JP2020145979A - 冷凍寿司セット - Google Patents
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Abstract
【課題】誘電加熱解凍によって解凍処理を行ったときに良好な食感および品質を維持することのできる冷凍寿司セットを提供する。【解決手段】冷凍寿司セットの一例である冷凍寿司パック200は、容器230と、容器230内に配置されている複数個の寿司210・220とを含む。寿司は、シャリ部211・221と、ネタ部212・222とを有している。容器内の複数個の寿司は、単位体積当たりの脂質量が10%以上12%以下の間にある基準値を境界として、ネタ部が前記基準値未満の脂質量を有する第1のグループに属する第1の寿司と、前記ネタ部が前記基準値以上の脂質量を有する第2のグループに属する第2の寿司とに分類される。【選択図】図4
Description
本発明は、複数個の寿司を含み、解凍されて食される冷凍寿司セットに関する。
近年、冷凍および冷蔵管理、鮮度保持技術などの食品流通を取り巻く技術・インフラには目覚ましい進歩が起き、食の流通革新がもたらされた。この技術革新とグローバル社会への移行により、食が多様化し、食への高い関心が集まるようになった。それに伴い高品位な食への需要が高まり、鮮度を売りにした外食、回転寿司等が登場することになった。消費者の食に対する高い関心および要求を満たすためには、冷凍および冷蔵技術の進歩とともに、解凍技術も発展させることが望まれている。
食品流通を取り巻く様々な状況は大きな変化を遂げている。それに伴い、冷凍食品の加工技術も種々の改良がなされている。一方で、家庭や店舗内キッチンやコンビニエンスストア等の比較的小規模な施設における解凍機としては、電子レンジが幅広く普及している。電子レンジは、2.45GHzの電磁波により、水分子の振動子にエネルギーを与え、温度を上げるマイクロ波加熱器である。
例えば、特許文献1には、冷凍寿司の解凍に用いられる高周波加熱装置が開示されている。この高周波加熱装置は、マイクロ波を使用し、マイクロ波の分布に合わせて冷凍寿司を置き加熱ムラを軽減している。また、ターンテーブル上に冷凍寿司を置き、ターンテーブルの回転により複数の寿司の相互間の加熱のばらつきを少なくしている。
また、特許文献2に開示された冷凍寿司は、電子レンジで加熱されるときのマイクロ波の分布に合わせて寿司を配置することで、加熱ムラを軽減する工夫がなされている。
特許文献3には、寿司容器の上部に水が入った容器(磁気シールド材)を配置し、氷に比べ水が先に加熱されることを利用して、解凍時の寿司の温度を調整する冷凍寿司の解凍方法が考案されている。
冷凍および冷蔵技術の進歩によって食品を長期的に保管することが可能となったが、最終的な食品のおいしさは、最終段階の解凍技術によって決まることも多い。ところが現在の解凍技術では、未解凍部分が残っていたり、逆に過加熱になっていたりして、食味・食感の悪化等の問題点が発生している。また、解凍に向いていない食品もあり、食の選択肢が比較的狭くなっており、消費者の欲求を十分に満たせていない。このように解凍技術は、冷凍および冷蔵技術の進歩と比較して遅れを取っており、満足な技術が普及していないのが現状である。
電子レンジのマイクロ波は、損失係数の違い等から、水と比較して氷に吸収されにくい。そのため解凍時のデメリットとして、以下のようなものが挙げられる。
1)時間がかかる。これは、マイクロ波反射によるマグネトロン損傷を防ぐため、いわゆる「解凍モード」では出力を落として解凍物を加熱するためである。
2)解凍ムラが生じやすい。例えば、塊肉の場合、表面層から2cm程度が強く加熱される一方、塊の内部には電磁波が浸透しないため、解凍物内外で大きな温度差が生じる。
3)局部加熱が起きやすい。上述の通り、解凍物表面が強く加熱され、水になった途端、急激にマイクロ波を吸収しはじめ、熱暴走と呼ばれる現象を起こす。
1)時間がかかる。これは、マイクロ波反射によるマグネトロン損傷を防ぐため、いわゆる「解凍モード」では出力を落として解凍物を加熱するためである。
2)解凍ムラが生じやすい。例えば、塊肉の場合、表面層から2cm程度が強く加熱される一方、塊の内部には電磁波が浸透しないため、解凍物内外で大きな温度差が生じる。
3)局部加熱が起きやすい。上述の通り、解凍物表面が強く加熱され、水になった途端、急激にマイクロ波を吸収しはじめ、熱暴走と呼ばれる現象を起こす。
特に、複数種のネタの冷凍寿司で構成される寿司セットを誘電加熱解凍する場合、ネタの種類によって温度上昇にムラが発生し、均一に解凍できないという問題がある。例えば、イカ、ホタテなどの脂質量が低いネタは温まりにくく、イクラ、トロ、しめサバなどの脂質量が高いネタは温まりやすい。そのため、イカはまだ凍っているのに、トロには焼けが発生するといった課題がある。
上記のように、冷凍された寿司は電子レンジでは上手く解凍することが困難であるため、小売店舗で寿司を販売する場合、冷蔵で保存する必要があり、比較的消費期限が短く、売れ残ったものは廃棄せざるを得なかった。
そこで本発明では、誘電加熱解凍によって解凍処理を行ったときに良好な食感および品質を維持することのできる冷凍寿司セットを提供する。
本発明の一局面にかかる冷凍寿司セットは、容器と、前記容器内に配置されている複数個の寿司とを含む。この冷凍寿司セットにおいて、前記寿司は、シャリ部と、ネタ部とを有している。前記複数個の寿司は、単位体積当たりの脂質量が10%以上12%以下の間にある基準値を境界として、前記ネタ部が前記基準値未満の脂質量を有する第1のグループに属する第1の寿司と、前記ネタ部が前記基準値以上の脂質量を有する第2のグループに属する第2の寿司とに分類されたもので構成される。
上記の本発明の一局面にかかる冷凍寿司セットにおいて、前記第1の寿司は、前記容器の端部側に配置されていてもよい。
上記の本発明の一局面にかかる冷凍寿司セットは、前記第1の寿司と、前記第2の寿司とが、前記容器内に交互に配置されていてもよい。
上記の本発明の一局面にかかる冷凍寿司セットでは、前記冷凍寿司セットの水平面方向における前後および左右の方向を規定した時、前記第1の寿司に、前記第2の寿司を隣接させて配置するとともに、前記第2の寿司に対して前、後、左、右の4つの隣接する位置のうち少なくとも2つの位置に前記第1の寿司を配置してもよい。
上記の本発明の一局面にかかる冷凍寿司セットにおいて、前記第2の寿司の個数は、前記冷凍寿司セットに含まれる寿司の全ての個数の50%以下の範囲の個数となっていてもよい。
上記の本発明の一局面にかかる冷凍寿司セットにおいて、前記第1の寿司のネタ部の高さは、前記第2の寿司のネタ部の高さよりも大きくてもよい。
上記の本発明の一局面にかかる冷凍寿司セットは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるものであってもよい。
以上のように、本発明の一局面にかかる冷凍寿司セットは、誘電加熱処理によって解凍されたときに、加熱ムラおよび過加熱の発生を抑えることができる。本発明の一局面にかかる冷凍寿司セットを解凍処理して得られた寿司セットは、良好な食感および品質を有している。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、本発明の一態様にかかる冷凍寿司セットについて説明する。ここで、冷凍寿司セットの一例として、複数個の寿司で構成される冷凍寿司パック(寿司の盛り合わせ)を例に挙げて説明する。この冷凍寿司パックは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるのに適している。本実施形態にかかる冷凍寿司パック(具体的には、冷凍寿司パック200)を、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
本発明の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、本発明の一態様にかかる冷凍寿司セットについて説明する。ここで、冷凍寿司セットの一例として、複数個の寿司で構成される冷凍寿司パック(寿司の盛り合わせ)を例に挙げて説明する。この冷凍寿司パックは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるのに適している。本実施形態にかかる冷凍寿司パック(具体的には、冷凍寿司パック200)を、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
先ず、冷凍寿司パック200に含まれる個々の冷凍寿司の構成について説明する。図1には、本発明の一態様にかかる冷凍寿司100の外観を示す。冷凍寿司100は、誘電加熱処理によって解凍されて、可食状態となる。本実施形態にかかる冷凍寿司パックを、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
冷凍寿司100は、上方に位置するネタ部(上層部)101と、下方に位置するシャリ部(下層部)102とで構成されている。高周波加熱装置を用いて解凍処理される際に、ネタ部101は上方側に位置し、シャリ部102は下方側に位置する。シャリ部102は、高周波加熱装置内の底面プレート上に載置されて解凍処理が行われる。
寿司パックは、異なる種類のネタをそれぞれ有する複数個の寿司で構成されていることが多い。ネタの種類が異なると、ネタに含まれる脂質の量も様々に異なる可能性がある。図2には、寿司パックを構成する寿司のネタとして使用され得る各種食材に含まれる脂質量を示す。ここでの脂質量は、単位体積当たりに存在する脂質量(重量)を意味する。
解凍処理において使用される誘電加熱解凍は、脂質量の多いものの方が脂質量の少ないものよりも加熱されやすいという特性を有している。これについて、図3を用いて説明する。ここで、誘電加熱解凍とは、HF波またはVHF波の高周波電界を用いた誘電加熱装置による解凍処理のことをいう。
図3には、互いに脂質量の異なるネタを有している2種類の寿司(第1のグループに分類される寿司、および第2のグループに分類される寿司)を誘電加熱処理したときの経時的な温度変化を示す。ここで、第1のグループは脂質量が比較的少ないものであり、第2のグループは脂質量が比較的多いものである。図3に示すように、脂質量の少ないもの(すなわち、第1のグループ)の方が脂質量の多いもの(すなわち、第2のグループ)よりも温度上昇が緩やかになるという特性を有する。
このように、誘電加熱による解凍処理では、脂質量が多い方が加熱されやすいという特性を有しているため、寿司パック中に含まれる各寿司の配置に工夫を施し、個々の寿司間の熱伝導を利用することで仕上がり温度を均一にすることができる。
続いて、本実施形態にかかる冷凍寿司パック200について説明する。図4には、本実施形態の一例の冷凍寿司パック200を示す。冷凍寿司パック200は、主として、複数個の寿司210および220と、容器230とで構成されている。個々の寿司210および220は、シャリ部211または221と、シャリ部の上に配置されるネタ部212または222とを有している。容器230は、トレイ231と上蓋232とを有している。
シャリ部211または221は、酢飯で構成される。ネタ部212または222は、例えば、魚介類で構成される。ネタ部は、魚介に限定されることはなく、野菜、肉類等の食材であっても構わない。また、たまご焼き、しめサバ等の加工食材であっても構わない。
複数個の寿司210および220は、容器230のトレイ231上に並べて配置されている。複数個の寿司210および220は、単位体積当たりの脂質量(重量)が、例えば、10%(重量%)の基準値を境界として、ネタ部がこの基準値未満の脂質量を有する第1のグループと、ネタ部がこの基準値以上の脂質量を有する第2のグループとに分類される。
本実施形態では、第1のグループに分類される寿司(すなわち、相対的に脂質割合の少ないネタを有する寿司)を、第1の寿司210とする。このような第1の寿司210のネタ(第1のネタ)としては、ほたてがい(生)、えび(ゆで)、クロマグロ(赤身)などが挙げられる(図2参照)。また、第1群の寿司210のネタは、たまご焼きのような加工食材であってもよい。
また、第2のグループに分類される寿司(すなわち、相対的に脂質割合の大きいネタを有する寿司)を、第2の寿司220とする。このような第2の寿司220のネタ(第2のネタ)としては、クロマグロ(トロ)、サーモン(トロ)、イクラなどが挙げられる(図2参照)。また、第2群の寿司220のネタは、しめさば等の加工食材であっても構わない。
なお、第1のグループおよび第2のグループへの寿司の分類は、ネタの種類には限定されず、ネタに含まれる脂質量で決められる。つまり、同じ種類のネタであっても、その部位や漁獲時期などによって脂質量が異なる場合には、異なるグループに分類される。
また、本実施形態では、脂質量の基準値として、10%を採用しているが、基準値はこれに限定されない。脂質量の基準値は、10%(重量%)以上12%(重量%)以下の範囲内の何れかの値とすることができる。
図4に示す例では、脂質量の少ないネタ部212を有する第1の寿司210をトレイ231の端部側に配置し、脂質量の大きいネタ部222を有する第2の寿司220をトレイ231の中央側に配置している。このように、脂質量が多く、より温まりやすい第2の寿司220をトレイ231の中央部に配置することで、第2の寿司220の熱を、隣接する第1の寿司210へ伝えることができる。これにより、解凍機の出力を効率よく解凍熱に変換することができる。
〔第2の実施形態〕
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる態様の冷凍寿司セットについて説明する。この冷凍寿司パックは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるのに適している。本実施形態にかかる冷凍寿司パックを、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる態様の冷凍寿司セットについて説明する。この冷凍寿司パックは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるのに適している。本実施形態にかかる冷凍寿司パックを、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
図5には、本実施形態の一例の冷凍寿司パック200aを示す。冷凍寿司パック200aは、主として、トレイ231(容器)と、複数個の寿司(第1の寿司210および第2の寿司220)とで構成されている。第1の寿司210および第2の寿司220は、第1の実施形態で説明した第1の寿司210および第2の寿司220と同様の構成を有している。
図5に示すように、冷凍寿司パック200aには、ネタ部の脂質量が互いに異なる第1の寿司210および第2の寿司220が、長方形のトレイ231上に各2個ずつ、合計4個整列して含まれている。図5に示す例では、脂質量の少ない第1の寿司210と、脂質量の多い第2の寿司220とが交互に並べられて配置されている。
このように、脂質量が異なる寿司同士が隣り合うようにして配置されることにより、解凍で温まった脂質量の多いネタ部222を有する第2の寿司220の熱が、隣接する温度の上がりにくい脂質量の少ないネタ部212を有する第1の寿司210に伝達され、仕上がり温度を均一にすることができる。
〔第3の実施形態〕
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態とは異なる態様の冷凍寿司セットについて説明する。この冷凍寿司パックは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるのに適している。本実施形態にかかる冷凍寿司パックを、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態とは異なる態様の冷凍寿司セットについて説明する。この冷凍寿司パックは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるのに適している。本実施形態にかかる冷凍寿司パックを、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
図6には、本実施形態の一例の冷凍寿司パック200bを示す。冷凍寿司パック200bは、主として、トレイ231(容器)と、複数個の寿司(第1の寿司210および第2の寿司220)とで構成されている。第1の寿司210および第2の寿司220は、第1の実施形態で説明した第1の寿司210および第2の寿司220と同様の構成を有している。
図6に示すように、冷凍寿司パック200bには、各4貫ずつ合計8貫の第1の寿司210および第2の寿司220が、長方形のトレイ231上に2列に整列した状態で含まれている。図6に示す例では、脂質量の少ない第1の寿司210と脂質量の多い第2の寿司220とが交互に並んでいる。上から1列目には、トレイ231の左側から、第1の寿司210、第2の寿司220の順で交互に並び、上から2列目には、トレイ231の左側から、第2の寿司220、第1の寿司210の順で交互に並んでいる。図6に示す例では、どの寿司も少なくとも2つの側面で、脂質量が異なる寿司と接している。
すなわち、冷凍寿司パック200bを構成している寿司には、脂質量の少ない第1の寿司210と、脂質量の多い第2の寿司220とが含まれる。そして、例えば、図6に示すように、冷凍寿司パック200bの水平面方向における前後および左右の方向をそれぞれ規定すると、第1の寿司210に、第2の寿司220を隣接させて配置するとともに、第2の寿司220に対して前、後、左、右の4つの隣接する位置のうち少なくとも2つの位置に第1の寿司210を配置している。
このように、脂質量の異なる寿司同士が隣り合って並ぶことにより、解凍で温まった脂質量の多いネタ部222を有する第2の寿司220の熱が、隣接する温度の上がりにくい脂質量の少ないネタ部212を有する第1の寿司210に伝わり、仕上がり温度を均一にすることができる。また、各ネタの脂質量に着目して寿司の構成および配置を工夫することで、ネタの種類に依存することなく、寿司パックの構成を決定することができ、消費者の食欲求を満たすこととなる。
〔第4の実施形態〕
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、第1の実施形態とは異なる態様の冷凍寿司セットについて説明する。この冷凍寿司パックは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるのに適している。本実施形態にかかる冷凍寿司パックを、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、第1の実施形態とは異なる態様の冷凍寿司セットについて説明する。この冷凍寿司パックは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるのに適している。本実施形態にかかる冷凍寿司パックを、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
図7には、本実施形態の一例の冷凍寿司パック200cを示す。冷凍寿司パック200cは、主として、トレイ231(容器)と、複数個の寿司(第1の寿司210および第2の寿司220)とで構成されている。第1の寿司210および第2の寿司220は、第1の実施形態で説明した第1の寿司210および第2の寿司220と同様の構成を有している。
図7に示すように、冷凍寿司パック200cには、一つの冷凍寿司パック200cの中に、3個(3貫)の第1の寿司210と、2個(2貫)の第2の寿司220とが含まれている。このように、第2の寿司220の個数は、冷凍寿司パック200cに含まれる寿司の全ての個数の50%以下の範囲の個数となっていることが好ましい。すなわち、冷凍寿司パック200cにおいては、第1のグループに分類される第1の寿司210の個数を、第2のグループに分類される第2の寿司220の個数よりも多くすることが好ましい。これにより、第1のグループに分類される第1の寿司210の総重量を、第2のグループに分類される第2の寿司220の総重量よりも大きくすることができる。
この冷凍寿司パック200cを、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって加熱(解凍)すると、脂質量の多い第2の寿司220の方が温まりやすく、第1の寿司210と比較してより早く解凍される。そこで、脂質量の少ない第1の寿司210で構成される第1のグループの総重量を、脂質量の多い第2の寿司220で構成される第2のグループの総重量よりも大きくすることで、脂質量の異なる各寿司の温まり方の差を小さくことができる。したがって、解凍処理時の加熱ムラの発生を抑えることができる。また、脂質量の少ない第1の寿司210の個数をより多くすることで、冷凍寿司パック200c内の温度ムラを軽減することができる。
〔第5の実施形態〕
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、第1の実施形態とは異なる態様の冷凍寿司セットについて説明する。この冷凍寿司パックは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるのに適している。本実施形態にかかる冷凍寿司パックを、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、第1の実施形態とは異なる態様の冷凍寿司セットについて説明する。この冷凍寿司パックは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されるのに適している。本実施形態にかかる冷凍寿司パックを、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍することで、良好な食感および品質を維持することができる。
図8には、本実施形態の一例の冷凍寿司パック300を示す。冷凍寿司パック300は、主として、複数個の寿司310および320と、容器330とで構成されている。容器330は、トレイ331と上蓋332とを有している。個々の寿司310および320は、シャリ部311または321と、シャリ部の上に配置されるネタ部312または322とを有している。
冷凍寿司パック200と同様に、冷凍寿司パック300に含まれる複数個の寿司は、脂質量の少ない第1の寿司310で構成される第1のグループと、脂質量の多い第2の寿司320で構成される第2のグループとに分類される。第1の寿司310は、第1の実施形態などで説明した第1の寿司210と概ね同様の構成を適用できる。第2の寿司320は、第1の実施形態などで説明した第2の寿司220と概ね同様の構成を適用できる。
但し、本実施形態では、図8に示すように、第1の寿司310のネタ部312の高さは、第2の寿司320のネタ部322の高さよりも大きくなっている。これにより、冷凍寿司パック300では、第1のグループに属する第1の寿司310の1個当たりの高さが、第2のグループに属する第2の寿司320の1個当たりの高さよりも大きくなっている。
上述したように、誘電加熱処理を行った場合、脂質量の少ない第1の寿司310の方が、脂質量の多い第2の寿司320よりも温まりにくい。そこで、第1の寿司310と第2の寿司320との間で、寿司の高さに差をつけることで、寿司それぞれにかかる解凍時間を均一化し、オペレーションの簡略化、加熱ムラ防止による品質の向上を目指すことができる。これにより、脂質量が異なることで解凍時間に差の出る複数種類の寿司で一つの寿司パックを構成した場合の解凍時の加熱ムラをより小さくすることができる。
図8に示す例では、一つの冷凍寿司パック300の中に、2個の第1の寿司310と、2個の第2の寿司320とが含まれている例を示している。しかし、各寿司310および320の個数は、これに限定されない。第1の寿司310の個数と、第2の寿司320の個数とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
各ネタの脂質量に着目して寿司の構成および配置を工夫することで、ネタの種類に依存することなく、寿司パックの構成を決定することができる。そのため、多種多様なネタを用いた寿司パックの構成が可能となり、消費者の欲求を満たすことができる。また、シャリ、ネタの温度を調節することができるため、食感をもコントロールすることができ、消費者の嗜好に合わせて食感の選択肢を増やすことができる。
(まとめ)
本発明の一実施形態にかかる冷凍寿司パック(200,300)は、容器(230,330)と、容器(230,330)内に配置されている複数個の寿司(210および220、または310および320)とを含む。寿司(210および220、または310および320)は、シャリ部(211および221、または311および321)と、ネタ部(212および222、または312および322)とを有している。容器内の複数個の寿司は、単位体積当たりの脂質量が10%以上12%以下の間にある基準値を境界として、ネタ部が前記基準値未満の脂質量を有する第1のグループに属する第1の寿司(210,310)と、前記ネタ部が前記基準値以上の脂質量を有する第2のグループに属する第2の寿司(220,320)とに分類される。
本発明の一実施形態にかかる冷凍寿司パック(200,300)は、容器(230,330)と、容器(230,330)内に配置されている複数個の寿司(210および220、または310および320)とを含む。寿司(210および220、または310および320)は、シャリ部(211および221、または311および321)と、ネタ部(212および222、または312および322)とを有している。容器内の複数個の寿司は、単位体積当たりの脂質量が10%以上12%以下の間にある基準値を境界として、ネタ部が前記基準値未満の脂質量を有する第1のグループに属する第1の寿司(210,310)と、前記ネタ部が前記基準値以上の脂質量を有する第2のグループに属する第2の寿司(220,320)とに分類される。
上述した各実施形態では、各ネタの脂質量に着目して寿司の構成および配置を工夫することで、解凍装置側の複雑な機構や制御なしに、解凍機の出力熱を効率よく、冷凍寿司パック全体に伝えることができ、冷凍寿司を解凍する場合の温度ムラの低減を図ることができる。本発明の一実施形態にかかる冷凍寿司パックによれば、解凍時の温度をコントロールすることができるため、解凍時間の統一化が可能となり、オペレーションの簡略化、シーケンスの簡略化が可能となる。例えば、1度のボタン操作で解凍処理を実行することができる。
さらに、上記の冷凍寿司パックによれば、ネタの種類に依存することなく、各ネタの脂質量に基づいて寿司の構成を決定することができる。そのため、寿司パック内に含まれる寿司のネタの種類を多様化することができ、消費者の欲求を満たすことができる。また、上記の冷凍寿司パックによれば、解凍終了時のシャリ、ネタの温度を所望の温度に調節しやすくなり、その結果、解凍終了時の寿司の食感をコントロールすることができる。そのため、解凍終了時の寿司の食感の選択肢が増え、消費者の好みに応じた寿司を提供することが可能となる。
また、本発明の一実施形態にかかる冷凍寿司パックを製造する場合の冷凍工程では、冷凍処理開始から120分以内に寿司パックの温度が−20℃に到達するように寿司パックを急速冷凍することが好ましい。このような冷凍処理によって、アニサキス等の外部寄生虫を無害化することもできる。
これにより、冷凍寿司パックに含まれる食品中に余分な添加物を加えることなく、冷凍寿司パックを冷凍した状態で長期間保存することができる。これにより、寿司パックを販売する販売店にとっては、在庫を多く確保することができ、機会ロス、フードロスを軽減することがでる。また、寿司パックごとに解凍することができるため、消費者に提供するときの調理(解凍)が容易となる。
また、本発明の一実施形態にかかる冷凍寿司パックを解凍する場合には、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理を行うことが好ましい。これにより、短時間で高品位な解凍が可能となる。そのため、食中毒を引き起こす可能性のある細菌の増殖を抑制することができる。
解凍時にHF波またはVHF波を使う利点としては、より周波数の高いマイクロ波を使う場合と比較して、以下の3点が挙げられる。
a)水と氷の損失係数の差が少なく、融けた水がより強く加熱される熱暴走が起きにくい。
b)周波数が低いと電力半減深度が深くなり、解凍物の奥までエネルギーが浸透する。
c)解凍物が解け、氷が水になるにつれ、高周波電圧が加わらなくなり(すなわち、加熱されにくくなり)、熱暴走を起こさずに、−5℃以上−1℃以下の範囲の半解凍状態にしやすい。
a)水と氷の損失係数の差が少なく、融けた水がより強く加熱される熱暴走が起きにくい。
b)周波数が低いと電力半減深度が深くなり、解凍物の奥までエネルギーが浸透する。
c)解凍物が解け、氷が水になるにつれ、高周波電圧が加わらなくなり(すなわち、加熱されにくくなり)、熱暴走を起こさずに、−5℃以上−1℃以下の範囲の半解凍状態にしやすい。
以上のように、本発明の一実施形態にかかる冷凍寿司セットは、HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍されたときに、加熱ムラおよび過加熱の発生を抑えることができる。本発明の一局面にかかる冷凍寿司セットからこのような解凍処理を行うことによって得られた寿司セットは、良好な食感および品質を有している。そのため、消費者に対する満足度のより高い寿司セットを提供できると考えられる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
100 :冷凍寿司
101 :ネタ部
102 :シャリ部
200 :冷凍寿司パック(冷凍寿司セット)
200a:冷凍寿司パック(冷凍寿司セット)
200b:冷凍寿司パック(冷凍寿司セット)
200c:冷凍寿司パック(冷凍寿司セット)
210 :第1の寿司(第1のグループに属する第1の寿司)
211 :(第1の寿司の)シャリ部
212 :(第1の寿司の)ネタ部
220 :第2の寿司(第2のグループに属する第2の寿司)
221 :(第2の寿司の)シャリ部
222 :(第2の寿司の)ネタ部
230 :容器
231 :トレイ
232 :上蓋
300 :冷凍寿司パック(冷凍寿司セット)
310 :第1の寿司(第1のグループに属する第1の寿司)
311 :(第1の寿司の)シャリ部
312 :(第1の寿司の)ネタ部
320 :第2の寿司(第2のグループに属する第2の寿司)
321 :(第2の寿司の)シャリ部
322 :(第2の寿司の)ネタ部
330 :容器
331 :トレイ
332 :上蓋
101 :ネタ部
102 :シャリ部
200 :冷凍寿司パック(冷凍寿司セット)
200a:冷凍寿司パック(冷凍寿司セット)
200b:冷凍寿司パック(冷凍寿司セット)
200c:冷凍寿司パック(冷凍寿司セット)
210 :第1の寿司(第1のグループに属する第1の寿司)
211 :(第1の寿司の)シャリ部
212 :(第1の寿司の)ネタ部
220 :第2の寿司(第2のグループに属する第2の寿司)
221 :(第2の寿司の)シャリ部
222 :(第2の寿司の)ネタ部
230 :容器
231 :トレイ
232 :上蓋
300 :冷凍寿司パック(冷凍寿司セット)
310 :第1の寿司(第1のグループに属する第1の寿司)
311 :(第1の寿司の)シャリ部
312 :(第1の寿司の)ネタ部
320 :第2の寿司(第2のグループに属する第2の寿司)
321 :(第2の寿司の)シャリ部
322 :(第2の寿司の)ネタ部
330 :容器
331 :トレイ
332 :上蓋
Claims (7)
- 容器と、前記容器内に配置されている複数個の寿司とを含む冷凍寿司セットであって、
前記寿司は、シャリ部と、ネタ部とを有し、
前記複数個の寿司は、
単位体積当たりの脂質量が10%以上12%以下の間にある基準値を境界として、
前記ネタ部が前記基準値未満の脂質量を有する第1のグループに属する第1の寿司と、
前記ネタ部が前記基準値以上の脂質量を有する第2のグループに属する第2の寿司とに分類されたもので構成される、冷凍寿司セット。 - 前記第1の寿司は、前記容器の端部側に配置されている、請求項1に記載の冷凍寿司セット。
- 前記第1の寿司と、前記第2の寿司とが、前記容器内に交互に配置されている、請求項1に記載の冷凍寿司セット。
- 前記冷凍寿司セットの水平面方向における前後および左右の方向を規定した時、前記第1の寿司に、前記第2の寿司を隣接させて配置するとともに、前記第2の寿司に対して前、後、左、右の4つの隣接する位置のうち少なくとも2つの位置に前記第1の寿司を配置している、請求項1に記載の冷凍寿司セット。
- 前記第2の寿司の個数は、前記冷凍寿司セットに含まれる寿司の全ての個数の50%以下の範囲の個数となっている、請求項1から4の何れか1項に記載の冷凍寿司セット。
- 前記第1の寿司のネタ部の高さは、前記第2の寿司のネタ部の高さよりも大きい、請求項1から5の何れか1項に記載の冷凍寿司セット。
- HF波またはVHF波の高周波電界による誘電加熱処理によって解凍される、請求項1から6の何れか1項に記載の冷凍寿司セット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019046874A JP2020145979A (ja) | 2019-03-14 | 2019-03-14 | 冷凍寿司セット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019046874A JP2020145979A (ja) | 2019-03-14 | 2019-03-14 | 冷凍寿司セット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020145979A true JP2020145979A (ja) | 2020-09-17 |
Family
ID=72429335
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019046874A Pending JP2020145979A (ja) | 2019-03-14 | 2019-03-14 | 冷凍寿司セット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020145979A (ja) |
-
2019
- 2019-03-14 JP JP2019046874A patent/JP2020145979A/ja active Pending
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