JP2020147551A - Mhcクラスii拘束性エピトープペプチドを含有する免疫増強剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】癌の免疫療法として期待されるペプチドワクチン療法において、従来のMHC クラスI分子を介した細胞傷害性T細胞(CTL)による免疫機構のみでは、腫瘍特異的免疫応答による抗腫瘍効果が不十分であり得るため、新たな治療方法として、MHC クラスII分子を標的とする手段を提供する。【解決手段】HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者の治療において使用するための免疫増強剤であって、配列番号1、2又は10で示されるアミノ酸配列において19個又は20個の連続アミノ酸からなるペプチドの1種以上を有効成分として含有する、免疫増強剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、MHCクラスII拘束性エピトープペプチドを用いた免疫療法に関し、より具体的には、特定のクラスII HLA分子を発現する癌患者の治療におけるMHCクラスII拘束性エピトープペプチドの使用に関する。
近年、癌の治療として、外科療法、化学療法、放射線療法に次ぐ第4の治療法として、腫瘍抗原に対する免疫反応を利用した免疫療法が試みられている。癌の免疫療法には、サイトカイン療法、抗体療法、細胞療法、ペプチドワクチン療法、遺伝子療法など様々な方法があるが、安全性や効果の問題から臨床応用に至っているものは少ない。
このうち、ペプチドワクチン療法は、腫瘍抗原やそのエピトープ部分をアジュバントとともに投与することにより、細胞性免疫と体液性免疫の両方を誘導するもので、簡便さと安全性から多くの国で臨床応用が進められている。また、腫瘍抗原又はそのエピトープで活性化された樹状細胞を用いる樹状細胞ワクチンの開発も進められている。
免疫系による抗腫瘍作用には、主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex、MHC)分子を介した、腫瘍抗原の提示が不可欠である。ヒトにおけるMHCはヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen、HLA)と呼ばれている。
MHCは細胞表面に存在し、大きくクラスIとクラスIIに分類される。クラスI分子はほとんど全ての細胞表面に存在し、CD8陽性T細胞に抗原を提示して細胞障害性T細胞へと活性化させることが知られている。一方、クラスII分子はマクロファージ、単球、樹状細胞等の細胞表面に存在し、CD4陽性T細胞に抗原を提示してヘルパーT細胞へと活性化させる。MHCは遺伝的多型に富み、その個体差が免疫応答の個体差を規定する。
内在性の腫瘍細胞は、抗原提示細胞に捕食された後、断片化された腫瘍抗原ペプチドがMHC分子と複合体を形成してT細胞に提示される。一方、外来性の腫瘍抗原ペプチドは細胞内プロセシングを受けることなくMHC分子に直接結合し、T細胞に提示される。
一方、腫瘍において高発現され、従って腫瘍マーカーとして用いられると共に、治療標的としても考えられるタンパク質の一つとして、肝細胞癌特異抗原であるα-フェトタンパク質(α-fetoprotein、AFP)が知られている。AFPは、特に肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma、HCC)での発現が知られている。
本発明者等のグループはこれまでに、MHCクラスI A24(HLA-A24)分子を発現する個体において特に有効なMHCクラスI拘束性の腫瘍抗原ペプチドを見出し、該ペプチド又は該ペプチドを提示する樹状細胞等の抗原提示細胞をHLA-A24陽性癌患者の免疫療法に利用することができることを報告している(特許文献1、非特許文献1)。
一方、CD4陽性T細胞の応答性を高めるAFP由来ペプチドについても報告されている(非特許文献2及び3)。
国際公開第2005/083074号
Gastroenterology 2017, 152(6), 1395-1406 The Journal of Immunology 2008, 180, 5109-5117 The Journal of Immunology 2007, 178, 1914-1922
しかしながら、MHC クラスI分子を介した細胞傷害性T細胞(CTL)による免疫機構のみでは、腫瘍特異的免疫応答による抗腫瘍効果が不十分である可能性が考えられる。クラスII拘束性のエピトープペプチドについても、特定のHLA型との関係で有効なエピトープペプチドについては検討されていなかった。
本発明者等は、AFP由来の種々のペプチドを合成し、これらのペプチドが肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma、HCC)を有するか、又はHCCの罹患歴を有する日本人において末梢血単核球からのサイトカインの分泌を上昇させることができるか否かを詳細に検討した。その結果、特定のペプチドが、CD4陽性T細胞、特に日本人で高頻度に見られるHLA-DR型のCD4陽性T細胞の反応性を特に上昇させることを見出し、本発明に到った。このペプチドは、CD4陽性T細胞表面にHLA-DR型分子と共に提示され、患者における免疫反応を増強することができる。
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
1. HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者の治療において使用するための免疫増強剤であって、配列番号1、2又は10で示されるアミノ酸配列において19個又は20個の連続アミノ酸からなるペプチドの1種以上を有効成分として含有する、免疫増強剤。
2. ペプチドが、配列番号1、2又は10に示すアミノ酸配列からなるペプチドから選択される、上記1記載の免疫増強剤。
3. HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者由来の樹状細胞をex vivoで刺激するための、上記1又は2記載の免疫増強剤。
4. HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者由来の樹状細胞のex vivoにおける活性化方法であって、該樹状細胞を、配列番号1、2又は10で示されるアミノ酸配列において19個又は20個の連続アミノ酸からなるペプチドの1種以上と共に培養することを含む、上記方法。
5. 上記4記載の方法によって得られる、ex vivoにおいて活性化された樹状細胞。
6. 配列番号1、2又は10で示されるアミノ酸配列において19個又は20個の連続アミノ酸からなるペプチドに特異的に結合し得る抗体。
7. 1種以上のHLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドと組み合わせて投与される、上記1若しくは2記載の免疫増強剤又は上記5記載の樹状細胞。
8. HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドが、配列番号16、19又は29のいずれかで示されるペプチドから選択される、上記7記載の免疫増強剤又は樹状細胞。
9. HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドを提示する樹状細胞と組み合わせて投与される、上記1〜3のいずれか記載の免疫増強剤。
10. HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドが、配列番号16、19又は29のいずれかで示されるペプチドから選択される、上記9記載の免疫増強剤。
本発明により、特定のHLA-DRアリルを発現する患者におけるAFP発現腫瘍に対する新たな治療方法を提供することができる。
28名のHCC患者由来のPBMCを用い、AFP由来のペプチド(AFP1、AFP22、AFP62、AFP134、AFP155、AFP169、AFP210、AFP224、AFP246、AFP346、AFP361、AFP416、AFP428、AFP549)に対する反応性をIFNγ-ELISPOTアッセイで評価した結果を示す。* はスポット数が50以上を示す。 健常人14名のPBMCを用い、AFP由来のペプチド(AFP1、AFP22、AFP62、AFP134、AFP155、AFP169、AFP210、AFP224、AFP246、AFP346、AFP361、AFP416、AFP428、AFP549)に対する反応性をIFNγ-ELISPOTアッセイで評価した結果を示す。 ペプチドAFP1、AFP22、及びAFP346のいずれかに対して陽性反応を示したHCC患者由来のPBMCに対してCD8又はCD4陽性細胞の枯渇処理を施した後、各ペプチドに対する反応をIFNγ-ELISPOTアッセイで測定した結果を示す。黒色バーはCD8陽性細胞を枯渇処理したもの、白色バーはCD4陽性細胞を枯渇処理したものを示す。試験した患者のHLA-DRアリルの情報も合わせて示す。*1、*2はそれぞれ104、59のスポットを示す。 HCC患者及びHCC罹患歴を有する被験者由来のPBMCの細胞増殖に対するペプチドAFP1、AFP22、及びAFP346の効果を細胞への[3H]チミジンの取り込みを指標として示す。HLA-DRアリルが判明した一部の被験者についてはその情報も合わせて示す。*1、*2、*3、*4、*5、*6、*7はそれぞれ33.0倍、30.0倍、5.6倍、32.1倍、41.8倍、21.8倍、9.3倍を示す。 A:HLA分子を発現していない白血病細胞株K562、HLA-DRB1*0901をホモで発現する細胞株HEV0057、及びHLA-DRB1*0405をホモで発現する細胞株HEV0177と、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)修飾したペプチドAFP1との結合をフローサイトメトリーで示す((a)ペプチドなし、(b)HLA-DRB1*0405拘束性エピトープpreS1(23-32)、(c)ペプチドAFP1)。細胞株K562においては、preS1、AFP1ともに蛍光強度は同程度であったが、HEV0057およびHEV0177においてはAFP1がpreS1より蛍光強度が高い。B:3名のHCC患者:患者19 (HLA-DRB1*0405/0901)、患者28 (HLA-DRB1*0405/1401)、及び患者50 (HLA-DRB1*1501/1502)由来のPBMCと、捕捉抗体としてMHCクラスI抗体およびクラスII抗体を用いたIFNγ-ELISPOTアッセイの結果を示す。対照:PBMCのみ、ペプチド:PBMC+ペプチド、クラスI:HLA-ABC抗体、DP:HLA-DP抗体、DQ:HLA-DQ抗体、DR:HLA-DR抗体。
本発明は、HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者の治療において使用するための免疫増強剤に関する。
本明細書において、「免疫増強剤」とは、投与される患者における免疫反応を増強、すなわち活性化させることができる。また、免疫治療剤を含む他の抗癌剤又は抗癌治療効果を向上させることができる。従って、本明細書における「免疫増強剤」とは、抗腫瘍剤として、腫瘍に対する治療又は予防のために使用することができる。予防は、腫瘍の転移及び/又は再発の予防であり得る。また、本明細書における「免疫増強剤」は、抗癌ワクチンとしての投与も想定される。
本発明において治療の対象となる癌患者のHLA-DR型は、特にHLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502である。これらのHLA-DR型は、日本人において高頻度で見られることが知られている。ヒト個体におけるHLA-DR型は、当該個体由来の血液又は口腔内粘膜等のサンプルを用いて決定することが可能である。
本発明の免疫増強剤は、配列番号1、2又は10で示されるアミノ酸配列において19個又は20個の連続アミノ酸からなるペプチドの1種以上を有効成分として含有する。
一態様では、本発明の免疫増強剤は、配列番号1で示されるアミノ酸配列の1〜19番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチドを含有する。あるいは、本発明の免疫増強剤は、配列番号1で示されるアミノ酸配列の2〜20番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチドを含有する。あるいは、本発明の免疫増強剤は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを含有する。
また一態様では、本発明の免疫増強剤は、配列番号2で示されるアミノ酸配列の1〜19番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチドを含有する。あるいは、本発明の免疫増強剤は、配列番号2で示されるアミノ酸配列の2〜20番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチドを含有する。あるいは、本発明の免疫増強剤は、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを含有する。
また一態様では、本発明の免疫増強剤は、配列番号10で示されるアミノ酸配列の1〜19番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチドを含有する。あるいは、本発明の免疫増強剤は、配列番号10で示されるアミノ酸配列の2〜20番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチドを含有する。あるいは、本発明の免疫増強剤は、配列番号10で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを含有する。
具体的には、本発明の免疫増強剤は、
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列の1〜19番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、
(ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列の2〜20番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、及び
(iii)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチド
から選択される1種、2種又は3種のペプチドを含有する。
また、本発明の免疫増強剤は、
(i)配列番号2で示されるアミノ酸配列の1〜19番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、
(ii)配列番号2で示されるアミノ酸配列の2〜20番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、及び
(iii)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるペプチド
から選択される1種、2種又は3種のペプチドを含有する。
また、本発明の免疫増強剤は、
(i)配列番号10で示されるアミノ酸配列の1〜19番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、
(ii)配列番号10で示されるアミノ酸配列の2〜20番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、及び
(iii)配列番号10で示されるアミノ酸配列からなるペプチド
から選択される1種、2種又は3種のペプチドを含有する。
更にまた、本発明の免疫増強剤は、
(1)(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列の1〜19番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、(ii)配列番号1で示されるアミノ酸配列の2〜20番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、及び(iii)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチド、から選択される1種、2種又は3種のペプチド、
(2)(i)配列番号2で示されるアミノ酸配列の1〜19番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、(ii)配列番号2で示されるアミノ酸配列の2〜20番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、及び(iii)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるペプチド、から選択される1種、2種又は3種のペプチド、及び
(3)(i)配列番号10で示されるアミノ酸配列の1〜19番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、(ii)配列番号10で示されるアミノ酸配列の2〜20番目のアミノ酸の連続アミノ酸からなるペプチド、及び(iii)配列番号10で示されるアミノ酸配列からなるペプチド、から選択される1種、2種又は3種のペプチド
を含有し得る。
上記のペプチドは、Fmoc法あるいはBoc法による固相・液相合成等、周知の方法により容易に化学合成でき、またHPLC等の周知の手法により所望の純度で取得することができる。必要であれば、ペプチドには適当な修飾を施してもよい。ペプチドはまた、これをコードするDNAを適当なベクターに組み込み、宿主細胞中で発現させて、遺伝子工学的に調製することもできる。
本発明の好適な態様では、本発明の免疫増強剤は、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを単独で、又は他のペプチドと共に含有する。
上記のペプチドは、HLAクラスII分子、特にHLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502との高い結合親和性を有する。HLAクラスII分子との結合親和性は、細胞表面上にHLAクラスII分子を発現する細胞株との結合親和性をin vitroで評価することができる。
また、上記のペプチドは、HLAクラスII分子、特にHLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502を発現するCD4陽性T細胞を活性化し、当該細胞の増殖を促進すると共に、当該細胞からのサイトカイン、例えばインターフェロンγ(IFN-γ)の分泌を促進し得る。従って、本発明の免疫増強剤は、単独で、CD4陽性T細胞を活性化させるために使用することができる。
CD4陽性T細胞の活性化は、CD4陽性T細胞からのサイトカインの分泌量を、例えば、ELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)やELISPOT(Enzyme-Linked Immunospot) Assay等の周知のアッセイ法によって測定することで確認することができる。ELISAやELISPOTには種々のキットが販売されており、適宜利用することができる。また、CD4陽性T細胞の増殖を指標として測定することもできる。
本発明の免疫増強剤は、HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者の治療のために投与することができる。癌患者は、より具体的には、AFPを発現する癌、例えばHCCであり得る。
本発明の免疫増強剤は、HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502を発現する癌患者に対するペプチドワクチンとして用いることができる。ワクチンには、フロイントの完全あるいは不完全アジュバントをはじめ、細菌およびその菌体成分、マイコバクテリウム、グラム陰性菌および菌体成分、グラム陽性菌および菌体成分、非細菌性物質、植物や真菌の多糖体、核酸、脂溶性ビタミン類、ミネラルオイル等、当該分野で周知のアジュバントを含めることができ、また、製薬上許容されるその他の担体を適宜含んでいてもよい。
本発明の免疫増強剤はまた、他の抗癌剤又は抗癌治療と組み合わせて使用することができ、他の抗癌剤又は抗癌治療より前に、他の抗癌剤又は抗癌治療と同時に、あるいは他の抗癌剤又は抗癌治療の後で使用することができる。また、本発明の免疫治療剤は、癌のいずれのステージにおいて使用しても良く、転移及び/又は再発の予防のために使用しても良い。
尚、「他の抗癌剤」としては、特に限定するものではないが、例えばアルキル化剤、微小管阻害薬、代謝拮抗薬、抗体等の分子標的薬(例えば免疫チェックポイント阻害剤)、ホルモン剤若しくは抗ホルモン剤等が挙げられる。また、「抗癌治療」としては、特に限定するものではないが、手術及び放射線療法が挙げられる。
具体的な例として、本発明の免疫増強剤は、CD8陽性T細胞を活性化するためのペプチド、例えばHLAクラスI拘束性のエピトープと組み合わせて使用することができる。CD8陽性T細胞を活性化するためのペプチドは、AFP由来のペプチドであっても、AFP以外の腫瘍抗原由来のペプチドであっても良い。
CD8陽性T細胞を活性化することができるペプチドとしては、限定するものではないが、例えば国際公開第2005/083074号に記載された腫瘍抗原ペプチドが挙げられる。より具体的には、このような腫瘍抗原ペプチドとして、例えば配列番号16〜61に示すアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
配列番号16〜25に示すアミノ酸配列からなるペプチドは、AFP由来のHLA-A24拘束性ペプチドである。また、配列番号26〜35に示すアミノ酸配列からなるペプチドは、hTERT由来のHLA-A24拘束性ペプチドである。更に、配列番号36〜61に示すアミノ酸配列からなるペプチドは、HLA-A24拘束性であることが知られている他の腫瘍抗原若しくは腫瘍関連抗原由来のペプチドである。
配列番号16〜61に示すアミノ酸配列からなるペプチドは、いずれもHLA-A24分子への結合親和性が高いペプチドであり、従ってHLA-A24分子を発現するヒトにおいてCD8陽性T細胞を活性化し、CTL細胞を誘導することができる。従って、本発明の免疫増強剤を配列番号16〜61に示すアミノ酸配列からなるペプチドと組み合わせる場合、投与対象は、クラスI分子としてHLA-A24を発現し、クラスII分子としてHLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502を発現する患者となり得る。
本発明の免疫増強剤と、配列番号16〜61に示すアミノ酸配列からなるペプチドから選択される腫瘍抗原ペプチドとは、別個に、又は同時に患者に投与することができる。
配列番号16〜61に示すアミノ酸配列からなるペプチドから選択される腫瘍抗原ペプチドにおいて、本発明の免疫増強剤と組み合わせるために特に好ましいものは、以下に示すアミノ酸配列からなるペプチドである。
Lys Tyr Ile Gln Glu Ser Gln Ala Leu(配列番号16)
Glu Tyr Ser Arg Arg His Pro Gln Leu(配列番号19)
Val Tyr Gly Phe Val Arg Ala Cys Leu(配列番号29)
本発明の免疫増強剤の有効成分となるペプチドと、上記の配列番号16〜61に示すアミノ酸配列からなるペプチドとは、別個のペプチドとして投与することができるが、例えば直接若しくはリンカーを介して結合された融合ポリペプチドとして投与することもできる。融合ポリペプチドの作製のために利用可能なリンカーとしては、当分野で通常使用されるものであればいずれでも良く、特に限定するものではないが、例えば5〜25個、好ましくは10〜20個のアミノ酸残基からなるペプチドリンカー、例えばGSリンカー等を好適に使用することができる。
本発明の免疫増強剤はまた、上記の通り、HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者由来の樹状細胞をex vivoで刺激するために使用することができる。
従って、本発明はまた、HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者由来の樹状細胞のex vivoにおける活性化方法であって、該樹状細胞を、配列番号1、2又は10で示されるアミノ酸配列において19個又は20個の連続アミノ酸からなるペプチドの1種以上と共に培養することを含む、上記方法を提供する。上記患者から単離した樹状細胞を上記のペプチドと共に培養することで、上記のペプチドを細胞表面上に提示する樹状細胞を作製することができる。
本発明はまた、上記の方法によって得られる、ex vivoにおいて活性化された樹状細胞を提供する。
得られた樹状細胞は、上記のペプチドを提示した状態で元の患者の生体内に戻すことにより、樹状細胞ワクチンとして作用し得る。樹状細胞ワクチンは、必要に応じて、適当なアジュバントや製薬上許容される担体を含んでいてもよい。
樹状細胞ワクチンの調製や使用については、例えばNestle, F. O. et al., Nat Med 4, 328-32 (1998); Holtl, L. et al., Lancet 352, 1358 (1998); Geiger, J. et al., Lancet 356, 1163-5 (2000); Morse, M. A. et al., Clin Cancer Res 5, 1331-8 (1999); Murphy, G. P. et al., Prostate 39, 54-9 (1999)等の記載を参考にすることができる。
本発明は更に、配列番号1、2又は10で示されるアミノ酸配列において19個又は20個の連続アミノ酸からなるペプチドに特異的に結合し得る抗体を提供する。
本発明の抗体は、HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者におけるCD4陽性T細胞の活性の評価や、AFP発現腫瘍の存在の検出及び診断に利用することができる。抗体は、当分野で通常用いられるように標識しても良く、また二次抗体と組み合わせて検出のために使用することができる。
更なる態様として、本発明は、1種以上のHLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドと組み合わせて投与される、上記の本発明の免疫増強剤又は本発明の樹状細胞を提供する。
HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドは、特に限定するものではないが、例えば配列番号16〜61のいずれかで示されるペプチドから選択される。好ましくは、HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドは、配列番号16、19又は29で示されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
更なる態様として、本発明は、HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドを提示する樹状細胞と組み合わせて投与される、上記の本発明の免疫増強剤を提供する。HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドを提示する樹状細胞は、HLA-A24分子を発現する患者から単離した樹状細胞をHLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドと共に培養することで作製することができる。
HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドは、特に限定するものではないが、例えば配列番号16〜61のいずれかで示されるペプチドから選択される。好ましくは、HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドは、配列番号16、19又は29で示されるアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明の免疫増強剤は、単独で、又は上記したような他の抗癌剤等の治療において使用し得る有効成分と共に、医薬組成物として提供することができる。医薬組成物には、本発明の免疫増強剤及び他の有効成分の他に、投与形態に応じて、当分野で通常使用される担体、賦形剤、緩衝剤、安定化剤等を含めることができる。
本発明の免疫増強剤又は医薬組成物は、被験体に対して局所投与又は全身投与することができ、投与形態を限定するものではないが、例えば静脈内、腹腔内、患部若しくは患部の近辺に注射又は注入により投与することが好ましい。例えば肺組織内への局所的投与によって本発明の免疫増強剤を癌組織に集積させ、癌細胞特異的に効果を発揮させることができる。
本発明の免疫増強剤及び医薬組成物の投与量は、患者の体重、年齢、疾患の重篤度等に応じて変動するものであり、特に限定するものではないが、例えば0.0001〜100mg/kg体重の範囲の有効成分を1日1回〜数回、2日毎、3日毎、1週間毎、2週間毎、毎月、2カ月毎、3カ月毎に投与することが可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[実施例1 ペプチドの合成]
AFP由来のMHCクラスIIに結合するヘルパーT細胞エピトープのアミノ酸配列を予測するため、ウェブサイトであるProPred (http://crdd.osdd.net/raghava/propred/)を利用した。予測閾値は3%に設定した。
MHC classIIアリルのアミノ酸配列は、ソフトウェアによって選択された全てのHLA-DRB1エピトープの間で予測された。アミノ酸配列の中で、多数のDRB1アリルで予測され、さらに日本人で頻度が高いHLA-DRB1*0405 (日本人の13.4%)、*1502 (10.6%)、*1501 (7.7%)、*1302 (5.9%)、*0101 (5.8%)を含むものの中から、合計11種類を選択し、既報の3種類と合わせて、合計14種類のペプチドを合成した。
核となる9アミノ酸を含みつつ、そのペプチド構造にAFPのアミノ酸配列に従って数個のアミノ酸残基を加えたものをペプチドとして合成した。ペプチド合成はMimotope (Melbourne, Australia)に依頼した。純度は高速液体クロマトグラフィーで測定し、80%以上であることを確認した。
表1に、合成したペプチドのアミノ酸配列を、AFP中でのアミノ酸の位置と共に示す。尚、preS1は対照ペプチドとして使用する。
Figure 2020147551
[実施例2 スクリーニングELISpotアッセイ]
金沢大学附属病院消化器内科へ通院中の肝細胞癌を有している患者、若しくは過去に肝癌の加療歴がある患者41名、及び健常人14名から同意を得て全血を採取し、Lymphoprep (AXIS-SHIELD PoC AS, Oslo,Norway)を用いて遠心分離で末梢血単核球(PBMC)を分離した。分離したPBMCは、非動化した10%ウシ胎児血清、100 U/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI 1640培地 (Gibco, Grand Island, NY)中に浮遊させ、これをサンプルとして用いた。サンプルは必要に応じて凍結し、適宜解凍して解析に用いた。尚、肝細胞癌(HCC)はCTもしくはMRIで診断した。
28名のHCC患者由来のPBMCを用い、実施例1で合成したペプチドに対してPBMCが反応するかどうか、IFNγ-ELISPOTアッセイにて評価した。
96穴プレート (MultiScreen; Merck Millipore, Cork, Ireland)に抗ヒトIFNγ抗体 (Mabtech, Nacka, Sweden)を4℃で一晩固定化し、翌日PBSで4回洗浄した。次に、5%ウシ胎児血清を含んだRPMI 1640培地で25℃、2時間ブロックした。PBMC 3×105個に対して、実施例1で作製した各ペプチド10μg/mlをそれぞれのウエルに加え、5%ウシ胎児血清を含んだRPMI 1640培地中で培養した。ペプチド1種類につき2ウエルずつ培養した。
ペプチドとの共培養24時間経過後に、プレートを8回洗浄し、ビオチン標識抗ヒトIFNγ抗体を100μl加え、4℃で一晩培養した。プレートを4回洗浄し、ストレプトアビジンAP (Mabtech, Nacka, Sweden)を加え、2時間培養した。プレートをPBSで4回洗浄し、使用直前に調整したNBT/BCIP溶液 (Biorad, Hercules, CA)を加えた。蒸留水で洗浄して反応を停止させ、室温でプレートを乾燥させた。
特異的なスポット数は、ペプチドを入れたウエルのスポット数から、ペプチドを入れていないウエルのスポット数を引いてカウントした。特異的スポット数が10以上でかつ、ペプチドを入れたウエルのスポット数が、ペプチドを入れてないウエルのスポット数の2倍以上である時に、反応が陽性であると判定した。
ネガティブコントロールとしてPBMCと培養液のみのウエルを利用した。ポジティブコントロールには10 ng/ml フォルボール12-ミリスタート13-アセタート(PMA) (Sigma, St. Louis, Mo, USA)を用いた(データは示さない)。
その結果、20%以上の患者のPBMCで反応が見られたペプチドは、AFP1、AFP22、AFP246、AFP346であり、それぞれ60.7%、20.0%、20.0%、25.0%であった(図1)。反応が20%未満であったペプチドは、AFP62、AFP134、AFP155、AFP169、AFP210、AFP224、AFP361、AFP416、AFP428、AFP549であった。全ペプチドの中で、PBMCの反応が最も多く観察されたものはAFP1であり、1ウエルあたりのスポット数が50以上のサンプルもAFP1で最も多かった。
同様に、健常人14名のPBMCを用いて、合成したペプチドに対する反応をIFNγ-ELISPOT アッセイで評価した。その結果、陽性反応の頻度は、HCC患者と比較して低い傾向を認めた。ペプチドAFP1、AFP246、AFP346、AFP361では20%以上のPBMCサンプルで反応があったが、1ウエルあたりのスポット数が50を超えるものは認められなかった(図2)。
[実施例3 CD4陽性細胞及びCD8陽性細胞でのELISpotアッセイ]
実施例2において反応したリンパ球がCD4陽性T細胞なのかCD8陽性T細胞なのかを確認するために、スクリーニングにおいて陽性であった患者のPBMCをMicroBeads (Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を用いて標識し、セパレーター(マグネット)を用いてPBMCからCD8またはCD4陽性細胞を除去して、実施例2と同様のIFNγ-ELISPOTアッセイを行った。ペプチドは、スクリーニングELISPOTで反応が高率だったAFP1、AFP22、AFP346を対象とした。CD8陽性細胞およびCD4陽性細胞の枯渇はフローサイトメトリーで確認した。
その結果、図3に示すように、CD8陽性細胞を枯渇したPBMCの方が、CD4陽性細胞を枯渇したPBMCよりスポット数が多かった。このことから、実施例2で観察された陽性反応は、主としてCD4陽性T細胞によるものであることが示唆された。
さらに、CD8陽性細胞を枯渇したPBMC(CD4陽性細胞を含む)で陽性反応を認めた患者のHLA-DRアリルを調べると、HLA-DRB1*0405、*0901、*1502が多く、それらのHLA-DRアリルがこの反応に寄与していることが示唆された。また、本実施例においても、実施例2の結果と同様に、AFP1で最も多くのスポット数が観察された。
[実施例4 増殖アッセイ]
ペプチドに対する反応を、IFNγ産生だけでなく、細胞増殖の程度によるものでも評価するために増殖アッセイを行った。本実施例では、実施例2で取得した新鮮なPBMCを用いた。
96穴プレートで、1ウエルにつきPBMC 2×105個と各ペプチド10μg/mlを、10%ウシ胎児血清を含んだRPMI 1640培地中で培養した。5日間培養後に[3H]チミジンを1μCi/mlで加え、さらに24時間培養した。
その後、セルハーベスターを用いて、各サンプルを96ウエルのフィルタープレートに移して回収し、液体シンチレーションカウンターで、細胞内に取り込まれた放射活性を測定した。対象のペプチドのウエルの刺激指数(Stimulation index、SI)の平均値がネガティブコントロールのウエルの平均値の2倍以上であった場合を陽性とした。
ネガティブコントロールとしてPBMCと培養液のみのウエルを利用した。ポジティブコントロールとして10 ng/ml フィトヘマグルチニン(PHA)を用いた(データは示さない)。
ペプチドは実施例2で陽性反応が高率だったAFP1、AFP22、AFP346を対象とした。スクリーニングELISPOTで使用した患者のPBMCに加えて、HCCを有するもしくはHCC加療の既往をもつ患者から新たに採血したPBMCも使用した。
その結果、図4に示すように、AFP1、AFP22、AFP346いずれのペプチドにおいても陽性反応が40%を超えており、特にAFP1では最も反応が高率であった。このように増殖アッセイでも、PBMCがペプチドに反応することが明らかになった。さらに、HLA-DRアリルを調べる事ができた患者では、実施例3と同様に、HLA-DRB1*0405、*0901、*1502のいずれかを有していた。
[実施例5 ペプチド結合アッセイ]
PBMCとの反応が最も高率であったAFP1について、HLA-DR分子への親和性を調べるためにbinding assayを行った。
ヒトBリンパ球にEBVを感染させ不死化した細胞株HEV0057 (HLA-DRB1*0901)及びHEV0177 (HLA-DRB1*0405) (理研バイオリソース研究センター(RIKEN BRC)より入手)を、HLA class II分子発現細胞(HLA-DR分子をホモで発現)として用いた。ヒト不死化細胞は、20%ウシ胎児血清を含んだRPMI1640中で培養した。96ウエルプレートの各ウエルにヒト不死化細胞と、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)修飾したペプチドAFP1 (1mg/ml)を入れて、2時間インキュベートした後、PBSで2回洗浄した。
ポジティブコントロールとして、既報のB型肝炎ウイルス由来ペプチドでHLA-DRB1*0405拘束性エピトープであるpreS1(23-33) (IUBMB Life. 2000 Dec;50(6):379-84.)(表1)をFITC修飾したものを用いた。
ペプチドを入れないでヒト不死化細胞のみのウエルをネガティブコントロールとして用いた。また細胞株のネガコンティブコントロールとしてHLA分子を発現していない白血病細胞株K562を用いた。
HLA-DR分子発現細胞株とペプチドAFP1との結合をフローサイトメトリーで調べた結果、図5Aに示すように、細胞株K562においては、preS1、AFP1ともに蛍光強度は同程度であったが、HEV0057(HLA-DRB1*0901)およびHEV0177(HLA-DRB1*0405)においてはAFP1がpreS1より蛍光強度が高かった。このことからAFP1がHLA分子に結合することが確認できた。
[実施例6 ブロッキングアッセイ]
ペプチドAFP1のMHC拘束性を確認するために、3名のHCC患者:患者19 (HLA-DRB1*0405/0901)、患者28 (HLA-DRB1*0405/1401)、及び患者50 (HLA-DRB1*1501/1502)由来のPBMCを用い、また捕捉抗体としてMHCクラスI抗体およびクラスII抗体を用いてIFNγ-ELISPOTアッセイを行い、どのHLA分子がペプチドとの反応に寄与しているかを確認した。
PBMCとペプチドを共培養する際に、HLA-ABC抗体 (W6/32: BioLegend, San Diego, CA)、HLA-DP抗体 (BRAFB6: Santa Cruz Biotechnology, Dallas, TX)、HLA-DQ抗体 (SPV-L3: AbD Serotec, Oxford, UK)、又はHLA-DR抗体 (L243: BioLegend, San Diego, CA)をそれぞれ10μg/ml加えた。コントロールとして、PBMCのみのウエル、およびPBMCにペプチドを加えたウエルを用いた。
その結果、図5Bに示すように、患者19と患者28では、HLA-DR抗体でIFNγ産生が抑制された。患者50においても、HLA-DR抗体では、抗体なしの場合と同程度の反応しか認めなかった。
一方、すべての患者において、クラスI抗体、HLA-DP抗体、HLA-DQ抗体では、IFNγ産生は抑制されなかった。このことから、AFP1はHLA-DR分子と結合することが示唆された。
本発明の免疫増強剤は、日本人において高頻度で見られるHLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502を発現する癌患者の治療において効果的に使用することができる。

Claims (10)

  1. HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者の治療において使用するための免疫増強剤であって、配列番号1、2又は10で示されるアミノ酸配列において19個又は20個の連続アミノ酸からなるペプチドの1種以上を有効成分として含有する、免疫増強剤。
  2. ペプチドが、配列番号1、2又は10に示すアミノ酸配列からなるペプチドから選択される、請求項1記載の免疫増強剤。
  3. HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者由来の樹状細胞をex vivoで刺激するための、請求項1又は2記載の免疫増強剤。
  4. HLA-DRB1*0405、HLA-DRB1*0901、及び/又はHLA-DRB1*1502から選択されるクラスII HLA分子を発現する癌患者由来の樹状細胞のex vivoにおける活性化方法であって、該樹状細胞を、配列番号1、2又は10で示されるアミノ酸配列において19個又は20個の連続アミノ酸からなるペプチドの1種以上と共に培養することを含む、上記方法。
  5. 請求項4記載の方法によって得られる、ex vivoにおいて活性化された樹状細胞。
  6. 配列番号1、2又は10で示されるアミノ酸配列において19個又は20個の連続アミノ酸からなるペプチドに特異的に結合し得る抗体。
  7. 1種以上のHLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドと組み合わせて投与される、請求項1若しくは2記載の免疫増強剤又は請求項5記載の樹状細胞。
  8. HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドが、配列番号16、19又は29のいずれかで示されるペプチドから選択される、請求項7記載の免疫増強剤又は樹状細胞。
  9. HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドを提示する樹状細胞と組み合わせて投与される、請求項1〜3のいずれか1項記載の免疫増強剤。
  10. HLA-A24拘束性の腫瘍抗原ペプチドが、配列番号16、19又は29のいずれかで示されるペプチドから選択される、請求項9記載の免疫増強剤。
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