JP2020150710A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】CPUが自律的にソフトウェアを選択してステアリング制御等を行う電動パワーステアリング用のモータ制御装置を提供する。【解決手段】複数系統(2系統)の冗長構成を有するモータ制御装置1a,1bの各モータ制御装置の制御部(CPU)12a,12bの動作プログラムを記憶する各メモリ33a,33bに同一のソフトウェアを格納する。各系統のCPUそれぞれが、メモリ33a,33bに格納されたソフトウェアから、自律的に自己の系統の制御に必要なソフトウェアを選択して実行する。【選択図】図2
Description
本発明は、例えば、複数系統のモータ制御回路からなる冗長構成を有する電動パワーステアリング用のモータ制御装置に関する。
電動パワーステアリング装置において、モータに設けた2組のコイル巻線を独立して駆動する2組のインバータ回路を備えるとともに、インバータ回路以外の制御回路を二重系にして、異常時(故障時)において、正常に動作している系によってモータ制御を継続するという冗長構成が従来より知られている。
このような冗長構成には、単一の制御部(CPU)を使用して冗長制御を行う構成、複数の制御部(CPU)を使用して冗長制御を行う構成がある。例えば、特許文献1は、2個のCPUを使用して、第1の制御系と第2の制御系という二重の冗長制御系で構成した電動パワーステアリング装置を開示している。
上記のように単一のCPUによって冗長系を構成した電動パワーステアリング装置においてCPUが失陥した場合、装置全体の動作が保障されないという課題がある。そこで、特許文献1の電動パワーステアリング装置は、複数(例えば2個)のCPUを使用した冗長構成とすることで、単一のCPUによる上記の課題を補完可能としている。
ここで、各々が個別のCPUで制御される第1の制御系と第2の制御系からなる冗長構成を有する電動パワーステアリング装置に格納されるソフトウェアに着目すると、従来より、一方のCPUに第1の制御系に対応するソフトウェアを格納し、他方のCPUには第2の制御系に対応するソフトウェアを格納することで、第1の制御系と第2の制御系に個別の動作をさせる技術が知られている。
上記の構成では、複数系統のCPUそれぞれに対応した個別のソフトウェアを開発し、そのソフトウェアをCPU対応の個別のメモリに搭載する必要がある。そのため、例えば電動パワーステアリング装置という単一のシステムに、異なる複数のソフトウェアを書き込むことになり、ソフトウェアの開発に要する時間とコストが増大するだけでなく、開発されたソフトウェアをCPU対応に書き込むための工数が発生する。
さらには、製造時等に過誤等により複数のCPUに同一系統のソフトウェアが格納されたり、あるいは、複数のCPUに対して系統を入れ違えたソフトウェアが格納されたりした場合、電動パワーステアリング装置による本来の動作が保障されず、起動・停止動作の不良、ステアリング制御のフィーリング悪化、付加機能の停止等、意図しない事態が生じる。
このような問題に対処するには、装置の出荷時等において、第1の制御系のCPUに第1の制御系の動作対応のソフトウェアが正常に格納され、第2の制御系のCPUに第2の制御系の動作対応のソフトウェアが正常に格納されているかを検査、確認する作業が必要となる。しかし、これらの方法には、出荷時等における検査、確認作業が煩雑になるという課題がある。
また、第1の制御系の動作対応のソフトウェアと第2の制御系の動作対応のソフトウェアを個別にチェックすることは、第1と第2双方の制御系のソフトウェアに共通するソフトウェアを二重にチェックすることになるため、チェック作業に無駄が生じ、チェック時間が長くなることに伴うチェック工数が発生して、それが装置等のコストアップになるという問題もある。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数系統からなる冗長構成において、各系統に属するCPUが自律的に自己の系統に対応するソフトウェアを選択してステアリング制御等を行う電動パワーステアリング用のモータ制御装置を提供することである。
上記の目的を達成し、上述した課題を解決する一手段として以下の構成を備える。すなわち、本願の例示的な第1の発明は、複数の制御系統ごとにCPU(Central Processing Unit)を備えたモータ制御装置であって、前記CPUは、前記複数の制御系統に対応する複数のソフトウェアを格納する手段と、前記複数の制御系統の系統認識信号を認識する手段と、前記認識結果をもとに前記複数のソフトウェアより特定のソフトウェアを選択する選択手段と、前記選択されたソフトウェアに応じた系統の動作を実行するよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
本願の例示的な第2の発明は、車両等の運転者のハンドル操作をアシスト制御する電動パワーステアリング用モータ制御装置であって、前記運転者の操舵を補助する電動モータと、上記例示的な第1の発明に係るモータ制御装置により前記電動モータを駆動制御する手段とを備えることを特徴とする。
本願の例示的な第3の発明は、電動パワーステアリングシステムであって、上記例示的な第2の発明に係る電動パワーステアリング用モータ制御装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、冗長構成を有する電動パワーステアリング装置用のモータ制御装置において、複数のCPUが自律的にソフトウェアを選択するので、各CPU対応に個別のソフトウェアを書き込む必要がなくなり、ソフトウェア管理の簡略化のみならず、出荷工程での書き込み誤りを防止して信頼性を確保できる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング用モータ制御装置を含む電動パワーステアリングシステムの概略構成である。図1において、電動パワーステアリングシステム10は、電子制御ユニット(Electronic Control Unit: ECU)としてのモータ制御装置1a,1b、操舵部材であるステアリングハンドル2、ステアリングハンドル2に接続された回転軸3、ピニオンギア6、ラック軸7等を備える。
回転軸3は、その先端に設けられたピニオンギア6に噛み合っている。ピニオンギア6により、回転軸3の回転運動がラック軸7の直線運動に変換され、ラック軸7の変位量に応じた角度に、そのラック軸7の両端に設けられた一対の車輪5a,5bが操舵される。
回転軸3には、ステアリングハンドル2が操作された際の操舵トルクを検出するトルクセンサ9a,9bが設けられており、検出された操舵トルクはモータ制御装置1a,1bへ送られる。モータ制御装置1a,1bは、トルクセンサ9a,9bより取得した操舵トルク、車速センサ(不図示)からの車速等の信号に基づくモータ駆動信号を生成し、その信号を電動モータ15に出力する。
モータ駆動信号が入力された電動モータ15からは、ステアリングハンドル2の操舵を補助するための補助トルクが出力され、その補助トルクが減速ギア4を介して回転軸3に伝達される。その結果、電動モータ15で発生したトルクによって回転軸3の回転がアシストされることで、運転者のハンドル操作を補助する。
次に、本実施形態に係る電動パワーステアリング用モータ制御装置について説明する。図2は、本実施形態に係る電動パワーステアリング用モータ制御装置の詳細構成である。
本実施形態に係る電動パワーステアリング用モータ制御装置は、図2に示すように同一の構成要素を備えた複数のモータ制御系統からなる冗長構成を有する。ここでは、2系統の冗長構成を有するモータ制御装置を例に挙げて説明するが、さらに、3系統、4系統といった多系統からなる冗長構成への展開も可能である。
図2に示すモータ制御装置は、それぞれが制御部(CPU)12a,12bを有する、互いに独立した2つの系統からなるモータ制御装置1a,1bで構成される。これらのモータ制御装置1a,1bは、2組の3相巻線(Ua,Va,Wa)15aと3相巻線(Ub,Vb,Wb)15bを備える電動モータ15と、これら2組の3相巻線それぞれに駆動電流を供給する2組のインバータ回路14a,14bとからなるダブルインバータ構成となっている。電動モータ15は、例えば3相ブラシレスDCモータである。
以降の説明では、モータ制御装置1aと3相巻線15aを含む構成部分を第1の系統(系統A、あるいはメイン系統ともいう。)とし、モータ制御装置1bと3相巻線15bを含む構成部分を第2の系統(系統B、あるいはサブ系統ともいう。)とする。
系統Aを構成するモータ制御装置1aは、その装置全体の制御を司る、例えばマイクロプロセッサからなる制御部(CPU)12a、CPU12aからの制御信号よりモータ駆動信号を生成し、FET駆動回路として機能するインバータ制御部13a、電動モータ15の3相巻線(Ua,Va,Wa)15aに駆動電流を供給するモータ駆動部であるインバータ回路14aを備える。
系統Bを構成するモータ制御装置1bは、モータ制御装置1aと同様、その装置全体の制御を司る制御部(CPU)12b、CPU12bからの制御信号よりモータ駆動信号を生成し、FET駆動回路として機能するインバータ制御部13b、電動モータ15の3相巻線(Ub,Vb,Wb)15bに所定の駆動電流を供給するインバータ回路14bを備える。
インバータ回路14aには、フィルタ16aと電源リレー17aを介して外部バッテリBTよりモータ駆動用の電源が供給され、インバータ回路14bには、フィルタ16bおよび電源リレー17bを介して、外部バッテリBTよりモータ駆動用の電源が供給される。なお、フィルタ16a,16bは、それぞれインバータ回路14a,14bに包含させてもよい。
フィルタ16a,16bは、不図示の電解コンデンサとコイルからなり、供給電源に含まれるノイズ等を吸収して、電源電圧を平滑する。電源リレー17a,17bは、例えば機械式リレーあるいは半導体リレーで構成され、バッテリBTからの電力を遮断可能に構成されている。
インバータ回路14aは、電動モータ15の3相巻線(Ua,Va,Wa)15a各々に対応した半導体スイッチング素子(FET)からなるFETブリッジ回路である。同様に、インバータ回路14bは、電動モータ15の3相巻線(Ub,Vb,Wb)15b各々に対応した半導体スイッチング素子(FET)からなるFETブリッジ回路である。
なお、これらのスイッチング素子(FET)はパワー素子とも呼ばれ、例えば、MOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体スイッチング素子を用いる。
イグニッションスイッチ(IG-SW)31は、その一端がバッテリBTに接続され、他端は、系統Aを構成するモータ制御装置1aの電源制御部21aと、系統Bを構成するモータ制御装置1bの電源制御部21bに接続されている。
電源制御部21a,21bは、イグニッションスイッチ(IG-SW)31からのIG信号を起動信号として電源部20a,20bを起動する。電源部20a,20bは、バッテリBTより供給されたバッテリ電圧+Bを、所定の電圧(例えば、ロジックレベルの電圧)に変換し、それを制御部(CPU)12a,12b、インバータ制御部13a,13b等の動作電源として供給する。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置において、モータ制御装置1a,1bのCPU12a,12bは、リアルタイムの相互通信が可能に構成されている。また、モータ制御装置1a,1bは、車両の各種情報を授受する車載ネットワーク(CAN)に接続されたCAN信号線(CAN通信バス)27H,27Lを介して、他の制御ユニット(ECU)との間でCANプロトコルによるデータ通信を行う。CAN信号線27H,27Lは、第1の系統を構成するCAN−Hライン27Ha,CAN−Lライン27Laと、第2の系統を構成するCAN−Hライン27Hb,CAN−Lライン27Lbからなる各々2線式の通信線である。
電動モータ15には、3相巻線15a,15bそれぞれに対応させて、モータの回転子(ロータ)の回転位置を検出する角度センサ(レゾルバ)11a,11bが搭載されている。角度センサ(レゾルバ)11aからの出力信号は、回転情報として、入力I/F18aを介してCPU12aへ送信され、角度センサ(レゾルバ)11bからの出力信号は、入力I/F18bを介してCPU12bへ送信される。
次に、上記の構成を有する本実施形態に係る電動パワーステアリング装置のモータ制御装置の動作について説明する。
モータ制御装置1aの制御部(CPU)12a,12bは、メモリ33a,33bにあらかじめ記憶された、上述した各系統の制御に必要なソフトウェア(プログラム)を順次、読み出し、実行する。メモリ33a,33bは、例えば、CPU12a,12bと同一パッケージ内の読み出し専用メモリ(ROM)である。
メモリ33a,33bには同一のソフトウェアが格納されており、後述するように、CPU12a,12bそれぞれが自律的に系統Aあるいは系統Bの制御に必要なソフトウェアを読み出して、操舵アシスト処理等を行う。
なお、メモリ33a,33bには、CPU12a,12bの制御データ、演算データ等を一時的に格納するワークメモリ(RAM)が含まれる。
上記のようにCPU12a,12bそれぞれが自律的に系統Aあるいは系統Bの制御に必要なソフトウェアを読み出すのは、以下の理由による。例えば、系統Aにおけるレゾルバの励磁周期が5KHzで、系統Bにおけるレゾルバの励磁周期が10KHzである等、制御系統によって異なる、角度センサ(レゾルバ)11a,11bの励磁周期に対応する必要がある。
また、通常の制御時において、CPU間通信により、モータ制御装置1aで算出した目標トルクをモータ制御装置1bに送信して、モータ制御装置1bがその目標トルクをもとにモータ駆動制御を行う制御態様に対応する必要がある。
さらには、図2に示す構成において、例えば、IG信号の送信形態として、モータ制御装置1bには通信線を介してIG信号が送信されるが、モータ制御装置1bをモータ制御装置1aから電気的に絶縁する必要からフォトカプラ等を使用して送信する態様が想定される。この場合、モータ制御装置1bはIG信号のON/OFFを検知できるが、IG電圧値あるいはバッテリBTの電圧値については、CPU間通信によってモータ制御装置1aより受信するようにしてもよい。
また、CANプロトコルによるデータ通信において、データ内容、送信ノードの識別等に使用するCAN-IDが、モータ制御装置1aとモータ制御装置1bとで異なることが想定される。
図3は、モータ制御装置1a,1bの制御部(CPU)12a,12bにおける処理手順を示すフローチャートである。また、図4は、メモリ33a,33bに格納された、系統A,Bに対応するソフトウェアを模式的に示す図である。
上述したように、メモリ33a,33bには、操舵アシスト処理等を行うための同一のソフトウェアが格納されている。このソフトウェアは、図4に示すように、系統A,Bそれぞれに対応するソフトウェアA,Bと、系統A,Bに共通する共通ソフトウェアCとで構成される。ソフトウェアA,Bは、例えば、モータ制御装置1a,1bにおける機能的な差分、モータ制御装置1a,1bの制御に必要となる定数(例えば、トルク定数等)の相違、モータ制御装置1a,1bの制御ロジックが変わる部分等にそれぞれ対応させて設けたソフトウェアである。
CPU12aは、動作電源が供給されることで、図3のステップS11において内部メモリであるRAM、入出力ポート等を初期化する。そして、続くステップS13で、図2に示すように系統認識信号発生部37aよりCPU12aの特定のポートに入力された系統認識信号を読み取る。
ここでは、例えばモータ制御装置1aを系統Aの制御系統に対応させるため、系統認識信号発生部37aよりCPU12aの特定ポートに2値の論理“H”レベルの信号(例えば、電圧+5V)を入力する構成となっている。そこでCPU12aは、続くステップS15において、特定ポートより読み込んだ系統認識信号をもとに、後述する系統認識故障の有無を検知する処理等を実行する。
CPU12aは、ステップS17において、上記ステップS15での系統認識が完了したと判断した場合、続くステップS19において、自己の系統認識値が示す制御系統(ここでは、系統A)に対応するソフトウェアを選択する。
より具体的には、CPU12aは、図4に模式的に示す、メモリ33aに格納されたソフトウェアA,Bのうち、系統Aに対応するソフトウェアAと、共通ソフトウェアCとを選択する。
CPU12aには、CAN信号によりIG-SW(イグニッションスイッチ)の状態が入力される。そこで、CPU12aは、図3のステップS21で、入力されたIG-SW状態をもとにIG−ONを判定する。IG−ONの場合、CPU12aは、ステップS23において電源リレー17aをONにする。その結果、インバータ制御部13aには電動モータの駆動電源が供給される。
CPU12aはステップS25で、上記のステップS19で選択したソフトウェアA,Cにしたがって、系統Aにおけるモータ制御処理を実行する。ここでのモータ制御処理として、系統Aを構成するモータ制御装置1aは、例えば、CPU12aが、入力I/F18aを介して受信した、操舵トルクを検出するトルクセンサ9a等のセンサ類で検出された信号、CAN信号としてCANI/F19aを介して入力した車両の走行速度等をもとに、電動モータ15を駆動する制御指令を演算する等の処理を行う。
一方、モータ制御装置1bにおいても、上述したモータ制御装置1aと同様の処理が実行される。すなわち、CPU12bは、動作電源が供給されることで、図3のステップS11において内部メモリであるRAM、入出力ポート等を初期化する。そして、続くステップS13で、図2に示すように系統認識信号発生部37bよりCPU12bの特定のポートに入力された系統認識信号を読み取る。
ここでは、例えばモータ制御装置1bを系統Bの制御系統に対応させるため、系統認識信号発生部37bよりCPU12bの特定ポートに2値の論理“L”レベルの信号(例えば、電圧0V)が入力される構成になっている。そこでCPU12bは、続くステップS15において、特定ポートより読み込んだ系統認識信号をもとに、後述する系統認識故障の有無を検知する処理等を実行する。
CPU12bは、ステップS17において、上記ステップS15での系統認識が完了したと判断した場合、続くステップS19において、自己の系統認識値が示す制御系統(ここでは、系統B)に対応するソフトウェアを選択する。
具体的には、CPU12bは、図4に模式的に示す、メモリ33bに格納されたソフトウェアA,Bのうち、系統Bに対応するソフトウェアBと、共通ソフトウェアCとを選択する。
CPU12aと同様にCPU12bにも、CAN信号によりIG-SW(イグニッションスイッチ)の状態が入力される。そこで、CPU12bは、図3のステップS21で、入力されたIG-SW状態をもとにIG−ONを判定する。IG−ONの場合、CPU12bは、ステップS23において電源リレー17bをONにする。その結果、インバータ制御部13bには電動モータの駆動電源が供給される。
ステップS25でCPU12bは、上記のステップS19で選択したソフトウェアB,Cにしたがって、系統Bにおけるモータ制御処理を実行する。ここでのモータ制御処理として、例えば、系統Bを構成するモータ制御装置1bは、CPU12bが、入力I/F18bを介して受信した、操舵トルクを検出するトルクセンサ9b等のセンサ類で検出された信号、CAN信号としてCANI/F19bを介して入力した車両の走行速度等をもとに、電動モータ15を駆動する制御指令を演算する等の処理を行う。
このようにモータ制御装置1a,1bでは、制御部(CPU)12a,12bの特定のポートに印加される電位、あるいは論理レベルという簡単な信号入力構成で、複数の制御系統の系統認識と、その制御系統に対応するソフトウェアの選択が可能となる。
なお、CPU12a,12bは、ステップS17において、系統認識が完了していないと判断した場合、処理をステップS11に戻して、再度、制御系統の認識処理を行う。
次に、上述したモータ制御装置における系統故障処理について説明する。電動パワーステアリング用モータ制御装置において、モータ制御装置1a,1bの一方がメイン系統としてのアシスト処理を行い、他方がサブ系統としてのアシスト処理を行うためには、制御部(CPU)12a,12bそれぞれが自己の系統を正常に認識する必要がある。例えば、CPU12a,12bの一方あるいは双方が自己の系統認識を誤ることで、双方ともメイン系統、あるいは双方ともサブ系統と誤判断される場合が想定される。
その場合、CPU12a,12bが、自己の制御系統を読み取った後、CPU間の通信により判断結果を互いにやり取りして、一方がメイン系統、他方がサブ系統となっていることを確認する。
また、電動パワーステアリング用モータ制御装置の出荷時等において、あらかじめメモリ33a,33b内に系統判断のための認識値を設定しておき、CPU12a,12bによるCPU間の通信により、例えば誤り検出値信号であるCRC(Cyclic Redundancy Check)信号によって、上記設定した認識値(以下、書込み設定認識値という)の妥当性を常時、監視する。
さらに、図5に示すように、モータ制御装置1a,1bのCPU12a,12bそれぞれに故障検出部41a,41bを設けることで、種々の系統故障に対処する。故障検出部41a,41bは、自己の現在の系統認識値である系統認識信号発生部37a,37bからの系統認識信号値と、あらかじめ設定した上記書込み設定認識値とを比較する。
例えば、故障検出部41aにおいて、系統認識信号値と書込み設定認識値とが系統Aに対応する値として一致しており、かつ、故障検出部41bにおいて、系統認識信号値と書込み設定認識値とが系統Bに対応する値として一致している場合、系統認識が正常に行われたと判断する。
一方、故障検出部41a,41bにおいて、系統認識信号値と書込み設定認識値とに不一致が発生したことが検知された場合には、CPU12a,12bによるCPU間の通信によって、例えば、系統認識信号値と、書込み設定認識値と、CPU間の通信によって得た相手系統の情報との多数決により系統認識に関する故障内容を特定し、いずれの認識結果が正しいかを決定する。
そして、CPU12a,12bは、その決定にしたがって自己の系統認識を代替し、一方がメイン系統、他方がサブ系統としてのアシスト処理を実行する。こうすることで、系統認識の故障が発生しても、モータ制御装置によるアシスト動作の継続が停止される状態を回避できる。
このように、得られた複数の比較結果を照合、あるいは多数決をとる等の方法で故障内容を特定できる。また、複数の制御系統からなる冗長構成において、制御系統間で認識値を容易に送受信でき、それにより取得した認識値をモータ制御に反映できる。
なお、系統認識信号値と書込み設定認識値とが一致しない故障系統を停止し、一致している正常系統のみでアシストを継続してもよい。あるいは、CPU間の通信によりメイン系統に不一致を通知し、メイン系統のみでアシスト継続をしてもよい。
また、通常時には、書込み設定認識値は、上述したCRCにより妥当性が担保されるとともに、容易に書き換えのできない不揮発性メモリに格納されていることから、より認識値の確からしさが保障される。そのため、特定ポートから読み込んだ系統認識信号値に優先させて書込み設定認識値を使用して、系統判断を行ってもよい。
一方、電動パワーステアリング用モータ制御装置の立上げ等において、書込み設定認識値に異常が認められた場合には、CPU12a,12bのポート情報としての系統認識信号値を使用して系統判断を行ってもよい。
さらには、例えば温度等の使用環境、配線の引き回し等の影響でIG電圧がふらつき、IG電圧値を監視した結果、メイン系統の電圧が正常であっても、サブ系統の電源が起動していない、あるいは動作に必要な電圧値が出力されない状況も想定される。この場合、サブ系統を故障系統として停止し、正常系統であるメイン系統のみでアシストを継続してもよい。
上記のようにメイン系統とサブ系統の2系統のうち、正常な1系統で操舵アシストを行うことで、2系統が正常であるときの少なくとも50%の操舵アシスト継続を行える。
なお、CPU12a,12bは、上記のようにリアルタイムの相互通信が可能に構成されているため、各CPUは、系統認識故障のみならず、相手系統での他の故障内容をやり取りして相互に動作状態を監視し、その故障内容に応じたアシストを継続することも可能である。その結果、故障の種類、度合い等に応じたアシスト機能を提供できる。
以上説明したように、本実施形態に係る電動パワーステアリング用モータ制御装置は、複数系統(例えば2系統)の冗長構成を有するモータ制御装置を備え、各モータ制御装置の制御部(CPU)の動作プログラムを記憶する各メモリに同一のソフトウェアを格納する。そして、各系統のCPUそれぞれが、格納されたソフトウェアから、自律的に自己の系統の制御に必要なソフトウェアを選択して実行する。
このように冗長構成となる複数の制御系統ごとのCPUが、自己の属する系統を認識して、その系統に応じて自律的にソフトウェアを選択し、動作を変えることで、各CPUが各系統に対応した処理・動作に柔軟に対応できる。すなわち、メイン系統とサブ系統それぞれの制御系統に対応したソフトウェアによる処理・動作を確実に実行できる。
複数の制御系統ごとのCPU各々に、複数の系統に対応するすべてのソフトウェアを格納することで、複数の系統に対応させた個別のソフトウェアを開発して、それらを個別にメモリに格納する必要がなく、ソフトウェアの開発工数、開発コストを減らすことができ、ソフトウェア管理も容易になる。
また、複数のメモリに同一のソフトウェアを格納するので、制御対象装置を誤認して本来とは異なるソフトウェアを書き込むといった書き込み誤りを防止できる。その結果、生産時におけるソフトウェアの書き込み作業を迅速化でき、信頼性を確保できる。
一方、複数のメモリに同一のソフトウェアを格納することで、ソフトウェアの更新時においても、更新機能に関する開発コストの低減、開発期間の短縮を実現できる。また、複数の系統に共通する部分のソフトウェアの切替え、書換えが不要になり、あるいは簡単に行える。
さらには、制御部(CPU)が自己の系統を正常に認識しなかった等の認識障害が発生した場合、CPU間通信により得た相手系統の情報をもとに多数決を採る等によって故障内容の特定、認識結果の正当性を決定するので、正常な他の系統の動作継続によって電動パワーステアリングが駆動され、操舵アシストの維持が可能となる。
例えば、電動パワーステアリングシステムに上述した電動パワーステアリング用モータ制御装置を備えることで、自律的に認識した制御系統に対応するソフトウェアにしたがってアシスト制御動作を変えて、その制御系統に対応した動作、例えば故障検知と操舵アシストを迅速かつ確実に実行できる。
1a,1b モータ制御装置
2 ステアリングハンドル
3 回転軸
4 減速ギア
6 ピニオンギア
7 ラック軸
9a,9b トルクセンサ
10 電動パワーステアリングシステム
11a,11b 角度センサ
12a,12b 制御部(CPU)
13a,13b インバータ制御部
14a,14b インバータ回路
15 電動モータ
15a,15b 3相巻線
16a,16b フィルタ
17a,17b 電源リレー
18a,18b 入力I/F
19a,19b CANI/F
20a,20b 電源部
21a,21b 電源制御部
23 バッテリBTとIG-SW間の信号線
27H,27L CAN信号線
27Ha,27Hb CAN−Hライン
27La,27Lb CAN−Lライン
31 イグニッションスイッチ(IG-SW)
33a,33b メモリ
37a,37b 系統認識信号発生部
41a,41b 故障検出部
BT バッテリ
2 ステアリングハンドル
3 回転軸
4 減速ギア
6 ピニオンギア
7 ラック軸
9a,9b トルクセンサ
10 電動パワーステアリングシステム
11a,11b 角度センサ
12a,12b 制御部(CPU)
13a,13b インバータ制御部
14a,14b インバータ回路
15 電動モータ
15a,15b 3相巻線
16a,16b フィルタ
17a,17b 電源リレー
18a,18b 入力I/F
19a,19b CANI/F
20a,20b 電源部
21a,21b 電源制御部
23 バッテリBTとIG-SW間の信号線
27H,27L CAN信号線
27Ha,27Hb CAN−Hライン
27La,27Lb CAN−Lライン
31 イグニッションスイッチ(IG-SW)
33a,33b メモリ
37a,37b 系統認識信号発生部
41a,41b 故障検出部
BT バッテリ
Claims (11)
- 複数の制御系統ごとにCPU(Central Processing Unit)を備えたモータ制御装置であって、
前記CPUは、
前記複数の制御系統に対応する複数のソフトウェアを格納する手段と、
前記複数の制御系統の系統認識信号を認識する手段と、
前記認識結果をもとに前記複数のソフトウェアより特定のソフトウェアを選択する選択手段と、
前記選択されたソフトウェアに応じた系統の動作を実行するよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記複数のソフトウェアは、前記複数の制御系統であるメイン系統とサブ系統それぞれに対応するソフトウェアからなることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記メイン系統に対応するソフトウェアと前記サブ系統に対応するソフトウェアとが同一の格納手段に格納されていることを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
- 前記系統認識信号には、少なくとも、前記CPUの所定ポートに印加される所定電位に基づく信号が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
- 前記メイン系統に対応するソフトウェアと前記サブ系統に対応するソフトウェアそれぞれが、該メイン系統と該サブ系統とに共通するソフトウェアを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
- 前記系統認識信号が示す現在の認識値と、あらかじめ不揮発性メモリに書き込んだ初期設定値とを比較する手段と、
前記比較結果をもとに前記複数の制御系統の故障を検知する故障検知手段と、
前記故障が検知された制御系統の動作継続をアシストする手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。 - 前記故障検知手段は、自己の制御系統における前記比較の結果と、他の制御系統における認識値との比較の結果をもとに前記複数の制御系統の故障を検知することを特徴とする請求項6に記載のモータ制御装置。
- 前記他の制御系統における認識値を前記制御手段間の通信により取得することを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。
- 車両等の運転者のハンドル操作をアシスト制御する電動パワーステアリング用モータ制御装置であって、
前記運転者の操舵を補助する電動モータと、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のモータ制御装置により前記電動モータを駆動制御する手段と、
を備えることを特徴とする電動パワーステアリング用モータ制御装置。 - 前記複数の制御系統で検知された故障に応じて前記アシスト制御の中止または継続を行うことを特徴とする請求項9に記載の電動パワーステアリング用モータ制御装置。
- 請求項9または10に記載の電動パワーステアリング用モータ制御装置を備えたことを特徴とする電動パワーステアリングシステム。
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