〔第1実施形態〕
(本実施形態に係る無人ヘリコプタの全体構成)
以下に、図1から図4を用いて、本発明を適用した第1実施形態に係る無人ヘリコプタの全体構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る無人ヘリコプタの左側面図である。図2は、図1で示す無人ヘリコプタの上面図である。図3は、図1で示す無人ヘリコプタの正面図である。図4は、無人ヘリコプタ本体3における駆動装置、分配構造及びその周辺部材を示す斜視図である。なお、図1における手前を無人ヘリコプタ1における「左」、図1における奥を無人ヘリコプタ1における「右」、図1における左を無人ヘリコプタ1における「前」、図1における右を無人ヘリコプタ1における「後」とする。
無人ヘリコプタ1は、遠隔操作や自動制御によって無人で飛行する回転翼機であり、検査対象物Oを検査するための検査機器10を搭載可能に構成され、検査対象物Oに一定の間隔を開けた状態で飛行しながら、検査機器10を用いて検査対象物Oの検査情報を取得できるようになっている。なお、検査対象物Oとは、例えば、コンクリート橋部材等の鉄道構造物等である。検査機器とは、例えば、打音検査装置、かぶり厚さ測定装置(電磁誘導法による鉄筋探査装置)、弾性波速度測定装置(衝撃弾性波を検査対象物Oに発生させてこの衝撃弾性波をレーザ振動計で測定する装置)、及びカメラ等である。検査情報とは、例えば、打音検査装置であれば音声情報、かぶり厚さ測定装置であれば鉄筋のかぶり厚さを示す情報、弾性波速度測定装置であれば検査対象物Oにおける2点の振動測定点間の弾性波速度を示す情報、カメラであれば検査対象物Oを撮影した画像データ等である。この様に検査情報を取得することで、検査対象物Oのコンクリートのひび割れや浮き等を検出することが出来る。
無人ヘリコプタ1は、検査機器10を搭載可能に構成された検査機器取り付け装置2が、取り付けロッド4を介して無人ヘリコプタ本体3に取り付けられてなる。無人ヘリコプタ本体3の構成を説明する。無人ヘリコプタ本体3は、フレーム32から前右方向、前左方向、後右方向、後左方向に水平に突出する4個のアーム342の先端に、回転により揚力を発生する、複数のプロペラ31が取り付けられている。フレーム32には、これらの複数のプロペラ31を回転させる駆動装置33(モータ)、この駆動装置33の制御装置(図略)、図略のバッテリー等が搭載されている。また、フレーム32内及びアーム342内には、この駆動装置33から複数のプロペラ31に回転力を伝達する回転伝達機構34が設けられている。なお、フレーム32は、下板部、下板部の上方に配置された中板部、中板部の上方に配置された上板部と、各板部を支持する支柱等を備えた構成である。
第1実施形態では、複数のプロペラ31は、第1のプロペラ311、第2のプロペラ312、第3のプロペラ313、及び第4のプロペラ314を含む。第1のプロペラ311は無人ヘリコプタ1における前方左側に配置され、第2のプロペラ312は無人ヘリコプタ1における後方左側に配置され、第3のプロペラ313は無人ヘリコプタ1における後方右側に配置され、第4のプロペラ314は、無人ヘリコプタ1における前方右側に配置されている。
図4で示すように、回転伝達機構34は、単一の駆動装置33の回転力を複数のプロペラ31に分配する分配構造340を備える。分配構造340は、フレーム32の駆動装置33の近傍に固定される。この分配構造340についての詳細は、後述する。分配構造340によって分配された駆動装置33からの回転力は、プーリ機構によって各プロペラ31に伝達される。この伝達構造を具体的に説明する。一端がフレーム32に取り付けられた各円筒状のアーム342の他端には夫々、プロペラ31を支持するプロペラ支持機構36が取り付けられている。そして、分配構造340から回転力が伝達される4つの第3原動プーリ343がフレーム32内におけるアーム342より内側の位置に設けられるとともに、第3原動プーリ343と同径の第3従動プーリ344(図5)が各プロペラ支持機構36に設けられる。第3原動プーリ343と第3従動プーリ344には、アーム342内を通る無端ベルト345が巻き掛けられており、これによって、分配構造340によって分配された回転力が複数のプロペラ31に伝達されるようになっている。
第1実施形態では、単一の駆動装置33の回転力が各プロペラ31に伝達されるため、各プロペラ31の単位時間あたりの回転数(回転速度)は一定となる。そして、各プロペラ31のピッチ角が可変になるように、各プロペラ31がプロペラ支持機構36によって支持されており、これによって、複数のプロペラ31が、ピッチ角が変更可能に取り付けられている。そして、複数のプロペラ31のピッチ角を制御する制御部37が各アーム342に取り付けられ、制御部37による各プロペラ31のピッチ角の制御によって、無人ヘリコプタ本体3の動作制御が行われている。なお、制御部37のピッチ角制御は、フレーム32に配置された図略の制御装置によって行われる。本実施形態において、無人ヘリコプタ本体3の動作制御とは、姿勢制御(ヨー軸制御、ロール軸制御、ピッチ軸制御)及び速度制御等である。プロペラ支持機構36の構造の詳細については、後述する。各アーム342には、着陸の衝撃吸収のために降着装置(スキッド)38が取り付けられる。
次に、検査機器取り付け装置2の構成について説明する。検査機器取り付け装置2は、フレーム32を貫通するように前後方向に略水平に延びる取り付けロッド4を介して、無人ヘリコプタ本体3の前側方に取り付けられている。より具体的に説明すると、取り付けロッド4は、その略中央の位置でビス等によってフレーム32に固定されており、その前端部に検査機器取り付け装置2が取り付けられている。これによって、無人ヘリコプタ1の前側部に検査機器取り付け装置2が配置されるようになっている。
検査機器取り付け装置2は、検査対象物Oを検査するための検査機器10を搭載するための搭載部20を備え、第1実施形態では、搭載部20には、検査機器10が前方を向くように取り付けられる。また、検査機器取り付け装置2は、検査対象物Oの検査を行う際に検査対象物Oに当接される複数のホイール21がホイールフレーム22の前端に取り付けられた構成を備える。これによって、検査対象物Oの検査のために検査対象物Oに近づいていくと、複数のホイール21が検査対象物Oに当接し、かつ検査機器10が検査対象物Oに向くようになる。複数のホイール21が検査対象物Oに当接した後は、無人ヘリコプタ本体3は、検査対象物Oから複数のホイール21が離間しないように、検査対象物Oを押圧するように飛行する。この状態で、複数のホイール21が、回転駆動され、検査対象物Oの検査範囲に亘って無人ヘリコプタ1を移動させ、検査機器10によって検査範囲の検査情報を取得することができるようになっている。なお、検査情報は、フレーム32に搭載された図略の制御装置によって無線通信でユーザ端末(図略)にリアルタイムで送信されてもよいし、図略の制御装置の内蔵記憶媒体に蓄積してもよい。
本実施形態において、複数のホイール21は、メカナムホイールである。このため、検査対象物Oにホイール21を当接させた状態で上下方向の2方向だけでなく、左右方向を含む360度の何れの方向にも移動可能であるため、無人ヘリコプタ1を縦横無尽に移動させることができる。検査対象物Oの検査時の最初に、検査対象物Oに対してホイール21を接地させる位置決めが必要であるが、この位置決めは、検査範囲の所定の位置(例えば角部)であることが好ましいのに、所定位置に接地出来ない場合がある。この場合に、上記構成によれば無人ヘリコプタ1を縦横無尽に移動させて検査対象物Oに接地しながら所定位置まで移動することができるため、無人ヘリコプタ1を再度飛行させずに位置決めを行うことができる。更に、検査対象物Oの検査時においても、検査範囲を縦横無尽に走行して、検査対象物Oから複数のホイール21を離間させることなく、検査対象物Oの検査を行うことができる。なお、複数のホイール21は、メカナムホイールではなく、オムニホイールを用いても、メカナムホイールとオムニホイールの両方を用いてもよい。また、複数のホイールは、メカナムホイール及びオムニホイールの他の種類のホイールを用いてもよい。
また、本実施形態は、取り付け装置2が、検査対象物Oの表面に出っ張りや窪み、傾きがある場合でも検査機器10と検査対象物Oとの間の距離を安定的に一定に保つような構造を備えることを特徴とする。具体的には、複数のホイール21を支持するホイールフレーム22が、検査対象物Oの表面の状態に応じて形状を変化させること可能に構成されている。検査対象物Oの表面の状態に応じてホイールフレーム22が形状を変化させて、複数のホイール21を検査対象物Oに接地させた状態を維持し、複数のホイール21が検査対象物Oから離間して、検査機器10が検査対象物Oから離れてしまうことを防止することができるようになっている。
また、搭載部20を有する搭載機構200がホイールフレーム22に取り付けられているが、搭載機構200の構造及びその動きによって、検査対象物Oにおける複数のホイール21の接地位置より検査機器10に対応する箇所(検査位置)の方が出っ張っていたり、窪んでいる場合でも、検査位置と検査機器10との間の距離を安定的に一定に維持することができるようになっている。また、検査機器10と検査位置とが平行に維持できるようになっている。取り付け装置2の構成の詳細については、後述する。
また、無人ヘリコプタ1は、取り付けロッド4の後端部において、略水平方向に機体を押すプッシャーとしての補助プロペラ51を備えたプッシャー部5を備える。これによって、複数のホイール21が設けられた一側部の反対側の側部に、略水平方向に機体を押すプッシャーとしての補助プロペラ51を備えることとなる。無人ヘリコプタ1は、水平方向に移動するときは、プロペラ31の回転面が移動方向に傾くため、無人ヘリコプタ本体3の移動方向側が下になるように傾く。このため、側部にある複数のホイール21を検査対象物Oに接地させた状態で水平方向に押圧しすぎると、無人ヘリコプタ本体3の傾きが大きくなりすぎて無人ヘリコプタ1が墜落する可能性がある。第1実施形態では、補助プロペラ51によって、略水平方向に複数のホイール21に向かって無人ヘリコプタ本体3を押すことで、無人ヘリコプタ本体3の傾きを変えず又は無人ヘリコプタ本体3を水平に保ったままでも、水平方向に押圧することができる。このため上記失墜を防止することができる。
以下に、無人ヘリコプタ本体3の回転伝達機構34及びプロペラ支持機構36の構成について詳細に説明する。
(無人ヘリコプタ本体3の構成:回転伝達機構)
以下に、図1から図4を用いて、第1実施形態に係る回転伝達機構34を説明する。なお、図4の斜視図は、無人ヘリコプタ本体3を左下方から見たものである。回転伝達機構34は、上述したように、単一の駆動装置33の回転力を複数のプロペラ31に分配する分配構造340を備える。分配構造340は、駆動装置33から回転力が伝達される第1ギヤ3401、第1ギヤ3401とともに回転する第1原動プーリ3402、及び第1原動プーリ3402との間に無端ベルト3403が巻き掛けられる第1従動プーリ3404を備える。
第1ギヤ3401は、回転軸が略垂直方向に延びるヘリカルギヤであり、駆動装置33の出力軸の先端に設けられたピニオンギヤ331に噛み合うことで、駆動装置33からの回転力が伝達される。なお、詳細については後述するが、この伝達された回転力は、第1プロペラ311に伝達される。第1ギヤ3401を貫通するように、シャフト3401Aが設けられ、このシャフト3401Aに外嵌するように固定されて、第1ギヤ3401の下側に第1原動プーリ3402が設けられている。これによって、第1ギヤ3401の回転にともなって回転する第1ギヤ3401の回転軸(シャフト3401A)に、第1原動プーリ2402が取り付けられ、第1ギヤ3401の回転にともなって第1原動プーリ3402も回転するようになっている。
第1ギヤ3401及び第1原動プーリ3402の後方右側には、第1原動プーリ3402と略同一の高さに第1従動プーリ3404が配置されている。第1従動プーリ3404はその回転軸が垂直方向に延びるように配置されている。第1原動プーリ3402と第1従動プーリ3404は、歯付きプーリであり、歯付きの無端ベルト3403が巻き掛けられており、これによって、第1原動プーリ3402の回転力が第1従動プーリ3404に伝達される。詳細については後述するが、この伝達された回転力は、第3プロペラ313に伝達されるようになっている。なお、第1原動プーリ3402の回転方向と、第1従動プーリ3404の回転方向は同一となる。また、第1原動プーリ3402と第1従動プーリ3404とは、同径に構成されており、これによって、第1ギヤ3401及び第1原動プーリ3402の単位時間あたりの回転数と、第1従動プーリ3404の単位時間あたりの回転数とが同一になっている。第1原動プーリ3402と第1従動プーリ3404の間には、無端ベルト3403のテンションを調節するためのテンションプーリ3403Aが設けられている。
第1ギヤ3401のシャフト3401Aには、第1ギヤ3401の上側において第3原動プーリ43(431)が外嵌された状態で取り付けられている。このため、この第3原動プーリ43(431)及び第1ギヤ3401は回転軸が同じであり、第1ギヤ3401の回転にともなって、第3原動プーリ43(431)が回転する。この第3原動プーリ43(431)の回転力は、第3の従動プーリ44に伝達されることで、第1のプロペラ311に伝達される。また、第1従動プーリ3404は、シャフト3404Aに外嵌されて固定されており、シャフト3404Aにおける第1従動プーリ3404の上側には第3原動プーリ343(3433)が取り付けられている。このため、この第3原動プーリ343(3433)及び第1従動プーリ3404の回転軸は同じである。これによって、第1従動プーリ3404の回転にともなって第3原動プーリ343(3433)が回転する。この第3原動プーリ343(3433)の回転力は、無端ベルト345を介して第3従動プーリ344(図13)に伝達されることで、第3のプロペラ313に伝達される。この様にして、駆動装置33の回転力は、第1のプロペラ311及び第3のプロペラ313に分配される。
上述したように、第1実施形態では、第1ギヤ3401の回転軸であるシャフト3401Aに、第3原動プーリ431と第1原動プーリ3402とを取り付けるだけの簡易な構成で、第1ギヤ3401の回転にともなって第1ギヤ3401と同方向及び同一回転数で第3原動プーリ3431と第1原動プーリ3402を回転させることができる。なお、「第1のプロペラ用プーリ機構」は、第3原動プーリ431、第1のプロペラ311のプロペラ支持機構36に設けられた第3従動プーリ344、及びこの第3従動プーリ344と第3原動プーリ431に巻き掛けられた無端ベルト345からなり、これらの部材によって、第1ギヤ3401の回転力を第1のプロペラ311に伝達する。また、第1従動プーリ3404の回転軸であるシャフト3404Aに、第3原動プーリ3433を取り付けるだけの簡易な構成で、第1従動プーリ3404の回転にともなって第1従動プーリ3404と同方向及び同一回転数で第3原動プーリ3433を回転させることができる。
更に、分配構造340は、第1ギヤ3401と噛み合う第2ギヤ3411、第2ギヤ3411とともに回転する第2原動プーリ3412、及び第2原動プーリ3412との間に無端ベルト3413が巻きかけられる第2従動プーリ3414を備える。
第2ギヤ3411は、回転軸が第1ギヤ3401と同方向に延びるヘリカルギヤであり、第1ギヤ3401と噛み合う。これによって、第1ギヤ3401からの回転力が伝達される。なお、詳細については後述するが、この伝達された回転力は第2プロペラ312に伝達される。ここで、第1ギヤ3401と第2ギヤ3411の回転方向は逆になる。第1ギヤ3401と第2ギヤ3411は、同径(歯数同一)であるため、単位時間あたりの回転数が同一になる。第2ギヤ3411を貫通するように、シャフト3411Aが設けられ、このシャフト3411Aに外嵌するように固定されて、第2ギヤ3411の下側に第2原動プーリ3412が設けられている。これによって、第2ギヤ3411の回転にともなって回転する第2ギヤ3411の回転軸(シャフト3411A)に、第2原動プーリ3412が取り付けられ、第2ギヤ3411の回転にともなって第2原動プーリ3412も回転するようになっている。
第2ギヤ3411及び第2原動プーリ3412の前方右側には、第2原動プーリ3412と略同一の高さに第2従動プーリ3414が配置されている。第2従動プーリ3414はその回転軸が垂直方向に延びるように配置されている。第2原動プーリ3412と第2従動プーリ3414は、歯付きプーリであり、歯付きの無端ベルト3413が巻き掛けられており、これによって、第2原動プーリ3412の回転力が第2従動プーリ3414に伝達される。詳細については後述するが、この伝達された回転力は、第4プロペラ314に伝達されるようになっている。なお、第2原動プーリ3412の回転方向と、第2従動プーリ3414の回転方向は同一となる。また、第2原動プーリ3412と第2従動プーリ3414とは、同径に構成されており、これによって、第2ギヤ3411及び第2原動プーリ3412の単位時間あたりの回転数と、第2従動プーリ3414の単位時間あたりの回転数が同一になっている。第2原動プーリ3412と第2従動プーリ3414の間には、無端ベルト3413のテンションを調節するためのテンションプーリ3413Aが設けられている。
第2ギヤ3411のシャフト3411Aには、第2ギヤ3411の上側に第3原動プーリ343(3432)が取り付けられている。このため、この第3原動プーリ343(3432)及び第2ギヤ3411は回転軸が同じであり、第2ギヤ3411の回転にともなって、第3原動プーリ343(3432)が回転する。この第3原動プーリ343(3432)の回転力は、無端ベルト345を介して第3の従動プーリ344に伝達されることで、第2のプロペラ312に伝達される。また、第2従動プーリ3414は、シャフト3414Aに外嵌されて固定されており、シャフト3414Aには第2従動プーリ3414の上側において第3原動プーリ343(3434)が外嵌された状態で取り付けられている。このため、この第3原動プーリ343(3434)及び第2従動プーリ3414の回転軸は同じである。これによって、第2従動プーリ3414の回転にともなって第3原動プーリ343(3434)が回転する。この第3原動プーリ343(3434)の回転力は、無端ベルト345を介して第3従動プーリ344に伝達されることで、第4のプロペラ314に伝達される。この様にして、駆動装置33の回転力は、第2のプロペラ312及び第4のプロペラ314に分配される。
上述したように、第1実施形態では、第2ギヤ3411の回転軸であるシャフト3411Aに、第3原動プーリ3432と第2原動プーリ3412とを取り付けるだけの簡易な構成で、第2ギヤ3411の回転にともなって第2ギヤ3411と同方向及び同一回転数で第3原動プーリ3432と第2原動プーリ3412を回転させることができる。なお、「第2のプロペラ用プーリ機構」は、第3原動プーリ3432、第2のプロペラ312のプロペラ支持機構36に設けられた第3従動プーリ344、及びこの第3従動プーリ344と第3原動プーリ3432に巻き掛けられた無端ベルト345からなり、これらの部材によって、第2ギヤ3411の回転力を第2のプロペラ312に伝達する。また、第2従動プーリ3414の回転軸であるシャフト3414Aに、第3原動プーリ434を取り付けるだけの簡易な構成で、第2従動プーリ3414の回転にともなって第2従動プーリ3414と同方向及び同一回転数で第3原動プーリ3434を回転させることができる。
なお、第1ギヤ3401、第1原動プーリ3402、無端ベルト3403、第1従動プーリ3404、第2ギヤ3411、第2原動プーリ3412、無端ベルト3413、第2従動プーリ3414、シャフト3401A、シャフト3404A、シャフト3411A、及びシャフト3414Aで、分配構造340を構成する。また、シャフト3401A、3404A、3411A、3414Aは、両端でフレーム32に固定されており、これによって、分配構造340がフレーム32に固定される。
(無人ヘリコプタ本体3の構成:プロペラ支持機構)
以下に、図1から図6を用いて、本実施形態に係る無人ヘリコプタ1のプロペラ支持機構36を説明する。図5は、第1実施形態に係る無人ヘリコプタ1のプロペラ支持機構36及びプロペラ31の斜視図である。図6は、図5で示すプロペラ支持機構36及びプロペラ31のA−A矢視断面図である。プロペラ支持機構36は、直立するプロペラシャフト61と、このプロペラシャフト61の上端に固定され、略垂直方向に形成された貫通孔62Aを有するプロペラハブ62と、プロペラハブ62における貫通孔62A内に挿入されたスピンドルシャフト63と、スピンドルシャフト63に対して、ピッチ角を変更可能に、プロペラ31を取り付けるプロペラホルダー64と、を備える。
第1実施形態では、プロペラハブ62は、略水平方向に延びる第1筒体621の下に第2筒体622が突出するように延設された形状である。第2筒体622内には、プロペラシャフト61の上端が、挿入された状態でビス等によって固定され、これによって、プロペラハブ62は、プロペラシャフト61の上端に固定されるようになっている。第1筒体621の筒孔が貫通孔62Aであり、この貫通孔62Aよりも長いスピンドルシャフト63が貫通孔62Aの両端から突出するように貫通孔62Aに挿入される。
プロペラハブ62とスピンドルシャフト63との間には、ダンパー600が配置されている。具体的には、ダンパー600は、例えばゴム製のOリングであり、スピンドルシャフト63に嵌められることで、スピンドルシャフト63の周囲に取り付けられ、この状態で貫通孔62Aに挿入される。なお、貫通孔62Aの両端部は、孔の径が大きくなっており、この部分に夫々ダンパー600が配置されるようになっている。プロペラ31のピッチ角を可変にすることでプロペラ支持機構36は劣化し易くなるが、この劣化をダンパー600の緩衝によって防止することができる。本実施形態では、ダンパー600は、ゴム製のOリングであるが、ゴム製でなくてもOリングでなくてもよく、素材及び形状を問わず緩衝材であればよい。
スピンドルシャフト63における貫通孔62Aから突出した部分夫々に、プロペラホルダー64が外嵌される。このプロペラホルダー64を介してスピンドルシャフト63の両端部に、プロペラ31を構成する一対のブレード301、302が固定される。なお、プロペラ31を構成するブレードの個数は、2つに限定されず、より多くの数のブレードから構成されてもよい。
また、プロペラシャフト61の下端部には、第3従動プーリ344が取り付けられている。これによって、第3原動プーリ43から無端ベルト345を介して第3従動プーリ344に伝達された回転力が、プロペラシャフト61に伝達されるようになっている。なお、図5及び図6は図面の視認し易さを考慮して、無端ベルト345を省略している。また、第3従動プーリ344は、フレーム650内に配置される。プロペラシャフト61の回転にともなって、プロペラハブ62とスピンドルシャフト63も同軸で回転し、これによって、スピンドルシャフト63に固定されたプロペラ31も回転するようになっている。
プロペラ31のブレード301、302は、上述したように制御部7によってピッチ角が制御される。具体的には、制御部7には、水平方向に延びる制御ロッド71の一端が取り付けられ、この制御ロッド71は制御部7に制御されて進退動作を行う。制御ロッド71の他端は、筐体650に取り付けられたリンク機構65に取り付けられている。リンク機構65は、プロペラシャフト61におけるスピンドルシャフト63と第3従動プーリ344との間の位置に外嵌される昇降部材66に取り付けられ、制御ロッド71の進退動作に応じて、昇降部材66を昇降させる。昇降部材66は、リンク機構67(671、672)によってプロペラホルダー64に連結されており、昇降部材66の昇降によって、ブレード301、302のピッチ角が調整される。なお、昇降部材66の昇降動作時には、ブレード301、302が回転する。
フレーム650と水平方向に並ぶように、フレーム650には取付部材60が固定されており、この取付部材60によって、アーム342の一端にプロペラ支持機構36が取り付けられている。具体的には、取付部材60は、アーム挿入用孔60Aが水平方向に向けて形成されており、このアーム挿入用孔60Aにアーム342の一端が嵌め入れられることで、アーム342の一端にプロペラ支持機構36が取り付けられる。ここで、プロペラ支持機構36を所望の傾き度合でアーム挿入用孔60Aに挿入して固定することができる。
(検査機器取り付け装置2の構成:全体構成)
以下に、図1から図3を参照して、無人ヘリコプタ1を構成する検査機器取り付け装置2の構成について詳細に説明する。検査機器取り付け装置2は、上述したように、検査対象物Oを検査するための検査機器10を無人ヘリコプタ本体3に対して取り付けるためのものである。検査機器取り付け装置2は、検査対象物Oの検査時に検査対象物Oに当接される複数のホイール21と、複数のホイール21を支持するためのホイールフレーム22と、検査対象物Oを検査するための検査機器10の搭載部20を有し、ホイールフレーム22に取り付けられた搭載機構200とを備える。
(検査機器取り付け装置2の構成:ホイールフレーム)
以下に、図1から図3、図7から図16を用いて、ホイールフレーム22の構成について詳細に説明する。図7は、検査機器取り付け装置の分解図である。図8は、検査機器取り付け装置及びその周辺部位を示す底面図である。図9は、図8の点線部分で囲った部分の部分拡大図である。図10は、第3フレームにおける支持部材の斜視図である。図11は、第3フレーム(支持部材を除く)及びその周辺部材の分解図である。なお、図11では、回転軸2233及び右側の部材223Cが省略されている。図12は、第3フレームにおける支持部材の分解図である。図13は、第1フレーム及び第2フレームの分解図である。図14Aは、支持部材の左面側の板状部材と左面側の板状の部材を除いた状態の検査機器取り付け装置の左側面図である。図14Bは、図14Aの点線で囲んだ部分の部分拡大図である。図15は、図1で示す無人ヘリコプタにおいて第1フレームが時計回りに回動した状態の検査機器取り付け装置及びその周辺部位を示す左側面図である。なお、図15において、第2フレーム222は省略されている。図16は、図1で示す無人ヘリコプタにおいて第3フレームが反時計回りに回動した状態の検査機器取り付け装置及びその周辺部位を示す平面図である。
ホイールフレーム22は、複数のホイール21を支持するための部材であり、並列に配置され、所定方向に延設された第1フレーム221及び第2フレーム222と、第1フレーム221及び第2フレーム222の延設方向(上下方向)とは交差する方向(左右方向)に延設された第3フレームとを備える。より具体的に説明すると、ホイールフレーム22では、略垂直に延設された長尺の部材である第1フレーム221と、所定の間隔を開けて第1フレーム221の右方に配置され、略垂直に延設された長尺の部材である第2フレーム222と、第1フレーム221及び第2フレーム222の延設方向における中央部と直交するように略水平方向に延びる第3フレーム223とを備える。なお、第3フレーム223は、左右方向に延びる長尺の部材(後述の部材223A)と、この部材の両端から前方に突出するように延びる支持部材2232とを備えており、左端側の支持部材2232に第1フレーム221が固定され、右端側の支持部材2232に第2フレーム222が固定されている。更に、ホイールフレーム22は、第3フレーム223をロッド4の前端に固定するための固定部材23を第3フレーム223の後方に備える。
第1フレーム221、第2フレーム222は、複数の肉抜き孔が全面に亘って形成されたラーメン構造を有する2枚の板状の部材22Aを、左右方向に板面が向くように所定の間隔を開けて配置し、それぞれの板状部材22Aを前縁において接続部位22Bで接続するような形状を有する。なお、部材22Aは、肉抜き孔を形成した分の強度を補うために、それぞれ延設方向における中央部が幅広に形成されている。第1フレーム221の延設方向の中途位置(幅広に形成された中央部)である第1フレーム中途位置2211内(2枚の部材22Aの間)に、第3フレーム223の支持部材2232が入り込み、支持部材2232を貫通するように左右方向に延びる回転軸2212が取り付けられている。また、第2フレーム222の延設方向の中途位置(幅広に形成された中央部)である第2フレーム中途位置2221内(2枚の部材22Aの間)に、第3フレーム223の支持部材2232が入り込み、支持部材2232を貫通するように左右方向に延びる回転軸2222が取り付けられている。この様に、第3フレーム223は、第1フレーム中途位置2211が回動可能に取り付けられるとともに、第2フレーム中途位置2221が回動可能に取り付けられる。この第1フレーム221及び第2フレーム222と支持部材2232との取り付け構造についての詳細は、後述する。
第1ホイール211には、第1フレーム中途位置2211より一方側(下方側)にホイール21(第1ホイール211)が取り付けられ、第1フレーム中途位置2211より他方側(上方側)にホイール21(第2ホイール212)が取り付けられている。また、第2フレーム222には、第2フレーム中途位置2221より一方側(下方側)にホイール21(第3ホイール213)が取り付けられ、第2フレーム中途位置2221より他方側(上方側)にホイール21(第4ホイール214)が取り付けられている。なお、第1ホイール211、第2ホイール212、第3ホイール213、第4ホイール214は、2枚の部材22Aに挟まれるように配置され、部材22Aに回転可能に取り付けられている。
第1フレーム221の右面における、第1ホイール211及び第2ホイール212に対応する位置には、第1ホイール211及び第2フレーム212を回転駆動させる駆動部材(モータ等)M1が設けられている。また、第2フレーム222の左面における、第3ホイール213及び第4ホイール214に対応する位置には、第3ホイール213及び第4ホイール214を回転駆動させる駆動部材(モータ等)M1が設けられている。駆動部材M1は、フレーム32に搭載されている図略の制御装置と有線又は無線で接続されている。図略の制御装置は、所定の無線通信規格に準拠して無線通信を行う無線通信部を備え、ユーザの操作を受け付ける図略のユーザ端末(無線コントローラ)からの指示を受け付けて、指示に応じて駆動部材M1の動作を制御する。なお、第1実施形態では、第1フレーム221と第2フレーム222とは同一形状を有し、ホイール21の取り付け位置も同一であるが、必ずしも同一形状でなくてもよく、取り付け位置も同一でなくてもよい。
第1実施形態によれば、検査対象物Oの検査時には、複数のホイール21(第1から第4ホイール211、212、213、214)が検査対象物Oに当接することで、検査対象物Oと検査機器10とを一定の距離に保つことが可能になる。第1ホイール211及び第2ホイール212は、第1フレーム221に取り付けられるが、上述したように、第1ホイール211と第2ホイール212との間にある第1フレーム中途位置2211が回動可能に第3フレーム213に取り付けられている。このため、図15で示すように、第1フレーム221は検査対象物Oの表面形状に合わせて第1フレーム中途位置2211を中心に回動して第1ホイール211及び第2ホイール212を検査対象物Oに当接させることができる。また、第3ホイール213及び第4ホイール214は、第2フレーム222に取り付けられるが、上述したように、第3ホイール213と第4ホイール214との間にある第2フレーム中途位置2221が回動可能に第3フレーム223に取り付けられている。このため、第2フレーム222は検査対象物Oの表面形状に合わせて第2フレーム中途位置2221を中心に回動して第3ホイール213及び第4ホイール214を検査対象物Oに当接させることができる。
ここで、第1ホイール211及び第2ホイール212の近傍の検査対象物Oの表面の傾斜方向と、第3ホイール213及び第4ホイール214の近傍の検査対象物Oの表面の傾斜方向とが異なる場合であっても、第1フレーム221と第2フレーム222とを非連動に(異なった方向に)回動させることができるため、検査対象物Oの表面形状が複雑な場合でも、第1から第4ホイール211、212、213、214を好適に検査対象物Oに当接させることができる。これによって、検査対象物Oと検査機器10との間の距離を安定的に一定に保つことが可能になり、精度良く検査を行うことが出来る。また、複数のホイール21の回転数で、検査対象物Oにおける検査位置を特定する構成を採用する場合でも、検査位置の情報にも誤りが生じることなく、精度良く検査を行うことができる。
図7で示すように、固定部材23は、複数の肉抜き孔が形成されたラーメン構造を有する2枚の板状の部材23Aを上下方向に板面が向くように所定の間隔を開けて配置し、それぞれの板状の部材23Aを前縁において接続部位23Bで接続し、それぞれの板状の部材23Aを後縁において接続部位23Cで接続し、それぞれの板状の部材23Aを左縁及び右縁において接続部位23Dで接続するような形状を有する。なお、部材23Aは、肉抜きを形成した分の強度を補うために、それぞれ延設方向の中央部を前方に突出させた幅広形状に形成されている。この幅広に形成された部分を固定部材中途位置231と記載する。なお、固定部材中途位置231の前端に、第3フレーム223への取り付け用の貫通孔23A´が形成されている。また、固定部材23には、接続部位23Cを貫通して接続部位23Bに至るように、2個の取り付けロッド4が貫通される。より具体的には、接続部位23Cには、左右方向に並ぶ4個のロッド貫通孔23C´が形成されているとともに、接続部位23Bにも、ロッド貫通孔23C´に対応する位置に4個のロッド貫通孔23B´が形成されている。4個のロッド貫通孔23C´及びロッド貫通孔23B´のうち外側の2個のロッド貫通孔23C´及びロッド貫通孔23B´にロッド4の前端部が挿入された状態で、ロッド4をロッド貫通孔23C´及びロッド貫通孔23B´の周囲にビス等で固定する。これによって、固定部材23には、取り付けロッド4の右端部が固定される。
第3フレーム223は、複数の肉抜き孔が形成されたラーメン構造を有する2枚の板状の部材223Aを上下方向に板面が向くように所定の間隔を開けて配置し、それぞれの板状の部材223Aを前縁において接続部位223Bで接続するような形状を有する。なお、部材223Aは、肉抜き孔を形成した分の強度を補うために、延設方向における中央部(延設方向の中途位置)が後方に突出するように形成された幅広形状を有する。この幅広に形成された中央部である第3フレーム中途位置2231内(2枚の部材22Bの間)に、後方から固定部材23における固定部材中途位置231の前端が入り込み、固定部材中途位置231を貫通するように上下方向(垂直方向)に延びる回転軸2233が取り付けられる。具体的には、回転軸2233の両端が、第3フレーム中途位置2231における部材223Bそれぞれに設けられた軸受け部2232に軸支される。これによって、第3フレーム中途位置2231が回転軸2233を摺動して回動可能に固定部材23に回動可能に取り付けられる。
上記の様にして、図16で示すように、第3フレーム223は、第1フレーム中途位置2211の取り付け位置と第2フレーム中途位置2221の取り付け位置との間の位置2231を基準として回動可能になっている。このため、第3フレーム223の回動によって、第1フレーム中途位置2211と第2フレーム中途位置2221との位置関係を変更して、更に緻密に複数のホイールの位置を変えることが可能になる。これによって、一層安定的に複数のホイールを検査対象物に当接させることができる。
また、第1フレームの回転軸2212と第2フレームの回転軸2222とは略同一の方向に延び、第3フレームの回転軸2233は、第1フレームの回転軸2212及び第2フレームの回転軸2222の延びる方向と略直交する方向に延びるようになっている。この構成によって、第3フレーム223の回転軸2233に直交する方向の検査対象物Oの傾斜に合わせて第3フレーム223を回動させ、第1フレーム221及び第2フレーム222に直交する方向の検査対象物Oの傾斜に合わせて第1フレーム221及び第2フレーム222を回動させることで、複数のホイール21をより安定的に検査対象物Oに当接させることが出来る。第1実施形態では、第1フレーム221及び第2フレーム222の回転軸2212、2222の延びる方向が左右方向、第3フレームの回転軸2233の延びる方向が上下方向であるため、検査対象物Oの表面の上下方向の傾斜に合わせて第1フレーム221及び第2フレーム222を回動させる。検査対象物Oの表面の左右方向の傾斜に合わせて第3フレーム223を回動させ、より表面形状が複雑な検査対象物Oに対しても複数のホイール21を当接させることができる。
また、2個の板状の部材223Aの左端部及び右端部には、支持部材2232が固着されており、これによって、第3フレーム223は、板状の部材223Aの両端から前方に支持部材2232が突出して延びるように形成されている。図10及び図12で示すように、支持部材2232は、板面が左右方向に向くように、かつ左右方向に所定の間隔を開けて配置された2個の板状部材2232Aを有している。この2個の板状部材2232Aの前縁が接続部位2232Bで接続されてなる。接続部位2232Bの後方には、接続部位2232Dが取り付けられ、接続部位2232Dによっても、2個の板状部材2232Aが接続される。板状部材2232Aは、上下方向に伸長する部材であり、その上前端部に貫通孔2232A´が形成されている。なお、貫通孔2232A´の下後方には、スリット状の貫通孔2232Mが形成され、この貫通孔2232Mに部材223Aの端部が嵌め入れて接着材等が塗布されることで、支持部材2232と部材223Aとが固着されている。上述したように、
第1フレーム221における第1フレーム中途位置2211内及び第2フレーム222における第2フレーム中途位置2221内に、板状部材2232Aの上前端部が入り込むようになっている。2個の板状部材2232Aの上前端部が入り込んだ状態で、それぞれの貫通孔2232A´を貫通するように、左右方向に延びる回転軸2212、2222が取り付けられる。そして、回転軸2212の両端が第1フレーム中途位置2211における部材22Aそれぞれに設けられた軸受け部2211Aに軸支されることで、第1フレーム中途位置2211が回転軸2212を摺動して回動可能に第3フレーム223に取り付けられている。また、回転軸2222の両端が2フレーム中途位置2221における部材22Aそれぞれに設けられた軸受け部2221Aに軸支されることで、2フレーム中途位置2221が回転軸2222を摺動して第3フレーム223に回動可能に取り付けられている。この様にして、上述したように、第3フレーム223の左端側の支持部材2232に対して第1フレーム途位置2211が回転可能に取り付けられるとともに、右端側の支持部材232に対して第2フレーム中途位置2221が回転可能に取り付けられる。
また、第3フレーム223は、接続部材223Bから前方向に突出するように、板面を左右方向に向けた2個の板状の部材223Cが取り付けられている。2個の部材223Cは、第3フレーム223の回転軸2233を挟むように所定の間隔を開けて配置されている。図18Bで示すように、部材223Cは、左右方向から視認して略四角形状の部材であり、その前下隅に貫通孔223C´が形成されている。この貫通孔223C´に棒状の取り付け部材202を嵌め入れることで、取り付け部材202を介して、取り付け部材202に固定された搭載機構200が取り付けられる。この取り付け構造についての詳細は後述する。
なお、第3フレーム223には、図8及び図9で示すように、第3フレーム223を図1で示す通常姿勢(略水平方向に伸長している姿勢)に戻すための規制部2234が設けられている。また、図10、図12、図14A及び図14Bで示すように、第1フレーム221及び第2フレーム222を図1で示す通常姿勢(略垂直に起立している姿勢)に戻すための規制部2235が設けられている。
規制部2235は、図14A及び図14Bで示すように、第1フレーム221の部材22Aと支持部材2232の板状部材2232Aに亘って取り付けられている。また、図10及び図12で示すように、第2フレーム222の部材22Aと支持部材2232の部材2232Aに亘って取り付けられている。なお、図10及び図12は、第2フレーム222に取り付けられる規制部2235を示し、図14A及び図14Bは、第1フレーム221に取付けられる規制部2235を示す。第2フレーム222に取り付けられる規制部2235と第1フレーム221に取付けられる規制部2235との相違は、前者が左側の部材2232Aの右面に取り付けられ、後者が右側の部材2232Aの左面に取り付けられる点である。図14A及び図14Bでは、規制部2235を視認し易いように、支持部材2232を構成する2枚の板状部材2232Aのうち左側が外されている。
規制部2235の取り付け構造をより具体的に説明すると、支持部材2232の板状部材2232Aの上部には、回転軸2212、2222を貫通させるための貫通孔2232A´と並ぶように、貫通孔2232J及び貫通孔2232Kが形成されている。貫通孔2232A´、2232J、2232Kは、この順番に前から後に、上下方向での位置が略同一になるように配置されている。また、板状部材2232Aにおける貫通孔2232Kの後方縁に切り欠き2232Lが形成されている。支持部材2232における2個の部材2232Aの一方側の貫通孔2232Jの内側には、円盤部材2235Cを介して一端部にコイルスプリング抜け防止用フランジが形成された筒体2235Eの他端部が当接されている。なお、この一方側の貫通孔2232Jとは、第2フレーム222に取り付けられる支持部材223では左側の貫通孔2232Jであり、第1フレーム221に取付けられる支持部材223では右側の貫通孔2232Jである。筒体2235Eの周囲には、付勢部材2235Dが巻かれている。付勢部材2235Dは、コイルの両端が後方に伸長してクロスしてから平行(垂直面上を平行)に延びるコイルスプリングであるが、このコイル部分内に筒体2235Eが嵌め入れられている。なお、付勢部材2235Dのクロスする位置を「クロス部分」と記載し、平行に延びている位置を「平行部分」と記載する。この状態で、貫通孔2232Jの外側から円盤部材2235C及び筒体2235E内にビス2235Bが挿入され、これによって、付勢部材2235Dが板状部材2232Aに取り付けられる。
また、2個の板状部材2232Aの貫通孔2232Kには、棒状体2235Aの両端が嵌め入れられて固着され、これによって、2個の板状部材2232Aの間に亘って棒状体2235Aが取り付けられている。棒状体2235Aは、付勢部材2235Dのクロス部分の後側に当接するように配置されている。そして、付勢部材2235Dの平行部分は、板状部材2232Aの切り欠き2232Lまで伸びでいる。切り欠き223Lに重なるように第1フレーム221又は第2フレーム222の部材22Aが配置されるが、部材22Aにおける切り欠き223Lの位置に棒状体2235Gの一端が固定される。また、一端が固定されている部材22Aに対向する部材22Aに対して、棒状体2235Gの他端が固定される。この棒状体2235Gは、付勢部材2235Dの平行部分内に入り込むように位置している。
検査対象部Oに当接することで、第1ホイール211への検査対象物Oからの押圧度合いと第2ホイール212への検査対象物Oからの押圧度合いとが不均衡になると、第1フレーム221が回動して、これにともなって、棒状体2235Gも回動する。ここで、第1フレーム221に取り付けられた支持部材2232は回動しないため、棒状体2235Gは、支持部材2232の切り欠き2232L内を移動し、付勢部材2235Dの平行部分のうちの一方を押圧する。そして、第1ホイール211及び第2ホイール212が検査対象物Oから離間してこの押圧が解消されれば、棒状体2235Gが付勢部材2235Dに付勢されて、第1フレーム221を通常姿勢に戻す。第2フレーム222に対しても、第1フレーム221と同様にして、通常姿勢に戻される。
規制部2234は、図8及び図9で示すように、第3フレーム223の下面及び固定部材23の下面の境目部分に亘って設けられている。第3フレーム223の下面における左右方向における中央には、後縁から後方向に突出する突出部位223A´´が形成されている。この突出部位223A´´の先端部分と固定部材23の下面に亘って、規制部2234が設けられている。規制部2234は、突出部位223A´´の先端部分に前から後に並ぶように2個の貫通孔が形成されている。前側の貫通孔には、円盤部材を介して、下縁にフランジが形成された円筒部材2234Cが下方からビス等で固定される。後側の貫通孔には、円盤部材を介して、下縁にスプリングコイル抜け用のフランジが形成された円筒部材2234Bが下方からビス等で固定される。筒体2234Cの周囲には、付勢部材2234Dが巻かれている。付勢部材2234Dは、コイルの両端が後方に伸長してクロスしてから平行(水平面上を平行)に延びるスプリングコイルであるが、このコイル部分内に筒体2234Cが嵌め入れられている。なお、付勢部材2234Dのクロスする位置を「クロス部分」と記載し、平行に伸長している位置を「平行部分」と記載する。
円筒部材2234Bは、付勢部材2234Dのクロス部分の後側に当接するように配置されている。そして、付勢部材2234Dの平行部分は、固定部材23の下面まで伸びている。固定部材23の下面における付勢部材2234Dの平行部分の間の位置には、貫通孔が形成され、この貫通孔には、円盤部材を介して、下縁にフランジが形成された円筒部材2234Aが下方からビス等で固定される。
検査対象部Oに複数のホイール21が接地することで、第1フレーム中途位置2211との取り付け位置に係る押圧力と、第2フレーム中途位置2221との取り付け位置にかかる押圧力とが不均衡になれば、第3フレーム223が回転軸2232を中心に回動する。ここで、第3フレーム223の回動にともなって円筒部材2234B、2234C及び付勢部材2234Dも回動するが、固定部材23は回動しないため、円筒部材2234Aは回動しない。このため、円筒部材2234Aが付勢部材2234Dの平行部分のうちの一方を押圧する。複数のホイール21が検査対象物Oから離間することでこの押圧が解消されれば、付勢部材2234Dに付勢されて、第3フレーム223が通常姿勢に戻る。
(検査機器取り付け装置2の構成:搭載機構200)
上述したように、搭載機構200は、フレーム22に取り付けられており、これによって、搭載部20がフレーム22に取り付けられる。以下に、図7、図8、図11、及び図17から図26を参照して、搭載機構200の構成及び搭載機構200のフレーム22への取り付け構造について詳細に説明する。図17は、図1で示す無人ヘリコプタにおいて第1フレームを外した状態の検査機器取り付け装置及びその周辺部位を示す斜視図である。図18Aは、図17の図面の部分拡大図である。図18Bは、図17における搭載部支持部及びその周辺部材の部分拡大図である。図19は、搭載部支持部の分解図である。図20は、変形例に係る搭載部を備えた検査機器取り付け装置及びその周辺部位を示す斜視図である。図21は、搭載部の斜視図である。図22は、搭載部の平面図である。図23は、図20で示す搭載部の斜視図である。図24は、図20で示す搭載部の左側面図である。図25は、図20で示す搭載部の正面図である。図26は、図20で示す搭載部の平面図である。
図17で示すように、搭載機構200は、板面が前後方向を向き、前面に検査機器10がビス等で固定される矩形の板状の部材20Aを有する搭載部20と、この搭載部20の左端部及び右端部を支持するように上下方向に起立する2個の搭載部支持部201と、搭載部支持部201の下部を第3フレーム223の部材223Cの下部に取り付ける取付け部材202とを備える。ここで、第1実施形態では、搭載部20は、第1フレーム221及び第2フレーム222の間の位置において搭載部支持部201を介して第3フレーム223に回動可能に取り付けられている。なお、第1実施形態では、搭載部20は、搭載部支持部201を介して第3フレーム223に回動可能に取り付けられているが、搭載部支持部201を介さずに直接回動可能に第3フレーム223に取り付けられても良い。
図17、図21、及び図22で示すように、搭載部20は、板面が前後方向を向きかつ肉抜き孔が形成された矩形の平板部20Aと、平板部20Aの左縁及び右縁から前方に突出するように延設される延設部20Bと、平板部20Aの下縁及び下縁から後方に突出する突出部20Cを備える。延設部20Bは、板面が左右方向を向きかつ肉抜き孔が形成された平板状の部材である。延設部20Bは、左右方向に貫通する取り付け孔が形成されている。平板部20Aと延設部材20Bとは、略直角に配置され、延設部材20Bの取り付け孔に対して平板部20Aの端部の突起を嵌め込んだ状態で、例えば接着材によって互いに固着されている。なお、平板部20Aと延設部材20Bとは一体成形されていてもよい。
各延設部材20Bの前端部分には、左右方向に突出するように軸20E、20Fが設けられている。左側の延設部20Bでは、軸20E、20Fが左面から左方に突出するように、右側の延設部20Bでは、軸20E、20Fが右面から右方に突出するように、軸20E、20Fが螺子等で固定されている。なお、左側の軸20Eの取り付け位置が、本発明の「第1部位」に相当し、右側の軸20Eの取り付け位置が、本発明の「第2部位」に相当する。軸20Fの先端が、回動可能に搭載部支持部201の上端部に取り付けられることで、搭載部支持部201に支持されるようになっている。
図17で示す搭載部20は、検査機器用ホイールが取り付けられていないタイプのものであり、検査機器用ホイールW1が取り付けられた検査機器10(例えば、鉄筋探査装置等)を搭載する際に用いられる。この様に、第1実施形態に係る無人ヘリコプタ1は、検査機器用ホイールW1が取り付けられた検査機器10を搭載可能な構成を備えている。そして、第1実施形態では、検査機器用ホイールW1が取り付けられていない検査機器10(例えば、打音検査装置等)を搭載するために、図20、及び図23から図26で示すような、検査機器用ホイールW2が取り付けられている搭載部20´と交換可能になっている。これによって、第1実施形態に係る無人ヘリコプタ1は、搭載部20´に検査機器用ホイールW2が取り付けられる構成を備えている。
以下に、図20、及び図23から図26を用いて、搭載部20´の構成を説明する。
搭載部20´は、搭載部20の構成に加えて、2個の延設部20Bの間の位置において、平板部20Aから前方に突出するように延設された2個のホイール取付部20Gを、左右方向に並列するように備える。ホイール取付部20Gは、板面が左右方向を向きかつ肉抜き孔が形成された平板状の部材であり、後部分が幅狭に形成されており、この幅狭部の後端縁から後方向に突出する突起を有する。ホイール取付部20Gと平板部20Aとは、略直角に配置され、平板部20Aに形成された取り付け孔に対してホイール取付部20Gの突起を嵌め込んだ状態で、例えば接着材によって互いに固着されている。2個のホイール取付部20Gの前縁における上端と下端には、キャスター付きの検査機器用ホイールW2が螺子等によって、それぞれ取り付けられている。なお、左側のホイール取付部20Gの左面上部から左側の延設部20Bの上部を接続するように、補強板部20Hが取り付けられ、右側のホイール取付部20Gの右面上部から右側の延設部20Bの上部を接続するように、補強板部20Hが取り付けられている。
搭載部20及び搭載部20´において、検査機器用ホイールW1及び検査機器用ホイールW2は、検査対象物Oの検査動作時に検査対象物Oに接地させるためのものである。なお、検査動作時とは、検査対象物Oに接地する位置決めを行った後、検査機器10で検査情報を取得する時であり、位置決め時と検査動作時とを合わせて、検査時と記載する。検査対象物Oにおいて複数のホイール21の接地する位置よりも検査機器10に対応する位置が凹んでいたり出っ張っている場合に、検査対象物Oにおける検査位置と検査機器10との位置を一定に保ったり、平行に保つことが難しい場合がある。第1実施形態では、搭載部10が第1フレーム221及び第2フレーム222の間で回動可能にされており、かつ検査機器用ホイールW1、W2があるため、検査対象物Oにおける検査位置に検査機器用ホイールW1、W2を接地させて、検査位置と検査機器10を平行に保つことができる。更に、第3フレーム223に対して搭載部支持部201を介して回動可能に取り付けられているため、後述する搭載部支持部201の動作によって、検査機器用ホイールW1、W2の突出位置を変更して、検査対象物Oにおける検査位置に検査機器用ホイールW1、W2を安定的に接地させて、検査対象物Oにおける検査位置と検査機器10との位置を一定に保つことができる。
更に、検査機器用ホイールW2は、キャスター付きであるため、検査対象物Oに接地した状態で、前側面から視認して搭載部20を上方及び下方の2方向だけでなく360度の何れの方向にも移動させることが可能となる。
図17及び図18Aで示すように、搭載部支持部201は、板面が左右方向を向きかつ垂直方向に起立する平板部材2011と、板面が前後方向を向く平板状の部材であって、平板部材2011の下部から外側に突出するように形成された補強部材2012とを備える。なお、左方に配置される搭載部支持部201は、その左面から左方に突出するように補強部材2012が取り付けられ、右方に配置される搭載部支持部201は、その右面から右方に突出するように補強部材2012が取り付けられている。平板部材2011は、上下方向の中途位置で後方に張り出しで幅広に形成された張り出し部2011´及び下部で後方に張り出して幅広に形成された張り出し部2011´´を備えている。補強部材2012は、略直角三角形状に形成され、直角を構成する一辺が平板部材2011の下部に接するように取り付けられる。より具体的には、補強部材2012は、前後方向において平板部材2011の略中央の位置において、張り出し部2011´´よりも上方から張り出し部2011´の上端部までの位置に亘って取り付けられている。補強部材2012は、平板部材2011に取り付けられた側の反対側の端部で、板面を左右方向に向けた平板状の軸受け部材2013の上端に取り付けられている。
搭載部支持部201は、上述したように、第3フレーム223の部材223Cの下部に取付け部材202によって取り付けられる。取り付け部材202は、左右方向に延びる長尺の筒体である。上述したように、第3フレーム223の部材223Cの前下隅には貫通孔223C´が形成されている。取付け部材202の右端部及び左端部が、部材223Cの前下隅の貫通孔223C´に挿通されて、貫通孔223C´の周囲に取り付けられた軸受け223Dに固着される。これによって、取付け部材202の両端部が貫通孔223D´から突出されるようになっている。
また、図19で示すように、搭載部支持部201では、平板部材2011における補強部材2012の取り付け位置の下方に貫通孔2014が形成されている。また、軸受け部材2013における貫通孔2014と対向する位置に、貫通孔2013´が形成されている。貫通孔223D´から突出された取り付け部材202の両端部は、夫々貫通孔2014、2013´に挿通される。なお、取り付け部材202の両端部は、貫通孔223C´の周囲に取り付けられたベアリング軸受け223D(図18B)、及び貫通孔2015の周囲に取り付けられたベアリング軸受け2015で支持される。これによって、搭載部支持部201が、取り付け部材202を回転軸として回動可能に第3フレーム223に取り付けられている。
平板部材2011の上端部には、左右方向に向くように球面軸受け205が螺子等によって取り付けられている。球面軸受け205には、搭載部20の軸20Fが回動可能に取り付けられて(嵌め入れられて)いる。球面軸受け205は、左右方向から視認して360度の方向に軸20Fを傾けることができる軸受けである。この様に、2つの搭載部支持部201の上部それぞれには、球面軸受け205を介して搭載部20が取り付けられている。これによって、搭載部20は、第1フレーム221及び第2フレーム222を結ぶ一直線上にある第1部位(左端部)及び第2部位(右端部)夫々で、搭載部支持部201を介して第3フレーム223に取り付けられるようになっている。更に、搭載部支持部201の上部には、球面軸受け205を介して搭載部20の回転軸20Fが取り付けられるようになっている。更に、上述したように、2つの搭載部支持部201の下部それぞれは、取り付け部材202を回転軸として回動可能に第3フレーム223(部材223C)に取り付けられている。これによって、搭載部支持部302の下部は、回動可能に第3フレーム223(部材223C)に取り付けられている。
軸20Fを球面軸受け205に取り付け、かつ、2つの搭載部支持部201がそれぞれ非連動に回動可能になっているため、搭載部支持部201の下部での回動によって、検査機器10の第3フレーム223からの突出度合いを変更することが出来ながら、搭載部支持部201の上部に取り付けられた回転軸20Fで搭載部20を回動させて、検査位置と検査機器10とを平行に保つことができる。更に、搭載部20が球面軸受け205を介して搭載部支持部201に取り付けられているため、回転軸20Fを軸の伸長方向から視認して360度の方向に傾けることができる。この様に構成されるとともに、2つの搭載部支持部201がそれぞれ回動可能(非連動に回動可能)に第3フレーム223に取り付けられているため、搭載部20の傾きを検査位置の形状に合わせてより緻密に変更することができる。このため、検査対象物Oの検査位置の傾きに対応させて検査機器10の傾きを緻密に調整して、検査機器10を検査対象物O(検査位置)に平行に維持しかつ一定の距離を保つことができる。
更に、図19で示すように、平板部材2011には、貫通孔2014と球面軸受け205の間(張り出し部2011´の下方)に、貫通孔2016が形成されている。また、補強部材2012における貫通孔2016に対応する位置には、切り欠き2012´が形成され、平板部材2011に補強部材2012を取り付けた状態で、貫通孔2016と切り欠き2012´とが連通されるようになっている。各搭載部支持部201の貫通孔2016には、第3フレーム223の部材223Cを貫通する棒状体203が挿通されている。この棒状体203が貫通孔2016の前後方向の縁に当接することで、搭載部支持部201の時計回り及び反時計回りへの回動度合いが所定範囲を超えないように規制されている。なお、切り欠き2012´が形成されているため、棒状体203の貫通孔2016内での移動が補強部材2012によって妨げられないようになっている。
また、搭載部支持部201は、平板部材2011の張り出し部2011´の後端に取り付けられた突起2018に、付勢部材(ばね)204の下端が係止されている。この付勢部材(ばね)204の上端は、第3フレーム223の部材223Aの前縁から突出する突起223A´(図18A及び図20)に係止されている。なお、突起223A´は、左側の部材223Cよりも左側と右側の部材223Cよりも右側の2箇所に設けられている。この付勢部材204によって、各搭載部支持部201が標準姿勢(垂直線を基準として前方に90度未満の所定角度だけ傾いた状態)になるように付勢される。具体的に説明すると、検査機器用ホイールW1、W2が検査対象物Oに押圧されて、搭載部支持部201が左方から視認して標準姿勢よりも時計回りに回動している場合には、検査機器用ホイールW1、W2が検査対象物Oから離れたときに、搭載部支持部201が付勢部材204の付勢力によって、左方から視認して反時計回りに回動して標準姿勢に戻される。
搭載部支持部201は、平板部材2011の張り出し部2011´´には、左右方向に視認して略直角三角形状の貫通孔2017が形成されている。なお、正確には、貫通孔2017の形状は、略直角三角形の角部を丸く、辺を弧状にした形状である。貫通孔2017は、3つの角のうち直角部分が後方上になるように、かつ、直角を構成する上側の一辺2017´´が前から後に向かって斜め下方向に傾斜するように形成されるとともに、下側の一辺2017´が後から前に向かって斜め下方向に傾斜するようになっている。貫通孔2017には、切り替え部204が挿入されている。切り替え部204は、検査機器用ホイールW1、W2の位置を、複数のホイール21よりも突出した第1の位置と、複数のホイール21よりも突出しないない第2の位置との間で、無線信号による命令に応じて切り替える部材である。搭載部支持部201の下部の回動によって、検査機器用ホイールW1、W2の第3フレーム223からの突出度合いが変えられるが、搭載部支持部201が標準姿勢であるときに、検査機器用ホイールW1、W2が第1の位置に配置される。そして、切り替え部204は、図略の制御装置で受信した無線信号による命令に応じて、搭載部支持部201の下部の回動をロックしない状態と、ロックする状態とを取ることが出来る。ロックしない状態では、検査機器用ホイールW1、W2が検査対象物Oに押圧されると、搭載部支持部201がその下部を基準として時計回りに回動して、検査機器用ホイールW1、W2の突出度合いが第1の位置から小さくなる。ロック状態では、搭載部支持部201の下部の回動をロックして搭載部支持部201を所定の姿勢(垂直姿勢)に維持させ、検査機器用ホイールW1、W2の位置が複数のホイール21より突出しない第2の位置になる。
図18Bで示すように、切り替え部204は、フレーム32に搭載された図略の制御装置によって動作制御されるサーボモータM2と、サーボモータM2の出力軸2041の先端に取り付けられ、かつ、垂直面(左右方向を向く垂直面)において突出する突出部を有する円盤部材2042と、この突出部の先端からサーボモータM2側とは反対方向に突出する棒状体2043とを有する。なお、駆動部材M2は、図略の制御装置と有線又は無線で接続されている。図略の制御装置は、上述したように、所定の無線通信規格に準拠して無線通信を行う無線通信部を備え、ユーザに操作される図略の無線コントローラからの指示に応じてサーボモータM2を制御する。
サーボモータM2の回転によって、円盤部材2042に設けられた突出部が時計回り又は反時計回りに回転し、突出部の先端に設けられた棒状体2043の位置が変わる。ここで、切り替え部204は、第3フレーム223における部材223Cの後上隅に形成された矩形の貫通孔223C´´内に、サーボモータM2の出力軸2041側の一部を嵌め入れられてビス等で固定されている。なお、2個の切り替え部204のうち左側の切り替え部204では、第3フレーム223における部材223Cの右側から左側に、サーボモータM2の出力軸2041側の一部を嵌め入れて固定され、棒状体2043が、搭載部支持部201の貫通孔207右側から左側に挿入される。また、右側の切り替え部204では、第3フレーム223における部材223Cの左側から右側に、サーボモータM2の出力軸2041側の一部を嵌め入れて固定され、棒状体2043が、搭載部支持部201の貫通孔207の左側から右側に挿入される。
以下に、図27から図31を参照して、検査対象物Oの検査時(検査動作時及び位置決め時)における、切り替え部204の動作、及び搭載部支持部201の姿勢、及び検査機器ホイールW1、W2の位置を説明する。図27は、棒状体2043を標準位置にしたときの切り替え部の状態を示す図である。図28は、棒状体2043を位置決め位置にしたときの切り替え部の状態を示す図である。図29は、検査対象物Oの検査時における搭載部支持部の動きの説明図(その1)である。図30は、検査対象物Oの検査時における搭載部支持部の動きの説明図(その2)である。図31は、検査対象物Oの検査時における搭載部支持部の動きの説明図(その3)である。なお、図27から図31のうち、図31のみ、図20の搭載部20´が取り付けられた状態の搭載部支持部201の動きや切り替え部204の状態を示し、その他の図面は、図17の搭載部20が取り付けられた状態の搭載部支持部201の動きや切り替え部204の状態を示す。もっとも、搭載部20´及び搭載部20の何れが取り付けられているかで、搭載部支持部201の動作や切り替え部204の状態に変わりはない。
棒状体2043は、検査対象物Oの検査動作時には、図27、図29から図31で示す標準位置に配置される。具体的には、検査対象物Oの検査時には、円盤部材2042は、円盤部材2042に設けられた突出部が垂直になるようにサーボモータM2に回動され、これによって、棒状体2043は、貫通孔2017の一辺2017´´の直下、すなわち、一辺2017´´の前端から後端に至るまでの間の位置の直下に位置することとなる。検査対象物OにホイールW1、W2が押圧されていない状態では、棒状体2043は、貫通孔2017の一辺2017´´の後端の直下に位置し、この状態では、搭載部支持部201は、垂直線から所定角度だけ反時計回りに傾いた標準姿勢となる。この状態では、棒状体203は、貫通孔2016の後縁に当接して反時計回りへの搭載部支持部201の回動を規制する。そして、搭載部支持部201が標準姿勢のときには、検査機器用ホイールW1、W2の位置が第1の位置になる。
そして、検査対象物Oに検査機器用ホイールW1、W2が当接して検査機器用ホイールW1、W2への押圧度合いが大きくなるに従って、搭載部支持部201が図30で示すように所定の姿勢(垂直姿勢)になるまで前方から視認して時計回りに回動していく。この回動によって、検査機器用ホイールW1、W2が、第1の位置から複数のホイール21を基準とした突出度合いが小さくなるように移動されるようになっている。なお、図29の搭載部支持部201の回動が最も小さく、その他は、図27、図30の順番に搭載部支持部201の回動が大きくなっていく。搭載部支持部201の時計回りの回動にともなって、棒状体2043の貫通孔2017における位置は、一辺2017´´の後端の直下から前端の直下に当接するまで、相対的に前方に移動する。
棒状体2043は、検査対象物Oへの位置決め時には、図28で示すロック位置に配置される。具体的には、円盤部材2042は、円盤部材2042に設けられた突出部が垂直から時計回りに所定角度(例えば、90度)だけ回動するようにサーボモータM2に回動され、これによって、棒状体2043は、貫通孔2017の一辺2017´の下端部(ロック位置)に位置し、貫通孔2017内を相対的に移動できない状態になる。これによって、搭載部支持部201の回動をロックして、所定の姿勢(例えば、垂直姿勢)に維持される。このときには、検査機器用ホイールW1、W2の位置が第2の位置となる。
検査対象物Oへの位置決め時に、検査機器用ホイールW1、W2の位置を第2の位置にするのは、次の理由による。上述したように、検査対象物Oの検査開始時に、検査対象物Oの所定位置に対してホイール21を接地させる位置決めが必要であるが、所定位置に接地出来ない場合がある。複数のホイール21がオムニホイールであるが、検査機器用ホイールが検査機器用ホイールW1の様に2方向しか回転できないものの場合に、位置決めの際に、検査機器用ホイールW1を第2の位置にして、複数のホイール21を先に接地させて無人ヘリコプタ1を縦横無尽に移動させることで位置決めすることができる。なお、検査機器用ホイールW2については、キャスター付きであるが、回転の滑らかさが十分でない場合には、位置決めの際には、第2位置にした方が好ましい。
その後、検査対象物Oの検査動作時に、検査機器用ホイールW1、W2を第1の位置にする理由は、検査機器用ホイールW1、W2を検査対象物Oに接地させて、検査機器10と検査対象物(検査位置)Oとを平行にし、かつ検査位置と検査機器10との間の距離を一定に保つことができるからである。仮に、複数のホイール21の一部が検査対象物Oに接地できずに浮いた状態となっても、検査機器用ホイールW1、W2が検査対象物Oに接地した状態となるため、検査機器10を検査対象物O(検査位置)に平行な状態に出来ないことを効果的に防止することができる。
(プッシャー部5の構成)
図32及び図33を参照して、プッシャー部5の構成を説明する。図32は、図1で示す無人ヘリコプタにおけるプッシャー部及びその周辺部材を示す左側面図である。図33は、図1で示す無人ヘリコプタにおけるプッシャー部及びその周辺部材を示す斜視図である。プッシャー部5は、2個のロッド4の後端部に取り付けられている。プッシャー部5は、2個のロッド4を架橋する支持台上に、補助プロペラ51が取り付けられたモータユニット52を備えてなる。補助プロペラ51は、回転軸が前後方向に向けて取り付けられており、この回転軸は、モータユニット52におけるモータの出力軸に取り付けられている。モータユニット52は、モータとこのモータに電力を供給する電池を内蔵している。モータユニット52によって、補助プロペラ51を回転駆動している。モータユニット52の動作制御は、フレーム32に搭載された図略の制御装置によって行われ、図略の制御装置とモータユニット52とは信号線等によって接続されている。なお、第1実施形態では、補助プロペラ51は、単一であるが、2個以上設けられていても良い。上述したように、補助プロペラ51によって、無人ヘリコプタ本体3の傾きを変えず又は無人ヘリコプタ本体3を水平に保ったままでも、水平方向に押圧する力を強くすることができるが、補助プロペラ51の配置個数が多い程、この効果を大きくすることができる。
(検査機器取り付け装置の動作)
以下に図28を参照して、第1実施形態に係る無人ヘリコプタ1が検査対象物Oに接地する位置決め動作を説明する。位置決め動作では、まず、ユーザが図略のユーザ端末(無線コントローラ)に対して、切り替え部204に検査機器用ホイールW1、W2を第2の位置に設定するよう指示(指令)する。無人ヘリコプタ1の図略の制御装置がこの指令を受信したときに、切り替え部204における円盤部材2042を回転させてその突出部が水平方向に突出するようにして、棒状体2043をロック位置まで移動させる。これによって、搭載部支持部201の回動がロックされて搭載部支持部201が所定の姿勢(垂直姿勢)に維持される。このため、検査機器用ホイールW1、W2が、複数のホイール21よりも突出しない第2の位置に維持される。そして、無人ヘリコプタ1の複数のホイール21が検査対象物Oに接地する。ここで、第1フレーム221、第2フレーム222、及び第3フレーム223が回動するため、検査対象物Oの表面形状が複雑なものであっても、好適に複数のホイール21を検査対象物Oに接地させることができる。そして、無人ヘリコプタ1が、検査対象物Oの検査範囲の所定位置(例えば角部)に接地出来なかった場合には、複数のホイール21を駆動して検査対象物Oに接地しながら縦横無尽に走行して、所定位置まで無人ヘリコプタ1を移動させることができる。なお、検査機器用ホイールW1、W2は、第2の位置に配置されているため、位置決め動作時には、検査対象物Oに当接することがなく、複数のホイール21を使用しての縦横無尽の走行を妨げることがない。なお、検査動作時においても、検査範囲を上方から下方に向かって検査した後に、左方又は右方にスライド移動して、下方から上方に向かって検査を行う場合がある。この場合にも、検査機器用ホイールW1、W2を第2位置に配置することができる。
以下に、図27、図29から図31を用いて、第1実施形態に係る無人ヘリコプタ1が検査対象物Oを検査する検査動作を説明する。
検査動作においては、まず、ユーザが図略のユーザ端末(無線コントローラ)に対して、切り替え部204に検査機器用ホイールW1、W2を第1の位置に設定するよう指示(指令)する。無人ヘリコプタ1の図略の制御装置がこの指令を受信したときに、切り替え部204における円盤部材2042を回転させてその突出部が上になるようにし、棒状体2043を標準位置まで移動させる。このときには、棒状体2043は、貫通孔2017の辺2017´´の直下(辺2017´´の前端から後端までの間の直下)に位置することになる。棒状体2043が、貫通孔2017の辺2017´´の後端の直下に位置するときに、搭載部支持部201は、標準姿勢を取る。この標準姿勢時には、検査機器用ホイールW1、W2が、複数のホイール21よりも突出した第1の位置になる。そして、搭載部支持部201の下部の時計回りの回動によって、検査機器用ホイールW1、W2の突出度合いがこの第1の位置から小さくなる。なお、図29で示すように、検査対象物Oにおける複数のホイール21の当接位置よりも、検査機器用ホイールW1、W2の接地位置の方が窪んでいる場合には、複数のホイール21よりも、検査機器用ホイールW1、W2の方が突出して当接することになる。一方、図30で示すように、検査対象物Oにおける複数のホイール21の当接位置よりも、検査機器用ホイールW1、W2の接地位置の方が出っ張っている場合には、搭載部支持部201が所定の姿勢に(例えば略垂直に)起立して、複数のホイール21の方が検査機器用ホイールW1、W2の方よりも突出するようになっている。この様にして、複数のホイール21及び検査機器用ホイールW1、W2の両方を検査対象物Oに当接させることができるようになっている。仮に、複数のホイール21の何れかが検査対象物Oから浮いてしまった場合でも、検査機器用ホイールW1、W2を検査対象物Oに接地させて、検査機器10と検査対象物Oとの間の距離を一定に保つことができる。
検査動作においても、第1フレーム221、第2フレーム222、及び第3フレーム223が回動するため、検査対象物Oの表面形状が複雑なものであっても、好適に複数のホイール21を検査対象物Oに接地させることができる。更に、搭載部支持部201の上部で搭載部20が回動可能に取り付けられ、かつ、搭載部支持部201の下部が回動可能に第3フレーム223に取り付けらえているため、搭載部支持部201の下部での回動によって、検査機器10の第3フレーム223からの突出度合いを変更することが出来ながら、搭載部支持部201の上部に取り付けられた回転軸20Fで搭載部20を回動させて、検査位置と検査機器10とを平行に保つことができる。更に、搭載部20が球面軸受け205を介して搭載部支持部201に取り付けられているため、回転軸20Fを軸の伸長方向から視認して360度の方向に傾けることができる。この様に構成されるとともに、2つの搭載部支持部201がそれぞれ回動可能(非連動に回動可能)に第3フレーム223に取り付けられているため、搭載部20の傾きを検査位置の形状に合わせてより緻密に変更することができる。
〔第2実施形態〕
以下に、図34及び図38を用いて、第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1Aを説明する。第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1Aについて、第1実施形態に係る無人ヘリコプタ1と相違する構成についてのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。図34は、第2実施形態に係る無人ヘリコプタの左側面図である。図35は、図34で示す無人ヘリコプタの上面図である。図36は、図34で示す無人ヘリコプタの正面図である。図37は、図34で示す無人ヘリコプタにおいて第1フレームが時計回りに回動した状態の検査機器取り付け装置及びその周辺部位を示す左側面図である。なお、図37において、第2フレーム222は省略されている。図38は、図34で示す無人ヘリコプタにおいて第3フレームが反時計回りに回動した状態の検査機器取り付け装置及びその周辺部位を示す背面図である。
第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1Aと第1実施形態に係る無人ヘリコプタ1との相違点は、検査機器取り付け装置2の無人ヘリコプタ本体3への取り付け位置、及びプッシャー部5の有無であり、その他の構成については共通する。第1実施形態に係る無人ヘリコプタ1では、検査機器取り付け装置2は、無人ヘリコプタ本体3の側方に取り付けられ、検査機器取り付け装置2の複数のホイール21が前方に向くように取り付けられた構成を備える。これによって、搭載部20には、検査機器10が前を向くように取り付けられる。これに対して、第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1Aでは、検査機器取り付け装置2は、無人ヘリコプタ本体3の上方に取り付けられ、検査機器取り付け装置2の複数のホイール21が上方に向くように取り付けられた構成を備える。なお、第1実施形態における検査機器取り付け装置2の上部が、第2実施形態では後部になるように、検査機器取り付け装置2は取り付けられている。これによって、検査機器10が上方を向くように取り付けられ、無人ヘリコプタ1Aの上方に位置する検査対象物Oの検査を行うことができるようになっている。
第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1Aにおける検査機器取り付け装置2の無人ヘリコプタ本体3への取り付け構造について詳細に説明する。第1実施形態では、検査機器取り付け装置2を無人ヘリコプタ1に取り付けるための2個のロッド4は、前後方向に延びるように配置されているが、第2実施形態では、ロッド4´は、垂直方向に延びるように配置されている。この状態で、2個のロッド4´は、その上端で検査機器取り付け装置2に固定され、その下部で無人ヘリコプタ本体3のフレーム32の前端部にビス等で固定されている。図7で示すように、固定部材23には、4個のロッド貫通孔23C´及びロッド貫通孔23B´が形成されているが、第1実施形態ではそのうち外側の2個のロッド貫通孔23C´及びロッド貫通孔23B´にロッド4が挿入されているが、第2実施形態では、内側の2個のロッド貫通孔23C´及びロッド貫通孔23B´に2個のロッド4´の上端が挿入されロッド貫通孔23C´及びロッド貫通孔23B´の周囲にビス等で固定されている。この様に、ロッド貫通孔23C´及びロッド貫通孔23B´が4個形成されており、検査機器取り付け装置2を第1実施形態のように側方に取り付ける場合と、第2実施形態の様に上方に取り付ける場合とで、適切な任意の2個を使用することができるようになっている。このため、第1実施形態及び第2実施形態との間で、ユーザの任意の形態に変えることができるようになっている。なお、ロッド貫通孔23C´及びロッド貫通孔23B´の個数及び位置を、第1実施形態及び第2実施形態との間で、ユーザの任意の形態に変えることが出来ないように形成してもよい。
第2実施形態についても、検査機器取り付け装置2の構成及び動作は、第1実施形態と同様である。図37に示すように、第1フレーム221は、回転軸2212を中心に回動可能であり、第2フレーム222は、第1フレーム221の回動とは非連動に回転軸2212を中心に回動可能である。また、図38で示すように、第3フレーム223は、第1フレーム221及び第2フレーム222の回動とは非連動に、回転軸2212及び回転軸2222の延びる方向(左右方向)と略直交する方向(前後方向)に延びる回転軸2232を中心に回動可能になっている。搭載機構200における動作についても第1実施形態と同様である。これによって、第2実施形態に係る無人ヘリコプタAでも、検査対象物Oの形状に合わせて、ホイールフレーム22及び搭載機構200を変形させて、検査機器10と検査対象物Oとの位置関係を適切に保つことができる。
また、第2実施形態では、複数のホイール21が複数のプロペラ31より上方に設けられて無人ヘリコプタ1Aの上方に位置する検査対象物Oに当接するため、プロペラ31と検査対象物Oとの距離が大変近くなり、かつ、プロペラ31の回転面が検査対象物Oに向いている状態となる。プロペラ31の回転面が検査対象物に向いていると、コアンダ効果によって、複数のホイール21がプロペラ21の回転面の向く方向に押圧されて、検査対象物Oに吸い付いてしまう。仮に、無人ヘリコプタ1Aが、姿勢の変更のために各プロペラ31の回転数制御のみによって行うものであれば、全てのプロペラ31の回転数を減らさなければならないため、コアンダ効果による吸い付きの影響下で、落下せずに検査対象物Oから離間するように回転数を制御することは難しい。しかしながら、第2実施形態では、複数のプロペラ31は、ピッチ角が変更可能に取り付けられ、複数のプロペラ31のピッチ角を制御する制御部37(図34)を備えている。この構成によれば、複数のプロペラ31のピッチ角を変更させることで姿勢制御を行うものであるため、複数のプロペラ31の回転数を変えずにピッチ角の変更によって、無人ヘリコプタ1Aの高度を下げて、複数のホイール21を検査対象物Oから離間させ、無人ヘリコプタ1Aの墜落の可能性を低減させることができる。
上述した第1及び第2実施形態は、本発明を適用した実施形態の一例であり、適宜構成を変更することができる。例えば、各構成部材の材質、配置、個数、及び種類について、適宜変更することが可能である。以下に第1及び第2実施形態の構成を変更した変形例の一例を説明する。
(変形例)
以下に第1及び第2実施形態の変形例を説明する。
(1)第1実施形態及び第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1、1Aでは、ホイール21の数が4個であったが、4個より多い数のホイール21が設けられていても良い。また、ホイール21の位置についても、第1フレーム221の両端部、及び第2フレーム222の両端部に限定されない。第1フレーム中途位置2211より一方側に第1ホイール211が取り付けられ、第1フレーム中途位置2211より他方側に第2ホイール212が取り付けられていればよい。また、第2フレーム中途位置2221より一方側に第3ホイール213が取り付けられ、第2フレーム中途位置2221より他方側に第4ホイール214が取り付けられていればよい。
(2)第1実施形態及び第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1、1Aでは、検査機器取り付け装置2の第1フレーム221と第2フレーム222とは略同一の方向に(平行に)延びるが、必ずしも略同一の方向に延びる必要はなく、例えば、ハの字状に配置される等のようにその延設方向が若干ずれていてもよい。本発明の「所定方向に延設された第1フレーム及び第2フレーム」には、この様に、第1フレーム及び第2フレームの延設方向が一致しない構成も含まれる。
(3)第1実施形態及び第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1、1Aでは、第1フレーム221及び第2フレーム222だけでなく、第3フレーム223についても回動可能に構成されているが、必ずしも第3フレーム223を回動可能に構成する必要はなく、第1フレーム221及び第2フレーム222だけ回動可能に構成されていてもよい。
(4)第1実施形態及び第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1、1Aでは、ホイールフレーム22は、固定部材23を備え、固定部材23によってロッド4、4´に取り付けられ、ロッド4、4´を介して無人ヘリコプタ本体3に取り付けられているが、固定部材23及びロッド4、4´を介さずに、無人ヘリコプタ本体3に取り付けられても良い。
(5)第1実施形態に係る無人ヘリコプタ1では、プッシャー部5が取り付けられているが、プッシャー部5が取り付けられていなくても良い。
(6)第1実施形態及び第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1、1Aでは、ロッド4、4´を2個使用しているが、1個又は3個以上のロッド4、4´を使用して、検査機器取り付け装置2を無人ヘリコプタ本体3に取り付けても良い。また、検査機器取り付け装置2は、無人ヘリコプタ本体3の側方及び上方の他の位置に取り付けても良い。例えば、検査機器取り付け装置2は、無人ヘリコプタ本体3の下方や斜め上方、斜め下方の位置等に取り付けてもよい。また、搭載部20に搭載された検査機器10の他の検査機器(例えば、カメラ等)を別途、検査機器取り付け装置2や無人ヘリコプタ本体3に取り付けてもよい。
(7)第1実施形態及び第2実施形態に係る無人ヘリコプタ1、1Aでは、複数のプロペラ31のピッチ角を変更可能に構成されているが、ピッチ角を変更できない様に構成されていてもよい。すなわち、各プロペラ31それぞれに対して駆動装置(モータ等)を設け、複数のプロペラ31の回転数を異ならせることができるように構成され、回転数制御によって、無人ヘリコプタ1、1Aの姿勢制御ができるように構成されていてもよい。
(8)第1、第2実施形態では、無人ヘリコプタ1、1Aは、複数のプロペラ31によって姿勢制御を行うマルチコプターであるが、その他の種類の無人ヘリコプタ(二重反転型、テールロータ型等)に本発明を適用してもよい。