JP2020143744A - 密封装置 - Google Patents
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Abstract
Description
上記特許文献1に開示されている密封装置の場合、外側部材に嵌合された芯金のラビリンスリップ44や外側シールリップ43で外部からの泥水等の浸入を抑制している。しかしながら、スリンガの円環部22と内側部材のフランジ部6の側面6aとの間には空間があるため、スリンガの円筒部21と内輪3の外周面3bとの間に泥水等が浸入することを十分に抑制できる構造とはいえない。
また上記特許文献2に開示されている密封装置の場合、スリンガの外径側に単体の弾性リップ21bが設けられているのみであるから、この場合もスリンガの円筒部と内側部材の外周面との間から浸入しようとする泥水等を十分に抑制できる構造とはいえないものであった。
本発明に係る密封装置8は、連続して拡径するフランジ部41を有する内側部材4と、内側部材4に対して径方向外側に設けられる外側部材2とを備える。密封装置8は、内側部材4及び外側部材2が相対回転する機械装置(以下では軸受装置1)に用いられ、外側部材2と内側部材4との間を密封し、内側部材4に嵌合されるスリンガ部材9を備えている。スリンガ部材9は、内側部材4の外周面に嵌合される円筒部100と、円筒部100の軸方向外側の端部100aから径方向外側に延びるとともにフランジ部41と軸方向に離間するように位置する円板部101とを有するスリンガ10と、円板部101に固着されるとともに、フランジ部41に近接又は摺接する複数のアキシャルリップ(以下では第1アキシャルリップ)111,112とを備えている。以下、詳述する。
第1実施形態について、図1、図2を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る密封装置が装着される軸受装置1の一例を示している。図1に示す軸受装置1は、自動車の駆動輪を回転自在に支持するハブベアリングである。軸受装置1は、車体(不図示)に固定される上記外側部材としての外輪2の内径部に2列の転動体(玉)3…を介して、ハブ輪4及び内輪部材5が一体に軸Lの回りに回転自在に支持されている。ハブ輪4は、不図示のドライブシャフトにスプライン嵌合される円筒状のハブ輪本体40と、ハブ輪本体40の車輪側一端部40aに外径側に延びるよう形成されたフランジ部41とを有し、フランジ部41に、不図示の駆動輪(タイヤホイール)がボルト42によって取付けられる。ハブ輪4と内輪部材5とにより上記内側部材となる内輪6が構成される。外輪2と内輪6との間には、転動体3…がリテーナ3aに保持された状態で、外輪2の外輪側軌道輪2aと、ハブ輪4及び内輪部材5の内輪側軌道輪4a,5aとを転動し得るように介装されている。転動体3…の介装部分を含む外輪2と内輪6との間が環状の被密封空間としての軸受空間Sとされ、この軸受空間Sには、転動体3…の転動を円滑にするための潤滑剤(例えば、グリース)が充填される。軸受空間Sの車体側端部と車輪側端部20における外輪2と内輪6との間には密封装置7,8がそれぞれ装着され、これら密封装置7,8が、軸受空間Sを密封する密封装置を構成する。密封装置7,8によって、軸受空間S内への泥水等の浸入が防止され、また、軸受空間S内に充填される潤滑剤(グリース等)の外部漏出が防止される。これら密封装置7,8のうち、車輪側の密封装置8に本実施形態に係る密封装置8Aが適用される。以下において、軸L方向に沿って車輪に向く側(図1において右側)を車輪側、車体に向く側(図1において左側)を車体側と言う。
密封装置8Aは、スリンガ部材9とシール部材12とを備えている。スリンガ部材9は、スリンガ10と第1シール体11とを備え、シール部材12は、芯体13と第2シール体14とを備えている。
図中、シール部113の2点鎖線部は圧縮前の原形状を示しており、シール部113の原形状は、シール体基部110の径方向内側の端部110aから軸方向外側に突出した形状である。よって、シール体基部110の径方向内側且つ軸方向外側の端部113aがフランジ部41の凹曲面部41aに弾接することでシール部113が圧縮され、図中の実線で示したように、シール部113は凹曲面部41aに沿った形状に変形する。
また以上のように芯体13は、スリンガ10の延出部102と径方向に重ならない位置に設けられ、第1ラジアルリップ114が、芯体13の円筒部130よりも、軸方向外側において、外輪2の内周面20aに弾接する。また第2アキシャルリップ141,142が、スリンガ10の円板部101に摺接する。したがって、第1ラジアルリップ114によって、芯体13の円筒部130と外輪2の内周面20aとの間に泥水等が浸入することを抑制できるとともに、芯体13の円板部131とスリンガ10の円板部101との間に泥水等が浸入することを抑制できる。
さらに以上のようにシール部材12に設けられた環状突部144は、外輪2の内周面20aと芯体13の第1傾斜部131eの外径面131gとの間で圧縮された状態で介在する。したがって、泥水等が外輪2の内周面20aと芯体13の円筒部130との嵌合部位に浸入することをこの環状突部144によって抑制できる。
次に、第2実施形態に係る密封装置8Bについて、図3を参照して説明する。なお、第1実施形態と共通する部分には、可能な限り同一の符号を付し、その構成及び作用・効果等の説明は省略する。
次に、第3実施形態に係る密封装置8Bについて、図4を参照して説明する。なお、第1実施形態、第2実施形態と共通する部分には、可能な限り同一の符号を付し、その構成及び作用・効果等の説明は省略する。
第1シール体11は、シール体基部110と、シール体基部110から延出された複数の第1アキシャルリップ111,112と、リップ形状のシール部113と、第1ラジアルリップ114と、覆い部115とを有している。第1アキシャルリップ111,112は、軸方向外側に延出し、フランジ部41のフランジ面41bに摺接し、シール部113は、第1アキシャルリップ111,112よりも径方向内側に位置し、軸方向外側に延出し、フランジ部41の凹曲面部41aに摺接するように形成されている。
また上記実施形態では、第1アキシャルリップ111,112と、第2アキシャルリップ141,142とがそれぞれ2個形成されているが、数はこれに限定されることはない。また、第1アキシャルリップ111,112は、フランジ部41のフランジ面41bに摺接しているが、フランジ部41に近接する態様であってもよい。同様に、第2アキシャルリップ141,142は、スリンガ10の円板部101の軸方向内側の面101bに摺接しているが、スリンガ10の円板部101に近接する態様であってもよい。さらに上記実施形態では、第1シール体11の第1ラジアルリップ114が外輪2の内周面20aもしくは、芯体13の円筒部130に弾接するよう形成されている例を説明しているが、近接するように形成されたものであってもよいし、第1ラジアルリップ114が形成されてなくてもよい。そのような場合であっても、第2アキシャルリップ141,142は、外方空間側からラビリンスRを通過して浸入してきた泥水等が軸受空間Sに浸入しようとすることを抑制する。なお、第1シール体11に第1ラジアルリップ114が形成されていない場合、ラビリンスRの径方向の隙間の幅が小さくなるように、スリンガ部材9が径方向外側に延出させて形成してもよい。そして上記実施形態では、第2ラジアルリップ143は、スリンガ10の円筒部100に摺接しているが、これに限定されず、ハブ輪本体40の外周面40bに直接摺接するようにしてもよい。
また上記第3実施形態では、第1シール体11のシール部113は、軸方向外側に延出するリップ形状としているが、第1実施形態、第2実施形態のような形状のシール部であってもよく、その他の形状であってもよい。
4 内側部材(ハブ輪)
40 ハブ輪本体
40b 外周面
41 フランジ部
8(8A,8B,8C) 密封装置
9 スリンガ部材
10 スリンガ
100 円筒部
100a 軸方向外側の端部
101 円板部
111,112 (第1)アキシャルリップ
Claims (5)
- 連続して拡径するフランジ部を有する内側部材と、前記内側部材に対して径方向外側に設けられる外側部材とを備え、前記内側部材及び前記外側部材が相対回転する機械装置に用いられ、前記外側部材と前記内側部材との間を密封し、前記内側部材に嵌合されるスリンガ部材を備えた密封装置において、
前記スリンガ部材は、
前記内側部材の外周面に嵌合される円筒部と、前記円筒部の軸方向外側の端部から径方向外側に延びるとともに前記フランジ部と軸方向に離間するように位置する円板部とを有するスリンガと、
前記円板部に固着されるとともに、前記フランジ部に近接又は摺接する複数のアキシャルリップとを備えていることを特徴とする密封装置。 - 請求項1において、
前記スリンガ部材には、前記アキシャルリップよりも径方向内側に位置するように前記円板部に固着されるとともに、前記フランジ部の凹曲面部に弾接するシール部が設けられていることを特徴とする密封装置。 - 請求項1又は請求項2において、
前記外側部材の内周面に嵌合される円筒部を有する芯体と、前記芯体に固着されるシール体とを備えたシール部材をさらに備え、
前記スリンガ部材は、
前記スリンガの前記円板部の外径側の端部から軸方向内側に延びる延出部と、前記延出部に固着され前記外側部材の内周面又は前記芯体の円筒部に近接又は摺接するラジアルリップとをさらに備えたことを特徴とする密封装置。 - 請求項3において、
前記芯体の前記円筒部は、前記スリンガの前記延出部と径方向に重ならない位置に設けられ、
前記芯体は、前記芯体の前記円筒部の軸方向外側の端部から径方向内側に延びるとともに、前記スリンガの前記円板部に近接又は摺接する第2アキシャルリップが固着された円板部をさらに備え、
前記ラジアルリップは、前記外側部材の内周面に近接又は摺接することを特徴とする密封装置。 - 請求項3又は請求項4において、
前記外側部材の内周面又は前記芯体の円筒部と前記スリンガの前記延出部との間には、外方空間に連通するラビリンスが構成されており、
前記ラジアルリップの先端は、前記外方空間側を指向するように延出していることを特徴とする密封装置。
Priority Applications (1)
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006234093A (ja) * | 2005-02-25 | 2006-09-07 | Nsk Ltd | 車輪支持用転がり軸受装置 |
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JP2017207166A (ja) * | 2016-05-20 | 2017-11-24 | 株式会社ジェイテクト | ハブユニット及びその製造方法 |
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