の歯状部321Bを有する。
第2要素32Bの歯状部321B及び第1要素31の歯状部311は、第2要素32Bと第1要素31とが軸方向に近接すると噛み合い状態を形成する。噛み合い状態が形成されると、第1要素31と第2要素32Bの間で軸Isまわりの回転トルクの伝達が可能となる。
第2要素32Bは、回転要素であり、後述のように、キャリア24の回転軸Icと一体回転する。
第1ギア列41は、径方向で噛み合うギアG1とギアG2とからなる。ギアG1は、回転軸Icに設けられ、回転軸Icと一体回転し、ギアG2は、カウンタ軸50に設けられ、カウンタ軸50と一体回転する。
第2ギア列42は、径方向で噛み合うギアG3とギアG4とからなる。ギアG3は、カウンタ軸50に設けられ、カウンタ軸50と一体回転する。ギアG4は、出力軸60に設けられ、出力軸60と一体回転する。
車両用駆動装置1は、更に、シフトフォーク70と、ボールねじ機構72と、アクチュエータ74とを含む。
シフトフォーク70は、第1要素31の凹溝312に摺動可能に嵌合する。すなわち、シフトフォーク70は、第1要素31の軸Isまわりの回転を可能とする一方、第1要素31の軸Isに沿った方向の相対的な移動を拘束する。
シフトフォーク70は、ボールねじ機構72のナット721に結合される。なお、ナット721は、シフトフォーク70と一体的に形成されてよい。
ボールねじ機構72は、ナット721と、ねじ軸722と、ボール(図示せず)等を含む。
アクチュエータ74は、例えば正逆回転可能な電気モータであり、ねじ軸722に連結される。アクチュエータ74は、ねじ軸722を正回転させると、ナット721及びそれに伴いシフトフォーク70が、ねじ軸722に沿って一方側に移動され、ねじ軸722を逆回転させると、ナット721及びそれに伴いシフトフォーク70が、ねじ軸722に沿って他方側に移動される。
このようにして、アクチュエータ74が駆動されると、シフトフォーク70及びそれに伴い第1要素31は、ボールねじ機構72を介して、軸Isに沿って並進駆動される。なお、シフトフォーク70及びボールねじ機構72は、上述のように、アクチュエータ74の駆動力を係合装置30(第1要素31)に伝達する動力伝達部を形成する。以下、シフトフォーク70及びボールねじ機構72をまとめて「動力伝達部7」とも称する。
また、車両用駆動装置1は、更に、シフトディテント機構90を備える。
シフトディテント機構90は、シフトフォーク70の位置を規定することで、第1要素31の軸Isに沿った方向の位置を、複数の安定化位置で規定(安定化)する機能を有する。本実施例では、複数の安定化位置は、第1要素31と第2要素32Aとが噛み合う位置と、第1要素31と第2要素32Bとが噛み合う位置と、第1要素31が第2要素32A、32Bのいずれとも噛み合わない中立位置とに対応する。
シフトディテント機構90は、フォークシャフト92(凹部形成部材の一例)と、コイルばね94(弾性部材の一例)と、ロックボール96(係合体の一例)とを含む。
フォークシャフト92は、シフトフォーク70と一体の部材であり、例えば、図1に模式的に示すように、ナット721に結合される。フォークシャフト92は、上述した3つの安定化位置に対応して、3つの凹部(ディテント)920、921、922を有する。凹部920、921、922は、フォークシャフト92の移動方向に沿って並ぶ態様で設けられる。
コイルばね94は、ロックボール96をフォークシャフト92に向けて付勢する。コイルばね94は、一端が例えばモータハウジング(図示せず)に支持され、他端にロックボール96が設けられる。
ロックボール96は、コイルばね94によりフォークシャフト92に向けて付勢されることで、フォークシャフト92に設けられる凹部920、921、922のいずれかに嵌まることができる。ロックボール96が凹部920、921、922のいずれかに嵌まると、その位置からのフォークシャフト92の安易な移動が困難となり、その位置でフォークシャフト92を安定化させる機能を有する。なお、ロックボール96が凹部920、921、922のいずれかに嵌まるときのフォークシャフト92の位置は、上述した3つの安定化位置に対応する。具体的には、ロックボール96が凹部922に嵌まる状態は、第1要素31と第2要素32Bとが噛み合う状態(後述の第2噛み合い状態)に対応し、ロックボール96が凹部920に嵌まる状態は、第1要素31が第2要素32A、32Bのいずれとも噛み合わない状態(後述の非噛み合い状態)に対応し、ロックボール96が凹部921に嵌まる状態は、第1要素31と第2要素32Aとが噛み合う状態(後述の第1噛み合い状態)に対応する。
次に、図1を依然として参照しつつ、モータ10、遊星歯車機構20、係合装置30等の接続関係(車両駆動に関連した接続関係)について説明する。
モータ10には、遊星歯車機構20を介して出力軸(ディファレンシャル軸)60が接続される。具体的には、モータ10の出力軸は、遊星歯車機構20のリングギア22に連結され、リングギア22と一体回転する。遊星歯車機構20は、キャリア24が、出力軸60に接続される。すなわち、キャリア24の回転軸Icは、第1ギア列41を介してカウンタ軸50に接続され、カウンタ軸50が第2ギア列42を介して出力軸60に接続される。このようにして、モータ10は、遊星歯車機構20のリングギア22、キャリア24、第1ギア列41、及び第2ギア列42を介して、出力軸60に接続される。
また、モータ10には、遊星歯車機構20を介して係合装置30が接続される。具体的には、遊星歯車機構20のキャリア24の回転軸Icには、ドッグクラッチ302の第2要素32Bが連結される。第2要素32Bは、回転軸Icまわりに、回転軸Icと一体回転する。また、遊星歯車機構20のサンギア21の回転軸である軸Isには、ドッグクラッチ301、302を形成する第1要素31が連結される。第1要素31は、軸Isと一体回転する。なお、第1要素31は、上述のように、軸Isに対して、軸方向に並進可能かつ軸まわりに回転不能に設けられる。すなわち、第1要素31は、サンギア21と一体回転するが、軸方向に移動可能である。
次に、図2を参照して、車両用駆動装置1の変速について概説する。図2は、車両用駆動装置1における遊星歯車機構20の速度線図である。
本実施例では、係合装置30は、第1要素31と第2要素32Aとが噛み合う状態(以下、「第1噛み合い状態」と称する)と、第1要素31と第2要素32Bとが噛み合う状態(以下、「第2噛み合い状態」と称する)と、第1要素31が第2要素32A、32Bのいずれとも噛み合わない状態(以下、「非噛み合い状態」と称する)との間で、遷移可能である。なお、第1噛み合い状態は、ドッグクラッチ301の係合状態に対応し、第2噛み合い状態は、ドッグクラッチ302の係合状態に対応し、非噛み合い状態は、ドッグクラッチ301、302の非係合状態に対応する。
係合装置30の第1噛み合い状態が実現されると、低速ギア段が実現される。具体的には、第1噛み合い状態では、第2要素32Aによってサンギア21が固定される。従って、モータ10の回転速度は、遊星歯車機構20で減速されて回転軸Icに出力され(図2の“Low”のライン参照)、回転軸Icの回転速度は、更に、第1ギア列41(ギアG1及びギアG2)及び第2ギア列42(ギアG3及びギアG4)により減速されて出力軸60に出力される。
係合装置30の第2噛み合い状態が実現されると、高速ギア段が実現される。具体的には、第2噛み合い状態では、第2要素32Bによってサンギア21とキャリア24の回転軸Icとが一体化される。従って、モータ10の回転速度は、遊星歯車機構20で減速されることなくそのまま回転軸Icに出力され(図2の“High”のライン参照)、回転軸Icの回転速度は、第1ギア列41(ギアG1及びギアG2)及び第2ギア列42(ギアG3及びギアG4)により減速されて出力軸60に出力される。
係合装置30の非噛み合い状態が実現されると、ニュートラルが実現される。具体的には、回転軸Icが出力軸60から反力を受けた状態で、サンギア21がフリーとなる。
次に、図3A〜図4を参照して、シフトディテント機構90の詳細を説明する。
ここでは、まず、図3A〜図3Eを参照して、シフトディテント機構90における各状態について説明する。
図3A〜図3Eは、シフトディテント機構90における各状態(フォークシャフト92上のロックボール96の各位置)の説明図である。図3A〜図3Eには、非常に模式的に各要素が示され、また、ストッパ部ST1、ST2が同様に模式的に示される。また、図3A〜図3Eには、軸Isに平行な方向としてX方向(第2方向の一例)と、X方向に垂直なY方向(第1方向の一例)とが示され、それぞれの方向に、X1側(第1側の一例)とX2側(第2側の一例)、Y1側とY2側とが示される。また、図3A〜図3Eには、説明用に、シフトフォーク70及び第1要素31の位置に対して、対応する変速段「High」、「Low」、及び「ニュートラル(N)」を表す点線Lo、Hi、Nが対応付けられている。なお、図3A〜図3Eでは、ストッパ部ST1、ST2と第1要素31との関係を示すために、第2要素32A、32Bの図示は省略されている。
図3Aは、ロックボール96が凹部920に嵌まるときのフォークシャフト92の位置(N位置)を示す模式図であり、図3Bは、ロックボール96が凹部921に嵌まるときのフォークシャフト92の位置(以下、「Lo位置」と称する)を示す模式図であり、図3Cは、ロックボール96が凹部922に嵌まるときのフォークシャフト92の位置(以下、「Hi位置」と称する)を示す模式図である。図3Dは、ストッパ部ST1(第1規制部の一例)が機能するときのフォークシャフト92の位置(以下、「第1ストッパ機能位置」と称する)を示す模式図であり、図3Eは、ストッパ部ST2(第2規制部の一例)が機能するときのフォークシャフト92の位置(以下、「第2ストッパ機能位置」と称する)を示す模式図である。
ストッパ部ST1は、機械的なストッパであり、例えば、図3Dに示すように、第1要素31に対して軸Isに沿った方向(すなわちX方向)に当接する壁の形態である。ストッパ部ST1は、第1要素31に対してX方向X1側に設けられる。これにより、ストッパ部ST1は、第1要素31に当接することで、第1要素31のX方向X1側への更なる移動を規制し、それに伴い、ロックボール96に対するフォークシャフト92のX方向X1側への更なる移動を規制する。ただし、ストッパ部ST1は、シフトフォーク70やフォークシャフト92等のような、第1要素31と一体に移動する他の部材に対して機能してもよい。
ストッパ部ST2は、機械的なストッパであり、例えば、図3Eに示すように、第1要素31に対して軸Isに沿った方向に当接する壁の形態である。ストッパ部ST2は、第1要素31に対してX方向X2側に設けられる。これにより、ストッパ部ST2は、第1要素31に当接することで、第1要素31のX方向X2側への更なる移動を規制し、それに伴い、ロックボール96に対するフォークシャフト92のX方向X2側への更なる移動を規制する。ただし、ストッパ部ST2は、シフトフォーク70やフォークシャフト92等のような、第1要素31と一体に移動する他の部材に対して機能してもよい。
図4は、ロックボール96に対するフォークシャフト92の移動距離と、シフトディテント機構90における各状態との関係の説明図である。図4では、横軸に、X方向での位置を取る。なお、以下では、ロックボール96に対するフォークシャフト92の移動距離(X方向に沿った移動距離)は、単に「フォークシャフト92の移動距離」や「フォークシャフト92のストローク量」とも称する。
図4において、位置Pは、N位置に対応し、位置PLowは、Lo位置に対応し、位置PHighは、Hi位置に対応し、いずれも、フォークシャフト92上の位置を表すものとする。
ここで、フォークシャフト92の凹部920、921、922のそれぞれは、図3A等に示すように、位置安定性機能を高めるために、傾斜面により“山”(Y方向Y1側に凸)と“谷”(Y方向Y2側に凸)を形成する形態である。なお、“山”の頂点や“谷”の底点は鋭角で図示されているが、フォークシャフト92の凹部920、921、922のそれぞれの角部には角Rが付けられてよい。
ロックボール96は、フォークシャフト92のX方向で“山”を乗り越えなければ、その先の“谷”に移動できない。換言すると、ロックボール96が“山”の斜面に位置するときは、ロックボール96が当該斜面を下って“谷”に向かう方向にフォークシャフト92を移動させる力が、フォークシャフト92にコイルばね94からロックボール96を介して発生される。このとき、アクチュエータ74の駆動力が“0”になると、ロックボール96は当該“谷”へと移動する。
位置PHighは、凹部922の“谷”の位置に対応し、区間SC2は、凹部922の“谷”を中心としてその両側の“斜面”(隣の“山”までの斜面)の区間に対応する。同様に、位置PLowは、凹部921の“谷”の位置に対応し、区間SC1は、凹部921の“谷”を中心としてその両側の“斜面”の区間に対応する。同様に、位置Pは、凹部920の“谷”の位置に対応し、区間SC0は、凹部920の“谷”を中心としてその両側の“斜面”の区間に対応する。
この場合、ロックボール96が区間SC0内に位置するときにアクチュエータ74の駆動力が“0”になると、ロックボール96は、フォークシャフト92がN位置に至るように、凹部920の“谷”(位置P)へと引き込まれ、凹部920に嵌まる。同様に、ロックボール96が区間SC1内に位置するときにアクチュエータ74の駆動力が“0”になると、ロックボール96は、フォークシャフト92がLo位置に至るように、凹部921の“谷”(位置PLow)へと引き込まれ、凹部921に嵌まる。同様に、ロックボール96が区間SC2内に位置するときにアクチュエータ74の駆動力が“0”になると、ロックボール96は、フォークシャフト92がHi位置に至るように、凹部922の“谷”(位置PHigh)へと引き込まれ、凹部922に嵌まる。
本実施例では、フォークシャフト92上のロックボール96の位置が位置PLowから第1ストッパ機能位置Pst1に至るまでのフォークシャフト92の移動距離ΔLL1は、フォークシャフト92上のロックボール96の位置が位置Pから区間SC1内に至るまでのフォークシャフト92の移動距離ΔLN1よりも有意に短く、かつ、フォークシャフト92上のロックボール96の位置が位置PHighから区間SC0内に至るまでのフォークシャフト92の移動距離ΔLH1よりも有意に短い。
従って、移動距離ΔLL1よりも長く、移動距離ΔLN1よりも短くかつ移動距離ΔLH1よりも短いある距離を、距離β1とすると、ロックボール96が凹部920に嵌まった状態から、ロックボール96が凹部921に嵌まる状態への遷移は、フォークシャフト92の移動距離がX1側で距離ΔLL1を超えても距離β1を超えない場合は、不能である。そして、ロックボール96が凹部920に嵌まった状態から、ロックボール96が凹部921に嵌まる状態への遷移は、フォークシャフト92の移動距離が距離β1を超えてから(更には、距離β1よりも長い移動距離ΔLN1を超えると)可能となる。
同様に、ロックボール96が凹部922に嵌まった状態から、ロックボール96が凹部920に嵌まる状態への遷移は、フォークシャフト92の移動距離がX1側で距離ΔLL1を超えても距離β1を超えない場合は、不能である。そして、ロックボール96が凹部922に嵌まった状態から、ロックボール96が凹部920に嵌まる状態への遷移は、フォークシャフト92の移動距離が距離β1を超えてから(更には、距離β1よりも長い移動距離ΔLH1を超えると)可能となる。
また、本実施例では、フォークシャフト92上のロックボール96の位置が位置PHighから第2ストッパ機能位置Pst2に至るまでのフォークシャフト92の移動距離ΔLH2は、フォークシャフト92上のロックボール96の位置が位置Pから区間SC2内に至るまでのフォークシャフト92の移動距離ΔLN2よりも有意に短く、かつ、フォークシャフト92上のロックボール96の位置が位置PLowから区間SC0内に至るまでのフォークシャフト92の移動距離ΔLL2よりも有意に短い。
従って、移動距離ΔLH2よりも長く、移動距離ΔLN2よりも短くかつ移動距離ΔLL2よりも短いある距離を、距離β2とすると、ロックボール96が凹部920に嵌まった状態から、ロックボール96が凹部922に嵌まる状態への遷移は、フォークシャフト92の移動距離がX2側で距離ΔLH2を超えても距離β2を超えない場合は、不能である。そして、ロックボール96が凹部920に嵌まった状態から、ロックボール96が凹部922に嵌まる状態への遷移は、フォークシャフト92の移動距離が距離β2を超えてから(更には、距離β2よりも長い移動距離ΔLN2を超えると)可能となる。
同様に、ロックボール96が凹部921に嵌まった状態から、ロックボール96が凹部920に嵌まる状態への遷移は、フォークシャフト92の移動距離がX2側で距離ΔLH2を超えても距離β2を超えない場合は、不能である。そして、ロックボール96が凹部921に嵌まった状態から、ロックボール96が凹部920に嵌まる状態への遷移は、フォークシャフト92の移動距離が距離β2を超えてから(更には、距離β2よりも長い移動距離ΔLL2を超えると)可能となる。
次に、図5及び図6を参照して、車両用駆動装置1の制御系について説明する。車両用駆動装置1の制御系は、車両用駆動装置1を制御するための制御装置100を含む。
図5は、制御装置100のハードウェア構成の一例を示す概略図である。図5には、制御装置100のハードウェア構成に関連付けて、他の車載電子機器130が模式的に図示されている。
他の車載電子機器130は、モータ10や、アクチュエータ74に加えて、シフトポジションセンサ131や、車輪速センサ132、モータ回転数センサ134、アクチュエータ回転角センサ135(回転角センサの一例)、電流センサ136等を含む。
シフトポジションセンサ131は、ユーザ(運転者)により操作されるシフトレバーの位置を検出し、シフトレバーの位置に応じた信号を生成する。車輪速センサ132は、車速に応じた信号を生成する。モータ回転数センサ134は、モータ10の回転数に応じた信号を生成する。なお、モータ回転数センサ134は、レゾルバであってよい。アクチュエータ回転角センサ135は、アクチュエータ74の回転角に応じた信号を生成する。アクチュエータ回転角センサ135は、例えばホールIC(Integrated Circuit)やレゾルバ等であってよい。電流センサ136は、アクチュエータ74に流れる電流の大きさ(電流値)に応じた信号を生成する。
制御装置100は、バス119で接続されたCPU(Central Processing Unit)111、RAM(Random Access Memory)112、ROM(Read Only Memory)113、補助記憶装置114、ドライブ装置115、及び通信インターフェース117、並びに、通信インターフェース117に接続された有線送受信部125及び無線送受信部126を含む。
補助記憶装置114は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)などであり、アプリケーションソフトウェアなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
有線送受信部125は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などのプロトコルに基づく有線ネットワーク128を利用して通信可能な送受信部を含む。有線送受信部125には、他の車載電子機器130が接続される。ただし、他の車載電子機器130の一部又は全部は、バス119に接続されてもよいし、無線送受信部126に接続されてもよい。
無線送受信部126は、無線ネットワークを利用して通信可能な送受信部である。無線ネットワークは、携帯電話の無線通信網、インターネット、VPN(Virtual Private Network)、WAN(Wide Area Network)等を含んでよい。また、無線送受信部126は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)部、ブルートゥース(Bluetooth、登録商標)通信部、Wi−Fi(Wireless−Fidelity)送受信部、赤外線送受信部などを含んでもよい。
なお、制御装置100は、記録媒体116と接続可能であってもよい。記録媒体116は、所定のプログラムを格納する。この記録媒体116に格納されたプログラムは、ドライブ装置115を介して制御装置100の補助記憶装置114等にインストールされる。インストールされた所定のプログラムは、制御装置100のCPU111により実行可能となる。例えば、記録媒体116は、CD(Compact Disc)−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等であってよい。
図6は、制御装置100の機能構成の一例を示す概略図である。なお、図6に示す機能構成は、車両用駆動装置1のすべての機能を実現するためのすべての機能構成を必ずしも表すものでなく、特定の機能にのみ関連した構成を表す。
制御装置100は、図6に示すように、センサ情報取得部150と、要求ギア段検出部151と、モータ制御部152と、アクチュエータ制御部153と、アクチュエータ情報生成部154と、位置情報生成部156と、変速制御部157と、異常検出部158(処理部の一例)とを含む。センサ情報取得部150、要求ギア段検出部151、モータ制御部152、アクチュエータ制御部153、アクチュエータ情報生成部154、位置情報生成部156、変速制御部157、及び異常検出部158は、CPU111が記憶装置(例えばROM113)内の1つ以上のプログラムを実行することで実現できる。
センサ情報取得部150は、シフトポジションセンサ131や、車輪速センサ132、アクチュエータ回転角センサ135等から各種センサ情報を取得する。
要求ギア段検出部151は、シフトポジションセンサ131からのセンサ情報に基づいて、変速段の変更要求(以下、「変速要求」とも称する)があるか否かを判定する。要求ギア段検出部151は、変速要求がある場合は、実現すべき変速段(以下、「要求ギア段」)を判定(検出)する。本実施例では、一例として、変速段は、「High」と「Low」の2段と、「ニュートラル」とを含む。マニュアルモードの場合は、要求ギア段検出部151は、シフトポジションセンサ131からのセンサ情報に基づいて、変速要求及び要求ギア段を検出できる。
また、要求ギア段検出部151は、例えばシフトポジションセンサ131からのセンサ情報が「D」レンジのシフト位置を表すときは、例えば車速とアクセル開度との関係に基づいて、要求ギア段を検出する。なお、変速要求及び要求ギア段は、外部(上位)のECU(Electronic Control Unit)から取得されてもよい。
モータ制御部152は、モータ10を制御する。モータ制御部152は、運転者からの要求トルク(例えばアクセル開度から導出)に基づいて、モータ10の出力トルクの制御目標値である目標トルクを決定し、当該目標トルクが実現されるようにモータ10を制御する。また、いわゆる自動運転モードがある車両においては、目標トルクは、周辺監視センサ(ミリ波レーダやLiDAR:Light Detection and Ranging、画像センサ等)からの周辺情報やインフラ情報等に基づいて決定されてもよい。以下では、運転者からの要求トルクや周辺環境等から決まる目標トルクを、後述する変速制御中の他の因子から定まる目標トルクと区別するために、「運転者要求トルク」と称する場合がある。
モータ制御部152は、変速制御部157と協動して、変速制御を行う際、通常のトルク制御状態と、モータ回転数が目標回転数となるようにモータ10を制御する回転数制御状態とを選択的に形成する。なお、変速制御中におけるトルク制御状態では、目標トルクは、上述した態様とは異なる態様で決定される(図7を参照して後述)。
アクチュエータ制御部153は、アクチュエータ74を制御する。すなわち、アクチュエータ制御部153は、変速制御部157と協動して、係合装置30の状態を、非噛み合い状態、第1噛み合い状態、及び第2噛み合い状態間で遷移させる遷移処理を行う。
本実施例では、アクチュエータ制御部153は、異常検出部158と協動して、異常検出用のアクチュエータ駆動処理を行う。異常検出用のアクチュエータ駆動処理は、係合装置30の状態が変化しない(非噛み合い状態、第1噛み合い状態、及び第2噛み合い状態間で変化しない)範囲内で、アクチュエータ74を駆動することにより実現される。具体的には、異常検出用のアクチュエータ駆動処理は、Lo位置から第1ストッパ機能位置までのフォークシャフト92のストローク、又は、Hi位置から第2ストッパ機能位置までのフォークシャフト92のストロークを実現する処理である。
異常検出用のアクチュエータ駆動処理は、好ましくは、アクチュエータ74に印加する駆動電流が変動するフィードバック制御ではなく、アクチュエータ74に印加する駆動電流を所定値Itに維持する制御により実現される。所定値Itは、アクチュエータ74に印加可能な駆動電流の最大値よりも有意に小さいが、Lo位置から第1ストッパ機能位置までのフォークシャフト92のストローク、及び、Hi位置から第2ストッパ機能位置までのフォークシャフト92のストロークが可能な値に設定される。なお、所定値Itは、ストッパ部ST1、ST2が機能する際に比較的大きな荷重が動力伝達部7にかからないように適合される。なお、フィードバック制御の場合、負荷が大きくなると、駆動電流の大きさが印加可能な最大値に達する場合がある。異常検出用のアクチュエータ駆動処理の詳細は、後述する。
なお、図1に示すような駆動系では、上述からも明らかなように、係合装置30の係合状態において車両の始動及び駐車が可能である。係合装置30の係合状態においてモータ10が回転されると車輪に回転トルクが伝達されるが、モータ10は、基本的には、車両の始動時や駐車状態で駆動されないためである。このため、本実施例では、車両の始動時及び駐車状態において非噛み合い状態(ニュートラル)が形成されるようにするための遷移処理は不要であり、実行されないものとする。すなわち、本実施例では、車両のメインスイッチ(図示せず)がオフされても、非噛み合い状態に遷移するための遷移処理は実行されず、係合装置30の状態は変化しないものとする。
アクチュエータ情報生成部154は、アクチュエータ回転角センサ135からのセンサ情報に基づいて、アクチュエータ回転数を表すアクチュエータ情報を生成する。また、アクチュエータ情報生成部154は、アクチュエータ制御部153からの情報に基づいて、アクチュエータ74に印加される駆動電流を表すアクチュエータ情報を生成してもよい。なお、アクチュエータ情報は、上述したような各種情報のうちの任意の1つ又は2つ以上の組み合わせを表してよい。
本実施例では、一例として、アクチュエータ情報は、アクチュエータ74に印加される駆動電流と、フォークシャフト92のストローク量と、アクチュエータ回転数とを表すものとする。
なお、本実施例では、アクチュエータ74により駆動される物体(例えばフォークシャフト92)のストローク量を(直接的に)検出するストロークセンサが設けられてもよいが、設けられなくてもよい。ストロークセンサが設けられない場合、アクチュエータ情報が表すストローク量は、アクチュエータ回転数のような、ストローク量に相関するパラメータから導出されることになる。具体的には、例えばアクチュエータ回転角センサ135がホールICである場合、ホールICは、アクチュエータ74の出力軸の回転に応じたパルス(例えば3相のそれぞれごとのパルス)を出力する。この場合、アクチュエータ情報生成部154は、ホールICからのパルスの変化態様に基づいて、ねじ軸722の回転方向(すなわちフォークシャフト92の移動方向がX1側かX2側か)や、ねじ軸722の回転角度(すなわちフォークシャフト92のストローク量)を導出できる。
位置情報生成部156は、アクチュエータ情報生成部154により取得されるアクチュエータ情報に基づいて、フォークシャフト92の位置情報を生成する。本実施例では、一例として、フォークシャフト92の位置情報は、シフト基準位置からの距離で表される。例えば、フォークシャフト92の位置情報は、例えばシフト基準位置を“0点”とし、X1側を“負(−)”としX2側を“正(+)”として、フォークシャフト92の位置を、シフト基準位置からの距離で表してよい。
位置情報生成部156により生成されるフォークシャフト92の位置情報は、制御装置100における各種制御に用いることができる。例えば、フォークシャフト92の位置情報は、上述した遷移処理等に利用できる。例えば、アクチュエータ制御部153は、フォークシャフト92の位置情報に基づいて、遷移処理におけるフォークシャフト92のストローク量をフィードバック制御してもよい。
変速制御部157は、要求ギア段検出部151が変速要求を検出すると、変速制御(変速動作の一例)を行う。具体的には、変速制御部157は、モータ制御部152及びアクチュエータ制御部153と協動して、当該変速要求に係る要求ギア段が実現されるように、モータ10及びアクチュエータ74を制御する。
図7は、変速制御部157により実現される変速制御の一例を概略的に示すタイミングチャートである。図7では、上から順に、制御モード、要求ギア段、モータ回転数、モータトルク、ストローク、及びアクチュエータトルクの各時系列が示される。なお、図7に示す各パラメータについて、要求ギア段は、要求ギア段検出部151による検出結果に対応し、モータ回転数は、モータ回転数センサ134からのセンサ情報に対応し、ストロークは、アクチュエータ情報のストローク量に対応し、アクチュエータトルクは、アクチュエータ情報の駆動電流に対応する。ストロークにおける「Hi」は、上述したHi位置に対応し、「Lo」は、上述したLo位置に対応し、ストロークにおける「N」は、上述したN位置に対応する。
図7に示す例では、変速制御部157は、制御モードを、“ギア保持”モード、“トルク抜き”モード、“ドグ抜き”モード、“回転同期”モード、“ドグ係合”モード、及び“トルク復帰”モード間で、切り替えながら、変速制御を実行する。
具体的には、図7に示す例では、時点t60では、要求ギア段が“Low”であり、当該要求ギア段が実現されている状態(“ギア保持”モード)である。時点t61で変速要求が発生し、要求ギア段が“Low”から“High”に変更される。変速要求が発生すると、“トルク抜き”モードが実現され、モータトルクが徐々に低下される。モータトルクが所定値まで低下すると、時点t62で“ドグ抜き”モードが実現され、モータ回転数がLow同期回転数L61に同期された状態で、第1噛み合い状態から非噛み合い状態への遷移処理が実行される。第1噛み合い状態から非噛み合い状態への遷移処理が完了すると、時点t63で“回転同期モード”が実現され、モータ回転数がHigh同期回転数L62へと同期される。なお、この間は、モータトルクは、回転数制御で決まる。モータ回転数がHigh同期回転数L62に同期すると、時点t64で“ドグ係合”モードが実現され、非噛み合い状態から第2噛み合い状態への遷移処理が実行される。非噛み合い状態から第2噛み合い状態への遷移処理が完了すると、時点t65で“トルク復帰”モードが実現され、モータトルクが、運転者要求トルクに向けて徐々に増加される。モータトルクが運転者要求トルクに復帰すると、時点t66で“ギア保持”モードが実現される。すなわち、変速制御が完了して“ギア保持”モードに復帰する。なお、“ギア保持”モードでは、モータ10は、上述のように運転者要求トルクが実現されるように制御(トルク制御)される。
異常検出部158は、アクチュエータ回転角センサ135の異常を検出するための異常検出処理(第2検出処理の一例)と、電流異常状態を検出するための異常検出処理と、動力伝達部7の異常を検出するための異常検出処理(第1検出処理の一例)と、を実行する。検出対象のアクチュエータ回転角センサ135の異常は、任意であるが、いくつかの例は後述する。
異常検出部158は、変速要求予測部1581と、アクチュエータ駆動部1582と、センサ出力判定部1583と、センサ電流判定部1584と、動力伝達部判定部1585とを含む。
変速要求予測部1581は、変速要求の生成(発生)を予測する。例えば、変速要求予測部1581は、シフトポジションセンサ131からのセンサ情報が「D」レンジのシフト位置を表すときは、例えば車速とアクセル開度との関係に基づいて、変速要求の生成を予測する。
図8は、変速要求予測部1581による予測方法の一例の説明図である。図8では、横軸に車速を取り、縦軸に運転者要求トルクを取り、変速線L71、L72が実線で示されるとともに、予測用変速線L71A、L72Aが破線で示される。
図8に示す例では、変速要求は、変速線L71、L72で示される車速と運転者要求トルク(制御パラメータの一例)との関係(第1関係の一例)に基づいて、生成される。なお、変形例では、運転者要求トルクに代えて、アクセル開度や、目標加速度、目標駆動力等が使用されてもよい。例えば、変速線L71はダウン変速線であり、車速と運転者要求トルクとで定まる点が、変速線L71を右から左へ跨ぐと、要求ギア段が“High”から“Low”に変更される変速要求が生成される。同様に、変速線L72はアップ変速線であり、車速と運転者要求トルクとで定まる点が、変速線L72を左から右へ跨ぐと、要求ギア段が“Low”から“High”に変更される変速要求が生成される。
図8に示す例では、変速要求予測部1581は、予測用変速線L71A、L72Aで示される車速と運転者要求トルク(制御パラメータの一例)との関係(第2関係の一例)に基づいて、変速要求の生成を予測する。なお、変速線L71、L72の場合と同様、変形例では、運転者要求トルクに代えて、アクセル開度や、目標加速度、目標駆動力等が使用されてもよい。
予測用変速線L71Aは、ダウン変速線である変速線L71に対応した予測用変速線であり、変速線L71に対して車速が高い側に所定車速ΔV1だけオフセットする態様で設定される。この場合、変速要求予測部1581は、車速と運転者要求トルクとで定まる点が、予測用変速線L71Aを右から左へ跨ぐと(車速の高い側から低い側へと跨ぐと)、要求ギア段が“High”から“Low”に変更される変速要求の生成を予測する。なお、所定車速ΔV1は任意であるが、所定車速ΔV1が大きくなるにつれて予測精度が低下し、所定車速ΔV1が小さくなるにつれて予測タイミングが遅くなる関係となる。従って、所定車速ΔV1は、後述する異常検出処理に要する時間等を考慮して、必要な予測精度と予測タイミングから適合されてよい。
予測用変速線L72Aは、アップ変速線である変速線L72に対応した予測用変速線であり、変速線L72に対して車速が低い側に所定車速ΔV2だけオフセットする態様で設定される。この場合、変速要求予測部1581は、車速と運転者要求トルクとで定まる点が、予測用変速線L72Aを左から右へ跨ぐと、要求ギア段が“Low”から“High”に変更される変速要求の生成を予測する。なお、所定車速ΔV2は、所定車速ΔV1と同一であってもよく、所定車速ΔV1と同様の態様で適合されてよい。
なお、図8に示す例では、予測用変速線L71A、L72Aは1種類であるが、これに限られない。例えば、モータ10の電力源としての高圧バッテリ(図示せず)の状態等に応じて、変速線L71、L72が変化する構成の場合、変速線L71、L72の種類ごとに、予測用変速線L71A、L72Aが設定されてもよい。
アクチュエータ駆動部1582は、変速要求予測部1581により変速要求の生成が予測された場合に、アクチュエータ制御部153に、異常検出用のアクチュエータ駆動処理を実行させる。異常検出用のアクチュエータ駆動処理は、上述したとおりであるが、詳細は後述する。
センサ出力判定部1583は、異常検出用のアクチュエータ駆動処理の際に得られるアクチュエータ回転角センサ135からのセンサ情報に基づいて、アクチュエータ回転角センサ135の異常の有無を判定する。例えば、センサ出力判定部1583は、アクチュエータ回転角センサ135からのセンサ情報が異常値を表す場合は、アクチュエータ回転角センサ135の異常を検出してもよい。異常の有無の判定方法の一例は、図9〜図10Cを参照して後述する。
図9〜図10Cは、異常の有無の判定方法の一例の説明図であり、図9は、アクチュエータ回転角センサ135の配置の説明図であり、図10Aは、正回転時のアクチュエータ回転角センサ135からの出力波形(及び該出力波形に基づく出力信号)を示す図であり、図10Bは、逆回転時のアクチュエータ回転角センサ135からの出力波形(及び該出力波形に基づく出力信号)を示す図である。また、図10Cは、異常判定用の出力信号の関係を示す図である。
図9〜図10Cに示す例では、アクチュエータ74は、3相の電気モータであり、ロータ741と、ステータ742とを含む。図9では、一例として、ロータ741は、極数が4つであり(図9で示される“S”、“N”は永久磁石の磁極を表す)、ステータ742は、スロット数が3つであり、4極3スロットの電気モータを構成する。なお、極数やスロット数、相数は、任意であり、他の数値が用いられてもよい。
アクチュエータ回転角センサ135は、図9に示すように、3つのホールIC135−1、135−2、135−3からなる。ホールIC135−1、135−2、135−3は、それぞれ、ロータ741の回転に応じて、異なるパターンでロータ741の各磁極に径方向に対向するように、配置される。図9に示す例では、ホールIC135−1、135−2、135−3は、ロータ741まわりに、等間隔(120°ごと)に配置される。この場合、図10A及び図10Bに示すように、例えば、ホールIC135−1は、U相に係る出力信号を生成し、ホールIC135−2は、V相に係る出力信号を生成し、ホールIC135−3は、W相に係る出力信号を生成する。図10A及び図10Bに示すように、ホールIC135−1、135−2、135−3は、U相、V相、及びW相の各出力信号が120°ずつ位相がずれる態様で、ロータ741まわりに配置される。これにより、ホールIC135−1、135−2、135−3の各出力信号から、アクチュエータ74の回転方向及び回転角を導出できる。
ここで、図10A及び図10Bのそれぞれの下側の表には、上側の出力波形に対応した出力信号(“0”又は“1”)の時系列が、各相で示される。ここでは、出力信号“1”は、パルス状の出力波形が“High”の状態に対応し、出力信号“0”は、パルス状の出力波形が“Low”の状態に対応する。図10A及び図10Bのそれぞれの下側の表から分かるように、U相、V相、及びW相の各出力信号は、電気角360°で、6通りの出力信号の1セットを形成し、電気角360°ごとに、同セットを繰り返す。従って、電気角360°にわたる出力信号の切り替わりパターン(6通りの出力信号の出現パターン)をチェックすることで、ホールIC135−1、135−2、135−3の異常の有無を精度良く判定できることがわかる。従って、異常検出用のアクチュエータ駆動処理は、好ましくは、アクチュエータ74が電気角360°以上で回転されるように実現される。この場合、センサ出力判定部1583は、電気角360°にわたる出力信号の切り替わりパターンをチェックすることで、ホールIC135−1、135−2、135−3の異常の有無を精度良く判定できる。
具体的には、センサ出力判定部1583は、図10Cに示す関係を利用して、出力信号の切り替わりパターンをチェックしてよい。図10Cには、切り替わり前の出力信号と、切り替わり後の出力信号との関係が示される。切り替わり前の出力信号とは、ある一時点のU相、V相、及びW相の各出力信号の組み合わせであり、“0”又は“1”の3つの組み合わせである。切り替わり後の出力信号とは、当該ある一時点の各出力信号の組み合わせから組み合わせが変わった後の各出力信号の組み合わせであり、“0”又は“1”の3つの組み合わせである。
図10Cに示す関係は、図10A及び図10Bのそれぞれの下側の表と整合する。例えば、正回転時、切り替わり前の出力信号が“101”であるとき、切り替わり後の出力信号は、“100”となるはずである。また、逆回転時、切り替わり前の出力信号が“101”であるとき、切り替わり後の出力信号は、“001”となるはずである。従って、切り替わり前の出力信号が“101”であるとき、切り替わり後の出力信号が“100”又は“001”である場合、正常な出力信号の切り替わりであると判定できる。この場合、センサ出力判定部1583は、電気角360°分の切り替わり(すなわち6回の切り替わり)をチェックすることで、電気角360°にわたる出力信号の切り替わりパターンをチェックできる。
換言すると、センサ出力判定部1583は、図10Cに示す“正常”の関係を有する出力信号の組み合わせが得られない場合は、アクチュエータ回転角センサ135が異常であると判定できる。例えば、切り替わり前の出力信号(判定の際に得られる出力信号)が“000”や“111”である場合は、その段階でアクチュエータ回転角センサ135が異常であると判定してもよい。なお、異常の際の出力信号の切り替わりパターンとしては、2相が同時に切り替わる場合や、上述のようにすべてが“000”や“111”である場合、アクチュエータ74の回転にもかかわらず出力信号の切り替わりが発生しない場合等がありえる。なお、アクチュエータ74の回転にもかかわらず出力信号の切り替わりが発生しない場合は、機械的な異常(アクチュエータ回転角センサ135以外の異常)の可能性もあるため、かかる機械的な異常の可能性が排除された場合に、アクチュエータ回転角センサ135が異常であると判定されてもよい。
なお、センサ出力判定部1583は、電気角360°分の切り替わりを切り替わりごとにチェックしてもよいし、電気角360°分の切り替わりをまとめてチェックしてもよい。前者の場合は、異常な切り替わりが発生した時点で異常検出用のアクチュエータ駆動処理を終了できる。
センサ電流判定部1584は、異常検出用のアクチュエータ駆動処理の際に得られる電流センサ136からのセンサ情報(アクチュエータ74の電流値)とアクチュエータ情報の駆動電流の大きさとに基づいて、電流異常状態の有無を判定する。例えば、アクチュエータ74の電流値が駆動電流の大きさ(指令値である所定値It)に対して過大又は過小である場合は、センサ電流判定部1584は、電流異常状態と判定する。電流異常状態は、電流センサ136の異常やアクチュエータ74の異常等に起因して発生しうる。過大又は過小であるか否かは、アクチュエータ74の電流値と駆動電流の大きさとの差や比が閾値以上であるか否かに基づいて判定されてよい。なお、アクチュエータ74の電流値が過小な場合とは、例えばアクチュエータ74の電流値が0である場合であってもよいし、アクチュエータ74の電流値が過大な場合とは、アクチュエータ74の電流値が、アクチュエータ74に印加可能な最大値を超えている場合であってもよい。
動力伝達部判定部1585は、異常検出用のアクチュエータ駆動処理の際に得られるアクチュエータ情報に基づいて、動力伝達部7の異常の有無を判定する。
図11A及び図11Bは、動力伝達部7の異常の形態の例の説明図である。なお、図11A及び図11Bでは、一例として、非噛み合い状態が示され、非噛み合い状態から第1噛み合い状態への遷移に関連して、動力伝達部7の異常の形態を説明する。また、図11A及び図11Bでは、ストッパ部ST2や第2要素32A、32Bの図示は省略されている。
図11Aでは、ねじ軸722が破損した状態が模式的に示される(Q1部参照)。この場合、アクチュエータ74によりねじ軸722の一部を回転させても(矢印R40参照)、ねじ軸722の残りの部分上のナット721が回転できず、シフトフォーク70及び第1要素31はX1側に移動しない。この場合、フォークシャフト92についてもX1側に移動しない。以下、このような形態の動力伝達部7の異常を、「ねじ軸722の破損異常」とも称する。
図11Bでは、シフトフォーク70の一部が破損した状態が模式的に示される(Q2部参照)。この場合、ねじ軸722の破損異常の場合とは異なり、アクチュエータ74を駆動すると、ナット721が回転してシフトフォーク70の一部(破損位置よりもナット721側の一部)はX1側に移動する(矢印R41参照)。しかしながら、シフトフォーク70の残りの部分(第1要素31に係合される側の部分)は、X1側に移動しない。この結果、第1要素31はX1側に移動しない。以下、このような形態の動力伝達部7の異常を、「シフトフォーク70の破損異常」とも称する。また、ねじ軸722の破損異常やシフトフォーク70の破損異常のような形態の動力伝達部7の異常を、「動力伝達部7の破損異常」とも称する。
ここで、ねじ軸722の破損異常及びシフトフォーク70の破損異常は、ともに、アクチュエータ74の駆動にもかかわらず第1要素31が移動しない形態の異常である。従って、本実施例では、動力伝達部判定部1585は、ストッパ部ST1、ST2を利用して、異常検出用のアクチュエータ駆動処理の際に得られるアクチュエータ情報に基づいて、動力伝達部7の破損異常を検出する。
具体的には、フォークシャフト92を第1ストッパ機能位置に向けて移動させた場合、フォークシャフト92が第1ストッパ機能位置に到達すると、負荷の上昇によってアクチュエータ74の回転が停止される。フォークシャフト92を第2ストッパ機能位置に向けて移動させた場合も同様に、フォークシャフト92が第2ストッパ機能位置に到達すると、負荷の上昇によってアクチュエータ74の回転が停止される。この点を利用して、動力伝達部判定部1585は、異常検出用のアクチュエータ駆動処理においてストッパ部ST1、ST2が機能するか否かに基づいて、動力伝達部7の破損異常を検出する。例えば、フォークシャフト92をLo位置から第1ストッパ機能位置に向けて移動させた場合、Lo位置から第1ストッパ機能位置までの距離に対応するストローク量(図4では、ΔLL1)で、ストッパ部ST1が機能するはずである。それにもかかわらず、Lo位置から第1ストッパ機能位置までの距離に対応するストローク量で、ストッパ部ST1が機能しない場合は、動力伝達部7の破損異常の可能性が高いためである。この場合、動力伝達部判定部1585は、Lo位置から第1ストッパ機能位置までの距離に対応するストローク量を有意に超えても、アクチュエータ74の回転が停止しない場合に、動力伝達部7の破損異常を検出してもよい。
図11Cは、動力伝達部7の異常の形態の他の例の説明図である。なお、図11Cでは、一例として、非噛み合い状態が示され、非噛み合い状態から第1噛み合い状態への遷移に関連して、動力伝達部7の異常の形態を説明する。
図11Cでは、ナット721とねじ軸722との間が固着した状態が模式的に示される(Q3部参照)。この場合、アクチュエータ74に駆動電流を印加してもねじ軸722が回転できず、シフトフォーク70及び第1要素31はX1側に移動しない。この場合、フォークシャフト92についてもX1側に移動しない。以下、このような形態の動力伝達部7の異常を、「固着異常」とも称する。
動力伝達部判定部1585は、異常検出用のアクチュエータ駆動処理の際に得られるアクチュエータ情報(アクチュエータ回転数)に基づいて、動力伝達部7の固着異常を検出する。例えば、動力伝達部判定部1585は、異常検出用のアクチュエータ駆動処理の際にアクチュエータ回転数が“0”に留まる場合に、動力伝達部7の固着異常を検出してもよい。この際、動力伝達部判定部1585は、駆動電流の大きさを考慮した上で、動力伝達部7の固着異常を検出してもよい。上述のように異常検出用のアクチュエータ駆動処理の際の駆動電流の大きさは、所定値Itとされる。従って、動力伝達部判定部1585は、駆動電流の大きさが所定値Itである状態において、アクチュエータ回転数が“0”である場合に、動力伝達部7の固着異常を検出してもよい。ただし、この場合、動力伝達部判定部1585は、アクチュエータ74に印加する駆動電流を最大値まで増加させてもアクチュエータ回転数が“0”に留まる場合に、動力伝達部7の固着異常を検出してもよい。
ところで、アクチュエータ回転角センサ135からのセンサ情報は、上述のとおり、アクチュエータ制御部153による遷移処理等で利用される。従って、アクチュエータ回転角センサ135からのセンサ情報の精度は、高い信頼性で遷移処理を実現するために有用となる。
また、動力伝達部7は、係合装置30の状態を遷移させる際に機械的に機能する。従って、動力伝達部7の機械的に正常な状態は、高い信頼性で遷移処理を実現するために有用となる。
かかる観点から、異常検出部158による異常検出処理は、アクチュエータ制御部153による遷移処理(及び当該遷移処理が実行される変速制御)に先立って実行されることが望ましい。動力伝達部7の異常やアクチュエータ回転角センサ135の異常等は、不定期的に生じえ、例えば車両起動時に正常であったとしてもその後の同トリップ中に異常になる場合もあるためである。
この点、本実施例では、上述のように、車両のメインスイッチ(図示せず)がオフされても、非噛み合い状態に遷移するための遷移処理は実行されず、係合装置30の状態は変化しない。従って、車両の始動直後の変速要求に応じた遷移処理が実行される可能性が低い。また、変速段数は“High”と“Low”の2速だけであり、走行中においても変速機会が比較的少ない。このように、本実施例では、変速要求に応じた遷移処理が実行される機会が比較的少なくなる傾向となる。
従って、単に、変速要求に応じた遷移処理中に各種異常の有無をチェックするだけの比較例(図示せず)の場合、異常検出処理の頻度が不十分となる可能性がある。また、このような比較例では、動力伝達部7の異常やアクチュエータ回転角センサ135の異常等がある状態で変速要求に応じた遷移処理が開始されてしまう可能性もある。
これに対して、本実施例によれば、異常検出部158による異常検出処理は、上述のように、変速要求予測部1581により変速要求の発生が予測された場合に実行されるので、上述のような比較例で生じる不都合を効果的に低減できる。
具体的には、本実施例によれば、変速要求に応じた遷移処理の直前に異常検出処理を実行できる可能性が高くなり、異常検出処理の結果に応じて、その後に生じる可能性の高い変速要求に対して、当該変速要求に応じた遷移処理を高い信頼性で実行可能であるかどうかを判定できる。例えば、異常検出処理の結果が“異常”を示す場合は、その後に生じる変速要求に応じた遷移処理を禁止等することができ、信頼性の高い態様で変速要求に応じた遷移処理を実現できる。また、異常検出処理の結果が“正常”を示す場合は、その後に生じる変速要求に応じた遷移処理を許可することができる。この場合、異常検出処理からその後に生じる変速要求に応じた遷移処理までの間に、動力伝達部7の異常やアクチュエータ回転角センサ135の異常等が生じる可能性は低いので、信頼性の高い態様で変速要求に応じた遷移処理を実現できる。
また、本実施例では、変速要求予測部1581により変速要求の発生が予測された場合に異常検出処理が実行されるので、変速要求が発生した場合に同異常検出処理が実行される場合に比べて、変速要求に応じた遷移処理を早く開始して早く終了させることができる。ただし、変形例では、異常検出部158は、変速要求が発生した場合に、異常検出処理を実行することとしてもよい。この場合、異常検出部158は、図7に示した変速制御に先立って異常検出処理を実行してよい。すなわち、図7に示す例では、変速制御部157は、時点t61で“異常検出待機”モード(図示せず)となり、その間、異常検出部158は、時点t61からの異常検出処理を実行し、変速制御部157は、異常検出処理の結果が“正常”を示す場合に、“トルク抜き”モードに移行して図7に示す変速制御を実現してよい。
なお、変形例では、異常検出部158は、変速要求予測部1581により変速要求の発生が予測された場合に加えて、車両起動時や、走行中に定期的に(例えば所定距離走行するごとに)又は不定期的に(例えば停車状態が形成されるごとに)、異常検出処理を実行してもよい。
また、本実施例では、異常検出部158による異常検出処理は、動力伝達部7の異常検出処理に加えて、アクチュエータ回転角センサ135の異常検出処理や電流異常状態の異常検出処理を含むので、異常検出部158による異常検出処理の全体としての信頼性を更に高めることができる。例えば、異常検出部158は、アクチュエータ回転角センサ135の異常検出処理や電流異常状態の異常検出処理の結果として正常であると判定した場合のみ、動力伝達部7の異常検出処理を実行してもよいし、動力伝達部7の異常検出処理の結果を採用してもよい。これは、アクチュエータ回転角センサ135の異常等がある場合は、動力伝達部7の異常検出処理に用いられるアクチュエータ情報の信頼性が低くなるためである。このようにして、本実施例によれば、動力伝達部7の異常検出処理に、アクチュエータ回転角センサ135の異常検出処理や電流異常状態の異常検出処理を組み合わせることで、動力伝達部7の異常検出処理の信頼性を高めることができる。また、本実施例によれば、同じ異常検出用のアクチュエータ駆動処理で得られるアクチュエータ情報に基づいて、動力伝達部7の異常検出処理に加えて、アクチュエータ回転角センサ135の異常検出処理や電流異常状態の異常検出処理を実行できるので、効率的な態様で各種の異常検出処理を実現できる。ただし、変形例では、アクチュエータ回転角センサ135の異常検出処理及び電流異常状態の異常検出処理は、いずれか一方又は双方が省略されてもよいし、動力伝達部7の異常検出処理とは異なるタイミングで実行されてもよい。
次に、図12〜図15を参照して、異常検出処理に関連する制御装置100の動作例について説明する。以降の処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
図12は、異常検出処理に関連して制御装置100により実行される処理の一例を示す概略フローチャートである。
ステップS101では、制御装置100のセンサ情報取得部150は、各種センサ情報を取得する。
ステップS102では、制御装置100の要求ギア段検出部151は、要求ギア段を検出する。
ステップS103では、制御装置100のアクチュエータ情報生成部154は、アクチュエータ情報を生成する。
ステップS104では、制御装置100の位置情報生成部156は、フォークシャフト92の位置情報を生成する。
ステップS106では、制御装置100の変速制御部157は、変速禁止フラグF10が“0”であるか否かを判定する。変速禁止フラグF10は、変速制御が禁止された状態において“1”となり、それ以外は“0”となる。変速禁止フラグF10の初期値(車両起動時の値)は、“0”である。判定結果が“YES”の場合、ステップS108に進み、それ以外の場合は、今回周期の処理は終了する(従って、この場合、変速制御は禁止されることになる)。なお、変速制御が禁止された状態では、運転者に注意を促すために、メータ等に警報等が出力されてよい。
ステップS108では、制御装置100の変速制御部157は、変速制御実行中フラグF11が“1”であるか否かを判定する。変速制御実行中フラグF11は、変速制御部157により変速制御が実行されている状態において“1”となり、それ以外は“0”となる。変速制御実行中フラグF11の初期値(車両起動時の値)は、“0”である。判定結果が“YES”の場合、ステップS110に進み、それ以外の場合は、ステップS116に進む。
ステップS110では、変速制御部157は変速制御を実行する。変速制御の一例は、図7を参照して上述したとおりであり、ここでは詳細に説明しない。
ステップS112では、変速制御部157は、変速制御が完了したか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合、ステップS114に進み、それ以外の場合は、今回周期の処理を終了する。
ステップS114では、変速制御部157は、変速制御実行中フラグF11を“0”にリセットする。
ステップS116では、変速制御部157は、異常検出処理中フラグF12が“1”であるか否かを判定する。異常検出処理中フラグF12は、異常検出部158により異常検出処理が実行されている状態において“1”となり、それ以外は“0”となる。異常検出処理中フラグF12の初期値(車両起動時の値)は、“0”である。判定結果が“YES”の場合、ステップS118に進み、それ以外の場合は、ステップS120に進む。
ステップS118では、制御装置100の異常検出部158は、異常検出処理ルーチンに処理を移行する。異常検出処理ルーチンの一例は、図13〜図15を参照して後述する。
ステップS120では、変速制御部157は、ステップS102での検出結果に基づいて、変速要求が発生したか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合、ステップS122に進み、それ以外の場合は、ステップS124に進む。
ステップS122では、変速制御部157は、変速制御実行中フラグF11を“1”にセットする。ステップS122が終了すると、ステップS110に進み、変速制御が開始される。
ステップS124では、異常検出部158の変速要求予測部1581は、変速要求の生成(発生)を予測したか否かを判定する。変速要求予測部1581による予測方法は、図8を参照して上述したとおりである。判定結果が“YES”の場合、ステップS126に進み、それ以外の場合は、今回周期の処理を終了する。
ステップS126では、異常検出部158は、異常検出処理中フラグF12を“1”にセットする。ステップS126が終了すると、ステップS118に進み、異常検出処理が開始される。
図13は、図12の異常検出処理ルーチン(ステップS118)の一例を示す概略フローチャートである。
ステップS200では、異常検出部158は、モード設定済フラグF13が“0”であるか否かを判定する。モード設定済フラグF13は、異常検出処理のモードが設定された状態において“1”となり、それ以外は“0”となる。モード設定済フラグF13の初期値(車両起動時の値)は、“0”である。判定結果が“YES”の場合、ステップS202に進み、それ以外の場合は、ステップS224に進む。
ステップS202では、異常検出部158は、ステップS104で得たフォークシャフト92の位置情報に基づいて、係合装置30の状態が非噛み合い状態であるか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合、ステップS204に進み、それ以外の場合は、ステップS210に進む。
ステップS204では、異常検出部158は、動作モードを“Nモード”にセットする。“Nモード”は、係合装置30の状態が非噛み合い状態であるときに実行される異常検出処理のモードである。
ステップS206では、異常検出部158は、モード設定済フラグF13を“1”にセットする。
ステップS208では、異常検出部158は、“Nモード”で異常検出処理を実行する。“Nモード”での異常検出処理の一例は、図14を参照して後述する。
ステップS210では、異常検出部158は、ステップS104で得たフォークシャフト92の位置情報に基づいて、係合装置30の状態が第1噛み合い状態であるか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合、ステップS212に進み、それ以外の場合は、ステップS218に進む。
ステップS212では、異常検出部158は、動作モードを“Lowモード”にセットする。“Lowモード”は、係合装置30の状態が第1噛み合い状態であるときに実行される異常検出処理のモードである。
ステップS214では、異常検出部158は、モード設定済フラグF13を“1”にセットする。
ステップS216では、異常検出部158は、“Lowモード”で異常検出処理を実行する。“Lowモード”での異常検出処理の一例は、図15を参照して後述する。
ステップS218では、異常検出部158は、動作モードを“Highモード”にセットする。“Highモード”は、係合装置30の状態が第2噛み合い状態であるときに実行される異常検出処理のモードである。
ステップS220では、異常検出部158は、モード設定済フラグF13を“1”にセットする。
ステップS222では、異常検出部158は、“Highモード”で異常検出処理を実行する。“Highモード”での異常検出処理は、図15を参照して後述する“Lowモード”での異常検出処理に関連して後述する。
ステップS224では、異常検出部158は、動作モードが“Nモード”であるか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合、ステップS208に進み、それ以外の場合は、ステップS226に進む。
ステップS226では、異常検出部158は、動作モードが“Lowモード”であるか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合、ステップS216に進み、それ以外の場合は、ステップS222に進む。
図14は、“Nモード”での異常検出処理(ステップS208)の一例を示す概略フローチャートである。
ステップS301では、異常検出部158は、ステップS101で得たセンサ情報のうちの、アクチュエータ回転角センサ135からのセンサ情報に基づいて、センサ情報が正常であるか否かを判定する。すなわち、異常検出部158は、アクチュエータ回転角センサ135の出力信号自体が正常であり、かつ、その切り替わり方が正常であるか否かを判定する。正常であるか否かの判定方法は、図10C等を参照して上述した異常の判定方法のとおりであってよい。今回周期で得たセンサ情報に基づいてアクチュエータ回転角センサ135の異常を検出しない場合、すなわち今回周期で得たセンサ情報が正常であると判定した場合は、ステップS302に進み、それ以外の場合(すなわち今回周期で得たセンサ情報に基づいてアクチュエータ回転角センサ135の異常を検出した場合)は、ステップS310に進む。
ステップS302では、異常検出部158は、ステップS101で得たセンサ情報のうちの、電流センサ136からのセンサ情報と、ステップS103で得たアクチュエータ情報(駆動電流)とに基づいて、電流異常状態であるか否かを判定する。電流異常状態の判定方法は、上述したとおりである。判定結果が“YES”の場合(すなわち電流異常状態が検出された場合)、ステップS310に進み、それ以外の場合は、ステップS303に進む。
ステップS303では、異常検出部158は、ステップS103で得たアクチュエータ情報に基づいて、動力伝達部7の固着異常の有無を判定する。動力伝達部7の固着異常の有無の判定方法は、上述したとおりである。判定結果が“YES”の場合(すなわち動力伝達部7の固着異常が検出された場合)、ステップS310に進み、それ以外の場合は、ステップS304に進む。
ステップS304では、異常検出部158は、非噛み合い状態から第1噛み合い状態に向かう側(X1側)又は第2噛み合い状態に向かう側(X2側)に所定ストローク量γ1(図示せず)だけ離れた位置に向けてフォークシャフト92を移動させる(異常検出用のアクチュエータ駆動処理)。この際、異常検出部158は、アクチュエータ74に印加される駆動電流の大きさが所定値Itに維持されるようにアクチュエータ74の駆動力を制御する。ただし、変形例では、フィードバック制御が実現されてもよい。所定ストローク量γ1は、電気角360°に対応するストローク量である。所定ストローク量γ1は、非噛み合い状態から第1又は第2噛み合い状態への遷移が生じる際のストローク量よりも有意に小さい。従って、ステップS304の異常検出用のアクチュエータ駆動処理によって係合装置30の状態が変化することはない。
ステップS306では、異常検出部158は、ステップS103で得たアクチュエータ情報に基づいて、フォークシャフト92が所定ストローク量γ1だけストロークしたか否かを判定する。なお、フォークシャフト92が所定ストローク量γ1だけストロークしたか否かは、異常検出用のアクチュエータ駆動処理時のストローク量(すなわちN位置でのストローク量)を“0”として判定される。判定結果が“YES”の場合、ステップS308に進み、それ以外の場合は、今回周期の処理を終了する。
ステップS308では、異常検出部158は、異常検出用のアクチュエータ駆動処理を終了して、異常検出処理中フラグF12及びモード設定済フラグF13を“0”にリセットする。なお、異常検出用のアクチュエータ駆動処理を終了する際には、異常検出部158は、アクチュエータ74の駆動電流を“0”にしてコイルばね94及びロックボール96の作用によりフォークシャフト92をN位置へと復帰させてもよいし、アクチュエータ74を駆動してフォークシャフト92をN位置に復帰させてもよい。なお、この際、異常検出部158は、復帰の際に得られるアクチュエータ回転角センサ135からのセンサ情報に基づいて、センサ情報が正常であるか否かを更に判定してもよい。
ステップS310では、異常検出部158は、変速禁止フラグF10を“1”にセットする。
ステップS312では、異常検出部158は、異常検出用のアクチュエータ駆動処理を終了して、異常検出処理中フラグF12及びモード設定済フラグF13を“0”にリセットする。なお、ステップS308の場合と同様、異常検出用のアクチュエータ駆動処理を終了する際には、異常検出部158は、アクチュエータ74の駆動電流を“0”にしてコイルばね94及びロックボール96の作用によりフォークシャフト92をN位置へと復帰させてもよいし、アクチュエータ74を駆動してフォークシャフト92をN位置に復帰させてもよい。なお、この際、異常検出部158は、復帰の際に得られるアクチュエータ回転角センサ135からのセンサ情報に基づいて、センサ情報が正常であるか否かを更に判定してもよい。
なお、図14に示す例では、ステップS304において、異常検出部158は、非噛み合い状態から第1噛み合い状態に向かう側(X1側)又は第2噛み合い状態に向かう側(X2側)に所定ストローク量γ1だけフォークシャフト92を移動させるが、これに限られない。すなわち、ステップS304において、異常検出部158は、非噛み合い状態から第1噛み合い状態に向かう側(X1側)に所定ストローク量γ1だけフォークシャフト92を移動させてから、非噛み合い状態に戻して、第2噛み合い状態に向かう側(X2側)に所定ストローク量γ1だけフォークシャフト92を移動させてもよい。
図15は、“Lowモード”での異常検出処理(ステップS216)の一例を示す概略フローチャートである。
ステップS400では、異常検出部158は、回転角センサ確認済フラグF14が“0”であるか否かを判定する。回転角センサ確認済フラグF14は、今回の“Lowモード”での異常検出処理に係るアクチュエータ回転角センサ135の異常検出処理が終了した状態において“1”となり、それ以外は“0”となる。回転角センサ確認済フラグF14の初期値(車両起動時の値)は、“0”である。判定結果が“YES”の場合、ステップS401に進み、それ以外の場合は、ステップS414に進む。
ステップS401では、異常検出部158は、ステップS101で得たセンサ情報のうちの、アクチュエータ回転角センサ135からのセンサ情報に基づいて、今回周期までのセンサ情報が正常であるか否かを判定する。すなわち、異常検出部158は、アクチュエータ回転角センサ135の出力信号自体が正常であり、かつ、その切り替わり方が正常であるか否かを判定する。正常であるか否かの判定方法は、図10C等を参照して上述した異常の判定方法のとおりであってよい。今回周期で得たセンサ情報に基づいてアクチュエータ回転角センサ135の異常を検出しない場合、すなわち今回周期までに得たセンサ情報が正常であると判定した場合は、ステップS402に進み、それ以外の場合(すなわち今回周期で得たセンサ情報に基づいてアクチュエータ回転角センサ135の異常を検出した場合)は、ステップS410に進む。
ステップS402では、異常検出部158は、ステップS101で得たセンサ情報のうちの、電流センサ136からのセンサ情報と、ステップS103で得たアクチュエータ情報(駆動電流)とに基づいて、電流異常状態であるか否かを判定する。電流異常状態の判定方法は、上述したとおりである。判定結果が“YES”の場合、ステップS410に進み、それ以外の場合は、ステップS403に進む。
ステップS403では、異常検出部158は、ステップS103で得たアクチュエータ情報に基づいて、動力伝達部7の固着異常の有無を判定する。動力伝達部7の固着異常の有無の判定方法は、上述したとおりである。判定結果が“YES”の場合、ステップS410に進み、それ以外の場合は、ステップS404に進む。
ステップS404では、異常検出部158は、第1噛み合い状態から非噛み合い状態に向かう側とは逆側(すなわち第1ストッパ機能位置に向かう側であるX1側)に所定ストローク量γ2(図示せず)だけ離れた位置に向けてフォークシャフト92を移動させる(異常検出用のアクチュエータ駆動処理)。この際、異常検出部158は、アクチュエータ74に印加される駆動電流の大きさが所定値Itに維持されるようにアクチュエータ74の駆動力を制御する。所定ストローク量γ2は、Lo位置から第1ストッパ機能位置までのX方向に沿った距離(図4の距離ΔLL1)に対応し、当該距離よりもわずかに(例えば0.5mm程度)が大きく設定されてもよい。従って、ステップS404の異常検出用のアクチュエータ駆動処理によってストッパ部ST1にフォークシャフト92が当たることが期待される。なお、所定ストローク量γ2は、上述した所定ストローク量γ1(電気角360°に対応するストローク量)よりは有意に大きいものとする。
ステップS406では、異常検出部158は、ステップS103で得たアクチュエータ情報に基づいて、フォークシャフト92が所定ストローク量γ1だけストロークしたか否かを判定する。所定ストローク量γ1は、上述したとおりである。また、所定ストローク量γ1は、所定ストローク量γ2よりも小さい。なお、フォークシャフト92が所定ストローク量γ1だけストロークしたか否かは、異常検出用のアクチュエータ駆動処理時のストローク量(すなわちLo位置でのストローク量)を“0”として判定される。判定結果が“YES”の場合、ステップS408に進み、それ以外の場合は、今回周期の処理は終了する。
ステップS408では、異常検出部158は、アクチュエータ回転角センサ135に係る異常検出処理を終了して、回転角センサ確認済フラグF14を“1”にセットする。
ステップS410では、異常検出部158は、変速禁止フラグF10を“1”にセットする。
ステップS412では、異常検出部158は、異常検出用のアクチュエータ駆動処理を終了して、異常検出処理中フラグF12、モード設定済フラグF13、及び回転角センサ確認済フラグF14を“0”にリセットする。なお、ステップS408の場合と同様、異常検出用のアクチュエータ駆動処理を終了する際には、異常検出部158は、アクチュエータ74の駆動電流を“0”にしてコイルばね94及びロックボール96の作用によりフォークシャフト92をLo位置へと復帰させてもよいし、アクチュエータ74を駆動してフォークシャフト92をLo位置に復帰させてもよい。なお、この際、異常検出部158は、復帰の際に得られるアクチュエータ回転角センサ135からのセンサ情報に基づいて、センサ情報が正常であるか否かを更に判定してもよい。
ステップS414では、異常検出部158は、動力伝達部7の破損異常の検出のための処理(破損異常検出処理)を実行する。破損異常検出処理の一例は、図16を参照して後述する。
図16は、破損異常検出処理(ステップS414)の一例を示す概略フローチャートである。
ステップS500では、異常検出部158は、ステップS103で得たアクチュエータ情報に基づいて、アクチュエータ74の回転数が“0”であるか否かを判定する。すなわち、異常検出部158は、アクチュエータ74の回転が停止したか否かを判定する。判定結果が“YES”の場合、ステップS502に進み、それ以外の場合は、ステップS506に進む。
ステップS502では、異常検出部158は、ステップS103で得たアクチュエータ情報に基づいて、停止に至るまでのフォークシャフト92のストローク量(異常検出用のアクチュエータ駆動処理時のストローク量)が所定ストローク量γ2に対応するか否かを判定する。停止に至るまでのフォークシャフト92のストローク量が所定ストローク量γ2に略一致した場合は、正常にストッパ部ST1が機能したことを意味する。従って、判定結果が“YES”の場合、ステップS504に進み、それ以外の場合は、図15のステップS410に進む。
ステップS504では、異常検出部158は、異常検出用のアクチュエータ駆動処理を終了して、異常検出処理中フラグF12及びモード設定済フラグF13を“0”にリセットする。
ステップS506では、異常検出部158は、ステップS103で得たアクチュエータ情報に基づいて、フォークシャフト92が判定閾値を超えてストロークしたか否かを判定する。判定閾値は、所定ストローク量γ2よりも有意に大きい値である。動力伝達部7が正常であるときにフォークシャフト92が判定閾値を超えてストロークすることは生じないため、フォークシャフト92が判定閾値を超えてストロークした場合は、動力伝達部7の破損異常である可能性が高い(図11A及び図11B参照)。すなわち、アクチュエータ74だけが回転して第1要素31が移動していない可能性が高い。従って、判定結果が“YES”の場合、図15のステップS410に進み、それ以外の場合は、ステップS508に進む。
ステップS508では、異常検出部158は、フォークシャフト92をX1側に所定ストローク量γ2だけ離れた位置に向けて移動させる処理(図15のステップS404で開始した異常検出用のアクチュエータ駆動処理)を継続する。
なお、“Highモード”での異常検出処理(ステップS222)の図示は省略されるが、ステップS404に対応する処理では、異常検出部158は、第2噛み合い状態から非噛み合い状態に向かう側とは逆側(すなわち第2ストッパ機能位置に向かう側であるX2側)に所定ストローク量γ3だけフォークシャフト92を移動させる(異常検出用のアクチュエータ駆動処理)。この場合も、所定ストローク量γ3は、Hi位置から第2ストッパ機能位置までのX方向に沿った距離(図4の距離ΔLH2)に対応し、当該距離よりもわずかに(例えば0.5mm程度)が大きく設定されてもよい。
このように、図12〜図15に示す処理によれば、変速要求の発生が予測される場合に、異常検出処理が実行されるので、上述したような効果が得られる。
また、図12〜図15に示す処理によれば、異常検出処理中フラグF12が“1”である状態では、変速要求が発生した場合でも変速制御が実行されないので(ステップS116で“YES”となり、ステップS120が待機状態となるので)、異常検出処理の結果が反映されない態様で変速制御が実行されることを防止できる。
また、図12〜図15に示す処理によれば、“Lowモード”での異常検出処理は、第1ストッパ機能位置に向かうX1側に所定ストローク量だけフォークシャフト92を移動させることにより実現される。従って、仮に動力伝達部7やアクチュエータ回転角センサ135に異常がある場合でも、異常検出処理に起因して係合装置30の状態が変化することを確実に防止できる。これは、“Highモード”での異常検出処理についても同様である。
なお、図12〜図15に示す処理において、異常検出処理により検出された異常の形態に応じたダイアグ情報が生成されてもよい。この場合、異常の形態に応じた警報等の出力が容易となる。なお、この場合でも、何らかの異常が検出された場合には変速禁止フラグF10が“1”にセットされることは望ましい。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した実施例は、図1に示す特定の車両用駆動装置1への適用例が説明されているが、アクチュエータ74の駆動力を係合装置30に機械的に伝達する機構(動力伝達部7のような動力伝達機構)が設けられる構成であれば、変速段数や各種の接続態様等がどのような車両用駆動装置に対しても適用可能である。従って、適用可能な駆動装置は、電気自動車用に限られず、ハイブリッド車用であってよいし、モータ10を駆動源としない(すなわち内燃機関だけを駆動源とする)車両用であってよい。
また、上述した実施例では、変速要求予測部1581は、変速線を利用して変速要求の生成を予測しているが、これに限られない。なお、変速線を利用して変速要求の生成を予測する構成では、変速要求の生成の前に必ず変速要求の生成の予測を実現できる。しかしながら、変速線を利用せずに変速要求の生成を予測する構成では、変速要求の生成の前に必ず変速要求の生成を予測できるとは限らない。従って、変速線を利用せずに変速要求の生成を予測する構成では、変速要求の生成が予測された場合に加えて、変速要求の生成が予測される前に変速要求が生成された場合(すなわち予測できなった場合)にも、異常検出部158による異常検出処理が実行されてもよい。
<付記>
以上の実施例に関し、更に以下を開示する。なお、以下で記載する効果のうちの、一の形態に対する追加的な各形態に係る効果は、当該追加的な各形態に起因した付加的な効果である。
(1)一の形態は、クラッチ(30)と、
アクチュエータ(74)と、
前記クラッチと前記アクチュエータとの間に設けられ、前記アクチュエータの駆動力を前記クラッチに伝達する動力伝達部(7)と、
前記クラッチの駆動を伴う変速要求が生成され又は前記変速要求の生成が予測された場合に、前記変速要求に応じた変速動作よりも前に、前記アクチュエータの駆動を伴う異常検出処理を実行する処理部(158)とを含む、車両用駆動装置(1)である。
本形態によれば、クラッチの駆動を伴う変速要求が生成され又は変速要求の生成が予測された場合に、アクチュエータの駆動を伴う異常検出処理が実行される。クラッチの駆動を伴う変速要求が生成され又は変速要求の生成が予測された場合は、その直後に、変速要求に応じた変速動作が実行される可能性が高い。従って、このような場合に、事前に(変速要求に応じた変速動作よりも前に)異常検出処理が実行されることで、その後の変速動作の信頼性を高めることができる。すなわち、本形態によれば、異常検出処理を適切に実行できる。
(2)また、本形態においては、好ましくは、車速と制御パラメータとの第1関係に基づいて前記変速要求が生成され、
前記処理部は、車速と前記制御パラメータとの第2関係に基づいて、前記変速要求の生成を予測する。
この場合、変速要求が生成される前に、当該変速要求の生成を予測することが容易となる。特に、変速要求の生成が予測された場合は、その直後に、変速要求に応じた変速動作が実行される可能性が高い。従って、このような場合に、事前に異常検出処理が実行されることで、その後に生じうる変速要求に応じた変速動作の信頼性を高めつつ、その後に生じうる変速要求に応じた変速動作を速やかに開始できる。
(3)また、本形態においては、好ましくは、前記処理部は、前記変速要求が生成された場合に、前記変速要求に応じた変速動作に先立って前記異常検出処理を実行する。
この場合、変速要求が生成される場合に、当該変速要求に応じた変速動作の信頼性を高めることができる。特に、変速要求に応じた変速動作に先立って実行された異常検出処理の後であって、当該変速要求に応じた変速動作までの間に、異常検出処理で検出可能な異常が発生する可能性は低い。従って、この場合、変速要求に応じた変速動作の信頼性を大幅に高めることができる。
(4)また、本形態においては、好ましくは、前記異常検出処理は、前記動力伝達部の異常を検出するための第1検出処理を含み、
前記動力伝達部は、前記アクチュエータの駆動力により移動する可動部材(92)を含み、
前記可動部材の移動を機械的に係止するストッパ部(ST1、ST2)を更に含み、
前記異常検出処理は、前記ストッパ部が機能するように前記アクチュエータを駆動する駆動処理を含む。
この場合、ストッパ部が機能するときにストッパ部から受ける負荷を利用して、異常検出処理の結果の精度を高めることができる。
(5)また、本形態においては、好ましくは、前記処理部は、前記駆動処理において前記ストッパ部が機能するか否かに基づいて、前記動力伝達部の異常を検出する。
この場合、ストッパ部が機能するか否かに基づいて、動力伝達部の異常を精度良く検出できる。
(6)また、本形態においては、好ましくは、前記処理部は、前記駆動処理の開始時から前記アクチュエータの回転が停止するまでの前記アクチュエータの回転角に基づいて、前記動力伝達部の異常を検出する。
この場合、ストッパ部が機能する等によってアクチュエータの回転が停止するまでのアクチュエータの回転角に基づいて、動力伝達部の異常を精度良く検出できる。なお、アクチュエータの回転が停止するまでのアクチュエータの回転角に基づくとは、当該回転角からの導出可能な可動部材のストローク量に基づく場合を含む。
(7)また、本形態においては、好ましくは、前記処理部は、前記駆動処理において、駆動電流の大きさが印加可能な最大値に達しないように前記アクチュエータを駆動する。
この場合、ストッパ部が機能した際に過度な駆動電流がアクチュエータに印加されることを防止できる。また、ストッパ部が機能した際にアクチュエータの回転が停止する可能性を高めることができる。ストッパ部が機能した際にアクチュエータの回転が停止する場合は、アクチュエータの回転が停止するまでのアクチュエータの回転角に基づいて、動力伝達部の異常を精度良く検出できる。
(8)また、本形態においては、好ましくは、前記アクチュエータの駆動電流を検出する電流センサ(136)を備え、
前記処理部は、前記異常検出処理において、前記電流センサからの電流値と前記アクチュエータの駆動電流の大きさとを比較する。
この場合、アクチュエータの駆動電流の大きさと電流センサからの電流値との関係に基づいて、電流異常状態を検出できる。
(9)また、本形態においては、好ましくは、前記アクチュエータの回転角を検出する回転角センサ(135)を更に備え、
前記異常検出処理は、更に、前記回転角センサの異常を検出するための第2検出処理を含む。
この場合、同一のアクチュエータの駆動機会を利用して、第1検出処理及び第2検出処理を実現できる。また、第1検出処理及び第2検出処理のそれぞれの検出結果を組み合わせることで、異常検出処理の結果の信頼性を効果的に高めることができる。
(10)また、本形態においては、好ましくは、前記クラッチは、モータ(10)と車輪との間に接続され、
前記クラッチの係合状態において車両の始動及び駐車が可能である。
この場合、車両の始動直後に変速要求が発生する可能性が低く、少なくともその分だけクラッチの状態が遷移する機会(及びそれに伴いアクチュエータの駆動機会)が少なくなる傾向となる。本形態によれば、このような傾向となる場合であっても、変速要求に応じた変速動作よりも前に、アクチュエータの駆動を伴う異常検出処理を行うことで、変速動作の信頼性を高めることができる。
(11)他の一の形態は、第1方向(Y)に可動な係合体(96)と、
前記第1方向に交差する第2方向(X)で前記係合体に対して相対的に移動可能であり、前記係合体が嵌まることが可能な凹部(920、921、922)を、前記第2方向に沿って複数備える凹部形成部材(92)と、
前記第1方向に前記凹部形成部材に向けて前記係合体を付勢する弾性部材(94)と、
複数の前記凹部のうちの、前記第2方向の一端側の一の凹部に対応して設けられ、該一の凹部に前記係合体が嵌まった状態からの前記係合体に対する前記凹部形成部材の移動距離であって前記第2方向の前記一端側とは逆側への移動距離を規制する規制部(ST1、ST2)と、
前記係合体に対する前記凹部形成部材の移動のための駆動力を発生するアクチュエータ(74)と、
クラッチ(30)に連結され、前記係合体に対する前記凹部形成部材の移動に連動させて、前記クラッチの状態を遷移させる動力伝達部(7)と、
前記係合体が前記一の凹部に嵌まった状態である場合に、前記凹部形成部材の移動方向が前記第2方向の前記一端側とは逆側になるように前記アクチュエータを駆動し、前記アクチュエータの駆動に基づいて、前記動力伝達部の異常検出処理を実行する処理部(158)とを含む、車両用駆動装置(1)である。
この場合、ストッパ部が機能するときに動力伝達部がストッパ部から受ける負荷を利用して、クラッチの係合状態と非係合状態との間の遷移を伴うことなく、異常検出処理を実行できる。
1 車両用駆動装置
7 動力伝達部
10 モータ
20 遊星歯車機構
21 サンギア
22 リングギア
23 ピニオン
24 キャリア
30 係合装置
31 第1要素
32A 第2要素
32B 第2要素
41 第1ギア列
42 第2ギア列
50 カウンタ軸
60 出力軸(ディファレンシャル軸)
70 シフトフォーク
72 ボールねじ機構
74 アクチュエータ
90 シフトディテント機構
92 フォークシャフト
94 コイルばね
96 ロックボール
100 制御装置
130 車載電子機器
131 シフトポジションセンサ
132 車輪速センサ
134 モータ回転数センサ
135 アクチュエータ回転角センサ
136 電流センサ
150 センサ情報取得部
151 要求ギア段検出部
152 モータ制御部
153 アクチュエータ制御部
154 アクチュエータ情報生成部
156 位置情報生成部
157 変速制御部
158 異常検出部
1581 変速要求予測部
1582 アクチュエータ駆動部
1583 センサ出力判定部
1584 センサ電流判定部
1585 動力伝達部判定部
301 ドッグクラッチ
302 ドッグクラッチ
304 クラッチハブ
311 歯状部
312 凹溝
321A 歯状部
321B 歯状部
721 ナット
722 ねじ軸
920 凹部(ディテント)
921 凹部(ディテント)
922 凹部(ディテント)
ST1 ストッパ部
ST2 ストッパ部

Claims (11)

  1. クラッチと、
    アクチュエータと、
    前記クラッチと前記アクチュエータとの間に設けられ、前記アクチュエータの駆動力を前記クラッチに伝達する動力伝達部と、
    前記クラッチの駆動を伴う変速要求が生成され又は前記変速要求の生成が予測された場合に、前記変速要求に応じた変速動作よりも前に、前記アクチュエータの駆動を伴う異常検出処理を実行する処理部とを含む、車両用駆動装置。
  2. 車速と制御パラメータとの第1関係に基づいて前記変速要求が生成され、
    前記処理部は、車速と前記制御パラメータとの第2関係に基づいて、前記変速要求の生成を予測する、請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. 前記処理部は、前記変速要求が生成された場合に、前記変速要求に応じた変速動作に先立って前記異常検出処理を実行する、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
  4. 前記異常検出処理は、前記動力伝達部の異常を検出するための第1検出処理を含み、
    前記動力伝達部は、前記アクチュエータの駆動力により移動する可動部材を含み、
    前記可動部材の移動を機械的に係止するストッパ部を更に含み、
    前記異常検出処理は、前記ストッパ部が機能するように前記アクチュエータを駆動する駆動処理を含む、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
  5. 前記処理部は、前記駆動処理において前記ストッパ部が機能するか否かに基づいて、前記動力伝達部の異常を検出する、請求項4に記載の車両用駆動装置。
  6. 前記処理部は、前記駆動処理の開始時から前記アクチュエータの回転が停止するまでの前記アクチュエータの回転角に基づいて、前記動力伝達部の異常を検出する、請求項4又は5に記載の車両用駆動装置。
  7. 前記処理部は、前記駆動処理において、駆動電流の大きさが印加可能な最大値に達しないように前記アクチュエータを駆動する、請求項4〜6のうちのいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
  8. 前記アクチュエータの駆動電流を検出する電流センサを備え、
    前記処理部は、前記異常検出処理において、前記電流センサからの電流値と前記アクチュエータの駆動電流の大きさとを比較する、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
  9. 前記アクチュエータの回転角を検出する回転角センサを更に備え、
    前記異常検出処理は、更に、前記回転角センサの異常を検出するための第2検出処理を含む、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
  10. 前記クラッチは、モータと車輪との間に接続され、
    前記クラッチの係合状態において車両の始動及び駐車が可能である、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
  11. 第1方向に可動な係合体と、
    前記第1方向に交差する第2方向で前記係合体に対して相対的に移動可能であり、前記係合体が嵌まることが可能な凹部を、前記第2方向に沿って複数備える凹部形成部材と、
    前記第1方向に前記凹部形成部材に向けて前記係合体を付勢する弾性部材と、
    複数の前記凹部のうちの、前記第2方向の一端側の一の凹部に対応して設けられ、該一の凹部に前記係合体が嵌まった状態からの前記係合体に対する前記凹部形成部材の移動距離であって前記第2方向の前記一端側とは逆側への移動距離を規制する規制部と、
    前記係合体に対する前記凹部形成部材の移動のための駆動力を発生するアクチュエータと、
    クラッチに連結され、前記係合体に対する前記凹部形成部材の移動に連動させて、前記クラッチの状態を遷移させる動力伝達部と、
    前記係合体が前記一の凹部に嵌まった状態である場合に、前記凹部形成部材の移動方向が前記第2方向の前記一端側とは逆側になるように前記アクチュエータを駆動し、前記アクチュエータの駆動に基づいて、前記動力伝達部の異常検出処理を実行する処理部とを含む、車両用駆動装置。
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