JP2020153029A - ポリプロピレン繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、毛羽が少なく、高強度のポリプロピレン繊維を提供することを目的とする。【解決手段】無機粒子の含有量が0.1〜0.6質量%であり、引張強度が6〜8cN/dtexであり、毛羽の数が5個/100kg以下であるポリプロピレン繊維。芯鞘構造を有するポリプロピレン繊維であって、前記無機粒子が鞘部に含有すること、前記無機粒子が硫酸バリウムであること、芯部の硫酸バリウムの含有量が0〜0.05質量%であることが好ましい。【選択図】 なし
Description
本発明は、産業資材用、建造物や自動車等の内装用、医療衛生用、衣料用等に用いられるポリプロピレン繊維に関する。
ポリプロピレン繊維は、撥水性、非吸収性に優れ、比重が低いため軽く、また耐薬品性にも優れているなどの特性を有していることから、産業資材用、建造物や自動車等の内装用、医療衛生用、衣料用等に広く用いられている。特に産業資材用途では軽さと強度を活かしてロープ、養生ネット、水平ネット等、幅広く用いられているが、さらなる高強度化が求められている。
ポリプロピレン繊維の強度は、延伸条件に大きく依存することが知られている。特に延伸倍率を高くするとポリプロピレン繊維の強度は大きく向上する。
例えば、メルトフローレート値(MFR)が5〜15g/分、アイソタクチックペンタッド分率が95%以上、n−ヘプタン不溶分が98以上、Q値(重量平均分子量/数平均分子量)が4以下の高規則性ポリプロピレンを原料とし、7倍以上で延伸して繊維強度が8g/d以上となす高強度ポリプロピレン繊維が開示されている。(特許文献1)
例えば、メルトフローレート値(MFR)が5〜15g/分、アイソタクチックペンタッド分率が95%以上、n−ヘプタン不溶分が98以上、Q値(重量平均分子量/数平均分子量)が4以下の高規則性ポリプロピレンを原料とし、7倍以上で延伸して繊維強度が8g/d以上となす高強度ポリプロピレン繊維が開示されている。(特許文献1)
しかし、通常の延伸速度で高倍率に延伸しようとすると、毛羽や糸切れが頻発するため、繊維を安定的に生産することが難しい。また、仮に高倍率で安定的に延伸して繊維を生産できたとしても、繊維が白化するため、特に顔料を添加したときの発色性が問題となる。繊維の白化を抑制する方法としては、メタロセン系触媒を使用して得たポリプロピレン原料を使用し、5.35〜7.22倍の延伸倍率で延伸することで、優れた発色性をもつ高強度(5〜6.5cN/dtex)なポリプロピレン繊維が得られることが開示されている。(特許文献2)
産業資材用、建造物や自動車等の内装用のポリプロピレン繊維には、難燃性が必要とされることが多く、繊維に難燃性を付与するため、各種難燃剤を添加している。(特許文献3)
しかし、特許文献1に記載のポリプロピレン繊維は、難燃剤や顔料を含有しないものであり、難燃剤や顔料を含有させると強度が低下する問題がある。特許文献2のポリプロピレン繊維は、顔料だけを含有し、強度が6.45cN/dtex出ているが、延伸倍率が6.75と高倍率で延伸しているため、毛羽が発生しているものと考えられる。特許文献3のポリプロピレン繊維は難燃性は有するものの、延伸倍率が3倍までしか延伸しておらず、強度は低いものと考えられる。
本発明は、毛羽の少なく、高強度のポリプロピレン繊維を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]無機粒子の含有量が0.1〜0.6質量%であり、引張強度が6〜8cN/dtexであり、毛羽の数が5個/100kg以下であるポリプロピレン繊維。
[2]芯鞘構造を有するポリプロピレン繊維であって、前記無機粒子が鞘部に含有する[1]に記載のポリプロピレン繊維
[3]前記無機粒子が硫酸バリウムである[1]または[2]に記載のポリプロピレン繊維。
[4]芯部の硫酸バリウムの含有量が0〜0.05質量%である[1]〜[3]のいずれかに記載のポリプロピレン繊維。
[5]トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェート及び三酸化アンチモを含有し、前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの含有量が0.5〜1.5質量%であり、前記三酸化アンチモンの含有量が0.1〜1.0質量%であり、JIS L−1091(1991)D法の難燃性コイル法で測定される接炎回数が3回以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリプロピレン繊維。
[6]前記三酸化アンチモンに対する前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの質量比が2.0〜4.0である、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリプロピレン繊維。
[7]引張伸度が14〜30%である、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリプロピレン繊維。
[1]無機粒子の含有量が0.1〜0.6質量%であり、引張強度が6〜8cN/dtexであり、毛羽の数が5個/100kg以下であるポリプロピレン繊維。
[2]芯鞘構造を有するポリプロピレン繊維であって、前記無機粒子が鞘部に含有する[1]に記載のポリプロピレン繊維
[3]前記無機粒子が硫酸バリウムである[1]または[2]に記載のポリプロピレン繊維。
[4]芯部の硫酸バリウムの含有量が0〜0.05質量%である[1]〜[3]のいずれかに記載のポリプロピレン繊維。
[5]トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェート及び三酸化アンチモを含有し、前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの含有量が0.5〜1.5質量%であり、前記三酸化アンチモンの含有量が0.1〜1.0質量%であり、JIS L−1091(1991)D法の難燃性コイル法で測定される接炎回数が3回以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリプロピレン繊維。
[6]前記三酸化アンチモンに対する前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの質量比が2.0〜4.0である、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリプロピレン繊維。
[7]引張伸度が14〜30%である、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリプロピレン繊維。
本発明によれば、毛羽が少なく、高強度のポリプロピレン繊維を提供できる。
本発明のポリプロピレン繊維は、無機粒子の含有量が0.1〜0.6質量%であり、引張強度が6〜8cN/dtexであり、毛羽の数が5個/100kg以下である。
前記無機粒子の含有量が0.1質量%以上であると、毛羽が少なくでき、0.6質量%以下であると、引張強度が高くできる。
これらの観点から、前記無機粒子の含有量は、0.13〜0.5質量%が好ましく、0.2〜0.4質量%がより好ましい。
前記無機粒子の含有量が0.1質量%以上であると、毛羽が少なくでき、0.6質量%以下であると、引張強度が高くできる。
これらの観点から、前記無機粒子の含有量は、0.13〜0.5質量%が好ましく、0.2〜0.4質量%がより好ましい。
前記引張強度が6cN/dtex以上であれば、安全ネットとして加工した際、軽量かつ仮設工業会の定める400Nを超える製品が得られやすい。引張強度は、高いほど良いが、8.0cN/dtex以下にすることで、製造コストを抑えることができる。
これらの観点から、前記引張強度は6.1〜7.5cN/dtexが好ましく、6.2〜7cN/dtexがより好ましい。
なお、引張強度は、JIS L 1013に準拠し、試験長200mm、引張速度200mm/分の条件で測定される。
これらの観点から、前記引張強度は6.1〜7.5cN/dtexが好ましく、6.2〜7cN/dtexがより好ましい。
なお、引張強度は、JIS L 1013に準拠し、試験長200mm、引張速度200mm/分の条件で測定される。
前記毛羽の数が100kg中に5個以下であれば、ポリプロピレン繊維をネット等の製品に加工する際の編み機の工程通過性が良くなる。
本発明のポリプロピレン繊維は、芯鞘構造を有するポリプロピレン繊維であって、前記無機粒子が鞘部に含有することが好ましい。
無機粒子が鞘部に含有することで、無機粒子が繊維表面に出やすくなり摩擦が減るためローラーからのダメージが少なく毛羽になりにくいと考えられる。また、無機粒子の含有量を減らせるため、強度が高くでき易い。
無機粒子が鞘部に含有することで、無機粒子が繊維表面に出やすくなり摩擦が減るためローラーからのダメージが少なく毛羽になりにくいと考えられる。また、無機粒子の含有量を減らせるため、強度が高くでき易い。
本発明のポリプロピレン繊維は、無機粒子が硫酸バリウムであることが好ましい。
無機粒子は特に限定されるものでは無く、例えば、酸化チタン、ガラスが挙げられる。
ポリプロピレン繊維の色の観点から、ポリプロピレン繊維の屈折率に近い硫酸バリウムが好ましい。粒径としては、0.5〜1.0μmφが好ましい。
無機粒子は特に限定されるものでは無く、例えば、酸化チタン、ガラスが挙げられる。
ポリプロピレン繊維の色の観点から、ポリプロピレン繊維の屈折率に近い硫酸バリウムが好ましい。粒径としては、0.5〜1.0μmφが好ましい。
本発明のポリプロピレン繊維は、芯部の硫酸バリウムの含有量が0〜0.05質量%であることが好ましい。毛羽を低減、強度を高める観点からは、芯部に硫酸バリュウムを含有させる必要はないが、その他の目的があれば、毛羽、強度に影響のない範囲で含有してもかまわない。その観点からは、0.05%以下の含有量にすることが好ましい。
本発明のポリプロピレン繊維は、トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェート及び三酸化アンチモンを含有し、前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの含有量が0.5〜1.5質量%であり、前記三酸化アンチモンの含有量が0.1〜1.0質量%であり、JIS L−1091(1991) D法の難燃性コイル法で測定される接炎回数が3回以上であることが好ましい。
前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの含有量が0.5質量%以上であると、難燃性が高く保たれ、前記接炎回数を3回以上にし易くなり、1.5%質量%以下であれば繊維強度の低下を少なくできる。これらの観点から、前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの含有量は0.6〜1.0質量%がより好ましい。
前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの含有量が0.5質量%以上であると、難燃性が高く保たれ、前記接炎回数を3回以上にし易くなり、1.5%質量%以下であれば繊維強度の低下を少なくできる。これらの観点から、前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの含有量は0.6〜1.0質量%がより好ましい。
難燃剤を含有することで難燃性能が付与できる。難燃剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、ハロゲン系(臭素化合物、塩素化合物)、非ハロゲン系(リン化合物、金属水酸化物、窒素化合物等)が挙げられ、そのどちらも採用できる。なかでも、難燃性能がより高く、低添加量で難燃性が得られる点から、ハロゲン系の難燃剤が好ましく、トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートがより好ましい。
難燃剤としては、ハロゲン系(臭素化合物、塩素化合物)、非ハロゲン系(リン化合物、金属水酸化物、窒素化合物等)が挙げられ、そのどちらも採用できる。なかでも、難燃性能がより高く、低添加量で難燃性が得られる点から、ハロゲン系の難燃剤が好ましく、トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートがより好ましい。
トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートとしては、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ジブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(モノブロモネオペンチル)ホスフェートを例示できる。トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートとしては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリプロピレン繊維は、難燃助剤を含有することが好ましい。難燃助剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
難燃助剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンを例示できる。なかでも、難燃性の点から、三酸化アンチモンが好ましい。
難燃助剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンを例示できる。なかでも、難燃性の点から、三酸化アンチモンが好ましい。
本発明のポリプロピレン繊維中の三酸化アンチモンの含有量は、ポリプロピレン繊維の総質量に対して、0.1〜1.0質量%が好ましく、0.15〜0.8質量%がより好ましく、0.2〜0.6質量%がさらに好ましい。
三酸化アンチモンの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、優れた難燃性が得られやすい。三酸化アンチモンの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、繊維中の異物を少なくでき、紡糸の安定性が向上する。
三酸化アンチモンの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、優れた難燃性が得られやすい。三酸化アンチモンの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、繊維中の異物を少なくでき、紡糸の安定性が向上する。
本発明のポリプロピレン繊維は、難燃性コイル法における接炎回数が3回以上であることが好ましく、4回以上がより好ましい。難燃性コイル法における接炎回数が3回以上であれば、仮設工業会の定める難燃規格に合格とできる難燃性を有している。
本発明のポリプロピレン繊維は、前記三酸化アンチモンに対する前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの質量比が2.0〜4.0であることが好ましい。この臭素量に対するアンチモン量の割合であれば、両者の相乗効果により高い難燃性能が得られ易い。
本発明のポリプロピレン繊維は、引張伸度が14〜30%であることが好ましく、17〜28%がより好ましく、19〜26%がさらに好ましい。
引張伸度が前記範囲の下限値以上であれば、ポリプロピレン繊維を用いた最終製品加工時等の工程通過性がより良好になる。引張伸度が前記範囲の上限値以下であれば、伸度のばらつきが少なくなり、最終製品の物性のばらつきが少なくなる。
なお、引張伸度は、JIS L 1013に準拠し、試験長200mm、引張速度200mm/分の条件で測定される。
引張伸度が前記範囲の下限値以上であれば、ポリプロピレン繊維を用いた最終製品加工時等の工程通過性がより良好になる。引張伸度が前記範囲の上限値以下であれば、伸度のばらつきが少なくなり、最終製品の物性のばらつきが少なくなる。
なお、引張伸度は、JIS L 1013に準拠し、試験長200mm、引張速度200mm/分の条件で測定される。
本発明のポリプロピレン繊維は、分子量が1000以上である高分子量のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含有することが好ましい。
高分子量のHALSは、溶融紡糸工程、或いは延伸工程で繊維内部から溶出しにくく、効果を発現しやすい。
高分子量のHALSは、溶融紡糸工程、或いは延伸工程で繊維内部から溶出しにくく、効果を発現しやすい。
高分子量のHALSとしては、例えば、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物が挙げられる。高分子量のHALSは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリプロピレン繊維が高分子量HALSを含有する場合、高分子量HALSの含有量は、0.5〜5.0質量%が好ましく、0.7〜4.0質量%がより好ましく、0.9〜3.0質量%がさらに好ましい。
高分子量HALSの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、屋外使用時においても紫外線による原料の劣化を最小限に抑えることができる。高分子量HALSの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、ポリプロピレン繊維の製造コストを低くでき、また紡糸の安定性が向上する。
高分子量HALSの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、屋外使用時においても紫外線による原料の劣化を最小限に抑えることができる。高分子量HALSの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、ポリプロピレン繊維の製造コストを低くでき、また紡糸の安定性が向上する。
本発明のポリプロピレン繊維は顔料が含まれていても良い。
顔料としては、特に限定されず、市販のものが使用できる。顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリプロピレン繊維が顔料を含有する場合、顔料の含有量は、0.10〜0.50質量%が強度を維持する観点から好ましい。
顔料としては、特に限定されず、市販のものが使用できる。顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリプロピレン繊維が顔料を含有する場合、顔料の含有量は、0.10〜0.50質量%が強度を維持する観点から好ましい。
(ポリプロピレン繊維の製造方法)
本発明のポリプロピレン繊維の製造方法は、特に限定されず、例えば、後述する溶融紡糸方法により製造することができる。
MFRが5.0〜30.0g/10分のポリプロピレン樹脂に、無機粒子を0.1〜0.6質量%、難燃剤を0.50〜1.50質量%、難燃助剤を0.10〜1.00質量%、顔料を0.10〜0.50質量%となるように混合して紡糸原料とし、紡糸温度210〜250℃で紡糸し、未延伸糸を得る。
得られた未延伸糸を延伸倍率6.0〜9.0倍、延伸温度90〜150℃で延伸してポリプリピレン繊維を得る。
本発明のポリプロピレン繊維の製造方法は、特に限定されず、例えば、後述する溶融紡糸方法により製造することができる。
MFRが5.0〜30.0g/10分のポリプロピレン樹脂に、無機粒子を0.1〜0.6質量%、難燃剤を0.50〜1.50質量%、難燃助剤を0.10〜1.00質量%、顔料を0.10〜0.50質量%となるように混合して紡糸原料とし、紡糸温度210〜250℃で紡糸し、未延伸糸を得る。
得られた未延伸糸を延伸倍率6.0〜9.0倍、延伸温度90〜150℃で延伸してポリプリピレン繊維を得る。
ポリプロピレン樹脂のMFRは、5.0〜30.0g/10分がより好ましく、6.0〜20.0g/10分がさらに好ましく、7.0〜12.0g/10分が特に好ましい。
ポリプロピレン樹脂のMFRが前記範囲の下限値以上であれば、高い延伸安定性が得らやれすい。ポリプロピレン樹脂のMFRが前記範囲の上限値以下であれば、高強度なポリプロピレン繊維が得られやすい。
なお、MFRは、JIS K−7210(2014)に準拠し、試験温度230℃、試験荷重2.16kgとして測定される。
ポリプロピレン樹脂のMFRが前記範囲の下限値以上であれば、高い延伸安定性が得らやれすい。ポリプロピレン樹脂のMFRが前記範囲の上限値以下であれば、高強度なポリプロピレン繊維が得られやすい。
なお、MFRは、JIS K−7210(2014)に準拠し、試験温度230℃、試験荷重2.16kgとして測定される。
紡糸原料中の顔料の含有量が0.10質量%以上であれば、ポリプロピレン繊維に充分に色を付けることができる。紡糸原料中の顔料の含有量が0.50質量%以下であれば、ポリプロピレン繊維の強度を高く保ちやすい。
紡糸は、紡糸原料を押出機に投入して混練した後、ギアポンプにて定量的にノズルから吐出させることで行える。紡糸温度はポリプロピレン原料のMFRに合わせて設定すればよい。
紡糸温度、すなわち紡糸ノズルの吐出孔から吐出する溶融状態の紡糸原料の温度は、210〜250℃が好ましく、220〜240℃がより好ましい。紡糸温度が前記範囲の下限値以上であれば、紡糸原料に紡糸が可能な流動性を付与しやすい。紡糸温度が前記範囲の上限値以下であれば、紡糸の際に起こる、難燃剤の分解を抑制しやすい。
紡糸温度、すなわち紡糸ノズルの吐出孔から吐出する溶融状態の紡糸原料の温度は、210〜250℃が好ましく、220〜240℃がより好ましい。紡糸温度が前記範囲の下限値以上であれば、紡糸原料に紡糸が可能な流動性を付与しやすい。紡糸温度が前記範囲の上限値以下であれば、紡糸の際に起こる、難燃剤の分解を抑制しやすい。
紡糸ノズルの吐出孔(以下、「ホール」という場合がある。)から吐出する紡糸原料の吐出量は、1ホール当たり、0.8〜3.2g/分が好ましく、1.3〜2.7g/分がより好ましく、1.6〜2.4g/分がさらに好ましい。吐出量が前記範囲の下限値以上であれば、クエンチ筒での冷風による糸揺れが顕著にならず、フィラメント間での融着やガイドへの接触が起こり難く、安定的に未延伸糸を得ることができる。吐出量が前記範囲の上限値以下であれば紡糸原料を充分に冷却しやすく、巻取の際にフィラメント間での融着が起こり難く、安定的に未延伸糸が得られる。
延伸は、熱板延伸、熱ロール延伸、熱風炉延伸等の公知の方法で行える。変形速度を下げるという観点からは、熱板又は熱ロールで延伸することが好ましい。ここで、変形速度とは、引取ロールの速度から供給ロールの速度を引いた値を、熱板又は熱ロールの長さで除して算出される値である。熱ロールを用いた際の変形速度は、実際に求めることは難しいが、熱ロールから離れた瞬間に延伸されるため、熱板や熱風炉延伸と比較すると変形速度が速くなる。
未延伸糸の延伸は、1段で行ってもよいし、2段以上に分割して行ってもよい。
未延伸糸の延伸は、一度巻き取った未延伸糸をオフラインで行ってもよいし、紡糸工程から一旦巻き取ることなしにそのまま引き続いて行ってもよい。
未延伸糸の延伸は、一度巻き取った未延伸糸をオフラインで行ってもよいし、紡糸工程から一旦巻き取ることなしにそのまま引き続いて行ってもよい。
未延伸糸の延伸における延伸倍率は、6.0〜9.0倍が好ましく、6.6〜8.5倍がより好ましい。延伸倍率が前記範囲の下限値以上であれば、安全ネット製品として仮設工業会に認定される充分なネット強度を与える繊維物性が得られやすい。延伸倍率が前記範囲の上限値以下であれば、紡糸時における単繊維切れを抑制しやすく、また延伸時の毛羽や束切れの発生を少なくできる。
延伸倍率とは、最終延伸ローラーの表面速度を、紡糸直後のフィードローラーの表面速度で除した値である。
延伸倍率とは、最終延伸ローラーの表面速度を、紡糸直後のフィードローラーの表面速度で除した値である。
延伸温度、すなわち延伸時の未延伸糸の温度は、110〜170℃が好ましく、125〜165℃がより好ましく、130〜160℃がさらに好ましい。延伸温度が前記範囲の下限値以上であれば、ポリプロピレンの結晶分散温度以上となるため、優れた延伸性が得られやすい。延伸温度が前記範囲の上限値以下であれば、ポリプロピレンの融点以下であるため、未延伸糸が溶融破断せず、延伸が安定する。
延伸の前に未延伸糸を予備加熱してもよい。延伸前の予備加熱には、加熱ロールや、熱板、熱風炉等を使用することができる。
予備加熱する場合の未延伸糸の温度は、50〜120℃が好ましく、60〜110℃がより好ましい。
予備加熱する場合の未延伸糸の温度は、50〜120℃が好ましく、60〜110℃がより好ましい。
延伸速度は、300〜1700m/分が好ましく、500〜1500m/分がより好ましく、700〜1300m/分がさらに好ましい。延伸速度が前記範囲の下限値以上であれば、生産性が良好となる。延伸速度が前記範囲の上限値以下であれば、変形速度が速くなり過ぎず、糸切れを少なくできる。
なお、延伸速度とは、延伸する際の引取ロールの速度のことである。
なお、延伸速度とは、延伸する際の引取ロールの速度のことである。
以上説明したように、本発明のポリプロピレン繊維は、引張強度が6.00cN/dtex以上であり、かつ難燃性コイル法で測定される接炎回数が3回以上である。本発明のポリプロピレン繊維は、難燃性に優れ、また難燃剤及び顔料を含有していたとしても高強度であり、優れた難燃性と高い強度を両立できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
(メルトフローレート値の測定方法)
メルトフローレート値(MFR)は、JIS K−7210(2014)に準拠して測定した。試験温度は230℃とし、試験荷重は2.16kgとした。
(メルトフローレート値の測定方法)
メルトフローレート値(MFR)は、JIS K−7210(2014)に準拠して測定した。試験温度は230℃とし、試験荷重は2.16kgとした。
(延伸張力の測定方法)
ローラー間を通過する糸条を張力測定器デジタルテンションメータ V溝ローラー
SHIMPO社製にて測定した。
ローラー間を通過する糸条を張力測定器デジタルテンションメータ V溝ローラー
SHIMPO社製にて測定した。
(繊度の測定方法)
ポリプロピレン繊維を長さ100mサンプリングして、その質量を測定し、100倍した値を総繊度とした。単繊維繊度は、総繊度をポリプロピレン繊維のフィラメント数で除して算出した。
ポリプロピレン繊維を長さ100mサンプリングして、その質量を測定し、100倍した値を総繊度とした。単繊維繊度は、総繊度をポリプロピレン繊維のフィラメント数で除して算出した。
[引張強度]
ポリプロピレン繊維の引張強度は、JIS L 1013に準拠し、試験長200mm、引張速度200mm/分の条件で測定した。
ポリプロピレン繊維の引張強度は、JIS L 1013に準拠し、試験長200mm、引張速度200mm/分の条件で測定した。
(引張伸度)
ポリプロピレン繊維の引張伸度は、JIS L 1013に準拠し、試験長200mm、引張速度200mm/分の条件で測定した。
ポリプロピレン繊維の引張伸度は、JIS L 1013に準拠し、試験長200mm、引張速度200mm/分の条件で測定した。
(毛羽数の測定方法)
一度巻き取った製品から再度糸を200m/分で引出し、春日電気(株)製、毛羽発見器F9−AN型を用いて、感度レベルを2.5目盛に設定し、100kgあたりの毛羽の数を算出した。
一度巻き取った製品から再度糸を200m/分で引出し、春日電気(株)製、毛羽発見器F9−AN型を用いて、感度レベルを2.5目盛に設定し、100kgあたりの毛羽の数を算出した。
(難燃性能の評価方法)
難燃性能は、JIS L−1091(1991) D法(接炎試験、通称45度コイル法)に準拠して測定した。接炎試験は5本のポリプロピレン繊維について行った。接炎回数が3回以上を合格とした。
難燃性能は、JIS L−1091(1991) D法(接炎試験、通称45度コイル法)に準拠して測定した。接炎試験は5本のポリプロピレン繊維について行った。接炎回数が3回以上を合格とした。
(実施例1)
芯部の樹脂としてMFRが8.5g/10分(230℃、荷重2.16kg)のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、SA01A)を準備した。また、鞘部の樹脂として、芯部と同じ樹脂と硫酸バリウム(堺化学社製、バリエースB−54、平均粒径0.7μm)の混合物を準備し、前記混合物に対する硫酸バリウムの含有量は、0.5質量%とした。
吐出孔数が60個の紡糸ノズルを用いて、芯部押出機のヒーター温度を220℃、鞘部押出機のヒーター温度を250℃、紡糸頭及びノズル部のヒーター温度を230℃とし、芯鞘比率が1:1で紡出した。その後、総延伸倍率が6.9倍で延伸し、総繊度が1148dtexの芯鞘構造を有するポリプロピレン繊維を得た。ポリプロピレン繊維全体に対する、硫酸バリウムの含有量は、0.25質量%、高分子HALSの含有量が1.0質量%であった。
得られたポリプロピレン繊維の引張強度は6.63cN/dtexと高強度のものが得られ、毛羽がない良好なポリプロピレン繊維が得られた。
芯部の樹脂としてMFRが8.5g/10分(230℃、荷重2.16kg)のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、SA01A)を準備した。また、鞘部の樹脂として、芯部と同じ樹脂と硫酸バリウム(堺化学社製、バリエースB−54、平均粒径0.7μm)の混合物を準備し、前記混合物に対する硫酸バリウムの含有量は、0.5質量%とした。
吐出孔数が60個の紡糸ノズルを用いて、芯部押出機のヒーター温度を220℃、鞘部押出機のヒーター温度を250℃、紡糸頭及びノズル部のヒーター温度を230℃とし、芯鞘比率が1:1で紡出した。その後、総延伸倍率が6.9倍で延伸し、総繊度が1148dtexの芯鞘構造を有するポリプロピレン繊維を得た。ポリプロピレン繊維全体に対する、硫酸バリウムの含有量は、0.25質量%、高分子HALSの含有量が1.0質量%であった。
得られたポリプロピレン繊維の引張強度は6.63cN/dtexと高強度のものが得られ、毛羽がない良好なポリプロピレン繊維が得られた。
(実施例2)
芯部に難燃剤としてトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(TTBPP)(大八化学工業社製、CR900)、難燃助剤として三酸化アンチモン(ATO)(丸菱油化工業社製、品番:三酸化アンチモンST)、及び顔料を加え、それぞれの糸全体に対する含有量を、難燃剤は0.75質量%、難燃助剤は0.23質量%、顔料は0.123質量%と変更した以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。
芯部に難燃剤としてトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(TTBPP)(大八化学工業社製、CR900)、難燃助剤として三酸化アンチモン(ATO)(丸菱油化工業社製、品番:三酸化アンチモンST)、及び顔料を加え、それぞれの糸全体に対する含有量を、難燃剤は0.75質量%、難燃助剤は0.23質量%、顔料は0.123質量%と変更した以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。
(実施例3)
鞘部の硫酸バリウムの含有量を、糸全体に対して0.13質量%とし、芯部に難燃剤としてトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(TTBPP)(大八化学工業社製、CR900)、難燃助剤として三酸化アンチモン(ATO)(丸菱油化工業社製、品番:三酸化アンチモンST)、及び顔料を加え、それぞれの糸全体に対する含有量を、難燃剤は0.75質量%、難燃助剤は0.23質量%、顔料は0.123質量%と変更した以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。
鞘部の硫酸バリウムの含有量を、糸全体に対して0.13質量%とし、芯部に難燃剤としてトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(TTBPP)(大八化学工業社製、CR900)、難燃助剤として三酸化アンチモン(ATO)(丸菱油化工業社製、品番:三酸化アンチモンST)、及び顔料を加え、それぞれの糸全体に対する含有量を、難燃剤は0.75質量%、難燃助剤は0.23質量%、顔料は0.123質量%と変更した以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。
(比較例1)
実施例1に対して、硫酸バリウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。硫酸バリウムが入っていないため、毛羽が多いものとなった。
実施例1に対して、硫酸バリウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。硫酸バリウムが入っていないため、毛羽が多いものとなった。
(比較例2)
比較例1に対して、顔料を芯部及び鞘部に均等に添加した以外は、比較例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。比較例1に対して顔料を入れることで延伸張力を下げるようにした結果、張力は下がり毛羽数も少なくなったが、硫酸バリウムに比べて、毛羽は多いものとなった。これより、毛羽を少なくする効果は、有機物より無機物の方が効果があることが分かる。
比較例1に対して、顔料を芯部及び鞘部に均等に添加した以外は、比較例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。比較例1に対して顔料を入れることで延伸張力を下げるようにした結果、張力は下がり毛羽数も少なくなったが、硫酸バリウムに比べて、毛羽は多いものとなった。これより、毛羽を少なくする効果は、有機物より無機物の方が効果があることが分かる。
(比較例3)
比較例2に対して、難燃剤を芯部に、難燃助剤を鞘部に添加した以外は、比較例2と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。比較例2に対して、難燃剤が異物となり、強度が下がり、毛羽数が多くなった。
比較例2に対して、難燃剤を芯部に、難燃助剤を鞘部に添加した以外は、比較例2と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。比較例2に対して、難燃剤が異物となり、強度が下がり、毛羽数が多くなった。
(比較例4)
実施例1に対して、硫酸バリウムを添加せずに顔料を芯部のみに添加し、延伸倍率を下げた以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。延伸張力を下げるために延伸倍率を下げた結果、毛羽は無かったが強度が低いものであった。
実施例1に対して、硫酸バリウムを添加せずに顔料を芯部のみに添加し、延伸倍率を下げた以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。延伸張力を下げるために延伸倍率を下げた結果、毛羽は無かったが強度が低いものであった。
(比較例5)
実施例1に対して、硫酸バリウムを添加せずに顔料を芯部及び鞘部に添加し、延伸倍率を下げた以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。延伸張力を下げるために延伸倍率を下げた結果、毛羽は無かったが強度が低いものであった。
実施例1に対して、硫酸バリウムを添加せずに顔料を芯部及び鞘部に添加し、延伸倍率を下げた以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン繊維を得た。条件と物性を表1に示す。延伸張力を下げるために延伸倍率を下げた結果、毛羽は無かったが強度が低いものであった。
Claims (7)
- 無機粒子の含有量が0.1〜0.6質量%であり、引張強度が6〜8cN/dtexであり、毛羽の数が5個/100kg以下であるポリプロピレン繊維。
- 芯鞘構造を有するポリプロピレン繊維であって、前記無機粒子が鞘部に含有する請求項1に記載のポリプロピレン繊維
- 前記無機粒子が硫酸バリウムである請求項1または2に記載のポリプロピレン繊維。
- 芯部の硫酸バリウムの含有量が0〜0.05質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリプロピレン繊維。
- トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェート及び三酸化アンチモンを含有し、前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの含有量が0.5〜1.5質量%であり、前記三酸化アンチモンの含有量が0.1〜1.0質量%であり、JIS L−1091(1991)D法の難燃性コイル法で測定される接炎回数が3回以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリプロピレン繊維。
- 前記三酸化アンチモンに対する前記トリス(臭素化ネオペンチル)ホスフェートの質量比が2.0〜4.0である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリプロピレン繊維。
- 引張伸度が14〜30%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリプロピレン繊維。
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JP2000504791A (ja) * | 1996-02-12 | 2000-04-18 | ファイバービジョンズ アクティーゼルスカブ | 粒子含有繊維 |
JP2008031606A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | ポリプロピレン系難燃繊維 |
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2019
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