JP2020148338A - 油圧装置の異常検出装置、油圧装置および加工母機 - Google Patents
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Abstract
【課題】検出精度のさらなる向上を図った油圧装置の異常検出装置を提供する。【解決手段】異常検出装置104は、油圧装置の油路106に配置されたスプール位置検出器付き電磁弁118に接続され、スプール位置検出器付き電磁弁118のスプール132が所定の区間を移動するためにかかる応答時間を繰り返し取得する監視部504と、作動油の温度を測定する温度センサ119から取得された油温信号に基づいて、前記応答時間を取得時の前記作動油の温度に応じて補正した補正後応答時間を算出し、複数の前記補正後応答時間を用いた所定の算出値を算出する温度補正部508と、前記算出値が所定のしきい値を超えたか否か判定する判定部510と、前記算出値が前記しきい値を超えた場合にユーザに通知を行う通知部512と、を備える。【選択図】図5
Description
本発明は、油圧装置の電磁弁の異常を検出する異常検出装置に関し、特に電磁弁のスプールの位置を検出することができるスプール位置検出器付き電磁弁を利用した油圧装置の異常検出装置に関する。
産業機械及び建設機械で使用される油圧装置は、シリンダや油圧モータ等のアクチュエータを有する加工母機に作動油を供給する装置である。ここで、油圧装置には、従来から電磁コイルの吸引力によってスプールを移動させ、作動油の流れる方向を切り換えるスプール式の電磁弁が広く用いられている。さらに、従来の油圧装置には、作動油の汚染などの油圧装置の異常を早期に検出する異常検出装置が使用されていた。
このような従来の油圧装置の異常検出に関する技術として、特許文献1には、油路にスプール位置検出器付き電磁弁を配置して、スプールの移動に関する応答時間を監視し、その応答時間としきい値とを比較判定することで異常の有無を検出する異常検出装置が開示されている。特許文献1の異常検出装置によれば、応答時間の標準偏差を算出してしきい値と比較することにより、応答時間が突発的に大きな値になった場合にも異常の誤検出が防止され、検出精度を向上させることができるとされている。
しかしながら、油温、すなわち作動油の温度に応じて作動油の粘度が変化するため、低温時と高温時とでスプールの応答時間のばらつきが大きくなることにより、異常の誤判定が生じるおそれがある。このため、油温の変化による影響を考慮したさらに高精度の異常検出装置が必要とされていた。
本発明は前記の問題点を解決するためになされたものであり、検出精度のさらなる向上を図った油圧装置の異常検出装置、油圧装置および加工母機を提供することを課題とする。
本発明に係る油圧装置の異常検出装置は、油圧装置の油路に配置されたスプール位置検出器付き電磁弁に接続され、前記スプール位置検出器付き電磁弁のスプールが所定の区間を移動するためにかかる応答時間を繰り返し取得する監視部と、
作動油の温度を測定する温度センサから取得された油温信号に基づいて、前記応答時間を取得時の前記作動油の温度に応じて補正した補正後応答時間を算出し、複数の前記補正後応答時間を用いた所定の算出値を算出する温度補正部と、
前記算出値が所定のしきい値を超えたか否か判定する判定部と、
前記算出値が前記しきい値を超えた場合にユーザに通知を行う通知部と、
を備えることを特徴とすることを特徴とする。
作動油の温度を測定する温度センサから取得された油温信号に基づいて、前記応答時間を取得時の前記作動油の温度に応じて補正した補正後応答時間を算出し、複数の前記補正後応答時間を用いた所定の算出値を算出する温度補正部と、
前記算出値が所定のしきい値を超えたか否か判定する判定部と、
前記算出値が前記しきい値を超えた場合にユーザに通知を行う通知部と、
を備えることを特徴とすることを特徴とする。
本発明に係る油圧装置の異常検出装置によれば、応答時間を所定の油温に相当する補正後応答時間に補正して異常の有無を判定するため、油温による影響を排除して精度よく異常の有無を判定することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示または説明を省略する。
(第1実施形態の油圧装置の異常検出装置)
図1は、本発明の第1実施形態に係る油圧装置100を示した概略的な構成図である。油圧装置100は、油路106を流れる作動油を媒体として外部の加工母機102に動力を伝達する装置である。油路106は、タンク107の作動油を送り出す油圧ポンプ等を含む油圧源108から出発して加工母機102に接続されていて、作動油の圧力によって加工母機102を駆動させる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る油圧装置100を示した概略的な構成図である。油圧装置100は、油路106を流れる作動油を媒体として外部の加工母機102に動力を伝達する装置である。油路106は、タンク107の作動油を送り出す油圧ポンプ等を含む油圧源108から出発して加工母機102に接続されていて、作動油の圧力によって加工母機102を駆動させる。
本実施形態では、加工母機102の具体例として、プレス機械を想定した構成となっている。加工母機102は、油圧駆動のアクチュエータの例として、油圧シリンダ110を含んでいる。また、加工母機102は、上下移動可能な上型112と、この上型112の下方に配置される下型114とを備えている。油圧シリンダ110は、上型112を上下運動させる要素であって、上型112を下降させて下型114との間に配置されたワーク116をプレスする。
油圧装置100では、油路106に様々な制御弁が配置されている。油圧源108から加工母機102への経路に配置されたスプール位置検出器付き電磁弁である電磁弁118は、作動油の流れる方向を切り換える弁である。リリーフ弁120は、油路106全体の最高圧を制御する弁である。切換弁122は、油路106のオンロード(負荷運転)とアンロード(無負荷運転)とを制御する。切換弁124は、油圧シリンダ110の加圧下降と急速下降とを切り換える。安全弁126は、油圧シリンダ110の異常圧を回避する。カウンタバランス弁128は、油圧シリンダ110の下降時の背圧を確保し、上型112の自重落下を防止する。
電磁弁118の近傍には、温度センサ119が設けられている。この温度センサ119は、油温、すなわち電磁弁118に流れる作動油の温度を測定し、後述する異常検出装置104へ油温信号を送信する。なお、温度センサ119を独立した形で設けるだけでなく、電磁弁118自体に温度センサ機能を搭載することでも実現可能である。また、温度センサ119は、作動油の油温を直接測定する代わりに、電磁弁118またはその近傍の油圧装置100本体の温度を測定し、測定値を油温の近似値として用いたり、測定値から油温を推定したりするものであってもよい。
油圧装置100は、例えば作動油の汚染など、油圧装置の異常を検出する異常検出装置104を備えている。異常検出装置104は、電磁弁118に電気的に接続されていて、電磁弁118の動作を基にしてユーザに異常の発生を知らせる。以下では、異常検出装置104の具体的な動作の説明に先立って、電磁弁118の動作から詳しく説明する。
図2および図3は、スプール位置検出器付き電磁弁118を単独で示した図である。電磁弁118は、左右の両端付近に電磁コイル130a、130bを備えたスプール式の油浸形3位置電磁弁である。図2はスプール132が可動方向の中央に位置する中立の状態を示していて、図3はスプール132が中立の状態から図3中の紙面に向かって左方向に移動した状態を示している。
電磁弁118の本体134には、油路106(図1参照)の各所とつながっている複数のポート(供給ポート136、負荷ポート138a,138b、タンクポート140a,140b)が設けられている。中央の供給ポート136は油圧源108とつながっていて、その両脇の負荷ポート138a,138bは加工母機102とつながっている。さらに両端側にはタンク107とつながるタンクポート140a,140bが設けられている。スプール132には各ポートを塞ぐランド142a,142bが設けられていて、スプール132が中立位置から図2中の紙面に向かって左側の位置または右側の位置に移動することで各ポートの接続が切り換えられ、作動油の流れる経路が変えられる。
図2のスプール132が中立の状態では、左右の電磁コイル130a,130bは通電されておらず、非励磁の状態になっている。このとき、スプール132は、左右の両端付近に設けられたスプリング143a,143bに左右から押されることで中央の位置を保っている。そして、電磁コイル130a、130bのどちらかが通電されて励磁すると吸引力が発生し、その吸引力を利用してスプール132はスプリング143a,143bを圧縮しながら図2中の紙面に向かって左方向または右方向に移動する。
図3は、紙面に向かって右側の電磁コイル130bが励磁されてスプール132が左方向に移動した状態を示している。電磁コイル130bが励磁されると、電磁コイル130bに挿入されている不図示の可動鉄心が引き寄せられるようにして左方向に移動し、その可動鉄心に連動してスプール132も左方向に移動する。スプール132が左方向に移動すると、供給ポート136と負荷ポート138aが接続される。
本実施形態の電磁弁118は、スプール132の位置を検出する位置検出器の機能が付いていて、スプール132の位置を外部から電気的に検出することができる。以下では電磁弁118の図3中の紙面に向かって左側の要素であるリング144、リテーナ146などを例に挙げて説明を行うが、電磁弁118は左右対称な構造であって、右側にも同様の要素を備えている。
電磁弁118の位置検出器は、いわゆるスイッチ式の構造になっている。具体的には、本体134には固定接点であるリング144が設けられていて、スプール132の外周には可動接点であるリテーナ146が設けられている。リテーナ146は、スプール132に伴って移動するが、スプール132に完全には固定されておらず、スプール132の軸方向にある程度動くことができる。
リング144は検出電気端子148と電気的につながっている。リテーナ146は筐体と電気的につながっていて、また電気端子150も筐体に電気的につながっているため、リテーナ146は電気端子150と電気的につながっている。図2に示すスプール132が中立の状態では、リング144とリテーナ146が接触しているため、検出電気端子148と電気端子150とは互いに導通している。一方、図3に示すスプール132が左側の位置に移動した状態では、スプール132の移動に伴ってリテーナ146がリング144から離れているため、検出電気端子148と電気端子150とは導通していない。
左側の検出電気端子148と電気端子150とが導通していない場合にはスプール132が左側の位置に移動した状態にあることがわかり、右側の検出電気端子と電気端子とが導通していない場合はスプール132が右側の位置に移動した状態にあることがわかる。また、左側の検出電気端子148と電気端子150とが導通し、かつ、右側の検出電気端子と電気端子とも導通している場合は、スプール132が中立の状態にあることがわかる。
図4は、油圧シリンダ110(図1参照)を駆動させたときの電磁弁118の応答波形を示した図である。図4において、「圧力」のグラフは、左右方向に時間の進行を示し、上下方向に油圧シリンダ110の圧力の大小を示している。「モニタリング信号の電圧」のグラフは、左右方向に時間の進行を示し、上下方向に上述した検出電気端子148と電気端子150との導通状態を示す信号の電圧の大小を示している。「ソレノイド通電信号の電圧」のグラフは、左右方向に時間の進行を示し、上下方向に電磁コイル130bに通電するときのる通電信号の電圧の大小を示している。
図4には、記号Tで示す各波形の変化の時間差も示している。これらの時間差は、電磁弁118や油圧シリンダ110の動作の応答時間を表している。例えば時間差T1は、電磁コイル130b(図2参照)への通電のONから油圧シリンダ110が動き始めるまでの応答時間である。時間差T2は、電磁コイル130bへの通電のOFFから油圧シリンダ110が停止するまでの応答時間である。時間差T3は、電磁コイル130bへの通電のONから検出電気端子148と電気端子150とがOFFになるまでの応答時間である。時間差T4は、電磁コイル130bへの通電のOFFから検出電気端子148と電気端子150とが再びONになるまでの応答時間である。
以上のように、スプール位置検出器付き電磁弁118では、スプール132の動作の応答時間を電気的に検出することができる。前述した異常検出装置104は、電磁弁118と電気的に接続することでスプール132を監視し、スプール132の応答時間を基にして油圧装置100や加工母機102を含めた油路機器の異常を検出する。
次に、異常検出装置104の内部構成について説明する。図5は異常検出装置104の内部構成を示すブロック図である。異常検出装置104は、設定部500、位置信号入力部502、監視部504、油温信号入力部506、温度補正部508、判定部510、および通知部512を備えている。
設定部500は、異常の判定を行うためのしきい値を設定し、判定部510に送信する。このしきい値は、技術者がプログラムに事前に設定または入力するデータであり、スプール132の応答時間の標準偏差に基づく異常検出の基準となる。スプール132の応答時間は、図4にて説明した例えばソレノイド通電信号の変化(ON)からモニタリングスイッチ信号の変化(OFF)までの時間差T3を基準とする。ただし、時間差T3に代えて、時間差T4を用いてもよい。本実施形態では、正常、注意領域、異常の3段階の判定を行うため、第1しきい値σaと、第1しきい値よりも偏差の大きい第2しきい値(σb)の2つが設定される。
位置信号入力部502は、電磁コイル130bに通電するときのソレノイド通電信号を取得する。また、位置信号入力部502は、検出電気端子148と電気端子150との導通状態を示すモニタリングスイッチ信号を取得する。ソレノイド通電信号およびモニタリングスイッチ信号は、監視部504へ送られる。
監視部504は、位置信号入力部502から受け取ったソレノイド通電信号およびモニタリングスイッチ信号から、スプール132の応答時間tを検出し、温度補正部508に送信する。この応答時間tとしては時間差T3を用いるが、時間差T4を用いてもよい。
油温信号入力部506は、温度センサ119からの油温信号を取得し、温度補正部508へ送信する。
温度補正部508には、事前に正常な電磁弁118および正常な作動油を用いて油温毎のスプール132の応答時間を測定し、測定データから油温と応答時間との関係の近似式を導き出して作成した温度補正モデルが記録されている。
温度補正部508は、温度補正モデルに、監視部504から受け取った応答時間tと油温信号入力部506から受け取った油温信号とを適用し、補正後応答時間t´を算出する。また、温度補正部508は、複数回分の補正後応答時間t´から、応答時間のばらつきを示す標準偏差σtを算出し、判定部510に送信する。この処理に用いる補正後応答時間t´のデータの個数nは、要求する感度などに応じて任意に設定することができる。
判定部510は、温度補正部508から受け取った標準偏差σtが、設定部500から受け取った第1しきい値σaおよび第2しきい値σbのそれぞれを超えているか否か判定し、判定結果を通知部512へ送信する。
通知部512は、判定部510から受け取った判定結果に基づいて、ユーザへの通知を出力する。
以下で、異常検出装置104の処理の詳細を説明する。図6は異常検出装置104が行う処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS600にて、設定部500は、所定の油温におけるスプール132の応答時間の標準偏差を判定するためのしきい値を設定する。しきい値として、第1しきい値σaと、第1しきい値σaよりも偏差の大きい第2しきい値σbの2つが設定される。
次に、ステップS602にて、監視部504は、位置信号入力部502を通じてスプール132の応答時間tを繰り返し取得する。
続くステップS604では、油温信号入力部506が、温度センサ119から、応答時間tの取得時の油温信号を取得する。
次いで、ステップS606にて、温度補正部508は、応答時間tと油温信号とを温度補正モデルに適用し、応答時間tを補正した補正後応答時間t´を得る。すなわち、応答時間tは、第1しきい値σaおよび第2しきい値σbの基準となった所定の油温に相当する補正後応答時間t´に補正される。
続くステップS608では、温度補正部508は、補正後応答時間t´の現在までのデータn個分から、補正後応答時間t´の標準偏差σtを算出する。
次にステップS610にて、判定部510は、標準偏差σtが第1しきい値σa以下か否か判定する(σt≦σa)。標準偏差σtが第1しきい値σa以下であった場合(ステップS610のYES)、油圧装置100等の状態は正常であり、ステップS612に移行する。他方、標準偏差σtが第1しきい値σaを超えていた場合(ステップS610のNO)、ステップS614に移行する。
ステップS612では、たとえば通知部512は緑色のランプを点灯させてユーザに正常であることを通知する。その後、ステップS602に移行して処理を続ける。
他方、ステップS614では、判定部510は標準偏差σtが第2しきい値σb以下か否か判定する(σt≦σb)。標準偏差σtが第2しきい値σb以下であった場合(ステップS614のYES)、油圧装置100等の状態は注意領域であり、ステップS616に移行する。他方、標準偏差σtが第2しきい値σbも超えていた場合(ステップS614のNO)、油圧装置100等の状態は異常であり、ステップS618に移行する。
ステップS616では、通知部512が例えば黄色のランプを点灯させてユーザに注意を促す。そして、ステップS602に移行して処理を続ける。
他方、ステップS618では、通知部512が例えば赤色のランプを点灯させてユーザに異常を通知し、処理を終了する。
作動油は温度によって粘度が変わるため、応答時間tも油温によって変化するおそれがある。通常の使用時の油温として想定される40℃の場合に対して、低温時には粘度が高くなって応答時間は長くなり、高温時には粘度が下がって応答時間は短くなる。仮に、異常検出装置において、補正されていないn個の応答時間tの標準偏差を算出し、しきい値σaを測定時の油温に応じて補正した補正後しきい値σa´と比較判定する構成とした場合、n個の応答時間tの取得時の油温がそれぞれ異なっていると、油温の変化による応答時間への影響を正確に排除できずに異常の誤判定を生じるおそれがある。これに対して本実施形態の異常検出装置104によれば、n個の応答時間tの取得時の油温がそれぞれ異なる場合でも、一定の油温に相当するn個の補正後応答時間t´の標準偏差σtを用いることにより、油温による作動油の粘度変化に起因する応答時間への影響を排除して精度よく異常の有無を判定することができる。
さらに、スプール132の補正後応答時間t´の標準偏差σtによって補正後応答時間t´のばらつきを検出し、油圧装置の異常の有無を判定することで、振動等の外的要因によってスプール132の補正後応答時間t´が突発的に大きな値になったとしても誤って異常と判定することが無いため、検出の精度をさらに向上させることができる。
第1実施形態では、標準偏差σtを算出してしきい値σa,σbと比較判定する構成としたが、標準偏差の代わりに、複数の補正後応答時間t´を用いた他の算出値を算出して所定のしきい値と比較判定する構成としてもよい。このように複数の補正後応答時間t´を用いた算出値を基準にすることにより、測定された複数の応答時間tの取得時の油温がそれぞれ異なる場合にも、油温の変化による応答時間への影響を排除して、異常検出の精度を向上させることができる。
なお、当該異常検出装置104は、異常に関する通知を行うだけでなく、外部出力端子等を通じて判定に関する信号や取得したスプール132の応答時間、さらには算出した標準偏差などもデータとして外部に送ることも可能である。
(第2実施形態の油圧装置の異常検出装置)
次に、本発明の第2実施形態に係る異常検出装置について説明する。本実施形態の異常検出装置は、応答時間tを取得時の油温に応じて補正し、この補正後応答時間t´を所定のしきい値と比較判定する点で、補正後応答時間t´の標準偏差を所定のしきい値と比較判定する第1実施形態と相違する。
次に、本発明の第2実施形態に係る異常検出装置について説明する。本実施形態の異常検出装置は、応答時間tを取得時の油温に応じて補正し、この補正後応答時間t´を所定のしきい値と比較判定する点で、補正後応答時間t´の標準偏差を所定のしきい値と比較判定する第1実施形態と相違する。
本実施形態に係る油圧装置の概略的な構成は、図1から図5に示す第1実施形態の油圧装置100と同一である。ただし、設定部500では、所定の油温における応答時間のしきい値Tthが設定される点で、応答時間の標準偏差のしきい値が設定されていた第1実施形態と相違する。また、温度補正部508が補正後応答時間t´を判定部510へ送信する点で、補正後応答時間t´の標準偏差σtを判定部510へ送信していた第1実施形態と相違する。図7は、第2実施形態において、異常検出装置104が行う処理のフローチャートである。以下、図5に示す構成要素を挙げながら、図7の処理を説明する。
図7のステップS700では、設定部500が、スプール132の応答時間を判定するためのしきい値Tthを設定する。しきい値Tthは、例えば通常の使用温度として想定される40℃の作動油を基準にして設定される。
ステップS702にて、監視部504は、位置信号入力部502を通じてスプール132の応答時間tを取得する。
続くステップS704では、油温信号入力部506が、温度センサ119から、応答時間tの取得時の油温信号を取得する。
そして、ステップS706にて、温度補正部508は、応答時間tと油温信号とを温度補正モデルに適用し、応答時間tを補正して補正後応答時間t´を得る。すなわち、応答時間tは、しきい値Tthの基準となった油温に相当する補正後応答時間t´に補正される。
そして、ステップS708にて、判定部510は、補正後応答時間t´がしきい値Tth以下か否か判定する(t´≦Tth)。補正後応答時間t´がしきい値Tth以下であった場合(ステップS708のYES)、油圧装置100等は正常であり、ステップS710に移行する。他方、補正後応答時間t´がしきい値Tthを超えていた場合(ステップS708のNO)、油圧装置100等の状態は異常であり、ステップS712に移行する。
ステップS710では、通知部512は緑色のランプを点灯させてユーザに正常であることを通知する。そして、ステップS702に移行して処理を続ける。
一方、ステップS712では、通知部512は赤色のランプを点灯させてユーザに異常を通知し、処理を終了する。
以上のように、本実施形態の異常検出装置104は、しきい値の基準となった油温に相当する補正後応答時間t´に基づいて異常の有無を判定しているため、油温による作動油の粘度変化による応答時間への影響を排除し、油圧装置の異常をより精度よく検出することができる。
現実に取得された応答時間tには、作動油の劣化等の異常に基づく影響(理想値からのずれ)と、油温変化に基づく影響(理想値からのずれ)とが複合的に含まれている。本実施形態では応答時間tを補正後応答時間t´に補正することにより、油温変化に基づく応答時間への影響を排除して、異常に基づく応答時間への影響を顕著にし、異常検出の精度をさらに向上させることができる。
(異常検出装置の他の適用例)
上記の第1実施形態および第2実施形態に係る異常検出装置104は、油圧装置100の構成要素の一部であった。しかしながら、異常検出装置104を例えば加工母機102の構成要素の一部に含めて、異常検出装置を備えた加工母機として実現することも可能である。加工母機102に異常検出装置を搭載することにより、例えば通知部512を加工母機102の操作部付近の視認しやすい位置に設置したり、異常の検出に関する情報を加工母機102に関する情報と共に所定の表示パネルで表示したりすることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
上記の第1実施形態および第2実施形態に係る異常検出装置104は、油圧装置100の構成要素の一部であった。しかしながら、異常検出装置104を例えば加工母機102の構成要素の一部に含めて、異常検出装置を備えた加工母機として実現することも可能である。加工母機102に異常検出装置を搭載することにより、例えば通知部512を加工母機102の操作部付近の視認しやすい位置に設置したり、異常の検出に関する情報を加工母機102に関する情報と共に所定の表示パネルで表示したりすることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
さらには、異常検出装置104を油圧装置100または加工母機102のいずれにも設けず、独立した装置としてもよい。この場合、電磁弁118のソレノイド通電信号およびモニタリングスイッチ信号を有線または無線で異常検出装置104に送信することができる。これによりモニター室で監視したり、コンピュータ等に接続してデータの記録、集計、統計などの処理を行ったりすることが可能となる。これにより作動油の疲労の監視ばかりでなく、作動油の性能評価などにも利用することが可能となる。
(スプール位置検出器付き電磁弁の他の例)
上記の第1実施形態および第2実施形態に係る異常検出装置104が適用可能なスプール位置検出器付きの電磁弁は、図2、3で参照したスイッチ式の電磁弁118には限られない。スプール位置検出器の他の例としては、差動トランス型や磁気スイッチ型を挙げることができる。差動トランス型では、スプールと連動した可動鉄心の周囲に3つのコイルが設置され、両端のコイルの誘起電圧の差を利用することで可動鉄心を介してスプールの位置や応答時間を電気的に検出することができる。磁気スイッチ型では、スプールと連動した磁石と、ボディに固定された磁気検出素子とを利用することで、スプールの位置や応答時間を電気的に検出することができる。異常検出装置104は、これらいずれの方式のスプール位置検出器付き電磁弁であっても、応答時間を取得できる電磁弁であれば、異常を好適に検出することが可能である。
上記の第1実施形態および第2実施形態に係る異常検出装置104が適用可能なスプール位置検出器付きの電磁弁は、図2、3で参照したスイッチ式の電磁弁118には限られない。スプール位置検出器の他の例としては、差動トランス型や磁気スイッチ型を挙げることができる。差動トランス型では、スプールと連動した可動鉄心の周囲に3つのコイルが設置され、両端のコイルの誘起電圧の差を利用することで可動鉄心を介してスプールの位置や応答時間を電気的に検出することができる。磁気スイッチ型では、スプールと連動した磁石と、ボディに固定された磁気検出素子とを利用することで、スプールの位置や応答時間を電気的に検出することができる。異常検出装置104は、これらいずれの方式のスプール位置検出器付き電磁弁であっても、応答時間を取得できる電磁弁であれば、異常を好適に検出することが可能である。
また、既存のスイッチ式位置検出器付きの電磁弁には、上記実施形態で説明した電磁コイル130bやリング144、リテーナ146、検出電気端子148および電気端子150で構成されたスイッチ部を左右両側に計2セット備えたタイプだけでなく、スイッチ部を1セットのみ備えたタイプも存在する。スイッチ部が1セットのみの電磁弁も、スプールの応答時間を電気的に検出することができるため、当該異常検出装置104を適用することが可能である。
100 油圧装置 102 加工母機
104 異常検出装置 106 油路
107 タンク 108 油圧源
110 油圧シリンダ 112 上型
114 下型 116 ワーク
118 電磁弁 119 温度センサ
120 リリーフ弁 122 切換弁
124 切換弁 126 安全弁
128 カウンタバランス弁 130a,130b 電磁コイル
132 スプール 134 本体
136 供給ポート 138a,138b 負荷ポート
140a,140b タンクポート 142a,142b ランド
143a,143b スプリング 144 リング
146 リテーナ 148 検出電気端子
150 電気端子 500 設定部
502 位置信号入力部 504 監視部
506 油温信号入力部 508 温度補正部
510 判定部 512 通知部
104 異常検出装置 106 油路
107 タンク 108 油圧源
110 油圧シリンダ 112 上型
114 下型 116 ワーク
118 電磁弁 119 温度センサ
120 リリーフ弁 122 切換弁
124 切換弁 126 安全弁
128 カウンタバランス弁 130a,130b 電磁コイル
132 スプール 134 本体
136 供給ポート 138a,138b 負荷ポート
140a,140b タンクポート 142a,142b ランド
143a,143b スプリング 144 リング
146 リテーナ 148 検出電気端子
150 電気端子 500 設定部
502 位置信号入力部 504 監視部
506 油温信号入力部 508 温度補正部
510 判定部 512 通知部
Claims (5)
- 油圧装置の油路に配置されたスプール位置検出器付き電磁弁に接続され、前記スプール位置検出器付き電磁弁のスプールが所定の区間を移動するためにかかる応答時間を繰り返し取得する監視部と、
作動油の温度を測定する温度センサから取得された油温信号に基づいて、前記応答時間を取得時の前記作動油の温度に応じて補正した補正後応答時間を算出し、複数の前記補正後応答時間を用いた所定の算出値を算出する温度補正部と、
前記算出値が所定のしきい値を超えたか否か判定する判定部と、
前記算出値が前記しきい値を超えた場合にユーザに通知を行う通知部と、
を備えることを特徴とする油圧装置の異常検出装置。 - 前記算出値が、複数の前記補正後応答時間の標準偏差であることを特徴とする請求項1に記載の油圧装置の異常検出装置。
- 油圧装置の油路に配置されたスプール位置検出器付き電磁弁に接続され、前記スプール位置検出器付き電磁弁のスプールが所定の区間を移動するためにかかる応答時間を取得する監視部と、
作動油の温度を測定する温度センサから取得された油温信号に基づいて、前記応答時間を取得時の前記作動油の温度に応じて補正した補正後応答時間を算出する温度補正部と、
前記補正後応答時間が所定のしきい値を超えたか否かを判定する判定部と、
前記補正後応答時間が前記しきい値を超えた場合にユーザに通知を行う通知部と、
を備えることを特徴とする油圧装置の異常検出装置。 - 加工母機に接続される油路と、
前記油路に配置されたスプール位置検出器付き電磁弁と、
請求項1から3のいずれか1項に記載の油圧装置の異常検出装置と、
を備えたことを特徴とする油圧装置。 - 油圧駆動のアクチュエータと、
請求項1から3のいずれか1項に記載の油圧装置の異常検出装置と、
を備えたことを特徴とする加工母機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019049163A JP2020148338A (ja) | 2019-03-15 | 2019-03-15 | 油圧装置の異常検出装置、油圧装置および加工母機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019049163A JP2020148338A (ja) | 2019-03-15 | 2019-03-15 | 油圧装置の異常検出装置、油圧装置および加工母機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020148338A true JP2020148338A (ja) | 2020-09-17 |
Family
ID=72429426
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2019049163A Pending JP2020148338A (ja) | 2019-03-15 | 2019-03-15 | 油圧装置の異常検出装置、油圧装置および加工母機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020148338A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6124805A (ja) * | 1984-07-13 | 1986-02-03 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 流量サ−ボ弁の診断方法 |
JPH08219119A (ja) * | 1995-02-16 | 1996-08-27 | Toshiba Corp | 機器動作監視装置 |
JP2018119679A (ja) * | 2017-01-23 | 2018-08-02 | 株式会社不二越 | 油圧装置の異常検出装置、油圧装置、および加工母機 |
-
2019
- 2019-03-15 JP JP2019049163A patent/JP2020148338A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6124805A (ja) * | 1984-07-13 | 1986-02-03 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 流量サ−ボ弁の診断方法 |
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JP2018119679A (ja) * | 2017-01-23 | 2018-08-02 | 株式会社不二越 | 油圧装置の異常検出装置、油圧装置、および加工母機 |
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