JP2020141744A - 人の体格指数推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 加速度センサを用いて、人が普段通りに行動している状態にて、BMI等の体格指数を推定することのできる装置を提供すること。【解決手段】 本発明の人の体格指数を推定する装置は、人の下腹部に加速度センサ装着して加速度値を計測し、その加速度値を用いて、人が歩行状態にある歩行区間を抽出し、抽出された歩行区間に於ける加速度値の代表値を決定し、加速度値が体格指数との相関関係を利用して、加速度値の代表値に基づいて人の体格指数を推定する。【選択図】 図2
Description
本発明は、人の体格指数を推定する装置に係り、より詳細には、人の下腹部にて計測される加速度値に基づいて人の体形や体格を表すBMI(ボディマス指数)などの体格指数を推定する装置に係る。
人の肥満或いは痩せの程度を評価して把握するための健康管理に於いて客観的に参照される指標の一つとして、人の体型や体格を表すBMI(ボディマス指数)などの体格指数が利用される。BMI等の体格指数は人の体重と身長との関数であるので、一般的には、体重計により計測された体重と身長計により計測された身長とを用いて算出されるところ、特許文献1では、生体に於いて計測されるインピーダンスと相関があることを利用して、人の生体電気インピーダンス計測手段にて計測されたインピーダンス値と別途測定されたその人の身長とを用いて、体格指数を算出する装置が提案されている。また、体重計を用いないで人の体重を推定する方法として、特許文献2に於いては、被検者が、ポケット等に加速度センサを入れた状態で、段差を降り始めてから降り終わるまでの時間、段差を降り終わった時の衝撃加速度及び段差を降り終わった瞬間から加速度が収束するまでの時間を用いて、被検者の体重を推定する手法が開示されている。
上記の如き体格指数は、既に触れたように、人の肥満や痩せの程度の客観的な評価を可能にする指標の一つとなるので、日々の健康管理に於いて、手軽に確認できることが好ましい。例えば、人が普段通りに行動している状態にて、人の体の向きや運動に対してできるだけ影響を与えずに、体格指数を知ることができれば、有利であろう。しかしながら、従前の技術に於いて、通常は、体格指数は、別々に計測された身長と体重(又は生体電気インピーダンスなど)を用いて算出されるようになっているので、体格指数を確認するためには、それぞれの値を計測するための体重計と身長計を準備し、それらに乗って別々に計測するなど、利用者にとっては、やや煩わしい特別な動作が必要である。従って、もし人が普段通りに行動をしながら、即ち、体重計に乗るなどの計測のための特別の動作をすることなく、体格指数が取得できる装置があれば、便利である。この点に関し、本発明の発明者等は、人の下腹部に比較的コンパクトな携帯用の加速度センサを装着した場合、その加速度センサにて計測された加速度値は、装着された人のBMI等の体格指数と相関があり、従って、人の下腹部に装着された加速度センサを用い、人が特別な動作をする必要なく、加速度センサで計測された加速度値から体格指数を推定することができることを見出した。本発明に於いては、この知見が利用される。
かくして、本発明の一つの課題は、加速度センサを用いて、人が普段通りに行動している状態にて、BMI等の体格指数を推定することのできる装置を提供することである。
本発明によれば、上記の課題は、人の体格指数を推定する装置であって、
人の下腹部に装着され加速度値を計測する加速度センサを含む加速度計測手段と、
前記加速度値を用いて、前記人が歩行状態にある歩行区間を抽出する歩行区間抽出手段と、
前記抽出された歩行区間に於ける加速度値の代表値を決定する加速度代表値決定手段と
前記加速度値の代表値に基づいて前記人の体格指数を推定する体格指数推定手段と
を含む装置によって達成される。
人の下腹部に装着され加速度値を計測する加速度センサを含む加速度計測手段と、
前記加速度値を用いて、前記人が歩行状態にある歩行区間を抽出する歩行区間抽出手段と、
前記抽出された歩行区間に於ける加速度値の代表値を決定する加速度代表値決定手段と
前記加速度値の代表値に基づいて前記人の体格指数を推定する体格指数推定手段と
を含む装置によって達成される。
上記の構成に於いて、「体格指数」は、典型的には、BMIであるが、BMIと同様に、人の肥満又は痩せの程度に応じて、或いは、人の腹部の形状に応じて、変化する任意の指標値であってもよい。「人の下腹部」は、概ね人の臍よりも下方又は腰骨の上縁周囲よりも下方の腹部領域であってよい。「歩行区間に於ける加速度値の代表値」とは、人の歩行中に於いて加速度センサにより時系列に計測される加速度値に於ける代表的な値、例えば、人の歩行中の加速度値の平均値、中央値又は主成分分析によって得られた値等であってよい。
上記の本発明の装置に構成に於いては、端的に述べれば、人の下腹部に加速度センサを装着し、人の歩行中に加速度センサに於いて計測される加速度値を参照することにより、体格指数が推定できることとなる。この点について、より具体的に説明すると、まず、一般に、人の下腹部の形状は、人の肥満又は痩せの程度によって異なり、人の肥満又は痩せの程度を表す体格指数とも相関を有すると考えられる。一方、人の下腹部に加速度センサを装着する場合、加速度センサに作用する加速度ベクトルは、通常(乗り物などに乗っていない限りは)、重力方向を向いているところ、人が或る姿勢をとっているとき、例えば、立位にあるときで考えると、重力方向に対する加速度センサの向きは、その加速度センサの装着される人の下腹部の形状によって変わるので、加速度センサがその計測軸に沿って計測する加速度値は、人の下腹部の形状によって変わることとなる。従って、人の下腹部に加速度センサを装着し、その人が或る姿勢をとっているときの加速度センサの計測した加速度値を検出すると、その加速度値から体格指数が推定できることとなる。
ところで、人の下腹部に装着された加速度センサの重力方向に対する向きは、人の姿勢によっても、即ち、人の姿勢が立位、座位又は臥位のいずれであるかによっても変わるので、前記の如く、体格指数を推定するために加速度センサにより加速度値を計測する際には、人が或る特定の姿勢をとっていることを把握しておく必要がある。この点に関し、人が静止している場合には、加速度センサの加速度値は殆ど振動することなく、停留した状態となるため、加速度センサの人の下腹部に対する向きが未知であるときには、加速度センサの加速度値を参照しただけでは人の姿勢を特定することができないが、人の歩行中に於いては、人の姿勢は立位であると想定されるところ、加速度値に於いて歩行に伴う振動的な変化が観測されるので、加速度センサの向きが不明の状態でも、加速度値を参照して人が歩行中であることは識別可能である。そして、歩行中の人に於いて作用している加速度ベクトルは、歩行運動による体幹の揺れに伴って振動的に変化するが、その向きは、概ね重力方向を向いていると考えられ、従って、加速度センサに於いて加速度ベクトルが殆どの時間に亙って向いている代表的な方向が重力方向であるので、人の歩行中に加速度センサに於いて殆どの時間に亙って計測されている値、即ち、加速度センサの加速度値の代表値が重力方向の加速度ベクトルを加速度センサの計測軸に沿って計測した値であると考えられる。かくして、上記の如く、本発明の装置に於いては、人の下腹部に加速度センサを装着し、それが計測する加速度値を用いて人の歩行中を抽出し、その抽出された人の歩行中の加速度値を参照して、人の体格指数を推定することができることとなる。
上記の装置の構成に於いて、加速度センサは、その加速度値を計測する計測軸が人の下腹部の表面に対して垂直な方向又は平行な方向となるように装着されてよい。例えば、加速度センサとして3軸方向の加速度値を計測できるセンサが採用される場合には、3軸のうちの2軸を含む平面が下腹部の表面に平行に延在するように装着されるよう加速度センサを含む加速度計測手段が構成されてよい。その場合には、下腹部の表面に平行な平面に交差する軸が、下腹部の表面に対して略垂直に延在することとなり、その軸方向の加速度値が下腹部の形状に応じて変化することとなる。なお、この場合、センサの下腹部の表面に平行な平面の面内に於けるセンサの向きがセンサの装着の度に変化しても、加速度値が参照される軸の方向は実質的に変化しないので、センサの装着時のばらつきに対するロバスト性が向上される。また、計測軸が下腹部の表面に平行な平面内にあっても、重力方向に対して垂直でない限りは、下腹部の形状によって加速度値が変化するので、そのような軸方向に計測された加速度値が体格指数の推定に於いて参照されてもよい。
上記の構成に於いて、加速度値から人の歩行中の状態を抽出する一つの態様に於いては、機械学習を用いて構成された識別器が人の歩行中の加速度値のデータの抽出に利用可能である。その場合、具体的には、まず、人が歩行を含む種々の状態を取っているときの加速度値の時系列データと、それに対応する人の姿勢の時系列データ(正解データ)とが教師データとして準備され、加速度値の時系列データから、人の姿勢、特に、歩行状態、の特徴を反映するものとして選択された特徴量を算出され、それらの加速度値の時系列データの特徴量を入力データとし、識別結果として正解データの姿勢を出力するように、識別器のパラメータが機械学習により決定される。そして、実際の人の歩行区間の識別に際しては、加速度センサにて時系列に計測された加速度値の特徴量を上記の如く決定されたパラメータを用いて構成された識別器へ入力することにより、加速度値の時系列データに於いて、人の姿勢が歩行状態となっている区間のデータが識別され抽出されることとなる。かかる識別器の構成に於いては、例えば、ランダムフォレスト法、サポートベクトルマシン法、k−NN法、ニューラルネットワークなどの任意の識別器を構成することのできる機械学習を用いた手法が採用されてよい。なお、人の歩行中の加速度値のデータの抽出は、機械学習によらない任意の方法、例えば、加速度値から算出される任意の特徴量が所定の閾値範囲から逸脱したときに人の歩行中の加速度値であると判定するなどして達成されてもよく、そのような場合も本発明の範囲に属する。
上記の構成に於いて、加速度値からの体格指数の推定は、入力変数として加速度値を与える体格指数が出力される関数を用いて実行されてよい。即ち、
[体格指数]=F([加速度値]) …(1)
の形式の関数によって、体格指数の推定値が算出されてよい。関数Fは、予め実験的に決定することが可能である。本発明の発明者等による実験に於いては、加速度値bと体格指数Iとの間は、例えば、係数α、βを用いて
I=αb+β …(2)
の推定式にて概ね表されることが見出されているので、校正実験により、予め係数α、βを決定しておき、実際の体格指数の推定に於いては、式(2)により、体格指数が算出されてよい。なお、係数α、βは、適時、校正されてよい。
[体格指数]=F([加速度値]) …(1)
の形式の関数によって、体格指数の推定値が算出されてよい。関数Fは、予め実験的に決定することが可能である。本発明の発明者等による実験に於いては、加速度値bと体格指数Iとの間は、例えば、係数α、βを用いて
I=αb+β …(2)
の推定式にて概ね表されることが見出されているので、校正実験により、予め係数α、βを決定しておき、実際の体格指数の推定に於いては、式(2)により、体格指数が算出されてよい。なお、係数α、βは、適時、校正されてよい。
また、人の身長と体重とからより正しい体格指数Itが算出できたときには、そのときに本発明の装置により推定された体格指数の推定値Ioとを用いて、それ以後の体格指数の推定値IにIt/Ioを乗じた値を本装置による推定値としてもよい。
更に、本発明の装置に於いては、加速度センサの装着位置が人の下腹部に於ける前方中央、左或いは右であるかによっても、体格指数と加速度値との関係が異なり得るので、加速度センサの装着位置によって異なる推定式が用いられてもよい。
また更に、本発明の装置に於いて、人の体幹に装着されるセンサとして気圧センサを用いて気圧値を計測し、加速度センサによる加速度値と共に気圧値が、人が略水平方向に歩行しているときの抽出に用いられてよい。気圧値によれば、人が水平方向に歩行しているか、階段等を昇降しているかなどの識別をより精度良く達成できるようになることが期待される。この場合、気圧値も機械学習による識別器の構成に於いて、入力データの一つとして用いられてよい。
上記の本発明の装置の構成に於いて、加速度センサ(及び気圧センサ)は、人の下腹部に装着可能な筐体に収容されてよい。計測データ(加速度値、気圧値)から人の体格指数の推定を行うための演算処理を行うための装置は、筐体内に収容されていてもよく、外部のコンピュータにて実現されてもよい。
かくして、上記の本発明の装置によれば、人の下腹部に加速度センサに装着し、その人が歩行中の加速度センサの計測した加速度値を参照して体格指数が推定できることとなる。かかる構成に於いては、事前に、加速度値から人の歩行中を識別するための識別器の構成や加速度値から体格指数を算出する推定式の校正が必要となるが、かかる事前準備が実行されていれば、加速度センサにて、人等が普段通りに行動をしながら、即ち、計測のための特別の動作をすることなく、体格指数が取得できることとなる。また、本発明の装置にて推定された体格指数から、身長が別途計測されれば、体重の推定値が得られ、体重が別途計測されれば、身長の推定値が得られることとなる。更に、本発明の装置によれば、体重計に乗らなくても普通に生活しているだけで、中長期的な体重増減の傾向をトラッキングすることができるので、体重増減の傾向を検知した場合には、ユーザに健康な食事や運動を促すなどの通知が為されるようになっていてもよい。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
1…筐体
10…体格指数推定装置
12…機械学習装置
P…被検者
10…体格指数推定装置
12…機械学習装置
P…被検者
装置の構成
図1(A)を参照して、本発明による人の体格指数推定装置の一つの実施形態は、人である被検者Pの下腹部に装着可能な(ウェアラブルな)筐体1を有し、かかる筐体1内に姿勢の推定に使用される構成要素が収容された形態となっていてよい。筐体1内には、体格指数推定のために参照される加速度値を計測する加速度センサが収容され、更に、気圧値を計測する気圧センサが収容されていてよい。加速度センサは、被検者の下腹部に装着された際に下腹部に作用する重力ベクトルの大きさを加速度値として計測可能なセンサであり、重力ベクトルに対するセンサの計測軸の向きが変わることによる重力ベクトルに対応する加速度値の変化を検出可能な感度を有するものが選択される。また、加速度センサは、その重力方向に対する計測軸の向きが下腹部の形状に応じて変化するよう装着される。この条件は、計測軸が下腹部表面に平行で且つ重力方向に対して垂直でなければ、満たされるので、かかる条件を満たす場合は本発明の範囲に属することは理解されるべきである。具体的には、例えば、加速度センサの計測軸が下腹部の表面に対して垂直な方向を向くように筐体1の形状が構成されていてよく、例えば、筐体1の下腹部の表面に当接する面に対して、加速度センサの計測軸が垂直方向となるように、筐体1内に加速度センサが組み込まれていてよい。加速度センサとしては、例えば、3軸加速度センサが用いられてよいが、これに限定されない。3軸加速度センサが用いられる場合には、3軸のうちの2軸が下腹部の表面の平行な面内にあるように、3軸加速度センサが装着されてよい。更に、加速度センサとしては、被検者の体の向きや運動に対してできるだけ影響を与えずに、被検者が普段通りに行動している状態にて、その下腹部上で加速度の計測が可能な比較的コンパクトで携帯用の筐体1に収納可能なセンサが有利に用いられる。一方、気圧センサは、被検者が歩行中に階段の昇り降りや登坂・降坂した際に生ずる気圧の変化を計測可能なものであり、加速度センサの場合と同様に被検者の体の向きや運動に対してできるだけ影響を与えずに、被検者が普段通りに行動している状態にて気圧の計測が可能な比較的コンパクトで携帯用の筐体1に収納可能なセンサが有利に用いられる。センサを収容する筐体1の形態は、採用されるセンサの形態に応じて種々のものであってよいことは理解されるべきである。
図1(A)を参照して、本発明による人の体格指数推定装置の一つの実施形態は、人である被検者Pの下腹部に装着可能な(ウェアラブルな)筐体1を有し、かかる筐体1内に姿勢の推定に使用される構成要素が収容された形態となっていてよい。筐体1内には、体格指数推定のために参照される加速度値を計測する加速度センサが収容され、更に、気圧値を計測する気圧センサが収容されていてよい。加速度センサは、被検者の下腹部に装着された際に下腹部に作用する重力ベクトルの大きさを加速度値として計測可能なセンサであり、重力ベクトルに対するセンサの計測軸の向きが変わることによる重力ベクトルに対応する加速度値の変化を検出可能な感度を有するものが選択される。また、加速度センサは、その重力方向に対する計測軸の向きが下腹部の形状に応じて変化するよう装着される。この条件は、計測軸が下腹部表面に平行で且つ重力方向に対して垂直でなければ、満たされるので、かかる条件を満たす場合は本発明の範囲に属することは理解されるべきである。具体的には、例えば、加速度センサの計測軸が下腹部の表面に対して垂直な方向を向くように筐体1の形状が構成されていてよく、例えば、筐体1の下腹部の表面に当接する面に対して、加速度センサの計測軸が垂直方向となるように、筐体1内に加速度センサが組み込まれていてよい。加速度センサとしては、例えば、3軸加速度センサが用いられてよいが、これに限定されない。3軸加速度センサが用いられる場合には、3軸のうちの2軸が下腹部の表面の平行な面内にあるように、3軸加速度センサが装着されてよい。更に、加速度センサとしては、被検者の体の向きや運動に対してできるだけ影響を与えずに、被検者が普段通りに行動している状態にて、その下腹部上で加速度の計測が可能な比較的コンパクトで携帯用の筐体1に収納可能なセンサが有利に用いられる。一方、気圧センサは、被検者が歩行中に階段の昇り降りや登坂・降坂した際に生ずる気圧の変化を計測可能なものであり、加速度センサの場合と同様に被検者の体の向きや運動に対してできるだけ影響を与えずに、被検者が普段通りに行動している状態にて気圧の計測が可能な比較的コンパクトで携帯用の筐体1に収納可能なセンサが有利に用いられる。センサを収容する筐体1の形態は、採用されるセンサの形態に応じて種々のものであってよいことは理解されるべきである。
また、本実施形態の一つの態様に於いては、筐体1内に、更に、上記のセンサの出力を受容して、後に述べる態様にて被検者の歩行状態の識別及び体格指数の推定を行う処理部、処理部の出力値及び/又は装置の作動状況を表示するディスプレイと、処理部の出力値を外部の装置又は設備へ送信する通信部、被検者又は使用者による装置に対する指示・操作を受容する操作パネルなどが設けられてよい。この場合、処理部は、マイクロコンピュータ、メモリ又はフラッシュメモリ等を含む通常の小型のコンピュータ装置であってよい。或いは、別の態様に於いて、上記の処理部等は、筐体1とは別体のコンピュータ装置(図示せず)に於いて構成されていてもよく、その場合には、センサの出力が有線又は無線通信にてコンピュータ装置へ送信されるようになっていてよい。更にまた、被検者の歩行状態の識別及び体格指数の推定を行う処理の一部が筐体内で実行され、一部が外部コンピュータ装置にて実行されるようになっていてもよい。
本実施形態に於ける被検者の体格指数を推定する装置(体格指数推定装置)10に於いては、図1(B)に描かれている如く、被検者の下腹部に装着された加速度センサの計測した加速度値を時々刻々に受容して、加速度値から加速度特徴量を抽出又は算出する加速度値特徴量抽出部と、加速度値特徴量抽出部から加速度特徴量を受容し、それらを参照して、メモリに記憶されているパラメータ(識別器パラメータ)を用いて構成される識別器によって加速度値の時系列データに於ける被検者が歩行中である歩行区間を識別し抽出する歩行区間抽出部と、抽出された歩行区間に於ける加速度センサの計測した加速度値を参照して加速度代表値を検出する加速度代表値検出部と、加速度代表値とメモリに記憶されているパラメータ(推定式パラメータ)を用いて被検者の体格指数を算出する体格指数算出部とが設けられる。なお、図示の如く、被検者の体幹に装着された気圧センサの計測した気圧値を時々刻々に受容して、気圧値から気圧特徴量を抽出又は算出する気圧値特徴量抽出部が設けられ、気圧特徴量が歩行区間抽出部に於ける歩行区間の抽出の際に参照されるようになっていてよい。そして、体格指数の推定結果がディスプレイに表示され或いは任意の記憶装置に記憶される。上記の被検者の姿勢推定の構成が筐体1内に収容されている場合も別体のコンピュータ装置に構成されている場合も、装置内の各部の作動は、メモリに記憶されたプログラムに従った作動により、実現されることは理解されるべきである。
上記の被検者の歩行区間抽出の処理に使用される識別器のパラメータは、機械学習によって決定されてよく、メモリに記憶される。かかる機械学習の処理は、筐体1内の処理部に於いて実行され、実行結果が筐体1内のメモリに記憶されるようになっていてもよいし、筐体1とは別体のコンピュータ装置に於いて実行され、実行結果がメモリに記憶されるようになっていてもよい。
図1(C)を参照して、機械学習を実行する装置(機械学習装置)12に於いては、体格指数推定装置10の場合と同様に、加速度値センサの計測した加速度値を受容して、加速度特徴量を抽出又は算出する加速度特徴量抽出部と、かかる加速度特徴量とその加速度特徴量が得られたとき、即ち、加速度値の計測時に於ける被検者の姿勢の識別結果(正解値)とを教師付き学習データとして、かかる学習データを用いて機械学習処理を実行して、加速度値の時系列データに於ける被検者が歩行中歩行区間を識別し抽出する識別器のためのパラメータを決定する機械学習(歩行識別)部と、歩行識別のための識別器パラメータを記憶するメモリとが設けられてよい。なお、加速度センサと共に気圧センサが被検者に準備され、被検者の体幹に装着された気圧センサの計測した気圧値を時々刻々に受容して、気圧値から気圧特徴量を抽出又は算出する気圧値特徴量抽出部が設けられ、気圧特徴量が機械学習(歩行識別)部に於いて、学習データに於ける入力データとして参照されるようになっていてよい。
上記の図1(C)の構成に於いて、加速度センサ、気圧センサ、加速度特徴量抽出部、気圧特徴量抽出部は、体格指数推定装置10内のものと同一のものであってよい(共用であってよい。)。上記の被検者の機械学習装置12が筐体1内に収容されている場合も別体のコンピュータ装置に構成されている場合も、装置内の各部の作動は、メモリに記憶されたプログラムに従った作動により、実現されることは理解されるべきである。
装置の作動
(1)体格指数推定の概要
図2(A)〜(C)を参照して、「発明の概要」の欄に於いても説明されている如く、本発明による体格指数推定装置に於いては、被検者Pの下腹部に筐体1に収納された加速度センサを装着した場合に、重力ベクトルgに対する加速度センサの加速度値の計測軸(z等)の向きが被検者Pの下腹部の形状によって変化し、これにより、加速度センサにて計測される加速度値が変化するところ、BMIなどの体格指数と下腹部の形状とに相関があり、従って、下腹部の形状によって変化する加速度値と体格指数との間にも相関があることから、その相関関係を利用して、加速度センサの計測した加速度値から体格指数を推定することが試みられる。即ち、図2(A)〜(C)の如く、被検者Pが立位にあるとき、被検者Pの下腹部の形状は、被検者Pの肥満の程度が高くなるにつれて((C)→(A)→(B))、下腹部表面が下方へ傾く方向に変化するので、これに伴って、被検者Pの下腹部に装着されている加速度センサの重力方向に対する向きも変化することとなり、加速度センサに於いて計測される加速度ベクトル(重力ベクトル)gに対応する加速度値(重力ベクトルの計測軸への射影距離)も変化することとなる。例えば、図2の如く、加速度センサの計測軸zが、筐体1の下腹部表面に当接する面に対して垂直に延在する場合には、被検者Pの肥満の程度が高くなるにつれて、加速度値bzは、計測軸zの負方向へ大きくなる。そして、被検者Pの肥満の程度は、被検者の体格指数に対応するので、被検者Pが立位のときの加速度値から体格指数が推定できることとなる(加速度値から人の体格指数を検知する場合には、直接的に体格指数を計測するわけではないので、「推定」という用語を用いる。)。実際、後に示される如く、上記の如く計測された加速度値bzが体格指数の一つであるBMIに対して相関を有していることは、実験的に確認されている。なお、加速度値の計測軸が下腹部表面に垂直な方向とは別の方向を向いていても(下腹部表面に平行であり且つ重力方向に垂直な方向以外であれば)、下腹部表面の向きによって加速度値が変化するので、同様に加速度値から体格指数を推定できることは理解されるべきである。
(1)体格指数推定の概要
図2(A)〜(C)を参照して、「発明の概要」の欄に於いても説明されている如く、本発明による体格指数推定装置に於いては、被検者Pの下腹部に筐体1に収納された加速度センサを装着した場合に、重力ベクトルgに対する加速度センサの加速度値の計測軸(z等)の向きが被検者Pの下腹部の形状によって変化し、これにより、加速度センサにて計測される加速度値が変化するところ、BMIなどの体格指数と下腹部の形状とに相関があり、従って、下腹部の形状によって変化する加速度値と体格指数との間にも相関があることから、その相関関係を利用して、加速度センサの計測した加速度値から体格指数を推定することが試みられる。即ち、図2(A)〜(C)の如く、被検者Pが立位にあるとき、被検者Pの下腹部の形状は、被検者Pの肥満の程度が高くなるにつれて((C)→(A)→(B))、下腹部表面が下方へ傾く方向に変化するので、これに伴って、被検者Pの下腹部に装着されている加速度センサの重力方向に対する向きも変化することとなり、加速度センサに於いて計測される加速度ベクトル(重力ベクトル)gに対応する加速度値(重力ベクトルの計測軸への射影距離)も変化することとなる。例えば、図2の如く、加速度センサの計測軸zが、筐体1の下腹部表面に当接する面に対して垂直に延在する場合には、被検者Pの肥満の程度が高くなるにつれて、加速度値bzは、計測軸zの負方向へ大きくなる。そして、被検者Pの肥満の程度は、被検者の体格指数に対応するので、被検者Pが立位のときの加速度値から体格指数が推定できることとなる(加速度値から人の体格指数を検知する場合には、直接的に体格指数を計測するわけではないので、「推定」という用語を用いる。)。実際、後に示される如く、上記の如く計測された加速度値bzが体格指数の一つであるBMIに対して相関を有していることは、実験的に確認されている。なお、加速度値の計測軸が下腹部表面に垂直な方向とは別の方向を向いていても(下腹部表面に平行であり且つ重力方向に垂直な方向以外であれば)、下腹部表面の向きによって加速度値が変化するので、同様に加速度値から体格指数を推定できることは理解されるべきである。
ところで、上記の如く、被検者Pが立位のときの加速度値から体格指数を推定する場合、被検者Pの姿勢が立位であるときを検出する必要がある。この点に関し、被検者Pの姿勢が立位、座位又は臥位にて静止している場合、加速度センサの計測する加速度値は、図3(B)に例示されている如く、或る値にて停留するだけなので、加速度センサの装着の向きが不明であるときには、加速度値から被検者Pが立位であることを他の姿勢である場合から区別することは困難である。一方、被検者が歩行中の場合には、通常、立位であると想定されるところ、図3(A)に例示されている如く、歩行に伴う体動により、加速度センサの計測する加速度値に於いて特徴的な振動が発生するので、加速度値の時系列データから被検者が歩行中であることは検出が可能である。また、歩行中の加速度値にて表される特徴的な振動を除いた大半の部分の加速度ベクトルの方向は、重力方向であると想定できるので、加速度センサの計測する加速度値の代表的な値(殆どの時間に亙って得られている値、例えば、中央値、平均値、主成分分析によって得られた値等)は、重力ベクトルの計測軸への射影距離となっていると考えられる。かくして、本発明の装置に於いては、被検者Pの下腹部に装着された加速度センサの加速度値から被検者Pが歩行中である区間を検出し、その歩行中の区間に於ける加速度値の代表値を求め、その加速度代表値から被検者の体格指数が推定される。推定される体格指数は、典型的には、BMIであるが、その他の指数であってもよい。後に例示されている如く、上記の如く計測された加速度値がBMIと相関があることが見出されており、これと同様に、加速度値と相関のあるその他の肥満又は痩せの程度を表す指数が算出されるようになっていてもよく、そのような場合も本発明の範囲に属する。
なお、以下に詳細に説明される如く、加速度センサの計測する加速度値を用いた被検者の歩行中の区間の識別に於いては、被検者が種々の姿勢を取った場合の加速度センサにて計測した加速度値とその加速度値の計測時に於ける被検者の姿勢の識別結果(正解値)とを教師付き学習データとして用いた機械学習によって構成された識別器が用いられてよい。また、被検者の歩行中の区間の識別に於いては、加速度センサの計測する加速度値に加えて、気圧センサにより計測される気圧値が入力変数として参照されてよい。気圧値には、体幹の重力方向の変位が反映されているので、被検者の移動が水平方向であるか、上下方向を含んでいるか(階段の昇り降りなど)がより精度良く識別できることとなる。
(2)体格指数の推定
本実施形態の装置の人の体格指数の推定に於いては、図4(A)に示されている如く、加速度値・気圧値の取得(ステップ1〜3)、歩行区間の識別(ステップ4〜5)、加速度代表値の決定(ステップ6〜7)、体格指数の推定(ステップ8)が順々に実行され、推定結果が出力されてよい。以下、各処理について説明する。
本実施形態の装置の人の体格指数の推定に於いては、図4(A)に示されている如く、加速度値・気圧値の取得(ステップ1〜3)、歩行区間の識別(ステップ4〜5)、加速度代表値の決定(ステップ6〜7)、体格指数の推定(ステップ8)が順々に実行され、推定結果が出力されてよい。以下、各処理について説明する。
(i)加速度値・気圧値の取得(ステップ1〜3)
体格指数の推定のために計測される加速度値と気圧値とは、上記の如く、それぞれ、加速度センサと気圧センサとにより、時系列に計測され記憶される。後の一連の処理に於いては、これらの計測値の時系列データから、図4(C)に模式的に示されている如きエポックという単位毎に算出される特徴量が識別器の入力データとして用いられるので、加速度値と気圧値の計測が1エポック完了毎に、次の処理が実行されることとなる。なお、一つのエポックは、前後のエポックと重複していても(前後のエポックと重複する割合は任意に変更されてよい。)、重複していなくてもよい。図示の如く、例えば、4秒幅のエポックが、2秒間ずつ前後のエポックと重複するようになっていてもよく、各エポックの終了時Ct1、Ct2…に於いて各エポックに於ける時系列の計測データを用いて特徴量が抽出又は算出されることとなる。従って、この場合、図4(A)に示されている如く、各エポックが完了するまで、加速度値・気圧値の計測(ステップ1)と記憶(ステップ2)が反復して実行され、エポックの完了毎(ステップ3)に次の処理が実行されることとなる。
体格指数の推定のために計測される加速度値と気圧値とは、上記の如く、それぞれ、加速度センサと気圧センサとにより、時系列に計測され記憶される。後の一連の処理に於いては、これらの計測値の時系列データから、図4(C)に模式的に示されている如きエポックという単位毎に算出される特徴量が識別器の入力データとして用いられるので、加速度値と気圧値の計測が1エポック完了毎に、次の処理が実行されることとなる。なお、一つのエポックは、前後のエポックと重複していても(前後のエポックと重複する割合は任意に変更されてよい。)、重複していなくてもよい。図示の如く、例えば、4秒幅のエポックが、2秒間ずつ前後のエポックと重複するようになっていてもよく、各エポックの終了時Ct1、Ct2…に於いて各エポックに於ける時系列の計測データを用いて特徴量が抽出又は算出されることとなる。従って、この場合、図4(A)に示されている如く、各エポックが完了するまで、加速度値・気圧値の計測(ステップ1)と記憶(ステップ2)が反復して実行され、エポックの完了毎(ステップ3)に次の処理が実行されることとなる。
(ii)歩行区間の識別(ステップ4〜5)
加速度値・気圧値の計測・記憶のエポック完了毎に、加速度値・気圧値の特徴量を参照して、その加速度値・気圧値の時系列データに於いて、被検者が歩行中の区間が特定され抽出される。具体的には、まず、加速度値・気圧値のエポック毎の特徴量が算出される(ステップ4)。かかる特徴量は、加速度値・気圧値の各エポック内の時系列データから適宜選択されてよい。典型的は、特徴量として、時系列データの所定の時間毎の統計量が採用されよい。具体的には、特徴量としては、例えば、各軸の加速度値の平均値、中央値、標準偏差、平方自乗平均(RMS)、特定の周波数領域のエネルギー、自己相関関数のピーク位置・高さ、気圧波形を線形回帰したときの係数などが利用可能である。また、歩行中の区間の識別に於いて、複数の特徴量(例えば、7つの特徴量)が参照されてよい。
加速度値・気圧値の計測・記憶のエポック完了毎に、加速度値・気圧値の特徴量を参照して、その加速度値・気圧値の時系列データに於いて、被検者が歩行中の区間が特定され抽出される。具体的には、まず、加速度値・気圧値のエポック毎の特徴量が算出される(ステップ4)。かかる特徴量は、加速度値・気圧値の各エポック内の時系列データから適宜選択されてよい。典型的は、特徴量として、時系列データの所定の時間毎の統計量が採用されよい。具体的には、特徴量としては、例えば、各軸の加速度値の平均値、中央値、標準偏差、平方自乗平均(RMS)、特定の周波数領域のエネルギー、自己相関関数のピーク位置・高さ、気圧波形を線形回帰したときの係数などが利用可能である。また、歩行中の区間の識別に於いて、複数の特徴量(例えば、7つの特徴量)が参照されてよい。
かくして、加速度値と気圧値の特徴量が算出されると、それらを参照して、それらの特徴量が得られた加速度値と気圧値の計測区間に於いて被検者が歩行中であったか否かが識別される(ステップ5)。かかる識別は、後に説明される如き学習データを用いて教師付き機械学習の手法にて決定されたパラメータ(識別器パラメータ)を用いて構成される識別器を用いて実行されてよい。識別器は、ランダムフォレスト法、サポートベクターマシン法、勾配ブースティング法、k−NN法などの任意の教師付き機械学習の手法に従って構成されてよい。識別器パラメータは、後に説明される如く予め準備されて、メモリ内に記憶され、使用する際に呼び出される。特徴量から被検者が歩行中か否かを識別する具体的な処理は、任意のアルゴリズムにより実行されてよく、典型的には、プログラム言語にて用意された関数やモジュールを使用して実行されてよい。
(iii)加速度代表値の決定(ステップ6〜7)
上記の被検者が歩行中であったか否かの識別により、歩行区間が検出されると、加速度代表値を決定可能か否かが判定される(ステップ6)。後に説明される如く、加速度代表値は、歩行区間に於ける加速度値を参照して選択されるところ、参照する加速度値の区間が短過ぎるときには、精度良く代表値を選択できないこととなる。従って、加速度代表値を選択するのに十分な長さの歩行区間が検出されてから、加速度代表値の決定が実行されるようになっていてよい(即ち、加速度代表値を選択するのに十分な長さの歩行区間が蓄積されるまで、ステップ1〜5がそのまま反復されるようになっていてよい。)。加速度代表値を選択する際の歩行区間の長さは、設計者又は使用者に於いて適合により設定されてよい。
上記の被検者が歩行中であったか否かの識別により、歩行区間が検出されると、加速度代表値を決定可能か否かが判定される(ステップ6)。後に説明される如く、加速度代表値は、歩行区間に於ける加速度値を参照して選択されるところ、参照する加速度値の区間が短過ぎるときには、精度良く代表値を選択できないこととなる。従って、加速度代表値を選択するのに十分な長さの歩行区間が検出されてから、加速度代表値の決定が実行されるようになっていてよい(即ち、加速度代表値を選択するのに十分な長さの歩行区間が蓄積されるまで、ステップ1〜5がそのまま反復されるようになっていてよい。)。加速度代表値を選択する際の歩行区間の長さは、設計者又は使用者に於いて適合により設定されてよい。
かくして、十分な長さの歩行区間の加速度値の時系列データが蓄積されると、加速度値に於ける代表値が選択される(図2のbz参照)。かかる代表値としては、具体的には、加速度値の中央値、平均値、主成分分析によって得られた値であってよい(図3(A)参照)。既に述べた如く、加速度値の代表値に射影される加速度ベクトルの方向は、常に重力方向を向いていると考えられ、従って、図2に示されている如く、加速度代表値は、被検者の下腹部表面の傾きによって、即ち、体格指数に対応して変化することとなる。
(iv)体格指数の推定(ステップ8)
上記の如く加速度代表値が決定されると、その加速度代表値と体格指数との相関関係を用いて、加速度代表値から体格指数が推定される。加速度代表値と体格指数との相関関係は、予め実験的に又は理論的に決定しておくことが可能である。実際、本発明の発明者等の実験に於いては、被検者の下腹部に装着された加速度センサに於ける下腹部表面に垂直な方向に計った被検者が歩行中の加速度代表値値bzと被検者のBMIとの間には、図5に例示されている如き相関関係が得られることが見出されている。かくして、本実施形態に於いては、予め実験的に得られた加速度値(歩行中でなくても、立位であることが確認できていれば、その状態での計測値でよい。)と、体重と身長から求めた体格指数の複数の組みのデータに於いて、それらの相関関係を表す回帰式を求めておき、体格指数の推定の際には、かかる回帰式を推定式として用いて、被検者の歩行中の加速度値から体格指数が算出されてよい。
上記の如く加速度代表値が決定されると、その加速度代表値と体格指数との相関関係を用いて、加速度代表値から体格指数が推定される。加速度代表値と体格指数との相関関係は、予め実験的に又は理論的に決定しておくことが可能である。実際、本発明の発明者等の実験に於いては、被検者の下腹部に装着された加速度センサに於ける下腹部表面に垂直な方向に計った被検者が歩行中の加速度代表値値bzと被検者のBMIとの間には、図5に例示されている如き相関関係が得られることが見出されている。かくして、本実施形態に於いては、予め実験的に得られた加速度値(歩行中でなくても、立位であることが確認できていれば、その状態での計測値でよい。)と、体重と身長から求めた体格指数の複数の組みのデータに於いて、それらの相関関係を表す回帰式を求めておき、体格指数の推定の際には、かかる回帰式を推定式として用いて、被検者の歩行中の加速度値から体格指数が算出されてよい。
具体的には、例えば、図5の例の如く、加速度値bと体格指数Iとの関係が概ね一次式にて回帰できるときには、係数α、βを用いて
I=αb+β …(2)
の推定式を用いて、体格指数Iが算出されてよい。係数α、βは、予め、校正実験により決定され、メモリに記憶されていてよい。ここで、得られた体格指数が、本装置の最終的な推定結果である。
I=αb+β …(2)
の推定式を用いて、体格指数Iが算出されてよい。係数α、βは、予め、校正実験により決定され、メモリに記憶されていてよい。ここで、得られた体格指数が、本装置の最終的な推定結果である。
なお、上記の推定式の係数は、被検者Pの下腹部に於ける加速度センサの装着位置(即ち、下腹部の中心か、右脇又は左脇か)によって異なり得るので、加速度センサの装着位置によって異なる変数又は推定式が用いられてもよい。加速度センサとして、3軸方向の加速度値が計測できるものを採用した場合には、加速度センサの装着位置によって、3軸方向の計測値に対する重力ベクトルの方向が変わるので、3軸方向の加速度値の正負符号と大きさによって加速度センサの装着位置が特定可能である。
上記の一連の処理は、リアルタイムに体格指数の推定を実行する場合について説明しているが、任意の期間に亙って加速度値又は更に気圧値を計測した後に、一括して、計測された期間に亙る体格指数の推定が実行されるようになっていてもよい。その場合には、得られている計測データのうちで、まず、被検者の歩行中の区間が特定され、その歩行区間のデータを用いて、加速度代表値を決定し、体格指数の推定が実行されてよい(ステップ6の判定処理は、不要である。)。
(3)歩行区間の抽出のための機械学習
上記の本実施形態の装置の体格指数の推定に於いては、被検者の歩行区間の抽出のための識別器のパラメータが予め機械学習の手法によって決定され、メモリに記憶されるようになっていてよい。既に述べた如く、いずれの識別器もランダムフォレスト法、サポートベクターマシン法、勾配ブースティング法、k−NN法などの任意の教師付き機械学習の手法に従って構成されてよい。
上記の本実施形態の装置の体格指数の推定に於いては、被検者の歩行区間の抽出のための識別器のパラメータが予め機械学習の手法によって決定され、メモリに記憶されるようになっていてよい。既に述べた如く、いずれの識別器もランダムフォレスト法、サポートベクターマシン法、勾配ブースティング法、k−NN法などの任意の教師付き機械学習の手法に従って構成されてよい。
図4(B)を参照して、機械学習処理に於いては、まず、学習データの調製(ステップ11)に於いて、被検者が種々の姿勢を取る間に加速度センサによる加速度値の計測と気圧センサによる気圧値の計測を実行すると共に被検者の姿勢を記録し、加速度値と気圧値の計測データを入力データとし、各計測データが得られた際の姿勢を正解データとして関連付けられた教師付き学習データが調製される。かかる学習データに於いて含まれる被検者の姿勢には、水平方向の歩行の他に、立位、座位、臥位、階段のぼり、階段くだりが含まれていてよい。
そして、被検者の歩行区間を識別する識別器のパラメータの決定に於いては、上記の学習データに於ける加速度値と気圧値の計測データから図4(A)のステップ4の場合と同様に加速度特徴量と気圧特徴量とが算出され(ステップ12)、それらの特徴量と対応する正解値データ(姿勢)とを用いて、歩行区間の識別に採用する機械学習の手法に応じて、歩行区間に於ける特徴量が入力されたときには、歩行区間であることが識別されるように、識別器のパラメータの決定が適宜実行されてよい(ステップ13)。既に述べた如く、具体的な処理は、任意のアルゴリズム或いは任意のプログラム言語にて用意された関数やモジュールを使用して実行されてよく、識別器パラメータは、使用するアルゴリズム、プログラム言語の関数又はモジュールの仕様によって決まるので、かかる仕様に応じて、識別器パラメータの具体的な値が適宜設定されることは当業者に於いて理解されるであろう。かくして、機械学習により決定された識別器パラメータは、それぞれ、メモリに記憶され、加速度値と気圧値とを参照して被検者の姿勢の推定を行う際に利用される。
(4)体格指数の推定式の更新・推定結果の補正等
既に述べた如く、本実施形態に於ける体格指数の推定式を決定するパラメータ(係数α、β等)は、適時、校正又は更新されてよい。一つの態様として、図6に模式的に例示されている如く、個人の被検者が身長計により身長を計測したときの身長データと体重計により体重を計測したときの体重データを適時受容し、被検者の下腹部に装着された加速度センサの計測した加速度値を逐次的に受容するデータベースを、例えば、外部コンピュータ装置上に或いはネットワーク上に(クラウドなど)に構築し、そこに於いて、加速度値から体格指数を推定する推定部を設け、体重データと身長データとから算出されるより正確な体格指数と、推定部により算出された体格指数の推定値を比較して、推定部に於ける推定式のパラメータが更新され、推定結果の精度が向上されるようになっていてよい。その際、身長計、体重計及び加速度センサに、データベースにデータを送信できる通信機能付きのもの(スマートフォンやPCから通信されるようになっていてもよい。)を採用し、適時、自動的に或いは使用者の指示により、データが通信によりデータベースへ送信されるようになっていてよい。データ通信は、インターネットを介して為されてよい。
既に述べた如く、本実施形態に於ける体格指数の推定式を決定するパラメータ(係数α、β等)は、適時、校正又は更新されてよい。一つの態様として、図6に模式的に例示されている如く、個人の被検者が身長計により身長を計測したときの身長データと体重計により体重を計測したときの体重データを適時受容し、被検者の下腹部に装着された加速度センサの計測した加速度値を逐次的に受容するデータベースを、例えば、外部コンピュータ装置上に或いはネットワーク上に(クラウドなど)に構築し、そこに於いて、加速度値から体格指数を推定する推定部を設け、体重データと身長データとから算出されるより正確な体格指数と、推定部により算出された体格指数の推定値を比較して、推定部に於ける推定式のパラメータが更新され、推定結果の精度が向上されるようになっていてよい。その際、身長計、体重計及び加速度センサに、データベースにデータを送信できる通信機能付きのもの(スマートフォンやPCから通信されるようになっていてもよい。)を採用し、適時、自動的に或いは使用者の指示により、データが通信によりデータベースへ送信されるようになっていてよい。データ通信は、インターネットを介して為されてよい。
また、別の態様として、身長計により計測した身長と体重計により計測した体重とが取得され、これらから体格指数が算出された場合には、それ以降は、その情報に基づいて推定値が補正されるようになっていてよい。例えば、或る時の身長と体重とから算出された体格指数Itとそのときの加速度値から推定された体格指数Ioを用いて、任意の時点にて加速度値から推定された体格指数IにIt/Ioを乗じた値It/Io・Iを装置の推定結果として出力するようになっていてよい。
上記の本実施形態の装置に於いては、体格指数の推定値が得られるので、被検者の身長を用いて、体格指数の推定値から被検者の体重の推定値が算出されるようになっていてよい。また、本実施形態の装置によれば、体重計に乗らなくても普通に生活して体重増減の傾向をトラッキングすることができるので、体重増減の傾向を検知した場合には、被検者に健康な食事や運動を促すなどの通知を実行する手段が設けられていてもよい。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。
例えば、歩行区間の識別又は抽出は、機械学習により構成される識別器によらず、加速度特徴量又は更に気圧特徴量が実験的に又は理論的に適宜設定された閾値範囲に属しているか否かを判別することによって為されてもよい。
Claims (1)
- 人の体格指数を推定する装置であって、
人の下腹部に装着され加速度値を計測する加速度センサを含む加速度計測手段と、
前記加速度値を用いて、前記人が歩行状態にある歩行区間を抽出する歩行区間抽出手段と、
前記抽出された歩行区間に於ける加速度値の代表値を決定する加速度代表値決定手段と
前記加速度値の代表値に基づいて前記人の体格指数を推定する体格指数推定手段と
を含む装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019038747A JP2020141744A (ja) | 2019-03-04 | 2019-03-04 | 人の体格指数推定装置 |
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JP2019038747A JP2020141744A (ja) | 2019-03-04 | 2019-03-04 | 人の体格指数推定装置 |
Publications (1)
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JP (1) | JP2020141744A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022044543A1 (ja) | 2020-08-25 | 2022-03-03 | 日東シンコー株式会社 | 接着シート、半導体モジュール及び接着シートの製造方法 |
-
2019
- 2019-03-04 JP JP2019038747A patent/JP2020141744A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022044543A1 (ja) | 2020-08-25 | 2022-03-03 | 日東シンコー株式会社 | 接着シート、半導体モジュール及び接着シートの製造方法 |
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