JP2020142544A - 電車線路用架線の吊架装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コイルばねとロッドあるいはシリンダとの接触を防止できるダンパ機能を備えた架線の吊架装置を提供する。【解決手段】吊架装置1は、上端側が架線M1に連結されるケーシング2、これに昇降自在に挿入され上端に摩擦部材4を備え開口8aを貫通した下端が架線M2に連結されるロッド3、ケーシング2内で上端がばねガイド9を介して摩擦部材4に係止され、下端がばねガイド10に係止される圧縮コイルばね5a、ケーシング2内で、上端がばねガイド10に係止され下端がばねガイド11を介してふた8に係止される圧縮コイルばね5bを具備する。ばね5a,5bは、ばねガイド9,10,11により、ケーシング2又はロッド3に接触しないように保持される結果、製品の短命化を防止でき、安定した制振性能が得られる。【選択図】図2
Description
本発明は、吊架線又は補助吊架線の下に、電車のパンタグラフが摺動するトロリ線を吊り持つ電車線の吊架方式架線構造に用いられる架線の吊架装置に関するものである。
電車線の吊架方式架線構造では、吊架線から垂下するハンガイヤーと称される吊架装置により、電車のパンタグラフが摺動するトロリ線が吊支される。吊架装置は、延線方向の所定の間隔、例えば約5mおきに設けられ、これにより、トロリ線をレールにほぼ平行になるように吊っている。このような架線構造においては、パンタグラフの通過時のトロリ線の振動がトロリ線とパンタグラフとの間の離線発生の原因となる。トロリ線の振動を抑制することは、トロリ線とパンタグラフ間の離線を低減し、電車の集電性能の向上に寄与し、またトロリ線の波状摩耗の発生防止にも効果があることが知られている。特に高速運転の場合、トロリ線の振動を抑制することは重要である。
従来、トロリ線の振動に対してばね圧と摩擦抵抗とによるダンパ機能を持つ防振型のトロリ線吊架装置が知られている(特許文献1)。この架線構造では、補助吊架線に吊られるシリンダ内に、ピストン(可動部材)とばねとが挿入される。ピストンは、シリンダの軸線方向にばね圧を受ける。シリンダとの摩擦抵抗による振動吸収機能を持つ摩擦部材が、ピストンに付設される。ピストンロッドにトロリ線が結合され、補助吊架線の下方にトロリ線が吊られる。
従来、トロリ線の振動に対してばね圧と摩擦抵抗とによるダンパ機能を持つ防振型のトロリ線吊架装置が知られている(特許文献1)。この架線構造では、補助吊架線に吊られるシリンダ内に、ピストン(可動部材)とばねとが挿入される。ピストンは、シリンダの軸線方向にばね圧を受ける。シリンダとの摩擦抵抗による振動吸収機能を持つ摩擦部材が、ピストンに付設される。ピストンロッドにトロリ線が結合され、補助吊架線の下方にトロリ線が吊られる。
上記従来のトロリ線吊架装置の実施品における圧縮コイルばねは、特許文献1に図示されるものよりばね径が大きく、その自由長さとコイル平均径との比が過大となるため、圧縮された際に座屈して外周がシリンダの内周に接触し、この接触の繰り返しにより、ばねが設計寿命より早く折損するおそれがある。またシリンダの内周や、ピストンの外周に付着した金属摩耗粉が部材の摩耗を助長し、それにより減衰性能の不安定化、製品寿命の短縮化を招く。また、装置の組み立て時に、圧縮ばねが偏って、シリンダ内周やロッドの外周と接触し、あるいは圧縮時の接触の仕方が個体毎に異なって、安定した性能が得られないという問題点がある。
従って、本発明は、圧縮コイルばねとロッドあるいはシリンダとの接触を有効に防止することができるダンパ機能を備えた架線の吊架装置を提供することを目的としている。
従って、本発明は、圧縮コイルばねとロッドあるいはシリンダとの接触を有効に防止することができるダンパ機能を備えた架線の吊架装置を提供することを目的としている。
以下、図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。上記課題を解決するための、本発明の吊架装置1は、下端側に開口8aを有するふた8を具備し、上端側が上方架線M1に連結されるケーシング2と、ケーシング2内に上下方向に相対移動自在に挿入され、上端側にケーシング2の内面を摺動する摩擦部材4を備え、下端側が開口8aを自在に貫通して下方へ延出し、下端が下方架線M2に連結されるロッド3と、ケーシング2内においてロッド3の外周側に挿入され、上端が上部ばねガイド9を介して摩擦部材4の下部に係止され、下端が中間ばねガイド10に係止される上部圧縮コイルばね5aと、ケーシング2内においてロッド3の下部外周側に挿入され、上端が中間ばねガイド10に係止され、下端が下部ばねガイド11を介してふた8に係止される下部圧縮コイルばね5bとを具備する。上部ばねガイド9は、上面が摩擦部材4の下面に当接し下面に上部圧縮コイルばね5aの上端が当接する上端フランジ9aと、上部圧縮コイルばね5aのコイル内に嵌合する下向きのガイド突起9bと、ロッド3を貫通させる挿通孔9cとを具備する。中間ばねガイド10は、上部圧縮コイルばね5aのコイル内に嵌合する上向きのガイド突起10aと、上面に上部圧縮コイルばね5aの下端が当接し下面に下部圧縮コイルばね5bの上端が当接する中間フランジ10bと、下部圧縮コイルばね5bのコイル内に嵌合する下向きのガイド突起10cと、ロッド3を貫通させる挿通孔10dとを具備する。下部ばねガイド11は、下面がふた8の上面に当接し上面に下部圧縮コイルばね5bの下端が当接する下端フランジ11aと、下部圧縮コイルばね5bのコイル内に嵌合する上向きのガイド突起11bと、ロッド3を貫通させる挿通孔11cとを具備する。上部圧縮コイルばね5a、下部圧縮コイルばね5bは、上部ばねガイド9、中間ばねガイド10、下部ばねガイド11により、圧縮時にケーシング2の内周又はロッド3の外周に接触しないように保持される。
本発明に係る電車線路用架線の吊架装置によれば、上部圧縮コイルばね5a、下部圧縮コイルばね5bが、上部ばねガイド9、中間ばねガイド10、下部ばねガイド11により、圧縮時にケーシング2の内周又はロッド3の外周に接触しないように保持される結果、製品の予期しない短命化を防止できると共に、安定した制振性能が得られる。
本発明に係る吊架装置の実施の一形態を図面について説明する。
図2において、吊架方式架線構造おける吊架線M1と補助吊架線M2との間に吊架装置1が介設される。この吊架方式においては、補助吊架線M2の下に、いずれも図示しないハンガイヤーと称される吊架金具を介してトロリ線が吊り持ちされる。
図2において、吊架方式架線構造おける吊架線M1と補助吊架線M2との間に吊架装置1が介設される。この吊架方式においては、補助吊架線M2の下に、いずれも図示しないハンガイヤーと称される吊架金具を介してトロリ線が吊り持ちされる。
図1において、吊架装置1は、ケーシング2と、ケーシング2に出入り自在に挿入されるロッド3と、ケーシング2内においてロッド3に固着される摩擦部材4と、ケーシング2内に設けられロッドを引き上げる方向に作用する上下2つの圧縮コイルばね5a,5bとを具備する。
ケーシング2は、ステンレス鋼製の管材からなる本体6と、引手7a付きの上端ふた7と、開口8aを備えた下端ふた8とを有する。図2において、引手7aは、クリップ金具8を介して吊架線M1に結合される。
ロッド3は、ケーシング2内に上下方向に相対移動自在に挿入され、上端側にケーシング2の内面を摺動する摩擦部材4が固着され、下端側が開口8aを自在に貫通してケーシング2の下方へ延出する。ロッド3の下端には引き手3aが設けられる。
上部圧縮コイルばね5aは、ケーシング2内においてロッド3の外周側に挿入され、上端が上部ばねガイド9を介して摩擦部材4の下部に係止され、下端が中間ばねガイド10に係止される。
下部圧縮コイルばね5bは、ケーシング2内においてロッド3の下部外周側に挿入され、上端が中間ばねガイド10に係止され、下端が下部ばねガイド11を介してふた8に係止される。
上部ばねガイド9は、上面が摩擦部材4の下面に当接し、下面に上部圧縮コイルばね5aの上端が当接する上端フランジ9aと、上部圧縮コイルばね5aのコイル内に嵌合する下向きのガイド突起9bと、ロッド3を貫通させる挿通孔9cとを具備する。
中間ばねガイド10は、上部圧縮コイルばね5aのコイル内に嵌合する上向きのガイド突起10aと、上面に上部圧縮コイルばね5aの下端が当接し、下面に下部圧縮コイルばね5bの上端が当接する中間フランジ10bと、下部圧縮コイルばね5bのコイル内に嵌合する下向きのガイド突起10cと、ロッド3を貫通させる挿通孔10dとを具備する。
下部ばねガイド11は、下面がふた8の上面に当接し、上面に下部圧縮コイルばね5bの下端が当接する下端フランジ11aと、下部圧縮コイルばね5bのコイル内に嵌合する上向きのガイド突起11bと、ロッド3を貫通させる挿通孔11cとを具備する。
上部圧縮コイルばね5a、下部圧縮コイルばね5bは、上部ばねガイド9、中間ばねガイド10、下部ばねガイド11により、圧縮時にケーシング2の内周又はロッド3の外周に接触しないように保持される。
図2において、ロッド3の下端は、ドロッパ線12とクリップ金具13を介して補助吊架線M2に結合される。
図2において、ロッド3の下端は、ドロッパ線12とクリップ金具13を介して補助吊架線M2に結合される。
シリンダ6はステンレス鋼製の管材から成り、一端側に引手7a付きのふた7を有し、他端側に開口8aを備えたふた8を有する。
摩擦部材4には、上下に離れて2つの直径方向の保持孔4aが貫通している。上下の保持孔4aは互いに直交方向に形成される。保持孔4aには、圧縮コイルばねのようなばね部材4bが挿入されると共に、このばね部材4bを両端側から圧縮する状態で、一対の摺動部材4cが挿入される。摺動部材4cは、ポリエチレンのような合成樹脂製で、ばね部材4bにより、摩擦部材4の半径方向外側へ予圧され、その外側面が常時ケーシング2の内面に圧接される。
圧縮コイルばね5a,5bは、常時は補助吊架線M2の吊り下げにより圧縮され、したがって、ロッド3をケーシング2内へ引き込む方向に付勢しており、補助吊架線M2の最大押し上げ位置においてその最大伸張状態となるように設定される。
図示の実施形態に係る吊架装置1においては、図示しない電車のパンタグラフが通過すると、このパンタグラフは補助吊架線M2を押し上げるから、補助吊架線M2を吊っているロッド3が上昇する。ロッド3が上昇すると、ばね5a,5bが伸張し、摩擦部材4が押し上げられてケーシング2内を上昇する。パンタグラフが通過して補助吊架線M2の押し上げ力がなくなると、摩擦部材4の上昇が止まり、今度は補助吊架線M2の荷重による下向きの力が作用するから摩擦部材4は、ばね5a,5bを圧縮してケーシング2内を下降する。ケーシング2の内周には、摺動部材4cが、ばね部材4bに押されて、所定の圧力で接触している。従って、摩擦部材4が上昇、下降する間、ケーシング2との間に所定の摩擦抵抗が生じ、これがトロリ線の制振力として作用し、振動を減衰する。摺動部材4cとケーシング2との摺動の繰り返しにより摺動部材4cが摩耗しても、摺動部材4cが、ばね部材4bにより、常時ほぼ一定の力でケーシング2に接触するので、長期にわたって一定の摩擦抵抗が得られる。ケーシング2と摩擦部材4との機械的精度が相対的に低くても、上記のような作用により長期にわたって一定の摩擦抵抗が得られる。
吊架装置1によれば、上部圧縮コイルばね5a、下部圧縮コイルばね5bが、上部ばねガイド9、中間ばねガイド10、下部ばねガイド11により、圧縮時にケーシング2の内周又はロッド3の外周に接触しないように保持される結果、製品の予期しない短命化を防止できると共に、安定した制振性能が得られる。
図2には、吊架装置1を、吊架線M1の下に補助吊架線M2を吊るために用いる実施形態を示したが、本発明は、この実施形態に限定されない。例えば、吊架装置1を吊架線M1又は補助吊架線M2の下にトロリ線を吊るために使用することもできる。
1 吊架装置
2 ケーシング
3 ロッド
3a 引き手
4 摩擦部材
4a 孔
4b ばね
4c 摺動部材
5a 上部圧縮コイルばね
5b 下部圧縮コイルばね
6 ケーシング本体
7 ふた
7a 引き手
8 ふた
8a 開口
9 上部ばねガイド
9a フランジ
9b ガイド突起
9c 挿通孔
10 中間ばねガイド
10a ガイド突起
10b フランジ
10c ガイド突起
10d 挿通孔
11 下部ばねガイド
11a フランジ
11b ガイド突起
11c 挿通孔
M1 吊架線(上方架線)
M2 補助吊架線(下方架線)
2 ケーシング
3 ロッド
3a 引き手
4 摩擦部材
4a 孔
4b ばね
4c 摺動部材
5a 上部圧縮コイルばね
5b 下部圧縮コイルばね
6 ケーシング本体
7 ふた
7a 引き手
8 ふた
8a 開口
9 上部ばねガイド
9a フランジ
9b ガイド突起
9c 挿通孔
10 中間ばねガイド
10a ガイド突起
10b フランジ
10c ガイド突起
10d 挿通孔
11 下部ばねガイド
11a フランジ
11b ガイド突起
11c 挿通孔
M1 吊架線(上方架線)
M2 補助吊架線(下方架線)
Claims (3)
- 電車線路用架線における上方架線の下に下方架線を吊り持ちするための吊架装置であって、
下端側に開口を有するふたを具備し、上端側が前記上方架線に連結されるケーシングと、
前記ケーシング内に上下方向に相対移動自在に挿入され、上端側に前記ケーシングの内面を摺動する摩擦部材を備え、下端側が前記開口を自在に貫通して前記ケーシングの下方へ延出し、下端が前記下方架線に連結されるロッドと、
前記ケーシング内において前記ロッドのj凹部外周側に挿入され、上端が上部ばねガイドを介して前記摩擦部材の下部に係止され、下端が中間ばねガイドに係止される上部圧縮コイルばねと、
前記ケーシング内において前記ロッドの下部外周側に挿入され、上端が中間ばねガイドに係止され、下端が下部ばねガイドを介して前記ふたに係止される下部圧縮コイルばねとを具備し、
前記上部ばねガイドは、上面が前記摩擦部材の下面に当接し下面に前記上部圧縮コイルばねの上端が当接する上端フランジと、前記上部圧縮コイルばねのコイル内に嵌合する下向きのガイド突起と、前記ロッドを貫通させる挿通孔とを具備し、
前記中間ばねガイドは、前記上部圧縮コイルばねのコイル内に嵌合する上向きのガイド突起と、上面に前記上部圧縮コイルばねの下端が当接し下面に前記下部圧縮コイルばねの上端が当接する中間フランジと、前記下部圧縮コイルばねのコイル内に嵌合する下向きのガイド突起と、前記ロッドを貫通させる挿通孔とを具備し、
前記下部ばねガイドは、下面が前記ふたの上面に当接し上面に前記下部圧縮コイルばねの下端が当接する下端フランジと、前記下部圧縮コイルばねのコイル内に嵌合する上向きのガイド突起と、前記ロッドを貫通させる挿通孔とを具備し、
前記上部圧縮コイルばね及び下部圧縮コイルばねは、前記上部ばねガイド、中間ばねガイド及び下部ばねガイドにより、圧縮時に前記ケーシングの内周又は前記ロッドの外周に接触しないように保持されることを特徴とする電車線路用架線の吊架装置。 - 前記上部架線が吊架線であり、下部架線が補助吊架線であることを特徴とする請求項1に記載の電車線路用架線の吊架装置。
- 前記上部架線が吊架線又は補助吊架線であり、下部架線がトロリ線であることを特徴とする請求項1に記載の電車線路用架線の吊架装置。
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002155979A (ja) * | 2000-11-17 | 2002-05-31 | Fanuc Ltd | ばね装置 |
JP2007002939A (ja) * | 2005-06-24 | 2007-01-11 | Toyota Motor Corp | 位置決め構造 |
JP2009241690A (ja) * | 2008-03-31 | 2009-10-22 | Railway Technical Res Inst | ばね式ちょう架装置 |
JP2012116418A (ja) * | 2010-12-03 | 2012-06-21 | Sanwa Tekki Corp | トロリ線の吊架装置 |
JP2015107824A (ja) * | 2013-12-05 | 2015-06-11 | サントリーホールディングス株式会社 | フィリングバルブ |
-
2019
- 2019-03-04 JP JP2019038339A patent/JP2020142544A/ja active Pending
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