JP2020145292A - プロセッサ搭載アレイ - Google Patents

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Hiroshi Sasaki
拓 佐々木
吉田 昌史
Masashi Yoshida
昌史 吉田
英人 西澤
Hideto Nishizawa
英人 西澤
匡隆 杉本
Masataka Sugimoto
匡隆 杉本
アビソン スキャリア
Scaria Abison
アビソン スキャリア
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Abstract

【課題】高い放熱性を維持しつつ、吸水性が低いことで20GHz以上の電波の進行を阻害しにくいプロセッサ搭載アレイを提供する。【解決手段】プロセッサ搭載アレイ10は、プロセッサ11と、アンテナ12とを有する。プロセッサ搭載アレイ10には、熱伝導層21が設けられる。熱伝導層21は、プロセッサ11で発生した熱を放熱するように配置される。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車などに使用することが可能なプロセッサ搭載アレイに関する。
移動通信システムは年々進化しており、2020年頃からは次世代通信規格(5G)がワールドワイドに採用される予定である。5Gでは現状の通信規格(4G)に対し、高速化、大容量化、及び低遅延化を目指している。そのため、4Gでは数GHz程度であった周波数帯に対して、5Gでは20GHz以上の高い周波数帯の電波が使用される。
5Gでは、例えば、自動車に組み込まれたGPU(Graphics Processing Unit)と外部情報とを通信させるなど、自動運転させるための技術開発が進められている。GPUは、多数のIPコアが搭載されており、自動運転に必要な各種外部情報の認識、マッピングなどを行うことができる。例えば、標識、障害物、歩行者、車線や交通の規制、速度制限などを認識でき、高速にマッピングしたり、演算処理などを行うことができる。
また、GPUと同じく、多数のIPコアを搭載したASIC(Application Specific Integrated Circuit)をデータセンターに搭載し、超高速かつ低遅延を活かした技術開発が進められている。
一方で、電子機器においては、集積された電子部品が熱を発生し、故障の原因となるため、電子部品から発生する熱を機器外部に放熱するために放熱グリースや放熱シートが使用されることがある。放熱シートは、樹脂やエラストマーに、熱伝導性フィラーを配合したものが一般的である。例えば、特許文献1には、シリコーン樹脂に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの熱伝導性フィラーが配合された熱伝導性シリコーンゴム組成物が開示される。
特開2005−325212号公報
上記したGPU、ASICなどのプロセッサは、多数のIPコアを搭載しており、このため発熱量が多くなる。したがって、放熱性の確保のために、放熱シートの適用が検討されている。放熱シートでは、熱伝導性フィラーとして酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物系のものが多く使用され、一定の放熱性を確保できるが、多数のIPコアを搭載したプロセッサは発熱量が多いため、より高い放熱性が求められる。
そこで、本発明は、20個以上のIPコアを有するプロセッサと、アンテナを備えるプロセッサ搭載アレイにおいて、高い放熱性を有するプロセッサ搭載アレイを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、プロセッサとアンテナとを備えるプロセッサ搭載アレイに、特定の熱伝導性フィラーを含有させることで上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。本発明は、以下の[1]〜[12]を提供する。
[1]熱伝導率が100W/m・K以上の熱伝導性フィラー(A)と、20個以上のIPコアを有するプロセッサと、アンテナとを備えるプロセッサ搭載アレイ。
[2]前記熱伝導性フィラー(A)の粒子径が0.1μm以上250μm以下である上記[1]に記載のプロセッサ搭載アレイ。
[3]前記熱伝導性フィラー(A)が、ダイヤモンド粒子、窒化アルミニウム粒子、銀、及びアルミニウムから選ばれる少なくとも一種である、上記[1]又は[2]に記載のプロセッサ搭載アレイ。
[4]前記熱伝導性フィラー(A)が、表面処理された熱伝導性フィラーである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のプロセッサ搭載アレイ。
[5]前記熱伝導性フィラー(A)が前記プロセッサで発生した熱を伝熱させ、かつ放熱するように配置される上記[1]〜[4]のいずれかに記載のプロセッサ搭載アレイ。
[6]前記熱伝導性フィラー(A)を含有する熱伝導層を備える上記[1]〜[5]のいずれかに記載のプロセッサ搭載アレイ。
[7]前記熱伝導層における前記熱伝導性フィラー(A)の充填率が30体積%以上90体積%以下である上記[6]に記載のプロセッサ搭載アレイ。
[8]前記熱伝導層が、前記熱伝導性フィラー(A)と、高分子マトリクスとを含有する熱伝導性組成物から形成される、上記[6]又は[7]に記載のプロセッサ搭載アレイ。
[9]前記高分子マトリクスが、シリコーンである、上記[8]に記載のプロセッサ搭載アレイ。
[10]前記熱伝導性組成物が、さらに硬化触媒を含有する上記[8]又は[9]に記載のプロセッサ搭載アレイ。
[11]前記熱伝導層が、前記プロセッサの上に配置される上記[6]〜[10]のいずれかに記載のプロセッサ搭載アレイ。
[12]一方の面側に前記プロセッサが取り付けられる基板と、前記基板の他方の面側の前記プロセッサに対応する位置に配置される熱伝導層とを備え、前記基板の前記プロセッサが設けられた位置に前記基板を貫通するようにビアが設けられる上記[6]〜[11]のいずれかに記載のプロセッサ搭載アレイ。
本発明によれば、高い放熱性を有するプロセッサ搭載アレイを提供できる。
本発明の第1の実施形態のプロセッサ搭載アレイを示す模式的な平面図である。 本発明の第1の実施形態のプロセッサ搭載アレイを示す断面図である。 本発明の第2の実施形態のプロセッサ搭載アレイを示す断面図である。
以下、本発明について実施形態を用いて詳細に説明する。
[プロセッサ搭載アレイ]
本発明のプロセッサ搭載アレイは、プロセッサと、アンテナとを有する。本発明におけるプロセッサは、20個以上のIPコアを有するプロセッサであり、具体的には、CPU、GPU、ASICなどが挙げられる。アンテナは、外部と無線通信を行い、プロセッサは、アンテナにより受信した、又はアンテナから送信するための信号を処理する。
CPUは、Central Processing Unit の略称であり、コンピューターにおける中心的な役割を担うプロセッサである。
GPUは、Graphics Processing Unitの略称であり、画像処理に特化したプロセッサである。上記した通り、GPUには多数のIPコアが搭載されており、自動運転に必要な各種外部情報の認識、マッピングなどを行うことができ、自動車用途として好適に使用される。
ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称であり、特定の用途向けの集積回路として用いられるプロセッサである。ASICもGPUと同様に多数のIPコアが搭載されている。
これらの中では、プロセッサとしては、GPU又はASICが好ましい。
本発明のプロセッサ搭載アレイは、熱伝導率が100W/m・K以上の熱伝導性フィラー(A)を含有する。該熱伝導性フィラーは、プロセッサにおいて発生した熱を伝熱させて放熱するように配置され、具体的には、熱伝導層(放熱層)として配置される。熱伝導層は、好ましくは高分子マトリクスと、熱伝導性フィラーとを有し、熱伝導性フィラーが高分子マトリクスによって結着され、それにより、一定の形状(すなわち、層状)に保持される。なお、高分子マトリクスの詳細は、後述するとおりである。
熱伝導性フィラー(A)は、熱伝導性の高い材料であるため、プロセッサ搭載アレイは、放熱性が優れたものとなり、プロセッサなどで発生した熱が、プロセッサ搭載アレイから適切に放熱される。
熱伝導性フィラー(A)としては、熱伝導率が100W/m・K以上のものであれば、特に限定されるものではないが、ダイヤモンド粒子、窒化アルミニウム粒子、銀、及びアルミニウムから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの粒子は、熱伝導率が高く放熱性に優れると共に、体積低効率が高いため、短絡が生じ難くなる。これらの中でも、吸水性が低いため、ダイヤモンド粒子が好ましい。ダイヤモンド粒子を含む熱伝導層は、吸水性が低いため、20GHz以上の周波数の電波を使用した場合でも、水分による電波の進行が妨げられるのを防止しやすくなる。また、吸水性を低下させる観点から、表面処理された熱伝導性フィラー(A)を用いることも好ましい。例えば、表面処理された窒化アルミニウム粒子も上記したダイヤモンド粒子のように、吸水性が低く、水分による電波の進行が妨げられるのを防止しやすくなるため好ましい。また銀やアルミニウムといった金属系粒子も吸水性が極めて低いので好ましい。
5Gでは、20GHz以上の高い周波数帯の電波が使用されるため、通常は、水分により電波の進行が阻害されやすいが、吸水性の低い熱伝導性フィラー(A)を用いることで、水分による電波の進行が妨げられるのを防止することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明のプロセッサ搭載アレイの具体例を第1及び第2の実施形態を参照しつつさらに詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、プロセッサ搭載アレイの第1の実施形態を示す模式的な平面図である。プロセッサ搭載アレイ10は、図1に示すように、プロセッサ11と、アンテナ12とを備える。また、プロセッサ搭載アレイ10は、プロセッサ11、アンテナ12以外にも様々なデバイスを有し、例えば、コンバータ13、アンテナインターフェース14などを備える。
プロセッサ11は、20個以上のIPコアを有している。IPコアの数は、100個以上であることが好ましく、2000個以上であることがより好ましい。一般に、IPコアの数が増加すると、各種演算処理などの速度が上がるものの、発熱しやすくなる。本発明のプロセッサ搭載アレイは、このようにIPコアの数が多い場合でも、放熱性が良好となる。
アンテナインターフェース14は、受信側インターフェース14A及び送信側インターフェース14Bを有する。また、プロセッサ搭載アレイ10は、基板20を有し、基板20の表面(一方の面)20A上に、プロセッサ11、コンバータ13、アンテナインターフェース14などのデバイスが取り付けられる。アンテナ12は、アンテナインターフェース14に接続される。なお、アンテナ12は、例えば、後述する筐体22(図2参照)の外部に配置されてもよいが、基板20上に設けられてもよい。
アンテナ12が例えば基板20上に設けられると、アンテナ12とプロセッサ11は、近接した位置に配置されやすい。近接した位置に配置されると、プロセッサ11の放熱のための熱伝導層もアンテナ12に近接し、アンテナ12で送受信される電波は、熱伝導層の影響を受けやすくなる。しかし、熱伝導層に含有される熱伝導性フィラー(A)として、ダイヤモンド粒子又は表面処理された熱伝導性フィラーなどを用いた場合は、電波の進行を妨げられにくくなる。
また、アンテナ12とプロセッサ11との距離は、小型化の観点及びエネルギーロスを少なくする観点から短いほうがよい。具体的なアンテナ12とプロセッサ11の距離は、例えば、100mm以下、好ましくは50mm以下である。また、距離の下限は特に限定されないが、例えば、0.1mm、好ましくは0.5mmである。なお、アンテナとプロセッサの距離とは、これらそれぞれを構成する回路又は回路が組み込まれた半導体間の最短距離を意味し、これらを封止したり、保護したりする封止材、保護部材などは考慮しない。
プロセッサ11では、外部から送られてきた信号が、プロセッサ11の種類に応じて信号処理される。アンテナ12で受信した信号は、受信側インターフェース14Aを介して、コンバータ13に送られてデジタル信号に変換され、プロセッサ11にて信号処理が行われる。その後、信号をコンバータ13によりアナログ信号に変換し、送信側インターフェース14Bを介してアンテナ12より送信させることもできる。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るプロセッサ搭載アレイ10の断面図である。図2に示すように、本実施形態のプロセッサ搭載アレイ10は、放熱層を構成する熱伝導層21を備える。熱伝導層21は、図2に示すように、プロセッサ11の上に配置される。プロセッサ11は、例えば、集積回路が組み込まれた半導体11Aと、半導体11Aを封止する封止部材11Bを備え、熱伝導層21は封止部材11Bの上に配置される。
熱伝導層21は、予めシート状に成形されたものをプロセッサ11上に配置することで形成させてもよいし、後述する熱伝導性組成物をプロセッサ11上に塗布などすることにより形成させてもよい。また、熱伝導層21は、熱伝導性組成物が熱硬化性などの硬化性を有する場合には、硬化させてからプロセッサ11上に配置させてよいし、プロセッサ11上に配置してから硬化させてもよい。
プロセッサ搭載アレイ10は、プロセッサ11などを内部に収納する筐体22を備え、筐体22の内部には、プロセッサ11などが取り付けられる基板20が配置される。筐体22の内面には、スプレッダ(第1のスプレッダ23)が設けられる。第1のスプレッダ23は、プロセッサ11などが取り付けられる基板20の表面20Aに対向する位置に配置される。第1のスプレッダ23は、銅、アルミニウムなどの高い熱伝導率を有する金属などから形成される。プロセッサ11の上に配置された熱伝導層21は、第1のスプレッダ23に接するように配置されるので、プロセッサ11で発生した熱は、熱伝導層21を介して第1のスプレッダ23に伝導され、第1のスプレッダ23及び筐体22から放熱される。
以上のように本実施形態では、熱伝導層21が設けられることで、プロセッサ11で発生した熱は、高い熱伝導率で第1のスプレッダ23に伝熱されて放熱される。また、熱伝導性フィラー(A)として、表面処理された熱伝導性フィラー、又はダイヤモンド粒子、銀、アルミニウムなどの特定のフィラーを含有する熱伝導層21を用いた場合は、吸水性が低いので、熱伝導層が吸水した水分によりアンテナ12から送受信される電波の進行が妨げられにくくなる。
さらに、熱伝導性フィラーとして、ダイヤモンド粒子又は窒化アルミニウム粒子を用いた場合は、これらは体積抵抗率が高いため、熱伝導層21の絶縁性が高くなるので、熱伝導層21により短絡が生じたりすることも防止できる。また、このような熱伝導層21は、高分子マトリクスを有する場合は、一定の柔軟性が付与されるので、プロセッサ11とスプレッダ23の間を隙間なく埋めることが可能になる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係るプロセッサ搭載アレイを示す。第1の実施形態において、熱伝導層は、プロセッサが設けられる基板の表面(一方の面)側に配置されるが、本実施形態では、他方の面(裏面)側に配置される。以下、第2の実施形態について第1の実施形態との相違点を説明する。
第2の実施形態におけるプロセッサ搭載アレイ30は、第1の実施形態と同様に、基板20の表面20A上に様々なデバイスを有し、プロセッサ11に加えて、コンバータ13、アンテナインターフェース14などが設けられる。
基板20上には、第2のスプレッダ24が設けられており、第2のスプレッダ24の上にプロセッサ11が実装される。第2のスプレッダ24は、銅、アルミニウムなどの高い熱伝導率を有する金属などから形成される。また、基板20には、複数のビア25が設けられる。各ビア25は、基板20の表面20Aから裏面20Bに貫通する貫通孔である。ビア25としては、貫通孔の内周面に銅箔、アルミニウムなどの金属で被膜され、内部が中空になったものなどが挙げられる。ビア25は、基板20のプロセッサ11が設けられた位置に対応して設けられる。したがって、ビア25の表面側の端部は、第2のスプレッダ24に接続される。
一方で、基板20の裏面20B側には、熱伝導層21が設けられる。熱伝導層21は、プロセッサ11が設けられた位置に対応して配置される。すなわち、熱伝導層21は、ビア25の裏面10B側の端部に接続されるように配置される。熱伝導層21は、第1の実施形態と同様に形成される。
筐体22の内面には第1のスプレッダ23が設けられる。本実施形態の第1のスプレッダ23は、基板20の裏面20Bに対向する位置に配置される。第1のスプレッダ23は、第1の実施形態と同様に、高い熱伝導率を有する金属などから形成される。本実施形態でも、基板20の裏面20B上に配置された熱伝導層21は、第1のスプレッダ23に接するように配置される。したがって、プロセッサ11で発生した熱は、第2のスプレッダ24、ビア25、熱伝導層21を介して第1のスプレッダ23に熱伝導され、第1のスプレッダ23及び筐体22から放熱される。
本実施形態でも、熱伝導層21が設けられることで、プロセッサ11で発生した熱は、高い伝導率でスプレッダ23に伝熱されて放熱される。また、放熱層を構成する熱伝導層21の吸水性が低い場合には、放熱層が吸水した水分によりアンテナ12(図1参照)から送受信される電波の進行が妨げられにくくなる。さらに、ダイヤモンド粒子又は窒化アルミニウム粒子を用いた場合には、これらは体積抵抗率が高いため、熱伝導層の絶縁性が高くなるので、短絡が生じたりすることも防止される。また、熱伝導層21は、高分子マトリクスを有する場合は、一定の柔軟性が付与されるので、基板20とスプレッダ23の間を隙間なく埋めることが可能になる。
なお、以上の第1及び第2の実施形態におけるプロセッサ搭載アレイ10、30は、本発明のプロセッサ搭載アレイの一例であって、これらに限定されず、様々な改良、変更が可能である。例えば、筐体22の内面に設けられた第1のスプレッダ23が省略され、熱伝導層21は、筐体22内面に直接接触してもよい。このような構成でも、筐体22が金属などの熱伝導性が高い材料で形成されることで、プロセッサ11で発生した熱が筐体22より効率よく放熱される。また、第2の実施形態では、基板上に設けられる第2のスプレッダ24も省略されてもよい。
また、熱伝導層は、基板の表面側、又は基板の裏面側の一方に配置される構成を示したが、基板の表面側及び基板の裏面側の両方に配置されてもよい。
さらに、以上の第1及び第2の実施形態では、プロセッサ11で発生した熱を放熱する例を示すが、プロセッサ11以外のデバイスで発生した熱を放熱させる構成であってもよい。そのような場合には、熱伝導層は、その放熱させる対象の回路に対応した位置に配置するとよい。例えば、コンバータ13を放熱させるためには、コンバータ13の上や、コンバータ13の位置に対応した基板20の裏面20B上に熱伝導層が設けられるとよく、その他の構成も上記で説明した通りである。
勿論、放熱対象のデバイスは、2つ以上であってもよく、例えば、プロセッサ11と、コンバータ13などの他のデバイスで発生した熱を放熱させる構成を有してもよい。この場合、熱伝導層21は、1つ設けられ、1つの熱伝導層21でプロセッサ11及び他のデバイスで発生した熱を放熱させる構成を有してもよい。
例えば、熱伝導層21が、表面20A上に設けられる場合には、熱伝導層21は、2つのデバイス(プロセッサと他のデバイス)の両方に跨るように設けられるとよい。このような構成でも、熱伝導層21は、一定の柔軟性を有するので、デバイスとスプレッダ23の間を隙間なく埋めることが可能になる。
また、熱伝導層が2つ以上設けられ、各熱伝導層が、各デバイスで発生した熱を放熱させる構成を有してもよい。
<熱伝導層>
次に、本発明のプロセッサ搭載アレイに含まれる熱伝導性フィラー(A)について、熱伝導層として使用される場合を例に説明する。熱伝導層は、好ましくは、高分子マトリクスと、熱伝導性フィラー(A)とを含有する熱伝導性組成物から形成される。
本発明の熱伝導性組成物は、厚み変化に対する熱抵抗値変化の傾き(ΔW/ΔD)が、好ましくは18以下となるものである。ここで、ΔW/ΔDとは、後述する実施例で説明するとおり、熱伝導性組成物を異なる厚さ(D1、D2)としたときの厚さ方向の熱抵抗値(W1、W2)をそれぞれ測定して、ΔW/ΔD=(W2−W1)/(D2−D1)の式により算出される値である。傾き(ΔW/ΔD)を18以下とすることで、放熱性が良好となり、例えば、デバイスの厚みムラによって発生するヒートスポットなどを十分に抑制できるようになる。
また、放熱性をより良好にする観点から、傾き(ΔW/ΔD)は、より好ましくは16以下、さらに好ましくは14以下、より更に好ましくは11以下である。また、傾き(ΔW/ΔD)は、放熱性の観点からは低ければ低いほどよいが、実用的には例えば、1以上、好ましくは3以上である。
傾き(ΔW/ΔD)は、例えば、熱伝導性フィラー(A)の形状、大きさ、配合量、表面処理方法などを適宜変更して調整することができる。
また、熱伝導性組成物は、体積抵抗値が1.0×1013(Ω・m)以上であり、かつ絶縁破壊電圧強度が10kV/mm以上であることが好ましく、絶縁破壊電圧強度は20kV/mm以上がより好ましい。本発明の熱伝導性組成物は、このように体積抵抗値及び絶縁破壊電圧強度の両方が所定値以上であることで、絶縁性が良好となり、異常動作などの原因となることが防止される。
(高分子マトリクス)
本発明における高分子マトリクスは、樹脂、液状高分子成分などが挙げられる。
樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の硬化性樹脂が挙げられる。硬化性樹脂は、湿気硬化型、熱硬化型、光硬化型のいずれでもよいが、熱硬化型が好ましい。
また、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、及びポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等の熱可塑性樹脂などでもよい。
また、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム等のエラストマー樹脂などが挙げられる。これらエラストマー樹脂は、室温(23℃)、常圧(1気圧)で液状となる液状エラストマーであってもよいし、固体状のものであってもよいし、これらの混合物であってもよい。
また、エラストマー樹脂としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーも使用できる。
高分子マトリクスは、液状高分子成分として、シリコーンオイルなどを使用してもよい。これら液状高分子成分は、単独で使用してもよいが、シリコーン樹脂などの樹脂と併用してもよい。
液状高分子成分は、配合時に室温かつ常圧下に液状であり、かつ使用時においても液状ないしゲル状の成分である。すなわち、液状高分子成分は、硬化剤などにより硬化されず、また、硬化されても硬化後も液状ないしゲル状となるものである。したがって、液状高分子成分を単独で、又は比較的高い配合割合で使用すると、熱伝導性組成物から形成される熱伝導層をペースト状にできる。
高分子マトリクスとしては、電気特性に優れる点から、シリコーン樹脂、シリコーンオイルなどのシリコーンが好ましく、シリコーン樹脂がより好ましい。シリコーン樹脂は、縮合硬化型シリコーン樹脂、付加反応硬化型シリコーン樹脂のいずれでもよいが、付加反応硬化型シリコーン樹脂が好ましい。
付加反応硬化型シリコーン樹脂は、主剤となるシリコーン化合物と、主剤を硬化させる硬化剤とからなることが好ましい。主剤として使用されるシリコーン化合物は、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが好ましく、具体的には、ビニル両末端ポリジメチルシロキサン、ビニル両末端ポリフェニルメチルシロキサン、ビニル両末端ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー、ビニル両末端ジメチルシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポリマー、ビニル両末端ジメチルシロキサン−ジエチルシロキサンコポリマーなどのビニル両末端オルガノポリシロキサンが挙げられる。
主剤として使用されるシリコーン化合物は、25℃における粘度が、好ましくは5mPa・s以上1000mPa・s以下、より好ましくは30mPa・s以上700mPa・s以下、さらに好ましくは150mPa・s以上600mPa・s以下である。
なお、本明細書において粘度は、粘度計(BROOKFIELD回転粘度計DV−E)でスピンドルNo.14の回転子を用い、回転速度5rpm、測定温度25℃で測定するとよい。
付加反応硬化型シリコーン樹脂に使用される硬化剤としては、上記した主剤であるシリコーン化合物を硬化できるものであれば、特に限定されないが、ヒドロシリル基(SiH)を2つ以上有するオルガノポリシロキサンである、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。シリコーン化合物のビニル基に対するヒドロシリル基の比(モル比)は、好ましくは0.3以上5以下、より好ましくは0.4以上4以下、さらに好ましくは0.6以上4以下である。熱伝導性フィラーを使用した熱伝導性組成物では、熱伝導性フィラーに起因して主剤と硬化剤の反応が進行しないことがあるが、モル比が0.6以上であると、反応が十分に進行して、十分に硬化された熱伝導層を得ることが可能になる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリエチルヒドロシロキサン、メチルヒドロシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポリマーなどが挙げられる。これらは、末端にヒドロシリル基を含有していてもよいが、含有していなくてもよい。
硬化剤の25℃における粘度は、好ましくは5mPa・s以上1000mPa・s以下、より好ましくは30mPa・s以上700mPa・s以下、さらに好ましくは150mPa・s以上600mPa・s以下である。
上記した主剤や硬化剤の粘度範囲を上記範囲内とすると、熱伝導性組成物を例えばペースト状で一定の形状に保つことができるため、プロセッサや基板の上などに容易に配置できるようになる。また、ダイヤモンドなどの絶縁性熱伝導性フィラーを適切に分散させたうえで多量に配合しやすくなる。
高分子マトリクスとしてシリコーン樹脂が使用される場合、熱伝導性組成物には通常、硬化触媒が含有される。硬化触媒としては、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などが挙げられる。これらの中では、白金系触媒が好ましい。硬化触媒は、シリコーン樹脂の原料となるシリコーン化合物と硬化剤とを硬化させるための触媒である。硬化触媒の配合量は、シリコーン化合物及び硬化剤の合計質量に対して、通常0.1〜200ppm、好ましくは0.5〜100ppmである。
エポキシ樹脂としては、エポキシ基を少なくとも1つ、好ましくは2つ以上有するエポキシ化合物を使用するとよい。エポキシ化合物としては、例えばビスフェノール型、ノボラック型、ナフタレン型、トリフェノールアルカン型、ビフェニル型、環状脂肪族型、これらのハロゲン化物、これらの水素添加物等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物単独で使用されてもよいが、一般的には、上記エポキシ化合物を主剤とし、さらに硬化剤が加えられたものが使用される。硬化剤としては、重付加型又は触媒型のものが用いられる。重付加型の硬化剤としては、例えば、ポリアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、ポリメルカプタン、ジシアンジアミド等が挙げられる。また、上記触媒型の硬化剤としては、例えば、3級アミン、イミダゾール類、ルイス酸錯体等が例示される。これは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂は、1液硬化型、2液硬化型のいずれでもよいが、好ましくは2液硬化型である。2液硬化型では、上記した主剤を含む1液と、硬化剤を含む2液とを混合して、熱伝導性組成物を調製するとよい。
なお、2液硬化型の場合、熱伝導性フィラー(A)は、1液及び2液の一方に配合されていてもよいし、両方に配合されていてもよい。後述するその他の熱伝導性フィラーも同様である。
高分子マトリクスに使用されるシリコーンオイルとしては、メチルフェニルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。シリコーンオイルは、例えば25℃における粘度が、好ましくは5mPa・s以上1000mPa・s以下、より好ましくは30mPa・s以上700mPa・s以下、さらに好ましくは150mPa・s以上600mPa・s以下である。
高分子マトリックスとしては、アルコキシシリル基を有する高分子成分を用いることが好ましい。アルコキシシリル基を有する高分子成分は、高分子マトリックスであると同時に、熱伝導性フィラーを表面処理することもできる。すなわち、アルコキシシリル基を有する高分子成分と熱伝導性フィラーを混合すると、熱伝導性フィラーの一部又は全部が表面処理された熱伝導性フィラーとなる。アルコキシシリル基を有する高分子成分を用いると、熱伝導性フィラーが表面処理されることで、熱伝導性フィラーの吸水率を低下させることができる。これにより、熱伝導層の吸水性を低くすることができ、電波の進行を妨げにくくすることができる。
アルコキシシリル基を有する高分子成分の中でも、次の一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有する高分子成分が好ましく、一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有するシリコーンであることがより好ましい。
上記式(1)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、好ましくはメチル基であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基、好ましくはメチル基であり、aは1、2又は3である。
一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有する高分子成分としては、環状ポリシロキサン構造を有するもの、直鎖状ポリシロキサン構造を有するものなどが挙げられ、中でも、熱伝導層の吸水性を低くし、電波の進行を阻害しにくくする観点から、環状ポリシロキサン構造を有するものが好ましい。
一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有し、かつ直鎖状ポリシロキサン構造を有する高分子成分としては、下記一般式(2)で表される、分子鎖末端がトリアルコキシシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサンが好ましい。

上記式(2)中、Rは酸素原子又はエチレンを表し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などが好ましい。bは5〜100、好ましくは5〜70、より好ましくは10〜50の整数である。
一般式(1)で表されるアルコキシシリル基を有し、かつ環状ポリシロキサン構造を有する高分子成分としては、下記一般式(3−1)又は(3−2)で表される化合物が好ましい。

上記式中、cは10〜500、YはSi(CHCH=CHまたはSi(CHである。
高分子マトリックスとして、上記したアルコキシシリル基を有する高分子成分を用いる場合は、アルコキシシリル基を有する高分子成分以外の高分子マトリックスと併用してもい。
高分子マトリクスの体積割合は、熱伝導性組成物全量に対して、好ましくは10体積%以上50体積%以下、より好ましくは11体積%以上40体積%以下、さらに好ましくは12体積%以上35体積%以下である。高分子マトリクスの体積割合がこれら下限値以上であると、高分子マトリクスに分散された熱伝導性フィラーを、高分子マトリクスにより保持でき、熱伝導性組成物が一定の形状を維持できるようになる。また、これら上限値以下とすることで、熱伝導性フィラーを一定量以上熱伝導性組成物に配合できる。
(熱伝導性フィラー(A))
本発明における熱伝導性組成物は、上記した高分子マトリックスと熱伝導性フィラー(A)を含有する。熱伝導性フィラー(A)は、熱伝導率が100W/m・K以上である。熱伝導性フィラー(A)の熱伝導率が100W/m・K未満であると、プロセッサ搭載アレイの放熱性が低下する。放熱性を良好とする観点から、熱伝導性フィラー(A)の熱伝導率は、150W/m・K以上であることが好ましく、300W/m・K以上である。熱伝導性フィラー(A)の熱伝導率は高ければ高いほどよいが、通常は3000W/m・K以下である。
本発明で使用される熱伝導性フィラー(A)は、その球形度が例えば0.5以上、好ましくは0.55以上、さらに好ましくは0.6以上である。球形度は1に近いほど球形に近いことを示す指標となるものであり、球形度を高くすることで、熱伝導性フィラー(A)を高分子マトリクスに分散させやすくなり、さらに充填率も高めやすくなる。球形度の上限は、特に限定されず、1である。
なお、各フィラーの球形度は、各フィラーの電子顕微鏡写真を確認し、得られた像における粒子300個について、(粒子の投影面積に等しい円の直径/粒子の投影像に外接する最小円の直径)を算出し、その平均値により求めることができる。
熱伝導性フィラー(A)の具体例な形状は、特に限定されず、例えば、球状であってもよいし、破砕形状、多角形状であってもよいし、その他の形状でもよい。球状とは、球形又は球形に近似する形状を意味し、本明細書では、球形度が、0.8以上のものを球状とする。また、破砕形状とは、破砕によって微細化された形状をいい、一般的に角ばった形状を有する。破砕形状及び多角形状は、例えば0.5以上0.8未満の球形度を有し、好ましくは0.55以上0.8未満、より好ましくは0.6以上0.8未満の球形度を有する。熱伝導性フィラーは、球状、破砕形状、又は多角形状とすることで熱伝導性フィラーの充填率を高めやすくなる。
熱伝導性フィラー(A)の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上250μm以下である。0.1μm以上とすることで、熱伝導性組成物の熱抵抗が低くなりやすく、上記した傾き(ΔW/ΔD)も低くしやすくなり、さらに吸水率も低くしやすくなる。250μm以下とすることで、高分子マトリクスに適切に分散させつつ、高い充填率で熱伝導性フィラー(A)を含有させることが可能になる。これら観点から、熱伝導性フィラー(A)の平均粒子径は、好ましくは0.8μm以上150μm以下である。
なお、平均粒子径は、体積基準での粒子径を平均した平均粒子径であり、例えば、堀場製作所社製「レーザー回折式粒度分布測定装置」を用いて測定することができる。平均粒子径の算出方法については、累積体積が50%であるときの粒子径(d50)を平均粒子径とすればよい。
熱伝導性フィラー(A)は、互いに平均粒子径が異なる2種以上の熱伝導性フィラーを含むことが好ましい。平均粒子径が異なる2種類以上の熱伝導性フィラーを使用すると、平均粒子径が小さいほうの熱伝導性フィラーが、平均粒子径が大きいほうの熱伝導性フィラーの間に入り込み、高分子マトリクスに熱伝導性フィラーを適切に分散させつつ、熱伝導性フィラーの充填率を高めやすくなる。これにより、熱抵抗値、及び傾き(ΔW/ΔD)を低くしやすくなる。平均粒子径が異なる2種類以上の熱伝導性フィラーを使用する場合、その具体的な粒子径は、熱伝導性フィラー(A)の種類に応じて選択することができるが、例えば、平均粒子径が10μm以上250μm以下の熱伝導性フィラー(大粒径熱伝導性フィラー(A))と、平均粒子径が0.1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラー(小粒径熱伝導性フィラー(A))の混合物とすることが好ましい。
本発明において、熱伝導性フィラー(A)の充填率は、30体積%以上90体積%以下であることが好ましく、35体積%以上85体積%以下であることがより好ましく、40体積%以上80体積%以下がさらに好ましい。本発明では、熱伝導性フィラー(A)の充填率をこれら下限値以上とすることで、吸水率を低いまま熱抵抗値を低くでき、かつ傾き(ΔW/ΔD)を所望の範囲に調整しやすくなる。また、上限値以下とすることで、高分子マトリクス中に、熱伝導性フィラー(A)を適切に分散させることができる。
熱伝導性フィラーとして熱伝導性フィラー(A)のみを用いる場合(すなわち、熱伝導性フィラー(A)以外の熱伝導性フィラーを使用しない場合)、傾き(ΔW/ΔD)を所望の範囲に調整するためには、熱伝導性フィラー(A)の充填率を高くする必要がある。したがって、熱伝導性フィラーとして熱伝導性フィラー(A)のみを用いる場合、熱伝導性フィラー(A)の充填率は、50体積%以上90体積%以下が好ましく、60体積%以上85体積%以下がより好ましく、65体積%以上80体積%以下がさらに好ましい。
一方で、熱伝導性フィラー(A)を、それ以外の熱伝導性フィラーと併用する場合、熱伝導性フィラー(A)の充填率はそれほど高くする必要はない。したがって、そのような場合、熱伝導性フィラー(A)の充填率は、30体積%以上80体積%以下が好ましく、35体積%以上75体積%以下がより好ましい。
なお、本明細書において「充填率」とは、熱伝導性組成物(すなわち、熱伝導層)の全体積に対する、体積%を意味し、例えば、熱伝導性フィラー(A)の充填率は、熱伝導性組成物(すなわち、熱伝導層)の全体積に対する、熱伝導性フィラー(A)が占める体積%を意味する。各成分の体積は、各成分の重量と、比重により算出可能である。
(熱伝導性フィラー(A)の表面処理)
熱伝導性フィラー(A)は、表面処理された熱伝導性フィラーであることが好ましい。熱伝導性フィラー(A)は、表面処理されることで、熱伝導性フィラー(A)の吸水率を低下させることができ、電波の進行の妨害を抑制しやすくなる。また、表面処理されることで、高分子マトリクスになじみやすくなり、高分子マトリクス中に大量の熱伝導性フィラーを均一に分散させやすくなる。さらに、熱伝導性組成物にシラン化合物などの熱伝導性フィラー(A)を分散させるための化合物を配合する必要がないので、熱伝導性組成物の粘度、チキソ性、濡れ性、熱伝導率などの低下を抑えつつ、熱伝導性フィラー(A)を分散させることが可能になる。
熱伝導性フィラー(A)は、シラン化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、リン酸化合物などの表面処理剤などで表面処理することができ、また、前記したアルコキシシリル基を有する高分子成分により表面処理してもよいが、好ましくはシラン化合物により表面処理される。
表面処理剤の熱伝導性フィラー(A)への付着量は、熱伝導性フィラー(A)に対して、例えば、0.01質量%以上3質量%以下、好ましくは0.02質量%以上2.5質量%以下である。
表面処理に用いられるシラン化合物としては特に制限はなく、例えば、アルコキシシラン類、クロロシラン類が挙げられ、アルコキシシラン類が好ましい。また、シラン化合物で表面処理された熱伝導性フィラーは、高分子マトリクスに上記したシリコーン樹脂、シリコーンオイルを使用すると、高分子マトリクスに特になじみやすくなり、熱伝導性組成物における熱伝導性フィラーの配合量を増加させやすくなる。また、シラン化合物、特に後述するように、高分子シラン化合物を使用することで、フィラー、樹脂間の水素結合によりチキソ指数が低下するなどの不具合も生じにくくなる。
アルコキシシラン類としては、反応性基を有するアルコキシシラン、及び反応性基を有しないアルコキシシランが挙げられる。反応性基を有するアルコキシシランにおける反応性基は、例えば、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、ビニル基、ウレイド基、メルカプト基、及びイソシアネート基から選ばれる。
エポキシ基を有するアルコキシシランとしては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシランとしては、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アミノ基を有するシラン化合物としては、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。
ビニル基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基を有するアルコキシシランとしては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイド基を有するアルコキシシランとしては、3−ウレイドプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
イソシアネート基を有するアルコキシシランとしては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また反応性基を有しないアルコキシシランとしては、アリールトリアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシランなどのトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシランなどのジアルコキシシランが挙げられ、これらの中では、アルキルトリアルコキシシランなどのトリアルコキシシランが好ましい。
アルキルトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシランなど、アルキル基の炭素数が1〜10程度のアルキルトリアルコキシシランが挙げられる。また、アリールトリメトキシシランとしては、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシランなどのアリール基の炭素数が6〜10程度のアリールトリアルコキシシランが挙げられる。また、ジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
また、シラン化合物の好ましい一態様としては、反応性基を有するアルコキシシランと、その反応性基と反応可能な官能基を有するポリオルガノシロキサンとの反応生成物である高分子シラン化合物が使用される。高分子シラン化合物を使用すると、熱伝導性フィラー(A)が、高分子マトリクス、特にシリコーン樹脂、シリコーンオイルなどのシリコーンとより一層なじみやすくなり、充填率を高めやすくなる。
高分子シラン化合物は、例えば、反応性基を有するアルコキシシランと、ポリオルガノシロキサンとを混合して、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの触媒存在下加熱などすることで反応させて得るとよい。
反応性基を有するアルコキシシランとしては、上記で列挙したものが使用できるが、上記したもののうち、トリアルコキシシランを使用することが好ましい。反応性基を有するアルコキシシランとしては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基を有するシラン化合物が好ましく、(メタ)アクリロイル基を有するトリアルコキシシランがより好ましい。(メタ)アクリロイル基又はビニル基を有するシラン化合物を使用すると、後述するヒドロシリル基(SiH)を有するオルガノポリシロキサンと容易に反応するので、簡単な方法で高分子シラン化合物を得ることができる。
高分子シラン化合物に使用される、官能基を有するポリオルガノシロキサンは、官能基は1つであってもよいが、2つ以上であってもよい。2つ以上の官能基を有する場合、このポリオルガノシロキサン1分子に対して、反応性基を有するアルコキシシランが2分子以上結合されてもよい。
官能基を有するポリオルガノシロキサンは、ヒドロシリル基(SiH)を有するオルガノポリシロキサンが好ましい。ヒドロシリル基(SiH)を有するオルガノポリシロキサンとしては、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン−フェニルメチルシロキサンコポリマーなどが挙げられる。これらは、末端にヒドロシリル基を含有していてもよいが、含有していなくてもよい。
官能基を有するポリオルガノシロキサンの重量平均分子量は、好ましくは800〜5000、より好ましくは1500〜4000である。なお、重量平均分子量は、GPCにより測定してポリスチレン換算の値である。
シラン化合物を用いて表面処理をする方法は、特に制限はなく、公知の方法で行えばよく、例えば、湿式処理法、乾式処理法を用いることができる。本発明では、これらの中では、湿式処理法が好ましい。
湿式処理法では、例えば、シラン化合物を分散又は溶解した溶液中に、熱伝導性フィラー(A)を加えて混合し、その後、加熱処理することで、熱伝導性フィラー(A)の表面にシラン化合物を結合ないし付着させるとよい。
乾式処理法は、溶液を使用せずに表面処理する方法であり、具体的には、熱伝導性フィラー(A)にシラン化合物を混合しミキサー等で攪拌し、その後、加熱処理することで、熱伝導性フィラー(A)の表面にシラン化合物を結合ないし付着させる方法である。
なお、熱伝導性フィラー(A)を2種類以上使用する場合、全ての熱伝導性フィラーが表面処理されていてもよいし、一部の熱伝導性フィラーのみが表面処理されていてもよいが、全ての熱伝導性フィラーが表面処理されることが好ましい。2種以上の熱伝導性フィラーが表面処理される場合、その2種以上の熱伝導性フィラーは、混合されて同時に表面処理されてもよいが、別々に表面処理されてもよい。
(ダイヤモンド粒子)
本発明の熱伝導性フィラー(A)としては、ダイヤモンド粒子を好適に使用することができる。ダイヤモンド粒子は、一般的に吸水率が低く、例えば、0.15質量%以下であるが、0.10質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましい。このように、ダイヤモンド粒子は、吸水率が低くなることで、本発明のプロセッサ搭載アレイにおいてアンテナから送受信される電波の進行をより阻害しにくくなる。吸収率の下限は、低ければ低いほうがよく、0質量%である。
ダイヤモンド粒子は、その材料特性から吸水率が低くなるが、粒径を大きくするなどして単位質量あたりの表面積を小さくすると低くなりやすくなる。
なお、吸水率は、フィラーを温度85℃、相対湿度85%の環境試験機に投入し48時間放置し、放置後の重量変化率(質量%)を測定して求めることができる。
本発明において、熱伝導性組成物に含有されるダイヤモンド粒子は、互いに平均粒子径が異なる2種類以上のダイヤモンドを含むことが好ましい。平均粒子径が異なる2種類以上のダイヤモンドを使用すると、平均粒子径が小さいほうのダイヤモンド粒子が、平均粒子径が大きいほうのダイヤモンドの間に入り込み、高分子マトリクスにダイヤモンド粒子を適切に分散させつつ、ダイヤモンドの充填率を高めやすくなる。
平均粒子径が異なる2種以上のダイヤモンドを含む場合、ダイヤモンド粒子は、平均粒子径が10μm以上250μm以下のダイヤモンド(以下、「大粒径ダイヤモンド」ともいう)と、平均粒子径が0.1μm以上10μm未満のダイヤモンド(以下、「小粒径ダイヤモンド」ともいう)の混合物であることが好ましい。
このように、大粒径ダイヤモンドと、小粒径ダイヤモンドの両方を使用することで、高分子マトリクスにダイヤモンド粒子を適切に分散させつつ、ダイヤモンドの充填率を高めて、熱抵抗値、及び傾き(ΔW/ΔD)を低くしやすくなる。
ダイヤモンド粒子が小粒径ダイヤモンド及び大粒径ダイヤモンドの両方を含有する場合、小粒径ダイヤモンドに対する大粒径ダイヤモンドの体積比(大粒径/小粒径)は、例えば、0.1以上10以下、好ましくは0.2以上8以下、より好ましくは0.3より大きく6以下である。体積比を大きくすると、放熱性を良好にしつつ吸水率も低くしやすくなる。
大粒径ダイヤモンドは、その平均粒子径が15μm以上200μm以下であることより好ましく、18μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。
大粒径ダイヤモンドの形状は、いかなるものでもよいが、上記した破砕状、多角形状、又は球状が好ましい。
大粒径ダイヤモンドは、互いに平均粒子径が異なる2種のダイヤモンドが併用されてもよい。例えば、平均粒子径が10μm以上40μm未満のダイヤモンド(以下、「第1の大粒径ダイヤモンド」ともいう)と、平均粒子径が40μm以上250μm以下のダイヤモンド((以下、「第2の大粒径ダイヤモンド」ともいう)が併用されてもよい。第1及び第2の大粒径ダイヤモンドを併用とすると、ダイヤモンド粒子の充填率をより高めやすくなる。
ここで、第1の大粒径ダイヤモンドは、平均粒子径が12μm以上35μm以下であることが好ましく、14μm以上30μm以下であることがより好ましい。一方で、第2の大粒径ダイヤモンドは、平均粒子径が40μm以上150μm以下であることがより好ましく、40μm以上125μm以下であることがより好ましい。
勿論、大粒径ダイヤモンドとして、第1及び第2の大粒径ダイヤモンドのいずれか一方のみが使用されてもよい。
大粒径ダイヤモンドとしては、第2の大粒径ダイヤモンドの充填率が第1の大粒径ダイヤモンドの充填率より高いほうが好ましい。具体的には、第2の大粒径ダイヤモンドの充填率は、第1の大粒径ダイヤモンドの充填率の1.5倍以上5倍以下が好ましく、2倍以上4倍以下が好ましい。粒径の大きい第2の大粒径ダイヤモンドを多量に含有することで、傾き(ΔW/ΔD)をより小さくしやすくなる。
小粒径ダイヤモンドは、その平均粒子径が0.5μm以上8μm以下であることがより好ましく、1μm以上7μm以下であることがさらに好ましい。小粒径ダイヤモンドの形状は、いかなるものでもよいが、破砕状が好ましい。破砕状の小粒径ダイヤモンドは、合成ダイヤモンドを破砕することで容易に製造できる。
小粒径ダイヤモンドも、互いに平均粒子径が異なる2種のダイヤモンドが併用されてもよい。例えば、平均粒子径が0.5μm以上2.5μm未満のダイヤモンド(以下、「第1の小粒径ダイヤモンド」ともいう)と、平均粒子径が2.5μm以上10μm未満のダイヤモンド(以下、「第2の小粒径ダイヤモンド」ともいう)が併用されてもよい。
この場合、第1の小粒径ダイヤモンドは、平均粒子径が0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。一方で、第2の小粒径ダイヤモンドは、平均粒子径が3μm以上7μm以下であることが好ましい。
小粒径ダイヤモンドとして、第1及び第2の小粒径ダイヤモンドを併用とすると、ダイヤモンド粒子の充填率をより高めやすくなる。
勿論、小粒径ダイヤモンドとして、第1及び第2の小粒径ダイヤモンドのいずれか一方のみが使用されてもよい。
また、平均粒子径が異なる2種以上のダイヤモンドを含む場合、ダイヤモンド粒子は、小粒径ダイヤモンド及び大粒径ダイヤモンドの両方を含む必要はなく、例えば、小粒径ダイヤモンドのみであってもよい。この場合、小粒径ダイヤモンド粒子は、上記のように、第1及び第2の小粒径ダイヤモンド粒子を含有するとよい。
同様に、ダイヤモンド粒子は、大粒径ダイヤモンドのみであってもよく、その場合には、大粒径ダイヤモンド粒子は、上記のように、第1及び第2の大粒径ダイヤモンド粒子を含有するとよい。
なお、ダイヤモンド粒子を2種類以上使用する場合、全てのダイヤモンド粒子が表面処理されていてもよいし、一部のダイヤモンド粒子のみが表面処理されていてもよいが、全てのダイヤモンド粒子が表面処理されることが好ましい。2種以上のダイヤモンド粒子が表面処理される場合、その2種以上のダイヤモンド粒子は、混合されて同時に表面処理されてもよいが、別々に表面処理されてもよい。
ダイヤモンド粒子は、通常、合成ダイヤモンドであり、黒鉛などの炭素原料を、鉄などの金属触媒存在下、高温高圧下で結晶化して合成できる。そのように合成されたダイヤモンドは、一般的に多角形状となる。また、高温高圧下で結晶化して合成されたダイヤモンドを、必要に応じて適宜破砕などすることで破砕形状のダイヤモンド粒子とするとよい。
合成されたダイヤモンド粒子は、必要に応じて、酸洗浄、または、水素ガスを使用した還元処理などが行われる。ダイヤモンド粒子は、酸洗浄し、その後未処理とすると、ダイヤモンド粒子表面に水酸基などの官能基が僅かに存在する。水酸基などの官能基が表面に存在するダイヤモンド粒子は、後述するシラン化合物などの表面処理剤により表面処理されると、その表面処理剤がダイヤモンド粒子に結合ないし付着しやすくなる。
(窒化アルミニウム粒子)
本発明の熱伝導性フィラー(A)としては、窒化アルミニウム粒子を好適に使用することができる。窒化アルミニウム粒子は、表面処理された窒化アルミニウム粒子であることが好ましい。表面処理された窒化アルミニウム粒子を用いることで、吸水性が低くなり、電波の進行を妨げにくくなる。
また、窒化アルミニウム粒子は、高分子マトリックスへの分散性を高める観点から、球状の窒化アルミニウム粒子であることが好ましい。
窒化アルミニウム粒子は、互いに平均粒子径が異なる2種類以上の窒化アルミニウムを含むことが好ましい。平均粒子径が異なる2種類以上の窒化アルミニウムを使用すると、平均粒子径が小さいほうの窒化アルミニウム粒子が、平均粒子径が大きいほうの窒化アルミニウム粒子の間に入り込み、高分子マトリクスに窒化アルミニウム粒子を適切に分散させつつ、窒化アルミニウム粒子の充填率を高めやすくなる。
平均粒子径が異なる2種以上の窒化アルミニウムを含む場合、窒化アルミニウム粒子は、平均粒子径が10μm以上250μm以下の窒化アルミニウム(以下、「大粒径窒化アルミニウム」ともいう)と、平均粒子径が0.1μm以上10μm未満の窒化アルミニウム(以下、「小粒径窒化アルミニウム」ともいう)の混合物であることが好ましい。
上記大粒径窒化アルミニウムの平均粒子径は、50〜100μmであることが好ましく、60〜90μmであることが好ましい。
小粒径窒化アルミニウムに対する大粒径窒化アルミニウムの体積比(大粒径/小粒径)は、高分子マトリックスへの分散性、放熱性を良好とする観点から、0.1〜10であることが好ましく、0.2〜5であることがより好ましく、0.5〜3であることが更に好ましい。
大粒径窒化アルミニウムの充填率は、20〜80質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。小粒径窒化アルミニウムの充填率は、10〜60質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。また、放熱性を向上させる観点から、大粒径窒化アルミニウムの充填率は、小粒径窒化アルミニウムの充填率よりも高いことが好ましく、小粒径窒化アルミニウムの充填率の1.2倍以上であることが好ましく、1.4倍以上であることがより好ましく、そして3.0倍以下が好ましい。
さらに、小粒径窒化アルミニウムとしては、平均粒子径が0.1μm以上3μm未満の第1小粒径窒化アルミニウムと、平均粒子径が3μm以上10μm未満の第2小粒径窒化アルミニウムとを併用することが好ましい。すなわち、熱伝導性フィラー(A)として、窒化アルミニウム粒子を用いる場合は、大粒径窒化アルミニウム、第1小粒径窒化アルミニウム、及び第2小粒径窒化アルミニウムを併用することが好ましい。
小粒径窒化アルミニウムとして、第1小粒径窒化アルミニウムと第2小粒径窒化アルミニウムとを用いる場合は、第1小粒径窒化アルミニウムに対する第2小粒径窒化アルミニウムの質量比は0.1〜10であることが好ましく、0.2〜5であることが好ましく、0.5〜2であることが更に好ましい。
熱伝導性フィラー(A)として、窒化アルミニウム粒子を用いる場合は、熱伝導層の吸収性を低くする観点から、高分子マトリックスとして、上記したアルコキシシリル基を有する高分子成分を用いることが好ましく、中でも、上記した一般式(2)で表される分子鎖末端がトリアルコキシシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン、一般式(3−1)で表される化合物、一般式(3−2)で表される化合物などを用いることが好ましい。中でも、一般式(3−1)で表される化合物を高分子マトリックスとして用いることで、吸水率が低くなりやすく、電波の進行が阻害されにくくなる。
(金属系粒子)
本発明の熱伝導性フィラー(A)としては、金属系粒子を用いることが好ましい。金属系粒子は、熱伝導率が高く、さらに吸収性も低い。そのため、これらの金属系粒子を含有する熱伝導層は、放熱性に優れると共に、水分による電波の進行が妨げられるのを防止しやすくなる。金属系粒子としては、銀及びアルミニウムの少なくともいずれかであることが好ましい。
金属系粒子は、粒子径の異なる2種以上の金属系粒子を併用することが好ましい。例えば、平均粒子径が10μm以上250μm以下の大粒径金属系粒子と、平均粒子径が0.01μm以上10μm未満の小粒径金属系粒子の混合物が好ましい。
平均粒子径が異なる2種類以上の金属系粒子を使用すると、平均粒子径が小さいほうの金属系粒子が、平均粒子径が大きいほうの金属系粒子の間に入り込み、高分子マトリクスに金属系粒子を適切に分散させつつ、金属系粒子の充填率を高めやすくなる。
また、金属系粒子は、上記したダイヤモンド粒子及び窒化アルミニウム粒子の少なくともいずれかと併用することが好ましく、銀とダイヤモンド粒子を併用することがより好ましい。
銀とダイヤモンド粒子を併用する場合は、0.01μm以上10μm未満の小粒径銀粒子と大粒径ダイヤモンドとを併用することが好ましく、前記小粒径銀粒子、大粒径ダイヤモンド、及び小粒径ダイヤモンドを併用することがより好ましい。
金属系粒子の充填率は、熱伝導性、吸水性及び絶縁性のバランスの観点から、好ましくは0.01体積%以上、より好ましくは0.05体積%以上、さらに好ましくは0.1体積%以上であり、そして、好ましくは20体積%以下、より好ましくは5体積%以下、さらに好ましくは1体積%以下である。
(その他の熱伝導性フィラー(熱伝導性フィラーB))
本発明の熱伝導性組成物は、熱伝導性フィラーとして、熱伝導性フィラー(A)以外のその他の熱伝導性フィラー(以下、「熱伝導性フィラー(B)」ともいう)をさらに含有してもよい。熱伝導性フィラー(B)を含有すると、熱伝導性フィラー全体の充填率を向上させて、傾き(ΔW/ΔD)を低くして、放熱性を向上させやすくなる。
熱伝導性フィラー(B)は、熱伝導率が100W/m・K未満の熱伝導性フィラーであり、絶縁性の観点から電気伝導率の低い材料が使用され、例えば、炭化物、酸化物、水酸化物、窒化アルミニウム以外の窒化物、ダイヤモンド以外の炭素系材料などが挙げられる。熱伝導性フィラー(B)は、単独で使用してもよいが、2種類以上併用してもよい。
熱伝導性フィラー(B)の熱伝導率は、熱伝導性を向上させる観点から、好ましくは8W/m・K以上であり、より好ましくは20W/m・K以上である。
熱伝導性フィラー(B)の吸水率は、低ければ低いほどよく、例えば、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。熱伝導性フィラー(B)として吸水率が低いものを使用すると、熱伝導性フィラー(B)によって、周波数20GHz以上の電波の進行が阻害されるのをできる限り抑制できる。熱伝導性フィラー(B)の吸水率は、通常、上記したダイヤモンド粒子の吸水率よりも高くなり、例えば、0.15質量%より大きい。
熱伝導性フィラー(B)の吸水率は、フィラーの種類を適宜選択することが調整できる。また、同じ種類のフィラーであっても、粒径を大きくするなどして単位質量あたりの表面積を小さくすると、吸水率は低くなりやすくなる。
熱伝導性フィラー(B)は、熱伝導性及び絶縁性の観点から、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、タルク、グラフェンから選択される1種以上が好ましく、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムから選択される1種以上がより好ましい。酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムは、耐水性が高く、例えば後述するインテグラルブレンド法を用いた場合でも、表面が傷つきそこから分解が生じたりすることを防止する。
また、熱伝導性フィラー(B)としては、上記した中でも、吸水性の観点からは、酸化アルミニウム好ましい。
熱伝導性フィラー(B)は、表面処理されてもよい。熱伝導性フィラー(B)は、表面処理がされることで、高分子マトリクスになじみやすくなり、高分子マトリクス中の大量の熱伝導性フィラー(A)とともに、均一に分散されやすくなる。
熱伝導性フィラー(B)は、シラン化合物、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、リン酸化合物などの表面処理剤で表面処理され、好ましくはシラン化合物により表面処理される。なお、表面処理の詳細及び処理方法は、熱伝導性フィラー(A)に対して行われる表面処理と同様であるからその説明は省略する。
なお、熱伝導性フィラー(B)は、2種類以上使用する場合、全てのフィラーが表面処理されていてもよいし、一部のみが表面処理されていてもよい。
熱伝導性フィラー(B)は、表面処理がされる場合、熱伝導性フィラー(A)と混合されて、熱伝導性フィラー(A)と同時に表面処理されることが好ましいが、熱伝導性フィラー(A)とは別に表面処理されてもよい。
熱伝導性フィラー(B)は、その球形度が例えば0.5以上、好ましくは0.55以上、さらに好ましくは0.6以上である。球形度は1に近いほど球形に近くなるものであり、球形度を高くすることで、熱伝導性フィラー(B)の充填率を高めやすくなる。また、球形度の上限は、特に限定されず、1である。
また、本発明では、熱伝導性フィラー(B)に加えて、上記したように熱伝導性フィラー(A)の球形度も高くすることで、熱伝導性フィラー(A)及び熱伝導性フィラー(B)の合計充填量を高めやすくなる。
熱伝導性フィラー(B)の形状は特に限定されず、板状、鱗片状、針状、繊維状、チューブ状、球状、破砕形状、多角形状などのいずれでもよいが、球状、破砕形状、多角形状のいずれかが好ましく、球状がより好ましい。なお、球状とは、上記したように球形又は球形に近似する形状を意味し、球形度が、0.8以上である。また、破砕形状及び多角形状は、例えば、0.5以上0.8未満の球形度を有し、好ましくは0.55以上0.8未満、より好ましくは0.6以上0.8未満の球形度を有する。
熱伝導性フィラー(B)の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上250μm以下である。0.1μm以上であると、熱伝導性フィラー(A)と併用することで、厚さ方向の熱抵抗を低くしやすくなり、また、傾き(ΔW/ΔD)も低くしやすくなり、上記した所望の範囲内に調整しやすくなる。また、250μm以下とすることで、熱伝導性フィラー(A)に加えて、熱伝導性フィラー(B)を高充填としても、フィラーが均一に分散しないなどの不具合が生じにくくなる。これら観点から、熱伝導製フィラー(B)の平均粒子径は、好ましくは、0.2μm以上150μm以下、より好ましくは0.4μm以上125μm以下である。
熱伝導性フィラー(B)の充填率は、フィラー合計充填率が後述する範囲となるように適宜調整すればよいが、好ましくは75体積%以下、より好ましくは70体積%以下である。これら上限値以下とすることで、熱伝導性組成物に一定量以上の熱伝導性フィラー(A)を配合できるので、傾き(ΔW/ΔD)を所望の範囲内に調整しやすくなる。また、吸水率の観点から、熱伝導性フィラーの充填率(B)は、50体積%以下が好ましく、30体積%以下がさらに好ましい。
また、熱伝導性フィラー(B)の充填率は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上である。これら下限値以上とすると、熱伝導性フィラー(B)を配合した効果を発揮させやすくなる。また、吸水率の観点からは、熱伝導性フィラー(B)の充填率は、0質量%でもよい。
また、熱伝導性フィラー(B)の充填率は、絶縁性及び放熱性の観点から、熱伝導性フィラー(A)の充填率に対して、0.1以上5以下が好ましく、0.2以上4以下がより好ましく、絶縁性をさらに高める観点から0.3以上2以下がさらに好ましい。また、吸水性の観点からは、熱伝導性フィラー(B)の充填率は少なければ少ないほどよく、熱伝導性フィラー(A)の充填率に対して、1以下がよりさらに好ましく、0.5以下が特に好ましい。
なお、上記したとおり、吸水性の観点などから、熱伝導性フィラー(B)を使用しなくてもよく、すなわち、熱伝導性フィラー(B)の充填率は、熱伝導性フィラー(A)の充填率に対して0であってもよい。
の熱伝導性フィラー(B)は、例えば、平均粒子径が10μm以上250μm以下の熱伝導性フィラー(以下、「大粒径熱伝導性フィラー」ともいう)であってもよいし、平均粒子径が0.1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラー((以下、「小粒径熱伝導性フィラー」ともいう)であってもよい。また、熱伝導性フィラー(B)は、大粒径熱伝導性フィラー及び小粒径熱伝導性フィラーの両方が使用されてもよい。
大粒径熱伝導性フィラーは、平均粒子径が15μm以上150μm以下であることが好ましく、18μm以上135μm以下であることがより好ましく、20μm以上125μm以下であることが好ましい。大粒径熱伝導性フィラーは、1種を単独で使用してもよいが、互いに平均粒子径が異なる2種以上を併用してもよい。
小粒径熱伝導性フィラーは、その平均粒子径が0.2μm以上8m以下であることより好ましく、0.3μm以上7μm以下であることがさらに好ましい。
小粒径熱伝導性フィラーは、1種を単独で使用してもよいが、互いに平均粒子径が異なる2種以上を併用してもよい。例えば、平均粒子径が0.1μm以上2.5μm未満の小粒径熱伝導性フィラー(以下、「第1の小粒径熱伝導性フィラー」ともいう)と、平均粒子径が2.5μm以上10μm未満の小粒径熱伝導性フィラー(以下、「第2の小粒径熱伝導性フィラー」ともいう)が併用されてもよい。
この場合、第1の小粒径熱伝導性フィラーは、平均粒子径が0.3μm以上2μm以下であることが好ましい。一方で、第2の小粒径熱伝導性フィラーは、平均粒子径が3μm以上7μm以下であることが好ましい。
小粒径熱伝導性フィラーとして、第1及び第2の小粒径熱伝導性フィラーを併用とすると、小粒径熱伝導性フィラーの充填率をより高めやすくなる。
勿論、小粒径熱伝導性フィラーとして、第1及び第2の小粒径熱伝導性フィラーのいずれか一方のみが使用されてもよい。
本発明において、熱伝導性フィラー(B)は、熱伝導性フィラー(A)に対して、補完的に組み合わされて使用されることが好ましい。具体的には、熱伝導性フィラー(熱伝導性フィラー(A)、及び熱伝導性フィラー(B))は、傾き(ΔW/ΔD)を低くするためには、大粒径のフィラーと、小粒径のフィラーを組み合わせて、大粒径及び小粒径のフィラーをいずれも所定量以上に配合することが好ましい。
したがって、熱伝導性フィラー(A)が大粒径熱伝導性フィラー(A)を含有しない場合や、含有しても少ない場合には、熱伝導性フィラー(B)として少なくとも大粒径熱伝導性フィラーを配合すればよい。
同様に、熱伝導性フィラー(A)が小粒径熱伝導性フィラー(A)を含有しない場合や、含有しても少ない場合には、熱伝導性フィラー(B)として少なくとも小粒径のその他の熱伝導性フィラーを配合すればよい。
また、熱伝導性フィラー(A)が、大粒径熱伝導性フィラー(A)と、小粒径熱伝導性フィラー(A)の両方をそれぞれ適度な量含有する場合には、熱伝導性フィラー(B)も、小粒径熱伝導性フィラー及び大粒径熱伝導性フィラーの両方をそれぞれ適度に配合するとよい。
熱伝導性フィラー全体(すなわち、熱伝導性フィラー(A)と熱伝導性フィラー(B)の合計)における、小粒径フィラーに対する、大粒径フィラーの体積比(大粒径/小粒径)は、例えば、0.2以上5以下である。この体積比は、好ましくは0.5以上2以下、より好ましくは1.0以上1.8以下である。なお、大粒径フィラーとは、平均粒子径が10μm以上250μm以下の熱伝導性フィラーを意味し、その体積は、上記大粒径熱伝導性フィラー(A)と大粒径熱伝導性フィラー(B)の合計体積である。また、小粒径フィラーとは、平均粒子径が0.1μm以上10μm未満の熱伝導性フィラーを意味し、その体積は、上記小粒径熱伝導性フィラー(A)と小粒径熱伝導性フィラー(B)の合計体積である。
熱伝導性フィラー全体における体積比(大粒径/小粒径)を上記範囲内にすると、熱伝導性フィラーの含有量を大量にしても熱伝導性フィラーを高分子マトリクスに均一に分散させることが可能である。また、熱伝導性組成物の熱抵抗値を低くし、さらには、傾き(ΔW/ΔD)も低くできる。
また、熱伝導性フィラーの合計充填率(すなわち、熱伝導性フィラー(A)の充填率と熱伝導性フィラー(B)の充填率の合計)は、好ましくは40体積%以上92体積%以下、より好ましくは50体積%以上90体積%以下、さらに好ましくは65体積%以上85体積%以下である。これら下限値以上とすることで、熱抵抗値を低くでき、さらには、傾き(ΔW/ΔD)を低くできる。また、上限値以下とすることで、熱伝導性フィラーを適切に高分子マトリクス中に分散させることが可能になる。
また、熱伝導性フィラー全体の吸水率は、例えば、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下がさらに好ましく、0.10質量%以下が特に好ましい。このように、熱伝導性フィラー全体の吸水率を低くすることで、プロセッサ搭載アレイにおいてアンテナから送受信される電波の進行をより阻害しにくくなる。吸収率の下限は、低ければ低いほうがよく、0質量%である。
なお、熱伝導性フィラー全体の吸水率は、熱伝導性組成物に含まれるフィラー全部を上記したとおりに環境試験機に投入して測定するとよい。
(分散剤)
本発明の熱伝導性組成物は、分散剤を含有してもよい。分散剤を含有することで、熱導電性フィラーを熱伝導性組成物に分散させやすくなり、熱伝導性フィラーを大量に熱伝導性組成物に配合できる。
分散剤としては、例えば高分子系分散剤が使用できる。使用される高分子系分散剤としては、官能基を有する高分子化合物が挙げられる。高分子化合物としては、例えば、アクリル系、ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、エポキシ系、ポリスチレン系、アミノ系等が挙げられる。また、官能基としては、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸エステル基、リン酸エステル基、スルホン酸エステル基、ヒドロキシル基、アミノ基、四級アンモニウム塩基、アミド基等が挙げられ、リン酸エステル基が好ましい。分散剤は、高分子マトリクスが例えばエポキシ樹脂を含むときに使用されることが好ましい。
分散剤の含有量は、熱伝導性組成物全量基準で、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.4質量%以上2.5質量%以上がより好ましい。含有量をこれら下限値以上とすると、熱伝導性フィラーを熱伝導性組成物に適切に分散させやすくなる。また、上限値以下とすることで、含有量に見合った分散性を付与できる。
(その他の添加剤)
本発明の熱伝導性組成物は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤等の放熱層に一般的に使用する添加剤を含有してもよい。また、熱伝導性組成物に、熱硬化性樹脂を使用する場合には、反応遅延剤を含有させてもよい。
(熱伝導性組成物の調製)
本発明の熱伝導性組成物は、高分子マトリクス及び熱伝導性フィラー(A)、さらには、必要に応じて配合されるその他の熱伝導性フィラー(熱伝導性フィラー(B))、分散剤などの添加剤などを混合して調製するとよい。これら成分を混合する方法は、特に限定されないが、例えば、高分子マトリクスに、熱伝導性フィラー(A)、さらには、必要に応じて配合される熱伝導性フィラー(B)、添加剤など添加し、その後攪拌ないし混練などすることで調整するとよい。また、2液硬化型の熱硬化性樹脂の場合には、上記したように、予め用意した1液と、2液とを混合することで調製するとよい。1液、2液それぞれを用意する際も同様に各種成分を混合して調製するとよい。
ここで、各成分を混合するときの温度は、特に限定されないが、熱伝導性フィラー(A)や熱伝導性フィラー(B)が分散剤により分散され、かつ高分子マトリクスがエポキシ樹脂である場合には、例えば、20℃以上140℃以下であればよい。混練温度が140℃以下であると、分散剤により分散された各種フィラーの分散性が維持される。また、同様の理由で、熱伝導性フィラー(A)や熱伝導性フィラー(B)が分散剤により分散され、かつ高分子マトリクスがエポキシ樹脂である場合には、後述するように熱伝導性を所定の形状にし、その後硬化するときの温度も140℃以下にするとよい。
また、熱伝導性フィラーは、上記のようにシラン化合物によって表面処理された上で、高分子マトリクスに配合するとよいが、インテグラルブレンド法を用いてもよい。すなわち、熱伝導性フィラーは、上記した表面処理をせずに、高分子マトリクスに上記したシラン化合物などを加えて混合してもよい。
本発明の熱伝導性組成物は、例えば、高分子マトリクスが硬化性樹脂を含む場合には、所定の形状にした後、適宜加熱などして硬化させることで所定の形状に成形された熱伝導層にすることができる。熱伝導性組成物を熱伝導層にする方法としては、特に限定されず、塗布、キャスティング、ポッティング、押出成形などにより、薄膜状、シート状などにするとよい。
以下に本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の評価方法は以下の通りである。
[傾き(ΔW/ΔD)]
各実施例、比較例で得られた熱伝導性組成物を直ちに測定装置の測定部分上に厚み500μm(D2)となるように塗布して、そのときの熱伝導性組成物の熱抵抗値(W2)を、メンターグラフィックス社製の装置「DynTIM」を用いてASTM D5470に準拠して測定した。その後、熱伝導性組成物の厚みを調整して厚み300μm(D1)のときの熱抵抗値(W1)を同様に測定した。得られた熱抵抗値を用いて、式:ΔW/ΔD=(W2−W1)/(D2−D1)より傾き(ΔW/ΔD)を算出した。
[絶縁性評価]
(体積抵抗値)
各実施例、比較例の熱伝導性組成物を平板試料用電極 SME−8310(日置電機社製)により体積抵抗値を測定して、以下の基準により評価した。
○:1.0×1013(Ω・cm)以上
×:1.0×1013(Ω・cm)未満
(絶縁破壊電圧強度)
各実施例、比較例の熱伝導性組成物を耐電圧試験機(ETECH Electronics社製「MODEL7473」)を用いて、テストサンプル間に0.33kV/秒の速度で電圧が上昇するように、温度25℃にて交流電圧を印加した。テストサンプルに10mAの電流が流れた電圧を絶縁破壊電圧とした。絶縁破壊電圧をテストサンプルの厚みで除算することで規格化し、絶縁破壊強度を算出した。絶縁破壊強度を以下の基準で評価した。
◎:20kV/mm以上
○:10kV/mm以上20kV/mm未満
△:5kV/mm以上10kV/mm未満
×:5kV/mm未満
[吸水率]
明細書記載の方法に従って、熱伝導性組成物に配合される熱伝導性フィラー全体の吸水率を求めた。
[熱伝導率]
熱伝導率は、クロスセクションポリッシャーにて切削加工したフィラー断面に対して、株式会社ベテル製サーマルマイクロスコープを用いて、周期加熱サーモリフレクタンス法により測定した。測定は、室温(25℃)で行った。
[電磁波特性評価]
基板上にGPU(IPコアの数1000個)及びアンテナが1cm離れた形で搭載されたテストサーキット基板を電源に接続し、実施例、比較例で作製した熱伝導性組成物をGPU上に2mmの厚みで塗布した上でアルミ製ヒートシンクを接続した。一方で温度85℃、相対湿度85%の環境試験機に投入し120時間放置した、熱伝導性組成物を同様に配置したテストサーキット基板を用意した。これらを用いてアンテナより20GHzの信号を発信した際における信号強度を、キーサイト社製スペクトルアナライザ(N9344C)を用いて測定を行い、環境試験機に投入の有無による強度変化を以下の基準で評価した。
◎:1%未満
○:1%以上5%未満
△:5%以上10%未満
×:10%以上
実施例、比較例で使用したダイヤモンド粒子、窒化アルミニウム粒子、銀粒子その他の熱伝導性フィラーは、以下の通りである。
<熱伝導性フィラー(A):ダイヤモンド粒子>
ダイヤ1:第2の小粒径ダイヤモンド、未処理、トーメイダイヤ社製、商品名CMM4−8、平均粒子径4μm、球形度0.6、破砕品、吸水率0.07質量%、熱伝導率700W/m・K
ダイヤ2:第1の小粒径ダイヤモンド、未処理、トーメイダイヤ社製、商品名MD−1000、平均粒子径1μm、球形度0.6、破砕品、吸水率0.11質量%、熱伝導率700W/m・K
ダイヤ3:第2の大粒径ダイヤモンド、未処理、平均粒子径50μm、サンゴバン社製MBグレード 球形度0.6、破砕品、吸水率0.01質量%、熱伝導率550W/m・K
ダイヤ4:第1の大粒径ダイヤモンド、未処理、トーメイダイヤ社製、商品名CMM20−40、平均粒子径20μm、球形度0.6、破砕品、吸水率0.03質量%、熱伝導率650W/m・K
<熱伝導性フィラー(A):窒化アルミニウム粒子>
AlN1:大粒径窒化アルミニウム、未処理、平均粒子径80μm、古河電子株式会社製、商品名FAN−f80、球状、熱伝導率140W/m・K
AlN2:第2の小粒径窒化アルミニウム、未処理、平均粒子径5μm、(株)トクヤマ製、商品名HF−05、球状、熱伝導率170W/m・K
AlN3:第1の小粒径窒化アルミニウム、未処理、平均粒子径1μm、(株)トクヤマ製、商品名HF−01、球状、熱伝導率170W/m・K
<熱伝導性フィラー(A):金属系粒子(銀粒子)>
Ag:小粒径銀粒子、未処理、平均粒子径0.15μm、シグマアルドリッチ製、球状、熱伝導率380W/m・K
<その他の熱伝導性フィラー(熱伝導性フィラー(B)>
(アルミナ)
アルミナ1:第2の小粒径熱伝導性フィラー、マイクロン社製、商品名「AL3」、平均粒子径4μm、球形度1、球形フィラー、吸水率0.79質量%、熱伝導率30W/m・K
アルミナ2:第1の小粒径熱伝導性フィラー、株式会社アドマテックス製、商品名「AO502」、平均粒子径0.5μm、球形度1、球形フィラー、吸水率1.67質量%、熱伝導率30W/m・K
アルミナ3:大粒径熱伝導性フィラー、マイクロン社製、商品名「AL35」、平均粒子径35μm、球形度1、球形フィラー、吸水率0.35質量%、熱伝導率25W/m・K
(酸化マグネシウム)
MgO1:第2の小粒径熱伝導性フィラー、協和化学工業株式会社製、商品名「パイロキスマ5301」、平均粒子径2μm、球形度0.6、粉砕品、吸水率9.01質量%、熱伝導率30W/m・K
MgO2:大粒径熱伝導性フィラー、宇部マテリアルズ株式会社製、商品名RF−98、平均粒子径50μm、球形度:0.6、粉砕品、吸水率5.03質量%、熱伝導率35W/m・K
<表面処理剤>
(表面処理剤1)
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM5103」)1gと、両末端トリメチルシリル基封鎖メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(商品名「HMS031」、Gelest社製、重量平均分子量:1900〜2000)8gと白金触媒0.01gとを混合した。その混合物を150℃のオーブンで2時間加熱して表面処理剤1を得た。
[実施例1]
(表面処理)
まず、表面処理剤1を溶媒としてのエタノールで濃度1質量%に希釈した表面処理液を作製した。次に、その表面処理液に、ダイヤモンド1を4.2質量部、ダイヤモンド2を3.5質量部、ダイヤモンド3を7.5質量部、ダイヤモンド4を2.5質量部となるように混合したフィラー混合物を加えた。その後、フィラーが配合された表面処理液を30分間、30℃で攪拌した後、70℃で、12時間加熱して、溶媒を除去して、表面処理剤1により表面処理された熱伝導性フィラー(ダイヤモンド1〜4の混合物)を得た。ダイヤモンド1〜4の混合物に対する、表面処理剤の付着量は、表1に示すとおりであった。
(熱伝導性組成物の調製)
高分子マトリクスとして、付加反応型シリコーン樹脂の主剤を構成するビニル両末端オルガノポリシロキサン(25℃での粘度が300mPa・s)1.6質量部に対して、表面処理されたダイヤモンド1〜4を表1に示す配合部数で加え、さらに反応遅延剤0.015質量部、白金触媒を触媒量添加して、ダイヤモンド組成物の1液を調製した。
また、付加反応型シリコーン樹脂の硬化剤を構成するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(25℃での粘度が400mPa・s)1.6質量部に対して、表面処理されたダイヤモンド1〜4を表1に示す配合部数で加え、ダイヤモンド組成物の2液を調製した。
1液と、2液を質量比(1液/2液)1:1で混合して熱伝導性組成物を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
表面処理液で処理する熱伝導性フィラーを表1の通りに変更し、表面処理された熱伝導性フィラーの配合部数を表1に示すとおりに調整して、ダイヤモンド組成物の1液及び2液を作製した以外は、実施例1と同様に実施して、熱伝導性組成物を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
[実施例3]
高分子マトリクスとして、ジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル、商品名「SH200CV」、三菱化学社製、粘度:110cS)0.8質量部に対して、表1で示されている配合部数で、実施例1と同様に表面処理された熱伝導性フィラーを加えた。遊星式攪拌機を用いて25℃、500rpmで25分間攪拌することにより、熱伝導性組成物を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
[実施例4]
表面処理液で処理する熱伝導性フィラーを表1の通りに変更し、熱伝導性フィラーの配合部数を表1に示すとおりに調整して、ダイヤモンド組成物の1液及び2液を作製した以外は、実施例1と同様に実施して、熱伝導性組成物を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
ダイヤモンド粒子を使用せずに、ダイヤモンド組成物の配合を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例5]
AlN1を60質量部、AlN2を20質量部、AlN3を20質量部、及び高分子マトリックスとして、上記一般式(3−1)においてcが20、YがSi(CHCH=CHで表される化合物を7.43質量部配合し、室温にて1時間混合し、さらに120℃にて1時間攪拌混合し、熱伝導性組成物を作成し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例6]
(表面処理)
実施例1で用いた表面処理剤1により表面処理した、AlN1、ALN2、AlN3のフィラー混合物を準備した。
高分子マトリクスとして、付加反応型シリコーン樹脂の主剤を構成するビニル両末端オルガノポリシロキサン(25℃での粘度が300mPa・s)7.43質量部に対して、表面処理されたAlN1〜3を表2に示す配合部数で加え、さらに反応遅延剤0.015質量部、白金触媒を触媒量添加して、窒化アルミニウム組成物の1液を調製した。
また、付加反応型シリコーン樹脂の硬化剤を構成するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(25℃での粘度が400mPa・s)7.43質量部に対して、表面処理されたAlN1〜3を表2に示す配合部数で加え、窒化アルミニウム組成物の2液を調製した。
1液と、2液を質量比(1液/2液)1:1で混合して、熱伝導性組成物を作製し、評価した。その結果を表2に示す。
表1、2の結果から明らかなように、各実施例によれば、熱伝導率が100W/m・K以上の熱伝導性フィラー(A)を使用することで、熱伝導性が高くなり、放熱性を良好にすることができた。また、ダイヤモンド粒子又は表面処理された窒化アルミニウム粒子を用いているため、熱伝導性フィラーの吸水率が低くなった。これにより、20GHz以上の電波の進行が放熱層の水分により阻害されにくくなり、電磁波特性評価における信号強度の低下が少なかった。そのため、本発明のプロセッサ搭載アレイは5G通信に好適に使用できる。それに対して、熱伝導性フィラー(A)を使用しない比較例では、熱伝導性を十分に良好にすることができなかった。
10,30 プロセッサ搭載アレイ
11 プロセッサ
12 アンテナ
13 コンバータ
14 アンテナインターフェース
20 基板
20A 表面
20B 裏面
21 熱伝導層
22 筐体
23 第1のスプレッダ
24 第2のスプレッダ

Claims (12)

  1. 熱伝導率が100W/m・K以上の熱伝導性フィラー(A)と、20個以上のIPコアを有するプロセッサと、アンテナとを備えるプロセッサ搭載アレイ。
  2. 前記熱伝導性フィラー(A)の粒子径が0.1μm以上250μm以下である請求項1に記載のプロセッサ搭載アレイ。
  3. 前記熱伝導性フィラー(A)が、ダイヤモンド粒子、窒化アルミニウム粒子、銀、及びアルミニウムから選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2に記載のプロセッサ搭載アレイ。
  4. 前記熱伝導性フィラー(A)が、表面処理された熱伝導性フィラーである、請求項1〜3のいずれかに記載のプロセッサ搭載アレイ。
  5. 前記熱伝導性フィラー(A)が前記プロセッサで発生した熱を伝熱させ、かつ放熱するように配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセッサ搭載アレイ。
  6. 前記熱伝導性フィラー(A)を含有する熱伝導層を備える請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセッサ搭載アレイ。
  7. 前記熱伝導層における前記熱伝導性フィラー(A)の充填率が30体積%以上90体積%以下である請求項6に記載のプロセッサ搭載アレイ。
  8. 前記熱伝導層が、前記熱伝導性フィラー(A)と、高分子マトリクスとを含有する熱伝導性組成物から形成される、請求項6又は7に記載のプロセッサ搭載アレイ。
  9. 前記高分子マトリクスが、シリコーンである、請求項8に記載のプロセッサ搭載アレイ。
  10. 前記熱伝導性組成物が、さらに硬化触媒を含有する請求項8又は9に記載のプロセッサ搭載アレイ。
  11. 前記熱伝導層が、前記プロセッサの上に配置される請求項6〜10のいずれか1項に記載のプロセッサ搭載アレイ。
  12. 一方の面側に前記プロセッサが取り付けられる基板と、
    前記基板の他方の面側の前記プロセッサに対応する位置に配置される熱伝導層とを備え、
    前記基板の前記プロセッサが設けられた位置に前記基板を貫通するようにビアが設けられる請求項6〜11のいずれか1項に記載のプロセッサ搭載アレイ。
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