JP2020142484A - 加飾シート - Google Patents

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Abstract

【課題】加飾シートの縁における実質的な段差を感じさせない薄さと再剥離性とを両立可能な加飾シートの提供。【解決手段】表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順に有し、厚みが30μm以下であり、かつ粘着力(N/10mm)に対する破断強度(N)の比が8.0以上である加飾シート。【選択図】なし

Description

本発明は、加飾シートに関する。
従来、二輪車の外装部品などの物品の表面を装飾する方法として、物品の表面に加飾シートを貼りつける方法が知られている。種々の加飾シートの中でも薄膜タイプの加飾シートは、意匠性および外観の高級感などの理由から、高級モデルの物品用の加飾シートとして求められている。このような加飾シートには、転写フィルムの他に水圧転写フィルムなどがあり、薄さと表面硬度との両立に加えて各種性能が要求されている。
このような物品の表面の装飾については、ハードコート層および接着剤層をこの順で重ねてなるハードコート層転写シートを、物品の装飾部に貼り付ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、水圧転写フィルム上に紫外線硬化樹脂組成物を塗布し、水槽に浮かべた水圧転写フィルムに物品を押し当て、上記組成物に紫外線を照射して硬化させ、水洗することにより、物品の表面に薄くて硬い装飾層を形成することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−073387号公報 国際公開第2007/023577号
加飾シートは、物品に貼り付ける際に、貼付位置を微修正するために剥がして再度貼り直すことがある。このため、加飾シートには、このような貼り直しを可能とする着脱可能な接着性(「再剥離性」とも言う)が求められることがある。上述の特許文献に記載されている従来の加飾シートは、加飾シートの縁における実質的な段差を感じさせない薄さを有するが、当該特許文献には、貼り直しについて記載されていない。このように、従来の加飾シートには、加飾シートの縁における実質的な段差を感じさせない薄さと再剥離性とを両立させる観点から、検討の余地が残されている。
本発明は、加飾シートの縁における実質的な段差を感じさせない薄さと再剥離性とを両立可能な加飾シートを提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するための一手段として、表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順に有する加飾シートであって、加飾シートの厚みが30μm以下であり、かつ加飾シートの粘着力(N/10mm)に対する破断強度(N)の比が8.0以上である加飾シート、を提供する。
本発明によれば、加飾シートの縁における実質的な段差を感じさせない薄さと再剥離性とを両立可能な加飾シートを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る加飾シートは、表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順に有する。層構成については、後に説明する。まず、当該加飾シートの物性を説明する。
[厚み]
本実施形態の加飾シートの厚みは、30μm以下である。加飾シートの厚みとは、表面保護層から粘着剤層までの積層構造の厚さである。当該厚みが厚くなると、視覚および触覚などの感覚よって加飾シートの縁に段差が感じられる(以下、「段差感」とも言う)ようになり、当該厚みが30μmを超えると、段差感が顕著となりやすい。段差感を軽減する観点から、当該厚みは25μm以下であることが好ましい。
加飾シートの厚みは、薄いほど、段差感を押さえる観点では好ましいが、加飾シートの強度が小さくなる傾向にある。各層を構成する材料に応じて異なるが、一般に、加飾シートの厚みは、所期の破断強度を実現させる観点から2μm以上であることが好ましい。
加飾シートの厚みは、積層体の厚さを測定する公知の方法によって測定することが可能である。また、加飾層の厚みは、表面保護層、加飾層および粘着剤層の各層の厚さの総和として求めてられてもよい。加飾層の厚みは、上記の各層の厚さによって調整することが可能である。また、上記の各層以外の層を含めないことによって薄く抑えることが可能である。
[粘着力に対する破断強度の比]
本実施形態の加飾シートの粘着力(N/10mm)に対する破断強度(N)の比は、8.0以上である。当該比が低いと、粘着力が相対的に強くなり、加飾シートの位置調整のための貼り直し作業において加飾シートが破損することがある。再剥離性を十分に高める観点から、上記の比は10.0以上であることが好ましく、20.0以上であることがより好ましい。
上記の比の上限は、再剥離性を実現する観点からは特に規定されない。再剥離性を高める効果が頭打ちになる観点、あるいは、加飾シートを樹脂材料で構成する場合に実現可能な観点、などの他の観点から、上記の比は、200.0以下であることが好ましく、150.0以下であることがより好ましい。
上記の粘着力に対する破断強度の比は、加飾シートの粘着力および破断強度の一方または両方を調整することによって、適宜に調整することが可能である。
[粘着力]
本実施形態の加飾シートの粘着力は、加飾シートの幅10mmの部分を剥がすのに要する力である。当該粘着力は、良好な再剥離性を実現する観点から、0.5N/10mm以下であることが好ましい。当該粘着力が高すぎると、前述した加飾シートの貼り直しが困難となり、あるいは、貼り直し時に加飾シートが破損することがある。加飾シートにおける良好な再剥離性の観点から、当該粘着力は、0.4N/10mm以下であってもよい。
上記の粘着力は、加飾シートの接着、固定、定着を実現する観点からある程度高いことが好ましく、このような粘着力の下限値は、加飾シートの用途に応じて適宜に決めることが可能である。本実施形態の加飾シートよりも厚い従来の加飾シートであれば、その粘着力が4N/10mm以上あれば永久接着と通常考えられている。本実施形態の加飾シートは、その厚みがより薄く、より剥がされにくく、かつ接着面により追従しやすいことなどの理由から、本実施形態では、より小さい接着力で十分な接着効果が得られる。たとえば、加飾シートの用途が外装材の装飾である場合では、上記の粘着力は、1.0N/10mm以上であることが好ましい。
加飾シートの粘着力は、粘着テープあるいは粘着シートの試験方法として公知の方法によって、あるいはそれを利用して測定することが可能である。たとえば、当該粘着力は、JISZ0237:2009によって、またはそれに準拠する方法によって測定することが可能である。
なお、当該粘着力の測定方法は、貼付後に接着力を高めるための所定の処理が施される加飾シートの場合では、当該所定の処理前の加飾シートについて実施することができる。当該所定の処理方法は、限定されず、その例には、加熱、乾燥、ラジカル重合を生じさせる活性光線(例えば紫外線)の照射が含まれる。たとえば、当該所定の処理として、後述するように加熱処理を施す場合では、当該加熱処理の前の(粘着剤層の該材料が加熱後の状態となる前の)加飾シートについて上記の粘着力の測定方法を実施することができる。
当該粘着力は、粘着剤層の材料の種類、当該材料の使用量、および、粘着剤層の厚さ、からなる群から選ばれる一以上によって適宜に調整することが可能である。
[加熱後の粘着力]
本実施形態の加飾シートにおける加熱後の粘着力は、加飾シートの定着性を高める観点から、1.0N/10mm以上であることが好ましい。「加熱後」における「加熱」とは、前述した所定の処理に該当する。この「加熱」は、加飾シートの粘着剤層の材料が最終的な粘着力を発現するのに十分な加熱であり、当該加熱処理における温度および時間は、当該最終的な粘着力を発現可能な範囲において、粘着剤層の材料の種類または物性に応じて適宜に設定してよい。当該加熱とは、例えば、加飾シートを140℃で30分間加熱することであってよい。
加熱後の粘着力が低すぎると、加飾シートの密着不良が発生することがある。加飾シートの最終的な粘着力を十分に高める観点から、加熱後の粘着力は、1.0N/10mm以上であることが好ましい。
上記の加熱後の粘着力における上限は、加飾シートの最終的な粘着力を十分に高める観点からは特に規定されない。上記の各種効果が頭打ちになる観点、あるいは、加飾シートを樹脂材料で構成する場合に実現可能な観点、などの他の観点から、上記の比は、8.0N/10mm以下であることが好ましく、6.0N/10mm以下であることがより好ましい。
加熱後の粘着力は、前述した粘着力と同じ方法によって測定することが可能である。また、上記の加熱後の粘着力は、前述の粘着力と同様に、粘着剤層の材料の種類、当該材料の使用量、および、粘着剤層の厚さ、からなる群から選ばれる一以上によって適宜に調整することが可能である。
[破断強度]
本実施形態の加飾シートの破断強度は、加飾シートをその平面方向に引っ張って破断させたときに加飾シートに掛けられていた力の大きさである。当該破断強度は、良好な再剥離性を実現する観点から、5N以上であることが好ましい。当該破断強度が低すぎると、貼り直し時において加飾シートが破損することがある。貼り直し時における加飾シートの破損を防止する観点から、当該破断強度は、10.0N以上であることがより好ましく、20.0N以上であることがさらに好ましい。
上記の破断強度の上限は、再剥離性を実現する観点からは特に規定されない。また、当該加飾シートでは、ポリエステル系フィルムのように、硬くかつよく伸び、他の樹脂材料に比べて引張強度および破断強度が高い樹脂材料を用いることが可能である。このため、再剥離性を高める効果が頭打ちになる観点、あるいは、加飾シートを樹脂材料で構成する場合に実現可能な観点、などの他の観点から、当該破断強度は、50.0N以下であることが好ましく、40.0N以下であることがより好ましい。
加飾シートの破断強度は、プラスチック材料の破断強度を求める試験方法として公知の方法によって、あるいはそれを利用して測定することが可能である。たとえば、当該破断強度は、JIS K 7165:2008によって、またはそれに準拠する方法によって測定することが可能である。当該破断強度は、当該方法の測定値で表され、例えば、表面保護層の材料の種類、または、表面保護層の厚さ、あるいはそれらの両方によって適宜に調整することが可能である。
[引張強度]
本実施形態の加飾シートの引張強度は、加飾シートをその平面方向に引っ張ったときに観察される最初の最大応力である。当該引張強度は、良好な再剥離性を実現する観点から、20N/mm以上であることが好ましい。当該引張強度が低すぎると、貼り直し時において加飾シートが破損することがある。当該引張強度は、加飾シートの加工時のハンドリングを十分に高める観点から、60N/mm以上であることがより好ましく、さらに加飾シートの表面硬度を十分に高める観点から、100N/mm以上であることがさらに好ましい。
上記の引張強度の上限は、再剥離性を実現する観点などの上述の観点からは特に規定されない。また、前述したように、当該加飾シートでは、ポリエステル系フィルムのように高い引張強度を有する樹脂材料を用いることが可能である。このため、上記の各種効果が頭打ちになる観点、あるいは、加飾シートを樹脂材料で構成する場合に実現可能な観点、などの他の観点から、当該引張強度は、200.0N以下であることが好ましく、150.0N以下であることがより好ましい。
加飾シートの破断強度は、プラスチック材料の引張特性を求める試験方法として公知の方法によって、あるいはそれを利用して測定することが可能である。たとえば、当該引張強度は、JIS K 7165:2008によって、またはそれに準拠する方法によって測定することが可能である。当該引張強度は、当該方法の測定値(破断強度)を、測定に用いた試料の断面積で除した値で表され、例えば、表面保護層の材料の種類、または、表面保護層の厚さ、あるいはそれらの両方によって適宜に調整することが可能である。
[表面硬度]
本実施形態の加飾シートは、その用途に応じた適当な表面硬度を有することが好ましい。当該加飾シートの表面硬度は、加飾シートの耐擦傷性および耐摩耗性を十分に高める観点から、鉛筆硬度でF以上であることが好ましい。当該表面の鉛筆硬度が低すぎると、加飾シートの耐久性が不十分となることがある。上記の観点から、表面硬度は、F以上であることがより好ましく、H以上であることがさらに好ましい。
上記の鉛筆硬度の上限は、上述の観点からは特に規定されない。上記の各種効果が頭打ちになる観点、加飾シートを樹脂材料で構成する場合に実現可能な観点、あるいは薄膜の構造体にて高い表面硬度とその他の性能とを両立させる観点、などの他の観点から、当該鉛筆硬度は、4H以下であることが好ましく、3H以下であることがより好ましい。
[加飾シートの構成]
上述の物性を有する本実施形態の加飾シートは、以下の構成によって実現することが可能である。本実施形態の加飾シートは、前述したように、表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順に有する。以下、当該加飾シートの構成について説明する。
[表面保護層]
表面保護層は、加飾シートの表面を構成し、加飾層を覆うことで保護する。表面保護層は、加飾層による意匠性を十分に発現する観点から、光透過性を有することがより好ましい。また、表面保護層は、特に外装材の装飾の用途において、耐候性を有することが好ましい。さらに、表面保護層は、加飾シートの引張強度および表面硬度を高める観点から、十分に高い機械的強度を有することが好ましい。
表面保護層の厚みは、4〜15μmであることが好ましい。当該厚みが薄すぎると、表面保護層の機械的強度が不十分となることがある。表面保護層の厚みが厚すぎると、加飾シートの段差感が増長されることがある。加飾シートにおける段差感の抑制、好適な引張強度および好適な表面硬度の実現、の観点から、表面保護層の厚みは、4〜12μmであることがより好ましい。
表面保護層は、光透過性を有する公知の樹脂フィルムによって構成することが可能である。表面保護層に使用可能な光透過性を有する樹脂の例には、特開2014−200977号公報に記載されているように、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体およびセルロース系樹脂が含まれる。ポリエステル樹脂の例には、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)が含まれる。
なお、「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリル酸系重合体であり、例えば、(メタ)アクリル酸またはその誘導体であるアクリル系モノマーに由来する構成単位を全構成単位に対して50質量%以上有する化合物である。「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方を意味する。
表面保護層は、耐候性の観点から、アクリル樹脂の層で構成されていることが好ましい。表面保護層は、前述の機械的強度を十分に発現する観点から、ポリエステル系フィルムで構成されることが好ましい。機械的強度および耐候性の両方を実現する観点から、表面保護層は、PENフィルムであることが好ましい。
なお、アクリル樹脂系の層は、アクリル樹脂の溶液の塗膜を乾燥させてなる層であってもよいが、アクリル樹脂のモノマーのラジカル重合により生成する硬化層であってもよい。当該硬化層は、例えば、アクリル樹脂のモノマーを含有する塗料の塗膜に紫外光などの活性化光線を照射して、あるいは当該塗膜を加熱することにより作製することが可能である。
[加飾層]
加飾層は、着色剤組成物によって構成された層であり、通常、所期のデザインを実現するように構成されている。加飾層は、通常の印刷に用いられる公知のインキによって構成することができる。当該インキは、一種でもそれ以上でもよい。当該インキは、通常の印刷に用いられ得る着色剤を含有していてよい。当該着色剤の例には、有機顔料、無機顔料および染料が含まれる。当該着色剤は、一種でもそれ以上でもよい。
また、加飾シートの意匠性における特定の効果を発現するために、着色剤には、特定の顔料を用いてもよい。当該特定の顔料の例には、光輝性顔料が含まれる。光輝性顔料は、例えば、鱗片状形状の光反射性の粉末粒子であり、その材料の例には、アルミニウム、ニッケル、銅、金、銀、錫、チタン、ステンレス、真鍮などの金属、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛、貝殻およびガラスが含まれる。
上記のインキの例には、アクリル系インキ、ウレタン系インキ、ポリエステル系インキ、塩化ビニル系インキおよび酢酸ビニル系インキが含まれる。当該インキは、これらの二以上の混合物であってもよい。上記のインキは、表面保護層との密着性の観点から選ぶことが可能であり、例えば、前述した表面保護層に対して十分に密着性を高める観点から、ポリエステル系インキであることが好ましい。
加飾層の厚みは、薄すぎると、加飾シートにおいて所期の意匠性を発現することが不十分となることがあり、厚すぎると、加飾シートにおける段差感を増長することがある。たたとえば、加飾層の厚みは、加飾層の十分な隠蔽性を実現する観点から4μm以上であることが好ましく、上記の段差感を抑制する観点から、7μm以下であることが好ましい。
[粘着剤層]
粘着剤層は、接着面に対して加飾シートを貼り直し可能に接着する材料(粘着剤)で構成されている。粘着剤は、上記のような着脱可能な接着性を発現し得る材料であればよく、一種でもそれ以上でもよい。粘着剤は、粘着剤層に最終的な粘着力を付与するためのさらなる成分を含有していてもよい。当該さらなる成分は、一種でもそれ以上でもよく、その例には架橋剤が含まれる。
なお、粘着剤は、液状、ペースト状または粉末状の組成物であり、架橋剤を含有する場合は、架橋剤による架橋構造が構築される前の状態の当該組成物を意味する。また、粘着剤層は、固形状またはゲル状の層であり、架橋剤を含有する場合では、架橋剤による架橋構造が構築された後の状態の層状の組成物を意味する。当該粘着剤における架橋剤の有無は、例えば、粘着剤層の組成を公知の機器分析で分析することにより、架橋剤またはその残渣の有無を検出することにより確認することが可能である。
粘着剤層は、粘着剤層に着脱可能な接着性を発現させる観点から、アクリル樹脂を含むことが好ましい。このような粘着剤層を形成する粘着剤の例には、アクリル樹脂系の粘着剤が含まれる。当該アクリル樹脂系の粘着剤の例には、特開2017−179111号公報に記載されているような、(メタ)アクリル系重合体と、架橋剤と、粘着付与樹脂とを含有する加飾フィルム用粘着剤組成物が含まれる。
当該架橋剤の例には、上記公報に記載されているトリレンジイソシアネート(TDI)などのイソシアネート化合物、および、金属キレート化合物、が含まれる。
金属キレート化合物は、特開2015−209460号公報に記載されているように、中心の金属原子に1以上の多座配位子が結合した化合物である。当該金属原子の例には、鉄、ニッケル、マンガン、クロム、バナジウム、チタン、ルテニウム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウムおよび錫が含まれる。金属キレート化合物の例には、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)、鉄トリスアセチルアセトネート、チタニウムトリスアセチルアセトネート、ルテニウムトリスアセチルアセトネート、亜鉛ビスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、トリス(2,4−ヘキサンジオナト)鉄(III)、ビス(2,4−ヘキサンジオナト)亜鉛、トリス(2,4−ヘキサンジオナト)チタン、トリス(2,4−ヘキサンジオナト)アルミニウム、および、テトラキス(2,4−ヘキサンジオナト)ジルコニウム、が含まれる。
粘着剤における当該架橋剤の含有量は、粘着剤が発現すべき粘着力および粘着剤層の厚さ、粘着剤中の被架橋成分の含有量などの諸条件に応じて適宜に決められる。たとえば、架橋剤は、粘着剤層による意図せぬ発色を抑制する観点からも選ぶことができ、当該観点によればアルミニウムキレート化合物であることが好ましい。
粘着剤層の厚みは、厚くなるほど粘着剤層の粘着力が高くなる傾向にある。一方で、粘着剤層が薄いと粘着力が不十分となることがある。加飾シートにおける最終的に十分な密着性と定着性を実現する観点、および、良好な再剥離性を実現する観点、から、粘着剤層の厚みが4〜15μmであることが好ましい。
[他の構成]
本実施形態の加飾シートは、本実施形態の効果が得られる範囲において、他の層をさらに有していてもよいし、有していなくてもよい。当該他の層の例には、有機材料による層、および、金属層などの無機材による層が含まれる。本実施形態では、段差感を抑制する観点および加飾層による所期の意匠性を発現させる観点から、前述の表面保護層、加飾層および粘着剤層以外の他の層を含まないことが好ましい。
また、本実施形態の加飾シートを構成する層は、本実施形態の効果が得られる範囲において、他の添加剤などの副成分をさらに含有していてもよいし、含有していなくてもよい。たとえば、前述した層の少なくともいずれかは、加飾シートにおける機械的強度を高める観点から、フィラー(骨材)を本実施形態の効果が得られる範囲の量でさらに含有していてもよい。
当該フィラーの例には、繊維状、粒子状、平板状、棒状などの各種形状の有機または無機の固体材料が含まれる。本実施形態では、前述した層が当該フィラーを含有しないことが、段差感を抑制する観点および加飾層による所期の意匠性を発現させる観点から好ましい。なお、本明細書において、所期の意匠性のために光学的な特性を発現させる目的で添加される固体の材料は、前述した着色剤に該当する。
本実施形態の加飾シートは、加飾シートを剥離可能に担持可能な剥離シートに担持されていてもよい。加飾シートは、その一方の面(例えば粘着剤層)のみが当該剥離シートに接触していてもよいし、両面(例えば粘着剤層と表面保護層)のそれぞれが当該剥離シートに接触していてもよい。当該剥離シートは一種でもそれ以上でもよい。このように加飾シートを剥離シートによって担持することは、使用時まで加飾シートを良好な状態で保存する観点から好適である。
[製造方法]
本実施形態の加飾シートは、表面保護層、加飾層および粘着剤層をこの順で重ねて配置可能な方法によって製造することができる。
たとえば、本実施形態の加飾シートは、表面保護層を準備する工程と、当該表面保護層に加飾層用のインキを塗布して加飾層を作製する工程と、当該加飾層に粘着剤を塗布して粘着剤層を作製する工程と、を含む方法によって製造することが可能である。表面保護層を準備する工程は、当該表面保護層を構成する樹脂フィルムを用意する工程であってもよいし、例えば剥離シートに表面保護層の材料を塗布して塗膜を形成し、必要に応じて硬化させる工程であってもよい。
また、本実施形態の加飾シートは、剥離シートに粘着剤を塗布して粘着剤層を作製する工程と、粘着剤層に加飾層用のインキを塗布して加飾層を作製する工程と、加飾層上に表面保護層を作製する工程と、を含む方法によって製造することも可能である。
また、本実施形態の加飾シートは、表面保護層を準備する工程と、剥離シートに粘着剤を塗布して粘着剤層を作製する工程と、当該表面保護層または粘着剤層に、加飾層用のインキを塗布して加飾層を作製する工程と、作製した加飾層と剥離シート上の粘着剤層または表面保護層とを貼り合わせる工程と、を含む方法によっても製造することが可能である。
上記の製造方法は、上記の層の作製において、例えば最終的な粘着力を発現させるための前述した加熱処理などの所定の処理を実施する工程を、必要に応じてさらに含んでもよい。所定の処理を実施する工程は、当該処理を必要とする層を作製する工程において実行してもよいし、上記の各層が重ねられた後の積層体に対して実行してもよい。
[作用効果]
本実施形態の加飾シートは、上述の粘着力に対する破断強度の比が8.0以上である。よって、加飾シートを貼り付けるべき接着面に対して加飾シートの位置を修正するために、一度貼り付けた加飾シートを剥がして再度貼り付けることが可能であり、また、その貼り直し作業を、加飾シートを破損させることなく実施することが可能である。加えて、本実施形態の加飾シートの厚みは30μm以下である。よって、加飾シートの縁における段差感が抑制される。よって、高級感のある装飾を実現することが可能である。
また、加熱によって加飾シートの粘着力を高めることが可能であると、接着面に接着した状態で加熱シートを加熱することにより粘着力をさらに高め、加飾シートの密着性および定着性をより一層高めることが可能となる。
また、加飾シート表面の鉛筆硬度が十分に高いと、耐摩耗性を高めることができ、当該加飾シートを外装材の装飾用途で好適に使用することが可能となる。
[まとめ]
以上の説明から明らかなように、本実施形態の加飾シートは、表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順に有する。そして、加飾シートの厚みは30μm以下であり、かつ加飾シートの粘着力(N/10mm)に対する破断強度(N)の比は8.0以上である。よって、本実施形態の加飾シートは、加飾シートの縁における実質的な段差を感じさせない薄さと再剥離性とを両立させることができる。
また、本実施形態において、加飾シートの粘着力が0.5N/10mm以下であることは、加飾シートの貼り直しを容易にして良好な再剥離性を実現する観点からより一層効果的である。
また、本実施形態において、加飾シートの引張強度が20N/mm以上であることは、加飾シートの機械的強度を高めて良好な再剥離性を実現する観点からより一層効果的である。
また、本実施形態において、140℃で30分間加熱した後の加飾シートの粘着力が1.0N/10mm以上であることは、加飾シートの最終的な密着性および定着性を高める観点からより一層効果的である。
また、本実施形態において、加飾シート表面の鉛筆硬度がF以上であることは、加飾シートの耐擦傷性および耐摩耗性を高める観点からより一層効果的である。
また、本実施形態において、表面保護層がポリエステル系フィルムで構成され、表面保護層の厚みが4〜15μmであることは、加飾シートにおける段差感の抑制し、好適な引張強度および好適な表面硬度を実現する観点からより一層効果的である。
また、本実施形態において、加飾層が、アクリル系インキ、ウレタン系インキ、ポリエステル系インキ、塩化ビニル系インキおよび酢酸ビニル系インキからなる群から選ばれる一以上のインキまたは二以上のインキの混合物を含み、かつ加飾層の厚みが4〜7μmであることは、加飾シートの所期の意匠性を発現し、かつ段差感を抑制する観点からより一層効果的である。
また、本実施形態において、粘着剤層がアクリル樹脂を含み、かつ粘着剤層の厚みが4〜15μmであることは、加飾シートを貼り直し可能に接着し、かつ段差感を抑制する観点からより一層効果的である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
[表面保護層材料の準備]
表面保護層の材料として、以下の材料1〜4、
材料1:アクリル系スクリーンインキ(日本カーバイド工業株式会社製、商品名「HI−S SP INK」)100質量部と、HDI系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネートHK」、固形分100%、「コロネート」は同社の登録商標)12質量部と、溶剤(T−SOL 150/ブチルセロソルブアセテート=50/50、「T−SOL」は登録商標)15質量部と、を撹拌混合して調整したインキ、
材料2:ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製、商品名「テオネックス Q−51」、膜厚12μm、「テオネックス」は同社の登録商標)、
材料3:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レフィルム加工株式会社製、商品名「ルミラー P375」、膜厚6.5μm、「ルミラー」は東レ株式会社の登録商標)、
材料4:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック株式会社製、商品名「PET16 NPL 6LK」、膜厚16μm)、
をそれぞれ用意した。
[加飾層材料の準備]
加飾層の材料として、以下の材料1および2、
材料1:スクリーンインキ(帝国インキ製造株式会社製、商品名「VKスクリーンインキ」)と溶剤(T−SOL 150/ブチルセロソルブアセテート=50/50)を撹拌混合して、固形分を30質量%に調整した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ)系のインキ、
材料2:スクリーンインキ(帝国インキ株式会社製、商品名「EGSスクリーンインキ」)と溶剤(T−SOL 150/ブチルセロソルブアセテート=50/50)を撹拌混合して、固形分を30質量%に調整したポリエステル系のインキ、
をそれぞれ用意した。
[粘着剤層材料の準備]
粘着剤層の材料として、以下の材料1〜5、
材料1:アクリル粘着剤(アクリル酸ブチル:アクリル酸=90:10、分子量80万、固形分33.1%)、全体に対して25.54質量%となる量のアルミキレート系架橋剤(川研ファインケミカル株式会社製、商品名「アルミキレートA」、固形分6.48質量%)および溶剤(酢酸エチル)、を撹拌混合してなる塗料、
材料2:上記アクリル粘着剤、全体に対して7.66質量%となる量の上記アルミキレート系架橋剤および上記溶剤を撹拌混合してなる塗料、
材料3:上記アクリル粘着剤、全体に対して15.32質量%となる量の上記アルミキレート系架橋剤および上記溶剤を撹拌混合してなる塗料、
材料4:上記アクリル粘着剤、全体に対して6.62質量%となる量のHMDI系架橋剤(旭化成株式会社製、商品名「デュラネートD201」、固形分100%、「デュラネート」は同社の登録商標)、および、上記溶剤、を撹拌混合してなる塗料、
材料5:上記アクリル粘着剤、7.36質量%となる量のTDI系架橋剤(東ソー株式会社製、商品名「コロネートL−45E」、固形分45%)、および、上記溶剤、を撹拌混合してなる塗料、
をそれぞれ用意した。
[実施例1]
PET製の第一剥離フィルム(リンテック株式会社製、商品名「P756050」)上に、180メッシュのスクリーン版と印刷機とを用いて、表面保護層の材料1のインキを、形成される表面保護層の膜厚が7.0μmになるように印刷した。次いで、第一剥離フィルム上に形成したインクの塗膜を、熱風乾燥機を用いて80℃雰囲気下にて60分間、加熱し乾燥させた。こうして第一剥離フィルム上に表面保護層を作製した。
次いで、表面保護層上にさらに、250メッシュのスクリーン版とスクリーン印刷機を用いて、加飾層材料の材料1のインキ(塩酢ビ系のインキ)を、形成される加飾層の膜厚が4.0μmになるように印刷した。次いで、表面保護層上に形成したインクの塗膜を、熱風乾燥機を用いて60℃雰囲気下にて10分間、加熱し乾燥させた。こうして表面保護層上に加飾層を作製した。さらに、こうして作製した厚さ11.0μmの積層シートを40℃の環境下にて4日間養生した。
一方で、別にPET製の第二剥離フィルム(リンテック株式会社製、商品名「PET75GS」)上に、粘着剤層の材料1の塗料を、形成される粘着剤層の膜厚が7.0μmになるように塗工した。次いで、第二剥離フィルム上に形成した塗料の塗膜を、熱風乾燥機を用いて100℃雰囲気下にて1分間、加熱し乾燥させた。さらにその後、40℃の環境下にて4日間養生した。こうして、第二剥離フィルム上に粘着剤層を有する粘着剤層シートを作製した。
次いで、第一剥離フィルム上の積層シートの加飾層と、第二剥離フィルム上の粘着剤層とを貼り合わせた。こうして、二枚のPETフィルム(第一剥離フィルムおよび第二剥離フィルム)に挟まれた、アクリル樹脂系の表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シート1を作製した。加飾シート1における表面保護層、加飾層および粘着剤層の総和(総厚み)は、18.0μmである。
[実施例2]
表面保護層の材料2のPENフィルムに、基材上に250メッシュのスクリーン版とスクリーン印刷機を用いて、加飾層の材料2のインキ(ポリエステル系のインキ)を、形成される加飾層の膜厚が4.0μmになるように印刷した。次いで、PENフィルム上に形成したインクの塗膜を、熱風乾燥機を用いて60℃雰囲気下にて10分間、加熱し乾燥させた。こうしてPENフィルム上に加飾層を作製した。さらに、こうして作製した積層シートを25℃の環境下にて1日間養生した。
一方で、粘着剤層の材料について、材料1の塗料に代えて材料2の塗料を用いる以外は、実施例1と同様にして粘着剤層シートを別途用意した。そして、上記の積層シートの加飾層と、当該粘着剤層シートの粘着層とを貼り合わせた。こうして、第二剥離フィルム上に、PENフィルムである表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シート2を作製した。加飾シート2の総厚みは、23.0μmである。
[実施例3]
粘着剤層の材料について、材料2の塗料に代えて材料3の塗料を用いる以外は実施例2と同様にして、第二剥離フィルム上に、PENフィルムである表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シート3を作製した。加飾シート3の総厚みは、23.0μmである。
[実施例4]
表面保護層の材料について、材料2のPENフィルムに代えて材料3のPETフィルムを用い、粘着剤層の材料について、材料2の塗料に代えて材料1の塗料を用いる以外は実施例2と同様にして、第二剥離フィルム上に、PETフィルムである表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シート4を作製した。加飾シート4の総厚みは、17.5μmである。
[実施例5]
粘着剤層の材料について、材料2の塗料に代えて材料1の塗料を用いる以外は実施例2と同様にして、第二剥離フィルム上に、PENフィルムである表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シート5を作製した。加飾シート5の総厚みは、23.0μmである。
[実施例6]
表面保護層の材料について、材料2のPENフィルムに代えて材料4のPETフィルムを用いる以外は実施例5と同様にして、第二剥離フィルム上に、PETフィルムである表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シート6を作製した。加飾シート6の総厚みは、27.0μmである。
[実施例7]
粘着剤層の材料について、材料1の塗料に代えて材料5の塗料を用いる以外は実施例1と同様にして、第一剥離フィルムと第二剥離フィルムとの間に、アクリル樹脂系の表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シート7を作製した。加飾シート7の総厚みは、18.0μmである。
[実施例8]
第二剥離フィルム上に、粘着剤層の材料1の塗料を、形成される粘着剤層の膜厚が3.0μmになるように塗工する以外は実施例1と同様にして、第一剥離フィルムと第二剥離フィルムとの間に、アクリル樹脂系の表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シート8を作製した。加飾シート8の総厚みは、14.0μmである。
[比較例1]
ポリ塩化ビニル(PVC)のフィルム(恩希愛(杭州)薄膜有限公司製、名称「V102」、膜厚50μm)を用意した。このPVCフィルム上に、実施例1と同様にして加飾層を作製した。次いで、加飾層上に、実施例1と同様にして表面保護層を作製した。こうして、PVCフィルム上に、表面保護層、加飾層およびPVCフィルムを積層方向においてこの順で有する積層シートを作製した。
一方で、粘着剤層の材料について、材料1の塗料に代えて材料4の塗料を用いる以外は、実施例1と同様にして粘着剤層シートを別途用意した。そして、上記の積層シートのPVCフィルムと、当該粘着剤層シートの粘着層とを貼り合わせた。こうして、第二剥離フィルム上に、アクリル樹脂系の表面保護層、加飾層、PVCフィルムの基材層、および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シートC1を作製した。加飾シートC1の総厚みは、68.0μmである。
[比較例2]
PVCフィルムを別のPVCフィルム(恩希愛(杭州)薄膜有限公司製、名称「V102」、膜厚25μm)に代える以外は比較例1と同様にして、第二剥離フィルム上に、アクリル樹脂系の表面保護層、加飾層、PVCフィルムの基材層、および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シートC2を作製した。加飾シートC2の総厚みは、43.0μmである。
[比較例3]
粘着剤層の材料について、材料1の塗料に代えて材料4の塗料を用いる以外は実施例1と同様にして、第一剥離フィルムと第二剥離フィルムとの間に、アクリル樹脂系の表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シートC3を作製した。加飾シートC3の総厚みは、18.0μmである。
[比較例4]
第一剥離フィルム上に表面保護層を作製せず、直接加飾層を作製して積層シートを作製する以外は実施例1と同様にして、第一剥離フィルムと第二剥離フィルムとの間に、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シートC4を作製した。加飾シートC4の総厚みは、11.0μmである。
[比較例5]
第一剥離フィルム上に、表面保護層の材料1のインキを、形成される表面保護層の膜厚が4μmになるように印刷する以外は実施例1と同様にして、第一剥離フィルムと第二剥離フィルムとの間に、アクリル樹脂系の表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シートC5を作製した。加飾シートC5の総厚みは、15.0μmである。
[比較例6、7]
第二剥離フィルム上に、粘着剤層の材料1の塗料を、形成される粘着剤層の膜厚が14.0μmになるように塗工する以外は実施例1と同様にして、第一剥離フィルムと第二剥離フィルムとの間に、アクリル樹脂系の表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シートC6を作製した。加飾シートC6の総厚みは、25.0μmである。また、第二剥離フィルム上に、粘着剤層の材料1の塗料を、形成される粘着剤層の膜厚が21.0μmになるように塗工する以外は実施例1と同様にして、第一剥離フィルムと第二剥離フィルムとの間に、アクリル樹脂系の表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順で有する加飾シートC7を作製した。加飾シートC7の総厚みは、32.0μmである。
加飾シート1〜8およびC1〜C7について、層構成、材料および厚みを表1に示す。
Figure 2020142484
[評価]
加飾シート1〜8およびC1〜C7について、下記の評価を行った。
(1)段差感
加飾シート1〜8およびC1〜C7のそれぞれについて、剥離フィルムを剥がし、塗料で塗装されている塗装板に粘着剤層を押し当てて、加飾シートを塗装板に貼り付けた。そして、複数の技術者による外観の目視および指触により、加飾シートの縁における段差感を下記の基準により判定した。○または△であれば、二輪車の外装用途において実用上問題ないと判断できる。
○:目視にて厚みが感じられず、指触でも段差感がない。
△:目視にて厚みが感じられないが、指触では段差感がややある。
×:目視にて厚みが感じられ、かつ指触でも段差感がある。
(2)表面の鉛筆硬度
加飾シート1〜8およびC1〜C7のそれぞれを塗装板に貼りつけた。次いで、140℃雰囲気下にて30分間加熱した。その後、JIS K 5600−5−4に準拠し、鉛筆硬度計(安田精機製作所株式会社製、No.553 鉛筆引っかき硬度試験機(手動))を用いて、加飾シート表面の鉛筆硬度を求めた。F以上の硬さであれば、二輪車の外装用途において実用上問題ないと判断できる。
(3)着色
加飾シート1〜8およびC1〜C7のそれぞれを塗装板に貼りつけた。次いで、140℃雰囲気下にて30分間加熱した。その後、複数の技術者により外観を目視し、加熱前後における色目の変化の有無と程度を下記の基準により判定した。○または△であれば、二輪車の外装用途において実用上問題ないと判断できる。
○:色目の変化が観察されない。
△:やや色目の変化が観察される。
×:色目の変化が大きく観察される。
(4)再剥離性
加飾シート1〜8およびC1〜C7のそれぞれを幅30mm、長さ100mmのサイズに切断して試験片を作製した。作製した試験片を塗装板に貼り合わせ、その後剥離した。試験片を剥離した際の当該試験片の破断具合を、複数の技術者により観察し、下記の基準により判定した。○または△であれば、二輪車の外装用途において実用上問題ないと判断できる。
○:一切破断しない。
△:一部破断が見られる。
×:大きく破断する。
(5)引張強度
加飾シート1〜8およびC1〜C7のそれぞれを幅25mm、長さ100mmのサイズに切断して試験片を作製した。作製した試験片を使用し、JIS K 7165:2008に準拠し、試験速度300mm/分の条件にて各試験片の引張強度X(N/mm)を測定した。当該測定法による測定値を試験片の断面積で除した値が引張強度である。引張強度が20N/mm以上であれば、二輪車の外装用途において実用上問題ないと判断できる。
(6)破断強度
加飾シート1〜8およびC1〜C7のそれぞれを幅25mm、長さ100mmのサイズに切断して試験片を作製した。作製した試験片を使用し、JIS K 7165:2008に準拠し、試験速度300mm/分の条件にて各試験片の破断強度Y(N)を測定した。当該測定法による測定値が破断強度である。
(7)粘着力
加飾シート1〜8およびC1〜C7のそれぞれを幅10mm、長さ200mmのサイズに切断して試験片を作製した。作製した試験片のそれぞれをPETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「A4100」、厚み50μm)に貼り合わせた。そして、JIS Z 0237:2009に準拠し、試験速度300mm/分の条件にて粘着力Z(N/10mm)を測定した。粘着力が0.5N/10mmであれば、二輪車の外装用途において実用上問題ないと判断できる。
(8)加熱後の粘着力
上記(6)のPETフィルムに試験片を貼り合わせた試験シートを140℃雰囲気下にて30分間加熱した。その後、温度23℃、湿度50%環境下にて30分間静置した。そして、上記(6)と同じ条件で粘着力を測定した。この加熱後における粘着力が1.0〜8.0N/10mmであれば、二輪車の外装用途において実用上問題ないと判断できる。
評価結果を表2に示す。
Figure 2020142484
[考察]
加飾シート1〜8は、いずれも、段差感を実質的に有さず、また良好な再剥離性を有している。
また、加飾シート1〜7は、加飾シート8に比べてより高い表面硬度を有している。これは、粘着剤層の厚さが十分に厚く、加飾シートの粘着力が十分に高いため、と考えられる。中でも、加飾シート2〜6は、より一層高い表面硬度を有している。これは、ポリエステル系フィルムの表面保護層を有しているため、と考えられる。
さらに、加飾シート1〜6および8では、貼付のための加熱後に色目が実質的に変化しない。これは、加飾シート1〜6および8における粘着剤層が、加飾シート7のそれに比べて、当該加熱による実質的な変色を生じないため、と考えられる。
これに対して、加飾シートC1、C2およびC7は、段差感の観点で問題があった。加飾シートC1およびC2は、基材層を有することから総厚みが厚くなったため、と考えられる。加飾シートC7は、粘着剤層が厚すぎ、その結果総厚みが厚くなったため、と考えられる。
加飾シートC3〜C7は、再剥離性が不十分であった。加飾シートC3は、粘着力Zが強く、その結果、粘着力Zに対する破断強度Yの比Y/Zが小さくなったため、と考えられる。加飾シートC4は、表面保護層を有さないことから引張強度Xおよび破断強度Yが小さくなり、その結果、Y/Zが小さくなったため、と考えられる。加飾シートC5は、表面保護層の厚さが薄いことから破断強度が小さくなり、その結果、Y/Zが小さくなったため、と考えられる。加飾シートC6およびC7は、いずれも粘着力が大きく、その結果、Y/Zが小さくなったため、と考えられる。
本発明は、外装材の高級仕様の装飾に好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. 表面保護層、加飾層および粘着剤層を積層方向にこの順に有する加飾シートであって、
    前記加飾シートの厚みが30μm以下であり、かつ
    前記加飾シートの粘着力(N/10mm)に対する破断強度(N)の比が8.0以上である、
    加飾シート。
  2. 前記加飾シートの粘着力が0.5N/10mm以下である、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記加飾シートの引張強度が20N/mm以上である、請求項1または2に記載の加飾シート。
  4. 140℃で30分間加熱した後の前記加飾シートの粘着力が1.0N/10mm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の加飾シート。
  5. 前記加飾シート表面の鉛筆硬度がF以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の加飾シート。
  6. 前記表面保護層がポリエステル系フィルムで構成され、前記表面保護層の厚みが4〜15μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の加飾シート。
  7. 前記加飾層は、アクリル系インキ、ウレタン系インキ、ポリエステル系インキ、塩化ビニル系インキおよび酢酸ビニル系インキからなる群から選ばれる一以上のインキまたは二以上のインキの混合物を含み、かつ前記加飾層の厚みが4〜7μmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の加飾シート。
  8. 前記粘着剤層は、アクリル樹脂を含み、かつ前記粘着剤層の厚みが4〜15μmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の加飾シート。
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