JP2020143213A - 焼成鉛筆芯及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成鉛筆芯の性能向上のために、曲げ強さを高く維持しつつ、筆記濃度が高い焼成鉛筆芯を提供する。【解決手段】黒鉛と、長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下であり、一般式TiOx(1<x<2)で表される低次酸化チタンとを含有する焼成鉛筆芯。【選択図】なし

Description

本発明は、着色成分と、有機結合材とを少なくとも含有する焼成鉛筆芯に関する。
従来、焼成鉛筆芯としては、黒鉛などの着色成分、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、ポリビニルアルコール、アクリルアミド樹脂、塩素化パラフィン樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、ブチルゴムなどの有機結合材、フタル酸エステルなどの可塑剤、メチルエチルケトン、水などの溶剤、ステアリン酸塩などの安定剤、ステアリン酸などの滑剤、カーボンブラックなどの充填材などの材料を混合して、分散、混練して、細線状に押出成形したものを焼成温度まで熱処理を施して得られた芯体に、シリコーン油、流動パラフィン、スピンドル油、スクワラン、α−オレフィンオリゴマーなどの油状物やワックス類を含浸させた焼成鉛筆芯が知られている。
また、かような焼成鉛筆芯に関して、曲げ強さや筆記濃度を高めるために、無機粒子を配合して補強する方法が報告されている。
特許文献1には、焼成芯体の材料に二酸化チタンウィスカーを配合することにより、押出成形時に配向した二酸化チタンウイスカーによって芯の曲げ強さを高めると共に、焼成時に適度な開気孔を形成し、高含浸量とした油脂類が黒鉛の表面を濡らして表面の光沢を打ち消し、また芯体の摩耗も促進させて多くの着色成分が紙面に載ることにより筆跡濃度が高い焼成鉛筆芯が得られる旨が開示されている。
また、特許文献2には、芯体中に無機板状粒子を含有させることによって、押出成形時の板状粒子によって芯の曲げ強さを高めると共に、筆記時にある程度の大きさを有する板状粒子が剥離する際に多くの摩耗粉を形成するために濃い筆跡を形成することができる焼成鉛筆芯が開示されている。
また、特許文献3には、六方晶窒化ホウ素の表面に低次酸化チタンが付着した複合体粒子を含有することで、濃い濃度と反射の少ない黒色の筆記線を得る方法が開示されている。
特開平3−259971号公報 特開2015−10157号公報 特許第6281700号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の発明のような無機粒子を配合した鉛筆芯では、黒色でない無機粒子を配合するために、濃く黒い筆跡を得ることに限界があった。
また、特許文献3に開示されているものでは、六方晶窒化ホウ素の表面に低次酸化チタンを被覆しても、筆記時にへき開するときに、低次酸化チタンで被覆していない六方晶窒化ホウ素の面(白色)が露出することとなり、筆記線の濃度を向上させることに限界があった。
そこで曲げ強さを高く維持しつつも、筆記濃度が高い焼成鉛筆芯が望まれていた。
本発明は、黒鉛と、長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下であり、一般式TiOx(1<x<2)で表される低次酸化チタンとを含有する焼成鉛筆芯を第1の要旨とし、二酸化チタンと塩基性有機化合物と水とを含有する二酸化チタン凝集物と、黒鉛と、有機結合材とを少なくとも配合し、混練、細線状に押出成形した後、焼成温度まで熱処理を施すことによって、二酸化チタンと塩基性有機化合物と水とを含有する二酸化チタン凝集物を崩壊させると共に二酸化チタンを還元低次化して、長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下であり、一般式TiOx(1<x<2)で表される低次酸化チタンとして芯体中に含有させる焼成鉛筆芯の製造方法を第2の要旨とする。
本発明の焼成鉛筆芯は、長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下の酸化チタンを含有することにより、高い曲げ強さが得られると共に、この薄片状の酸化チタンが、黒色顔料である低次酸化チタンであることによって、高い曲げ強さと濃く黒い筆跡を形成することが両立できるものである。
また、焼成鉛筆芯の配合材料として、二酸化チタンと塩基性有機化合物と水とを含有する二酸化チタン凝集物を使用し、混練、細線状に押出成形による剪断力にて二酸化チタン凝集物を層剥離させて崩壊させると共に、焼成による熱処理によって、層剥離した二酸化チタンを効率的に還元低次化して長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下の低次酸化チタンを焼成鉛筆芯内に配合することができる。
以下、本発明について詳述する。
黒鉛は、天然黒鉛または人造黒鉛を使用することができる。特に、結晶が発達し、へき開性の良好な天然黒鉛を使用することが好ましい。更に、発達した結晶が積層し、高いアスペクト比と平滑な表面構造を有する鱗片状の天然黒鉛を使用することがより好ましい。鱗片状の天然黒鉛は、押出成形にて細線状に芯体を成形する際に押出方向に配向して芯体の曲げ強さを向上させることができる。また優れたへき開性により、滑らかな運筆感と高い筆記濃度とを得ることができる。
具体的には、CPシリーズ、CBシリーズ、F#シリーズ(以上、日本黒鉛工業(株)製)、BFシリーズ、CPBシリーズ、SCシリーズ(以上、(株)中越黒鉛工業所製)、UFシリーズ、BFシリーズ(以上、富士黒鉛工業(株)製)などが挙げられる。
長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下であり、一般式TiOx(1<x<2)で表される低次酸化チタンは、二酸化チタンと塩基性有機化合物と水とを含有する二酸化チタン凝集物に剪断力をかけることによって凝集物を崩壊させると共に、900〜1100℃の熱処理を行うことで還元低次化させ酸化数xの値を、最も黒く明度の低い状態である1.50〜1.75の範囲に収めることができる。また、押出成形時に黒鉛と共に押出方向に配向し互いに積み重なった状態にし、芯体の高い曲げ強さを維持させるためには、長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下にすることが好ましい。さらにアスペクト比が25以上500以下にするとより、長径及び/又は短径よりも厚みが小さくなり、黒鉛との配向が良くなるのでより好ましい。
尚、二酸化チタン及び低次酸化チタンの厚みはc軸方向の長さとし、c軸(厚み方向)に垂直な平面(a軸とb軸とで構成される平面)の最長径を長径、最短径を短径とし、その平面をベーサル面とする。また長径を厚みで除した値をアスペクト比とする。また低次酸化チタンの酸化数xについては、X線光電子分光法を用いて測定することができる。
前記二酸化チタン凝集物とは、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型、レピドクロサイト型、またはそれらの混合結晶型をした二酸化チタン(TiO)が、a軸及びc軸方向に二次元的に広がることにより1つの層を形成し、その二酸化チタン層がc軸方向に何層にも積み重なった構造を呈しており、その二酸化チタンの表面および層間に塩基性有機化合物と水とが少なくとも存在している凝集物をいう。
前記塩基性有機化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、ブチルアミン、ステアリルアミンなどのアルキルアミン化合物、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンなどのアルカノールアミン化合物、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムなどの水酸化4級アンモニウム化合物などを用いることができる。特にアルキルアミン化合物を用いることが好ましい。アルキルアミン化合物の窒素原子の非共有電子対が、二酸化チタン凝集物を構成する二酸化チタン層のチタン原子の空軌道に配位するので、アルキルアミン化合物の分子が二酸化チタン層に対して垂直に立ちやすくなる。これが各層間で起こり、アルキルアミン化合物が有するアルキル基が層間の内側を向いて立ち並んだ構造となり、層間をより大きく膨潤させることができる。
またアルキルアミン化合物と同時に進入する水分子は、チタン原子及びアミノ基の水素に配位して、アルキルアミン化合物分子を電子的に大きく分極させる。このためアルキルアミン化合物のアルキル基は電子が欠乏した状態となり、プラスの電荷を帯びやすく、アルキル基同士で電気的な反発が生じ、層間で剥離しやすくなる。
更に、アルキルアミン化合物が、1級アミンのn−プロピルアミンであると、嵩が小さいので層間に進入しやすくなる。またn−プロピルアミンが有するアルキル基は、直鎖で分子鎖が短いため、適度な層間の膨潤効果と分子内分極とを生じさせやすいため好ましい。
塩基性有機化合物の配合量は、二酸化チタン中のチタン原子に対して塩基性有機化合物が0.1〜1.0当量とすることが好ましい。0.1当量未満では、二酸化チタン凝集物の層間を十分に膨潤しにくいことがある、また、1.0当量を超えると水分子による塩基性有機化合物の分子内分極が起こりにくくなって、二酸化チタンが層間で剥離しにくくなることがあると共に、剥離した二酸化チタンが再凝集しやすくなる傾向がある。尚、二酸化チタンと塩基性有機化合物と水との混合比については、熱重量分析と、無機酸による中和滴定を行うことにより確認できる。例えば、二酸化チタンとn−プロピルアミンと水とで構成された二酸化チタン凝集物では、示差熱・熱重量分析装置を用いて不活性雰囲気中で300℃までの熱重量減少を計測する。次に塩酸、硫酸などの無機酸を用いて、二酸化チタン凝集物の水分散液を中和滴定してn−プロピルアミンの含有量を算出し、熱重量分析で得られた重量減少量からn−プロピルアミンの含有量を引き、水の含有量を算出することで二酸化チタンと塩基性有機化合物と水との混合比が得られる。
この長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下であり、一般式TiOx(1<x<2)で表される低次酸化チタンは、黒色であると共に、特定の薄片状を有していることによって、焼成鉛筆芯の曲げ強さを高いものとすることができるが、焼成鉛筆芯中における割合が多過ぎると、相対的に自己劈開成分である黒鉛の量が少なくなることもあり、焼成鉛筆芯の自己摩耗性を阻害する可能性があるので、濃い筆跡が得られにくい場合があり、焼成鉛筆芯全量に対して70重量%以下であることが好ましい。焼成後の鉛筆芯における重量割合を正確に求めることは困難であるが、当該低次酸化チタンを焼成前の配合物として上述の二酸化チタン凝集物として配合する場合、黒鉛の配合量に対して1重量%以上80重量%以下とすることで、焼成後の鉛筆芯中にて概ね70重量%以下となり、黒鉛の自己劈開性が十分に生かされて濃い筆跡を形成しやすくなる。
本発明で使用する二酸化チタン凝集物は、二酸化チタンを塩基性有機化合物水溶液で処理することで得ることができる。
以下、前記二酸化チタンと二酸化チタン凝集物の製造方法を詳述する。
<二酸化チタンの製造方法>
二酸化チタンの製造方法は、特開2006−257179号公報及び/又は特開2013−184883号公報に記載された製造方法が例示できる。
二酸化チタンの製造方法は、まず、二種類のアルカリ金属酸化物と、二酸化チタンとを混合し、1050〜1200℃で焼成することによりチタン酸金属塩を得る。アルカリ金属酸化物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの酸化物が使用できる。二種類のアルカリ金属酸化物の混合比は、アルカリ金属酸化物(MOとM’O)に含まれるアルカリ金属原子(MおよびM’)と二酸化チタン中のチタン原子がモル比でM/M’/Ti=3/1/7から3/1/10とすることが好ましい。また前記アルカリ金属酸化物は、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩などを加熱し精製して得られたアルカリ金属酸化物を使用しても良い。また、前記二酸化チタンは、メタチタン酸やオルトチタン酸などの有機チタン化合物などを加熱し精製して得られた二酸化チタンを使用しても良い。
前記チタン酸金属塩は、複数のチタン酸金属塩が重なり合う層状構造を有しており、その層間にはアルカリ金属イオンが存在している。このアルカリ金属イオンは活性であるため、酸水溶液で処理することにより、アルカリ金属イオンを水素イオンで容易に置換することができ、イオン交換水で余分な酸を洗浄・除去することによりチタン酸塩の水分散液が得られる。このチタン酸塩は、TiO八面体が稜共有してa軸及びc軸方向に二次元的に広がることにより層状構造を形成し、c軸方向に何層にも積層する構造を構成する。アルカリ金属イオンを置換する酸水溶液としては、塩酸、硫酸などの無機酸水溶液や、酢酸、シュウ酸などの有機酸水溶液を使用することができる。6規定より濃い酸水溶液を用いるとチタン酸塩の層状構造が壊れてしまうため、6規定以下の酸水溶液を使用することが好ましい。さらに1規定〜3規定の酸水溶液を使用するとチタン酸塩の層状構造が安定するので好ましい。また酸水溶液の処理方法としては、ブフナー漏斗などの吸引ろ過器を使用し、常に新しい酸水溶液を滴下しながら処理を行うことが好ましい。
前記工程で得られたチタン酸塩の水分散液に塩基性有機化合物を添加し、チタン酸塩の層間を膨潤させ、そのチタン酸塩の水分散液にせん断力をかけることにより、層状構造を有するチタン酸塩の層間で剥離させ、薄片状のチタン酸塩水分散液とする。チタン酸塩水分散液にせん断力をかける装置は特に限定されないが、従来公知のホモミキサーやホモジナイザーなどを用いることができる。処理時間は1〜12時間とすることが好ましい。またチタン酸塩水分散液の温度が上昇する場合は、必要に応じて冷却し、温度を10〜40℃になるようにすることで、必要な形状の薄片状チタン酸塩を効率よく得ることができるので好ましい。温度が10℃未満であると水分散液中のチタン酸塩に過度のせん断力がかかり、得られる薄片状のチタン酸塩の長径が小さくなる。また、40℃より高い温度であると水分散液中のチタン酸塩に十分なせん断力がかかりにくくなり、チタン酸塩の層間での剥離が不十分となることがあり、薄片状のチタン酸塩が少ない水分散液となることがある。
次に、薄片状のチタン酸塩をイオン交換水にて余分な塩基性有機化合物を除去した後、遠心分離やろ過を行い、薄片状のチタン酸塩が得られる。また薄片状のチタン酸塩水分散液を凍結乾燥し、真空下で氷を昇華させることにより、薄片状のチタン酸塩を得ても良い。
薄片状のチタン酸塩を焼成処理し、薄片状の二酸化チタンへと変化させることで、焼成鉛筆芯の製造工程で薄片状のc軸方向から圧力を加えられた場合にも薄片状の形状を維持する粒子とすることができる。薄片状の二酸化チタンは、ほぼすべてのチタン原子と酸素原子とが共有結合しているため、ある程度の外力が加わっても層状構造を保つことができる。焼成処理は、大気中または酸素含有雰囲気にて、処理温度550〜650℃で、4〜7時間程度実施することで、好ましい強度と層剥離強度を備えた薄片状の二酸化チタンを得ることができるので好ましい。550℃未満では、薄片状のチタン酸塩が薄片状の二酸化チタンへの変化が不十分となる場合があり、収率が十分ではないことがある。また、650℃よりも高い処理温度では、薄片状の二酸化チタン同士での焼結が起こりやすくなり、粒子の形状が薄片状ではなく厚みを持つようになるので、押出成形時に黒鉛の配向を乱し、曲げ強さを維持されにくくなる恐れがある。焼成処理は、例えば、ロータリーキルン、トンネルキルンなどの撹拌しながら焼成処理が可能な装置を使用すれば良い。
次に、薄片状の二酸化チタンを、ハンマーミル、サンドミル、ピンミルなどの衝撃粉砕機、解砕機などの摩砕粉砕機、ジェットミルなどの気流粉砕機などを使用して、長径の平均値が10〜50μm、厚みの平均値が0.1〜2.0μmになるように条件を調整し粉砕する。
<二酸化チタン凝集物の製造方法>
前記薄片状の二酸化チタンを塩基性有機化合物の水溶液中で撹拌し、遠心分離またはろ過により余剰の液体分を除去した後、イオン交換水で洗浄して余剰の塩基性有機化合物を除去する。その後、遠心分離機またはろ過器で固液分離処理を行い、凍結乾燥させ、薄片状の二酸化チタンの表面及び層間に塩基性有機化合物と水とを存在させた二酸化チタン凝集物を得る。得られた二酸化チタン凝集物が2次凝集で不適な粒子径になる場合は、衝撃粉砕機、摩砕粉砕機、気流粉砕機などを使用して目的の粒子径に粉砕しても良い。
水溶液中の塩基性有機化合物の濃度は、二酸化チタン中のチタン原子に対して0.1〜1.0当量とすることが好ましい。0.1当量未満であると、二酸化チタンの層間の膨潤が不十分な場合があり、焼成鉛筆芯の製造工程でせん断力をかけても、厚さ方向が十分に薄片状とならない粒子が多くなる可能性がある。また、1.0当量より多いと、薄片状の状二酸化チタンが凝集しやすくなる傾向があり不適な粒子径の粒子が増加する可能性がある。
有機結合剤は、黒鉛と低次酸化チタンとを含む焼結後の材料の材料を結合させる配合材料として用いることができる。
有機結合材は、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニルなどのポリハロゲン化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンなどのポリハロゲン化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリ酪酸ビニルなどのポリカルボン酸ビニル、ポリ硝酸ビニル、ポリスルホン酸ビニル、ポリアルキルスルホン酸ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアミドイミド、塩素化パラフィン、ポリエーテルエーテルケトン、フラン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ブチルゴムなどが使用できる。これらの有機結合材は、1種または2種以上を組み合わせても良い。特に、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ酪酸ビニルなどの熱可塑性樹脂は加工性に富み、安価でかつ供給も安定しているため好ましい。
これらの他に必要に応じて可塑剤、溶剤、安定剤、滑剤、充填剤、無機粒子などの添加剤を使用しても良い。
可塑剤は、押出成形機での成形性を良くする目的で使用でき、具体的には、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリクレジル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、アジピン酸ジオクチル、プロピオンカーボネートなどが使用できる。
溶剤は、有機結合剤の二酸化チタン凝集物や黒鉛に対する濡れ性を向上させ、二酸化チタン凝集物や黒鉛と有機結合剤との混錬性を向上させる目的で使用でき、具体的には、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのアルコール類、水などが使用できる。
安定剤は、製造工程中での有機結合剤の熱劣化を抑制する目的で使用でき、具体的には、ステアリン酸塩、アルキル錫化合物、アルキルバリウム/亜鉛化合物、アルキルカルシウム/亜鉛化合物などが使用できる。
滑剤は、混合機や混錬機、成形機からの配合材料の離形性を高める目的で使用でき、具体的には、ステアリン酸、ベヘニン酸などの脂肪酸類や脂肪酸アマイド類が使用できる。
充填剤は、芯の割れや膨れ、外径真円度などの芯の外観品質やシャープペンシルのチャック耐圧を高める目的で使用でき、具体的には、ケイ素、ホウ素、鉄、アルミニウム、亜鉛などの金属酸化物や窒化物や炭化物、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、炭素繊維などが使用できる。
これら添加剤は、1種または2種以上を必要に応じて選択して使用できれば良い。
本発明における焼成鉛筆芯は、前記二酸化チタン凝集物と、黒鉛と、有機結合材と、必要に応じて添加剤を配合し、ヘンシェルミキサーやニーダーなどの分散機で混合し、3本ロールにて混練し、細線状に押出成形し、不活性ガス雰囲気で室温から300℃前後までの熱処理を施し、最終的に密閉容器中で800〜1300℃まで熱処理を施して製造する。
また、長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下の低次酸化チタンは、圧力0.5MPa以上4.0MPa以下、温度80℃以上120℃以下に処理条件を設定した3本ロールを使用して、0.5時間以上2.5時間以下で混練することによって得られる。
<実施例>
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<二酸化チタン凝集物A〜Sの作製>
(1)酸化チタン(IV)アナターゼ型(二酸化チタン、富士フィルム和光純薬(株)製)100gと、塩化カリウム(富士フィルム和光純薬(株)製)75gと、炭酸リチウム(富士フィルム和光純薬(株)製)9gとを自動乳鉢にて30分間混合し、二酸化チタンと塩化カリウムと炭酸リチウムとの混合物を得た。
(2)得られた二酸化チタンと塩化カリウムと炭酸リチウムとの混合物の全量を、大気中で温度1100℃に設定した焼成炉で5時間熱処理し、チタン酸リチウムカリウム(K0.8Li0.2Ti1.73)183gを得た。
(3)得られたチタン酸リチウムカリウムの全量を、自動乳鉢で30分間粉砕し、チタン酸リチウムカリウム粉末を得た。
(4)2mol/l塩酸(富士フィルム和光純薬(株)製)100mlに、得られたチタン酸リチウムカリウム粉末の全量を懸濁させ、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過をしつつ、漏斗上部から2mol/l塩酸(富士フィルム和光純薬(株)製)500mlを滴下して、チタン酸リチウムカリウムのリチウムイオンとカリウムイオンを水素イオンに交換したチタン酸粉末(H3.2/3Ti1.2/3・2HO)180gを得た。
(5)イオン交換水1500mlに、得られたチタン酸粉末の全量を添加し、ホモミクサーMARK II2.5型(ホモミキサー、プライミクス(株)製)を使用して、液温を25℃に保ちながら、撹拌・分散しつつ、1−プロプルアミン99+%(n−プロピルアミン、富士フィルム和光純薬(株)製)5.3gを滴下し、その後4時間攪拌・分散し、チタン酸の分散液を得た。
(6)得られたチタン酸の分散液の全量を、凍結乾燥させた後、真空下で氷を昇華させチタン酸粉末を得た。
(7)得られたチタン酸粉末の全量を、大気中で温度600℃に設定したロータリーキルン炉で5時間熱処理して二酸化チタン粉末176gを得た。
(8)得られた二酸化チタン粉末の全量を、ジェットミルで処理し、ジェットミルで処理後の二酸化チタン粉末の全量を、1−プロプルアミン99+%(n−プロピルアミン、富士フィルム和光純薬(株)製)5.0gと共に、イオン交換水1200mlに添加し、汎用攪拌機BL300(プロペラ撹拌機、新東科学(株)製)で2時間撹拌して二酸化チタンの分散液を得た。
(9)得られた二酸化チタンの分散液を、ブフナー漏斗で吸引ろ過しつつ、漏斗上部よりイオン交換水を滴下して洗浄し、凍結乾燥させて、二酸化チタン凝集物A〜Sを得た。
二酸化チタン凝集物A〜Sは、凝集物を構成する二酸化チタン粒子の長径の平均値と短径の平均値と厚みの平均値を調整するために、作製工程(5)で使用したホモミキサーの回転数と、作製工程(8)で使用したジェットミルの処理時間を、それぞれ適宜変化させた。ホモミキサーの回転数とジェットミルの処理時間と、二酸化チタン凝集物の長径の平均値と短径の平均値と厚みの平均値とアスペクト比を表1に示す。
また二酸化チタン凝集物A〜Sのn−プロピルアミンの含有量は、二酸化チタンのチタン原子に対して0.5当量であることを1mol/l塩酸(富士フィルム和光純薬(株)製)による中和滴定により確認し、水の含有量は、8重量%であることを示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6300((株)日立ハイテクノロジーズ製)により確認した。
Figure 2020143213
<二酸化チタン粉末Tの作製>
(1)酸化チタン(IV)アナターゼ型(二酸化チタン、富士フィルム和光純薬(株)製)100gと、塩化カリウム(富士フィルム和光純薬(株)製)75gと、炭酸リチウム(富士フィルム和光純薬(株)製)9gとを自動乳鉢にて30分間混合し、二酸化チタンと塩化カリウムと炭酸リチウムとの混合物を得た。
(2)得られた二酸化チタンと塩化カリウムと炭酸リチウムとの混合物の全量を、大気中で温度1100℃に設定した焼成炉で5時間熱処理し、チタン酸リチウムカリウム(K0.8Li0.2Ti1.73)183gを得た。
(3)得られたチタン酸リチウムカリウムの全量を、自動乳鉢で30分間粉砕し、チタン酸リチウムカリウム粉末を得た。
(4)2mol/l塩酸(富士フィルム和光純薬(株)製)100mlに、得られたチタン酸リチウムカリウム粉末の全量を懸濁させ、ブフナー漏斗を用いて吸引ろ過をしつつ、漏斗上部から2規定の塩酸500mlを滴下して、チタン酸リチウムカリウムのリチウムイオンとカリウムイオンを水素イオンに交換したチタン酸粉末(H3.2/3Ti1.2/3・2HO)180gを得た。
(5)イオン交換水1500mlに、得られたチタン酸粉末の全量を添加し、毎分1500回転に設定したホモミクサーMARK II2.5型(ホモミキサー、プライミクス(株)製)を使用して、液温を25℃に保ちながら4時間攪拌・分散し、チタン酸の分散液を得た。
(6)得られたチタン酸の分散液の全量を、凍結乾燥させた後、真空下で氷を昇華させチタン酸粉末を得た。
(7)得られたチタン酸粉末の全量を、大気中で温度600℃に設定したロータリーキルン炉で5時間熱処理して二酸化チタン粉末176gを得た。
(8)得られた二酸化チタン粉末の全量を、ジェットミルで120分間処理し、二酸化チタン粉末Tを得た。
前記二酸化チタン粉末Tの長径の平均値は37μm、厚みの平均値は0.6μm、アスペクト比は61.7であった。またn−プロピルアミンの含有量は、二酸化チタンのチタン原子に対して0当量(存在しない)であることを1mol/l塩酸(富士フィルム和光純薬(株)製)による中和滴定により確認し、水の含有量は、0重量%(存在しない)であることを示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6300((株)日立ハイテクノロジーズ製)により確認した。
<二酸化チタン凝集物Uの作製>
前記二酸化チタン粉末Tを、イオン交換水1200mlに添加し、汎用攪拌機BL300(プロペラ撹拌機、新東科学(株)製)で2時間撹拌して二酸化チタンの分散液を得た。次に、得られた二酸化チタンの分散液を、ブフナー漏斗で吸引ろ過しつつ、漏斗上部よりイオン交換水を滴下して洗浄し、凍結乾燥させて、二酸化チタン凝集物Uを得た。
二酸化チタン凝集物Uの長径の平均値は37μm、厚みの平均値は0.6μm、アスペクト比は61.7であった。またn−プロピルアミンの含有量は、二酸化チタンのチタン原子に対して0当量(存在しない)であることを1mol/l塩酸(富士フィルム和光純薬(株)製)による中和滴定により確認し、水の含有量は、10重量%であることを示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6300((株)日立ハイテクノロジーズ製)により確認した。
<二酸化チタン凝集物Vの作製>
前記二酸化チタン粉末Tを、1−プロプルアミン99+%(n−プロピルアミン、富士フィルム和光純薬(株)製)5.0gと共に、メチルエチルケトン(富士フィルム和光純薬(株)製)1200mlに添加し、汎用攪拌機BL300(プロペラ撹拌機、新東科学(株)製)で2時間撹拌して二酸化チタンの分散液を得た。次に、得られた二酸化チタンの分散液を、ブフナー漏斗で吸引ろ過しつつ、漏斗上部より前記メチルエチルケトンを滴下して洗浄し、凍結乾燥させて、二酸化チタン凝集物Vを得た。
二酸化チタン凝集物Vの長径の平均値は37μm、厚みの平均値は0.6μm、アスペクト比は61.7であった。またn−プロピルアミンの含有量は、二酸化チタンのチタン原子に対して0.5当量であることを1mol/l塩酸(富士フィルム和光純薬(株)製)
による中和滴定により確認し、水の含有量は、水は0重量%(存在しない)であることを示差熱熱重量同時測定装置TG/DTA6300((株)日立ハイテクノロジーズ製)により確認した。
<六方晶窒化ホウ素表面を低次酸化チタンで被覆した複合体粒子Wの作製>
窒化ホウ素HP−1(六方晶窒化ホウ素、平均粒子径10μm、水島合金鉄(株)製)50gと、チタン系黒色顔料Tilack D(低次酸化チタン、平均粒子径1μm、赤穂化成(株)製)30gとを自動乳鉢にて1時間混合し、六方晶窒化ホウ素表面を低次酸化チタンで被覆した複合体粒子Wを得た。低次酸化チタンの被覆率は70%であった。
<実施例1>
二酸化チタン凝集物A 10重量部
鱗片状黒鉛 40重量部
ポリ塩化ビニル 50重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸(富士フィルム和光純薬(株)製) 2重量部
メチルエチルケトン(富士フィルム和光純薬(株)製) 10重量部
上記配合材料を、ニーダーで混合した後、3本ロールにより混練して、二酸化チタン凝集物の長径の平均値、短径の平均値、厚みの平均値を調整した。次いで細線状に押出成形し、大気中で温度350℃まで加熱し、更に、窒素ガス雰囲気中で温度1000℃にて熱処理をすることで還元低次化して、低次酸化チタンを含有する呼び径0.5の焼成芯体を得た。この焼成芯体を温度100℃に加熱した流動パラフィン中に10時間浸漬後、表面の余分な流動パラフィンを除去して焼成鉛筆芯を得た。
<実施例2〜31>
実施例2〜31は、表2〜4に示す配合材料と配合量に変更した以外は、実施例1と同様にして焼成鉛筆芯を得た。尚、配合量の単位は重量部である。
<比較例1〜3>
比較例1〜3は、表5に示す配合材料と配合量に変更した以外は、実施例1と同様にして焼成鉛筆芯を得た。尚、配合量の単位は重量部である。
<比較例4>
鱗片状黒鉛 40重量部
ポリ塩化ビニル 50重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸(富士フィルム和光純薬(株)製) 2重量部
メチルエチルケトン(富士フィルム和光純薬(株)製) 10重量部
上記配合材料を、ニーダーで混合した後、3本ロールにより混練した。次いで細線状に押出成形し、大気中で温度350℃まで加熱し、更に、窒素ガス雰囲気中で温度1000℃にて熱処理をすることで、呼び径0.5の焼成芯体を得た。この焼成芯体を温度100℃に加熱した流動パラフィン中に10時間浸漬後、表面の余分な流動パラフィンを除去して焼成鉛筆芯を得た。
<比較例5〜11>
比較例5〜11は、表5に示す配合材料と配合量に変更した以外は、比較例4と同様にして焼成鉛筆芯を得た。尚、配合量の単位は重量部である。
<低次酸化チタンの長径、短径、厚みの測定>
(1)集束イオンビーム/電子ビーム 複合ビーム加工観察装置JIB−4600F(日本電子(株)製)を用いて、集束イオンビームの加速電圧を1.0kVに設定し、焼成鉛筆芯の長手方向の表面に、Gaイオンを12時間照射し、表面にある樹脂炭化物を除去させ、黒鉛粒子と低次酸化チタン粒子を露出された。
(2)前記複合ビーム加工観察装置JIB−4600Fを用いて、露出させた黒鉛粒子と低次酸化チタン粒子をX線分析し、低次酸化チタン粒子を特定した。
(3)特定した低次酸化チタン粒子を、JIS Z 8819−2:2001に準じて、前記複合ビーム加工観察装置JIB−4600Fを用いて得られる二次電子像から、無作為に低次酸化チタン粒子500個を選択し、各粒子について長径、短径、厚みを測定し、個数基準頻度から計算される算術平均粒子径を平均値とし、また長径の平均値を厚みの平均値で除した値をアスペクト比とした。
<低次酸化チタンの酸化数xの測定>
酸化数xの測定は、X線光電子分光装置AXIS ULTRA((株)島津製作所製)を用いて、焼成鉛筆芯の断面に軟X線(AlKa線)を照射し、検出される光電子ピークよりチタン原子と酸素原子を特定し、そのピーク比より酸化数xを算出した。
<曲げ強さの測定>
曲げ強さは、JIS S 6005:2013に準じて10本測定し、その平均値を各実施例と各比較例の芯の曲げ強さとした。
<筆記濃度(1)の測定>
筆記濃度(1)は、JIS S 6005:2013に準じて5本測定し、その平均値を各実施例と各比較例の筆記濃度(1)とした。
<筆記濃度(2)の測定>
筆記濃度(2)は、JIS S 6005:2013における画線のピッチ幅(A法)を0.5mmから0.3mmに変え、得られた画線部を分光色差計SE6000(日本電色工業(株)製)を用いて、Y値を5点測定し、その平均値を各実施例と各比較例の筆記濃度(2)とした。
測定結果を、表6に示す。
Figure 2020143213
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一般的にシャープペンシルに使用される焼成鉛筆芯の曲げ強さは、350MPa以上であれば実用上問題がないとされている。またJIS S 6005:2013(表4)において、硬度HBの筆記濃度は、0.25D〜0.42Dと規定されている。本発明における焼成鉛筆芯の筆記濃度は、曲げ強さが350MPa以上の時、0.40D以上あれば、実用的な曲げ強さと濃い筆記濃度とを兼ね備えた焼成鉛筆芯であるといえる。更に、筆記濃度が、0.60D以上であると非常に濃い筆記線が得られる焼成鉛筆芯であるといえ、この非常に濃い筆記線が得られる焼成鉛筆芯は、筆記圧をかけずとも濃い筆記濃度が得られるので特に優れているといえる。また、濃く黒いほど筆記濃度Dの値は高くなるが、光沢のある筆記線でも筆記濃度Dは高い値となる。そこでY値を測定し、反射が少なく明度が低い筆記線かを評価した。筆記濃度Dが高く、且つY値が小さいほど濃く黒い筆跡となる。
実施例1〜31は、長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下であり、一般式TiOx(1<x<2)で表される低次酸化チタンと、黒鉛とが少なくとも芯体内に存在することで、比較例1〜11にある従来の焼成鉛筆芯と比較して、高い曲げ強さと濃く黒い筆記濃度とを兼ね備えた焼成鉛筆芯が得られている。
具体的には、二酸化チタン凝集物A〜Sを使用することで、混練や細線状に押出成形での剪断力にて、二酸化チタン凝集物A〜Sを層剥離させ、熱処理によって層剥離した二酸化チタン凝集物A〜Sを効率的に還元低次化することで、長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下の低次酸化チタンとなり、二酸化チタン凝集物A〜Sを使用していない比較例1〜11と比較して、高い曲げ強さを維持し、濃く黒い筆記濃度とを有する焼成鉛筆芯が得られている。
また実施例1〜31の二酸化チタン凝集物A〜Sは、二酸化チタンと塩基性有機化合物と水とで構成されているのに対し、比較例1〜3では、二酸化チタンの層間に塩基性有機化合物及び/又は水が存在していないため、二酸化チタンの層間が十分に膨潤せず、混練や細線状に押出成形で剪断力がかかっても、二酸化チタンの層剥離が起こらず、厚みが0.430μm以上の低次酸化チタンとなり、黒鉛の配向が乱れて曲げ強さが低下するとともに、熱処理時に二酸化チタンの層間が焼結し、芯体の摩耗が抑制され、筆記濃度が低い焼成鉛筆芯となっている。また比較例5〜7は、二酸化チタンウィスカーや不定形酸化チタンの平均粒子径が小さいために凝集しやすく、熱処理時に焼結するため芯体の摩耗が抑制され、還元低次化しても筆記濃度が低い焼成鉛筆芯となっている。

Claims (2)

  1. 黒鉛と、長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下であり、一般式TiOx(1<x<2)で表される低次酸化チタンとを含有する焼成鉛筆芯。
  2. 二酸化チタンと塩基性有機化合物と水とを含有する二酸化チタン凝集物と、黒鉛と、有機結合材とを少なくとも配合し、混練、細線状に押出成形した後、焼成温度まで熱処理を施すことによって、二酸化チタンと塩基性有機化合物と水とを含有する二酸化チタン凝集物を崩壊させると共に二酸化チタンを還元低次化して、長径が1.0μm以上10.0μm以下、短径が0.5μm以上3.0μm以下で、且つ、アスペクト比が1以上500以下であり、一般式TiOx(1<x<2)で表される低次酸化チタンとして芯体中に含有させる焼成鉛筆芯の製造方法。
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