以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
図1および図2を参照して、一実施形態に係る電子機器の構成を説明する。この電子機器はユーザが携行可能な電子機器であり、キーボードを備えている。この電子機器は、CPUや半導体メモリ等の半導体チップやソリッドステートドライブ(SSD)等のストレージデバイスを内蔵し得るが、ディスプレイは備えない。以下では、この電子機器をキーボードPC1と称して例示する。
図1および図2に示すように、キーボードPC1の筐体160は、第1保持部161、第2保持部162、および第1保持部161と第2保持部162とを接続(支持)するヒンジ163を備える。ヒンジ163は、例えば、第1保持部161と第2保持部162とが隣り合う境界部分の上部で、第1保持部161と第2保持部162とを接続している。
第1保持部161の上面161aには第1キー群121−1が配置され、第2保持部162の上面162aには第2キー群121−2とタッチパッド140とが配置されている。第1キー群121−1と第2キー群121−2とはキーボード120を構成する。すなわち、第1保持部161および第2保持部162にはキーボード120が組み込まれている。なお、1つのキーが第1保持部161と第2保持部162とに跨って配置されることはない。
タッチパッド140は、その表面上の指の接触位置を検出するように構成されたセンサを備える。このセンサは、表面上に接触されている間の指の動きも検出できる。
第1キー群121−1および第2キー群121−2の各キーは、ユーザがキーを押し下げる操作に応じて、割り当てられた信号をキーボードPC1に入力するために用いられる。各キーは例えば機械式のキーとして実現される。例えば、キー121Gは文字“G”を示す信号を入力可能なキーである。キー121Hは文字“H”を示す信号を入力可能なキーである。キー122はスペース(空白)を示す信号を入力可能なキーである。
図1に示す例では、キー121Gとキー121Hとの間の間隙(あるいはタッチパッド140とスペースキー122の間の間隙)を境にして、キーボード120に含まれるキー群121−1,121−2が、第1保持部161の上面161aと第2保持部162の上面162aとに分割されている。
第2保持部162の左側面162mには、信号の入出力のための入出力端子群130と、電源ボタン162nとが設けられている。入出力端子群130は、例えば、HDMI(登録商標)端子131、USB Type−C規格(登録商標)のレセプタクル132、HP端子133等を含む。
電源ボタン162nは、ユーザによる押し下げ操作に応じて、電源オフ状態のキーボードPC1を電源オン状態に移行させ、電源オン状態のキーボードPC1を電源オフ状態に移行させるために用いられる。電源ボタン162nは、キーボードPC1が電源オン状態と電源オフ状態のいずれであるかをユーザが認識できるように、LEDのような発光部を備えていてもよい。発光部は、例えば、キーボードPC1が電源オン状態である場合に点灯し、キーボードPC1が電源オフ状態である場合に消灯する。
また、第2保持部162の前面162jには指紋センサ162kが設けられている。指紋センサ162kは、ユーザの指紋を用いた認証処理に用いられる。
第2保持部162は、ヒンジ163を介して(すなわちヒンジ163を回転中心軸として)、第1保持部161の上面161aが露出される開放位置と、第1保持部161の上面161aを第2保持部162の上面162aが覆う閉塞位置との間を回動自在に、第1保持部161に取り付けられている。あるいは、第1保持部161は、ヒンジ163を介して、第2保持部162の上面162aが露出される開放位置と、第2保持部162の上面162aを第1保持部161の上面161aが覆う閉塞位置との間を回動自在に、第2保持部162に取り付けられているとも云える。
つまり、筐体160は、第1保持部161と第2保持部162の少なくとも一方を回動させることにより、分割されたキーボード120が内包されるように折り畳み可能であると共に、キーボード120が平面状に配置されるように広げることもできる。キーボード120が平面状に配置された状態の第1保持部161および第2保持部162は、中央よりも両端の高さ方向の厚みが薄く形成されている。
図2は、キーボード120が内包されるように折り畳まれた状態のキーボードPC1を示す。折り畳まれたキーボードPC1は片手で把持可能であり、小型で軽量である。このため、折り畳まれたキーボードPC1は服のポケット、ベルトに装着されるホルスタ、あるいはショルダーケースに収納できる。なお、以下で述べる右側面・左側面・下面は、図1に示すキーボードPC100の開放位置を基準とした向きに対応する。
図2に示すように、第2保持部162の右側面162cには、SIMカードスロット162hと開閉センサ162lとが設けられている。SIMカードスロット162hは、SIMカードを挿入するためのスロットである。
開閉センサ162lは、例えば光学センサであり、第1保持部161の左側面161cが近接しているか否かを検出する。開閉センサ162lは、筐体160が折り畳まれた状態で第1保持部161の上面161aに対向する第2保持部162の上面162aに設けられてもよい。
また、第2保持部162の下面162eにはカメラ162iが設けられている。
キーボードPC1には入出力端子群130を用いて様々なデバイスを接続できる。図3は、キーボードPC1にウェアラブルデバイス3が接続される例を示す。
ウェアラブルデバイス3は、ユーザの身体(例えば、腕、首、頭、等)に装着可能なウェアラブル機器である。ウェアラブルデバイス3としては、メガネ型、ブレスレット型、腕時計型、ヘッドフォン型等のウェアラブルデバイスを使用することができる。以下では、ウェアラブルデバイス3がメガネ型ウェアラブルデバイスである場合を例示する。
ウェアラブルデバイス3は、メガネフレーム3Aとウェアラブルデバイス本体3Bとを備える。メガネフレーム3Aは一般的なメガネからレンズを取り除いた形状でもよく、ユーザの顔に装着される。
ウェアラブルデバイス本体3Bはケーブル4を介してキーボードPC1に接続される。このケーブル4は、例えばUSB Type−C規格のケーブルである。この場合、ケーブル4の一端のプラグがウェアラブルデバイス本体3Bに接続され、他端のプラグがキーボードPC1のUSB Type−C レセプタクル132に接続(挿入)される。これにより、ウェアラブルデバイス本体3BとキーボードPC1とはケーブル4を介して各種のデータや信号を伝送できる。なお、キーボードPC1とウェアラブルデバイス本体3Bとは、他の規格に基づく有線通信によりデータを伝送してもよいし、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)等の無線通信によりデータを伝送してもよい。
ウェアラブルデバイス本体3Bは表示部(ディスプレイ)を備える。この表示部には、キーボードPC1から送出された表示信号に基づく画像が表示され得る。表示部は、光学シースルー型の表示部であってもよいし、ビデオシースルー型の表示部であってもよい。
ユーザは、表示部に表示される画像を見ながら、キーボード120やタッチパッド140を用いてキーボードPC1を操作できる。ウェアラブルデバイス本体3Bによって表示される画像は、ウェアラブルデバイス3を装着しているユーザ以外のユーザには見えない。そのため、ウェアラブルデバイス3が表示機器として用いられることにより、例えば不特定の人々が存在する場所でも、ユーザは秘匿性を有する情報が表示され得る作業を行うことができる。例えば、ユーザはパスワードのような秘匿されるべき情報がウェアラブルデバイス3の画面に表示された状態で、その情報を確認しながら、作業を行うことができる。
なお、秘匿性のない情報が表示される場合には、キーボードPC1に、例えばHDMI端子131を介してLCDのような表示機器を接続して利用することもできる。
図4はキーボードPC1とウェアラブルデバイス本体3Bのシステム構成例を示す。キーボードPC1とウェアラブルデバイス本体3Bとは、例えばUSB Type−C規格に準拠したケーブル4を介して接続されている。
キーボードPC1は、CPU21、RAM22、BIOS−ROM23、ポートコントローラ24、ストレージデバイス25、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)26、等を備える。これらのコンポーネントは、キーボードPC1の筐体160内に設けられている。
CPU21は、キーボードPC1内の様々なコンポーネントの動作を制御するプロセッサである。CPU21は、BIOS−ROM23に格納された基本入出力システムソフトウェア(BIOS)を実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムを含む。CPU21は、キーボードPC1が電源オンされたことに応じてBIOSの実行を開始する。実行されたBIOSは、BIOSよりも後にキーボードPC1上で実行されるシステムソフトウェア(例えばオペレーティングシステム(OS)221)の起動を制御する。
CPU21は、ストレージデバイス25からRAM22にロードされる様々なプログラムを実行し得る。これらプログラムには、OS221、および様々なアプリケーションプログラムが含まれている。アプリケーションプログラムには、ユーティリティプログラム222が含まれている。このユーティリティプログラム222は、キーボードPC1に接続することが許可されたウェアラブルデバイス3のIDを、認可されたID(すなわち認証済みのID)として登録するための機能、キーボードPC1の電源オン時にウェアラブルデバイス3のIDの検証を行うか否か(すなわちデバイスチェックモードのオン/オフ)を設定するための機能、等を有する。
CPU21は、RAM22をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵している。また、CPU21は、ディスプレイモニタとして使用されるウェアラブルデバイス本体3Bを制御する表示プロセッサとしても機能する。CPU21は生成した表示信号を、ポートコントローラ24を介してウェアラブルデバイス本体3Bに送信する。
ポートコントローラ24は、入出力端子130を介したキーボードPC1とウェアラブルデバイス本体3Bとの間の接続を確立し、この接続により伝送されるデータまたは信号を制御する。ポートコントローラ24は、例えばUSB Type−C規格に準拠した制御を行う。この場合、ポートコントローラ24は、CPU21によって送信が要求されるデータまたは信号を、USB Type−Cレセプタクル132に接続されたケーブル4を介してウェアラブルデバイス本体3Bに送信する。また、ポートコントローラ24は、USB Type−Cレセプタクル132に接続されたケーブル4を介してウェアラブルデバイス本体3Bからデータまたは信号を受信し、CPU21に送出する。
なお、CPU21は、ポートコントローラ24を介することなく、ウェアラブルデバイス本体3Bとの間でデータまたは信号を伝送してもよい。
EC/KBC26は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード120およびタッチパッド140を制御するためのキーボードコントローラとを含むワンチップマイクロコンピュータである。EC/KBC26は、ユーザによる電源ボタン162nの操作に応じてキーボードPC1を電源オン又は電源オフする機能(すなわち電力を供給するか、遮断するかを制御する機能)を有している。EC/KBC26は電源回路を介して供給される電力を制御する。この電力は、例えば、ACアダプタを介して接続される外部電源や、バッテリによって供給される。
ウェアラブルデバイス本体3Bは、プロセッサ31、表示部32、ROM33等を備える。プロセッサ31は、例えばマイクロプロセッサであり、ウェアラブルデバイス本体3B内の各部を制御する。プロセッサ31は、ケーブル4を介して、データまたは信号をキーボードPC1に送信すると共に、キーボードPC1からデータまたは信号を受信する。
例えば、キーボードPC1から受信した信号が表示信号である場合、プロセッサ31はこの表示信号を表示部32に送出する。表示部32は表示信号に基づいて画面画像を表示する。表示部32は、表示部32に表示される画像がウェアラブルデバイス3を装着したユーザのみに視認できる位置(例えば眼前)に設けられ得る。
ROM33はデバイスID33A等のデータを格納する。デバイスID33Aは、ウェアラブルデバイス3を一意に識別可能な情報であり、例えばデバイスID、製造番号、個別ID等である。
ところで、ディスプレイを備えるコンピュータやディスプレイに接続されたコンピュータでは、ユーザがパスワードを入力していることや入力されたパスワードが他のユーザに見られる可能性がある。また、ディスプレイが設けられていないコンピュータやディスプレイに接続されていないコンピュータでは、ユーザが視覚的な情報を何等得られないので、システムの起動時にパスワードを入力するタイミングが分からず、パスワードを入力する操作を行うことが困難である。
そのため本実施形態において、ディスプレイが設けられていないキーボードPC1は、電源オンされた後に、キーボード120を用いて入力された文字列を受け付け、この文字列がパスワードと一致する場合にシステムを起動する。したがって、キーボードPC1は、画面に何等情報を表示することなく(すなわちパスワードとして入力した文字列を他のユーザに見られることなく)、パスワードによる認証を行うことができるので、セキュリティを強化できる。
なお、キーボードPC1は、入力された文字列を、上述したメガネ型のウェアラブルデバイス3に設けられる表示部に表示してもよい。この場合、ウェアラブルデバイス3を装着しているユーザだけは入力している文字列を確認できると共に、このユーザ以外のユーザには入力された文字列が見えないので、セキュリティも強化できる。
さらに、キーボードPC1に接続されたウェアラブルデバイス3のデバイスID33Aが認可ID252と一致するか否かを判定するデバイスIDによる認証を組み合わせて、キーボードPC1のセキュリティをさらに強化することもできる。
また上述したように、キーボードPC1には指紋センサ162kが設けられている。指紋センサ162kを用いた認証もシステム起動のトリガとなり得る。具体的には、キーボードPC1は、指紋センサ162kを用いた認証が成功した場合にシステムを起動し得る。
しかしながら、コストダウンのため指紋センサがないモデルであったり、ユーザが指紋センサ162kを有効にしていない場合、キーボードPC1では、パスワード/デバイスIDによる認証が行われる。つまり、指紋センサ162kがないモデルや、パスワードによる認証をユーザが選択した場合に、キーボードPC1はパスワードによる認証を経てシステムを起動する。
したがって、ユーザが指紋センサ162kの機能を無効にしている場合や、指紋センサ162kを用いた認証を無効にしている場合には、上述したパスワード/デバイスIDによる認証でキーボードPC1のセキュリティを強化できる。さらに、コストダウンのために指紋センサ162kが設けられていないキーボードPC1でも、パスワードによる認証でセキュリティを強化できる。
図5はキーボードPC1の機能構成例を示す。ここでは、キーボードPC1のシステムの起動制御が、BIOS23Aを実行するCPU21によって実現される場合を例示する。BIOS23Aは、BIOS−ROM23に格納され、キーボードPC1が電源オンされたことに応じて、CPU21によって実行される。
BIOS23Aは、例えば、パスワード認証部231、起動制御部232、デバイス認証部233、表示制御部234を備える。CPU21はBIOS23Aを実行することにより、これら各部231,232,233,234として機能し得る。
キーボードPC1内の、例えばストレージデバイス25に設けられる検証情報格納領域25Aには、パスワード251と認可ID(認可識別情報)252とが保存されている。パスワード251と認可ID252とは、BIOS23A、OS221、またはユーティリティプログラム222を用いて、予め設定され、変更可能である。
パスワード認証部231はパスワードによる認証処理を行う。つまり、パスワード認証部231はパスワードが正しく入力されたか否かを判定する。
より具体的には、パスワード認証部231は、キーボードPC1が電源オンされた後に、キーボード120を用いて入力された文字列を受け付ける。なお、キーボードPC1が電源オンされるとき、あるいはキーボードPC1が電源オンされた後、ユーザが第1保持部161と第2保持部162の少なくとも一方を回動させることにより、第1保持部161の上面161aと第2保持部162の上面162aとは露出されている。つまり、キーボード120を内包するように折り畳まれていた筐体160は、キーボード120が平面状に配置されるように広げられている。ユーザは、平面状に配置されたキーボード120を用いて文字列を入力できる。
パスワード認証部231は、入力された文字列が、検証情報格納領域25Aに保存されたパスワード251と一致するか否かを判定する。パスワード認証部231は、入力された文字列が、検証情報格納領域25Aに保存されたパスワード251と一致するならば、パスワードが正しく入力されたと判断する。一方、入力された文字列が、検証情報格納領域25Aに保存されたパスワード251と一致しないならば、パスワード認証部231はパスワードが誤って入力されたと判断する。
デバイス認証部233はウェアラブルデバイス3のIDによる認証処理を行う。つまり、デバイス認証部233は、キーボードPC1に接続されているウェアラブルデバイス3が、認可ID252を有するデバイスであるか否かを判定する。
より具体的には、デバイス認証部233は、ポートコントローラ24を介して、ウェアラブルデバイス3に対してデバイスID33Aの送信を要求する。ウェアラブルデバイス3(より詳しくはプロセッサ31)は、この要求に応じて、ROM33からデバイスID33Aを読み出し、読み出されたデバイスID33AをキーボードPC1に送出する。これにより、デバイス認証部233はウェアラブルデバイス3のデバイスID33Aを取得する。あるいは、デバイスID33Aはウェアラブルデバイス3とキーボードPC1との間の接続が確立される際に既に取得されていたものであってもよい。
デバイス認証部233は、取得されたデバイスID33Aが、検証情報格納領域25Aに保存された認可ID252と一致するか否かを判定する。デバイス認証部233は、取得されたデバイスID33Aが、検証情報格納領域25Aに保存された認可ID252と一致するならば、ウェアラブルデバイス3が認可ID252を有するデバイスであると判断する。一方、デバイス認証部233は、取得されたデバイスID33Aが、検証情報格納領域25Aに保存された認可ID252と一致しないならば、ウェアラブルデバイス3が認可ID252を有するデバイスではないと判断する。
なお、ユーザが装着し得る複数のウェアラブルデバイス3にそれぞれ対応する複数のデバイスIDが、認可ID252として検証情報格納領域25Aに保存されていてもよい。その場合、デバイス認証部233は、認可ID252として保存されている複数のデバイスIDのいずれかが、接続されているウェアラブルデバイス3のデバイスID33Aと一致するか否かを判定する。
起動制御部232は、パスワード認証の結果とデバイスID認証の結果の少なくとも一方に基づいて、キーボードPC1のシステムの起動を制御する。このシステムは、BIOS23Aの後にキーボードPC1上で実行されるシステムソフトウェアであり、例えばOS221を含む。キーボードPC1のシステムが起動されるケースは、例えば、
(1)入力された文字列がパスワード251と一致する場合と、
(2)入力された文字列がパスワード251と一致し、且つ接続されているウェアラブルデバイス3のIDが認可ID252と一致する場合と、
(3)入力された文字列がパスワード251と一致していないが、接続されているウェアラブルデバイス3のIDが認可ID252と一致する場合と、
(4)接続されているウェアラブルデバイス3のIDが認可ID252と一致していないが、入力された文字列がパスワード251と一致する場合である。
表示制御部234は、キーボードPC1に接続されているウェアラブルデバイス3の表示部32(画面)に表示される画像を制御する。
表示制御部234は、ウェアラブルデバイス3の表示部32に、キーボード120を用いて入力された文字列が表示されるように制御する。表示制御部234は、例えば、キーボード120を用いて入力された文字列を画面に表示するための表示信号を、ポートコントローラ24を介してウェアラブルデバイス3に送信する。ウェアラブルデバイス3の表示部32は、この表示信号を用いて、入力された文字列を含む画面画像を表示する。
また、表示制御部234は、ウェアラブルデバイス3の表示部32に、パスワード認証の結果やデバイスID認証の結果が表示されるように制御してもよい。表示制御部234は、パスワード認証の結果やデバイスID認証の結果を画面に表示するための表示信号を、ポートコントローラ24を介してウェアラブルデバイス3に送出し得る。
パスワード認証の結果やデバイスID認証の結果としては、例えば、入力された文字列がパスワード251と一致しなかったエラー、ウェアラブルデバイス3のデバイスID33Aが認可ID252と一致しなかったエラー等が表示され得る。表示制御部234は、例えば、(A)入力された文字列がパスワード251と一致しない場合、(B)入力された文字列がパスワード251と一致したが、ウェアラブルデバイス3のデバイスID33Aが認可ID252と一致しない場合、(C)入力された文字列がパスワード251と一致せず、且つウェアラブルデバイス3のデバイスID33Aが認可ID252と一致しない場合、あるいは(D)ウェアラブルデバイス3のデバイスID33Aが認可ID252と一致したが、入力された文字列がパスワード251と一致しない場合に、ウェアラブルデバイス3の表示部32にエラーを示す情報が表示されるように制御する。
より具体的には、表示制御部234は、ウェアラブルデバイス3に対して、パスワードが誤って入力されたことを示す情報を画面に表示するための表示信号を送出してもよいし、ウェアラブルデバイス3のIDが認可ID252ではないことを示す情報を画面に表示するための表示信号を送出してもよい。ウェアラブルデバイス3の表示部32は、表示信号を用いて、パスワードが誤って入力されたことを示す情報を含む画面画像や、ウェアラブルデバイス3のIDが認可ID252ではないことを示す情報を含む画面画像を表示する。
あるいは、入力された文字列がパスワード251と一致したこと、ウェアラブルデバイス3のデバイスID33Aが認可ID252と一致したこと等が表示部32に表示されてもよい。
図6は認可ID252の一構成例を示す。認可ID252には、キーボードPC1に接続して利用することが許可された1つ以上のウェアラブルデバイス3にそれぞれ対応する1つ以上の識別情報が含まれる。各識別情報は、対応するウェアラブルデバイス3を一意に識別可能な情報であり、例えばデバイスID、製造番号、個別ID等である。
認可ID252には、例えば、キーボードPC1の使用が許可されたユーザが装着するウェアラブルデバイス3の識別情報が含まれる。したがって、このユーザは、認可ID252として登録された識別情報を有するウェアラブルデバイスをキーボードPC1に接続することにより、キーボードPC1を使用し得る。
図7から図9を参照して、キーボードPC1によって実行される制御処理の手順のいくつかの例を説明する。この制御処理は、例えばBIOS23Aを実行するCPU21によって実現され得る。
図7に示す第1の例では、まず、キーボードPC1は電源オンされたか否かを判定する(ステップS11)。電源オンされていない場合(ステップS11のNO)、ステップS11に戻り、電源オンされたか否かが再度判定される。
電源オンされた場合(ステップS11のYES)、キーボードPC1はパスワードが正しく入力されたか否かを判定する(ステップS12)。キーボードPC1はキーボード120を用いて入力された文字列を受け付け、当該文字列がキーボードPC1内に保存されているパスワード251と一致するか否かを判定する。キーボードPC1は、表示部32を備えるウェアラブルデバイス3のような表示機器がキーボードPC1に接続されている場合、受け付けた文字列を表示機器の画面に表示してもよい。キーボードPC1は、受け付けた文字列と保存されたパスワード251とが一致するか否かを判定する。キーボードPC1は、一致した場合にパスワードが正しく入力されたと判断し、一致しない場合にパスワードが誤って入力されたと判断する。
パスワードが正しく入力された場合(ステップS12のYES)、キーボードPC1は、キーボードPC1上で実行されるシステム(OS221等)を起動する(ステップS13)。これにより、ユーザはキーボードPC1の利用を開始できる。
一方、パスワードが誤って入力された場合(ステップS12のNO)、キーボードPC1はエラーを表示し(ステップS14)、ステップS11に戻る。キーボードPC1は、表示部32を備えるウェアラブルデバイス3のような表示機器がキーボードPC1に接続されている場合に、パスワードの誤りをユーザに通知するための情報を表示機器の画面に表示する。表示機器がキーボードPC1に接続されていない場合、キーボードPC1はエラーを表示しなくてもよい。
以上により、キーボードPC1は、パスワードが正しく入力された場合に、BIOS23Aの後に実行されるシステム(OS221等)が起動されるように制御できる。
図8に示す第2の例では、キーボードPC1にウェアラブルデバイス3が接続されていることを想定する。
まず、キーボードPC1は電源オンされたか否かを判定する(ステップS21)。電源オンされていない場合(ステップS21のNO)、ステップS21に戻り、電源オンされたか否かが再度判定される。
電源オンされた場合(ステップS21のYES)、キーボードPC1はパスワードが正しく入力されたか否かを判定する(ステップS22)。キーボードPC1はキーボード120を用いて入力された文字列を受け付け、当該文字列がパスワード251と一致するか否かを判定する。
パスワードが正しく入力された場合(ステップS22のYES)、キーボードPC1は、ウェアラブルデバイス3のID33Aを取得し、取得されたIDが認可ID252であるか否かを判定する(ステップS23)。つまり、キーボードPC1は、キーボードPC1内に保存された1つ以上の認可ID252の1つと、取得されたウェアラブルデバイス3のID33Aとが一致するか否かを判定する。取得されたウェアラブルデバイス3のID33Aが認可ID252である場合(ステップS23のYES)、キーボードPC1は、キーボードPC1上で実行されるシステムを起動する(ステップS24)。これにより、ユーザはキーボードPC1の利用を開始できる。
また、パスワードが誤って入力された場合(ステップS22のNO)、あるいは取得されたウェアラブルデバイス3のID33Aが認可ID252でない場合(ステップS23のNO)、キーボードPC1はエラーを表示し(ステップS25)、ステップS21に戻る。
以上により、キーボードPC1は、パスワードが正しく入力され、且つ接続されたウェアラブルデバイス3のIDが認可ID252である場合に、キーボードPC1のシステムが起動されるように制御できる。なお、図8のフローチャートではステップS22の後にステップS23が実行される例を示したが、ステップS23の後にステップS22が実行されてもよい。つまり、接続されたウェアラブルデバイス3のID33Aが認可ID252である場合に、入力された文字列がパスワード251と一致するか否かを判定してもよい。
図9に示す第3の例でも、図8に示した例と同様に、キーボードPC1にウェアラブルデバイス3が接続されていることを想定する。
まず、キーボードPC1は電源オンされたか否かを判定する(ステップS31)。電源オンされていない場合(ステップS31のNO)、ステップS31に戻り、電源オンされたか否かが再度判定される。
電源オンされた場合(ステップS31のYES)、キーボードPC1はパスワードが正しく入力されたか否かを判定する(ステップS32)。キーボードPC1はキーボード120を用いて入力された文字列を受け付け、当該文字列がパスワード251と一致するか否かを判定する。パスワードが正しく入力された場合(ステップS32のYES)、キーボードPC1は、キーボードPC1上で実行されるシステムを起動する(ステップS33)。これにより、ユーザはキーボードPC1の利用を開始できる。
パスワードが誤って入力された場合(ステップS32のNO)、キーボードPC1は、ウェアラブルデバイス3のID33Aを取得し、取得されたID33Aが認可ID252であるか否かを判定する(ステップS34)。つまり、キーボードPC1は、キーボードPC1内に保存された1つ以上の認可ID252の1つと、取得されたウェアラブルデバイス3のID33Aとが一致するか否かを判定する。取得されたウェアラブルデバイス3のID33Aが認可ID252である場合(ステップS34のYES)、キーボードPC1は、キーボードPC1上で実行されるシステムを起動する(ステップS33)。
一方、取得されたウェアラブルデバイス3のID33Aが認可ID252でない場合(ステップS34のNO)、キーボードPC1はエラーを表示し(ステップS35)、ステップS31に戻る。
以上により、パスワードが正しく入力されたか、あるいは接続されたウェアラブルデバイス3のID33Aが認可ID252である場合に、キーボードPC1のシステムが起動されるように制御できる。なお、図9のフローチャートではステップS32の後にステップS34が実行される例を示したが、ステップS34の後にステップS32が実行されてもよい。つまり、接続されたウェアラブルデバイス3のID33Aが認可ID252でない場合に、入力された文字列がパスワード251と一致するか否かを判定してもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、セキュリティを強化できる。キーボード120は、キーボードPC1の筐体160の一面に設けられる。筐体160は、キーボード120を内包するように、この一面を折り畳み可能である。パスワード認証部231は、キーボードPC1が電源オンされた後に、キーボード120を用いて入力された文字列を受け付ける。起動制御部232は、入力された文字列がパスワード251と一致する場合、キーボードPC1上で実行されるシステム(例えばOS221)を起動する。これにより、パスワードが正しく入力された場合にキーボードPC1のシステムが起動されるので、キーボードPC1のセキュリティを強化できる。また、キーボードPC1に接続されたウェアラブルデバイス3のデバイスID33Aが認可ID252と一致するか否かを判定する認証を組み合わせて、キーボードPC1のセキュリティをさらに強化することもできる。
また、本実施形態に記載された様々な機能の各々は、回路(処理回路)によって実現されてもよい。処理回路の例には、中央処理装置(CPU)のような、プログラムされたプロセッサが含まれる。このプロセッサは、メモリに格納されたコンピュータプログラム(命令群)を実行することによって、記載された機能それぞれを実行する。このプロセッサは、電気回路を含むマイクロプロセッサであってもよい。処理回路の例には、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、コントローラ、他の電気回路部品も含まれる。本実施形態に記載されたCPU以外の他のコンポーネントの各々もまた処理回路によって実現されてもよい。
また、本実施形態の各種処理はコンピュータプログラムによって実現することができるので、このコンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのコンピュータプログラムをコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。