JP2020151014A - 医療用チューブ - Google Patents

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Abstract

【課題】薬剤の吸着性が低く、透明性と耐キンク性に優れた医療用チューブを提供する。【解決手段】医療用チューブであって、該チューブの内面が、熱可塑性エラストマー組成物からなり、該熱可塑性エラストマー組成物が、水添ブロック共重合体(A)及びプロピレン系重合体(B)を含み、該水添ブロック共重合体(A)が少なくとも2個の、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQを有するブロック共重合体の水素添加物である、薬剤吸着性の低い医療用チューブ。【選択図】なし

Description

本発明は、輸液セット用チューブ、経腸栄養セット用チューブ、エクステンションチューブ、血液回路用チューブ、栄養チューブ、連結チューブ、カテーテル等の医療用チューブに関する。
輸液セット用チューブ、経腸栄養セット用チューブ、エクステンションチューブ、血液回路用チューブ、栄養チューブ、連結チューブ、カテーテルといった医療用チューブには柔軟性が要求される一方で、彎曲させた時、折曲して内部を流れる液体を塞き止めることがないよう、耐キンク性(耐折曲性)を有することが必要とされる。この耐キンク性については、彎曲させるために要する力(キンク力)が大きく、かつキンク半径(彎曲可能な半径)が小さいことが望まれる。
医療用チューブにはまた、見た目の清潔感、衛生性に加え、内部を流れる液体の種類(色)や、流動状況、液体の存在の有無等を目視で容易に確認することができるように、透明性に優れることが望まれる。
また、医療用チューブは、チューブ内を流れる薬剤が吸着し難いことも重要な要件である。
従来、医療用チューブの材料としては、軟質塩化ビニル系樹脂が使用されていたが、軟質塩化ビニル系樹脂にはジオクチルフタレート等の可塑剤が多量に含まれるため、医療用チューブ中の可塑剤が溶出して医療用チューブ内を流れる液体を汚染する問題がある。
そこで、近年では、軟質塩化ビニル系樹脂に代わるものとして、スチレン系エラストマーの使用が検討され、特許文献1には、特定の条件を満たす水添ブロック共重合体とオレフィン系樹脂とを配合してなる医療用樹脂組成物が提案されている。特許文献1には用いる水添ブロック共重合体のMFRの好適範囲についての記載はないが、特許文献1の実施例ではMFR(JIS K2710)3.5〜10g/10分のものが使用されている。また、この特許文献1では、耐キンク性の評価は行われているが、透明性の評価は行われていない。
特許文献2には、柔軟性、透明性及び低べたつき性のバランスに優れたプロピレン系ランダム共重合体組成物として、特定のプロピレン系ランダム共重合体と水添ブロック共重合体を含むものが提案され、特許文献2には、この組成物を医療用チューブに適用できることが記載されている。また、特許文献2には、用いる水添ブロック共重合体のMFR(ISO 1133)は、0.1〜12g/10分であり、最も好ましくは1.0〜5g/10分であると記載されている。
特許文献2では、透明性をヘーズで評価しているが、医療用チューブとしての透明性は、ヘーズのみの評価では十分ではなく、表面粗さが高いことによるチューブ表面での光の乱反射で、見掛けの透明性が低下する問題もあることから、透明性については表面粗さで評価することも重要である。
また、耐キンク性についても、特許文献1,2の評価方法ではなく、後掲の実施例の項に記載の方法で評価するのが、医療用チューブとしての耐キンク性の評価には適している。
特開2005−247895号公報 特開2016−145303号公報
本発明者による検討の結果、特許文献1,2に記載の組成物では、いずれも本発明による透明性と耐キンク性の評価方法では、透明性についても耐キンク性についても十分な結果が得られないことが判明した。
特許文献1,2では、用いた水添ブロック共重合体のMFRが低く、押出成形時に表面荒れが発生してしまうために、見掛けの透明性の低下、表面荒れを起点とした屈曲時のキンク発生によると考えられる。
また、従来の軟質塩化ビニル系樹脂を使用した医療用チューブの場合、長時間チューブ内を薬剤が通過すると、その薬剤の一部がチューブの内層の樹脂に吸着されてしまい、更なるチューブの透明性やキンク性の悪化や薬剤が無駄になってしまうことが分かった。
本発明は上記従来の軟質塩化ビニル系樹脂の医療用チューブや上記特許文献1,2に記載の組成物から得られる医療用チューブの問題を解決し、薬剤の吸着性が低く、透明性と耐キンク性に優れた医療用チューブを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ね、特定の水添ブロック共重合体、好ましくはMFRの大きい高MFR水添ブロック共重合体と低MFR水添ブロック共重合体とを併用し、これにプロピレン系重合体を配合して用いることにより、薬剤吸着性が低く、透明性と耐キンク性に優れた医療用チューブを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 医療用チューブであって、該チューブの内面が、熱可塑性エラストマー組成物からなり、該熱可塑性エラストマー組成物が、水添ブロック共重合体(A)及びプロピレン系重合体(B)を含み、該水添ブロック共重合体(A)が少なくとも2個の、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQを有するブロック共重合体の水素添加物である、薬剤吸着性の低い医療用チューブ。
[2] 前記水添ブロック共重合体(A)が、ISO 1133に準拠して230℃、荷重2.16kgにて測定されたメルトフローレート(MFR)が15〜300g/10分である高MFR水添ブロック共重合体と、ISO 1133に準拠して230℃、荷重2.16kgにて測定されたメルトフローレート(MFR)が0.5〜12g/10分である低MFR水添ブロック共重合体とを含む、[1]に記載の医療用チューブ。
[3] 前記高MFR水添ブロック共重合体の重合体ブロックPがスチレン単位を主要構成単位として含有し、重合体ブロックQがブタジエン単位を主要構成単位として含有し、該ブタジエン単位における1,2−結合の割合が60質量%以上である[2]に記載の医療用チューブ。
[4] 前記水添ブロック共重合体(A)と前記プロピレン系重合体(B)との合計100質量部における水添ブロック共重合体(A)の含有量が30〜95質量部で、プロピレン系重合体(B)の含有量が5〜70質量部である[1]〜[3]のいずれかに記載の医療用チューブ。
[5] 前記水添ブロック共重合体(A)中の全芳香族ビニル化合物単位の含有量が8〜25質量%であり、前記水添ブロック共重合体(A)に含まれる全共役ジエン化合物単位の80モル%以上が水素添加されている[1]〜[4]のいずれかに記載の医療用チューブ。
本発明によれば、薬剤吸着性が低く、透明性と耐キンク性に優れた医療用チューブが提供される。
以下に本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
なお、本発明において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本発明において、メルトフローレート(MFR)及び曲げ弾性率は、以下のようにして測定された値である。
<MFR>
水添ブロック共重合体(A)のMFRは、ISO 1133に準拠して、温度230℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。
プロピレン系重合体(B)のMFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重2.16kg、10分の条件で測定される。
<曲げ弾性率>
プロピレン系重合体(B)の曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して測定される。
また、本発明において、「単位」とは、原料化合物が重合した結果、得られる重合体に形成される当該化合物由来の構成単位をさす。例えば、芳香族ビニル化合物単位とは、芳香族ビニル化合物が重合した結果生じる、芳香族ビニル化合物1個当たりの単位であり、共役ジエン化合物単位とは、共役ジエン化合物が重合した結果生じる、共役ジエン化合物1個当たりの単位である。
本発明の医療用チューブは、チューブの内面が、熱可塑性エラストマー組成物からなり、該熱可塑性エラストマー組成物が、水添ブロック共重合体(A)及びプロピレン系重合体(B)を含み、該水添ブロック共重合体(A)が少なくとも2個の、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQを有するブロック共重合体の水素添加物である、薬剤吸着性の低い医療用チューブであることを特徴とする。
以下、本発明の医療用チューブのチューブ内面を構成する材料である熱可塑性エラストマー組成物(以下、「本発明の熱可塑性エラストマー組成物」と称す場合がある。)について詳述する。
〔熱可塑性エラストマー組成物〕
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、水添ブロック共重合体(A)及びプロピレン系重合体(B)を含み、該水添ブロック共重合体(A)が少なくとも2個の、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQを有するブロック共重合体の水素添加物であることを特徴とする。
好ましくは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれる水添ブロック共重合体(A)は、ISO 1133に準拠して230℃、荷重2.16kgにて測定されたメルトフローレート(MFR)が15〜300g/10分である高MFR水添ブロック共重合体と、ISO 1133に準拠して230℃、荷重2.16kgにて測定されたメルトフローレート(MFR)が0.5〜12g/10分である低MFR水添ブロック共重合体とを含む。
このような本発明の熱可塑性エラストマー組成物によって、得られる医療用チューブの透明性を維持しながら、押出成形時の賦形性の付与、医療用チューブの滅菌前後で形状や表面状態・ベタツキ等が変化しない耐滅菌性、及び長時間薬剤と接触していても薬剤が吸着しにくい低い薬剤吸着性を付与することが可能である。
このようなことから、本発明の熱可塑性エラストマー組成物によれば、薬剤吸着性が低く、透明性及び耐キンク性に優れた医療用チューブを成形することができる。
[水添ブロック共重合体(A)]
本発明で用いる水添ブロック共重合体(A)(以下「成分(A)」と称す場合がある。)は、少なくとも2個の、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックP(以下、単に「ブロックP」と称す場合がある。)、及び、少なくとも1個の、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQ(以下、単に「ブロックQ」と称す場合がある。)を有する。すなわち、水添ブロック共重合体(A)は、少なくとも2個のブロックPと少なくとも1個のブロックQを有するブロック共重合体が水素添加された水添ブロック共重合体である。
ここで、「主体とする」とは、対象の単量体単位を対象の重合体ブロック中に、50モル%以上含むことをいう。
ブロックPを構成する芳香族ビニル化合物としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましく用いられる。特に好ましくはスチレンである。
ブロックPは、1種の芳香族ビニル化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。また、ブロックPには、ビニル芳香族化合物単位以外の単量体単位が含まれていてもよい。
ブロックQを構成する共役ジエン化合物とは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、以下に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジ
エン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく用いられる。特に好ましくは1,3−ブタジエンである。ブロックQは、1種の共役ジエン化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。また、ブロックQには、共役ジエン化合物単位以外の単量体単位が含まれていてもよい。
ブロックPの少なくとも2個と、ブロックQを少なくとも1個有する水添前のブロック重合体は、直鎖状、分岐状、放射状等の何れであってもよいが、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体である場合が好ましい。
P−(Q−P)m (1)
(P−Q)n (2)
(式中PはブロックPを、QはブロックQをそれぞれ表し、mは1〜5の整数を表し、nは2〜5の整数を表す)
式(1)又は(2)においてm及びnは、ゴム的高分子体としての秩序−無秩序転移温度を下げる点では大きい方がよいが、製造のしやすさ及びコストの点では小さい方がよい。
本発明で用いる水添ブロック共重合体(A)は、組成物のゴム弾性および成形品の耐キンク性の観点から、式(1)で表されるブロック共重合体の水素添加物であることが好ましく、mが3以下である式(1)で表されるブロック共重合体の水素添加物がより好ましく、mが2以下である式(1)で表されるブロック共重合体の水素添加物が更に好ましく、mが1である式(1)で表されるブロック共重合体の水素添加物が最も好ましい。
また、水添ブロック共重合体(A)中の、全芳香族ビニル化合物単位の含有量は、8〜25質量%であることが好ましく、9〜21質量%であることがより好ましく、10〜20質量%であることが更に好ましく、10〜19質量%であることが特に好ましい。水添ブロック共重合体(A)における全芳香族ビニル化合物単位の含有量は、得られる熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた押出成形体、医療用チューブの低べたつき性及び引裂き強さの観点から、8質量%以上であることが好ましい。一方、得られる熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた押出成形体、医療用チューブの柔軟性、透明性、耐キンク性の観点から、25質量%以下であることが好ましい。
水添ブロック共重合体(A)中の、ブロックPの含有量(ブロックPの合計量)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた押出成形体、医療用チューブの柔軟性、透明性、低べたつき性、歪回復性の観点から8〜25質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることがより好ましく、10〜18質量%であることがさらに好ましい。また、水添ブロック共重合体(A)中の、ブロックQの含有量(重合体ブロックQの合計量)は75〜92質量%であることが好ましく、80〜90質量%であることがより好ましく、82〜90質量%であることがさらに好ましい。
本発明で用いる水添ブロック共重合体(A)は、水添ブロック共重合体(A)中の全共役ジエン化合物単位の80%以上が水素添加されていることが好ましい。
水添ブロック共重合体(A)に含まれる全共役ジエン化合物単位の水素添加率(以下、この水素添加率を単に「水素添加率」と称す場合がある。)、すなわち共役ジエン化合物単位の炭素−炭素二重結合の水素添加率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
水素添加率が80%以上の場合は、プロピレン共重合体(B)、特にプロピレン系ランダム共重合体との溶解パラメータ値が近づき、分散が良好になるため、得られる医療用チューブの柔軟性、透明性、低べたつき性、耐キンク性、歪回復性が向上する傾向にある。この水素添加率は、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により測定できる。
なお、本明細書中、共役ジエン化合物単位は、水添前後に係らず「共役ジエン化合物単位」と称する。
水添ブロック共重合体(A)の水素添加前のブロック共重合体に含まれる全共役ジエン化合物単位中の1,2−結合量(以下「ビニル結合量」と称す場合がある。)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた押出成形体、医療用チューブの柔軟性、透明性、耐キンク性、歪回復性の観点から60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、72質量%以上であることが更に好ましい。生産性の観点から、ビニル結合量の上限値としては95質量%以下であり、93質量%以下がより好ましい。
とりわけ、水添ブロック共重合体(A)としては、上記ビニル結合量が70〜93質量%であり、かつ、水添ブロック共重合体(A)に含まれる全共役ジエン化合物単位の90質量%以上が水素添加されていること、即ち、水素添加率90%以上であることが好ましい。
ここで、ビニル結合量とは、水添前の共役ジエン化合物の1,2−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれているうち、1,2−結合で組み込まれているものの割合とする。水素添加前に含まれる全共役ジエン化合物単位中のビニル結合量は、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により測定できる。
本発明における成分(A)の製造方法は、上述の構造と物性が得られる方法であればどのような方法でもよく、特に限定されない。水素添加前のブロック共重合体は、例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法によりリチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック重合を行うことによって得ることができる。また、ブロック共重合体の水素添加は、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報及び特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水添触媒の存在下で行うことができる。
本発明においては、成分(A)として、上述のような水添ブロック共重合体のうち、好ましくは、MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)が15〜300g/10分の高MFR水添ブロック共重合体を含み、より好ましくはこの高MFR水添ブロック共重合体と、MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)が0.5〜12g/10分の低MFR水添ブロック共重合体とを併用する。
水添ブロック共重合体(A)として、上記の高MFR水添ブロック共重合体を含むことにより、押出成形時の樹脂の流動が安定するため、得られる医療用チューブの表面を平滑にする効果が得られる。また、この高MFR水添ブロック共重合体と共に、上記の低MFR水添ブロック共重合体を含むことにより、押出成形時の賦形性を向上させることが可能である。
高MFR水添ブロック共重合体のMFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)は、前述の高MFR水添ブロック共重合体に基づく効果、更には低MFR水添ブロック共重合体との併用による効果をより有効に得る観点から、20〜280g/10分であることが好ましく、30〜250g/10分であることがより好ましい。
この高MFR水添ブロック共重合体は、特に、重合体ブロックPがスチレン単位を主要構成単位として含有し、重合体ブロックQがブタジエン単位を主要構成単位として含有し、該ブタジエン単位における1,2−結合の割合(ビニル結合量)が60質量%以上であることが好ましい。
また、低MFR水添ブロック共重合体のMFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)は、前述の低MFR水添ブロック共重合体に基づく効果、更には高MFR水添ブロック共重合体との併用による効果をより有効に得る観点から、1〜10g/10分であることが好ましく、1.5〜8g/10分であることがより好ましく、高MFR水添ブロック共重合体と低MFR水添ブロック共重合体のMFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)の差は15〜250g/10分程度であることが好ましい。
なお、水添ブロック共重合体のMFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)は、水添ブロック共重合体の製造において、単量体モノマーの添加量、重合時温度、重合時間等の諸条件を適切に設定して重合体の分子量を制御することにより制御することができる。
上記の高MFR水添ブロック共重合体と低MFR水添ブロック共重合体とは、高MFR水添ブロック共重合体100質量部に対する低MFR水添ブロック共重合体の割合が10〜500質量部、特に30〜400質量部、とりわけ50〜350質量部となるように用いることが好ましい。高MFR水添ブロック共重合体に対する低MFR水添ブロック共重合体の含有割合が上記範囲内であることにより、高MFR水添ブロック共重合体と低MFR水添ブロック共重合体とを併用することによる本発明の効果をより一層確実に得ることができる。
なお、高MFR水添ブロック共重合体及び低MFR水添ブロック共重合体は、それぞれ1種ずつ用いてもよく、それぞれ、MFRや共重合成分、水素添加率等の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
このような高MFR水添ブロック共重合体、低MFR水添ブロック共重合体としては、市販品を用いることができ、例えば、クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)」シリーズや、クラレ社製「ハイブラー(登録商標)」シリーズ、旭化成社製「タフテック(登録商標)」シリーズから該当品を選択して使用することができる。
[プロピレン系重合体(B)]
本発明で用いるプロピレン系重合体(B)(以下「成分(B)」と称す場合がある。)としては、プロピレン単位を主成分としてプロピレン系重合体(B)を構成する単量体単位中に50質量%以上含有するものであればよく、プロピレンの単独重合体でも共重合体でもよいが、プロピレンとプロピレン以外の単量体を共重合したもので、プロピレン以外の単量体単位がプロピレン単位連鎖中にランダムに取り込まれ、実質的にプロピレン以外の単量体単位が連鎖しないプロピレン系ランダム共重合体が好ましい。
プロピレン系ランダム共重合体としては、プロピレン単位の含有量が98質量%未満のものが好ましく、プロピレン系重合体(B)の好適な例としては、プロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体などが挙げられる。プロピレン系ランダム共重合体としてプロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体を用いる場合、柔軟性、透明性、耐衝撃性、耐熱性及び耐キンク性がより良好となる傾向にある。上記α−オレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。好ましくは、炭素数4〜8のα−オレフィンであり、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。エチレンやα−オレフィンは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記プロピレン系ランダム共重合体の中でも、得られる医療用チューブの柔軟性、透明性、耐衝撃性、耐熱性、耐キンク性の観点から、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体及びプロピレン・エチレン・1−ブテン三元ランダム共重合体がより好ましく、特にプロピレン・エチレンランダム共重合体を用いることが好ましい。
柔軟性、透明性、低べたつき性、耐衝撃性、耐熱性、耐キンク性の観点から、成分(B)のプロピレン系ランダム共重合体としては、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体であり、プロピレン系重合体(B)中の、エチレン及び/又はα−オレフィン単位の含有量が2質量%を超え40質量%以下で、プロピレン単位の含有量が60質量%以上98質量%未満のものが好ましい。上記同様の観点から、エチレン及び/又はα−オレフィン単位の含有量は2質量%を超え30質量%以下がより好ましく、2.5質量%を超え25質量%以下が更に好ましく、3質量%を超え20質量%以下が特に好ましい。また、プロピレン単位の含有量は70質量%以上98質量%未満がより好ましく、75質量%以上97.5質量%未満が更に好ましく、80質量%以上97質量%未満がより特に好ましい。
プロピレン系重合体(B)中のプロピレン単位の含有量、エチレン単位の含有量、α−オレフィン単位の含有量は、カーボン核磁気共鳴(C13−NMR)法より測定できる。
プロピレン系重合体(B)のMFR(JIS K7210(230℃、荷重2.16kg)は、得られる熱可塑性エラストマー組成物の加工性の観点から、0.1〜100g/10分が好ましく、0.5〜50g/10分がより好ましく、0.8〜40g/10分が更に好ましく、1〜30g/10分が特に好ましい。
プロピレン系重合体(B)を製造するに際して使用される触媒については特に限定されないが、例えば、立体規則性触媒を使用する重合法が好ましい。立体規則性触媒としては、以下に限定されないが、例えば、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。これら触媒の中でも、得られる熱可塑性エラストマー組成物及び押出成形体、医療用チューブの溶出性、衛生性の観点から、メタロセン触媒が好ましい。
チーグラー触媒としては、以下に限定されないが、例えば、三塩化チタン、四塩化チタン、トリクロロエトキシチタン等のハロゲン化チタン化合物、前記ハロゲン化チタン化合物とハロゲン化マグネシウムに代表されるマグネシウム化合物との接触物等の遷移金属成分とアルキルアルミニウム化合物又はそれらのハロゲン化物、水素化物、アルコキシド等の有機金属成分との2成分系触媒、更にそれらの成分に窒素、炭素、リン、硫黄、酸素、ケイ素等を含む電子供与性化合物を加えた3成分系触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては、以下に限定されないが、例えば、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
プロピレン系重合体(B)の製造方法としては、例えば、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素又は液状モノマー中で行うことができる。重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧が好ましく、また得られるプロピレン系重合体(B)の分子量の調節は、水素又は他の公知の分子量調整剤で行うことができる。重合は連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は通常用いられている条件でよい。さらに重合反応
は一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
プロピレン系重合体(B)は1種のみを用いてもよく、共重合組成や物性等の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
成分(B)のプロピレン系ランダム共重合体としては、市販品を用いることができ、例えば、Lotte Chemical社製「RANPLEN」や、日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP」「ウィンテック(登録商標)」「ウェルネクス(登録商標)」シリーズなどから該当品を選択して使用することができる。
[成分(A)と成分(B)の割合]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(A)の水添ブロック共重合体(A)と成分(B)のプロピレン系重合体(B)との合計100質量部中に、成分(A)を30〜95質量部、成分(B)を5〜70質量部含むことが好ましい。得られる医療用チューブの機械的強度及び耐熱性や、押出成形時の賦形性の観点から、成分(A)の含有量は上記範囲の上限以下であり、成分(B)の含有量は上記範囲の下限以上であることが好ましい。一方、得られ医療用チューブの透明性、耐滅菌性、柔軟性、耐キンク性の観点から、成分(A)の含有量は上記範囲の下限以上であり、成分(B)の含有量は上記範囲の上限以下であることが好ましい。要求特性をより一層良好なものとするために、成分(A)と成分(B)の合計100質量部中の成分(A)の含有量が32〜92質量部で成分(B)の含有量が8〜68質量部であることがより好ましく、成分(A)の含有量が35〜90質量部で成分(B)の含有量が10〜65質量部であることがさらに好ましい。
[その他の成分]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記の成分(A)及び成分(B)以外に、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、特に限定されず、例えば、難燃剤、安定剤、着色剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、流れ増強剤、ステアリン酸金属塩やアミドといった離型剤、シリコーンオイル、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤、銅害防止剤、架橋剤、核剤、ペレットのブロッキング防止剤などの樹脂用添加剤等が挙げられる。その他の成分は、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、通常1質量部以下の範囲で、その必要量が添加配合される。
[熱可塑性エラストマー組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、水添ブロック共重合体(A)、プロピレン系重合体(B)及び必要に応じて加えられる他の成分を、その各成分の組成比に応じてドライブレンドする方法、通常の高分子物質の混合に供される装置によって調製する方法等によって製造することができる。その際に用いられる混合装置としては、特に限定されないが、例えば、バンバリーミキサー、ラボプラストミル、単軸押出機、二軸押出機等の混練装置が挙げられる。このうち、押出機を用いた溶融混合法により製造することが生産性、良混練性の点から好ましい。混練時の溶融温度は、適宜設定することができるが、通常130〜300℃の範囲内であり、150〜250℃の範囲であることが好ましい。
〔医療用チューブ〕
本発明の医療用チューブは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の溶融押出成形、射出成形等、公知の成形方法に従って製造することができる。あるいは成分(A)及び成分(B)のペレットを直接単軸押出成形機などでドライブレンドしたものをチューブ状に押出成形してよい。
医療用チューブの内径、外径、長さなどに制限はなく、用途に応じて適宜設計すればよい。また、これらのチューブは単層に限らず、各種樹脂との多層構造としてもよく、多層の場合は本発明の熱可塑性エラストマー組成物を少なくとも内層に用いる。
本発明の医療用チューブは、輸液セット用チューブ、経腸栄養セット用チューブ、エクステンションチューブ、薬剤投与チューブ、血液回路用チューブ、栄養チューブ、連結チューブ、翼付静脈針用チューブ、さらには、吸引用カテーテル、排液用カテーテル、経腸栄養カテーテル、胃管カテーテル、薬液投与カテーテル等としても好適に使用できる。
以下、実施例を用いて本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[実施例1で用いた原料材]
(成分(A))
<高MFR水添ブロック共重合体>
A−1: クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)MD1648」(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物)〔MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)):220g/10分、スチレン単位含有量:20質量%、ブタジエンのビニル結合量:70質量%〕
<低MFR水添ブロック共重合体>
A−2: クラレ社製「ハイブラー(登録商標)7311F」(スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物)〔MFR(ISO 1133(230℃、荷重2.16kg)):2g/10分、スチレン単位含有量:12質量%〕
(成分(B))
B−1:Lotte Chemical社製「RANPLEN SB−520Y」(プロピレン・エチレンランダム共重合体)〔MFR(JIS K7210(230℃、荷重2.16kg)):2.4g/10分、曲げ弾性率(JIS K7171):833MPa、プロピレン単位含有量:60質量%以上〕
B−2:日本ポリプロ社製「ウィンテック(登録商標)WFX6MC」(プロピレン・エチレンランダム共重合体)〔MFR(JIS K7210(230℃、荷重2.16kg)):2g/10分、曲げ弾性率(JIS K7171):700MPa、プロピレン単位含有量:60質量%以上〕
B−3:日本ポリプロ社製「ウェルネクス(登録商標)RFG4MC」(プロピレン・エチレンランダム共重合体)〔MFR(JIS K7210(230℃、荷重2.16kg)):6g/10分、曲げ弾性率(JIS K7171):280MPa、プロピレン単位含有量:60質量%以上〕
[比較例1で用いた原料材]
C−1:信越化学工業社製「GR−1300S」(ポリ塩化ビニル樹脂)
C−2:ジェイプラス社製「TOTM」(可塑剤)
C−3:三和合成化学社製「M−ESBO」(可塑剤・安定剤)
C−4:勝田化工社製「CH−55J」(有機亜リン酸塩系安定剤)
C−5:ADEKA社製「アデカスタブ(登録商標)37」(カルシウム−亜鉛系安定剤)
C−6:勝田化工社製「CZ−15J」(カルシウム−亜鉛系安定剤)
[実施例1]
表−1に示す各原料を、同方向二軸押出機(池貝社製「PCM30−30−2V」、シリンダー口径:30mm)に10kg/時の速度で投入し、180〜240℃の範囲で昇温させて溶融混練を行い、スチレン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
得られたスチレン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、200℃にて圧縮成形し、平滑な表面を有する0.3mm厚のシートを得た。得られたシートを用いて、以下の(1)の評価を行った。
また、得られたスチレン系熱可塑性エラストマー組成物のペレットを、押出成形機(アイ・ケー・ジー社製「PMS40−28」)を用いてチューブ状に成形した。押出成形の条件は、ダイ内径:3.85mm、マンドレル外径:2.70mm、スクリュー回転数:10rpm、引取速度:3.5m/分、樹脂温度:180〜210℃の範囲とした。
得られた押出チューブを用いて、以下の(2)及び(3)の評価を行った。
(1)の評価結果を表−3に、(2),(3)の評価結果を表−1に示す。
[比較例1]
表−2に示す各原料をビーカー中で攪拌後、150℃のミルロールで混練し、軟質塩化ビニル系樹脂組成物のシートを製造した。得られた軟質塩化ビニル系樹脂組成物のシートを180℃にて圧縮成形し、平滑な表面を有する0.3mm厚のシートを得た。得られたシートを用いて、以下の(1)の評価を行った。評価結果を表−3に示す。
[評価方法]
(1)薬液吸着性
〔試験溶液の調製〕
ジアゼパム(和光純薬工業社製)をメタノールに溶解させ、ジアゼパムの標準溶液1,000mg/Lおよび10,000mg/Lを調製した。それぞれの溶液1mLを採取し、超純水100mLに添加しよく混合することで、ジアゼパム濃度10mg/Lおよび100mg/Lの試験溶液をそれぞれ調製した。
〔薬液吸着試験〕
シート状に加工したサンプルを約7cm×5cm×2枚(表面積:約140cm)にカットした後、それぞれの濃度の試験溶液100mL中に浸漬し、約24℃で振とうした。試験溶液のジアゼパム濃度をHPLCにより測定した。試験溶液のサンプリングはシート投入直後(0時間後)、2時間後、4時間後、6時間後、24時間後に行った。
初期濃度に対して経時後の濃度の低下が少ないものは、薬剤吸着性に優れると判断される。
(2)透明性(表面粗さ)
表面粗さ形状測定機(東京精密社製「サーフコム480A」)を用いて押出チューブの表面粗さ(算術平均粗さRa、十点平均粗さRz)を測定した。表面粗さの値が大きい場合、チューブ表面で光が乱反射されやすくなるためチューブの透明性が低くなる。医療用チューブとして用いるには、内容物の視認性の観点から透明性が高いことが望ましく、Raが0.5以下およびRzが1以下であることが好ましい。
(3)耐キンク性
引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ AG−2000A」)を用いて押出チューブの耐キンク性(キンク力、キンク半径)を測定した。引張試験機に2枚の平板状の治具を平行に設置し、この治具間に、長さ16cmの押出チューブをU字型に湾曲させてテープで固定した。押出チューブは、一端側の約5cmが、一方の治具の板面に沿い、他端側の約5cmが他方の治具の板面に沿い、治具間から突出している半円弧状の部分のチューブ長さが6cmとなるように取り付けた。2枚の平板状の治具間の初期間隔は60mmに設定した。20mm/分の速度で治具を近づけながら試験力および治具間距離を測定した。チューブのキンクを確認した時点で治具の移動を止め、試験力の最大値をキンク力、試験力が最大値をとった時点での治具間間隔をキンク径とした。
医療用チューブとして用いるには、キンクさせるために必要な力が大きいこと、およびキンク径が小さいことが望ましく、キンク時の試験力が0.3N以上で、キンク径が35mm以下であることが好ましい。
Figure 2020151014
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表−1〜表−3より、本発明の熱可塑性エラストマー組成物よりなる本発明の医療用チューブは、薬剤の吸着性が低く、かつ透明性、耐キンク性に優れることが分かる。

Claims (5)

  1. 医療用チューブであって、該チューブの内面が、熱可塑性エラストマー組成物からなり、該熱可塑性エラストマー組成物が、水添ブロック共重合体(A)及びプロピレン系重合体(B)を含み、該水添ブロック共重合体(A)が少なくとも2個の、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックPと、少なくとも1個の、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックQを有するブロック共重合体の水素添加物である、薬剤吸着性の低い医療用チューブ。
  2. 前記水添ブロック共重合体(A)が、ISO 1133に準拠して230℃、荷重2.16kgにて測定されたメルトフローレート(MFR)が15〜300g/10分である高MFR水添ブロック共重合体と、ISO 1133に準拠して230℃、荷重2.16kgにて測定されたメルトフローレート(MFR)が0.5〜12g/10分である低MFR水添ブロック共重合体とを含む、請求項1に記載の医療用チューブ。
  3. 前記高MFR水添ブロック共重合体の重合体ブロックPがスチレン単位を主要構成単位として含有し、重合体ブロックQがブタジエン単位を主要構成単位として含有し、該ブタジエン単位における1,2−結合の割合が60質量%以上である請求項2に記載の医療用チューブ。
  4. 前記水添ブロック共重合体(A)と前記プロピレン系重合体(B)との合計100質量部における水添ブロック共重合体(A)の含有量が30〜95質量部で、プロピレン系重合体(B)の含有量が5〜70質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の医療用チューブ。
  5. 前記水添ブロック共重合体(A)中の全芳香族ビニル化合物単位の含有量が8〜25質量%であり、前記水添ブロック共重合体(A)に含まれる全共役ジエン化合物単位の80モル%以上が水素添加されている請求項1〜4のいずれかに記載の医療用チューブ。
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