JP2020147555A - 抗がん剤抵抗性改善作用を有するクローディン−2結合性短鎖ペプチドの開発 - Google Patents

抗がん剤抵抗性改善作用を有するクローディン−2結合性短鎖ペプチドの開発 Download PDF

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俊之 松永
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Abstract

【課題】がん治療に有効ながん補助療法薬を創出し、がんの治療成績向上を図ることを課題とする。【解決手段】VPDSM又はDSMKFのアミノ酸配列を有する、クローディン−2結合性ペプチド及び当該ペプチドを有効成分としたがん補助療法薬が提供される。【選択図】なし

Description

本発明はクローディン−2(以下、「CLDN2」と略称することがある)結合性ペプチドに関する。詳しくはCLDN2に結合し、がんの治療等に有用なペプチド及びその用途(治療薬等)に関する。
がん薬物療法において、治療抵抗性の獲得が大きな問題になっている。その原因として、薬物排出ポンプの誘導、代謝酵素の誘導、標的分子の構造変化などが報告されているが、未だ不明な点が多く、臨床利用が可能な治療抵抗性克服薬は未開発である。最近、がん細胞凝集塊が治療抵抗性に関与することが明らかになってきた。生体内でがん細胞は凝集塊を形成しており、多くの抗がん剤は凝集塊の深部に作用することが困難である。また、凝集塊深部は常に低酸素・低栄養のストレス状態であり、これらが治療抵抗性の獲得、悪性化、再発の一因になっている。そのため、がん原遺伝子に作用する抗がん剤の開発だけでなく、凝集塊の抗がん剤透過性とストレス状態を改善する新しいタイプの薬剤の開発が期待される。凝集塊深部への抗がん剤透過性を亢進させる補助療法薬の開発により、既存の抗がん剤のみならず、今後開発される抗がん剤についても治療効果の向上が期待できる。
多くの固形がん組織で、クローディン(CLDN)サブタイプの異常発現が報告されている。CLDNは上皮細胞や内皮細胞の密着結合部位に存在する細胞膜タンパク質である。これまでに、本発明者らの研究グループはヒト正常肺細胞に未発現のCLDN2が腺がん細胞に高発現することを報告した(非特許文献1)。また、CLDN2の第2細胞外ループの一部と同じ構造のペプチドDFYSP(配列番号3)が腺がん細胞に発現するCLDN2に作用し、細胞に障害を与えることを報告した(非特許文献2)。一方、凝集塊の形成や抗がん剤感受性に対するCLDN2の効果は国内外で未報告であったが、本発明者らの研究グループは、CLDN2発現のノックダウンによって凝集塊の低酸素度が低下し、抗がん剤感受性が亢進することを発見した(非特許文献3)。
Ikari, A., Sato, T., Watanabe, R., Yamazaki, Y., and Sugatani, J. (2012) Increase in claudin-2 expression by an EGFR/MEK/ERK/c-Fos pathway in lung adenocarcinoma A549 cells. Biochim. Biophys. Acta 1823, 1110-1118 Ikari, A., Taga, S., Watanabe, R., Sato, T., Shimobaba, S., Sonoki, H., Endo, S., Matsunaga, T., Sakai, H., Yamaguchi, M., Yamazaki, Y., and Sugatani, J. (2015) Clathrin-dependent endocytosis of claudin-2 by DFYSP peptide causes lysosomal damage in lung adenocarcinoma A549 cells. Biochim. Biophys. Acta 1848, 2326-2336 Maruhashi R, Akizuki R, Sato T, Matsunaga T, Endo S, Yamaguchi M, Yamazaki Y, Sakai H, Ikari A. (2018) Elevation of sensitivity to anticancer agents of human lung adenocarcinoma A549 cells by knockdown of claudin-2 expression in monolayer and spheroid culture models. Biochim. Biophys. Acta 1865(3), 470-479 Kinugasa, T., Huo, Q., Higashi, D., Shibaguchi, H., Kuroki, M., Tanaka, T., Futami, K., Yamashita, Y., Hachimine, K., Maekawa, S., Nabeshima, K., and Iwasaki, H. (2007) Selective up-regulation of claudin-1 and claudin-2 in colorectal cancer. Anticancer Res. 27, 3729-3734 Weber, C. R., Nalle, S. C., Tretiakova, M., Rubin, D. T., and Turner, J. R. (2008) Claudin-1 and claudin-2 expression is elevated in inflammatory bowel disease and may contribute to early neoplastic transformation. Lab. Invest. 88, 1110-1120 Halasz, J., Holczbauer, A., Paska, C., Kovacs, M., Benyo, G., Verebely, T., Schaff, Z., and Kiss, A. (2006) Claudin-1 and claudin-2 differentiate fetal and embryonal components in human hepatoblastoma. Hum. Pathol. 37, 555-561 Luettig, J., Rosenthal, R., Barmeyer, C., and Schulzke, J. D. (2015) Claudin-2 as a mediator of leaky gut barrier during intestinal inflammation. Tissue barriers 3, e977176
以上のように、CLDN2は凝集塊を形成するがん細胞の抗がん剤抵抗性に寄与することが明らかになった。がん組織で高発現するCLDN2の発現を低下させる薬剤は、抗がん剤の感受性を亢進させるだけでなく、がん細胞の悪性化を抑制し、根絶を可能とする新しいタイプの補助療法薬になることが期待できる。本発明の主たる課題は、このような補助療法薬を創出し、がんの治療成績向上に資することにある。
上記課題に鑑み研究を進める中、本発明者らはCLDN2の構造に注目した。そして、CLDN2同士の結合阻害を目的として第2細胞外ループの一部と同じ構造を有する5種類の短鎖ペプチドを作製し、その効果を検討した。詳細な実験の結果、2種類のペプチドに顕著なCLDN2選択的な結合及び作用が認められた。また、CLDN2に直接結合して作用することなど、その作用機序が明らかになるとともに、当該2種類のペプチドが、がん細胞の低酸素状態(ストレス状態)を改善し、抗がん剤感受性を亢進するという、驚くべき知見が得られた。換言すれば、がん治療の補助療法薬の有効成分として有用な「がん細胞の低酸素状態を改善し、抗がん剤感受性を亢進させる物質」を見出すことに成功した。尚、上記の通り、DFYSP(配列番号3)がCLDN2に選択的に作用することが報告されているが、当該ペプチドのCLDN2に対する結合性は、今回見出された上記2種類のペプチドの結合性に比べ格段に低いものであった。また、今回の検討によって、上記2種類のペプチドに、「がん細胞の低酸素状態を改善し、抗がん剤感受性を亢進するという作用」が見出されたことは特筆に値する。
ところで、CLDN2は肺腺がんや大腸がん、肝臓がん等で高発現が認められるが(非特許文献1、非特許文献4〜6)、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、HIV感染においても、腸管のCLDN2発現量が増加し、下痢などの症状を引き起こす(非特許文献7)。即ち、CLDN2の高発現は、各種疾患の原因(基盤)や病態の形成に重要であり、治療標的となる。このことから、CLDN2結合性ペプチドには、CLDN2の高発現が関与する各種疾患の治療への利用・適用も大いに期待できる。
以上の成果及び考察に基づき、以下の発明が提供される。
[1]VPDSM(配列番号1)又はDSMKF(配列番号2)のアミノ酸配列を有する、クローディン−2結合性ペプチド。
[2]クローディン−2の第2細胞外ループに直接結合する、[1]に記載のペプチド。
[3][1]又は[2]に記載のペプチドを含有し、がん細胞の低酸素状態の改善、及び/又はがん細胞の抗がん剤感受性の亢進に有効な薬剤。
[4][3]に記載の薬剤を含有し、抗がん剤と併用される、がん補助療法薬。
[5]クローディン−2の高発現を認めるがんの治療に使用される、[4]に記載のがん補助療法薬。
[6]前記がんが、肺腺がん、大腸がん、肝臓がん又は食道がんである、[5]に記載のがん補助療法薬。
[7]抗がん剤による治療を受けるがん患者に対して、[4]〜[6]のいずれか一項に記載のがん補助療法薬を治療上有効量投与するステップを含む、がんの治療法。
[8][1]又は[2]に記載のペプチドを含有する、クローディン−2の高発現がその原因となる又はその病態を形成する疾患に対する治療薬。
[9][1]又は[2]に記載のペプチドを含有する研究用試薬。
CLDN2の構造。A:CLDN2の二次元構造を模式的に示す。アミノ末端(1番目)とカルボキシ末端(230番目)は細胞内に存在する。本研究で短鎖ペプチドの結合部位として想定した第2細胞外ループ(145番目から159番目)を太線で示す。B:CLDN2のアミノ酸配列(配列番号6)。第2細胞外ループのアミノ酸を枠で囲んで示す。 CLDN1とCLDN2のタンパク質発現に対する短鎖ペプチドの効果。A:A549細胞を溶媒(vehicle)または100 μMの短鎖ペプチドで24時間処理後、細胞を回収した。ウエスタンブロット法でCLDN1、CLDN2、β-アクチンのタンパク質発現量を調べた。バンド強度を数値化し、vehicleに対する相対値で示した。B:A549細胞を各濃度の短鎖ペプチドで24時間処理後、細胞を回収した。ウエスタンブロット法でCLDN1、CLDN2、β-アクチンタンパク質の発現量を調べた。バンド強度を数値化し、0μMに対する相対値で示した。Vehicleまたは0μMに対して5%未満で有意差がある場合は*、1%未満で有意差がある場合は**、有意差がない場合はNSで示す。 CLDN1とCLDN2のmRNA発現に対する短鎖ペプチドの効果。A:A549細胞を100μMの短鎖ペプチドまたは溶媒(vehicle)で24時間処理後、細胞を回収した。リアルタイムPCR法でCLDN1、CLDN2、β-アクチンのmRNA発現量を調べた。mRNA発現量をvehicleに対する相対値で示す。Vehicleに対して有意差がない場合はNSで示す。 CLDN2の細胞局在に対する短鎖ペプチドの効果。A:A549細胞を溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチド、100μM クロロキン(CQ)、5μM モノダンシルカダベリン(MDC)で24時間処理後、蛍光免疫染色を行った。B:CLDN2、ZO-1、核(DAPI)の細胞局在を示す。スケールバーは10μmを示す。 CLDN2の第2細胞外ループと短鎖ペプチドの結合。A:センサーチップに固定したビオチンとCLDN2の第2細胞外ループペプチド、及び短鎖ペプチドを添加した場合の結合を模式的に示す。B:周波数と時間の関係を示す。50秒の時点で短鎖ペプチドまたはBSAを添加した。 短鎖ペプチドによる細胞間透過性の変化。A:トランスウェルに培養下のA549細胞を溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチド、100μM クロロキン(CQ)、5μM モノダンシルカダベリン(MDC)で24時間処理後、Volt ohmmeterを用いて、上皮膜間電気抵抗値を測定した。B:上皮膜間電気抵抗値の測定後、トランスウェルの上層にドキソルビシンを添加し、30分後に下層の溶液を回収して、ドキソルビシンの蛍光強度を測定した。阻害剤無処置群に対して1%未満で有意差がある場合は**、vehicleに対して1%未満で有意差がある場合は##、で示す。 スフェロイドサイズと細胞生存率に対する短鎖ペプチドの効果。A:A549細胞を丸底プレートで72時間培養後に溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチドを添加し、さらに24時間培養した。スフェロイドの円周を基にサイズを算出し、vehicleに対する相対値で示した。B:A549細胞を丸底プレートで72時間培養後に100μMの短鎖ペプチドを添加し、さらに24時間培養した。細胞内のATP濃度を基に細胞生存率を算出し、vehicleに対する相対値で示した。Vehicleに対して5%未満で有意差がある場合は*、有意差がない場合はNSで示す。 スフェロイド内のドキソルビシン蓄積に対する短鎖ペプチドの効果。A:A549細胞を丸底プレートで72時間培養後に溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチドを添加し、さらに24時間培養した。各濃度のドキソルビシンを添加してから1時間後に蛍光画像を撮影し、ドキソルビシンの蛍光強度を算出した。ドキソルビシンの蓄積量を0μMに対する相対値で示した。B:A549細胞を丸底プレートで72時間培養後に溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチド、5μMのMDCを添加し、さらに24時間培養した。各濃度のドキソルビシンを添加してから1時間後に蛍光画像を撮影し、ドキソルビシンの蛍光強度を算出した。ドキソルビシンの蓄積量を0μMに対する相対値で示した。Vehicleに対して5%未満で有意差がある場合は*、1%未満で有意差がある場合は**、有意差がない場合はNSで示す。 スフェロイドサイズに対する短鎖ペプチドとドキソルビシンの効果。A:A549細胞を丸底プレートで72時間培養後に溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチドを添加し、さらに24時間培養した。スフェロイドの円周を基にサイズを算出し、0 μMに対する相対値で示した。B:549細胞を丸底プレートで72時間培養後に溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチド、5μM MDCを添加し、さらに24時間培養した。スフェロイドの円周を基にサイズを算出し、0 μMに対する相対値で示した。Vehicleに対して5%未満で有意差がある場合は*、1%未満で有意差がある場合は**、有意差がない場合はNSで示す。 スフェロイドの細胞生存率に対する短鎖ペプチドとドキソルビシンの効果。A:A549細胞を丸底プレートで72時間培養後に溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチド、各濃度のドキソルビシンを添加し、さらに24時間培養した。スフェロイドのATP濃度を基に生存率を算出し、0 μMに対する相対値で示した。B:A549細胞を丸底プレートで72時間培養後に溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチド、5μM MDC、各濃度のドキソルビシンを添加し、さらに24時間培養した。スフェロイドのATP濃度を基に生存率を算出し、0 μMに対する相対値で示した。Vehicleに対して5%未満で有意差がある場合は*、1%未満で有意差がある場合は**、有意差がない場合はNSで示す。 スフェロイドの細胞生存率に対する短鎖ペプチドとシスプラチンの効果。A:A549細胞を丸底プレートで72時間培養後に溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチド、各濃度のシスプラチンを添加し、さらに24時間培養した。スフェロイドの円周を基にサイズを算出し、0 μMに対する相対値で示した。B:A549細胞を丸底プレートで72時間培養後に溶媒(vehicle)、100μMの短鎖ペプチド、各濃度のシスプラチンを添加し、さらに24時間培養した。スフェロイドのATP濃度を基に生存率を算出し、0 μMに対する相対値で示した。Vehicleに対して5%未満で有意差がある場合は*、1%未満で有意差がある場合は**で示す。
1.クローディン−2(CLDM2)結合性ペプチド
本発明の第1の局面はCLDN2結合性ペプチドに関する。「CLDN2結合性」とは、CLDN2に対して結合する特性である。「CLDN2結合性」は、他の物質/分子への結合性を有しないことを意味するものではないが、後述の実施例に示した実験結果が裏付けるように、「CLDN2結合性」の本発明のペプチドはCLDN2に対して高い選択性ないし特異性を示す。
CLDN2は、細胞間のタイトジャンクション(細胞間密着結合)の形成に関わるクローディンファミリータンパク質の一つであり、腎臓の近位尿細管、胆嚢、小腸に高発現し、ナトリウムイオンの輸送に関与する重要な分子である。CLDNにはいくつかのサブタイプ(CLDN1、CLDN2、CLDN3、CLDN4等)が存在するが、CLDN2に対して高い選択性/特異性を示す本発明のペプチドは、他のファミリーメンバーよりもCLDN2に対して特異的ないし優先的に結合し、CLDN2選択的な作用を示すことができる。この特性は、本発明のペプチドを臨床応用した場合に特に重要かつ有利となる。
本発明のペプチチドはCLDN2の第2細胞外ループに直接結合する。この結合特性によって細胞間のタイトジャンクションに分布するCLDN2の発現(存在量)を低下させ、特有の作用効果、即ち、「がん細胞の低酸素状態の改善」及び「がん細胞の抗がん剤感受性の亢進」を発揮する。
本発明のペプチドはVPDSM(配列番号1)又はDSMKF(配列番号2)のアミノ酸配列を有し、5残基から構成される。尚、本明細書では慣例の標記法に従い左端がアミノ末端、右端がカルボキシ末端となるようにペプチドを表記する。また、アミノ酸残基がL形の場合には、L形である旨の表示を省略することがある。本発明において各アミノ酸残基はいずれもL形であることが好ましいが、アミノ酸残基の一部又は全部がD形であってもよい。
本発明のペプチドは公知のペプチド合成法(例えば固相合成法、液相合成法)によって調製することができる。尚、自動ペプチド合成機を利用すれば容易かつ迅速に目的のペプチドを合成することができる。
遺伝子工学的手法を用いて目的のペプチドを調製することにしてもよい。即ち、本発明のペプチドをコードする核酸を適当な宿主細胞に導入し、形質転換体内で発現されたペプチドを回収することにより目的のペプチドを得ることにしてもよい。回収されたペプチドは必要に応じて精製される。回収されたペプチドを適当な置換反応に供し、所望のペプチド修飾体に変換することもできる。
所望の特性、即ちCLDN2結合性を維持する限り、上記のペプチドに何らかの修飾が施されていても良い。即ち、本発明の一態様ではペプチドが修飾体の形態(以下、「修飾ペプチド」という)である。本発明における「修飾ペプチド」とは、基本構造としての特定のペプチドの一部(複数箇所であってもよい)を他の原子団等で置換すること、或いは他の分子を付加すること等の修飾を施すことによって、少なくとも一部において当該ペプチドと相違する構造の化合物をいう。当業者であれば、周知ないし慣用の手段を用いて上記のペプチドを基本とした置換体などの修飾体を設計することができる。また、かかる設計に基づき、周知ないし慣用の手段を用いて目的の修飾体を調製することができる。
修飾ペプチドの代表例としては、ペプチドを構成するアミノ酸残基において側鎖の一部(原子又は原子団)が他の原子又は原子団で置換されたペプチド誘導体を挙げることができる。このようなペプチド誘導体は、最終生成物として当該ペプチド誘導体が得られるように設計された任意の製造工程によって調製することができる。したがって、目的のペプチド誘導体が、あるペプチドにおいて一部(例えば側鎖の一部である原子団)が特定の原子団によって見かけ上置換されたものである場合には、当該目的のペプチド誘導体はこの見かけ上基本となるペプチドを出発材料として当該特定の原子団を用いた置換反応によって製造されたものであっても、或いは例えば他の構造のペプチドを出発材料として適当な置換反応等(場合によって複数工程であってもよい)によって製造されたものであってもよい。ここでの他の原子又は原子団としては、ヒドロキシル基、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等)、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等)、アシル基(ホルミル基、アセチル基、マロニル基、ベンゾイル基等)等を例示することができる。
尚、修飾ペプチドには、構成アミノ酸残基内の官能基が適当な保護基によって保護されているものも含まれる。このような目的に使用される保護基としては、アシル基、アルキル基、単糖、オリゴ糖、多糖等を用いることができる。このような保護基は、保護基を結合させるペプチド部位や使用する保護基の種類などに応じて、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合、尿素結合等によって連結される。
修飾ペプチドの他の例としては、糖鎖の付加による修飾が施されているものを挙げることができる。また、N末端又はC末端が他の原子等で置換されることによってアルキルアミン、アルキルアミド、スルフィニル、スルフォニルアミド、ハライド、アミド、アミノアルコール、エステル、アミノアルデヒド等に分類される各種ペプチド誘導体も修飾ペプチドの一つである。
修飾ペプチドの更なる例は標識化ペプチドである。例えばN末端がビオチン標識やFITC標識されたペプチド、蛍光色素で標識化されたペプチドなどが標識化ペプチドに該当する。
2.がん細胞を標的とした薬剤及びがん補助療法薬
本発明のペプチドはCLDN2に結合してその発現(存在量)を低下させる。理論に拘泥するわけではないが、がん細胞(典型的には細胞凝集塊を構成しているがん細胞)に本発明のペプチドを作用させると、細胞間タイトジャンクションでのCLDN2の発現が低下し、がん細胞の低酸素状態が改善することでがん細胞の悪性化が抑制され、且つがん細胞の抗がん剤感受性が亢進する。本発明の第2の局面では、この特有の作用効果を利用した用途として、本発明のペプチド(VPDSM(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチド又はDSMKF(配列番号2)のアミノ酸配列を有するペプチド、或いはこれら両者)を含有し、がん細胞の低酸素状態の改善、及び/又はがん細胞の抗がん剤感受性の亢進に有効な薬剤が提供される。当該薬剤を抗がん剤と併用すれば、抗がん剤の薬効が高められ、治療効果ないし治療成績の向上を望める。即ち、本発明の薬剤はがん補助療法薬の有効成分として有用であり、抗がん剤とともにがん治療に適用される。がん治療において抗がん剤と併用される(即ち、抗がん剤の投与に際し、補助的に用いられる)という、典型的な使用態様を表すために、本発明の医薬を「がん補助療法薬」と呼称するが、本発明の医薬は、がん細胞の低酸素状態を改善することにより、がん細胞の悪性化を抑制し得るものであり、この点においてそれ自体、がん細胞に対する薬効を発揮するといえる。
本発明の医薬は様々な抗がん剤の薬効を高めることに利用できる点でその有用性は高い。その一方、本発明の医薬によれば、抗がん剤が効きにくい又は効かない、いわゆる治療抵抗性のがんに対する有望な治療戦略が提供されることは臨床上、極めて重要且つ有意義である。また、抗がん剤と本発明の補助療法薬の併用はがんの根絶をも可能にし得るものであり、その臨床上の価値及び意義は大きい。
本発明において用語「がん」は広義に解釈され、用語「悪性腫瘍」と互換的に使用される。また、病理学的に診断が確定される前の段階、すなわち腫瘍としての良性、悪性のどちらかが確定される前には、良性腫瘍、良性悪性境界病変、悪性腫瘍を総括的に含む場合もあり得る。一般に、がんはその発生の母体となった臓器の名、もしくは発生母組織の名で呼ばれ、主なものを列記すると、舌癌、歯肉癌、咽頭癌、上顎癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、胃癌、小腸癌、大腸癌、直腸癌、肝臓癌、胆道癌、胆嚢癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、甲状腺癌、副腎癌、脳下垂体腫瘍、松果体腫瘍、子宮癌、卵巣癌、膣癌、膀胱癌、腎臓癌、前立腺癌、尿道癌、網膜芽細胞腫、結膜癌、神経芽腫、神経膠腫(グリオーマ)、神経膠芽腫(グリオブラストーマ)、皮膚癌、髄芽種、白血病、悪性リンパ腫、睾丸腫瘍、骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫などである。そして、さらに発生臓器の部位の特徴によって、上・中・下咽頭癌、上部・中部・下部食道癌、胃噴門癌、胃幽門癌、子宮頚癌、子宮体癌などと細分類されているが、これらが限定的ではなく本発明の「がん」としての記載に含まれる。
本発明の医薬は、CLDN2の発現を認めるがんの治療に利用される。好ましくは、CLDN2の高発現を認めるがんが治療対象となる。該当するがんとして、肺腺がん、大腸がん、肝がん、食道がんを例示できる。これらのがんでは、CLDN2の高発現が確認されている(非特許文献1、4〜6を参照)。
本発明の医薬の製剤化は常法に従って行うことができる。製剤化する場合には、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、稀釈剤、被覆剤、糖衣剤、矯味矯臭剤、乳化・可溶化・分散剤、pH調製剤、等張剤、可溶化剤、香料、着色剤、溶解補助剤、生理食塩水など)を含有させることができる。製剤化する場合の剤形も特に限定されない。剤形の例は錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ゼリー剤、注射剤、外用剤、吸入剤、点鼻剤、点眼剤及び座剤である。本発明の医薬には、期待される治療効果(又は予防効果)を得るために必要な量(即ち治療上有効量)の有効成分が含有される。本発明の医薬中の有効成分量は一般に剤形によって異なるが、所望の投与量を達成できるように有効成分量を例えば約0.01重量%〜約95重量%の範囲内で設定する。通常、本発明の医薬は単独の製剤として構成されるが、抗がん剤との合剤としてもよい。
本発明の医薬は抗がん剤と併用される。本発明の医薬を抗がん剤と併用すると治療成績の向上を望める。ここでの「治療成績の向上」には、(1)治療効果の増大、(2)奏功率ないし有効率の向上、(3)副作用の低減ないし回避が含まれる。抗がん剤は特に限定されない。抗がん剤の例を示すと、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン等のプラチナ製剤、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、ダカルバジン、テモゾロミド、ニムスチン、ブスルファン、メルファラン、チオテパ、プロカルバジン、ラニムスチン等のアルキル化剤、エノシタビン、カルモフール、カペシタビン、テガフール、テガフール・ウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、ゲムシタビン、シタラビン、シタラビンオクホスファート、ネララビン、フルオロウラシル、フルダラビン、ペメトレキセド、ペントスタチン、メトトレキサート、クラドリビン、ドキシフルリジン、ヒドロキシカルバミド、メルカプトプリン等の代謝拮抗剤、マイトマイシンC、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、アクラルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、ペプロマイシン、ミトキサントロン、アムルビシン、ジノスタチンスチマラマー等の抗腫瘍性抗生物質、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン等の微小管重合阻害剤、パクリタキセル、ドセタキセル等の微小管脱重合阻害剤、イリノテカン、ノギテカン、エトポシド、ソブゾキサン等のトポイソメラーゼ阻害剤、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、デノスマブ(Ranmark(登録商標))、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))、モガムリズマブ(Poteligeo(登録商標))、ペルツズマブ(Perjeta(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ブリナツモマブ(Blincyto(登録商標))、ジヌツキシマブ(Unituxin(登録商標))、ダラツムマブ(Darzalex(登録商標))、ネシツムマブ(Portrazza(登録商標))、エロツズマブ(Empliciti(登録商標))等の抗体医薬、ゲムツズマブ オゾガマイシン(Mylotarg(登録商標))、ブレンツキシマブ ベドチン(Adcetris(登録商標))、トラスツズマブ エムタンシン(Kadcyla(登録商標))、イノツズマブ オゾガマイシン(BESPONSA(登録商標)等の抗体薬物複合体(ADC)である。抗がん剤を2種以上併用することも可能である。抗がん剤の投与量は、それを単独で使用する場合の使用量(即ち、通常の使用量)に準ずる。但し、本発明の医薬との併用によって抗がん剤の薬効の増大が期待できることから、通常の投与量よりも低い投与量に設定してもよい。尚、当業者であれば患者の病状や年齢、性別、体重などを考慮して「通常の使用量」を設定することができる。
本発明の医薬の有効成分(CLDN2結合性ペプチドプチド)はCLDN2の発現低下を介してタイトジャンクションのバリア機能を低下させる。従って、本発明の医薬は、抗がん剤の細胞間透過性を亢進することを期待できるものであり、特定の抗がん剤の薬効増大にのみ有効な訳ではない。即ち、汎用性ないし一般性の高いものであり、様々な抗がん剤と併用され得る。従って、上で例示した既存の各種抗がん剤はもとより、開発中の抗がん剤や、今後開発される抗がん剤との併用も当然に想定される。
本発明の医薬は抗がん剤と同時又は時間間隔をおいて対象(患者)に投与される。ここでの「同時」は厳密な同時性を要求するものではない。従って、本発明の医薬と抗がん剤を混合した後に対象へ投与する等、両者の投与が時間差のない条件下で実施される場合は勿論のこと、片方の投与後、速やかに他方を投与する等、両者の投与が実質的な時間差のない条件下で実施される場合もここでの「同時」の概念に含まれる。
本発明の医薬はその剤形に応じて経口投与又は非経口投与(静脈内、動脈内、皮下、皮内、筋肉内、又は腹腔内注射、経皮、経鼻、経粘膜など)によって対象に適用される。これらの投与経路は互いに排他的なものではなく、任意に選択される二つ以上を併用することもできる(例えば、経口投与と同時に又は所定時間経過後に静脈注射等を行う等)。全身投与によらず、局所投与することにしてもよい。ドラッグデリバリーシステム(DDS)を利用して標的組織特異的に有効成分が送達されるように投与してもよい。
本発明の更なる局面は、本発明の医薬を使用した、がんに対する治療法(予防的処置も治療法の概念に含まれる)。本発明の治療法は、抗がん剤による治療を受けるがん患者に対して、本発明の医薬を投与するステップを含む。本発明の医薬の投与量は患者の症状、年齢、性別、及び体重などによって変動し得るが、当業者であれば適宜適当な投与量を設定することが可能である。投与スケジュールは抗がん剤の投与スケジュールに対応させればよい。
第1の局面において説明した通り、本発明のCLDN2結合性ペプチドは、CLDN2の第2細胞外ループに直接結合し、細胞間のタイトジャンクションに分布するCLDN2の発現(存在量)を低下させる、という特徴的な作用効果を示す。従って、CLDN2の高発現がその原因となる又はその病態を形成する疾患、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、HIV感染に対してもその特有の作用効果を発揮し得る。そこで発明は、本発明のペプチド(CLDN2結合性ペプチド)を含有する、CLDN2の高発現が関与する各種疾患に対する治療薬も提供する。
CLDN2は正常組織において腎臓の近位尿細管、胆嚢、小腸に高発現し、ナトリウムイオンの輸送に関与する分子であり、重要な生理機能を担う。また、上記の通り、各種がんはもとより、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、HIV感染等の発症や進展等にも関与し、基礎研究や治療薬ないし治療法の開発の対象となる。本発明のCLDN2結合性ペプチドは、このような研究・開発におけるツール(研究用試薬)としても有用である。
がん細胞の悪性化を抑制し、根絶を可能とする新しいタイプの補助療法薬の開発を目指し、CLDN2に特異的な結合性を示すペプチドの創出を試みた。
1.方法
(1)肺腺がん細胞の培養
ヒト肺腺癌由来のA549細胞を、37℃、5% CO2条件下の炭酸ガスインキュベーター内で培養した。増殖培地として5% 熱非働化牛胎児血清、100 U/ml penicillin-G potassium、100 μg/ml streptomycin sulfateを含むダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM) を用いた。接着細胞の剥離には0.25% トリプシンおよび0.02% EDTAを含むリン酸緩衝化生理食塩水 (PBS, pH 7.4) を用いた。
(2)ウエスタンブロット
A549細胞からタンパク質を抽出後、10%または12.5%アクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEによりタンパク質を分離した。PVDF膜に転写後、CLDN1、CLDN2、β-アクチンに対する抗体を用いてタンパク質発現量を調べた。
(3)リアルタイムPCR
A549細胞から全RNAをTRI reagent試薬を用いて抽出した。ReverTraAce(登録商標)を用いて、37℃、15分間インキュベートすることにより、一本鎖cDNAを調製した。調製したcDNAを鋳型とし、CLDN2のプライマー(sense: 5’-ATTGTGACAGCAGTTGGCTT-3’(配列番号7), antisense: 5’-CTATAGATGTCAC-ACTGGGTGATG-3’ (配列番号8))、CLDN1のプライマー(sense: 5’- ATGAGGATGGCTGTCATTGG-3’ (配列番号9), antisense: 5’- ATTGACTGGGGTCATAGGGT-3’ (配列番号10))、β-アクチンのプライマー(sense: 5’-CCTGAGGCACTCTTCCAGCCTT-3’ (配列番号11), antisense: 5’-TGCGGATGTCCACGTCACACTTC-3’ (配列番号12))を用いてリアルタイムPCR反応を行った。反応条件は、初期変性:95℃で60秒、変性:95℃で15秒、アニーリング/伸長:60℃で60秒、40サイクルとした。
(4)蛍光免疫染色
A549細胞をカバーガラス入りの35 mm dishに5×104 cells/2 mLずつ播種し、72時間培養した。血清を除去した培地に100 μMの短鎖ペプチドと各種阻害剤を添加し、さらに24時間培養した。冷メタノールで固定後、0.2% Triton X-100を含むPBSで細胞膜を浸透化した。4% Block Aceでブロッキング後、CLDN2とZO-1抗体を4℃で一晩反応させた。Alexa 488マウス二次抗体、Alexa 548ウサギ二次抗体、DAPIを含むPBSで1時間インキュベート後、スライドガラスに固定した。LSM700共焦点レーザー顕微鏡(ツァイス社)を用いて、CLDN2とZO-1の細胞局在を観察した。
(5)水晶振動子マイクロバランス(QCM)法
予めアビジン(10μg/ml)でコートしたセンサーチップのチャンネル1にビオチンを付加したCLDN2の第2細胞外ループペプチド(5μg/ml)、チャンネル2にビオチン(5μg/ml)をコートした。NAPiCOS Lite(日本電波工業)にセンサーチップを設置後、周波数が安定するまで放置した。その後、10 μg/mlのCLDN2結合性ペプチドまたは牛血清アルブミン(BSA)を添加し、分子間相互作用による周波数の変化を測定した。
(6)細胞間分子透過性の評価
A549細胞をトランスウェルに4×104 cells/100 μLずつ播種し、72時間培養した。血清を除去した培地に100 μMの短鎖ペプチドと各種阻害剤を添加し、さらに24時間培養した。Volt ohmmeter(ミリポア社)を用いて、上皮膜間電気抵抗値を測定した。また、トランスウェルの上層に1 μM ドキソルビンを含むバッファーを添加し、30分後に下層のバッファーを採取して、ドキソルビシンの蛍光強度をInfinite F200 Pro(テカン社)で測定した。キャリブレーションカーブを作製し、ドキソルビシンの濃度を算出した。
(7)三次元培養と細胞生存率の測定
A549細胞を96-well 丸底プレート(住友ベークライト社)に1×105 cells/100 μLずつ播種し、72時間培養した。短鎖ペプチドを24時間処理後、倒立顕微鏡下でスフェロイドの写真を撮影した。スフェロイドの円周を基にサイズを比較した。また、CellTiter-Glo 3D Cell Viability Assay キット(プロメガ社)を用いて、ATP濃度を基に細胞生存率を算出した。
(8)スフェロイドにおける抗がん剤の毒性評価
A549細胞を96-well 丸底プレートに1×105 cells/100 μLずつ播種し、72時間培養した。短鎖ペプチドを24時間処理後、各濃度の抗がん剤を添加した。ドキソルビシンの場合、添加してから1時間後に蛍光顕微鏡下で蛍光画像を撮影し、スフェロイド内のドキソルビシンの蓄積率を算出した。また、24時間後にスフェロイドを回収し、CellTiter-Glo 3D Cell Viability Assay キットを用いて、ATP濃度を基に細胞生存率を算出した。
2.結果
CLDN2は4回膜貫通型の構造をもち、カルボキシ末端とアミノ末端が細胞質に存在する(図1)。2つの細胞外ループのうち、カルボキシ側の第2ループ(145〜159番目のアミノ酸)がCLDN同士の結合に必要であることが報告されている。CLDN2同士の結合阻害を目的として、CLDN2の第2細胞外ループの一部と同じ構造を有する5種類の短鎖ペプチド(DFYSP(配列番号3)、YSPLV(配列番号4)、PLVPD(配列番号5)、VPDSM(配列番号1)、DSMKF(配列番号2))を作製した。CLDN2タンパク質の発現に対する短鎖ペプチドの効果を検討したところ、VPDSMとDSMKFによるCLDN2発現の低下効果が最も強かった(図2)。VPDSMとDSMKFの濃度依存性を調べたところ、50 μM以上の濃度で有意にCLDN2タンパク質の発現量が低下した。一方、CLDN1の発現量はこれらの短鎖ペプチド処理によって変化しなかったため、CLDN2に選択的に作用することが示唆された。
VPDSMとDSMKFが遺伝子発現に影響を及ぼす可能性を排除するため、CLDN1とCLDN2 mRNA量を測定したところ、VPDSMとDSMKFはこれらのmRNA量を有意に変化させなかった(図3)。以上の結果から、VPDSMとDSMKFによるCLDN2タンパク質の発現低下に、転写段階での阻害は関与しないことが示唆された。
以前に本発明者らの研究グループは、ペプチド処理によってエンドサイトーシスされたCLDN2がリソソームで分解されることを報告した(引用論文1)。VPDSMとDSMKFもリソソームで分解されるか否かを解明するため、リソソーム阻害剤であるクロロキン(CQ)の効果を検討した。CLDN2の蛍光が、タイトジャンクションのアダプタータンパク質であるZO-1の蛍光とともに、細胞の隣接部位に確認された(図4)。VPDSMとDSMKF処理によって、タイトジャンクションに分布するCLDN2の蛍光が低下した。CQの共処理により、CLDN2の蛍光が主に細胞内で観察された。また、クラスリン依存性エンドサイトーシス阻害剤であるmonodancycadaverine(MDC)の共処理により、VPDSMとDSMKFの存在下でもCLDN2はタイトジャンクションに分布した。以上の結果から、VPDSMとDSMKFもクラスリン依存性経路を介してCLDN2のエンドサイトーシスを促進し、細胞内に取り込まれたCLDN2はリソソームで分解されることが示唆された。
水晶振動子マイクロバランス法を用いて、CLDN2の第2細胞外ループと短鎖ペプチドの結合を検討した。センサーチップのチャンネル1にビオチンを負荷したCLDN2の第2細胞外ループペプチド、チャンネル2にビオチンのみをコートした(図5)。CLDN2への結合が予想されるDSMKF、VPDSM、DFYSPおよびネガティブコントロールとしてウシ血清アルブミン(BSA)を添加した。BSAやDFYSPに比べ、DSMKFやVPDSMの添加によって周波数が大きく変化したため、CLDN2の細胞外ループと結合することが明らかになった。
CLDN2はタイトジャンクションにカチオン透過性のポアを形成するため、その発現によって上皮膜間電気抵抗値が低下する。VPDSMとDSMKF処理によって、上皮膜間電気抵抗値が増加し(図6)、この効果はMDCの共処理によって阻害された。また、トランスウェルにおける上層から下層へのドキソルビシン(アントラサイクリン系抗がん剤)の移行量が、VPDSMとDSMKF処理によって増加し、この効果はMDCの共処理によって阻害された。これらの結果はCLDN2タンパク質の発現に対するペプチドや阻害剤の効果と一致する。
生体内でがん細胞は血管から離れて微小環境を構築するため、酸素や栄養素の供給が低下する。低酸素・低栄養のストレス環境の形成が、がん細胞の悪性化、抗がん剤抵抗性、がんの再発に関与すると考えられている。微小環境を模倣した試験を実施するため、三次元スフェロイド培養が汎用される。VPDSMとDSMKF処理によってスフェロイドサイズは有意に変化しなかったが、細胞生存率が15〜20%程度低下した(図7)。このため、VPDSMとDSMKF処理によって、がん細胞のストレス抵抗性が軽減することが示唆された。
スフェロイドを形成したがん細胞にドキソルビシを処理し、スフェロイド内のドキソルビシン蓄積量を評価した。0〜20μMのドキソルビシン処理により、スフェロイド内のドキソルビシン蓄積量が濃度依存的に増加した(図8)。さらに、VPDSMとDSMKF処理によって、ドキソルビシン蓄積量が亢進した。一方、MDCの共処理により、VPDSMとDSMKFによるドキソルビシン蓄積量の亢進が阻害された。
スフェロイドサイズに対する抗がん剤の効果を検討したところ、ドキソルビシンの濃度に依存してサイズが減少した(図9)。さらに、VPDSMとDSMKF処理によって、サイズの減少の割合が亢進した。一方、MDCの共処理により、VPDSMとDSMKFによるサイズの減少が阻害された。
スフェロイドを形成したがん細胞の生存率に対する抗がん剤の効果を検討したところ、ドキソルビシンの濃度に依存して生存率が低下した(図10)。さらに、VPDSMとDSMKF処理によって、生存率の低下の割合が亢進した。一方、MDCの共処理により、VPDSMとDSMKFによる生存率の低下が阻害された。
肺腺がんの治療において分子標的薬が使用できない場合は、シスプラチン(白金製剤)を中心とした多剤併用量が行われる。そこで、スフェロイドを形成したがん細胞の生存率に対するシスプラチンの効果を検討したところ、シスプラチンの濃度に依存してスフェロイドサイズと生存率が低下した(図11)。さらに、VPDSMとDSMKF処理によって、サイズと生存率の低下の割合が亢進した。これらの結果はドキソルビシンに対する効果と一致する。
3.考察
ヒトにおいてCLDNには27種類のサブタイプが報告され、各サブタイプが組織特異的に発現している(引用論文2)。CLDN2は正常組織として、腎臓の近位尿細管、胆嚢、小腸に高発現し、ナトリウムイオンの輸送に関与すると報告されている(引用論文3、4)。正常肺組織にCLDN2は未発現であるが、肺腺がん組織に高発現する(引用論文5)ため、CLDN2は肺腺がんの新たな診断マーカーになる可能性がある。また、CLDN2はがん細胞の凝集塊(生体内の微小環境に相当する)で抗がん剤の感受性の低下させるため、CLDN2の発現量を低下させる薬剤は、新たながん補助療法薬になると考える。これまでにCLDN2に直接結合する化合物は報告されていない。CLDN2は4回膜貫通型の構造を有し、第1細胞外ループがイオン選択性の規定(引用論文6)、第2細胞外ループがCLDN同士の結合(引用論文7)に必要であると報告されている。本研究では、水晶振動子マイクロバランス(QCM)法を用いて、CLDN2の第2細胞外ループに直接結合する短鎖ペプチド(CLDN2結合性ペプチド)の開発に成功した。CLDN2の細胞外ループとCLDN2結合性ペプチドの相互作用様式は不明であるが、ファンデルワールス力や水素結合などの分子間力が関与すると推察される。
CLDN2結合性ペプチドの処理により、CLDN2 mRNA量は変化しないがタンパク質量が低下した(図2、3)。また、CLDN2タンパク質量の低下がクラスリン依存性エンドサイトーシス阻害剤やリソソーム阻害剤の共処理によって阻害された(図4)ことから、CLDN2結合性ペプチドはタイトジャンクションに分布するCLDN2のエンドサイトーシスおよびリソソームにおける分解を促進させることが示唆された。乳がん細胞に高発現するCLDN3とCLDN4への結合が予測される短鎖ペプチドも、CLDNのエンドサイトーシスを引き起こすことが報告されている(引用論文8)。CLDNはタイトジャンクションでホモまたはヘテロ様式で結合することによって安定に分布できるが、第2細胞外ループに別の短鎖ペプチドが結合すると不安定になり、エンドサイトーシスされやすくなると示唆される。
三次元培養によるスフェロイドを用いた解析において、CLDN2結合性ペプチドはシスプラチンやドキソルビシンによる細胞生存率の低下を増強した(図10、11)。そのため、CLDN2結合性ペプチドは抗がん剤抵抗性を示す肺腺がんの治療において、補助療法薬として有用であると考えられる。具体的な抗がん効果の増強メカニズムは不明であるが、CLDN2結合性ペプチドがドキソルビシンの上皮膜間透過性およびスフェロイド内の蓄積量を増加させたことから、スフェロイド内部への抗がん剤透過性の亢進が関与すると示唆される。また、CLDN2結合性ペプチドはスフェロイド内部の低酸素状態を軽減したため、ストレス状態からの解除によってがん細胞に対する抗がん剤感受性が亢進すると示唆される。スフェロイド内部の低酸素度の調節機構は不明なため、CLDN2の高発現による低酸素誘導機構は今後の検討課題である。
CLDN2結合性ペプチドの医療分野への波及効果として、次の3点が挙げられる。
(i) CLDN2の高発現は、肺腺がん(引用論文5)だけでなく、大腸がん、肝臓がん、食道がんで報告されている(引用論文9〜11)。そのため本研究で開発したCLDN2結合性ペプチドは、肺腺がんだけでなく他臓器のがん治療にも有効であると考える。
(ii) クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、HIV感染において、腸管のCLDN2発現量が増加し、下痢などの症状を引き起こすことが報告されている(引用論文12)。そのため本研究で開発するCLDN2結合性ペプチドは、がんだけでなくこれらの疾患の治療にも有効であると考える。
(iii) タイトジャンクションは薬物吸収のバリアになるため、CLDN2結合性ペプチドは腸管からの薬物吸収率を向上させる効果があると考える。
CLDN4、6、18などが高発現するがん組織があるため、これらのCLDNに対する抗体医薬の開発が進められている。抗体医薬は特異性が高い、生体内安定性が高い、生産や製造法の共通性が高いといった利点があるが、次のような問題点、即ち、製造に時間と費用がかかること及び膜透過性が低いこと、が挙げられる。特に膜透過性の低さはがん治療において大きな問題になると考えられる。なぜなら、血管形成不全のためにがん細胞は正常細胞で見られない微小環境(低酸素、低栄養のストレス環境)を形成しており、微小環境深部へ抗体医薬を浸透させることが困難である。さらに上皮細胞がタイトジャンクションを形成した場合、約500 Da以下の分子のみが細胞間を通過でき、分子量が約150 kDaの抗体は通りにくい。本研究で開発したCLDN2結合性ペプチドは、CLDN2の発現低下によってタイトジャンクションのバリア機能を低下させるため、抗体を含めた薬剤の細胞間透過性を亢進させることが期待できる。
<引用論文>
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CLDN2に結合してその発現を低下させるという、特徴的な生理機能を示すペプチドが提供される。当該ペプチドを含有する本発明の医薬は、がん細胞の低酸素状態の改善及びがん細胞の抗がん剤感受性の亢進に有効であり、がん治療における補助療法薬として有用である。本発明によれば、特に、抗がん剤に耐性/抵抗性を示す、治療困難な症例に対して有効な治療戦略が提供され得る。本発明は、抗がん剤の使用量や抗がん剤の種類(2種類以上の抗がん剤を併用する場合)の低減にも貢献し得る。一方、CLDN2はクローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、HIV感染等にも高発現が認められており、これらの疾患の治療にも本発明の利用が期待される。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
配列番号1、2:人工配列の説明:クローディン−2結合性ペプチド
配列番号3〜5:人工配列の説明:クローディン−3の第2細胞外ループを模倣したペプチド
配列番号7、9、11:人工配列の説明:センスプライマー
配列番号8、10、12:人工配列の説明:アンチセンスプライマー

Claims (9)

  1. VPDSM(配列番号1)又はDSMKF(配列番号2)のアミノ酸配列を有する、クローディン−2結合性ペプチド。
  2. クローディン−2の第2細胞外ループに直接結合する、請求項1に記載のペプチド。
  3. 請求項1又は2に記載のペプチドを含有し、がん細胞の低酸素状態の改善、及び/又はがん細胞の抗がん剤感受性の亢進に有効な薬剤。
  4. 請求項3に記載の薬剤を含有し、抗がん剤と併用される、がん補助療法薬。
  5. クローディン−2の高発現を認めるがんの治療に使用される、請求項4に記載のがん補助療法薬。
  6. 前記がんが、肺腺がん、大腸がん、肝臓がん又は食道がんである、請求項5に記載のがん補助療法薬。
  7. 抗がん剤による治療を受けるがん患者に対して、請求項4〜6のいずれか一項に記載のがん補助療法薬を治療上有効量投与するステップを含む、がんの治療法。
  8. 請求項1又は2に記載のペプチドを含有する、クローディン−2の高発現がその原因となる又はその病態を形成する疾患に対する治療薬。
  9. 請求項1又は2に記載のペプチドを含有する研究用試薬。
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