JP2020143915A - ステロイドホルモンの調製又は定量方法 - Google Patents
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Description
また本発明は、前記調製方法で調製したステロイドホルモンを定量することを含む、皮膚表上脂質中ステロイドホルモンの定量方法を提供する。
さらに本発明は、前記定量方法により、被験体から採取した皮膚表上脂質中のステロイドホルモンを定量することを含む、被験体の皮膚特性の解析方法を提供する。
さらに本発明は、前記定量方法により、被被験体から採取した皮膚表上脂質中のステロイドホルモンを定量することを含む、被験体の血中ステロイドホルモン量の解析方法を提供する。
好ましい一実施形態において、被験体から採取したSSL中のアンドロゲン量が高い場合、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)は高いと判断され、一方、該被験体の角層水分量及び皮膚pHは低いと判断される。また、該SSL中のアンドロゲン量が低い場合、被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)は低いと判断され、一方、該被験体の角層水分量及び皮膚pHは高いと判断される。
好ましい一実施形態において、被験体から採取したSSL中のP4量が高い場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHは高いと判断され、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)は低いと判断される。また、該SSL中のP4量が低い場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHは低いと判断され、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)は高いと判断される。
好ましい一実施形態において、被験体から採取したSSL中のエストロゲン量が高い場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHは高いと判断され、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)は低いと判断される。また、該SSL中のエストロゲン量が低い場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHは低いと判断され、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)は高いと判断される。
好ましい一実施形態において、被験体から採取したSSL中の糖質コルチコイド量が高い場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHは低いと判断され、一方、該SSL中の糖質コルチコイド量が低い場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHは高いと判断される。
好ましい一実施形態において、被験体から採取したSSL中のアンドロゲン量が増加した場合、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)の増加が判断又は予測され、一方、該被験体の角層水分量及び皮膚pHの低下が判断又は予測される。また、該SSL中のアンドロゲン量が減少した場合、被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)の低下が判断又は予測され、一方、該被験体の角層水分量及び皮膚pHの増加が判断又は予測される。
好ましい一実施形態において、被験体から採取したSSL中のP4量が増加した場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHの増加が判断又は予測され、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)の低下が判断又は予測される。また、該SSL中のP4量が減少した場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHの低下が判断又は予測され、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)の増加が判断又は予測される。
好ましい一実施形態において、被験体から採取したSSL中のエストロゲン量が増加した場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHの増加が判断又は予測され、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)の低下が判断又は予測される。また、該SSL中のエストロゲン量が減少した場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHの低下が判断又は予測され、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量(MI)及び紅班量(EI)の増加が判断又は予測される。
好ましい一実施形態において、被験体から採取したSSL中の糖質コルチコイド量が増加した場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHの低下が判断又は予測され、一方、該SSL中の糖質コルチコイド量が減少した場合、該被験体の角層水分量及び皮膚pHの増加が判断又は予測される。
〔2〕好ましくは、前記分離が、前記SSL中のステロイドホルモンを溶媒抽出することを含む、〔1〕記載の方法。
〔3〕好ましくは、前記ステロイドホルモンが、アンドロゲン、プロゲステロン、エストロゲン、及び糖質コルチコイドからなる群より選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、該アンドロゲンが、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、テストステロン(T)、ジヒドロテストステロン(DHT)、及びアンドロステンジオン(A−dione)からなる群より選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、該エストロゲンがエストロン(E1)及びエストラジオール(E2)からなる群より選択される少なくとも1種であり、
好ましくは、該糖質コルチコイドがコルチゾール(F)である、
〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕前記溶媒が、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくはエーテル類である、〔2〕又は〔3〕記載の方法。
〔5〕好ましくは、前記被験体のSSLを採取することをさらに含む、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載の方法。
〔7〕好ましくは、前記定量がLC−MS測定により行われる、〔6〕記載の方法。
〔8〕好ましくは、前記LC−MS測定の前に、前記ステロイドホルモンの誘導体を調製することをさらに含む、〔7〕記載の方法。
〔9〕好ましくは、前記ステロイドホルモンがアンドロゲン、プロゲステロン、又は糖質コルチコイドであり、前記誘導体がエステル誘導体である、〔8〕記載の方法。
〔10〕好ましくは、前記ステロイドホルモンがエストロゲンであり、前記誘導体がペンタハロゲン化ベンジル誘導体又はペンタハロゲン化ベンゾイル誘導体である、〔8〕記載の方法。
〔11〕好ましくは、前記ペンタハロゲン化ベンジル誘導体又はペンタハロゲン化ベンゾイル誘導体のフルオロピリジンエーテル誘導体又はエステル誘導体を調製することをさらに含む、〔10〕記載の方法。
〔13〕好ましくは、前記SSL中ステロイドホルモン量に基づいて前記被験体の皮膚特性を評価することをさらに含む、〔12〕記載の方法。
〔14〕好ましくは、前記SSL中ステロイドホルモン量の変化に基づいて前記被験体の皮膚特性を評価することをさらに含む、〔12〕記載の方法。
〔15〕好ましくは、前記ステロイドホルモンがアンドロゲンであり、前記被験体の皮膚特性が、皮脂量、角層水分量、経皮水分蒸散量、メラニン量、紅班量及び皮膚pHからなる群より選択される少なくとも1種である、〔12〕〜〔14〕のいずれか1項記載の方法。
〔16〕好ましくは以下をさらに含む、〔15〕記載の方法:
前記アンドロゲン量が高い場合、前記被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量は高いと判断し、一方、該被験体の角層水分量及び皮膚pHは低いと判断すること;
前記アンドロゲン量が低い場合、前記被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量は低いと判断し、一方、該被験体の角層水分量及び皮膚pHは高いと判断すること;
前記アンドロゲン量が増加した場合、前記被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量の増加を判断又は予測し、一方、該被験体の角層水分量及び皮膚pHの低下を判断又は予測すること;あるいは、
前記アンドロゲン量が減少した場合、前記被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量の低下を判断又は予測し、一方、該被験体の角層水分量及び皮膚pHの増加を判断又は予測すること。
〔17〕好ましくは、前記ステロイドホルモンがプロゲステロンであり、前記被験体の皮膚特性が、皮脂量、角層水分量、経皮水分蒸散量、メラニン量、紅班量及び皮膚pHからなる群より選択される少なくとも1種である、〔12〕〜〔14〕のいずれか1項記載の方法。
〔18〕好ましくは以下をさらに含む、〔17〕記載の方法:
前記プロゲステロン量が高い場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHは高いと判断し、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量は低いと判断すること;
前記プロゲステロン量が低い場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHは低いと判断し、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量は高いと判断すること;
前記プロゲステロン量が増加した場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHの増加を判断又は予測し、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量の低下を判断又は予測すること;あるいは、
前記プロゲステロン量が減少した場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHの低下を判断又は予測し、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量の増加を判断又は予測すること。
〔19〕好ましくは、前記ステロイドホルモンがエストロゲンであり、前記被験体の皮膚特性が、皮脂量、角層水分量、経皮水分蒸散量、メラニン量、紅班量及び皮膚pHからなる群より選択される少なくとも1種である、〔12〕〜〔14〕のいずれか1項記載の方法。
〔20〕好ましくは以下をさらに含む、〔19〕記載の方法:
前記エストロゲン量が高い場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHは高いと判断し、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量は低いと判断すること;
前記エストロゲン量が低い場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHは低いと判断し、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量は高いと判断すること;
前記エストロゲン量が増加した場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHの増加を判断又は予測し、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量の低下を判断又は予測すること;あるいは、
前記エストロゲン量が減少した場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHの低下を判断又は予測し、一方、該被験体の皮脂量、TEWL、メラニン量及び紅班量の増加を判断又は予測すること。
〔21〕好ましくは、前記ステロイドホルモンが糖質コルチコイドであり、前記被験体の皮膚特性が、角層水分量及び皮膚pHからなる群より選択される少なくとも1種である、〔12〕〜〔14〕のいずれか1項記載の方法。
〔22〕好ましくは以下をさらに含む、〔21〕記載の方法:
前記糖質コルチコイド量が高い場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHは低いと判断すること;
前記糖質コルチコイド量が低い場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHは高いと判断すること;
前記糖質コルチコイド量が増加した場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHの低下を判断又は予測すること;あるいは、
前記糖質コルチコイド量が減少した場合、前記被験体の角層水分量及び皮膚pHの増加を判断又は予測すること。
〔24〕好ましくは、前記SSL中のステロイドホルモン量の変化に基づいて前記被験体の血中ステロイドホルモン量の変化を解析することをさらに含む、〔23〕記載の方法。
〔25〕好ましくは、前記ステロイドホルモンが、アンドロゲン及びプロゲステロンからなる群より選択される少なくとも1種である、〔23〕又は〔24〕記載の方法。
DHEA;デヒドロエピアンドロステロン
T;テストステロン
DHT;ジヒドロテストステロン
A−dione;アンドロステンジオン
P4;プロゲステロン
F;コルチゾール
E1;エストロン
E2;エストラジオール
(1)被験者
健常男性及び健常女性(20〜59歳、BMI:18.5以上5.0未満)80名を被験者とした。被験者は、予め皮膚科医により皮膚に異常が無いことを確認した。
ステロイドホルモン測定の妨害となるような脂溶性物質をあらかじめ除去するため、あぶら取りフィルム(3M社)をクロロホルム/メタノール溶液に浸漬した。浸漬後のあぶら取りフィルムは十分に乾燥させた。該あぶら取りフィルムを用いて、各被験者の全顔からSSLを回収し、精密天びんで質量を測定し、SSLの質量(SSL回収後のあぶら取りフィルムの質量−SSL回収前のあぶら取りフィルムの質量)を求めた。該あぶら取りフィルムはガラスバイアルに移し、−80℃で保存した。
本手順は、株式会社あすか製薬メディカルに委託して実施した。あぶら取りフィルム をハサミで細かく切断し試験管に入れ、内部標準(DHEA−13C3(ISOSciences)400pg、T−13C3(Sigma−Aldrich)600pg、DHT−13C3(ISOSciences)200pg、A−dione−13C3(ISOSciences)400pg、P4−13C3(林純薬工業株式会社)400pg、F−d4(CDN Isotopes)2000ng、E1−13C4(林純薬工業株式会社)100pg、及びE2−13C4(林純薬工業株式会社))10pgを添加した後、4mLのメチル−t−ブチルエーテル(MTBE、Sigma−Aldrich)でステロイドホルモンを抽出した。抽出後、MTBEを留去し、得られた残留物に2mLのヘキサンと0.5mLのアセトニトリルを加えて振盪し、アセトニトリル層を分取し留去した。残留物を1mLのメタノールに溶解し、SSL由来ステロイドホルモンを含むサンプル溶液を得た。得られたサンプル溶液は、それぞれDHEA、T、DHT、A−dione、P4及びFの測定用と、E1及びE2の測定用に2等分した。
本測定は、特許第4634913号(「ステロイドの測定方法」)に記載される方法に従って実施した。(3)で得られたDHEA、T、DHT、A−dione、P4及びFの測定用のサンプル溶液に1mLの精製水を加えて希釈し、Oasis MAXカートリッジ(ウォーターズ)に負荷した。カートリッジを1mLの精製水、1mLの精製水/メタノール/酢酸水溶液(55:45:1,v/v/v)、及び1mLの精製水/ピリジン水溶液(100:1,v/v)で順次洗浄後、1mLのメタノール/ピリジン溶液(100:1,v/v)でサンプルを溶出し、得られた溶出物から溶離液を留去した。残留物に0.05mLのピコリン酸エステル誘導体化試薬(40mgのピコリン酸(東京化成工業)、80mgの2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物(MNBA、東京化成工業)及び20mgの4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を含むアセトニトリル溶液1mL)、及び0.01mLのトリエチルアミン(TEA、富士フィルム和光純薬株式会社)を加え、ステロイドのピコリン酸エステル誘導体化反応を室温で30分間行った。反応液を0.5mLの酢酸エチル/ヘキサン/酢酸溶液(15:35:1,v/v/v)で希釈後、InertSep SIカートリッジ(ジーエルサイエンス)に負荷した。カートリッジを1mLのヘキサン及び2mLの酢酸エチル/ヘキサン溶液(3:7,v/v)で順次洗浄後、2.5mLのアセトン/ヘキサン溶液(7:3,v/v)でサンプルを溶出した。
得られた溶出物から溶離液を留去し、残留物を0.1mLの精製水/アセトニトリル水溶液(3:2,v/v)に溶解した。得られた溶液を用いて、LC−MS/MS[質量分析計:API4000、UHPLC:Nexera UHPLC system、分析カラム:Kinetex C18(1.7μm,2.1×150mm)、カラム温度:50℃、流速:0.5mL/min、移動相:0.1%ギ酸水溶液−アセトニトリルグラジエント分析]によりDHEA、T、DHT、A−dione、P4及びFを測定した。LC−MS/MSの測定値から、それぞれの内部標準に基づく検量線に従って、DHEA、T、DHT、A−dione、P4、及びFの量をそれぞれ定量した。得られた値を(2)で測定したSSLの質量で除した値を、SSL中のDHEA、T、DHT、A−dione、P4及びFの量として取得した。
本測定は、特許第6041125号(「エストロゲンの超高感度測定法」)に記載される方法に従って実施した。(3)で得られたE1及びE2の測定用のサンプル溶液に1mLの精製水を加えて希釈し、Oasis MAXカートリッジ(ウォーターズ)に負荷した。カートリッジを1mLの精製水/酢酸水溶液(100:1,v/v)、1mLの精製水/アセトニトリル水溶液(7:3,v/v)、1mLの1mol/L水酸化ナトリウム溶液、3mLのメタノール、1mLの精製水/酢酸水溶液(100:1,v/v)、及び1mLのメタノール/精製水/ピリジン水溶液(60:40:1,v/v/v)で順次洗浄後、1mLのメタノール/精製水/ピリジン水溶液(90:10:1,v/v/v)でサンプルを溶出し、得られた溶出物から溶離液を留去した。残留物にペンタフルオロピリジン(Alfa Aesar)0.05mL、アセトニトリル0.1mL及びTEA0.02mLを加え、ステロイドのテトラフルオロピリジンエーテル誘導体化反応を室温で20分間行った。
反応物から液体を留去し、得られた残留物(E1−Tfpy及びE2−Tfpyを含む)に2−ヒドラジノ−1−メチルピリジン(HMP0.05mg、あすか製薬メディカル)、トリフルオロ酢酸(富士フィルム和光純薬株式会社)0.01mL及びアセトニトリル0.14mLを加え、室温で1時間反応させ残留物中のE1−TfpyをHMP誘導体化した。得られた反応物から液体を留去し、残留物を0.5mLのメタノールに溶解、さらに0.5mLの精製水で希釈し、Oasis WCXカートリッジ(ウォーターズ)に負荷した。カートリッジを1mLの0.1mol/Lリン酸二水素カリウム水溶液、2mLの精製水及び1mLの精製水/アセトニトリル水溶液(3:2,v/v)で順次洗浄後、1mLのメタノールでE2−Tfpy画分を溶出した。E2−Tfpy溶出後のカートリッジを2mlのアセトニトリル、0.5mLの精製水及び1mLのメタノール/精製水/ギ酸水溶液(65:35:2,v/v/v)水溶液で洗浄後、1mLのメタノール/ギ酸溶液(50:1,v/v)でE1誘導体(E1−TfpyHMP)画分を溶出した。それぞれの画分から溶離液を留去した。
E2−Tfpy画分の残留物に0.05mLのフザリン酸エステル誘導体化試薬(アセトニトリル溶液1mLに40mgのフザリン酸(Chem−Impex International,Inc.)、80mgのMNBA及び20mgのDMAPを溶解)及び0.01mLのTEAを加え、E2−Tfpyのフザリン酸エステル誘導体化反応を室温で30分間行った。反応液を0.5mLのヘキサン/酢酸溶液(50:1,v/v)で希釈後、InertSep SIカートリッジに負荷した。カートリッジを1mLのヘキサン及び2mLの酢酸エチル/ヘキサン溶液(3:17,v/v)で順次洗浄後、2.5mLの酢酸エチル/ヘキサン溶液(9:11,v/v)でE2誘導体(E2−TfpyFU)を溶出し、溶出物から溶離液を留去した。
E1−TfpyHMPを含む残留物は、0.1mLのアセトニトリル/精製水水溶液(7:3,v/v)に溶解した。E2−TfpyFUを含む残留物は、0.1mLのアセトニトリル/精製水水溶液(4:1,v/v)に溶解した。得られた溶液を用いて、LC−MS/MSによりE1及びE2を測定した。E1のLC−MS/MS測定は[質量分析計:API5000、UHPLC:Agilent 1290 Infinity LC system、1次元目分析カラム:Cortex C18(1.6μm,2.1×50mm)、2次元目分析カラム:Luna Omega PS C18(1.6μm,2.1×50mm)、カラム温度:60℃、流速:0.5mL/min、1次元目移動相:0.1%ギ酸水溶液−メタノールグラジエント分析、2次元目移動相:20mMギ酸アンモニウム水溶液−アセトニトリルグラジエント分析]の条件で実施した。E2のLC−MS/MS測定は[質量分析計:API5000、UHPLC:Agilent 1290 Infinity LC system、1次元目分析カラム:Capcellcore PFP(2.7μm,2.1×50mm)、2次元目分析カラム:Cortex C18(1.6μm,2.1×150mm)、カラム温度:60℃、流速:0.5mL/min、1次元目移動相:0.1%ギ酸水溶液−アセトニトリルグラジエント分析、2次元目移動相:0.1%ギ酸水溶液−アセトニトリルグラジエント分析で実施]の条件で実施した。得られたLC−MS/MSの測定値から、それぞれの内部標準に基づく検量線に従って、E1及びE2の量をそれぞれ定量した。得られた値を(2)で測定したSSLの質量で除した値を、SSL中のE1及びE2の量として取得した。
SSLを採取した全被験者で、8種のステロイドホルモン(DHEA、T、DHT、A−dione、P4、F、E1及びE2)の全てを検出及び定量することができた。各ステロイドホルモンの量の全被験者間での平均値と標準偏差を表1に示す。表1の結果より、E1とE2の量は少ないものの、DHEA、T、DHT、A−dione、P4、FはSSL中に豊富に存在していることが明らかとなった。
試験例1の被験者集団において、SSL採取と同日に皮膚特性についての各種測定を実施した。皮膚特性の測定では、最初に、Sebumeter SM815(Courage + Khazaka electronic)を用いて洗顔4時間以上経過した額と頬のカジュアル皮脂量を測定した。その後、洗顔を実施し、馴化を20分間実施した後に、頬部において、Tewameter TM300(Courage + Khazaka electronic)で経皮水分蒸散量を、Corneometer CM825(Courage + Khazaka electronic)で角層水分量を、Skin−pH−Meter PH905(Courage + Khazaka electronic)で皮膚pHを、Mexameter MX18(Courage + Khazaka electronic)でメラニンインデックス及びエリスマインデックスを、それぞれ測定した。さらに洗顔60分後に、Sebumeter SM815を用いて額と頬部の回復皮脂量を測定した。得られた各種皮膚特性値と試験例1で測定したSSL中の各種ステロイドホルモン量との相関をピアソンの相関解析により解析した。結果を表2に示す。
試験例1の被験者集団から、SSL採取と同日に腕より血液3mLを採取した。採取した血液から遠心分離機により血清を分離し、解析まで−80℃で保存した。得られた血清サンプルから、T及びP4の血中濃度を、ELISAによる測定キット(Cayman)を用いて添付のプロトコルに従い定量した。T及びP4について、血中濃度と、試験例1で測定したSSL中濃度との間の相関性を解析した。T及びP4の血中及びSSL中濃度をプロットした結果を図1に示す。T及びP4について、SSL中濃度と血中濃度との間に統計的に有意な正の相関がみられた。
Claims (14)
- 被験体から採取した皮膚表上脂質中のステロイドホルモンを分離することを含む、ステロイドホルモンの調製方法。
- 前記分離が、前記皮膚表上脂質中のステロイドホルモンを溶媒抽出することを含む、請求項1記載の方法。
- 前記ステロイドホルモンが、アンドロゲン、プロゲステロン、エストロゲン、及び糖質コルチコイドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2記載の方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の方法で調製したステロイドホルモンを定量することを含む、皮膚表上脂質中ステロイドホルモンの定量方法。
- 請求項4記載の方法により、被験体から採取した皮膚表上脂質中のステロイドホルモンを定量することを含む、被験体の皮膚特性の解析方法。
- 前記皮膚表上脂質中ステロイドホルモン量に基づいて前記被験体の皮膚特性を評価することをさらに含む、請求項5記載の方法。
- 前記皮膚表上脂質中ステロイドホルモン量の変化に基づいて前記被験体の皮膚特性を評価することをさらに含む、請求項5記載の方法。
- 前記ステロイドホルモンがアンドロゲンであり、前記被験体の皮膚特性が、皮脂量、角層水分量、経皮水分蒸散量、メラニン量、紅班量及び皮膚pHからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
- 前記ステロイドホルモンがプロゲステロンであり、前記被験体の皮膚特性が、皮脂量、角層水分量、経皮水分蒸散量、メラニン量、紅班量及び皮膚pHからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
- 前記ステロイドホルモンがエストロゲンであり、前記被験体の皮膚特性が、皮脂量、角層水分量、経皮水分蒸散量、メラニン量、紅班量及び皮膚pHからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
- 前記ステロイドホルモンが糖質コルチコイドであり、前記被験体の皮膚特性が、角層水分量及び皮膚pHからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
- 請求項4記載の方法により、被験体から採取した皮膚表上脂質中のステロイドホルモンを定量することを含む、被験体の血中ステロイドホルモン量の解析方法。
- 前記皮膚表上脂質中のステロイドホルモン量の変化に基づいて前記被験体の血中ステロイドホルモン量の変化を解析することをさらに含む、請求項12記載の方法。
- 前記ステロイドホルモンが、アンドロゲン及びプロゲステロンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項12又は13記載の方法。
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