JP2020152063A - 樹脂注入成形品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コア材が厚肉部を有する樹脂注入成形品において、コア材の厚肉部で突出した部分がマトリックス樹脂の圧力により潰れるのを抑制する。【解決手段】マトリックス樹脂(29)が繊維シート状物(27)に含浸されてなる繊維強化樹脂層(5)が樹脂発泡体からなる板状のコア材(3)の外側に設けられ、コア材(3)が、相対的に薄肉な薄肉部(7)と相対的に厚肉な厚肉部(9)とを有する樹脂注入成形品において、厚肉部(9)の突出した部分(11)には、繊維強化樹脂層(5)によって覆われた樹脂層(17)が、前記コア材(3)の面内方向における一方側の側面から当該厚肉部(9)の突出側の端面(22)にかけて設けられている。【選択図】図3

Description

本発明は、繊維シート状物にマトリックス樹脂を含浸させてなる繊維強化樹脂層が樹脂発泡体からなるコア材に設けられた樹脂注入成形品、およびRTM(Resin Transfer Molding)法を用いた当該樹脂注入成形品の製造方法に関する。
RTM法を用いた樹脂注入成形品の製造方法では、繊維シート状物をコア材と共に成形型にセットし、成形型を型閉めして、繊維シート状物およびコア材が配置されたキャビティ(成形空間)を減圧し、減圧されたキャビティに液状のマトリックス樹脂を加圧注入することにより、マトリックス樹脂を繊維シート状物に含浸させた後に、繊維シート状物に含浸したマトリックス樹脂を硬化させて繊維強化樹脂層を形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
RTM法を用いて製造される樹脂注入成形品のコア材には、軽量化を図るために樹脂発泡体が用いられ、その剛性を高めるべく相対的に厚肉な厚肉部が設けられていることがある。そうした樹脂注入成形品では、コア材の厚肉部がその他の相対的に薄肉な薄肉部に対して厚さ方向における一方側、例えば樹脂注入成形品の裏側に突出しており、マトリックス樹脂を繊維シート状物に含浸させてなる繊維強化樹脂層が厚肉部の突出した部分を覆うように設けられている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−169786号公報 特開平05−096567号公報
コア材が厚肉部を有する樹脂注入成形品の製造においては、成形型のキャビティに注入されたマトリックス樹脂が、コア材における厚肉部の突出した部分に対応する箇所を流れる際に淀んでスムーズに流れにくい。このため、マトリックス樹脂がキャビティにおけるコア材の突出した部分と対応する箇所に溜まり気味になって、コア材の厚肉部で突出した部分にかかるマトリックス樹脂の圧力が高くなり、当該コア材の突出した部分がマトリックス樹脂の圧力により潰れやすい。
そうなると、キャビティにおけるコア材が潰れた箇所では、マトリックス樹脂の充填が過多になることに起因して、マトリックス樹脂の温度が高くなるため、コア材の厚肉部で突出した部分では、マトリックス樹脂が劣化したり茶色などに変色したりする。また、キャビティにおいて、コア材が潰れた箇所にはマトリックス樹脂が過多充填される分、その他の箇所では、マトリックス樹脂の充填量が不足して、繊維シート状物に未含浸部が発生してしまう。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コア材が厚肉部を有する樹脂注入成形品において、コア材の厚肉部で突出した部分がマトリックス樹脂の圧力により潰れるのを抑制することにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、成形型のキャビティに注入されたマトリックス樹脂の圧力により厚肉部の突出した部分を保護するように樹脂注入成形品の構成を工夫した。
具体的には、本発明は、樹脂発泡体からなる板状のコア材と、コア材の厚さ方向における少なくとも一方側の面に設けられた、マトリックス樹脂が繊維シート状物に含浸されてなる繊維強化樹脂層とを備えた樹脂注入成形品を対象とする。
本発明に係る樹脂注入成形品では、コア材が、相対的に薄肉な薄肉部と、薄肉部に対して当該コア材の厚さ方向に突出した相対的に厚肉な厚肉部とを有する。そして、コア材における厚肉部の突出した部分には、繊維強化樹脂層によって覆われた樹脂層が、コア材の面内方向における一方側の側面から当該厚肉部の突出側の端面にかけて設けられている。ここでいう「面内方向」とは、コア材の厚さ方向と直交する任意の方向を意味する。
この構成によると、熱硬化性樹脂からなる樹脂層を、コア材における厚肉部の突出した部分に対し、コア材の面内方向における一方側の側面から厚肉部の突出側の端面にかけて設け、繊維強化樹脂層によって覆うようにしたので、RTM法を用いて樹脂注入成形品を好適に製造することができる。すなわち、RTM法を用いる樹脂注入成形品の製造においては、成形型のキャビティに注入された液状のマトリックス樹脂が、コア材における厚肉部の突出した部分に対応する箇所を流れる際に淀んでも、コア材における厚肉部の突出した部分に設けられた樹脂層がマトリックス樹脂の圧力に耐え得て、当該厚肉部の突出した部分がマトリックス樹脂の圧力により潰れるのを抑制することができる。
上記樹脂注入成形品において、樹脂層には、熱硬化性樹脂の粘性を高めるための添加剤が含まれていてもよい。
コア材における厚肉部の突出した部分に樹脂層を設ける方法としては、当該厚肉部の突出した部分に熱硬化性樹脂を直接塗布したり、コア材を成形する成形型において、厚肉部の突出した部分を成形する成形面部分に熱硬化性樹脂を塗布した状態で、コア材を成形して、コア材に樹脂層を転写したりすることが考えられる。そうした方法で樹脂層を設ける際、熱硬化性樹脂の粘度が未硬化の状態で低いと、熱硬化性樹脂がコア材に浸透しやすい。熱硬化性樹脂がコア材に浸透した場合、樹脂層を設けるのに必要な熱硬化性樹脂の量が多くなるため、樹脂注入成形品の重量が増してしまう。
これに対し、上記構成によると、樹脂層に熱硬化性樹脂の粘性を高めるための添加剤を含むようにしたので、コア材における厚肉部の突出した部分に樹脂層を設ける際に、熱硬化性樹脂がコア材に浸透しにくくして、樹脂層を設けるのに必要な熱硬化性樹脂の量を比較的少なくすることができる。それにより、樹脂注入成形品の重量が増すのを抑制することができる。
上記樹脂注入成形品において、コア材における厚肉部の突出した部分は、コア材の面内方向における少なくとも一方向に延びる凸部を構成していてもよい。
この構成によると、コア材における厚肉部の突出した部分が少なくとも一方向に延びる凸部を構成するようにしたので、厚肉部の突出した部分が補強リブとして機能し、樹脂注入成形品の剛性を高めることができる。
上記樹脂注入成形品において、コア材における厚肉部の突出した部分は、コア材の周縁に沿って延びる環状に設けられていてもよい。
この構成によると、コア材における厚肉部の突出した部分をコア材の周縁に沿って延びる環状に設けるようにしたので、コア材の曲げ方向に関わらず厚肉部による補強作用が得られる。したがって、そのように厚肉部の突出した部分を環状に設けることは、樹脂注入成形品の剛性を高めるのに有利である。
上記樹脂注入成形品において、コア材における厚肉部の突出した部分は、当該コア材の裏側に設けられていてもよい。この場合、コア材における厚肉部の突出した部分は、当該コア材の表側に設けられていなくてもよい。
この構成によると、コア材の裏側のみに厚肉部の突出した部分を設けるようにしたので、コア材の表側で樹脂注入成形品の意匠面を平坦に構成することができる。そうした樹脂注入成形品は、自動車用途などの外装パネル(ボディパネルの外面部)に好適である。
また、本発明は、樹脂注入成形品の製造方法を対象とする。本発明に係る樹脂注入成形品の製造方法は、樹脂発泡体からなる板状のコア材と繊維シート状物とを準備する準備ステップと、コア材および繊維シート状物を、繊維シート状物がコア材の厚さ方向における少なくとも一方側の面に配置された状態に成形型にセットした後、その成形型を型閉めすることにより、当該成形型内にコア材および繊維シート状物が配置されたキャビティを形成するセットステップとを含む。
本発明に係る樹脂注入成形品の製造方法はさらに、キャビティにマトリックス樹脂を注入することにより、マトリックス樹脂を繊維シート状物に含浸させる含浸ステップと、繊維シート状物に含浸したマトリックス樹脂を硬化させることにより、繊維シート状物がマトリックス樹脂で固められた繊維強化樹脂層を成形する硬化ステップと、繊維強化樹脂層がコア材に成形されてなる樹脂注入成形品を、成形型を型開きして成形型から取り出す脱型ステップとを含む。
そして、本発明に係る樹脂注入成形品の製造方法において、準備ステップでは、コア材として、相対的に薄肉な薄肉部と、薄肉部に対して当該コア材の厚さ方向に突出した相対的に厚肉な厚肉部とを有し、厚肉部の突出した部分に、熱硬化性樹脂からなる樹脂層が、コア材の面内方向における一方側の側面から当該厚肉部の突出側の端面にかけて設けられたコア材を準備する。
この構成によると、厚肉部の突出した部分に、熱硬化性樹脂からなる樹脂層が、コア材の面内方向における一方側の側面から当該厚肉部の突出側の端面にかけて設けられたコア材を用いるようにしたので、含浸ステップにおいて、成形型のキャビティに注入された液状のマトリックス樹脂が、コア材における厚肉部の突出した部分に対応する箇所を流れる際に淀んでも、コア材における厚肉部の突出した部分に設けられた樹脂層がマトリックス樹脂の圧力に耐え得て、当該厚肉部の突出した部分がマトリックス樹脂の圧力により潰れるのを抑制することができる。
上記樹脂注入成形品の製造方法において、準備ステップで準備するコア材に設けられた樹脂層には、熱硬化性樹脂の粘性を高めるための添加剤が含まれていてもよい。
この構成によると、コア材に設けられた樹脂層を、粘性を高めるための添加剤を含む熱硬化性樹脂で形成するようにしたので、コア材における厚肉部の突出した部分に樹脂層を設ける際に、熱硬化性樹脂がコア材に浸透しにくくして、樹脂層を設けるのに必要な熱硬化性樹脂の量を比較的少なくすることができる。それにより、樹脂注入成形品の重量が増すのを抑制することができる。
上記樹脂注入成形品の製造方法において、準備ステップでは、コア材として、厚肉部の突出した部分が少なくとも一方向に延びる凸部を構成しているコア材を準備してもよい。
この構成によると、コア材として、厚肉部の突出した部分が少なくとも一方向に延びる凸部を構成しているコア材を用いるようにしたので、厚肉部の突出した部分が補強リブとして機能し、樹脂注入成形品の剛性を高めることができる。
上記樹脂注入成形品の製造方法において、準備ステップでは、コア材として、厚肉部の突出した部分がコア材の周縁に沿って延びる環状に設けられているコア材を準備してもよい。
この構成によると、コア材として、厚肉部の突出した部分がコア材の周縁に沿って延びる環状に設けられているコア材を用いるようにしたので、コア材の曲げ方向に関わらず厚肉部による補強作用が得られる。したがって、そのように厚肉部の突出した部分が環状に設けられたコア材を用いることは、樹脂注入成形品の剛性を高めるのに有利である。
上記樹脂注入成形品の製造方法において、準備ステップでは、コア材として、厚肉部の突出した部分がコア材の裏側に設けられているコア材を準備してもよい。この場合、コア材としては、厚肉部の突出した部分がコア材の表側に設けられていないコア材を準備してもよい。
この構成によると、コア材として、厚肉部の突出した部分がコア材の裏側のみに設けられているコア材を用いるようにしたので、コア材の表側で樹脂注入成形品の意匠面を平坦に構成することができる。そうした樹脂注入成形品は、自動車用途などの外装パネル(ボディパネルの外面部)に好適である。
本発明に係る樹脂注入成形品およびその製造方法によれば、コア材が厚肉部を有する樹脂注入成形品において、コア材の厚肉部で突出した部分がマトリックス樹脂の圧力により潰れるのを抑制することができる。その結果、当該樹脂注入成形品において、繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂が劣化および変色するのを抑制し、且つマトリックス樹脂の未含浸部が繊維シート状物に発生するのを抑制することができる。
図1は、実施形態に係る樹脂注入成形品の概略的な斜視図である。 図2は、実施形態に係る樹脂注入成形品を構成するコア材の概略的な平面図である。 図3は、図1のIII−III線における樹脂注入成形品の断面図である。 図4は、実施形態に係る樹脂注入成形品の製造方法に用いる成形装置と樹脂注入成形品の構成部材を示す図である。 図5は、実施形態に係る樹脂注入成形品の製造方法におけるセットステップの様子を示す図である。 図6は、実施形態に係る樹脂注入成形品の製造方法における含浸ステップの様子を示す図である。 図7は、図6のVIIで囲んだ、成形型における樹脂注入成形品の厚肉部およびその周辺の成形箇所を示す図である。 図8は、実施形態に係る樹脂注入成形品の製造方法における脱型ステップの様子を示す図である。 図9は、変形例に係る樹脂注入成形品の概略的な平面図である。 図10は、図9のX−X線における樹脂注入成形品の断面図である。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この実施形態に係る樹脂注入成形品1の概略的な斜視図である。図2は、この実施形態に係る樹脂注入成形品1を構成するコア材3の概略的な平面図である。図3は、図1のIII−III線における樹脂注入成形品1の断面図である。図1に示す樹脂注入成形品1は、例えば、自動車の車体ルーフの外面部を構成するルーフパネルに用いられる。
− 樹脂注入成形品の構成 −
この樹脂注入成形品1は、図1および図3に示すように、樹脂発泡体からなる板状のコア材3と、コア材3の外側に設けられた繊維強化樹脂層5とを備えている。
コア材3は、図1および図2に示すように、平面視で矩形状に形成されている。このコア材3は、相対的に薄肉な薄肉部7と、相対的に厚肉な厚肉部9とを有している。薄肉部7の厚さt1は、例えば3mm以上且つ10mm以下である。厚肉部9の厚さt2は、例えば10mm以上且つ40mm以下である。この厚肉部9は、コア材3の周縁部に設けられており、薄肉部7に対してコア材3の厚さ方向における一方側、具体的にはコア材3の裏側に突出している。
厚肉部9の突出した部分は、コア材3の周縁に沿って延びる矩形環状に設けられ、薄肉部7を囲う厚肉凸部11を構成している。この厚肉凸部11は、コア材3の面内方向において縦横二方向に延びており、補強リブとして機能し、樹脂注入成形品1の剛性を高める役割を担う。厚肉凸部11の外周側に臨む外周側面13は、コア材3の厚さ方向と略平行に形成されている。他方、厚肉凸部11の内周側に臨む内周側面15は、コア材3の厚さ方向に対してコア材3の内方(中心側)に向かうほど厚肉凸部11の厚さが暫減するように傾斜している。
厚肉凸部11において、コア材3の面内方向における一方側の側面、具体的には外周側面13から突出側の端面22(つまり厚肉凸部11の裏面)にかけての部分(図1および図2で斜線を付した部分)には、コア材3よりも硬質な樹脂層17が設けられている。この樹脂層17は、厚肉凸部11の全周に亘って外周側面13と突出側の端面22とを覆っている。当該樹脂層17は、繊維強化樹脂層5を成形するときのマトリックス樹脂29の圧力により厚肉凸部11を潰れないように保護する役割を担う。樹脂層17の厚さt3は、例えば、0.01mm以上且つ0.5mm以下である。
樹脂層17は熱硬化性樹脂からなる。樹脂層17に用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン、ビニルエステル樹脂、シアン酸エスエル樹脂が挙げられる。この樹脂層17には、熱硬化性樹脂の粘性を高めるための添加剤が含まれている。樹脂層17に用いられる添加剤としては、例えば、フォームドシリカやシラスバルーンなどの微粒子材、炭素繊維などの短繊維材(繊維長が3mm以下)が挙げられる。樹脂層17には、添加剤が一種単独で一種単独で用いられていてもよいし、二種以上の添加剤が併用されていてもよい。
コア材3は、図3および図4に示すように、ベースとなる概ね矩形板状の第1のコア材構成物23と、第1のコア材構成物23の外周縁部の裏面に設けられた矩形環状の第2のコア材構成物25とによって構成されている。第1のコア材構成物23は、コア材3における薄肉部7全体と厚肉部9の表側の部分とを構成している。第2のコア材構成物25は、コア材3における厚肉部9の裏側の部分、つまり厚肉凸部11を構成している。
第1のコア材構成物23および第2のコア材構成物25はそれぞれ、多数の発泡粒子と、それら多数の発泡粒子を内包するように覆うシェルとによって構成されており、多数の発泡粒子がシェルで結着一体化された樹脂発泡体である。発泡粒子は、球体や楕円体、円柱などの形状を有し、熱可塑性樹脂からなる。発泡粒子に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂が挙げられる。
シェルは、強化繊維および無機粒子を含有した熱可塑性樹脂からなる。強化繊維としては、例えば、炭素繊維やガラス繊維、セルロースなどの有機繊維のうちから選ばれる1種以上の短繊維が採用され得る。無機粒子は、例えばタルクや炭酸カルシウムからなる。シェルに用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、ビニルエステル系樹脂やフェノール系樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂が用いられる。
繊維強化樹脂層5は、繊維シート状物27と、繊維シート状物27を内包したマトリックス樹脂29とによって構成され、マトリックス樹脂29が繊維シート状物27に含浸されてなる。繊維シート状物27をなす強化繊維同士は、マトリックス樹脂29により結着一体化されている。この繊維強化樹脂層5は、コア材3の全体を覆っており、繊維シート状物27として、コア材3の表面を覆う第1の繊維シート状物31と、コア材3の裏面および両側面を覆う第2の繊維シート状物33とを含んでいる。
それら第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33はいずれも、強化繊維の集合体であって、織物や不織布などの態様を採り得る。例えば、第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33には、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたUD(Uni-Direction)材が複数積層された構成を採用してもよいし、多方向に積層した繊維束を補助糸によりステッチ加工されたNCF(Non-Crimp Fabric)を単層で用いた或いは複数積層した構成を採用してもよい。
強化繊維としては、例えば、炭素繊維やガラス繊維、セラミックス繊維などの無機繊維、ステンレス繊維やスチール繊維などの金属繊維、アラミド繊維やポリエチレン繊維などの有機繊維が挙げられる。なかでも、炭素繊維は、軽量であるにも関わらず優れた機械的性質を有している。第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33には、強化繊維が一種単独で用いられていてもよいし、二種以上の強化繊維が併用されていてもよい。
マトリックス樹脂29は、第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33の全体に満遍なく含浸された状態で硬化されている。このマトリックス樹脂29は、第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33を固めると共に、それら両方の繊維シート状物31,33の外面を覆って、樹脂注入成形品1の表層を形成している。すなわち、樹脂注入成形品1の外殻はマトリックス樹脂29からなる。当該マトリックス樹脂29としては熱硬化性樹脂が用いられる。
マトリックス樹脂29に用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン、ビニルエステル樹脂、シアン酸エスエル樹脂が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂およびビニルエステル樹脂は、耐熱性、衝撃吸収性、耐薬品性に優れた特性を有している。熱硬化性樹脂には、硬化剤や硬化促進剤、難燃材などの添加剤が含有されていてもよい。また、マトリックス樹脂29には、熱硬化性樹脂が一種単独で用いられてもよいし、二種以上の熱硬化性樹脂が併用されていてもよい。
− 樹脂注入成形品の製造方法 −
上記構成の樹脂注入成形品1はRTM法を用いて製造される。図4は、樹脂注入成形品1の製造に用いられる成形装置101と、樹脂注入成形品1の構成部材(コア材3、第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33)とを示す図である。樹脂注入成形品1の製造は、図5に示す成形装置101を用いて行われる。
成形装置101は、コア材3に繊維強化樹脂層5を成形するための成形型103と、成形型103内のキャビティ119を減圧する真空吸引装置105と、成形型103内のキャビティ119にマトリックス樹脂29を注入する樹脂注入装置107と、成形型103の温度を制御する加熱装置(不図示)とを備えている。
成形型103は、互いに対向して配置されたキャビ型111とコア型113とによって構成されている。キャビ型111は、固定型であって、第1の繊維シート状物31がコア材3と共に載置される第1の成形面115を有している。第1の成形面115は、樹脂注入成形品1の表面を成形するための面であって、図4では平坦形状に示すが、樹脂注入成形品1がなすルーフパネルに応じた形状とされている。コア型113は、可動型であって、樹脂注入成形品1の裏面および両側面を成形するための凹状の第2の成形面117を有している。この第2の成形面117も、樹脂注入成形品1がなすルーフパネルに応じた形状とされている。
これらキャビ型111およびコア型113は、互いに型閉めされることで第1の成形面115と第2の成形面117との間にキャビティ(成形空間)119を形成する。コア型113には、真空吸引ポート121と樹脂注入ポート123とが設けられている。
真空吸引ポート121の開口は、キャビティ119の中央部に位置付けられている。他方、樹脂注入ポート123の開口は、キャビティ119の外周側に位置付けられている。樹脂注入ポート123の下流側部分は、キャビティ119にマトリックス樹脂29を注入するためのゲート125を構成している。この実施形態において、ゲート125は、コア型113に1つだけ設けられて、キャビティ119の片側で開口している。
真空吸引装置105は、コア型113の真空吸引ポート121に真空吸引経路127を介して接続されている。そして、真空吸引装置105は、真空吸引経路127を通じて真空吸引ポート121からキャビティ119を減圧するようになっている。真空吸引経路127の途中には、開閉弁129が設けられている。
樹脂注入装置107は、コア型113の樹脂注入ポート123に樹脂注入経路131を介して接続されている。そして、樹脂注入装置107は、樹脂注入経路131を通じて樹脂注入ポート123下流のゲート125から液状のマトリックス樹脂29をキャビティ119に加圧注入するようになっている。樹脂注入経路131の途中には、開閉弁133が設けられている。
そのような成形装置101を用いる樹脂注入成形品1の製造方法は、準備ステップと、セットステップと、含侵ステップと、脱型ステップとを含む。この樹脂注入成形品1の製造方法について、図5〜図8を参照しながら以下に説明する。図5は、樹脂注入成形品1の製造方法におけるセットステップの様子を示す図である。図6は、樹脂注入成形品1の製造方法における含浸ステップの様子を示す図である。図7は、図6のVIIで囲んだ、成形型103における樹脂注入成形品1の厚肉部9およびその周辺の成形箇所を示す図である。図8は、樹脂注入成形品1の製造方法における脱型ステップの様子を示す図である。
準備ステップでは、それぞれ予め作製された、上述の樹脂発泡体からなる板状のコア材3と、第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33とを準備する。このとき、コア材3としては、上述したように、相対的に薄肉な薄肉部7と、薄肉部7に対して当該コア材3の裏側に突出した相対的に厚肉な厚肉部9とを有し、熱硬化性樹脂からなる樹脂層17が厚肉凸部11の外周側面13から当該厚肉部9の突出側の端面22にかけての部分に設けられたコア材3を準備する。
コア材3は、第1のコア材構成物23および第2のコア材構成物25を別々に成形した後に、それら両方のコア材構成物23,25を互いに貼り合わせて作製されていてもよい。また、コア材3は、第1のコア材構成物23および第2のコア材構成物25のうち一方のコア材構成物を先に成形し、先に成形した一方のコア材構成物を他方のコア材構成物を成形するための成形型にセットして、一方のコア材構成物に他方のコア材構成物を直接成形して作製されていてもよい。
この準備ステップで準備するコア材3に設けられた樹脂層17には、熱硬化性樹脂の粘性を高めるための添加剤が含まれている。樹脂層17は、コア材3の厚肉凸部11に熱硬化性樹脂を直接塗布して設けられていてもよい。また、樹脂層17は、第2のコア材構成物25を成形する成形型において、厚肉凸部11を成形する成形面部分に熱硬化性樹脂を塗布し、その状態で第2のコア材構成物25を成形することで、第2のコア材構成物25に樹脂層17を転写して設けられていてもよい。
次に行うセットステップでは、第1の繊維シート状物31、コア材3および第2の繊維シート状物33を、この順にキャビ型111の第1の成形面115に積層し(図4参照)、第1の繊維シート状物31がコア材3の厚さ方向における一方側(キャビ型111における第1の成形面115側)に、第2の繊維シート状物33がコア材3の厚さ方向における他方側(第1の成形面115が臨む側)にそれぞれ配置された状態にセットする。
そして、図5に示すように、成形型103を型閉めすることにより、当該成形型103内にコア材3と第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33とが配置されたキャビティ119を形成する。なお、このとき、キャビ型111の成形面105と第1の繊維シート状物31との間、およびコア型113の成形面107と第2の繊維シート状物33との間にパスメディアやフローメディアと呼ばれる樹脂拡散媒体をそれぞれ配置してもよい。
次に行う含浸ステップでは、まず、真空吸引装置105の開閉弁129を開状態として真空吸引装置105を作動させることにより、真空吸引ポート121を通じてキャビティ119を真空吸引により減圧する。そうしてキャビティ119を減圧しつつ、図6に示すように、樹脂注入装置107の開閉弁133を開状態として樹脂注入装置107を作動させることにより、樹脂注入ポート123を通じてゲート125からキャビティ119に液状のマトリックス樹脂29を加圧注入して隅々にまで行き渡らせる。
ここで、マトリックス樹脂29をキャビティ119の中程に開口するゲートからキャビティ119の高さ方向(キャビティ119に配置されたコア材3の厚さ方向に相当する方向)に向けて注入すると、マトリックス樹脂29の注入圧により、第1の繊維シート状物31、コア材3および第2の繊維シート状物33の積層体がキャビ型111側に押圧されるため、第1の繊維シート状物31に含浸されるマトリックス樹脂29の量が、第2の繊維シート状物33に含浸されるマトリックス樹脂29の量に比べて少なくなり、コア材3の表側における繊維強化樹脂層5の厚さを調整しにくい。
これに対し、この実施形態に係る樹脂注入成形品1の製造方法では、マトリックス樹脂29をキャビティ119の外周側から内方に注入するので、第1の繊維シート状物31、コア材3および第2の繊維シート状物33の積層体がマトリックス樹脂29の注入圧によりキャビ型111側に押圧されず、コア材3の表側における繊維強化樹脂層5の厚さを調整することが容易である。
含浸ステップでは、所定量のマトリックス樹脂29をキャビティ119に注入し終えると、真空吸引装置105によるキャビティ119の減圧を止めて開閉弁129を閉じると共に、樹脂注入装置107によるキャビティ119へのマトリックス樹脂19の注入を止めて開閉弁133を閉じる。なお、真空吸引装置105によるキャビティ119の減圧は、キャビティ119にマトリックス樹脂29を注入し始めるタイミングやマトリックス樹脂29の注入途中で止めてもよい。
この含浸ステップにおいて、成形型103のキャビティ119に注入されたマトリックス樹脂29は、コア材3の厚肉凸部11に対応する箇所を流れる際に淀んでスムーズに流れにくいことがある。そうなると、マトリックス樹脂29がキャビティ119におけるコア材3の厚肉凸部11と対応する箇所に溜まり気味になって、コア材3の厚肉凸部11にかかるマトリックス樹脂29の圧力(図7に破線矢印で示す方向の樹脂圧)が高くなるが、当該厚肉凸部11には樹脂層17が設けられているので、その樹脂層17がマトリックス樹脂29の圧力に耐えて、厚肉凸部11が樹脂層17によりマトリックス樹脂29の圧力から保護される。
次に行う硬化ステップでは、加熱装置により成形型103の温度を液状のマトリックス樹脂29が硬化する所定の温度にまで加熱することにより、第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33に含浸したマトリックス樹脂29を硬化させる。それにより、第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33がそれぞれマトリックス樹脂29で固められた繊維強化樹脂層5をコア材3の外側に成形する。
次に行う脱型ステップでは、図8に示すように、成形型103を型開きして、繊維強化樹脂層5がコア材3に成形されてなる樹脂注入成形品1を成形型103から取り出す。しかる後、樹脂注入成形品1に付いているゲート残渣物201やその他の不要片203を切除する端末処理を施す。このようにして、樹脂注入成形品1を製造することができる。
この実施形態に係る樹脂注入成形品1によると、熱硬化性樹脂からなる樹脂層17を、コア材3の厚肉凸部11に対して外周側面13から突出側の端面22にかけて設け、繊維強化樹脂層5によって覆うようにしたので、上述の如くRTM法を用いる樹脂注入成形品1の製造方法により、樹脂注入成形品1を好適に製造することができる。
この実施形態に係る樹脂注入成形品1の製造方法によると、コア材3として、熱硬化性樹脂からなる樹脂層17が、厚肉凸部11の外周側面13から突出側の端面22にかけて設けられたコア材3を用いるようにしたので、含浸ステップにおいて、成形型103のキャビティ119に注入された液状のマトリックス樹脂29が、コア材3の厚肉凸部11に対応する箇所を流れる際に淀んでも、コア材3の厚肉凸部11に設けられた樹脂層17がマトリックス樹脂29の圧力に耐え得て、当該厚肉凸部11がマトリックス樹脂29の圧力により潰れるのを抑制することができる。その結果、繊維強化樹脂層5のマトリックス樹脂29が劣化および変色するのを抑制し、且つマトリックス樹脂29の未含浸部が第1の繊維シート状物31および第2の繊維シート状物33に発生するのを抑制することができる。
以上のように、本発明の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることを以て、直ちにそれらの必須でない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
例えば、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
図9は、変形例に係る樹脂注入成形品1の概略的な平面図である。図10は、図9のX−X線における樹脂注入成形品1の断面図である。上記実施形態では、コア材3において、厚肉凸部11(厚肉部9)は、コア材3の周縁部に矩形環状に設けられているとしたが、本発明はこれに限らない。図9および図10に示すように、コア材3の厚肉凸部11は、コア材3の周縁から内側に間隔をあけて設けられていてもよい。すなわち、コア材3における厚肉部9の外周にも薄肉部37が設けられていてもよい。
その他、コア材3の厚肉凸部11は、環状を複数に分断したような態様で設けられていてもよいし、互いに平行に並ぶ複数の壁状体をなす態様で設けられていてもよく、任意の位置に任意の形状で設けることができる。コア材3の厚肉凸部11は、コア材3の剛性を補強する点で、コア材3の面内方向における少なくとも一方向に延びていることが好ましい。
上記実施形態に係る樹脂注入成形品1では、コア材3の厚肉部9が当該コア材3の裏側だけに突出しているとしたが、本発明はこれに限らない。コア材3の厚肉部9は、当該コア材3の表側、つまり樹脂注入成形品1の意匠面側に突出していてもよく、コア材3の表裏両側に突出していても構わない。これらの場合、コア材3の厚肉部9の表側に突出した部分にも、コア材3裏側の厚肉凸部11と同様に、樹脂層17が設けられていることが好ましい。
上記実施形態に係る樹脂注入成形品1では、樹脂層17がコア材3における厚肉凸部11の全周に亘って外周側面13と突出側の端面22とを覆っているとしたが、本発明はこれに限らない。樹脂層17は、コア材3における厚肉凸部11の外周側面13および突出側の端面22のそれぞれ一部に設けられていてもよい。要は、樹脂層17がコア材3の面内方向における一方側の側面から突出側の端面22にかけて設けられていることで、樹脂注入成形品1の製造時において、マトリックス樹脂29の圧力から厚肉凸部11を保護するようになっていればよい。
上記実施形態に係る樹脂注入成形品1では、樹脂層17に用いられる添加剤として、フォームドシリカやシラスバルーンなどの微粒子材、炭素繊維などの短繊維材を例示したが、本発明はこれに限らない。これら微粒子材や短繊維材は、添加剤の一例に過ぎず、熱硬化性樹脂の粘性を高めるためのものであれば、任意の添加剤を含ませることが可能である。また、樹脂層17には、上記微粒子材や短繊維材、その他の添加剤が粘性を高める以外の目的で含まれていても構わない。
上記実施形態に係る樹脂注入成形品1では、繊維強化樹脂層5がコア材3の全体を覆っており、コア材3の表面を覆う第1の繊維シート状物31と、コア材3の裏面および両側面を覆う第2の繊維シート状物33とを含んでいるとしたが、本発明はこれに限らない。繊維強化樹脂層5は、樹脂注入成形品1の表面または裏面のみに設けられていてもよい。
繊維強化樹脂層5が樹脂注入成形品1の裏面のみに設けられる場合、コア材3の表面には、第1の繊維シート状物31がなく、マトリックス樹脂29のみからなる表層が設けられていてもよい。また、繊維強化樹脂層5が樹脂注入成形品1の表面のみに設けられる場合、コア材3の裏面には、第2の繊維シート状物33がなく、マトリックス樹脂29のみからなる表層が設けられていてもよい。
上記実施形態に係る樹脂注入成形品1では、コア材1が第1のコア材構成物23および第2のコア材構成物25からなる構成を例示したが、本発明はこれに限らない。コア材1は、第1のコア材構成物23および第2のコア材構成物25を一体化した形状に成形された一枚物の樹脂成形品であってもよい。
上記実施形態に係る樹脂注入成形品1の製造方法では、含浸ステップにて、キャビティ119の外周側から内方にマトリックス樹脂29を注入することを例示したが、本発明はこれに限らない。例えば、成形装置101において、樹脂注入ポート123下流のゲート125がコア型113の中央部位でキャビティ119の高さ方向に開口し、含浸ステップでは、当該ゲート125から第1の繊維シート状物31、コア材3および第2の繊維シート状物33の積層体の中央部分に向けてマトリックス樹脂29を注入してもよい。
上記実施形態に係る樹脂注入成形品1では、マトリックス樹脂29として熱硬化性樹脂が用いられているとしたが、本発明はこれに限らない。マトリックス樹脂29には、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、アミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、サルファイド系樹脂、アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられてもよい。マトリックス樹脂には、熱可塑性樹脂が一種単独で用いられてもよいし、二種以上の熱可塑性樹脂が併用されてもよい。また、樹脂層17は熱可塑性樹脂にて形成されてもよい。例えば、樹脂層17には、現場重合型のポリアミド樹脂や、熱可塑性エポキシ樹脂などが用いられる。
上記実施形態に係る樹脂注入成形品1では、第1のコア材構成物23および第2のコア材構成物25が多数の発泡粒子およびシェルからなるコアシェル構造の樹脂材料からなるとしたが、本発明はこれに限らない。第1のコア材構成物23および第2のコア材構成物25はいずれも、シェルを有しない発泡樹脂によって構成されていてもよい。
上記実施形態に係る樹脂注入成形品1は、自動車のルーフパネルに用いられるとしたが、本発明はこれに限らない。自動車のルーフパネルは、樹脂注入成形品1の用途の一例に過ぎず、樹脂注入成形品1は、ルーフパネル以外の自動車のボディパネル、シートやサスペンション、フロアなどの自動車部品に用いられてもよいし、自動車用途に限らず、航空機部品や自動車部品、船舶部品の他、風車ブレード、スポーツ用具、建築構造材などの他用途にも広く用いることが可能である。
以上説明したように、本発明は、繊維シート状物にマトリックス樹脂を含浸させてなる繊維強化樹脂層が樹脂発泡体からなるコア材に設けられた樹脂注入成形品、およびRTM法を用いた当該樹脂注入成形品の製造方法について有用である。
t1 … 薄肉部の厚さ
t2 … 厚肉部の厚さ
t3 … 樹脂層の厚さ
1 … 樹脂注入成形品
3 … コア材
5 … 繊維強化樹脂層
7 … 薄肉部
9 … 厚肉部
11 … 厚肉凸部
13 … 外周側面
15 … 内周側面
17 … 樹脂層
22 … 端面
23 … 第1のコア材構成物
25 … 第2のコア材構成物
27 … 繊維シート状物
29 … マトリックス樹脂
31 … 第1の繊維シート状物
33 … 第2の繊維シート状物
101 … 成形装置
103 … 成形型
105 … 真空吸引装置
107 … 樹脂注入装置
111 … キャビ型
113 … コア型
115 … 第1の成形面
117 … 第2の成形面
119 … キャビティ
121 … 真空吸引ポート
123 … 樹脂注入ポート
125 … ゲート
127 … 真空吸引経路
129 … 開閉弁
131 … 樹脂注入経路
133 … 開閉弁
201 … ゲート残渣物
203 … 不要片

Claims (6)

  1. 樹脂発泡体からなる板状のコア材(3)と、
    前記コア材(3)の厚さ方向における少なくとも一方側の面に設けられた、マトリックス樹脂(29)が繊維シート状物(27)に含浸されてなる繊維強化樹脂層(5)と、を備え、
    前記コア材(3)が、相対的に薄肉な薄肉部(7)と、該薄肉部(7)に対して当該コア材(3)の厚さ方向に突出した相対的に厚肉な厚肉部(9)とを有する樹脂注入成形品であって、
    前記厚肉部(9)の突出した部分(11)には、前記繊維強化樹脂層(5)によって覆われた樹脂層(17)が、前記コア材(3)の面内方向における一方側の側面から当該厚肉部(9)の突出側の端面(22)にかけて設けられている
    ことを特徴とする樹脂注入成形品。
  2. 請求項1に記載された樹脂注入成形品において、
    前記樹脂層(17)には、熱硬化性樹脂の粘性を高めるための添加剤が含まれている
    ことを特徴とする樹脂注入成形品。
  3. 請求項1または2に記載された樹脂注入成形品において、
    前記厚肉部(9)の突出した部分(11)は、前記コア材(3)の面内方向における少なくとも一方向に延びる凸部(11)を構成している
    ことを特徴とする樹脂注入成形品。
  4. 樹脂発泡体からなる板状のコア材(3)と繊維シート状物(27)とを準備する準備ステップと、
    前記コア材(3)および前記繊維シート状物(27)を、前記繊維シート状物(27)が前記コア材(3)の厚さ方向における少なくとも一方側の面に配置された状態に成形型(103)にセットした後、該成形型(103)を型閉めすることにより、当該成形型(103)内に前記コア材(3)および前記繊維シート状物(27)が配置されたキャビティ(119)を形成するセットステップと、
    前記キャビティ(119)にマトリックス樹脂(29)を注入することにより、該マトリックス樹脂(29)を前記繊維シート状物(27)に含浸させる含浸ステップと、
    前記繊維シート状物(27)に含浸した前記マトリックス樹脂(29)を硬化させることにより、前記繊維シート状物(27)が前記マトリックス樹脂(29)で固められた繊維強化樹脂層(5)を成形する硬化ステップと、
    前記繊維強化樹脂層(5)が前記コア材(3)に成形されてなる樹脂注入成形品(1)を、前記成形型(103)を型開きして該成形型(103)から取り出す脱型ステップと、を含み、
    前記準備ステップでは、前記コア材(3)として、相対的に薄肉な薄肉部(7)と、該薄肉部(7)に対して当該コア材(3)の厚さ方向に突出した相対的に厚肉な厚肉部(9)とを有し、前記厚肉部(9)の突出した部分(11)に、熱硬化性樹脂からなる樹脂層(17)が、前記コア材(3)の面内方向における一方側の側面(13)から当該厚肉部(9)の突出側の端面(22)にかけて設けられたコア材(3)を準備する
    ことを特徴とする樹脂注入成形品の製造方法。
  5. 請求項4に記載された樹脂注入成形品の製造方法において、
    前記準備ステップで準備する前記コア材(3)に設けられた前記樹脂層(17)には、熱硬化性樹脂の粘性を高めるための添加剤が含まれている
    ことを特徴とする樹脂注入成形品の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載された樹脂注入成形品の製造方法において、
    前記準備ステップでは、前記コア材(3)として、前記厚肉部(9)の突出した部分(11)が少なくとも一方向に延びる凸部(11)を構成しているコア材(3)を準備する
    ことを特徴とする樹脂注入成形品の製造方法。
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